2015年度入試結果速報 - keinet.ne.jp · 2 kawaijuku guideline 2015.4・5...

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Kawaijuku Guideline 2015.45 2 2015 年度センター試験は 1 月 17・18 日の2日間に わたり、全国 690 の試験会場で実施された。数学と理 科では新課程科目に加えて、既卒生用に旧課程科目が出 題されたほか、理科では科目変更に伴う実施方法の変更 があった。試験の実施は複雑化したものの、全国的には 大きな混乱もなく終了した。 志 願 者 数 は 559,132 人( 昨 年 560,672 人: 前 年 比 99.7%)、受験者数は 530,537 人(昨年 532,350 人: 前年比 99.7%)といずれも前年から大きな変化はなか った<図表1>。ただし、大学入試センターが発表し た志願者数の現卒別の内訳をみると、現役生が 18 歳人 口の増加に伴い、昨年から約1万2千人増加(前年比 102.7%)した一方、既卒生は約1万3千人減少(前年 比 88.2%)した<図表2>。既卒生の減少は今春入試 のトピックである。 <図表3>は、受験科目数別の受験者の割合を昨今で 比較したものである。目につくのは、「8科目」受験者 の減少と、 「7科目」「4~6科目」受験者の増加である。 数学と理科が新しい教育課程に対応した初年度の入試 となった 2015 年度入試。センター試験においても、 新課程科目の出題内容が注目を集めたほか、旧課程生用 の科目が用意され複雑な実施となるなど話題が多かった。 志願状況は、前年から大学志願者数に大きな変化はな <図表1>センター試験 志願者・受験者数推移 志願者数・受験者数は前年並み 大学志願者数は前年並み 現役生増加既卒生は約1割減少(現役中心入試へ) 数学・理科 新課程初年度入試 センター理科の変更で科目負担感強まる国公立大、私立大センター方式の敬遠 系統の人気 「文低理高」崩れる 文系の人気低下に歯止め、法学系の人気回復 低調な人気の理系学部、理・薬学部で志願者減少目立つ 大学の動き グローバル化への対応 (スーパーグローバル大学、外部英語試験活用、国際系学部新設) 続くキャンパス移転(都心回帰・4年同キャンパスの動き) 科目別の受験状況 「8科目」受験者の減少続く Part 1 大学入試センター試験概況 年度 志願者数(前年比) 受験者数(前年比) 2005 569,950 (97.0%) 524,603 (97.1%) 2006 551,382 (96.7%) 506,459 (96.5%) 2007 553,352 (100.4%) 511,272 (101.0%) 2008 543,385 (98.2%) 504,387 (98.7%) 2009 543,981 (100.1%) 507,621 (100.6%) 2010 553,368 (101.7%) 520,600 (102.6%) 2011 558,984 (101.0%) 527,793 (101.4%) 2012 555,537 (99.4%) 526,311 (99.7%) 2013 573,344 (103.2%) 543,271 (103.2%) 2014 560,672 (97.8%) 532,350 (98.0%) 2015 559,132 (99.7%) 530,537 (99.7%) ※大学入試センター資料より 2015 年度入試結果速報 く、国公立大、私立大とも前年から大幅な増減はみられ なかった。しかし、近年の「文低理高」に変化の兆しが 表れている。 以下、今春のセンター試験の概況と3月6日時点で判 明している大学の志願状況をレポートする。 特集 2015 年度入試の概観

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Kawaijuku Guideline 2015.4・52

 2015 年度センター試験は 1月 17・18 日の2日間に

わたり、全国 690 の試験会場で実施された。数学と理

科では新課程科目に加えて、既卒生用に旧課程科目が出

題されたほか、理科では科目変更に伴う実施方法の変更

があった。試験の実施は複雑化したものの、全国的には

大きな混乱もなく終了した。

 志願者数は 559,132 人(昨年 560,672 人:前年比

99.7%)、受験者数は 530,537 人(昨年 532,350 人:

前年比 99.7%)といずれも前年から大きな変化はなか

った<図表1>。ただし、大学入試センターが発表した志願者数の現卒別の内訳をみると、現役生が 18 歳人

口の増加に伴い、昨年から約1万2千人増加(前年比

102.7%)した一方、既卒生は約1万3千人減少(前年

比 88.2%)した<図表2>。既卒生の減少は今春入試のトピックである。

 <図表3>は、受験科目数別の受験者の割合を昨今で比較したものである。目につくのは、「8科目」受験者

の減少と、「7科目」「4~6科目」受験者の増加である。

 数学と理科が新しい教育課程に対応した初年度の入試となった 2015 年度入試。センター試験においても、新課程科目の出題内容が注目を集めたほか、旧課程生用の科目が用意され複雑な実施となるなど話題が多かった。 志願状況は、前年から大学志願者数に大きな変化はな

<図表1>センター試験 志願者・受験者数推移志願者数・受験者数は前年並み

◆大学志願者数は前年並み・現役生増加⇔既卒生は約1割減少(現役中心入試へ) ◆数学・理科 新課程初年度入試・センター理科の変更で科目負担感強まる⇒国公立大、私立大センター方式の敬遠◆系統の人気 「文低理高」崩れる・文系の人気低下に歯止め、法学系の人気回復・低調な人気の理系学部、理・薬学部で志願者減少目立つ◆大学の動き・グローバル化への対応 (スーパーグローバル大学、外部英語試験活用、国際系学部新設)・続くキャンパス移転(都心回帰・4年同キャンパスの動き)

科目別の受験状況「8科目」受験者の減少続く

Part 1|大学入試センター試験概況

年度 志願者数(前年比) 受験者数(前年比)2005 569,950 (97.0%) 524,603 (97.1%)2006 551,382 (96.7%) 506,459 (96.5%)2007 553,352 (100.4%) 511,272 (101.0%)2008 543,385 (98.2%) 504,387 (98.7%)2009 543,981 (100.1%) 507,621 (100.6%)2010 553,368 (101.7%) 520,600 (102.6%)2011 558,984 (101.0%) 527,793 (101.4%)2012 555,537 (99.4%) 526,311 (99.7%)2013 573,344 (103.2%) 543,271 (103.2%)2014 560,672 (97.8%) 532,350 (98.0%)2015 559,132 (99.7%) 530,537 (99.7%)

※大学入試センター資料より

2015年度入試結果速報く、国公立大、私立大とも前年から大幅な増減はみられなかった。しかし、近年の「文低理高」に変化の兆しが表れている。 以下、今春のセンター試験の概況と3月6日時点で判明している大学の志願状況をレポートする。

特集

2015年度入試の概観

Kawaijuku Guideline 2015.4・5 3

2015年度入試結果速報特集

 2012 年度に理科、地歴・公民の

第1解答科目成績利用が導入されて

以降、8科目受験者は減少を続けて

いる。2015 年度の理科、地歴・公

民の2科目受験者の状況をみると、

理科では前年比 94%、地歴・公民

では同 97%、と理科で減少率が高

い。これは文系生の理科2科目受験

が減ったためであろう。理科では

2015年度から出題科目が再編され、

理科①と理科②に分かれた。文系学

部のほとんどは理科①のみで受験可

能である。このため、理科2時間分

を受験するCパターン(理科①+理

科②1科目)やDパターン(理科②

2科目)で受験する文系生はほとん

どいなかったと思われる。

 理科②を中心に受験する理系生に

おいても、理科②の出題範囲が昨年

までの理科と比べて広がっており、

2科目の受験を取りやめる者が増え

ていそうだ。

 数学と理科は新しい教育課程から

の出題となり、新課程固有分野をは

じめとした内容の変化が注目を集め

た。「数学Ⅰ・数学A」は、課程の

移行に伴い全問必須から、数学Aの

各分野が選択問題となる構成へ変化

した。新たな出題分野となった「デ

ータの分析」の問題では、ヒストグ

ラム、四分位数、箱ひげ図などが扱

われたが、問題文が長く、計算より

も読解力や図を読み解く力が求めら

れた。「数学Ⅱ・数学B」では、新

たに「確率分布と統計的な推測」が

出題された。期待値・分散の計算、

正規分布、信頼区間に関する問題と

項目内の内容が幅広く扱われ、正規

分布の問題では正規分布表が示され

た。「数学Ⅱ・数学B」は、計算量

の増加、複数分野の知識を要求する

問いなどが多く例年と比べても難し

<図表2> センター試験 現役・既卒別志願者数推移

(年度)'062005 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15

(年度)'062005 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15

48

44

42

40

38

46

18

14

12

10

8

16

(万人) (万人)現役 既卒

42.242.6

43.442.843.1

44.044.2

46.0

44.3

45.5

44.0 14.2

11.911.3

10.910.610.7 11.0 10.811.2

9.9

11.0

教科・科目名平均点 受験者数

'14 年度 '15 年度 前年差 '14 年度 '15 年度 前年差

外国語英語 118.87 116.17 − 2.7 525,217 523,354 −1,863

リスニングテスト 33.16 35.39 + 2.2 519,172 516,428 − 2,744

数学①

数学Ⅰ 39.65 32.38 −7.3 7,187 5,277 −1,910

数学Ⅰ・数学A (62.08) 61.27 (− 0.81) − 338,406+ 251

旧数学Ⅰ・旧数学A 62.08 70.33 + 8.3 391,273 53,118

数学②

数学Ⅱ 32.80 23.83 − 9.0 6,333 4,944 −1,389

数学Ⅱ・数学B (53.94) 39.31 (−14.63) − 301,184− 2,539

旧数学Ⅱ・旧数学B 53.94 49.90 − 4.0 355,423 51,700

国語 98.67 119.22 + 20.6 503,587 501,415 − 2,172

理科①

物理基礎 − 31.52 − − 13,289 −

化学基礎 − 35.30 − − 88,263 −

生物基礎 − 26.66 − − 116,591 −

地学基礎 − 26.99 − − 41,617 −

理科②

物理 (61.64) 64.31 (+ 2.67) − 129,193 −

化学 (69.42) 62.50 (− 6.92) − 175,296 −

生物 (53.25) 54.99 (+1.74) − 68,336 −

地学 (50.22) 40.91 (− 9.31) − 1,992 −

物理Ⅰ 61.64 69.94 + 8.3 160,823 29,832 −

化学Ⅰ 69.42 66.67 − 2.8 233,632 43,347 −

生物Ⅰ 53.25 60.87 +7.6 188,400 22,026 −

地学Ⅰ 50.22 58.72 + 8.5 17,668 2,893 −

地理歴史

世界史B 68.38 65.64 − 2.7 85,943 84,053 −1,890

日本史B 66.32 62.01 − 4.3 153,204 155,273 + 2,069

地理B 69.68 58.59 −11.1 146,472 146,846 + 374

公民

現代社会 58.32 58.99 + 0.7 77,825 76,698 −1,127

倫理 60.87 53.39 −7.5 33,761 30,740 − 3,021

政治・経済 53.85 54.79 + 0.9 48,363 45,300 − 3,063

倫理 , 政治・経済 67.29 59.57 −7.7 48,789 48,659 −130

<図表3> センター試験 受験科目数別受験者の割合

■8科目

■7科目

■4~6科目

■3科目

■1~2科目

3%

55%18%

20%

54%17%

20%

4%5%4%2014 年度 2015 年度

数学・理科以外にも新課程を意識した出題

※大学入試センター資料より、数値は得点調整後のもの※数学・理科の昨年度平均点欄は同一名称科目の平均点を記載

<図表4> センター試験 主要科目平均点・受験者数(本試験)

※大学入試センター資料より ※理科の基礎を付した科目は2科目で1科目と数える

※大学入試センター資料より

Kawaijuku Guideline 2015.4・54

難易度となった。

 一方、「数学Ⅱ・数学B」は 40 点を割りこみ、過去

最低となった。既卒生の多くが旧課程科目を受験してい

ることも平均点を押し下げた要因であろう。第1問~第

4問まで新課程と共通問題であった「旧数学Ⅱ・旧数学

B」の平均点は 50 点と決して高くはないものの、「数

学Ⅱ・数学B」との平均点差は 10 点開いており、受験

者層の学力差が反映されている様子がうかがえた。

 このほか、「地理歴史」では「地理B」で昨年から大

きく平均点ダウンしたほか、理科②の新課程科目で軒並

み低めの平均点となるなど、理系生が多く受験する科目

で平均点ダウンが目立った。理科②では1月 23 日の中

間集計時点で、新課程科目の「生物」と旧課程科目の「物

理Ⅰ」の平均点に 20 点以上の開きが出たため、17 年

ぶりとなる得点調整が実施された。得点調整は、当初よ

り対象科目ではなかった旧課程科目の「理科総合A」「理

科総合B」と、受験者数が1万人未満であった「地学」「地

学Ⅰ」を除く6科目が対象となり、調整後は「生物」で

最大8点が加点された。図表は得点調整後の平均点であ

り、理科②の平均点も得点調整対象外の「地学」を除い

て極端に低い科目はなくなっている。

 <図表5>は河合塾が推定するセンター試験の7科目型(900 点満点)の平均点推移である。7科目文系型が

543 点(前年差+ 9点)、7科目理系型が 567 点(前年

差+ 1点)となった。

 文理で平均点の変化に差が生じたのは、理科、地歴・

い内容であった。

 理科②の各科目は出題範囲が拡大した。旧課程ではⅡ

にあたる内容も範囲となり、これまでのセンター試験で

は出題されてこなかった分野の出題がみられた。例を挙

げると「物理」では、旧課程では「物理Ⅱ」の選択分野

であり、多くの大学の個別試験でも出題範囲から外れて

いた「原子」が扱われた。「生物」では、チラコイドで

行われる反応過程(光合成)についての問題や共進化に

関する問題など、新課程で新たに教科書に記載された内

容の出題があった。

 数学、理科以外の教科についても、各所に新課程を意

識した出題がみられた。例えば「英語」では、全体とし

て実践的なコミュニケーション能力を問う出題となっ

た。地理歴史では、「地理B」で統計表や統計地図、グ

ラフなどの図表を多用しており、単純な知識を問うもの

でなく、図表の読み取りや理解力を試す問題が中心であ

った。歴史分野でも、「世界史B」で日本に触れる出題

や日本地図、吉備真備の図版を使用するなど、日本史と

の関連を意識した出題もみられた。反対に「日本史B」

では外交史が増加したほか、各時代における日本と海外

との人の往来をテーマにした出題など、グローバル化を

意識したともいえる出題があった。

 <図表4>は大学入試センターが公表した主な科目の平均点の一覧である。

 「英語」が前年並みとなったほか、昨年過去最低とな

った「国語」の平均点が 20点上昇し 119 点と標準的な

7科目文系型 7科目理系型

(得点(900点満点))

(千人)

2015 年度

2014 年度2015 年度

2014 年度

360 540 720 900(得点(900点満点))

360 540 720 900

18

16

14

12

10

8

6

4

2

0

(千人)18

16

14

12

10

8

6

4

2

0

2009 ’10 ’12 ’13’11 ’14(年度)

543542552

545 562572

530

567569

550

568

586

(点)600

550

500

566

534

’15

7科目文系型 7科目理系型

※7科目型平均点は河合塾推定(得点調整後) 7科目文系型:英・数 (2)・国・理 (1)・地公 (2)(900 点満点) 7科目理系型:英・数 (2)・国・理 (2)・地公 (1)(900 点満点) *英語は筆記+リスニングの 250 点を 200 点に換算して集計 *理科の基礎を付した科目は2科目で1科目とする

17年ぶりに得点調整を実施

7科目型平均点文系で上昇、理系は前年並み

<図表5>センター試験 7科目型平均点推移 <図表6>「センター・リサーチ」 7科目型受験者の成績分布

※得点調整を反映させたデータで作成

Kawaijuku Guideline 2015.4・5 5

2015年度入試結果速報特集

 国公立大一般選抜の総志願者

数は、前年から 9,874 人減少

して 474,546 人であった。募

集人員に対する志願倍率は前年

の 4.78 倍から 0.11 ポイント

ダウンし、4.67 倍となった。

 国公立大入試の中心である前

期日程の志願者数は、258,870

人で前年から約4千人減少(前

年比 98%)した<図表7・8>。今春の大学志願者数は前年から

大きな変化はない見込みで、セ

ンター試験の受験者数も前年比

99.7%と前年並みの状況であ

った。国公立大志願者数の変化もこれに呼応した動きと

いえる。

 ただし、センター試験の受験者数の変化と比べ、僅か

に減少率が高くなったのは、今年は新課程入試への移行

に伴い、負担感を感じる受験生が少なからずいたためだ

ろう。

 後期日程の志願者数は 189,398 人(前年比 97%)で、

前期日程以上に志願者が減少した。後期日程の廃止・縮

小が続く医学科で、今春は信州大が後期日程の募集人員

30 名を前期日程にシフトした。例年高い人気を集めて

いただけに影響は大きく、同大医学科の後期志願者数は

1千人以上の減少となった。

 中期日程は、今春より長岡造形大が加わり公立 14 大

学での実施となったが、志願者数は 454 人減少(前年

比 98%)した。今春入試で人気低下が鮮明な薬学部に

国公立大志願者数前期日程は約4千人減少

区分 日程募集人員 志願者数 志願倍率

'14 年度 '15 年度 '14 年度 '15 年度 前年差 前年比 '14 年度 '15 年度

国立

前期 65,064 65,157 201,630 198,855 − 2,775 99% 3.10 3.05

後期 15,929 15,789 149,603 146,137 − 3,466 98% 9.39 9.26

計 80,993 80,946 351,233 344,992 − 6,241 98% 4.34 4.26

公立

前期 14,885 14,987 61,274 60,015 − 1,259 98% 4.12 4.00

後期 3,555 3,714 45,181 43,261 − 1,920 96% 12.71 11.65

中期 1,933 1,958 26,732 26,278 − 454 98% 13.83 13.42

計 20,373 20,659 133,187 129,554 − 3,633 97% 6.54 6.27

国公立 計

前期 79,949 80,144 262,904 258,870 − 4,034 98% 3.29 3.23

後期 19,484 19,503 194,784 189,398 − 5,386 97% 10.00 9.71

中期 1,933 1,958 26,732 26,278 − 454 98% 13.83 13.42

計 101,366 101,605 484,420 474,546 − 9,874 98% 4.78 4.67

<図表7>国公立大志願状況

(年度)

3.39 3.46

3.29 3.27

志願者数 志願倍率

2005 '07'06 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15

3

4

1

2

0

30

28

24

22

26

(万) (倍)

3.22 3.34 3.29 3.23

3.41 3.38 3.36

25.725.3 25.3

25.0

26.125.9

26.8 26.826.826.3

25.9

<図表8>国公立大(前期日程)志願者数の推移

※文部科学省資料より  ※志願倍率は志願者数/募集人員※分離・分割方式ではなく独自日程で実施する大学は上表には含まれていない

Part 2|国公立大学の志願状況

※文部科学省資料より  ※志願倍率は志願者数/募集人員

公民の選択状況によるものだろう。文系では文系生が多

く受験していた「生物Ⅰ」で昨年の平均点が低かったの

に対し、今年の理科①が比較的得点しやすかったことか

ら、平均点が上昇した。一方、理系は理系生が多く受験

する「地理B」で平均点がダウンした影響が大きかった。

得点調整により理科②の主要科目の平均点が上昇したも

のの、前年並みの平均点に落ち着いた。

 <図表6>は河合塾が実施した自己採点集計「センター ・リサーチ」参加者の成績分布である。

 文系では平均点の上昇もあり、今年の分布はやや右に

シフトしている。とくに低い得点率帯で受験生が減少し

ており、反対に得点率6~8割の層で増加している。

 理系では、今年の分布はなだらかに広がる形になって

おり、平均点にほとんど変化がなかったものの、成績分

布の形は変化している。780点以上の高得点者層は増加、

得点率 65 ~ 85%の難関から中堅まで広く国公立大を

狙う層では減少している。

Kawaijuku Guideline 2015.4・56

おいて、中期日程で実施する3大学が軒並み志願者減と

なったことなどが影響している。

 <図表 9 >は旧帝大を中心とした難関 10大学の志願状況をまとめたものである。難関 10 大学全体では、前

期日程は 736 人減(前年比 99%)となった。志願者の

減少率は、「その他大」の方が高く、これら難関大を敬

遠した様子はうかがえなかった。

 大学別にみると、東京大が前年並みの志願者数を維持

した一方、近年高い人気を示していた京都大でやや減少

率が高くなった。

 志願者の増加率が高かったのが、名古屋大と大阪大で

ある。名古屋大は工学部が志願者 15%増と高い人気を

示した。同大関係者が昨秋ノーベル賞を受賞したことも

人気上昇を後押ししたのではなかろうか。大阪大は、理、

工、基礎工の理工系3学部が昨年の志願者を上回った。

 一方、10 大学中最も減少率が高かった九州大は、2

次試験で地歴を追加する文学部で約2割志願者が減少し

たことなどが影響している。

 以下に、大学別の状況をみてみる。

◆北海道大学 前期日程は前年比 98%と志願者が減少した。文系学

部は学部により状況が異なっている。昨春入試で志願者

が3割増となった法学部が一転して大幅減となったほ

か、総合入試文系が低調な人気であった。一方、その他

の学部(文、教育、経済)は2割以上の志願者増となった。

 理科の必要科目数が3→2科目となり、注目された医

学科は前年比 88%と志願者が減少した。模試では科目

負担減から高い人気を示していたが、最終的には人気高

騰が警戒されたのか敬遠された。隔年現象が続いている

歯学部は志願者6割増となった。

◆東北大学 前期日程の志願者は前年比 97%と減少した。堅調な

人気を示したのが医学部で、難関の医学科のほか看護学、

検査技術科学の両専攻で志願者が増加した。一方、教育、

農、歯学部で志願者の減少率が高かった。歯学部は北海

道大と同様に隔年現象が続いているが、その増減は北海

道大とは逆になっており、今春は3割減となった。

 経済学部と理学部のみで実施された後期日程は、他の

難関大の実施が少ないことから、いずれも前期日程以上

の志願者数を集め高い人気を維持している。今春は両学

部とも前年より志願者が約1割増加した。

◆東京大学 前期日程の志願者は前年比100%と前年並みに落ち着

いた。模試では一貫して志望者の減少がみられたが、セ

ンター試験の高得点層増加が東大の人気回復を後押しし

たと推測される。「センター・リサーチ」で7科目受験

者の成績分布を昨年と比較すると、900 点満点中 800

点以上の高成績層が文系・理系ともに大きく増加してお

り、東大志望者の成績分布においてもこの層の増加がみ

られた。

 文科類では、文科一類が前年比 107%、文科二類が前

年比 102%と増加。文系最難関の文科一類で志願者が増

加したことからも、受験生の強気の志向が感じられる。

一方、文科三類は前年比 95%と昨年に続き減少し、第

1段階選抜も実施されなかった。

<図表 9 >国立難関 10 大学の志願状況

大学名前期日程 後期日程

'14 年度 '15 年度 前年差 前年比 '14 年度 '15 年度 前年差 前年比

北海道 5,815 5,705 − 110 98% 4,324 4,129 − 195 95%

東北 5,053 4,908 − 145 97% 1,339 1,480 + 141 111%

東京 9,415 9,444 + 29 100% 3,047 2,940 − 107 96%

東京工業 3,857 3,803 − 54 99% 549 483 − 66 88%

一橋 2,697 2,748 + 51 102% 1,266 1,373 + 107 108%

名古屋 4,728 4,914 + 186 104% 41 65 + 24 159%

京都 8,355 8,041 − 314 96% − − − −

大阪 7,045 7,263 + 218 103% 3,225 3,064 − 161 95%

神戸 5,887 5,587 − 300 95% 4,200 4,399 + 199 105%

九州 5,235 4,938 − 297 94% 2,750 2,714 − 36 99%

難関 10 大計 58,087 57,351 − 736 99% 20,741 20,647 − 94 100%

その他大計 204,817 201,519 − 3,298 98% 174,043 168,751 − 5,292 97%

※文部科学省資料より※「その他大計」は難関 10 大を除いた国公立大計

難関国立大の志願状況難関大敬遠の様子みられず

Kawaijuku Guideline 2015.4・5 7

2015年度入試結果速報特集

 理科類は、昨年の模試時から堅調な人気を示していた

理科一類が前年比 102%と増加した。第1段階選抜の合

格者最低点は 731 点(得点率 81%)と例年になく高い

点数となった。

◆一橋大学 前期日程の志願者数は、一昨年まで社会科学系の不人

気を背景に3年連続で減少していたが、昨春入試で増加

に転じた。今春入試も引き続き前年比 102%と志願者は

増加しており、人気回復が感じられる。

 学部別では、志願者の減少が続いていた法学部で大幅

に増加した。一方、昨年志願者が大幅に増加した社会学

部が約1割減となった。

◆東京工業大学 一橋大と対照的な志願者数の動きとなっている。理系

人気を背景に一昨年まで志願者が増加していたが、昨春

入試では減少に転じた。今春も引き続き志願者数が減少

した。ただし、類によって状況は異なっている。理学部

の第1類と生命理工学部の第7類が大きく減少した一

方、工学系である第2類~第6類は堅調な人気を示した。

第7類はAO入試導入に伴い前期日程の募集人員が 20

名減となったことも敬遠された要因だろう。全国的な人

気系統である建築・土木系の第6類は約1割の志願者増

となった。

◆名古屋大学 地区内受験生の安全志向もあり志願者減少が続いてい

たが、今春入試では4年ぶりに増加に転じた。文系学部

は、文、教育学部で1割以上志願者が増加した。志願者

の減少が続く法、経済の社会科学系両学部は、経済学部

が僅かに増加したものの、法学部は減少に歯止めが掛か

っていない。地区内私立大では、法学系の人気回復がみ

られるものの、その動きは国公立大にまでは及んでいな

い様子である。理系学部は工学部が志願者前年比 115%

と大幅に増加し、2000 年以降最多の志願者数となった。

同大関係者が昨秋ノーベル賞を受賞するなど明るいニュ

ースも増加要因であろう。学科別にみても電気電子・情

報工が前年比 126%となったのをはじめ、化学・生物工

を除きいずれも大幅増となった。

◆京都大学 志願者数は前年比 96%と減少した。今春は科目負担

減や科目選択時の条件緩和などの入試変更が多数あり、

志願者増加の要素を多く抱えていたが、警戒されたのか

志願者増には至らなかった。

 なかでも低調な人気となったのが文系学部である。文、

法、総合人間(文系)学部では、センター試験で「倫理,

政治・経済」の選択が可となり、2次試験の地歴はセン

ター試験の第1解答科目とは異なる科目の選択が必要と

いう条件がなくなった。他の難関大文系学部と同様の科

目設定となったことから志願者増が予想されたが、増加

したのは総合人間(文系)学部だけで、法学部では1割

以上志願者が減少した。経済学部も約1割の志願者減と

なり、東京大の文科一類、文科二類の志願者増とは対照

的な状況となった。

 理系学部は不人気系統である薬学部を除いて比較的堅

調な人気を示した。志願者減少が続いていた理学部は前

年比 107%と増加した。しかし、理科の必須科目数が3

→2科目となり注目された医学科は、前年比 101%と前

年並みの志願者数に留まった。

◆大阪大学 前期日程の志願者数は前年比 103%と増加した。志願

者の増加を牽引しているのが理工系3学部で、なかでも

理学部は2割以上の志願者増となり、2000 年以降で最

多の志願者数となった。一方、文系学部では外国語学部

が1割以上志願者減となるなど減少が目立った。外国語

学部の志願者減少は、東京外国語大が入試変更に伴い人

気を集めたことも少なからず影響していそうだ。

◆神戸大学 前期日程の志願者数は前年比 95%と減少した。学部

別にみると、志願者が大きく増減した学部が目立つ。文

学部は前年比 136%と大きく増加した。昨春入試で約

3割志願者が減少し、実質倍率が 1.7 倍と低倍率入試と

なった反動だろう。一方、国際文化学部が前年比 77%、

海事科学部が前年比 76%と減少した。また、当該大で

は経済学部と経営学部の両学部間で志願者増減が逆とな

る年が多いが、今春は両学部とも志願者が減少した。前

述の京都大、大阪大、さらには近隣の大阪市立大を含め

地区内難関大の社会科学系学部は志願者数の減少が目立

った。

◆九州大学 前期日程の志願者数は前年比 94%と 10 大学で最も

減少率が高くなった。昨春入試で前期日程としては過去

最低の志願者数となった法学部が、その反動から約3割

の志願者増となったほかは、全体的に低調な人気となっ

た。2次試験で新たに地歴を追加した文学部は前年比

81%と従前の予想通り受験生に敬遠された。

 次に学部系統別の動向をみてみよう。<図表 10 >は国公立大の前期日程の志願状況を、学部系統別に集計し

たものである。ここ数年、学部系統の人気は「文低理高」

学部系統別の志願状況文低理高に歯止め掛かる

Kawaijuku Guideline 2015.4・58

が鮮明の状況であったが、今春はその状況に歯止めが掛

かった様子がうかがえる。

 前期日程全体の志願者数が減少したなか、文系では「社

会・国際」「法・政治」「教員養成課程」の志願者が増加

した。なかでも「法・政治」学系は前年比 107%と、近

年の志願者減少から一転して人気の回復が感じられた。

近年の「文低理高」の背景には、景気低迷に伴う大学卒

業者の就職状況の悪化があった。就職を意識した動きか

ら、医療系をはじめとした資格が取得できる学部や、卒

業後の進路に直結しているイメージの強い理系学部へと

人気がシフトした。しかし、就職状況が急速に改善して

きていることや、志願者減少が続いた文系学部では、受

験生には狙い目と映る大学も多く出てきたことが人気回

復の要因ではなかろうか。加えて、今春のセンター試験

では文系型の平均点が上昇しており、国公立大を諦めず

出願する姿勢は理系生以上に強かったものと思われる。

 理系の各系統は軒並み志願者が減少した。模試では安

定した人気を示していた「工」学系も志願者が減少した。

近年、高い人気を示していた医療系も前年比 96%と減

少率が高く、その人気に翳りが見え始めた。「医」が前

年比 95%、「医療技術」が前年比 93%となったほか、「薬」

が前年比 87%と大幅に志願者が減少した。

 最も増加率が高くなった「総合・環境・情報・人間」は、

前期募集人員を40名増とした島根県立大(総合政策)や、

センター試験数学の必要科目数を減らすなど入試変更を

行った熊本県立大(総合管理)で大幅に志願者増となっ

た影響が大きい。

 以下に、主な系統の状況を確認してみよう。なお、文

中の志願者数・前年比はとくに記載がない場合、前期日

程を表している。

[文・人文] 系統全体の志願者は前年比 98%と減少。難関大では、

東京大(文科三類)95%、京都大(文)95%と減少し

たほか、九州大(文)が2次試験科目の追加で約2割の

志願者減少となった。一方、北海道大(文)120%、名

古屋大(文)111%、神戸大(文)136%で大きく増加

した。北海道大、神戸大は昨年大幅に志願者が減少して

おり、難関大においても前年の状況を意識した受験生の

動きがみられた。

 東京外国語大(言語文化)は、2次試験の地歴で新た

に日本史を選択科目として加えたことから前年比124%

と大きく増加した。新設2年目となった長崎大(多文化

社会)は、昨年から大幅に志願者が減少し募集人員 88

名に対し、志願者 86人と志願倍率は1倍を割り込んだ。

センター英語の得点で実施する第1段階選抜は、必要な

得点が8割と高い設定であったことも敬遠された要因だ

系統募集人員 志願者数 志願倍率

'14 年度 '15 年度 '14 年度 '15 年度 前年差 前年比 '14 年度 '15 年度

文・人文 7,581 7,717 24,967 24,528 − 439 98% 3.29 3.18

社会・国際 2,597 2,601 9,056 9,105 + 49 101% 3.49 3.50

法・政治 4,119 4,272 11,721 12,496 + 775 107% 2.85 2.93

経済・経営・商 8,084 7,985 25,957 24,799 − 1,158 96% 3.21 3.11

教育−教員養成課程 7,204 7,328 19,511 19,697 + 186 101% 2.71 2.69

教育−総合科学課程 2,241 2,037 6,645 6,249 − 396 94% 2.97 3.07

理 5,078 5,102 15,914 15,285 − 629 96% 3.13 3.00

工 22,700 22,565 70,697 69,626 − 1,071 98% 3.11 3.09

農 5,294 5,288 17,722 17,142 − 580 97% 3.35 3.24

医・歯・薬・保健 10,458 10,508 42,726 40,964 − 1,762 96% 4.09 3.90

医 3,609 3,648 19,919 19,000 − 919 95% 5.52 5.21

歯 448 450 2,005 2,022 + 17 101% 4.48 4.49

薬 760 763 3,324 2,886 − 438 87% 4.37 3.78

看護 3,852 3,872 11,577 11,557 − 20 100% 3.01 2.98

医療技術・他 1,789 1,775 5,901 5,499 − 402 93% 3.30 3.10

生活科学 725 741 2,592 2,558 − 34 99% 3.58 3.45

芸術・スポーツ科学 1,529 1,618 7,551 7,789 + 238 103% 4.94 4.81

総合・環境・情報・人間 2,346 2,386 7,844 8,627 + 783 110% 3.34 3.62

国公立 計 79,956 80,148 262,903 258,865 − 4,038 98% 3.29 3.23

<図表 10 >国公立大(前期日程)学部系統別志願状況

※河合塾調べ(一部大学発表の数値と文部科学省資料の数値と異なるところは大学発表値を優先)※系統の分類は河合塾による

Kawaijuku Guideline 2015.4・5 9

2015年度入試結果速報特集

ろう。

[法・政治] はじめにこの系統の数値に対してお断りをしておく。

志願者前年比は 107%であるが、千葉大(法政経)の昨

年の数は選抜区分(法、経済、総合政策)別にそれぞれ

の学部系統に含めて集計しているのに対し、今春は学科

一括募集となったことから「法・政治」系として集計し

ている。この影響もあり増加率が高くなっている。ただ

し、これを除いて集計しても前年比 104%と増加してい

る。4年連続で志願者が減少していたこの学系であるが、

その人気低下にいよいよ歯止めが掛かった。

 旧帝大を中心とした難関大では、東京大(文科一類)

107%、一橋大(法)118%や、志願者の減少が続いて

いた九州大(法)で増加に転じた。しかし、その他の大

学は低調な人気である。北海道大(法)72%、東北大

(法)98%、名古屋大(法)96%、京都大(法)87%、

大阪大(法)95%となっている。難関大全体では前年

比 100%となっており、志願者の増加はその他の大学に

拠るところが大きい。

 主な志願者増加大は、首都大学東京(都市教養 - 法学

系)117%、新潟大(法)115%、金沢大(法学類)119%、

京都府立大(公共政策)161%、鳥取大(地域 - 地域政

策)132%、岡山大(法(昼))126%、広島大(法(昼))

141%、鹿児島大(法文 - 法政策)146%などである。

[経済・経営・商] 昨春入試で志願者の減少に歯止めが掛かり、その数が

増加に転じたが、今春入試では前年比 96%と減少した。

法学系とはやや対照的な状況である。

 難関大では東京大(文科二類)102%、一橋大(経済)

106%が増加したほか、志願者減少が続いていた北海道

大(経済)126%で大幅増となった。しかし、京都大(経済)

90%、神戸大(経営)89%、九州大(経済)86%では

減少率が高かった。難関 10 大学全体では前年比 98%

と減少した。

 この系統では公立大では隔年現象が起きている大学が

多い。昨春入試で志願者が増加した青森公立大(経営経

済)54%、大阪市立大(経済)80%、公立鳥取環境大(経

営)53%、尾道市立大(経済情報)50%、下関市立大

(経済)70%などで大幅に志願者が減少した一方、高崎

経済大(経済)155%、県立広島大(経営情報)138%

などで増加した。

[教育-教員養成課程・総合科学課程] 資格系学部の人気上昇に伴い、当該系統も 2010 ~

12 年度にかけて志願者が増加して人気の高まりが感じ

られたが、その後は人気が沈静化し、昨春入試では志願

者の減少率が高く不人気が鮮明であった。今春入試では、

教員養成課程は前年比 101%と増加に転じたものの、募

集枠の減少が続く総合科学課程は前年比 94%と志願者

の減少が続いている。

 課程の再編等を行った大学の状況をみると、総合科学

課程を1課程に集約した東京学芸大は、大学全体で前年

比 88%と志願者が減少した。一方、専攻の改組を行う

とともに前期日程に募集人員をシフトした北海道教育大

(札幌)は、前年比 119%と増加した。総合科学課程を

廃止した山口大(教育)は、学部全体の志願者数は前年

比 85%と減少したものの、教員養成課程は小学校総合

の志願者が約3倍となったのをはじめ堅調な人気をみせ

た。このほか、センター試験の必要科目数が減少した茨

城大(教育)、群馬大(教育)は予想通り志願者が増加

した。

[理] 前期日程の志願者数は前年比 96%と減少した。模試

時から志望者の減少が目立ち、人気の低下が感じられる。

 難関大では、京都大(理)前年比 107%、大阪大(理)

121%、神戸大(理)107%と近畿3大学で増加した。

京都大や神戸大は昨年まで2年連続で志願者が減少して

おり、狙い目と思われた感もある。また、科目負担減に

も関わらず志願者が増加しなかった京都大などの地区内

医学科志望者の流入もあったのではなかろうか。

 一方、東京工業大(第1類)93%、名古屋大(理)85%、

九州大(理)93%では、模試時の人気の低下をそのま

ま反映した志願状況となった。

 このほか、筑波大(生命環境)80%、静岡大(理)79%、

大阪市立大(理)66%、広島大(理)74%、高知大(理)

81%などで志願者の減少率が高かった。また、後期日

程では茨城大(理)が約6割の志願者減となった。入試

変更(センター試験の科目数増、個別試験の廃止など)

が受験生に敬遠されたと思われる。

[工] 模試では、理、農学系の志望者減少が目立つなか、工

学系は堅調な人気を示していたが、最終的な志願者は前

年比 98%と減少した。分野により志願状況が異なって

おり、「電気・電子」「情報・通信」「土木・環境」とい

った分野で志願者増加が目立つ反面、「材料工」「生物工」

分野では志願者が減少したところが多い。とくに「生物

工」は全国的に志願者減少が目立つ。センター試験で生

物の平均点が低かったことも少なからず影響しているだ

ろう。

 大学別にみると、旧帝大を中心とした難関大は比較的

堅調である。東京大(理科一類)をはじめ、東京工業大

Kawaijuku Guideline 2015.4・510

(第2類、第4類、第6類)、名古屋大(工)、大阪大(工、

基礎工)、神戸大(工)などで志願者が増加した。難関

10 大学のみで集計すると志願者前年比は 101%と増加

しており、減少はその他の大学に拠る。とくに首都圏の

大学で志願者の減少が目立つ。埼玉大(工)66%、千

葉大(工)94%、電気通信大(情報理工)85%、東京

農工大(工)74%、東京海洋大(海洋工)81%と減少

した。

 募集人員を後期日程に大きくシフトした兵庫県立大

は、前期日程の志願者は前年比70%に減少した。ただし、

募集人員の減員に伴い、志願倍率は 3.2 倍から 4.0 倍に

上昇した。募集人員が3倍以上増加した後期日程は、従

前の予想通り志願者数が増加し1,054人(前年比154%)

となった。

[農] 前期日程の志願者前年比は 97%と減少した。難関大

では、東北大(農)88%、神戸大(農)91%が減少し

た一方、北海道大(水産)102%、名古屋大(農)103%、

京都大(農)103%が増加。大学により状況が異なった。

 センター試験の理科を、他の一般的な理系学部とは異

なる「理科①と理科②1科目を必須」とした琉球大(農)

は、約3割の志願者減となった。なお、来春は科目の指

定方法が他大学と同様の「理科②から2科目必須」とな

ることが公表されている。

 難関の「獣医」分野は約1割志願者が減少した。大学

別にみても 10 大学中6大学で志願者が減少した。なか

でも鳥取大(農-共同獣医)67%、鹿児島大(共同獣医)

60%で減少数が大きかった。

 「水産」分野では、水産教員養成課程を廃止し、水産

学科は3領域での募集とするなど募集枠の変更があった

鹿児島大(水産)が、志願者前年比 53%と人気が振る

わなかった。この影響もあってか、近隣の長崎大(水産)

では前年比 139%と志願者が大幅に増加した。

[医・歯・薬・保健] 系統全体の前期日程志願者は前年比 96%と減少した。

分野別にみても歯学部を除いて志願者が減少しており、

近年の医療系人気に翳りがみえる。

 医学科は、模試では比較的堅調な人気を示していたが、

志願者数は前年比 95%と減少した。今年のセンター試

験は、理系生にとって得点が取りやすい状況ではなかっ

たことも影響したと思われる。最終的には他系統へ志望

変更をした者も多かったのではなかろうか。

 医学科では志願動向に直結するような入試変更が行わ

れている。信州大では、「前期日程の2段階選抜導入」「後

期募集人員の前期へのシフト」「2次試験での理科増」

など多くの入試変更点があり、その動向が注目された。

志願者数は前期が約1割、後期は約7割の志願者減とな

った。後期日程の志願者減少は従前より予想されており、

近隣大への影響が懸念されたが、後期募集人員を増加さ

せた山梨大も警戒されたのか最終的な志願者数は前年を

下回った。後期日程で極端な志願者増となったのは鳥取

大(前年比 160%)のみで、全医学科で1割以上の志願

者減少となった。このほか、前・後期ともに2段階選抜

を導入した鹿児島大は両日程ともに志願者が半減した。

 人気低下が鮮明なのが「薬学部」である。前期日程で

は、実施 12 大学のうち志願者が増加したのは大阪大の

みであった。ここ数年人気をみせていた6年制課程で減

少率が高かった。冒頭で触れたとおり、中期日程のみの

実施となる岐阜薬科大、静岡県立大、名古屋市立大も志

願者減となった。複数の受験機会を活かすべく他地域か

らの受験者が多い3大学の志願者減少は、薬学部離れを

裏付けている。

 「看護」は前年比 100%となった。近隣に複数大学で

看護系学科が設置されているケースでは、前年の倍率が

低かった大学に志願者が集まる傾向があることから、激

しい隔年現象を起こす大学が多い。また、今春入試では、

センター試験の理科の科目指定が「理科①で受験可の大

学」と「理科②が必要な大学」に科目設定が分かれた。

こうした影響もあり、極端な志願者増減をみせた大学が

目立つ。地区別では四国地区、九州地区で志願者の減少

が目立った。

[芸術・スポーツ科学] 前期日程の志願者数は前年比 103%と増加した。

 芸術系の主な大学の状況をみると、東京芸術大は美術

学部が前年比 92%、音楽学部が前年比 93%といずれも

減少した。美術学部は 1997 年度の志願者数 6,925 人

をピークに減少が続いており、今春入試の志願者数は

2,736 人であった。その他の大学では比較的堅調に推移

している。筑波大(芸術)129%、金沢美術工芸大(美

術工芸(中期))102%、静岡文化芸術大(デザイン)

101%、愛知県立芸術大(音楽)102%、愛知県立芸術

大(美術(後期))99%、京都市立芸術大(美術)96%、

岡山県立大(デザイン)184%となった。岡山県立大は

センター試験の必要教科数が減少したことも増加の要因

だろう。公立大として初の入試となる長岡造形大(造形)

は、前期日程が志願者数 293 人(志願倍率 2.9 倍)、中

期日程が 322 人(志願倍率 10.7 倍)となった。

 「スポーツ・健康」分野は、筑波大(体育)110%、

鹿屋体育大(体育)98%となった。

Kawaijuku Guideline 2015.4・5 11

2015年度入試結果速報特集

 私立大入試について、現時点で志願者数が判明してい

る全国198大学の集計(3月6日現在、2期および夜間主・

2部は集計対象外)から検証する。なお、この198大学

の 2014 年度の志願者数合計は、全私立大志願者総数の

約8割となっており、今春入試の概観は現段階でも十分

に掴めるものと考える。

 198 大学の一般入試の志願者数は、全体で前年比101

%とわずかに増加した<図表 11 >。志願者が2%ほど減少した国公立大とは対照的である。国公立大で敬遠傾

向がみられた一方、私立大は手厚く受験するという動き

がみられた。今春入試も「一度の試験で複数学部・学科

への出願を認める」「複数方式に出願すると受験料を割引

く」といった一人あたりの出願校数を増やす仕組みを導

入する大学が増加したことも、私立大の総志願者数増加

につながった。

 入試方式別にみると、一般方式で前年比102%、セン

ター方式で同99%とセンター方式でわずかながら減少し

た。センター方式の志願者が減少するのはここ10年で

初めてである。センター方式の志願者減少は国公立大の

敬遠と同様にセンター試験の変更が影響しているようだ。

なお、難関大よりも比較的入りやすい中堅以下の大学で

センター方式敬遠の傾向が強く出ている。

 大学グループ別の志願状況では、「早慶上理」は前年

比100%となった。早稲田大、東京理科大はいずれも前

年比 98%とわずかに志願者が減少した。上智大ではTE

AP利用型入試の導入により、志願者は前年比111%と

大きく増加した。上智大はこれで4年連続の志願者増と

なる。慶應義塾大は志願者前年比102%と7年ぶりに増

加した。

 「MARCH」も前年比101%と前年並みであった。グ

ループ内では青山学院大、立教大で志願者が増加、法政

大、明治大で前年並みとなった。唯一志願者が減少した

のが中央大で、4年連続の志願者減となった。「日東駒専」

は志願者前年比107%と大きく増加した。ただし、4大

学すべてで志願者が増加したわけではなく、東洋大が前

年比139%と大きく志願者数を伸ばした影響である。東

洋大では受験料割引制度を拡大した。これまで割引制度

がなかったセンター方式で前年の1.8 倍の志願者を集め

た。「首都圏理系9大学」は前年比 103%と志願者が増

加した。このグループの志願者は7年連続の増加となっ

た。しかし、増加率は一時に比べ緩やかになっている。

一方、「成成明國武」では前年比105%と志願者が大きく

増加した。後ほど詳しく触れるが、今春は文系学部の人

気が回復しており、このグループの志願者増はこの動き

を象徴している。

 西に目を向けると、「関関同立」では4年ぶりに志願者

が減少し前年比 98%となった。立命館大、関西大の志願

者数は前年並みとなったものの、同志社大、関西学院大

で減少した。同志社大は5年ぶりの志願者減であるが、

関西学院大は2年連続の志願者減、ここ5年でみても志

願者数は最少となっている。「産近甲龍」は前年比103%

と増加した。なかでも農学部を新設、国際学部をキャン

パス移転した龍谷大で前年比 117%と大きく増加した。

昨年志願者数日本一だった近畿大は、1期入試のみの志

私立大志願者数は前年並みセンター方式はやや敬遠

<図表 11 >私立大 大学グループ別志願状況

大学グループ 一般方式 センター方式 合計'13 年度 '14 年度 '15 年度 15/14 '13 年度 '14 年度 '15 年度 15/14 '13 年度 '14 年度 '15 年度 15/14

198 大学計 1,593,510 1,613,201 1,642,148 102% 781,827 805,030 796,273 99% 2,375,337 2,418,231 2,438,421 101%

主な内訳

早慶上理 194,991 194,284 195,439 101% 31,873 33,372 33,193 99% 226,864 227,656 228,632 100%

MARCH 265,421 259,758 264,309 102% 142,148 131,250 130,034 99% 407,569 391,008 394,343 101%

日東駒専 127,716 128,350 128,891 100% 79,592 77,782 90,839 117% 207,308 206,132 219,730 107%

成成明國武 57,788 56,948 61,174 107% 33,032 35,486 35,581 100% 90,820 92,434 96,755 105%

首都圏理系 9 大学 102,192 106,958 112,467 105% 64,632 70,495 70,512 100% 166,824 177,453 182,979 103%

首都圏女子 13 大学 32,766 32,278 31,514 98% 23,656 24,359 22,740 93% 56,422 56,637 54,254 96%

関関同立 169,581 170,572 168,606 99% 77,332 79,010 76,095 96% 246,913 249,582 244,701 98%

産近甲龍 120,385 131,899 139,040 105% 40,820 46,079 43,742 95% 161,205 177,978 182,782 103%

上記以外の大学 522,670 532,154 540,708 102% 288,742 307,197 293,537 96% 811,412 839,351 834,245 99%

※数値は 3/6 現在、河合塾集計 ( 2期入試および夜間主・2部は集計対象外 )*大学グループ

早慶上理:早稲田・慶應義塾・上智・東京理科  MARCH:明治・青山学院・立教・中央・法政  日東駒専:日本・東洋・駒澤・専修成成明國武:成蹊・成城・明治学院・國學院・武蔵  首都圏理系 9 大学:芝浦工業・東京電機・千葉工業・工学院・東京工科・麻布・東京農業・神奈川工科・北里首都圏女子 13 大学:津田塾・東京女子・日本女子・大妻女子・学習院女子・共立女子・実践女子・昭和女子・聖心女子・白百合女子・清泉女子・東洋英和女学院・フェリス女学院関関同立:関西・関西学院・同志社・立命館  産近甲龍:京都産業・近畿・甲南・龍谷

Part 3|私立大学の志願状況

Kawaijuku Guideline 2015.4・512

受験生が多かったと推測する。「農」学系の志願者は前

年比 98%とやや減少した。今春、新設された龍谷大(農)

では3千人を超える志願者が集まったが、これを除くと

前年比 95%と「理」と同様、大きく減少している。

 医療系もここ数年高い人気を示していた学系であるが、

今春は状況が異なる。「医」では入学定員増を追い風に

2008 年度以降志願者の増加が続いていた。とくにここ

2年は志願者が大きく増加したが、今春は前年比 98%と

減少に転じた。一般方式の志願者数は前年並みを維持し

たものの、センター方式での志願者減少が顕著であった。

医学科では、一部を除き理科②2科目が必須であったこ

とも敬遠要因とみられる。近年の資格志向で人気復活が

感じられた「薬」もここ2年大きく志願者が増加してい

たが、今春は一転減少した。背景には志願者増で競争率

が上昇したことに加え、大学生の就職環境の改善も影響

したのではないか。受験生にとって薬剤師の資格がそれ

ほど魅力的に映らなくなったものと推測する。慶應義塾

大、東京理科大など難関大でも志願者の減少が目立った。

 「歯」は歯科医師の供給過剰予測から2000年代半ばか

ら長らく不人気であったが、2011年度から志願者が徐々

に増えている。とりわけ昨年は2割以上増加したが、そ

の動きは今春も継続した。もともと設置大学が少ないた

め、志願者の増減率は変動が大きくなりがちだが、難化

した医学科からの流入などもあり、人気となった。「看護」

では今春も多くの学部・学科が新設された影響もあり、

志願者前年比103%と増加した。しかし、志願者の分散

により、既存の学部・学科では志願者が減少したところ

もみられた。

願者数では明治大、早稲田大に続き、第3位となった。

しかし、近畿大は2期入試の募集区分が多く、今春も1

万7千人近い志願者が集まった。現時点では他大学の数

字が出揃ってはいないものの、志願者数日本一は今年も

近畿大になりそうである。

 <図表 12 >は学部系統別の志願動向である。私立大でもここ数年鮮明であった「文低理高」に変化が生じた。

 「文・人文」学系は前年比100%であったものの、「社会・

国際」同101%、「法・政治」同104%、「経済・経営・商」

同102%と社会科学系の系統では志願者が増加した。「文・

人文」学系でも文学系や文化・教養系の分野では志願者

が増加しており、長らく続いた文系学部の不人気は底を

打ったといえる。ただし、「法・政治」「経済」といった

分野では、増加の中心は中堅以下の大学や地方の大学で

あった。たとえば法学部では早稲田大で前年比101%と

なったものの、慶應義塾大で同98%、中央大で同 89%、

同志社大で同88%など、難関大では減少したところが目

立った。

 理系では系統により動向が異なった。「理」学系では前

年比 96%と志願者が大きく減少した。一方、「工」学系

では同102%と志願者増加が継続した。「理」は理系人

気の火付け役としてここ数年志願者の増加が続いていた

が、模試段階から志望者の減少が目立った。今春は新課

程入試移行への不安から、入試難易度が高めの「理」を

避け、幅広い入試難易度の大学がある「工」を志望する

※数値は 3/6 現在、河合塾集計 ( 2期入試および夜間主・2部は集計対象外 )

系統 一般方式 センター方式 合計'13 年度 '14 年度 '15 年度 15/14 '13 年度 '14 年度 '15 年度 15/14 '13 年度 '14 年度 '15 年度 15/14

文・人文 334,591 331,475 326,885 99% 157,835 158,598 161,765 102% 492,426 490,073 488,650 100%

社会・国際 148,374 147,909 151,649 103% 73,712 74,420 72,921 98% 222,086 222,329 224,570 101%

法・政治 135,094 129,100 132,042 102% 66,351 64,580 68,432 106% 201,445 193,680 200,474 104%

経済・経営・商 336,215 331,697 339,981 102% 144,176 145,645 147,335 101% 480,391 477,342 487,316 102%

理 70,794 72,101 71,127 99% 40,161 42,207 38,586 91% 110,955 114,308 109,713 96%

工 270,062 289,012 304,368 105% 164,530 175,633 171,386 98% 434,592 464,645 475,754 102%

農 54,877 58,413 59,952 103% 29,363 32,509 29,471 91% 84,240 90,922 89,423 98%

医・歯・薬・保健 108,149 118,183 117,770 100% 38,895 42,491 38,497 91% 147,044 160,674 156,267 97%

医 32,491 36,074 36,418 101% 8,228 9,589 8,535 89% 40,719 45,663 44,953 98%

歯 898 1,253 1,369 109% 470 496 698 141% 1,368 1,749 2,067 118%

薬 32,343 37,634 36,462 97% 13,861 15,840 13,873 88% 46,204 53,474 50,335 94%

看護 20,645 20,230 21,327 105% 6,946 7,066 6,715 95% 27,591 27,296 28,042 103%

医療技術・他 21,772 22,992 22,194 97% 9,390 9,500 8,676 91% 31,162 32,492 30,870 95%

生活科学 32,813 32,679 34,477 106% 14,151 15,197 15,099 99% 46,964 47,876 49,576 104%

芸術・スポーツ科学 44,510 44,051 43,249 98% 23,181 23,965 23,701 99% 67,691 68,016 66,950 98%

総合・環境・情報・人間 58,031 58,581 60,648 104% 29,472 29,785 29,080 98% 87,503 88,366 89,728 102%

私立 198 大学計 1,593,510 1,613,201 1,642,148 102% 781,827 805,030 796,273 99% 2,375,337 2,418,231 2,438,421 101%

<図表 12 >私立大 学部系統別志願状況

学部系統別の志願状況文系学部の人気回復

Kawaijuku Guideline 2015.4・5 13

2015年度入試結果速報特集

※数値は 3/6 現在、河合塾集計 ( 2期入試および夜間主・2部は集計対象外 )

大学名一般方式 センター方式 合計

'13 年度 '14 年度 '15 年度 15/14 '13 年度 '14 年度 '15 年度 15/14 '13 年度 '14 年度 '15 年度 15/14

北星学園 1,879 1,768 1,978 112% 844 1,036 1,022 99% 2,723 2,804 3,000 107%

北海学園 4,256 3,672 3,676 100% 1,677 2,096 2,094 100% 5,933 5,768 5,770 100%

東北学院 5,138 5,094 4,981 98% 3,036 3,296 2,973 90% 8,174 8,390 7,954 95%

青山学院 42,140 42,121 45,544 108% 14,423 13,772 14,194 103% 56,563 55,893 59,738 107%

学習院 13,666 14,453 11,798 82% − − − − 13,666 14,453 11,798 82%

北里 11,687 12,409 12,720 103% 5,595 6,182 4,574 74% 17,282 18,591 17,294 93%

慶應義塾 42,785 42,398 43,352 102% − − − − 42,785 42,398 43,352 102%

工学院 9,461 10,867 11,890 109% 4,375 4,887 4,752 97% 13,836 15,754 16,642 106%

國學院 14,412 12,668 13,191 104% 4,544 5,313 5,991 113% 18,956 17,981 19,182 107%

国際基督教 1,657 1,508 1,870 124% 708 − − − 2,365 1,508 1,870 124%

国士舘 8,686 8,137 8,815 108% 5,935 9,160 6,459 71% 14,621 17,297 15,274 88%

駒澤 19,049 20,597 19,311 94% 10,906 11,643 10,093 87% 29,955 32,240 29,404 91%

芝浦工業 18,368 19,226 20,054 104% 14,847 14,958 15,524 104% 33,215 34,184 35,578 104%

上智 26,566 28,523 31,740 111% − − − − 26,566 28,523 31,740 111%

成蹊 13,989 14,161 12,867 91% 7,837 8,863 8,111 92% 21,826 23,024 20,978 91%

成城 7,486 7,048 10,976 156% 6,281 5,971 6,409 107% 13,767 13,019 17,385 134%

専修 20,088 19,086 17,770 93% 11,012 11,310 10,673 94% 31,100 30,396 28,443 94%

大東文化 8,453 7,108 7,406 104% 5,371 5,513 5,756 104% 13,824 12,621 13,162 104%

中央 43,078 39,205 38,072 97% 38,635 32,712 30,975 95% 81,713 71,917 69,047 96%

津田塾 2,025 1,690 1,539 91% 2,203 1,973 2,151 109% 4,228 3,663 3,690 101%

東海 19,945 21,730 22,163 102% 18,071 17,734 14,915 84% 38,016 39,464 37,078 94%

東京経済 4,689 4,062 4,703 116% 4,964 4,910 5,438 111% 9,653 8,972 10,141 113%

東京女子 5,295 4,638 4,405 95% 3,836 3,558 4,090 115% 9,131 8,196 8,495 104%

東京電機 12,979 9,733 10,266 105% 9,200 8,404 8,025 95% 22,179 18,137 18,291 101%

東京都市 8,090 8,201 8,043 98% 7,534 7,662 6,539 85% 15,624 15,863 14,582 92%

東京農業 21,361 21,774 20,174 93% 9,527 10,341 9,032 87% 30,888 32,115 29,206 91%

東京理科 33,138 32,973 31,467 95% 17,607 18,338 18,579 101% 50,745 51,311 50,046 98%

東洋 35,238 30,311 33,624 111% 25,392 21,885 39,128 179% 60,630 52,196 72,752 139%

日本 53,341 58,356 58,186 100% 32,282 32,944 30,945 94% 85,623 91,300 89,131 98%

日本女子 6,977 6,640 5,982 90% 5,789 5,325 4,271 80% 12,766 11,965 10,253 86%

法政 59,715 64,023 65,007 102% 29,332 30,785 28,979 94% 89,047 94,808 93,986 99%

武蔵 8,890 8,918 10,453 117% 3,120 3,718 3,643 98% 12,010 12,636 14,096 112%

明治 77,746 73,908 73,688 100% 31,404 30,548 31,533 103% 109,150 104,456 105,221 101%

明治学院 13,011 14,153 13,687 97% 11,250 11,621 11,427 98% 24,261 25,774 25,114 97%

立教 42,742 40,501 41,998 104% 28,354 23,433 24,353 104% 71,096 63,934 66,351 104%

早稲田 92,502 90,390 88,880 98% 14,266 15,034 14,614 97% 106,768 105,424 103,494 98%

聖マリアンナ医科 3,143 3,503 3,473 99% − − − − 3,143 3,503 3,473 99%

愛知 11,446 11,343 10,768 95% 4,969 6,251 5,667 91% 16,415 17,594 16,435 93%

中京 15,456 14,604 15,558 107% 11,275 11,299 11,687 103% 26,731 25,903 27,245 105%

南山 14,197 13,281 13,085 99% 9,019 9,263 10,657 115% 23,216 22,544 23,742 105%

名城 17,533 18,778 20,115 107% 10,279 11,717 11,591 99% 27,812 30,495 31,706 104%

京都産業 18,080 22,385 19,182 86% 9,648 10,900 9,114 84% 27,728 33,285 28,296 85%

同志社 41,072 42,340 40,185 95% 10,274 10,604 9,184 87% 51,346 52,944 49,369 93%

立命館 41,659 42,072 43,923 104% 32,993 37,029 36,328 98% 74,652 79,101 80,251 101%

龍谷 25,406 26,814 32,736 122% 7,386 7,602 7,595 100% 32,792 34,416 40,331 117%

関西 57,673 57,133 57,116 100% 19,225 18,629 17,598 94% 76,898 75,762 74,714 99%

近畿 65,174 71,129 76,283 107% 16,817 19,944 20,473 103% 81,991 91,073 96,756 106%

関西学院 29,177 29,027 27,382 94% 14,840 12,748 12,985 102% 44,017 41,775 40,367 97%

甲南 11,725 11,571 10,839 94% 6,969 7,633 6,560 86% 18,694 19,204 17,399 91%

広島修道 4,888 4,618 4,081 88% 2,336 2,252 2,386 106% 7,224 6,870 6,467 94%

松山 5,547 5,144 5,629 109% 1,984 2,021 1,933 96% 7,531 7,165 7,562 106%

西南学院 12,969 12,013 11,857 99% 7,415 7,160 6,517 91% 20,384 19,173 18,374 96%

福岡 32,210 31,133 29,966 96% 11,799 13,887 12,599 91% 44,009 45,020 42,565 95%

<図表 13 >主要私立大 志願状況

Kawaijuku Guideline 2015.4・514

 次に各地区主要大の志願状況(判明分)をみてみる

<図表 13 >。いずれも3月6日までに判明した1期入試(2月実施)の集計である。

◆青山学院大学 大学全体の志願者数は前年比107%と増加した。過去

10年で最多の志願者数となった。地球社会共生学部を

新設した影響もあるが、既存学部も志願者が増加したと

ころが多く、大学として人気が上昇した。方式別にみて

も一般方式で前年比108%、センター方式で同103%と

いずれも増加しており、一般方式の志願者数は4万5千

人を超えた。

 志願者が増加したのは、文、教育人間科学、経済、社

会情報学部である。教育人間科学部の志願者数は前年比

121%と大きく上昇した。

 新設の地球社会共生学部には2,908 人の志願者が集ま

った。他の文系学部とは異なり相模原キャンパスに設置

されたが、人気の国際系学部であることから受験生の認

知度も高かったようである。

◆慶應義塾大学 大学全体の志願者数は前年比102%となった。7年ぶ

りの志願者増である。2008 年度をピークに以降続いて

いた志願者の減少が昨年、一昨年と小幅になり、下げ止

まり感が出ていたが、今春、いよいよ増加に転じた。

 今春は入試日の変更が最大のトピックである。文、法

学部を除く各学部で入試日が2~4日前倒しされた。こ

れにより国公立大の前期との日程が開いたことも志願者

増加の一因となったようだ。

 学部別にみると、志願者の増加が目立ったのは総合政

策、商、看護医療学部などである。いずれも昨年から1

割以上志願者が増加した。なかでも商学部は5年ぶりの

志願者増となる。商学部では一般入試の募集人員が減少

した(A方式 560 → 480 名、B方式 140 → 120 名)が、

影響はみられなかった。

 志願者が減少したのは、法、経済、薬学部である。薬

学部は昨年まで2年連続で志願者が増加していた反動も

あろう。法学部は志願者の減少が止まらず、過去十数年

で最少となった。

◆上智大学 志願者数は前年比111%と大きく増加した。4年連続

の志願者増である。今春、全学部でTEAP (アカデミ

ック英語能力判定試験)利用型入試を導入、志願者は全

学で9千人を超えた。TEAP利用型入試は一度の出願

で複数学科に出願可能であったこと、さらに複数学科に

出願する場合は受験料が割引になったことが、これだけ

の志願者数につながった。なお、TEAP利用型入試導

入の影響を受け、既存の一般方式では志願者数は前年の

8割程度にとどまった。

 学部別にみると、総合グローバル、理工学部で志願者

が減少した。新設2年目となる総合グローバル学部では、

昨年の人気の反動からか志願者は前年比 94%となった。

理工学部では、今春、A方式を廃止、一般方式はB方式

に一本化された。2方式の併願ができなくなったため、

今春の延べ志願者数が減少した。

 志願者が大きく増加したのは、文、総合人間科学、法、

経済の各学部である。文学部を除く3学部は昨年の志願

者減の反動もあろう。文学部は4年連続の志願者増と人

気を示している。総合人間科学部では学部全体の志願者

数は増加しているものの、開設5年目を迎える看護学科

では減少が続いており、今春は学科全体で5百人を下回

った。私立大看護系学部・学科は昨年、今春と新設が相

次いでおり、志願者の分散も無関係ではないだろう。

◆中央大学 今春の志願者数は大学全体で前年比96%となった。昨

春入試も前年から1割以上志願者が減少したが、減少に

歯止めが掛からず、これで4年連続の志願者減となる。

中央大では今春も学部・学科の新設や大きな入試変更な

どがなく、志願者増加につながる要因がなかったことも

影響していよう。方式別にみても一般方式で前年比 97%、

センター方式で同95%と、いずれも減少した。

 学部別にみても、文学部以外はいずれも減少した。文

学部は昨年志願者が2千人近く減少しており、その反動

もあろう。一方、法学部では昨年2割減、今春もさらに

1割減、経済学部では2年連続1割減と志願者の減少に

歯止めが掛からない状況だ。経済学部では慶應義塾大の

同系統学部と入試日がバッティングしたことも影響があ

りそうだ。

◆東京理科大学 大学全体の志願者数は前年比 98%。東京理科大では

ここ数年の志願者数は5万人前後で推移しており、今春

も変わりない。方式別には一般方式の志願者数が前年比

95%、センター方式が同101%と一般方式で減少した。

なお、センター方式ではセンター試験前に出願を締め切

ったA方式の志願者が前年比 93%と減少したのに対し、

2月中旬に締め切ったC方式では同135%と大きく増加、

対照的な動向となった。

 学部別にみると、建築、電気工、機械工の3学科で入

学定員が増員された工学部で3年連続の志願者増となっ

た。昨春入試で2割近く志願者が増加した経営学部は、

主要大学の志願状況

Kawaijuku Guideline 2015.4・5 15

2015年度入試結果速報特集

今春もその志願者数を維持した。経営学部は 2016 年度

に埼玉県の久喜キャンパスから東京の神楽坂キャンパス

に全面移転する。従来とは異なる受験者層が加わったの

かもしれない。

 理、理工、基礎工、薬の各学部では志願者が減少した。

理学部は一般方式で約1割減少した影響が大きい。一般

方式では数学、物理、化学の3学科の入試日が慶應義塾

大の理工学部と重なった。志願者が減少したのはこの3

学科であり、慶應義塾大の入試日変更の影響を受けたと

推測する。薬学部は志願者前年比 92%と、減少率が全

学部の中で最も高くなった。昨年までの4年間、毎年1

割近く志願者が増加していたが、5年ぶりの志願者減と

なった。

◆法政大学 大学全体の志願者は前年比 99%と前年並み。昨春は

3年ぶりに志願者数が9万人を超えたが、今春もその志

願者数を維持した。方式別にみると一般方式で前年比

102%、センター方式で同 94%と、センター方式で志願

者が減少した。

 今春は、グローバル教養学部と法学部で入学定員が増

員された。入学定員が 66→ 100 名と大きく増加したグ

ローバル教養学部では前年比 99%と前年並みにとどまっ

た。とくに一般方式では前年比 88%と志願者は減少し、

競争は緩和された。一方、法学部は前年比107%と志願

者が増加した。法学部では入学定員の増員とともにT日

程の入試科目が3教科から2教科に減った。このT日程

の志願者数のみでは前年比116%となった。なお、T日

程では社会学部でも科目減となり、こちらも前年比124

%と大きく増加した。

◆明治大学 大学全体の志願者数は前年比101%と前年並みであっ

た。方式別にみると、一般方式で前年比100%、センタ

ー方式で同103%と、センター方式で増加した。

 今春入試では募集区分の変更や入試方式の拡大など、

部分的ながらも入試動向に影響を与える変更があった。

これらの変更と志願動向を学部別にみていく。

 経営学部では学科別募集から学部一括募集に変更した。

このため、一般方式の志願者は前年比 90%と減少した。

一方、センター方式で3科目方式を導入した。この3科

目方式には従来からの4科目方式の2倍近い志願者が集

まった。

 理工学部では電気電子生命学科に生命理工学専攻が新

設されたが、この影響は小さかった。理工学部全体では

一般方式は前年比105%と志願者が増加したものの、セ

ンター方式では同91%と減少した。大学全体のセンター

方式の志願者数は増加したものの、理工学部のほか新設

2年目の総合数理学部(前年比 70%)、商学部(同81%)

などで減少率が高かった。商学部のセンター方式の理科

では理科①の利用が認められていなかった。なかでも6

科目方式では理科②1科目が必須となったため、志願者

数は昨年の半分以下となった。

◆立教大学 大学全体の志願者数は前年比104%と増加した。昨年

は志願者が約1割減となった反動もあるだろう。方式別

にみても、一般・センター方式ともに前年比104%とな

った。

 志願者の増加が目立ったのは文、現代心理、コミュニ

ティ福祉、経済学部である。文、現代心理、コミュニテ

ィ福祉学部は昨年志願者が大きく減少しており、その反

動が出た形だ。一方、経済学部は2年連続の志願者増で

ある。とくにセンター方式では今春は1千8百人増加し、

志願者数は5千人を超えた。

 志願者が減少したのは理学部である。学部全体で前年

から1割近く志願者が減少したが、とくにセンター方式

では前年比 82%と減少幅が大きかった。

◆早稲田大学 志願者数は約2千人減少し、前年比 98%となった。志

願者減少は8年連続である。ただし、ここ3年の減少数

は以前に比べ小幅になっており、そろそろ底がみえてき

たといえそうだ。方式別では、一般方式で前年比 98%、

センター方式で同97%といずれも減少した。

 学部別にみると、教育、国際教養、商学部などで志願

者が増加した。国際教養学部は昨春入試で1割以上志願

者を減らしており、増加したとはいえ一昨年の数までは

回復しなかった。教育学部は2年連続の志願者増となり、

志願者数は7年ぶりに1万4千人を超えた。教育学専攻

の各専修や社会科学科などで志願者が増加した。

 社会科学系の学部では動向が分かれた。社会科学(前

年比 95%)、政治経済(同96%)の2学部は前年に続き

志願者が減少した一方、法(同101%)、商(同102%)

では増加に転じた。なお、政治経済学部も学部全体の志

願者数は減少したものの経済学科では増加した。とくに

センター方式では前年比108%と増加が顕著だ。

 このほか志願者が減少したのは、文化構想、基幹理工、

スポーツ科学、人間科学部である。基幹理工学部は、昨

年は学科新設や募集体系の変更などで志願者数は5千人

に迫る勢いだった。今春はその反動からか志願者は減少、

一昨年並みに戻った。人間科学部では志願者は前年比

94%と減少した。こちらも昨年はセンター方式での新方

式導入などから志願者数は大きく増加していた。今春は

Kawaijuku Guideline 2015.4・516

センター方式で減少したほか、一般方式も3年連続の志

願者減となった。

◆同志社大学 大学全体の志願者数は前年比 93%と、5年ぶりに減少

に転じた。昨年は過去10年で最多の志願者数となったが、

今春は5万人に届かなかった。今春は学部の新設や大き

な入試変更もなく、近年の人気の反動がそのまま影響し

たようだ。方式別では、一般方式で前年比 95%、センタ

ー方式で同87%と、センター方式で減少率が高い。

 学部別にみると、志願者が増加したのは経済、文化情

報の2学部のみで、志願者が減少した学部が目立った。

とくに文、社会、法、商学部などで減少数が多かった。

法学部は3年連続の志願者減となった。対照的に経済学

部は3年連続の志願者増になり、2年前はほぼ同数だっ

た両学部の志願者数は、今春は1千3百人の差がついた。

社会、商学部では昨年までの2年間志願者が増加してお

り、その反動が出た形だ。

 理系の各学部では、理工学部で前年並みの志願者数と

なったものの、生命医科学部では前年比 76%と大幅に減

少した。とくにセンター方式の志願者は前年の6割以下

に落ち込んでいる。学科別にみると、一般・センター方

式ともに医工学科、医生命システム学科で志願者の減少

が目立った。一方、2学科に比べ難易度が低めの医情報

学科では大きな減少はみられず、入試難易度の高い学科

が敬遠された。理工学部でも比較的入試難易度が低い電

気工、電子工学科の志願者が増加した一方、入試難易度

が高い機能分子・生命化学科では減少しており、動向が

分かれた。

◆立命館大学 大学全体の志願者数は前年比101%となった。関関同

立の中で唯一志願者が増加した。2年連続の志願者増で、

今春は7年ぶりに8万人を超えた。方式別にみると、一

般方式で前年比104%、センター方式で同98%となった。

センター方式はやや減少したものの、昨春入試で1割以

上増加した志願者数をほぼ維持した。

 今春、大阪府に「大阪いばらきキャンパス」を設置し、

経営、政策科学の2学部を移転した。京都市内の衣笠キ

ャンパスから移転した政策科学部では前年並みの志願者

数にとどまったものの、滋賀県のびわこ・くさつキャン

パスから移転した経営学部では前年比120%と志願者が

大きく増加した。模試段階でも大阪や兵庫の志望者が増

加しており、キャンパス移転によって新たな受験者層を

掘り起こしたようである。

 薬学部では4年制の創薬科学科(入学定員 60名)を

新設した。新学科には450人の志願者が集まったが、一

方で既存の薬学科(6年制)の志願者が同程度減少し、

学部全体の志願者数は前年並みにとどまった。2学科の

入試は同日実施で併願できないため志願者は分散した。

なお、既存学科の入学定員(100 名)は保持されたため、

学部入学定員は増加、競争は緩和している。

◆関西大学 大学全体の志願者数は前年比 99%と前年並みとなっ

た。方式別にみると、一般方式で前年比100%、センタ

ー方式で同94%と、センター方式で減少した。

 学部別にみると、文、外国語、社会安全、法、政策創

造学部など、文系学部で志願者の増加が目立った。この

うち社会安全学部は2年連続の志願者増となった。2010

年度に新設された学部であるが、認知度上昇もあり志願

者数が初めて3千人を超えた。この1年日本各地で災害

に見舞われ、防災への関心が高まったことも一因といえ

そうだ。社会安全学部ではセンター方式(中期)で、個

別試験の数学を英語に変更した。一般方式では全学部日

程の2教科型の数学を必須から国語との選択に変更した。

どちらも数学が必須ではなくなり、入試科目の変更が志

願者増につながったものとみる。政策創造学部は近年隔

年現象を起こしている。志願者増減の幅が大きく、今春

は前年比141%となった。

 理工系学部では環境都市工学部で前年比110%となっ

たものの、システム理工(同94%)、化学生命工(同85%)

の2学部は志願者が減少した。理工系では理学系から工

学系へ人気が移っており、とくに建築・土木などの分野が

人気となっている。この動きを象徴する動向となった。

◆関西学院大学 大学全体の志願者は前年比 97%、2年連続の志願者

減である。過去 10年で最少の志願者数となった。方式

別では、一般方式で前年比 94%、センター方式で同102

%と、一般方式で減少した。

 学部別にみると、文、教育、社会、法、総合政策、経

済学部などで志願者の減少が目立つ。法、総合政策は昨

年志願者が増加しており、その反動もありそうだが、そ

の他の学部は2年または3年連続の志願者減となってい

る。一方、理工学部の志願者は前年比118%と増加した。

理工学部では学科の新設・改組により入学定員が

460→ 700 名に大きく増加した。新設された先進エネル

ギーナノ工学科、環境・応用化学科には一般・センター

方式合わせて1千4百人近い志願者が集まった。

*    *    *

 次号ガイドライン6月号では、合格者数も含めた入試

結果や難易動向など 2015 年度の入試総括レポートをお

届けする予定である。