2017・18年度内外経済見通し...見通しのポイント 1...

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Copyright Mizuho Research Institute Ltd. All Rights Reserved. 2017・18年度 内外経済見通し ~世界経済は2018年にかけて拡大基調を維持 ~ 2017.11.16

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2017・18年度 内外経済見通し

~世界経済は2018年にかけて拡大基調を維持 ~

2017.11.16

見通しのポイント

1

○ 世界経済は2018年にかけて拡大基調を維持。中国経済は減速するも、潜在成長率を上回る

先進国経済や資源国の回復、アジアではASEANの内需やインドの持ち直しなどが下支え

○ 7~9月期の成長率は主要国で低下するも、総じて堅調でグローバル経済は良好。景気拡大

が株高につながり、株高が経済にも恩恵をもたらす好循環。ただし、米株調整リスクには留意

○世界の半導体売上は増加傾向。サーバー向けなど新たな用途による需要が堅調で、グロー

バルなIT需要は当面底堅く推移

○ リスク要因は、北朝鮮有事や欧州政治の混乱。北朝鮮情勢の悪化は円高リスクを高めると共

に、仮に有事の事態になればサプライチェーンを通じた世界経済の下押し要因に

○日本の衆院選は与党圧勝、アベノミクス継続で人づくり革命など与党が掲げた政策が具体化

へ。幼児教育無償化は妥当な政策だが、この機会に幼児教育の制度や質を変えるべき

○ 2017年度の日本経済は内外需バランスの取れた景気回復に。2018年度は輸出が減速するも

のの、内需が堅調に推移し、潜在成長率上回る成長維持でバブル崩壊からの出口を視野に

○日本のコアインフレ率は、エネルギー価格の前年比プラス幅が拡大し、一時的に1%弱に。

一方、エネルギー価格の影響を除く基調的なインフレ率は、緩やかな改善にとどまる

《 構 成 》

2

Ⅰ.全体概要 P 3

Ⅱ.海外経済 P 25

(1)米国経済 P 26

(2)ユーロ圏経済 P 35

(3)アジア経済 P 41

Ⅲ.日本経済 P 48

Ⅳ.金融市場 P 61

Ⅰ.全体概要

3

~世界経済は堅調地合い継続~

(1)見通し概要~ 2018年にかけて世界経済は堅調地合いが継続

4

◯ 予測対象地域計の成長率は、2018年に向けて拡大基調を見込むが、中国経済減速の影響や地政学的リスクには留意

‧ 成長率は足元の景気動向を受けて、ユーロ圏やアジア、ブラジルなどを上方修正、世界全体も2018年を小幅上方修正

【 世界経済見通し総括表 】

(注)予測対象地域計はIMFによる2015年GDPシェア(PPP)により計算。(資料)IMF、各国・地域統計より、みずほ総合研究所作成

(前年比、%) (前年比、%) (%ポイント)

暦年 2015年 2016年 2017年 2018年 2017年 2018年 2017年 2018年

(実績) (実績) (予測) (予測)

予測対象地域計 3.5 3.4 3.8 3.9 3.8 3.8 - 0.1

日米ユーロ圏 2.3 1.5 2.1 2.0 2.1 1.9 - 0.1

米国 2.9 1.5 2.2 2.2 2.2 2.2 - -

ユーロ圏 2.1 1.8 2.3 1.9 2.2 1.8 0.1 0.1

日本 1.1 1.0 1.5 1.4 1.4 1.4 0.1 -

アジア 6.2 6.2 6.1 6.0 6.0 6.0 0.1 -

中国 6.9 6.7 6.8 6.4 6.8 6.4 - -

NIEs 2.0 2.3 3.0 2.5 2.6 2.4 0.4 0.1

ASEAN5 4.8 4.9 5.2 5.2 5.1 5.1 0.1 0.1

インド 7.5 7.9 6.6 7.3 6.6 7.3 - -

オーストラリア 2.4 2.5 2.3 2.8 2.3 2.8 - -

ブラジル ▲ 3.8 ▲ 3.6 0.7 2.0 0.6 1.9 0.1 0.1

メキシコ 3.3 2.9 2.0 2.0 2.0 2.1 - ▲ 0.1

ロシア ▲ 2.8 ▲ 0.2 1.5 1.5 1.0 1.5 0.5 -

日本(年度) 1.3 1.3 1.5 1.2 1.5 1.2 - -

原油価格(WTI,$/bbl) 49 43 51 59 49 51 2 8

(9月予測からの修正幅)(9月予測)

日本:2017年度の成長率は+1.5%、2018年度は+1.2%と予測

5

◯ 2017年度の成長率は+1.5%に上昇(9月予測から変わらず。内需の下振れを外需の上振れが相殺)

‧ 海外経済の回復や国内在庫循環の改善、五輪・生産性向上などに関連する投資の増加、経済対策の進捗などが押し

上げ要因。ただし、中国経済の下振れや、北朝鮮を巡る地政学的リスクには引き続き注意

◯ 2018年度の成長率は+1.2% (9月予測から変わらず) 。外需は減速するものの、内需が堅調に推移

(注)網掛けは予測値。(資料)内閣府「四半期別GDP速報」より、みずほ総合研究所作成

【 日本経済見通し総括表 】

2015 2016 2017 2018

年度 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3

実質GDP 前期比、% 1.3 1.3 1.5 1.2 0.2 0.4 0.3 0.6 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.2 0.3

前期比年率、% -- -- -- -- 0.9 1.6 1.0 2.6 1.4 1.1 1.3 1.3 1.3 0.9 1.3

内需 前期比、% 1.2 0.5 1.2 1.2 ▲ 0.1 0.1 0.1 0.9 ▲ 0.2 0.3 0.3 0.4 0.3 0.3 0.4

民需 前期比、% 1.2 0.8 1.2 1.3 ▲ 0.2 0.3 0.2 0.7 0.0 0.4 0.4 0.4 0.3 0.3 0.4

個人消費 前期比、% 0.6 0.7 0.9 0.8 0.4 0.1 0.4 0.7 ▲ 0.5 0.2 0.2 0.3 0.3 0.3 0.3

住宅投資 前期比、% 2.8 6.6 1.8 ▲ 0.9 2.9 0.3 0.9 1.1 ▲ 0.9 ▲ 0.1 ▲ 0.8 ▲ 0.2 ▲ 0.3 0.5 0.1

設備投資 前期比、% 0.6 2.5 2.9 2.8 ▲ 0.1 1.9 0.5 0.5 0.2 1.3 1.3 0.5 0.5 0.4 0.4

在庫投資 前期比寄与度、%Pt 0.4 ▲ 0.4 ▲ 0.1 0.1 ▲ 0.5 ▲ 0.2 ▲ 0.2 0.0 0.2 0.0 ▲ 0.1 0.1 0.0 0.0 0.1

公需 前期比、% 1.2 ▲ 0.4 1.1 1.0 0.2 ▲ 0.5 0.0 1.6 ▲ 0.6 0.1 0.2 0.4 0.4 0.3 0.3

政府消費 前期比、% 2.0 0.4 0.7 1.1 0.3 0.0 ▲ 0.0 0.6 ▲ 0.1 0.2 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3

公共投資 前期比、% ▲ 1.9 ▲ 3.2 2.5 0.7 ▲ 0.4 ▲ 2.7 0.1 5.8 ▲ 2.5 ▲ 0.4 0.0 0.7 0.7 0.1 0.3

外需 前期比寄与度、%Pt 0.1 0.8 0.4 0.0 0.4 0.3 0.1 ▲ 0.2 0.5 ▲ 0.1 ▲ 0.0 ▲ 0.0 ▲ 0.0 ▲ 0.1 ▲ 0.1

輸出 前期比、% 0.7 3.2 4.8 2.0 2.1 3.0 1.9 ▲ 0.2 1.5 0.7 0.3 0.6 0.5 0.2 0.0

輸入 前期比、% 0.2 ▲ 1.3 2.5 2.1 0.1 1.2 1.4 1.4 ▲ 1.6 1.1 0.4 0.8 0.7 0.6 0.4

名目GDP 前期比、% 2.7 1.1 1.5 1.1 0.0 0.5 ▲ 0.0 0.6 0.6 0.2 0.2 0.1 0.4 0.5 0.3

GDPデフレーター 前年比、% 1.5 ▲ 0.2 ▲ 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.0 ▲ 0.8 ▲ 0.4 0.1 ▲ 0.1 0.2 ▲ 0.2 ▲ 0.3 ▲ 0.0 0.0

内需デフレーター 前年比、% 0.0 ▲ 0.4 0.5 0.4 ▲ 0.8 ▲ 0.3 0.0 0.3 0.5 0.4 0.6 0.4 0.5 0.4 0.3

2016 2017 2018 2019

日本:食料・エネルギーを除く消費者物価の基調は0%台前半の伸びにとどまる

6

(注)1.網掛けは予測値。実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。2.経常利益は法人企業統計の全規模・全産業ベース(金融・保険、電気業を除く)。3.完全失業率、新設住宅着工戸数、経常収支の四半期は季節調整値。4.金融関連の指標について、無担保コール翌日物金利は期末値、新発10年国債利回りは月末値の期中平均値、その他は期中平均値。

(資料)内閣府「四半期別GDP速報」、経済産業省「鉱工業指数」、財務省「法人企業統計季報」、総務省「労働力調査」、「消費者物価指数」、国土交通省「建築着工統計調査報告」、日本銀行「国際収支」、「企業物価指数」、「金融経済統計月報」、「外国為替相場」、日本相互証券㈱「主要レート推移」、日本経済新聞、Bloombergより、みずほ総合研究所作成

【 日本経済見通し総括表(主要経済指標) 】

2015 2016 2017 2018

年度 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3

鉱工業生産 前期比、% ▲ 0.9 1.1 4.5 1.9 1.6 1.8 0.2 2.1 0.4 1.3 0.3 0.4 0.3 0.3 0.2

10.0 11.2 11.5 5.7(7.3) (13.9) (▲5.8) (18.2)

名目雇用者報酬 前年比、% 1.5 2.0 2.1 2.0 2.3 2.2 1.0 2.1 2.1 2.4 1.9 2.0 1.9 2.1 2.0

完全失業率 % 3.3 3.0 2.8 2.8 3.0 3.1 2.9 2.9 2.8 2.8 2.8 2.8 2.8 2.8 2.8

新設住宅着工戸数 年率換算、万戸 92.1 97.4 96.0 93.7 98.0 95.3 97.5 100.2 95.6 94.6 93.6 92.2 92.0 94.2 97.0

経常収支 年率換算、兆円 17.9 20.4 22.4 20.0 19.4 20.6 21.7 19.1 24.5 21.4 24.1 19.8 16.9 19.4 23.3

国内企業物価 前年比、% ▲ 3.3 ▲ 2.3 2.6 1.8 ▲ 3.8 ▲ 2.1 1.0 2.1 2.9 3.1 2.4 2.0 2.5 1.9 1.0

消費者物価(除く生鮮食品) 前年比、% ▲ 0.0 ▲ 0.2 0.7 1.0 ▲ 0.5 ▲ 0.3 0.2 0.4 0.6 0.9 1.0 1.0 1.1 1.0 0.9

前年比、% 0.9 0.3 0.2 0.5 0.4 0.2 0.1 0.0 0.2 0.3 0.4 0.4 0.5 0.5 0.5

前年比、% 0.6 0.2 0.0 0.3 0.2 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.2 ▲ 0.1 0.1 0.2 0.2 0.3 0.3 0.4

無担保コール翌日物金利 % ▲ 0.00 ▲ 0.06 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.06 ▲ 0.06 ▲ 0.06 ▲ 0.07 ▲ 0.06 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05

新発10年国債利回り % 0.29 ▲ 0.05 0.05 0.05 ▲ 0.13 ▲ 0.01 0.07 0.04 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05

日経平均株価 円 18,841 17,520 21,000 23,100 16,497 17,933 19,241 19,503 19,880 22,000 22,600 22,800 23,000 23,200 23,500

対ドル為替相場 円/ドル 120 108 112 115 102 110 114 111 111 113 114 115 115 115 115

WTI原油先物最期近物 ドル/バレル 45 48 52 60 45 49 52 48 48 56 55 58 63 61 57

20172016

消費者物価(除く食料(酒類除く)

 及びエネルギー)

経常利益(下段:特殊要因除く)

前年比、% 4.9 3.3

消費者物価(除く生鮮食品

 及びエネルギー)

6.316.9 26.6 22.6 10.4

2019

2.14.5 4.4 2.4

2018

(2) 世界経済の全体観~ グローバル経済は引き続き良好

7

◯ 世界経済は先進国主導で改善、製造業の景況感は2011年以来の水準に回復

‧ 7~9月期の実質GDP成長率は、日米欧中など主要国がそろって低下するも、総じて堅調さを維持

‧ 経済政策不確実性指数は米欧中ともに低下基調となっており、政治リスクの後退も株高などを通じて各国経済を下支え

――― ただし、北朝鮮などの地政学的リスクや欧州における政治混乱リスクなどの火種は残存、警戒は必要

【 グローバル製造業PMI 】

(資料) Markitより、みずほ総合研究所作成

【 経済政策不確実性指数 】

(資料) Economic Policy Uncertaintyより、みずほ総合研究所作成

0

100

200

300

400

500

600

700

2011 12 13 14 15 16 17

米国

欧州

中国

(Pt)

(年)48

50

52

54

56

58

2010 11 12 13 14 15 16 17

世界

先進国

新興国

(Pt)

拡張

景気

縮小 (年)

世界指数は

2011年以来

の水準に

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

20

25

30

15/1 15/5 15/9 16/1 16/5 16/9 17/1 17/5

価格要因 数量要因 名目伸び率

(前年比、%)

(年/月)

世界の半導体売上は引き続き増加傾向

8

◯ 世界半導体売上高は足元まで増加傾向が継続。当面は底堅く推移すると予想

‧ サーバー向けなど新たな用途による需要が堅調

‧ 先行きについては、供給能力の拡充による価格下落により、2018年後半から名目売上高の減速感が強まるリスク

しかし、サーバー向けなどの需要増加により、実質ベースでは底堅く推移する

―― iPhoneⅩには一部部品に供給能力の制約があるため、スマホ向け需要は緩やかに持ち直し

0

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40

60

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100

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140

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180

90 91 92 94 95 96 98 99 00 02 03 04 06 07 08 10 11 12 14 15 16

名目 実質

(2010年=100)

(年)

【 世界半導体売上高 】

(注)左図はみずほ総合研究所による実質化、および季節調整値。右図はみずほ総合研究所による実質化。(資料)CEIC Data、Datastreamより、みずほ総合研究所作成

高水準の伸び率を維持

業績改善を背景にグローバルな株高が継続、株高が経済にも恩恵をもたらす好循環に

9

◯ グローバルに株高が継続。特に新興国と米国の上昇が顕著。日本株は出遅れていたが、9月以降急速に取り戻す展開

◯ 株高の主因は、世界景気の回復基調を受けた企業業績の改善。改善基調は継続

80

90

100

110

120

16/1 16/4 16/7 16/10 17/1 17/4 17/7 17/10

TOPIXS&P500ストックス・ヨーロッパ600MSCIエマージング

(2015年末=100)

(年/月)

【 2017年に史上最高値を更新した国 】 【 主要株価指数の予想EPS(12カ月先)の推移 】

(資料)Datastreamより、みずほ総合研究所作成

(注)1.Bloombergで取得可能な期間における終値を使用。2017年11月8日時点。2.先進国・新興国の別はIMF、新興国の地域は外務省の分類による。

(資料)Bloomberg、IMF、外務省より、みずほ総合研究所作成

国 国

米国 バングラデシュ

カナダ パキスタン

英国 インド

ドイツ インドネシア

ノルウェー フィリピン

デンマーク メキシコ

エストニア コスタリカ

ラトビア アルゼンチン

リトアニア チリ

韓国 ジャマイカ

ニュージーランド ベネズエラ

ブラジル

ロシア 南アフリカ

ハンガリー エジプト

中東 トルコ モーリシャス

ガーナ

チュニジア

先進国

新興国

新興国

アジア

中南米

アフリカ

欧州

世界的にGDP比の時価総額はバブル期の水準近くに。米国株は特に割高感

10

◯ GDP比で見た時価総額は世界的にリーマン・ショック前を超え、米国は徐々にITバブル期の水準、日本も80年代後半の

水準に近づきつつある状況

◯ 米国株は、特にバリュエーション面で割高感が目立つ。低金利環境に支えられており、金利の大幅な上昇はリスク要因

0

20

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100

120

140

160

180

200

1980 85 90 95 2000 05 10 15

米国

世界

日本

(%)

(年)

【 主要株価指数のバリュエーション比較 】

(注)予想PERと予想PBRは12カ月先。11月3日時点。(資料)Datastream、Bloomnergより、みずほ総合研究所作成

【 時価総額のGDPに対する比率 】

(注)2017年の時価総額は10月末時点の数値、GDPはIMF予測値で試算。(資料)WFE、Bloomberg、東京証券取引所、IMF、内閣府より、みずほ総合研究所作成

米国株はGDP比でITバブル期に近づきつつある状況

株価指数年初来騰落率(%)

予想PER(倍)

予想PBR(倍)

TOPIX 18.1 14.8 1.3

S&P500 15.6 18.1 3.0

ストックス・ヨーロッパ600 9.6 15.2 1.8

MSCIエマージング 30.6 12.6 1.6

グローバル比較でも米国株に割高感

11

日米欧で物価動向の弱さが続くなか、金利は上昇せず

◯ 日米欧では物価動向が弱く、長期金利は低水準が継続

‧ 日米欧の物価動向は弱く、期待インフレ率が高まりづらい状況が継続

‧ 米国では利上げ・再投資政策の縮小、欧州では金融緩和の縮小が進んでいるものの、日米欧長期金利は低水準のまま

(注)長期金利は各国10年国債利回り、欧州はドイツ。物価は、日本は消費増税調整済生鮮食品を除く総合、米国はPCEデフレーター、欧州はコアCPI。(資料)Bloomberg、総務省、米商務省、Eurostatより、みずほ総合研究所作成

【 日米独の長期金利と物価 】

日本 米国 欧州

▲3

▲2

▲1

0

1

2

3

4

5

6

7

00 02 04 06 08 10 12 14 16

(%)

(年)

長期金利

物価

▲3

▲2

▲1

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2

3

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7

00 02 04 06 08 10 12 14 16

(%)

(年)

長期金利

物価

▲3

▲2

▲1

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2

3

4

5

6

7

00 02 04 06 08 10 12 14 16

(%)

(年)

長期金利

物価

(3) 衆院選は与党圧勝~ 自公が3分の2超の議席を確保、野党第1党に立憲民主

12

◯ 自民・公明の連立与党が公示前に続き3分の2超の議席(313議席)を確保。11月1日に第4次安倍内閣発足(全閣僚再任)

‧ 自民は単独で絶対安定多数(261議席)を上回る議席(284議席)を獲得*絶対安定多数:衆院の17の常任委員会の委員長を独占し、かつ、委員の過半数を占めることができる議席数

‧ 希望が議席減となる一方、立憲民主が躍進したため、野党第1党は立憲民主に

3分の2:310議席

3分の2:162議席

衆院定数 465

自民党284

立憲民主党55

希望の党51

無所属 6

共産党 12

日本維新の会 11

社民党 2

公明党29

無所属の会 13

自由党 2

参院定数 242

自由・社民 6

無所属 3

日本維新の会11

自民・こころ126

公明党 25民進・新緑風会

48

共産党 14諸派 4無所属クラブ 2

希望の党 3

(注) 衆院は立憲民主党は「立憲民主党・市民クラブ」、希望の党は「希望の党・無所属クラブ」、社民党は「社民党・市民連合」。参院の「諸派」は「無所属クラブ」2議席、「沖縄の風」2議席。両院とも正副議長は出身政党に含む。

(資料)衆議院「会派名及び会派別所属議員数(平成29年11月1日現在)」、参議院「会派別所属議員数一覧」(平成29年10月31日現在)より、みずほ総合研究所作成

【 特別国会開会時の衆参両院会派別議席数 】 【 憲法改正の流れ 】

(資料)総務省「国民投票制度」より、みずほ総合研究所作成

長期政権への道 : 2020年代も視野に入れた政策課題への対応が重要に

13

◯ 衆院選での与党勝利により、安倍政権は引き続き安定的に政策を推進できる基盤を確保。中期的展望が可能に

‧ 安倍首相は、2018年の自由民主党総裁選で再選されれば、明治以降の最長政権を担うことになる可能性

◯ 経済の再生を着実に進めつつ、2019年のG20日本開催、2020年の東京五輪開催に万全の態勢で臨めるかが焦点に

‧ 消費税率の10%への引き上げを含め、2020年代を視野に入れた中長期的政策課題への対応も重要テーマに

◯ 新たに立党した立憲民主党、希望の党をはじめ野党の動きも注目材料。改憲論議も絡み、政治情勢は野党の再編含み

で先行き見通しにくい状況が継続か

【 政治・政策等の中期的な主要スケジュール 】

(資料) みずほ総合研究所作成

改元 G20

参院選(7月)

衆議院選挙

自民党総裁選

地方選挙

経済政策

イベント等

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2021年

参議院選挙 参院選(夏)

衆院選(10月)

総裁選(9月) 総裁選(9月)

統一地方選(4月) 統一地方選(春)都知事選挙(7月)

一億総活躍プラン(6月)

消費増税(10月)

戦後70年 伊勢志摩サミット

任期満了(秋)

黒田日銀総裁任期満了(4月)

2020年

東京五輪

財政健全化目標期限

働き方改革実行計画(3月)

明治維新150年

衆院選(?)

都知事選挙

総裁選(9月)

東日本大震災10年

長期政権への道: 政権長期化で主要国首脳と肩を並べる

14

◯ 政権が2020年を超えて継続する見通しとなり、主要国首脳とともに中期的な政策課題に対応することが可能に

‧ 安倍首相の通算在職期間は、明治以降の歴代首相中第5位であり、戦後に限れば佐藤・吉田両首相に次ぐ長さ。来年の

自民党総裁選で3選されて任期を全うすれば、歴代最長の政権となる

‧ 主要国の首脳も今年から2020年を超えた任期を有しており、腰を据えた協力関係の構築が期待される

2017 2018 2019 2020 2021 2022

日本 安倍晋三首相10月衆院選

9月 自民党総裁選

夏参院選

9月 自民党総裁選

米国 トランプ大統領 1月就任11月大統領選

中国 習近平国家主席10月 共産党大会

共産党大会

英国 メイ首相6月総選挙

総選挙

ドイツ メルケル首相9月議会選

議会選

フランス マクロン大統領5月大統領選

大統領選

ロシア プーチン大統領3月大統領選

2024年大統領選

【 明治以降の歴代首相の在職期間(上位10人) 】 【 主要国首脳の任期 】

(注)2017年11月16日時点、敬称略。表の点線部分は、安倍首相が2018年9月の自民党総裁選で3選され、2021年9月末まで任期を満了した場合の通算在職日数。

(資料)首相官邸ホームページより、みずほ総合研究所作成

氏 名最初の就任日

最終の退任日

通算在職日数

組閣回数

安倍晋三 2006.09.26 2021.09.30 3,567 (4次)

1 桂 太郎 1901.06.02 1913.02.20 2,886 (3次)

2 佐藤榮作 1964.11.09 1972.07.07 2,798 (3次)

3 伊藤博文 1885.12.22 1901.05.10 2,720 (4次)

4 吉田 茂 1946.05.22 1954.12.10 2,616 (5次)

5 安倍晋三 2006.09.26 (在職中) 2,153 (4次)

6 小泉純一郎 2001.04.26 2006.09.26 1,980 (3次)

7 中曽根康弘 1982.11.27 1987.11.06 1,806 (3次)

8 池田勇人 1960.07.19 1964.11.09 1,575 (3次)

9 西園寺公望 1906.01.07 1912.12.21 1,400 (2次)

10 岸 信介 1957.02.25 1960.07.19 1,241 (2次)

(資料)みずほ総合研究所作成

人づくり革命:幼児教育無償化自体は妥当な政策

15

◯ 政府は消費税の使途を見直し、増収約2兆円分を教育無償化の財源に

◯ 幼児教育無償化自体は妥当な政策。ただし、教育の質を高めることがより重要(次頁)

‧ 子供1人当りの支出をみると、日本は初等~高等教育に対する支出は多いが、幼児教育に対してはOECD平均以下

‧ 子育てにかかる経済的負担でみても、日本は教育費にかかる負担の割合が大きい

0

5

10

15

20

25

30

35

40幼児教育に対する支出

初等~高等教育に対する支出

(%)

【 子供1人当りに対する支出の国際比較(1人当りGDP比) 】 【子育てにかかる経済的負担の内訳】

(注)各国で経済的負担に関するアンケートを取り、各国の上位1~5位の内訳を並べ表にしたものである(2015年度時点)。

(資料)内閣府「平成27年度調査 少子化社会に関する国際意識調査報告書」より、みずほ総合研究所作成

(注)データは2013年のもの。(資料)OECD "Education at a Glance (2016)"、OECD.Statより、みずほ総合研究所作成

日本はOECD諸国で低め

日本 フランス スウェーデン イギリス

1学習塾など学校以外の教育費

衣服費学習塾以外の習い事の費用

衣服費

2保育にかかる費用

学習塾以外の習い事の費用

衣服費保育にかかる費用

3 学校教育費レジャー、レクリエーション費

レジャー、レクリエーション費

食費

4学習塾以外の習い事の費用

食費通信費(携帯電話の費用など)

レジャー、レクリエーション費

5 食費保育にかかる費用

保育にかかる費用

学校教育費

人づくり革命:0~2歳教育の重要性、幼児教育の制度や質を変えるべき

16

◯ 幼児期の非認知的能力(感情コントロールや社交能力など)向上を中心に、教育の質を高めることが重要

‧ 幼児期の非認知的能力向上は、その後もキャッチアップしづらく、長期的な効果があると分析されている。一方、認知的能

力については、幼児期に高めても、小学校入学以降にキャッチアップ可能

‧ 特に感情コントロール能力は、0~2歳が最も発達する時期

◯ 北欧では0~1歳で幼児教育が開始される。一方、日本の場合、0~2歳児の参加率は約26%(OECD平均は約33%)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

0 1 2 3 4 5 6 7

脳の感受性

年齢

感情コントロール能力基礎的計算能力仲間との社交能力

【幼少期の年齢に伴う脳の感受性の変化】 【北欧各国の幼児教育制度及び特徴】

(資料)OECD(2015)"Starting Strong Ⅳ"より、みずほ総合研究所作成

(注)原文では、"Day care"、"Early childhood care and education"、"Pre-school"、"Pre-primaryeducation"、 "Kindergarten"と言葉を使い分けて説明している。ここでは、 "Day care"を「保育」、"Early childhood care and education"を「幼児教育」、"Pre-school"と"Pre-primary education"を「就学前教育」、"Kindergarten"を「幼稚園」と訳している。

(資料)OECDなどより、みずほ総合研究所作成

幼児期に急速に低下

ノルウェーOECD加盟国の中で、幼児教育への公的支出が最も高い。1~5歳までの子供は幼稚園に入る。幼児教育における先生の男女比率では、女性が圧倒的に割合を占めている。

スウェーデン幼児教育の対象は1~5歳。教育課程では、異なる文化背景や言語の認識を重要視。6歳になると、幼稚園から小学校へのスムーズな移行をねらいとする専用の就学前教育がある。

デンマーク

生後26週目から義務教育が開始する6歳までの全ての子供に、保育を受ける権利がある。2歳までは公営又は私営の託児所やベビーシッター、3歳から5歳は幼稚園やベビーシッターといった形で昼間に子供を預ける制度になっている。

フィンランド

0~6歳までの全ての子供が幼児教育の対象。3歳未満は幼児教育発達プログラム、3~6歳の子供には就学前教育プログラムを受ける権利がある。フィンランドでは子供の発達において、読み書き・基礎的計算能力だけでなく、非認知能力を強く重要視している。

(4)北朝鮮リスク ~ 「北朝鮮リスク指数」は第1・2次核危機時を大きく上回る水準

17

◯ みずほ総合研究所にて試算している「北朝鮮リスク指数」は、8月にこれまでの過去最高(第1次核危機時の94年7月)を

更新。さらに、9月には北朝鮮が核実験に踏み切ったことなどから、リスク指数はこれまでのピークの2倍近い水準に上昇

【 北朝鮮リスク指数(みずほ総研作成) 】

(注)1.①「北朝鮮」という用語を含み、かつ②「「安全保障 」または「核」または「ミサイル」」という用語を含み、かつ③「「不透明」または「不確実」または「リスク」」という用語を含む、という条件に該当する記事件数を集計。

2.集計対象は朝日、産経、日経、毎日、読売。(資料)みずほ総合研究所作成

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15 17

(全平均=100)

協議再開直後に金日成死去

(94年7月8日)

[第1次核危機] [第2次核危機]

IAEA査察一部拒否(94年3月3日)

「ソウルは火の海」発言(3月19日)

⇒米国が軍事行動検討(~5月)

第1回核実験(10月9日)

ミサイル7発発射

(06年7月5日)

第6回核実験(9月3日)など

火星12型発射実験(8月29日)など

過去最高更新

(年)

北朝鮮リスク:最も増価しやすいのは円

18

◯ 北朝鮮情勢が悪化すると、日本円が上昇しやすい構図

‧ 関連する重要なニュースが生じた日の金融市場では「北朝鮮ショック」の重みが相対的に高まると仮定してその影響を

抽出すると、主要通貨の中で円が最も増価しやすい計算

――― 一方で、国債利回りの低下(とそれによる景気刺激効果)は限定的

▲0.06

▲0.05

▲0.04

▲0.03

▲0.02

▲0.01

0.00

2年 5年 10年 2年 5年 10年

日本 米国

(%)

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

円 スイス

フラン

ドル ウォン ユーロ ポンド

(%)

【 北朝鮮リスクの金融市場への影響 】(金価格が1%上昇するような北朝鮮ショックが生じたときの影響)

(注) 1. 2009年4月~2017年9月の期間中に北朝鮮を巡る重要なニュースがあった35の日(「ニュース日」 )において、金融市場で「北朝鮮ショック」の分散が高まる(他の構造ショックの分散は一定)と仮定することで、同ショックのマーケットへの影響を識別。金価格と各為替の2変数を用いて一般化モーメント法(GMM)で推計し、金価格が1%上昇するようなショックが生じたときの影響を図示。

(参考)R. Rigobon and B. Sack (2005) “The effects of war risk on US financial markets,” Journal of Banking & Finance, 29 (7), pp.1769-89

2. 破線は、10%有意水準で有意でなかったもの(ニュース日を無作為にリサンプリングし、モーメント条件を満たすようrecenteringを施したBootstrapによる)。いずれの資産も、モーメント条件の過剰識別制約は棄却されず(同様のBootstrapに基づき検定統計量を計算)。

(資料)Bloomberg、BISより、みずほ総合研究所作成

名目実効為替レート(BIS) 国債利回り

北朝鮮リスク:韓国は電気機械を中心に東アジアのサプライチェーンの一端を担う存在

19

◯ 仮に軍事衝突が起これば、韓国が攻撃を受ける可能性があり、その場合サプライチェーンへの影響が懸念材料に

◯ 韓国は、ベトナムやカンボジアなど東アジアを中心にサプライチェーンの一端を担う存在

‧ ただし、日本と比べると、付加価値に占める原産割合はそれほど大きくない

◯ 産業別に見れば、電気機械や輸送機械、鉄鋼において、韓国産の付加価値は一定程度存在

‧ その他輸送機械は日本を上回る規模、コンピューターなど電気機械も日本に近い割合

0246810121416 韓国 日本(外国産付加価値に占める割合、%)

運輸・倉庫

不動産・賃貸サービス

研究開発などその他

対事業所サービス

石油・精製製品

繊維・皮革・靴

金融仲介

電気・ガス・水

公共・防衛

コンピューター

関連サービス

化学製品

一般機械

その他非鉱物資源

金属製品

医療・福祉

その他電気機械

ゴム・プラスチック

鉄鋼

自動車

コンピューター・

電気機械・光学機械

その他輸送機械

【 各国付加価値に占める韓国・日本原産の割合 】 【 外国産付加価値に占める韓国・日本の割合 】

(注)上位20か国。(資料)OECD TiVAより、みずほ総合研究所作成

(注)上位20産業。(資料)OECD TiVAより、みずほ総合研究所作成

0

1

2

3

4

5

6

7

ベトナム

カンボジア

サウジアラビア

フィリピン

台湾マレーシア

香港タイシンガポール

インドネシア

中国ブルネイ

スロバキア

チリその他

トルコ

ロシア

ノルウェー

ニュージーランド

インド

韓国 日本

(付加価値比率、%)

(5)欧州政治情勢~ 依然として不安定な情勢が続く

20

◯ ドイツ下院選挙は、極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が第三党、オーストリア下院選挙でも極右・自由党が第三党へ

‧ ドイツでは連立協議が進行中。AfDの政権入りの可能性は低い。オーストリアでは自由党が政権入りする可能性がある

が、連立合意の中でEU離脱を問う国民投票実施等が政策として採用される可能性は低い

‧ 2018年のイタリア総選挙が次の注目となるが、反政府政党の「五つ星運動」が政権を得るまでには至らない見込み

【 EUの政治情勢を巡る動き 】

(資料)みずほ総合研究所作成

年 月 内 容 ポイント

2016年 12月 オーストリア大統領選(4日) 極右・自由党のノルベルトホッファー氏が、緑の党のファン・ダーベレン氏に僅差で敗北

2017年 3月 オランダ下院選挙(15日) EU懐疑政党、急進右派のオランダ自由党がルッテ首相の率いる自由民主国民党に敗北。

4月 フランス大統領選挙:初回投票(23日)

EU懐疑政党、国民戦線のルペン党首が決選投票に進出。無所属、マクロン前経済相との一騎打ちに

5月 フランス大統領選挙:決選投票(7日) マクロン氏がルペン氏を破って勝利

6月英総選挙(8日) 保守党は過半議席を獲得できず、ハングパーラメントに

フランス国民議会選挙(11日、18日) 共和国前進が過半議席を大きく上回り、第一党に

9月 ドイツ議会選挙(24日) 与党キリスト教民主同盟(CDU)が勝利も、極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が予想以上の得票で第3党に。但し、同党が連立入りする公算は小

10月 オーストリア議会選挙(15日) 国民党が勝利も、極右・自由党が第三党となり、両党は連立交渉を開始

2018年 5月まで イタリア総選挙 新選挙法(小選挙区・比例代表並立制)が成立。反政府・EU懐疑政党の五つ星運動が得票を伸ばしづらい仕組み。同党単独では上下院で過半議席は獲得できない公算大

イタリア:2018年の総選挙後、政権樹立は難航

21

◯ 新選挙法(2017年10月採択)によりプレミアム議席制度は廃止。他党との連携を否定する五つ星運動の政権入りは困難

‧ 民主党などの左派連合(現与党)、フォルツァ・イタイアなどの右派連合、五つ星運動の3者はいずれも30%程度の支持率

――― 報道によると総選挙は3月実施の公算。左右大連立が無ければ政権樹立は困難。テクノクラート政権の可能性も

‧ 反EUの五つ星運動が政権入りする可能性はほぼゼロ。ただし、同党はEU批判を止め、二重通貨構想を打ち出すように

――― 極端な主張を控えて支持拡大を企図。なお、二重通貨構想はフォルツァ・イタリアと北部同盟も同様に主張

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2015/1 15/7 16/2 16/7 17/1 17/6

民主党(●)、27% 国民の代案(●)、2%フォルツァ・イタリア(☆)、13% 北部同盟(☆)、14%イタリアの同胞(☆)、5% 五つ星運動、29%

(年/月)

(%)

17/10

【 イタリアの主要政党支持率 】【 イタリアの選挙ルールの変遷 】

(資料) 各種資料より、みずほ総合研究所作成

(注) ●は選挙で協力するとみられる左派連合、☆は同右派連合。政党名横の数値は、10月末時点での支持率。

(資料) EMGより、みずほ総合研究所作成

上 院 下 院

2005年選挙法(通称

Porcellum)

阻止条項、多数派プレミアム制度付の比例代表制最多得票した政党又は政党連合に、得票率と無関係に過半議席を付与

得票計算や過半議席の付与を州毎に行う

得票計算や過半議席の付与を国全体で行う

2013年12月、プレミアム制度に違憲判決上下両院とも選挙制度は「通常の」比例代表制に戻る

2015年選挙法

(通称Italicum)

上院の選挙法は変わらずレンツィ前政権は、憲法改正で上院の人数・権限を縮小する予定だったため選挙制度を変更せず。しかし、その改正は国民投票で否決された

新たなプレミアム制度40%以上の得票率を得た政党に過半議席を与える。第1回投票で40%に達する政党が無ければ、上位2党で決選投票。阻止条項は存続

新制度に違憲判決2017年1月、決選投票に違憲判決

2017年選挙法(通称

Rosatellum-bis)

小選挙区比例代表並立制・議席の約2/3を比例制、約1/3を小選挙区制で決定・阻止条項(単独政党なら比例票で3%以上、政党連合なら同10%以上)・プレミアム制度は無

スペイン:カタルーニャ州では中央政府が州政府の自治権を停止

22

◯ スペイン・カタルーニャ州では、中央政府が州政府の自治権停止とともに、12月の州議会選挙実施を発表

‧ スペインからの独立の是非を問う住民投票(10/1)で独立賛成が多数を占め、州政府が独立に動いたことが背景に

――― 金融市場では、一時スペイン国債利回りが上昇、株価は下落したが、足元では落ち着いた動き

◯ 注目は12月21日に実施される州議会選挙の行方に

‧ 最近の世論調査では、独立反対派と賛成派の支持率は拮抗しており、情勢は流動的

【 カタルーニャ住民投票の結果 】 【 州議会選挙世論調査 】

投票数 得票率(%)

有効票 2,286,217

賛成 2,044,038 90.18

反対 177,547 7.83

白票 44,913

無効 19,719

有権者数 5,313,564

投票率(%) 43.0 0 20 40 60 80

ERC

PDeCat

CUP

市民党

CSCQ(ポデモス系)

社会労働党

国民党

独立派3党

独立反対派

10/27~10/31調査 10/4~10/9調査

(議席数)

独立派3党

(資料)カタルーニャ州政府より、みずほ総合研究所作成 (資料) Socio Métrica/EL ESPAÑOLより、みずほ総合研究所作成

(6)新興国リスク ~ 利下げの動きが一服、一部ではインフレによる利上げ圧力

23

◯ ブラジルとロシアでは、年初から利下げが続いており、インフレ率の低下を背景に今後も追加緩和の可能性

◯ ベトナム、インド、インドネシア、南アフリカは、夏場に利下げしたが、その後のインフレ率は上昇ないし下げ止まっており、

今後は据え置きへ

◯ トルコとメキシコのインフレ率は目標を大きく上振れ、年前半で打ち止められている利上げの圧力は依然として残存

◯ 韓国とフィリピンではインフレ率が目標上限近傍、目標のないマレーシアでもインフレ率が上昇していることは利上げ材料

▲ 2

0

2

4

6

8

10

12

ブラジル

ロシア

タイベトナム

インド

インドネシア

南アフリカ

韓国フィリピン

メキシコ

トルコ

台湾香港中国マレーシア

インフレ率

目標

(前年比、%) 6月 10月▲ 利下げ + 利上げ

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10中国 + +韓国台湾香港 + +インドネシア ▲ ▲タイマレーシアフィリピンベトナム ▲インド ▲ブラジル ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲メキシコ + + + +ロシア ▲ ▲ ▲ ▲ ▲トルコ + + +南アフリカ ▲

【 政策金利の変更(2017年、月別) 】

(資料)各国統計より、みずほ総合研究所作成

利下げ実施国が拡大

【 インフレ率と目標(2017年6~10月) 】

(資料)各国統計より、みずほ総合研究所作成

目標を下振れ

目標に接近

目標中央値近傍

目標の上限に近い

目標を上振れ

目標なし

▲ 5.0

▲ 2.5

0.0

2.5

5.0

7.5

10.0

12.5

15.0

▲ 10 ▲ 5 0 5 10

(2017年の経常収支/名目GDP予測、%)

(2017年初来の対ドルレート変化率、%)

台湾

タイ

韓国

マレーシアロシア

中国

インド

ベトナム

ブラジル

インドネシア南アフリカ

フィリピン

トルコ メキシコ

香港

新興国リスク:欧米に加え、新興国も利上げの場合、高債務国のリスクに要注意

24

◯ 欧米低金利政策の出口戦略に加え、新興国自身も利上げの場合、過大な債務を抱える新興国ほど金利上昇に脆弱

‧ トルコは自国の利上げ圧力が強く、香港も米ドルペッグのため金利が米利上げに連動するため、それぞれ要注意

――― 中国はデレバレッジに取り組む一方、バブル破裂を防ぐため、「穏健中立」の金融政策で微妙な舵取りを迫られる状況

◯ 特に経常赤字の大きいトルコについては、欧米の出口戦略に対して資本流出や通貨防衛で金利が急騰する恐れ

【 非金融民間部門の債務水準/名目GDP(トレンドからのかい離)】 【 経常収支と為替レート 】

(注)BISによると、10%以上の場合、今後3年以内に3分の2の確率で金融危機が発生。(資料)BISより、みずほ総合研究所作成

(注)2017年の経常収支/名目GDPの予測は、IMF World Economic Outlook(2017年10月)による。為替レートは、2017年初から11月8日までの変化率。

(資料)IMF、Bloombergより、みずほ総合研究所作成

▲ 10▲ 50510152025303540

香港中国トルコ

タイインドネシア

メキシコ

マレーシア

フィリピン

韓国南アフリカ

ロシア

ブラジル

インド

(%PT)

BISの警戒領域

BISの要注意領域

金利上昇に脆弱

Ⅱ.海外経済

25

~欧米は潜在成長率を上回る拡大、アジアは横ばい~

(1)米国経済~潜在成長率を超える堅調なペースでの景気拡大が続く

26

○ 2017年7~9月期の実質GDP成長率は前期比年率+3.0%と2四半期続けての高成長。ハリ

ケーンによる自動車買い替え需要の支えもあり、個人消費(同+2.4%)が堅調な伸び。設備

投資(同+3.9%)は建設投資の悪化で減速したが、機械投資は高い伸びを維持

○ 2017年、2018年の成長率を共に前年比+2.2%と予想(前回9月予想から不変)。2%に満た

ない潜在成長率を超えるペースでの堅調な景気拡大が続く

○ 家計部門では、可処分所得の伸び、資産価格の上昇、消費者マインドの改善を背景に、個

人消費が堅調に推移。年内は上述したハリケーン後の自動車買い替え需要も支えに。一方、

貯蓄率が大きく低下しており、米株価調整が生じた場合の悪影響が気がかり

○ 企業の投資姿勢は一段と前向き、機械投資を中心に設備投資は底堅い伸びが続く

○ 法人税減税や国際課税の見直しを柱とする税制改革の議会審議が本格化。10年1.5兆ドル

の減税を目指しており、成立すれば2018~19年の成長率を0.1~0.2%Pt押し上げ。ただし、

上下両院で内容(アプローチ)が異なり、調整に時間を要する可能性も

○ FRBは来年2月パウエル新体制に移行。低インフレと資産バブル対応が課題

米国:2017年7~9月期は2期続けて高成長。米国経済は堅調な拡大が続く

27

◯ 2017年、2018年の成長率は前年比+2.2%と予想(前回9月と同じ)

‧ 米家計と企業のセンチメントは良好で、上振れのリスクも

【 短期見通し総括表 】

(注)網掛けは予測値。(資料)米国商務省、米国労働省より、みずほ総合研究所作成

2016 2017 2018 2016 2017 2018

暦年 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12

実質GDP 前期比年率、% 1.5 2.2 2.2 0.6 2.2 2.8 1.8 1.2 3.1 3.0 1.9 1.9 2.3 2.3 2.1

個人消費 前期比年率、% 2.7 2.7 2.2 1.8 3.8 2.8 2.9 1.9 3.3 2.4 2.2 1.7 2.4 2.2 2.1

住宅投資 前期比年率、% 5.5 1.1 3.3 13.4 ▲ 4.7 ▲ 4.5 7.1 11.1 ▲ 7.3 ▲ 6.0 3.6 8.4 4.7 5.1 5.0

設備投資 前期比年率、% ▲ 0.6 4.3 4.2 ▲ 4.0 3.3 3.4 0.2 7.2 6.7 3.9 2.8 4.5 4.0 4.7 5.0

在庫投資 前期比年率寄与度、%Pt ▲ 0.0 ▲ 0.2 0.0 ▲ 0.6 ▲ 0.7 0.2 1.1 ▲ 1.5 0.1 0.7 ▲ 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0

政府支出 前期比年率、% 0.8 ▲ 0.1 0.9 1.8 ▲ 0.9 0.5 0.2 ▲ 0.6 ▲ 0.2 ▲ 0.1 0.4 0.6 2.1 1.7 1.5

純輸出 前期比年率寄与度、%Pt ▲ 0.3 0.2 ▲ 0.3 ▲ 0.3 0.3 0.4 ▲ 1.6 0.2 0.2 0.4 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.3 ▲ 0.4 ▲ 0.5

輸出 前期比年率、% ▲ 0.3 3.1 2.6 ▲ 2.6 2.8 6.4 ▲ 3.8 7.3 3.5 2.3 3.0 2.5 2.2 2.6 1.9

輸入 前期比年率、% 1.3 3.2 2.6 ▲ 0.2 0.4 2.7 8.1 4.3 1.5 ▲ 0.8 2.0 2.9 3.9 4.6 4.3

失業率 % 4.9 4.4 4.3 4.9 4.9 4.9 4.7 4.7 4.4 4.3 4.3 4.3 4.3 4.2 4.2

個人消費支出デフレーター 前年比、% 1.2 1.6 1.7 1.0 1.0 1.2 1.6 2.0 1.6 1.5 1.4 1.3 1.8 1.8 1.8

食品・エネルギーを除くコア 前年比、% 1.8 1.5 1.7 1.6 1.7 1.8 1.9 1.8 1.5 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8

米国:オバマケア撤廃は失敗。税制改革、債務上限、暫定予算が当面の課題

28

◯ オバマケア見直しは失敗。議会では年末に向けて、税制改革審議と債務上限・暫定予算が同時並行

【 米政権・議会の課題 】

(注)日程はいずれも見込み。 (資料) 各種資料より、みずほ総合研究所作成

9月 10月 11月 12月

オバマケア見直し 法制化に失敗トランプ大統領は見直しに向けた大統領令に署名。オバマケアのもと低所得者の保険加入を支援するために保険会社に支払われている補助金を打ち切ると発表(10/12)

債務上限問題

2018年度予算 政府閉鎖リスク

税制改革

詳細な骨子公表(9/27)予算決議成立(10/26)

下院法案公表(11/1)

通商政策

通商法232条 安全保障を理由とした鉄鋼輸入制限措置に対し、米政権及び米産業内に反対意見があり、未発動

通商法301条 中国による知的財産権侵害を調査

貿易赤字 大統領令(3/31)で6月末とされた包括的報告書が未公表。232条と同じ理由

NAFTA8月16日より再交渉開始。米国はサンセット条項の導入、原産地規則引き上げ等を要求⇒年内合意困難に

米韓FTA 再交渉で合意(10/5)日米経済対話 第2回(10/16)、「日米貿易は自由でなく、相互的でもない」(トランプ大統領、11/6)

FRB議長人事コーンNEC委員長⇒ウォーシュ元FRB理事⇒パウエルFRB理事⇒テイラー教授⇒・・・と、目まぐるしく順位が変わる大混戦。結局、パウエル理事が議長昇格(11/2指名)

上限適用免除(~12/8)

2018年

暫定予算(~12/8)

年内成立?

来年1月までやり繰りの余力あり

▲1.4

▲1.2

▲1.0

▲0.8

▲0.6

▲0.4

▲0.2

0.0

0.2

2018 2020 2022 2024 2026

(名目GDP比、%)

(年度)

上院案

下院案

米国:減税案は2018~19年の成長率を0.1~0.2%Pt押し上げ。成立見込みは不透明

29

◯ 10年1.5兆ドルの減税案を目指すが、上下両院で内容(アプローチ)が異なり、最終合意までの困難さを示唆

‧ 個人所得税では税率とブラケットの変更、控除制限・削減の度合い、法人税では税率引き下げのタイミングなどに相違

‧ モデル推計すると、成長率の押し上げ効果は控え目(見通しには織り込み済み)

【 税制改革案の財政コスト 】

(注)2017年11月14日時点。(資料) JCT、CBOより、みずほ総合研究所作成

【 成長率の押し上げ効果 】

一時的投資減税によりコストは大きく振れる

個人所得税減税を2025年度で打ち切り

(注)主な前提は以下の通り。個人所得税率:12,25,35%。AMT廃止基礎控除を倍増、人的控除を廃止。項目別控除を制限。子育て減税を倍増。法人税率:20%、AMT廃止パススルー課税:25%設備投資の全額償却(ただし純利払い費控除を認めず)租税特別措置を廃止

なお、上記前提では財政赤字が議会案よりも大幅に拡大するため、議会案との比較により、推計で得られた成長率の押し上げ効果を調整している。上振れケースは、資本収益率をリスクフリーレートから限界生産力に変更した場合。

(資料) ペンシルベニア大ウォートン校財政モデルより、みずほ総合研究所作成

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

2018 2019 2020

(%Pt)

(年)

想定

上振れケース

米国:イエレンFRB議長が1期で退任。パウエルFRB理事が議長昇格、新体制へ

30

FRB議長 大統領 指名上院銀行委員会 上院本会議

採決就任

(1期4年)議会証言 承認

ボルカ― 1st カーター 1979/7/25 1979/7/30 1979/8/2 1979/8/2 98-0 1979/8/6

2nd レーガン 1983/6/18 1983/7/14 1983/7/21 1983/7/27 84-16 -

グリーンスパン 1st レーガン 1987/6/2 1987/7/21 1987/7/28 1987/8/3 91-2 1987/8/11

2nd ブッシュ 1991/7/10 1992/1/29 1992/2/26 1992/2/27 全会一致 -

3rd クリントン 1996/2/22 1996/3/26 1996/3/27 1996/6/20 91-7 -

4th クリントン 2000/1/4 2000/1/26 2000/2/1 2000/2/3 89-4 -

5th ブッシュ 2003/4/22 2004/6/15 2004/6/17 2004/6/17 発声投票 -

バーナンキ 1st ブッシュ 2005/10/24 2005/11/15 2005/11/16 2006/1/31 発声投票 2006/2/1

2nd オバマ 2009/8/25 2009/12/3 2009/12/17 2010/1/28 70-30 -

イエレン 1st オバマ 2013/10/9 2013/11/14 2013/11/21 2014/1/6 56-26 2014/2/3

パウエル 1st トランプ 2017/11/2 2018/2/4(予定)

【 FRB議長人事 】

(資料) 米国議会等より、みずほ総合研究所作成

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5

0

50

100

150

200

250

300

350

2016 2017

(前月差、万人) (%)

(年)

失業率(右目盛)

非農業部門雇用者数

米国:企業業況と雇用は共に堅調。ハリケーン後の復興需要も支えに

31

◯ ハリケーンによるサプライチェーンへの影響もみられるが、企業業況は総じて良好。雇用の伸びは堅調維持

‧ 10月製造業ISM指数は58.7と高水準。非製造業ISM指数は2005年8月以来の高さに

‧ 10月非農業部門雇用者数は急増。3カ月平均では+16.2万人/月と堅調な伸び。失業率は2000年12月以来の低さに

48

50

52

54

56

58

60

62

64

11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

2016 2017

在庫

入荷遅延度

雇用

生産

新規受注

(基準=50)

(月)

(年)

【 製造業ISM指数 】 【 非農業部門雇用者数と失業率 】

(資料)米国労働省より、みずほ総合研究所作成(資料)ISMより、みずほ総合研究所作成

10月の非農業部門雇用者数は急増

失業率は2000年12月以来の低さに低下

企業業況は総じて良好

米国:米自動車市場に買い替え需要の神風、景気下振れリスク後退

32

◯ ハリケーンによる自動車買い替え需要で自動車を起点とする景気下振れリスクは後退。一方、株価調整リスクは残存

‧ 9-10月の販売急増により、2017年1-10月の平均販売台数は年率1,718万台/月と、1,700万台の大台を回復

‧ 需要先食いの反動による米自動車部門の在庫・生産調整と、他部門への波及による景気下振れリスクは当面後退

‧ 一方、個人貯蓄率は2007年12月以来の低さ。米株価の調整が起きた場合の景気下振れリスクに要警戒

14

15

16

17

18

19

2013 14 15 16 17

(年率、100万台)

(年)0

2

4

6

8

10

12

2005 10 15

(%)

(年)

【 米自動車販売台数 】

(資料)Autodataより、みずほ総合研究所作成

【 個人貯蓄率 】

(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成

ハリケーンによる買い替え需要で自動車販売急増

個人貯蓄率は2007年12月以来の低さ

米国:成熟する商業用不動産市場。機械関連投資に前向きな動き、企業マインド改善に

33

◯ 電力施設建設とオフィス建設が悪化基調。一方、コア資本財は増勢を強めている

‧ 建設投資では輸送機械や化学工場の建設も減少

‧ 一方、コア資本財新規受注は急増。ハリケーン後の復興需要も追い風となり、企業は投資に前向きに

‧ 法人税率の引き下げや5年間の設備投資減税等(現行下院案)にも期待

92

94

96

98

100

102

104

106

108

110

2015 16 17

(2016年=100)

(年)0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

2000 05 10 15

(10億ドル)

(年)

電力施設

化学工場

オフィス

輸送機械工場

倉庫

ホテル

【 タイプ別建設支出 】

(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成

【 コア資本財新規受注 】

(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成

コア資本財新規受注は急増

電力施設建設とオフィス建設が悪化基調

米国:自動運転の資産縮小開始。低インフレとバブル対応がパウエル新体制の課題

34

◯ 混乱なく資産縮小始動。陣容刷新後のFRB/FOMCには、低インフレとバブルの対応が問われることに

‧ パウエルFRB議長(予定、2018/2~)の上院承認に障害なし。FRB/FOMCの体制が大きく変わることに

――― FRB副議長及びNY連銀総裁(慣例としてFOMC副議長に選出)人事、空席続くFRB理事(2名)の行方も焦点

‧ インフレ目標未達はすでに5年7カ月。株価も歴史的な割高、パウエル新FRB議長の手腕に注目

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

1920 30 40 50 60 70 80 90 2000 10

(倍)

(年)0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

1990 95 2000 05 10 15

(前年比、%)

(年)

【 コア・インフレ率 】

(注)エネルギーと食品を除く個人消費支出デフレーター上昇率。(資料)米国商務省より、みずほ総合研究所作成

【 景気循環調整後PER 】

(注)インフレ調整後1株当たり利益の10年移動平均値を用いて計算。(資料)ロバート・シラー教授(イェール大)より、みずほ総合研究所作成

2012年1月のFOMCでバーナンキ議長(当時)は長年の目標だった「2%の物価安定目標」を公式決定

世界恐慌(1929/10)

ITバブル崩壊(2000/03)

リーマン・ショック(2008/09)

(2)ユーロ圏経済 ~2018年も年率2%程度の堅調な景気回復が続く

35

○ 2017年、18年のユーロ圏実質GDP成長率は、各+2.3%、+1.9%。実績の上振れなどを反映し、成長率見通しは前回から上方修正

○ 2017年の成長率は16年(+1.8%)から上昇。企業業況の良好さは、17年Q4も年率2%を超える高成長となることを示唆。18年の成長率は17年から低下。物価上昇で家計の実質所得が下押しされ、個人消費は減速。知的財産投資の急増の反動により、固定投資は鈍化。成長率に対する外需寄与度はプラス幅縮小。輸出入とも増加傾向となるが、在庫復元に伴い、輸入の増加率が輸出の増加率を上回る

○ 直近10月のコア・インフレ率は再び1%を下回ったが、早晩、上昇基調に復する。ただし、ユーロ高による押し下げ圧力が残存することに加え、賃金上昇圧力が高まりにくいことから、コア・インフレ率の上昇ペースは緩慢。ドイツの賃金交渉の妥結結果や目下進行中の交渉は、2018年の賃金上昇率が伸び悩むことを示唆

○ ECBは、2017年10月の政策理事会で、2018年以降の資産購入の300億ユーロ/月への減額と9カ月間の延長を発表。ECBは2018年内に資産購入を停止し、最初の利上げは2019年前半と予想

ユーロ圏:堅調な景気回復が続く

36

◯ ユーロ圏成長率は2017年が+2.3%(9月見通し比+0.1%Pt)、2018年が+1.9%(同+0.1%Pt)

‧ 2017年の上方修正は、17年上期の上方改定や17年Q3の上振れ、17年Q4の引き上げを踏まえたもの

――― 10月も企業業況は良好。ユーロ圏景気のモメンタムは、従来想定していたほど鈍化していない

‧ 2018年の上方修正は、17年後半の上振れを反映したもの

【 ユーロ圏短期見通し総括表 】

(注) 網掛けは予測値。(資料) Eurostatより、みずほ総合研究所作成

2015 2016 2017 2018

暦年 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12

実質GDP 前期比、% 2.1 1.8 2.3 1.9 0.5 0.3 0.4 0.6 0.6 0.7 0.6 0.5 0.4 0.4 0.4 0.5

内需 前期比、% 2.0 2.3 2.1 2.0 0.5 0.7 0.4 0.8 0.1 0.9 0.5 0.6 0.5 0.4 0.4 0.5

個人消費 前期比、% 1.8 2.0 1.7 1.5 0.7 0.3 0.4 0.5 0.4 0.5 0.4 0.4 0.3 0.4 0.5 0.5

総固定資本形成 前期比、% 3.0 4.5 3.6 3.0 0.3 2.7 0.1 1.5 ▲ 0.2 2.0 0.6 0.6 0.6 0.7 0.7 0.7

政府消費 前期比、% 1.3 1.7 1.1 0.9 0.8 0.3 0.2 0.4 0.2 0.5 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2

在庫投資 前期比寄与度、%Pt 0.0 ▲ 0.1 0.1 0.3 ▲ 0.1 ▲ 0.1 0.1 0.1 ▲ 0.1 0.0 0.1 0.2 0.1 0.0 ▲ 0.0 ▲ 0.0

外需 前期比寄与度、%Pt 0.1 ▲ 0.5 0.3 0.0 0.0 ▲ 0.3 0.1 ▲ 0.1 0.4 ▲ 0.2 0.2 ▲ 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0

輸出 前期比、% 6.1 3.3 4.4 4.1 0.5 1.1 0.6 1.5 1.3 0.9 0.8 0.9 1.1 1.1 1.2 1.2

輸入 前期比、% 6.5 4.7 4.3 4.5 0.5 1.9 0.5 1.9 0.4 1.5 0.5 1.2 1.2 1.1 1.3 1.3

消費者物価指数 前年比、% 0.0 0.2 1.5 1.4 0.1 ▲ 0.1 0.3 0.7 1.8 1.5 1.5 1.4 1.1 1.5 1.8 1.5

食品・エネルギーを除くコア 前年比、% 0.8 0.9 1.1 1.3 1.0 0.8 0.8 0.8 0.8 1.1 1.1 1.1 1.2 1.2 1.4 1.5

20182016 2017

ユーロ圏:4四半期連続で年率2%超えの高成長

37

◯ 7~9月期のユーロ圏GDP成長率は前期比+0.6%。4~6月期(同+0.7%)より小幅低下も高水準を維持

‧ ユーロ圏全体では、輸出増により外需寄与度がプラスに転じ、個人消費は減速、固定投資は弱含んだ模様

――― 消費減速は、物価上昇に伴う実質所得減が背景。投資弱含みは、前期の知財投資の急増の反動が主因

‧ ドイツ(同+0.8%)、スペイン(同+0.8%)が高成長維持、フランス(同+0.5%)、イタリア(同+0.5%)も底堅い成長が続く

‧ 秋口以降も景気回復は途切れず。10月のユーロ圏PMIは50台後半を維持、ユーロ圏企業の雇用見通しなどは改善傾向

【 ユーロ圏・主要国企業の雇用見通し 】【 ユーロ圏・主要国のGDP成長率 】

(資料) Eurostatより、みずほ総合研究所作成(注) 今後3カ月に関する企業の見通し。(資料) 欧州委員会より、みずほ総合研究所作成

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

20

2016/4 16/10 17/4 17/10

ユーロ圏 ドイツ フランス

スペイン イタリア

(DI、%pt)

(年/月)

増加

今後の雇用

減少

▲ 0.4

▲ 0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3

2014 15 16 17

ユーロ圏 ドイツ フランス

イタリア スペイン

(前期比、%)

(年/四半期)

7~9月期も高水準を維持

雇用見通しは改善傾向

ユーロ圏:当面はユーロ高が物価上昇の重石に

38

◯ 10月のユーロ圏コア・インフレ率は5カ月ぶりに1%割れ。先行きも、コア・インフレ率の一本調子の上昇は期待し難い

‧ 前月比でみると、10月のコア・インフレ率は▲0.1%と下落。ただし、一時的要因で下落幅が嵩上げされている面も

――― 今夏にかけてのユーロ高の影響で財物価が下落。パック旅行価格などの値下がりによりサービス物価も下落

‧ 企業の値上げ見通しは改善傾向を維持。コア・インフレ率の上昇傾向が崩れたわけではない

‧ ただし、当面はユーロ高の影響が残存する見込みであり、コア・インフレ率の上昇ペースは緩慢に

【 ユーロ高が財物価上昇率に及ぼす影響 】【 ユーロ圏コア・インフレ率 】

(注) 季節調整値。コア及び財は、エネルギーと食品等を除く。(資料) ECBより、みずほ総合研究所作成

(注) ユーロ名目実効レートの変動が財物価上昇率(エネルギー・食品等を除く)に及ぼす影響を試算。2017年Q4以降は、みずほ総研の為替予測値に基づく。

(資料) ECBより、みずほ総合研究所作成

▲ 0.2

▲ 0.1

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

▲ 1.0

▲ 0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2015/10 16/4 16/10 17/4 17/10

財前月比(右目盛) サービス前月比(右目盛)

コア前年比 コア前月比(右目盛)

(%) (%)

(年/月)

▲ 0.4

▲ 0.3

▲ 0.2

▲ 0.1

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4

2015 16 17 18

為替変動の影響 財物価上昇率

(年/四半期)

(前年比、%)10月は5カ月ぶりに1%割れ

当面はユーロ高の影響が残存

ドイツ:賃金交渉が進展するも、2018年以降も賃金上昇圧力は高まりづらい

39

◯ 妥結済みの賃金交渉結果を集計すると、2018年の賃上げ率は2.0%と17年(2.4%)を下回る

‧ 人手不足感が強くとも「賃金ドリフト」による上振れは足元で限定的。2018年も賃金上昇率は伸び悩むとみられる

‧ 今後の注目点は最大労組IGメタルなど他業種の賃金交渉。IGメタルは、6%の賃上げと労働時間短縮の選択権を要求

――― 時間短縮が優先されれば当初要求を下回る賃上げ率となる可能性が高まる。また、趨勢的な組合員数の減少

少などから、賃金交渉における組合のバーゲニングパワーは低下

【 ドイツの賃金ドリフト 】【 ドイツ主要産業の賃金交渉結果と当面のスケジュール 】

(注) 妥結済みの2017年・18年賃上げ率の適用時期は必ずしも年初ではない。(資料) WSI-Tarifachivより、みずほ総合研究所作成

(資料) ドイツ連銀より、みずほ総合研究所作成

(単位:%)業界等 適用される労働者数 2017 2018

小売 1,262,200 2.3 2.0 卸売 335,300 2.5 2.0 自動車 234,000 2.9 2.9 保険 173,100 2.0 1.7 鉄鋼 96,200 2.3 1.7 繊維(旧西独) 76,300 2.7 1.7 紙製品 41,700 2.4 1.2 菓子 28,300 2.5 2.5 繊維(旧東独) 9,900 2.9 1.9

加重平均値 2.4 2.0

業界等 対象となる労働者数 金属(IGメタル) 3,499,200 木・プラスチック 177,800 ドイツ郵便 130,000 VW 110,000 公務員(連邦・州) 2,447,100 建設 699,000 塗装 114,600 ホテル・外食 262,800 化学 502,300 印刷 138,000

2018年8月末

前回交渉の適用期間の終了時期

2017年12月末

2018年1月末

2018年2月末

2018年3月末2018年7月末 ▲ 4.0

▲ 3.0

▲ 2.0

▲ 1.0

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

200001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

賃金ドリフト(=①-②)

①実際に支給される賃金

②妥結賃上げ率

(前年比、%)

(年)

ユーロ圏:ECBは資産購入減額へ、最初の利上げは2019年前半と予想

40

◯ ECBは、現在毎月600億ユーロの資産購入を、300億ユーロ/月としたうえで、18年9月まで延長することを発表

‧ ドラギ総裁は、資産購入プログラム(APP)が「オープンエンド」であることを強調し、政策のフリーハンドを得ることに成功

‧ APPの終了時期を明示しないハト派なメッセージを出したことで、市場の早期利上げ期待は沈静化

◯ ECBは2018年内に資産購入を停止し、最初の利上げは2019年前半と予想

‧ 18年央の時点でコアインフレ率が前年比+1.2~1.3%で安定するようなら、APPは10月以降の停止が視野に

【 10月政策理事会でのECBの政策決定 】 【 OISレートから計算されるECBの利上げ確率 】

(資料) ECBより、みずほ総合研究所作成 (資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成

利上げ期待が低下1

主要リファイナンスオペ金利(0.00%)、限界貸出ファシリティ金利(0.25%)、預金ファシリティ金利(▲0.40%)をそれぞれ据え置き

2

資産購入プログラム(APP)による毎月600億ユーロの買い入れを2017年12月まで継続。2018年以降は、毎月300億ユーロの買い入れを9月末まで実施。もし必要があれば、インフレ目標に沿った持続的な物価上昇がみられるまで、APPを継続。見通しが悪化したり、金融環境がインフレ目標に沿わない状況になった場合、理事会はAPPを規模・期間の両面で拡充

3ECB並びに各国中銀は、APPで購入した後に償還期限を迎えた証券の再投資を、資産購入終了後も長期にわたり、必要な限り実施

4主要リファイナンスオペ、並びに3カ月物の長期リファイナンスオペは、少なくとも2019年末まで、固定金利・全額割り当て方式で継続

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

12/14 1/25 3/8 4/26 6/14 7/26 9/13 10/25 12/13

2017年 2018年

政策理事会後(10/26)

政策理事会前(10/25)

(%)

(ECB理事会の開催日、月/日)

(3)アジア経済 ~中国の減速はあるもアジア全体の成長率は底堅く推移

41

○ 中国では、7~9月期の成長率は前期から小幅な低下にとどまり、堅調維持。過剰生産能力調

整により投資が落ち込んだものの、在庫投資や政府消費、個人消費が下支え

○ 今後の中国については、共産党大会を経て基盤を強化した習政権が、投機抑制や過剰生産

能力調整の改革を強める。成長率は、2010~20年の所得倍増計画が担保される範囲内で、

2018年にかけて緩やかに減速へ

○ 中国を除くアジアでは、7~9月期に景気が加速。頭打ちとなっていた輸出がIT関連を中心に

持ち直し。ASEAN5とインドでは内需にも明るい動き

○ 先行きの中国を除くアジアでは、中国経済の緩やかな減速から影響を受けるものの、先進国

景気とIT需要は底堅いため、輸出の減速は小幅。こうしたなか、ASEAN5ではインフラ投資や

統合効果で域内需要が拡大し、成長率は安定的に推移。インドでは2017年に表面化した一

時的要因が一巡し、消費を中心に2018年は成長率加速

○ 以上より、アジア全体の成長率は、中国の緩やかな減速をその他が緩和することで、2018年

にかけて小幅な鈍化にとどまり、総じて底堅く推移

(単位:%) (単位:%PT)

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2017年 2018年

(実績) (実績) (実績) (予測) (予測)

6.4 6.2 6.2 6.1 6.0 0.1 -

中国 7.3 6.9 6.7 6.8 6.4 - -

NIEs 3.5 2.0 2.3 3.0 2.5 0.4 0.1

韓 国 3.3 2.8 2.8 3.1 2.8 0.3 0.1

台 湾 4.0 0.7 1.5 2.6 2.3 0.5 0.3

香 港 2.8 2.4 2.0 3.5 1.9 0.1 0.5

シンガポール 3.6 1.9 2.0 2.6 2.5 - -

ASEAN5 4.6 4.8 4.9 5.2 5.2 0.1 0.1

インドネシア 5.0 4.9 5.0 5.1 5.2 - -

タ イ 0.9 2.9 3.2 3.5 3.1 - -

マレーシア 6.0 5.0 4.2 5.5 5.2 - -

フィリピン 6.1 6.1 6.9 6.4 6.6 - -

ベトナム 6.0 6.7 6.2 6.7 6.6 0.4 0.2

インド 7.0 7.5 7.9 6.6 7.3 - -

オーストラリア 2.8 2.4 2.5 2.3 2.8 - -

(参考)中国・インドを除くアジア 4.1 3.7 3.9 4.3 4.2 0.1 0.1

(参考)中国を除くアジア 5.4 5.4 5.7 5.3 5.6 - -

(9月予測からの修正幅)

アジア

アジア:中国の減速をその他が緩和する構図

42

◯ 中国は、投機抑制や過剰生産能力調整の改革が強まり、2020年までの所得倍増計画が達成可能な範囲で緩やかに減速

◯ NIEsは、依存度の高い中国向けを中心に輸出が減速する一方、欧米向け輸出に下支えされ、成長率の低下は限定的

◯ ASEAN5は、輸出が小幅に鈍化するのに対し、域内需要は拡大して、成長率は安定的に推移

◯ インドは、2017年に前年末の高額紙幣廃止等の影響で景気は一時減速、2018年は一時的要因の一巡で加速

【 アジア経済見通し総括表 】

(注) 実質GDP成長率(前年比)。平均値はIMFによる2015年GDPシェア(購買力平価ベース)により計算。(資料)各国統計より、みずほ総合研究所作成

アジア:輸出は足元好調で、2018年も底堅い

43

◯ 2017年7~9月期の各国景気は概ね加速、頭打ちとなっていた輸出がIT関連を中心に好調

‧ ただし、中国はデレバレッジ政策による投資の落ち込みで小幅減速

◯ 2018年は、中国経済が緩やかに減速する一方、先進国経済とIT需要が底堅いため、各国の輸出の減速は小幅

‧ 輸出環境は、2016年の先進国を中心とする落ち込みに比べ、18年の陰りは限定的に

‧ IT輸出は、目下の高い伸びこそ和らぐものの、スマホ高機能化やサーバー向け需要拡大を背景に、緩やかな増勢を維持へ

(注)世界経済成長率を、各国の最終需要地別付加価値生産比率(2014年から一定と想定)で加重平均したもの。2017~18年の成長率予測については、日本・米国・ユーロ圏・中国はみずほ総合研究所予測、その他はIMF予測を使用。

(資料)OECD TiVA、IMF World Economic Outlookより、みずほ総合研究所作成

【 実質GDP成長率 】 【 各国の輸出環境(2015~18年) 】

(資料)各国統計、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成

(前期比年率、%)

1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9

韓国 2.0 3.7 1.9 2.0 4.3 2.4 5.8

台湾 4.8 1.4 3.1 1.4 3.5 0.5 7.5

香港 ▲ 1.2 6.0 3.2 5.0 2.8 4.5 2.0

シンガポール ▲ 0.5 0.8 ▲ 0.4 12.3 ▲ 2.0 2.4 6.3

タイ 4.0 3.8 2.0 2.1 5.3 5.4

マレーシア 3.1 4.3 5.7 5.1 7.5 5.2

フィリピン 6.0 7.3 6.3 7.1 5.2 7.2

(前年比、%)

中国 6.7 6.7 6.7 6.8 6.9 6.9 6.8

インドネシア 4.9 5.2 5.0 4.9 5.0 5.0 5.1

ベトナム 5.5 5.8 6.6 6.7 5.2 6.3 7.5

インド 9.1 7.9 7.5 7.0 6.1 5.7

20172016

NIEs ASEAN5

0

1

2

3

4

香港

台湾

シンガポール

韓国

マレーシア

インドネシア

フィリピン

タイ

ベトナム

インド

世界経済成長率(各国輸出の最終需要地ベース加重平均)(前年比、%)

その他の寄与度

中国の寄与度

2015

161718

アジア:ASEAN5では自律的な需要拡大

44

◯ ASEAN5では、2018年に輸出が小幅鈍化の一方、域内で需要が自律的に拡大し、成長率は安定的に推移

‧ インフラ需要が大きいなかで、財政余力のあるフィリピンとタイを中心に、積極的に公共投資を行う予算編成

‧ ASEAN統合を背景に、域内向けの輸出と直接投資の比率が上昇しており、域内で需要が伝播しあう傾向が強まっている

――― CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)も新たな市場として存在感を高めている

◯ インドについては、2017年に高額紙幣廃止等の影響で停滞した消費が、2018年はそうした特殊要因の一巡で持ち直しへ

【 公共投資(政府予算) 】 【 ASEANの輸出と直接投資(ASEAN域内向け/全世界向け) 】

(注)ASEAN5向け輸出は最終需要地ベース、CLM向け輸出は通関ベース。(資料)OECD TiVA、IMF Direction of Trade、ASEAN事務局より、みずほ総合研究所作成

(資料)CEIC Data、各国予算資料より、みずほ総合研究所作成

0

5

10

15

20

25

30

0

2

4

6

8

10

12

1995 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15

(%) (%)

(年)

速報ASEAN5の輸出(ASEAN5向け/全世界向け)

ASEAN10の直接投資(ASEAN10向け/全世界向け、右目盛)

ASEAN5の輸出(CLM向け/全世界向け)

90

100

110

120

130

140

150

160

170

180

フィリピン インドネシア タイ マレーシア ベトナム

2016

2017

2018

(2016年=100)

NA

中国:党大会後は改革の加速が下押し圧力となるも、IT部門の好調が下支え

45

◯ 2017年7~9月期の実質GDP成長率は前年比+6.8%(4~6月期:同+6.9%)と小幅に低下するも、堅調を維持

‧ 投機抑制や過剰生産能力調整により実質投資は前年比▲0.6%と2004年以来のマイナスを記録。一方、在庫増や民生

改善向けとみられる政府消費の拡大が成長率を下支え。個人消費は夏場の悪天候によりやや減速も、堅調維持

◯ 10月の党大会後は改革加速により投資の低迷が続くとみられるが、ITセクター等ハイテク業種の投資拡大は続く

‧ 投資の高い伸びが見込まれる通信・電子、計測器は輸入率が高く、先進国からの輸入増が当面続く可能性大

(注)社会消費品小売総額は小売物価指数、固定資産投資は固定資産価格指数、輸出は輸出価格指数で実質化(みずほ総合研究所推計値)。

(資料)中国国家統計局より、みずほ総合研究所作成

【 実質GDP成長率 】 【 製造業の固定資産投資(名目)と輸入率 】

(注) 輸入率=輸入/(中間投入+最終需要-輸出)*100、2012年投入産出表より作成。(資料)中国国家統計局より、みずほ総合研究所作成

▲ 2

0

2

4

6

8

▲ 5

0

5

10

15

20

14 15 16 17

実質GDP成長率(右目盛)固定資産投資社会消費品小売総額輸出

(前年比、%) (前年比、%)

(年)

個人消費は堅調

投資は前年割れ

政府消費の支えもあり

GDPは安定的に推移

▲10

▲5

0

5

10

15

20

25

0 10 20 30 40 50

通信・電子計測器

化学

鉄・非鉄

石油・石炭加工

輸入率の高い業種

の投資は高い伸び

17年3Q

固定資産投資前年比(%)

輸入率(%)

中国:住宅販売の調整に伴い住宅投資も鈍化の方向

46

◯ 住宅購入規制の強化を背景に、販売、投資の伸びの鈍化傾向が続く

‧ 足元販売は全国的に伸び率が鈍化。価格は1級・2級都市の調整が進展、3級都市でもピークアウトの兆し

‧ 投資は1級都市を中心に今後も伸びの鈍化が続く。3級都市でも需要減退に伴い今後減速に転じる

――― 地方都市の在庫調整進展に伴うデベロッパーの土地購入拡大の動きもみられ、投資の上振れリスクにも警戒

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

40

50

60

12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7

住宅販売面積

住宅開発投資

(前年比、%)

(年/月)

【 70都市新築住宅販売価格(都市別) 】【 住宅販売面積・実質住宅開発投資の推移 】

(注)1. 2012年1月~足元までの数値について、下位10%を緑、上位10%を赤で表示。販売面積対比在庫面積は、下位10%を赤、上位10%を緑で表示。

2. 都市別分類は国家統計局に基づく。(資料)中国国家統計局、CEIC Data、Windより、みずほ総合研究所作成

(注)住宅開発投資は、2016年の不動産業用途別投資額を用いて固定資産投資価格指数の建設及び設備系列を加重平均したデフレーターにより実質化。

(資料)中国国家統計局、CEIC Dataより、みずほ総合研究所作成

1級都市 2級都市 3級都市(前年比%) (前年比%) (前年比%)

2015/09 緩和 13.9 -1 .8 -3 .92015/10 緩和 16.1 -1 .0 -3 .32015/11 緩和 18.2 -0 .2 -2 .72015/12 緩和 19.9 0 .5 -2 .32016/01 緩和 22.4 1 .3 -1 .82016/02 緩和 25.6 2 .2 -1 .22016/03 引き締め 29.5 3 .5 -0 .62016/04 引き締め 31.5 5 .0 0 .22016/05 引き締め 29.8 6 .4 0 .82016/06 引き締め 28.5 7 .3 1 .32016/07 引き締め 27.1 8 .4 1 .82016/08 引き締め 28.2 10 .0 2 .42016/09 引き締め 29.4 12 .4 3 .72016/10 引き締め 28.5 13 .7 4 .82016/11 引き締め 26.8 13 .8 5 .72016/12 引き締め 25.0 13 .6 6 .22017/01 引き締め 22.7 13 .2 6 .62017/02 引き締め 20.0 12 .8 6 .92017/03 引き締め 16.9 12 .2 7 .32017/04 引き締め 14.4 11 .2 7 .72017/05 引き締め 12.3 10 .4 8 .32017/06 引き締め 10.0 9 .9 8 .82017/07 引き締め 8.4 9 .2 9 .22017/08 引き締め 4.8 7 .6 8 .82017/09 引き締め 1.6 5 .5 7 .8

ヒートマップ

②70都市新築住宅販売価格住宅政策スタンス

中国:党大会を経て習政権の基盤強化が実現。改革の動きが強まると想定

47

◯ 党大会終了後の一中全会を経て、習近平氏の「総書記」続投が決定。習氏と李克強首相を除く5名が新たに常務委員に

‧ 習氏に近いとされる人物が新指導部の多くを占めたことから、習氏がより指導力を発揮しやすくなったとの見方が強い

◯ 習政権は、GDP倍増目標の達成が見込めるだけの成長は維持しつつも、痛みを伴う改革に早期に着手すると考えられる

‧ 2018年末は改革開放40周年であり、改革の進展を示すために改革に向けた歩みを進める可能性あり

【 一中全会後に示された今後の節目 】【 習政権2期目の人事(中央政治局常務委員) 】

(資料)人民网(http://cpc.people.com.cn/19th/GB/414745/414893/index.html)より、みずほ総合研究所作成

(注)1. 「●」は第19期一中全会後に発表された役職(続投を含む)。2. 「・」は第18期時の役職であり、今後異動になる可能性もある。

(資料)各種資料より、みずほ総合研究所作成

氏名 年齢 新職位

習近平 64 ●中央委員会総書記●中央軍事委員会主席

李克強 62 ・国務院総理

栗戦書 67 (・前中央弁公庁主任)

汪洋 62 ・国務院副総理

王滬寧 62 ●中央書記処書記

趙楽際 60 ●中央規律検査委員会書記

韓正 63 (・前上海市書記)

年 イベント 内容

2018 改革開放40周年

国家統治システム・能力の現代化を継続推進し、各方面の改革をゆるぎなく進める

2019 建国70周年 「第13次5カ年計画」(2016~2020年)に掲げた任務を引き続き実行し、未来の発展のための新たな計画を策定する

2020 小康社会の全面的完成

全党全国の力を合わせ脱貧困を完成させ、約束を確実に果たす。民生の保障・改善に力を入れ、人民の獲得感・幸福感・安全感を絶えず強め、全人民の共同富裕を絶えず推進する

2021 中国共産党成立100周年

党の健全性を蝕む全てを一掃し、清く正しい政治風土を醸成し、強大な党のプラスのエネルギーにより全社会で中国の発展・進歩をはかる壮大な力を集結していく

Ⅲ.日本経済

48

~内外需バランスの取れた回復、真の夜明けの兆しも~

日本経済 ~ 海外経済の拡大、内需の堅調な推移から景気は回復

49

○ 2017年7~9月期(1次速報)は、約17年ぶりとなる7四半期連続のプラス成長。4~6月期の増加

の反動等から内需が減少したものの、IT関連輸出の増加を受けて純輸出が成長率を押し上げ

○ 2017年度の景気は回復。海外経済の回復や国内の在庫循環の改善、五輪関連や生産性向上

に関わる設備投資の増加、経済対策に伴う公共投資の執行が押し上げ要因に。個人消費は、

エネルギー価格の上昇が下押し要因となるが、耐久財の買い替えや中小企業を中心とした賃

上げの効果から、持ち直しを維持。2017年度成長率は+1.5%と、昨年度(+1.3%)から上昇

○ 2018年度は、輸出が減速するものの、内需が堅調に推移。2018年度成長率は+1.2%

○ 海外政治・経済情勢の不透明感は緩和しつつあるものの、中国経済の下振れ、北朝鮮リスク

には注意

○ エネルギー価格の前年比プラス幅が拡大し、コアインフレ率は一時的に1%台に。一方、エネル

ギー価格の影響を除く基調的なインフレ率は、緩やかな改善にとどまる

0.9

2.6

▲0.5

1.3 1.3 1.51.2

▲ 2

▲ 1

0

1

2

3

4

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(前年比、%)

家計

(消費+住宅)

公的需要

外需

企業

(設備+在庫) 実質GDP

予測

(年度)

現状・予測:2017年度の日本経済は内外需ともに回復。2018年度も内需が堅調に推移

50

◯ 7~9月期の実質GDPは前期比年率+1.4%と、約17年ぶりとなる7四半期連続のプラス成長。4~6月期の増加の反動か

ら内需が減少も、外需が成長率を大幅に押し上げ

◯ 2017年度の日本経済は+1.5%と予測。海外経済の緩やかな拡大が続くとともに、経済対策の執行も進み、景気回復

◯ 2018年度は+1.2%と予測。外需が減速する一方、内需が堅調に推移

◯ コアCPI(2017年度+0.7%、2018年度+1.0%)はエネルギー価格を中心に上昇。ただし、四半期ベースでは、2018年7~9

月期にピークをつける

(資料)内閣府「四半期別GDP速報」より、みずほ総合研究所作成

【 実質GDP成長率の寄与度分解 】 【 消費者物価の見通し 】

(資料)総務省「消費者物価指数」などより、みずほ総合研究所作成

▲ 1.5

▲ 1.0

▲ 0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

13 14 15 16 17 18 19

米国基準コア

エネルギー

食料(生鮮食品・酒類を除く)

生鮮食品を除く総合

見通し(前年比、%)

(年)

エネルギー主導で上昇

2018Q3:+1.1%

IT景気(99年Q1~00年Q4)

いざなみ景気(02年Q2~08年Q1)

今回(13年Q1~)

実質GDP

実質消費支出(%)

実質設備投資(%)

実質雇用者報酬(%)

雇用者数(%)

名目賃金(%)

需給ギャップ(%)

設備判断DI(%Pt)

失業率(%)

コアCPI(%)

コアコアCPI(%)

企業 経常利益(兆円)

財政 税収(兆円)

日経平均株価(%)

家計金融資産(%)

物価

GDP需要項目

(年率変化率)

雇用

需給関連

(水準)

金融

(年率変化率)

(年率変化率)

(年率変化幅)

2.4 1 .7 1.4

1.7 1 .1 0.6

6.2 3 .0 3.2

1.1 0 .5 0.8

0.6 0 .6 1.1

▲ 0.5 ▲ 0.5 0.2

▲ 0.7 1 .9 0.6

9.0 ▲ 0.0 ▲ 2.0

4.7 3 .9 2.9

▲ 0.4 0 .0 0.4

▲ 0.6 ▲ 0.4 0.3

2.4 0 .9 1.9

3.5 1 .4 2.9

1.4 3 .9 18.1

3.4 1 .4 3.0

日本経済の論点

51

◯ 論点①「真の夜明け」は近いか~雇用・需給・物価動向は改善。真の夜明けの兆しといえるが、課題も残存

◯ 論点②企業収益の好調とその波及~収益は、世界的な景気回復や市況改善が押し上げ。今後、消費や税収の下支えに

【 各景気拡張局面におけるマクロ経済指標の動向比較 】

(注) 各指標の棒グラフは、全指標を標準化(偏差値化)した上で、標準化後の値に基づいて作成。 (資料)内閣府「国民経済計算」などより、みずほ総合研究所作成

論点①:「真の夜明け」は

近いか?

論点②:企業収益の好調と

その波及

論点①日本経済の「真の夜明け」は近いか?

52

◯ 中曽日銀副総裁が、10月の講演で「今度こそ、真の夜明けが近いと信じるに足る、より多くの理由がある」と発言

‧ ①物価の基調的なモメンタムの維持、②足元の労働生産性の改善、③労働需給のひっ迫により成長戦略(労働市場改

革)を進めやすい状況にあることなどが、「真の夜明け」が近いと信じる根拠

◯ 過去の景気回復局面と比べ、今回は「真の夜明け」に近づくものの、個人消費の回復に課題

‧ 賃上げ率の上昇が、過去の回復局面と比べた大きな違い。もっとも、デフレ前に戻るには、かなりの時間がかかる

――― 2018年の賃上げ率は2.33%と予測。2017年の業績好調やエネルギーを中心としたCPIの上昇が押し上げ要因

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15 17

潜在資本投入 潜在労働投入 TFP

潜在成長率 実質GDP成長率

(%)

(年)

2.66

2.38

2.11

2.33

1.5

1.7

1.9

2.1

2.3

2.5

2.7

2.9

3.1

3.3

94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

(%)

予測値

(年)

【 春季賃上げ率の推移 】

(注)2018年はみずほ総合研究所による予測値。

(資料)厚生労働省「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」より、みずほ総合研究所作成

【 実質GDP成長率と潜在成長率 】

(注) 潜在成長率等はみずほ総合研究所による推計値。(資料)内閣府「国民経済計算」などより、みずほ総合研究所作成

「偽りの夜明け」

中国けん引で回復⇒リーマンショック

で途絶「真の夜明け」は近いか? 賃上げ率は

緩やかに改善

(参考)ネットワーク分析による「真の夜明け」の検証

53

◯ マクロ経済指標のネットワーク分析からも、「真の夜明け」は近づいているが、課題も残存

‧ 2000年代に比べると、今回は景気回復による賃金や物価への波及効果が強まっている

‧ 個人消費への波及効果が弱い点が、今後の課題

(注)季節性・トレンド除去済み。 (資料)経済産業省、厚生労働省、国土交通省などより、みずほ総合研究所作成

【 マクロ経済指標のベイジアン・ネットワーク分析 】

消費水準指数(除く住宅)

第3次産業活動指数

実質賃金

消費者物価指数

鉱工業生産(ラグ)

投資財出荷

株 価

鉱工業生産

公共工事

実質賃金やCPIに波及が拡大

消費への波及が課題

2016年 ― 2017年2000年 ― 2007年

論点②企業収益の好調とその波及:企業業績は、機械関連・素材関連ともに好調

54

◯ 2017年度の企業業績は、機械関連・素材関連ともに好調なことが大きな特徴

‧ 機械関連業種の業績好調の背景には、ITサイクル改善や世界的な設備投資の回復。省力化のために産業用ロボットな

どの投資が増えているほか、建設機械の稼働増から建機の投資も増加している模様

‧ 素材関連業種の業績には、需給引き締まりによる市況改善が貢献(次頁)

【 製造業・経常利益(2017年度会社予想、業種別寄与度) 】

(注)11月15日時点でデータが存在する企業の前年比を計算(連結:1456社、単体:440社)。(資料)日経NEEDSより、みずほ総合研究所作成

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

15/3 15/9 16/3 16/9 17/3 17/9

日本

北米

中国

(前年比、%)

(年/月)

【 建設機械の稼働時間推移(月次Komtraxデータ) 】

(注)機械稼働管理システム「KOMTRAX」を搭載したコマツ製建設機械(ミニ建機・鉱山機械を除く)の一台当たり月間平均稼働時間。

(資料)小松製作所「月次KOMTRAXデータ」より、みずほ総合研究所作成

日本・北米の稼働時間が改善5.76

1.96

1.79

1.69

1.46

3.12

6.17

3.68

0.930.590.48

▲0.1▲2

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

連結 単体

(前年比%)

その他

鉄鋼

機械

輸送用機器

化学

電気機器

化学

石油・石炭製品

電気機器

機械

輸送用機器

15.8%

11.8%

その他

論点②:素材業種では、供給制約による市況改善が業績を押し上げ

55

◯ 中国での環境規制強化等、供給制約が生じたことが市況を下支えし、とくに上半期の業績を押し上げ

‧ 鉄鋼は、 違法な鋼材の取締まりによる供給制約がアジア市況改善につながり輸出価格を押し上げ。足元鋼材市況は

やや軟調な動きとなっているものの、11月以降の粗鋼減産強化により底堅く推移

‧ 化学は、需要が底堅く推移する中、アジア地域での定修等に伴う需給タイト化が市況改善に寄与

【 国内・輸出向けの数量・金額伸び率(2017年4~9月) 】 【 素材業種の業績押し上げ要因 】

・鉄鋼需要は国内自動車向け等を中心に

堅調に推移

・中国の違法な鋼材の取り締まり強化等を

背景に中国の輸出量が減少し、アジア市

況改善に寄与

・需要の底堅さや供給制約が市況を下支え

・ITサイクルの改善が、エレクトロニクス関

連部材を手掛けるメーカーに恩恵

鉄鋼

化学

(資料)日本銀行「全国企業短期経済観測調査」、経済産業省「鉱工業指数」より、みずほ総合研究所作成

(資料)みずほ総合研究所作成

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

20

25

▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 20 25国内向け(前年比、%)

輸出向け(前年比、%)

はん用・生産用・業務用機械(数量)

鉄鋼(数量)

鉄鋼(金額)

非鉄金属(金額)

非鉄金属(数量)

はん用・生産用・業務用機械(金額)

素材系は市況改善により金額ベースで増加

化学(数量)

化学(金額)

90

100

110

120

130

140

150

13/4 13/10 14/4 14/10 15/4 15/10 16/4 16/10 17/4 17/10

ドル円

ユーロ円

(年/月)

(円/ドル・ユーロ)

論点②:対ドル、対ユーロでの円安は2017年度の上場企業収益を約1兆円押し上げ

56

◯ 対ドルに加え、対ユーロでの円安が進展

‧ 単純な試算では、2017年度の上場企業収益を約1兆円押し上げ

【 ドル円相場とユーロ円相場 】

(注)ドル円、ユーロ円変化が各社決算に与える影響に関する調査に基づき試算(ドル円:292社、ユーロ円131社)。対象企業数が限られるため、結果は幅を持ってみる必要。2017年度の為替レートはみずほ総合研究所予測値を採用。

(資料)東洋経済新報社「会社四季報・ワイド版(2017年1集)」、Bloombergより、みずほ総合研究所作成

【 ドル円・ユーロ円の変化が上場企業収益に与える影響 】

(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

▲ 2

▲ 1

0

1

2

2014 15 16 17

ユーロ円影響

ドル円影響

試算値

(兆円)

(年度)

論点②:資産効果、収益改善を追い風にした株高が個人消費回復に寄与

57

◯ 消費関数の推計による要因分解を見ると、資産効果が個人消費を一定程度押し上げ

‧ 2017年10~12月期も資産効果による押し上げを一定程度見込める状況

◯ 景気ウォッチャーのコメント数の推移をみると、資産効果・高額消費関連のコメント数は2006年初期と同程度まで増加

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

15/3 15/9 16/3 16/9 17/3 17/9

その他の要因

金融資産効果

実績値

(対数階差≒前期比、%)

(年/四半期)

予測値

【 消費関数による要因分解 】 【 資産効果・高額消費のコメント数(現状判断) 】

(注)資産効果と高額消費に関連する文書のうち、現状判断が◎、○の文書をカウント。(資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」より、みずほ総合研究所作成

(注)1. エラーコレクションモデルを推計し、金融資産は民間最終消費支出デフレータを用いて実質化。

2. 2017年7~9月期、10~12月期は日経平均株価指数を用いた予測値。(資料)各種資料より、みずほ総合研究所による試算

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

◎と○

(コメント数)

(年)

(参考)景気ウォッチャーのコメント分析による「資産効果」の検証

58

◯ 2017年は消費や景気などの語句に直接結びつかず。インバウンドとの関連が深いことを示唆

‧ 2013年は、消費や景気の回復や期待を高めたことが伺える

(注)出現パターンの似通った語句を抽出して結ぶ共起ネットワークを描いた。(資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」より、みずほ総合研究所作成

【 資産効果に関するコメント(現状判断)における語句の結びつき 】

<2017年(10月まで)> <2013年>

論点②:業績好調も、税収はもともとの法人税の想定が高いため、上振れにくい

59

◯ 報道によれば、2017年度の補正予算は1兆円超。みずほ総研による試算でも、0.8兆円までは国債発行なしで捻出可能

‧ 2016年度の決算剰余金や2017年度の既定経費削減(国債費など)により、1.5兆円程度を捻出可能

‧ 税収については、法人税以外は上振れ見込みだが、法人税が下振れる可能性あり

――― 2017年度の企業業績は好調だが、当初予算での法人税収の想定が高い(前年比+20.0%)ため、達成困難

‧ なお、補正予算の財源として、公共事業に当る部分は建設国債で賄う可能性大

◯ 2017年度補正予算では、EPAや人づくり革命などに関する対策費が盛り込まれる見通し

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

200001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

当初予算

決算

(兆円)

(年度)

【 2017年度補正予算財源の想定 】

(注)1.財政法第6条の純剰余金。2.2017年度の上振れ分。税収は2017年度当初予算を0.6兆円程度上振れる見込み。3.2017年度の法人税収を試算し、当初予算から差し引いたもの。当初予算12.3兆円から1兆円程度下振れる見込み。4.過去5年間(2012年度~2016年度)平均の国債費の減額分。当期間における決算ベースの国債費は、当初予算に比べて0.9~1.5兆円下回っている。

(資料)財務省などより、みずほ総合研究所作成

【法人税収の当初予算と決算の推移(2000~2016年度) 】

(資料)財務省より、みずほ総合研究所作成

当初予算達成のハードルは高い(前年比+20.0%)

項 目 財源の内訳(兆円)

2016年度の決算剰余金(一般会計)注1 0.4

税収(法人税除く)注2 0.6

法人税注3 ▲1.3

規定経費の減額注4 1.1

合 計 0.8

日銀:政策は当面据え置き。春闘を踏まえ総括的検証第2弾が行われる可能性も

60

◯ 金融政策は当面据え置きを予想。安倍政権は2019年10月の消費増税を掲げており、少なくとも増税までは利上げなどの

本格的な出口政策実施は困難。

◯ 来春の春闘で賃上げの動きが確認され、欧米との金融政策格差による円安環境を維持できると判断すれば、新総裁のも

と総括的検証第2弾が行われる可能性も。物価目標の位置づけや長期金利水準、ETF買入れなどが論点に

92

94

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100

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122

16/1 16/4 16/7 16/10 17/1 17/4 17/7 17/10

円 ドル ユーロ(2015年12月末=100)

(年/月)

【 実効為替レートの推移 】

(資料) 日本銀行より、みずほ総合研究所作成

【 展望レポート(2017年10月) 】

(注)政策委員の大勢見通し。( )内は政策委員見通しの中央値。

(資料)日本銀行より、みずほ総合研究所作成

実質GDP

消費者物価指数(除く生鮮食品)

消費税率引き上げの影響を除くケース

2017年度 +1.7~+2.0(+1.9)

+0.7~+1.0(+0.8)

7月時点の見通し +1.5~+1.8(+1.8)

+0.5~+1.3(+1.1)

2018年度 +1.2~+1.4(+1.4)

+1.1~+1.6(+1.4)

7月時点の見通し +1.1~+1.5(+1.4)

+0.8~+1.6(+1.5)

2019年度 +0.7~+0.8(+0.7)

+2.0~+2.5(+2.3)

+1.5~+2.0(+1.8)

7月時点の見通し +0.7~+0.8(+0.7)

+1.4~+2.5(+2.3)

+0.9~+2.0(+1.8)

(対前年度比、%)

Ⅳ.金融市場

61

~世界的株高、低金利環境が継続~

62

金融市場 ~ 株高、低金利環境持続。欧米出口戦略進行の影響に注視が必要

○ 金融市場は、2018年にかけて世界経済の回復を背景に緩やかな株高、低金利環境継続。欧

米金融政策の出口戦略進行に伴う影響には注視が必要だが、物価上昇に加速感が見られ

ない中、米独長期金利は2018年以降も緩やかな上昇ペースにとどまる。国内長期金利は日

銀の金利上昇抑制スタンスが続く中、横ばい推移

○ FRBは資産縮小を遂行するとともに、2018年に2%程度までの利上げを予想。ECBは資産購

入減額を進める。日銀は当面政策を据え置き、黒田総裁続投または中曽副総裁の総裁起用

を予想。春闘の結果や為替動向を踏まえ、総括的検証第2弾が行われる可能性も

○ 日米株は企業業績の改善などから上昇基調を維持。ただし、米国株はバリュエーション面で

割高感。金利上昇が調整のきっかけとなる可能性があり、リスク要因として留意が必要

○ ドル円相場は緩慢な米金利上昇を受け、ドル高進展は限定的に。北朝鮮問題悪化によるリス

クオフの円高に警戒。ユーロドル相場はもう一段のECBテーパリングが意識される過程で

ユーロ高が再び進む可能性

63

金融市場:日米株は企業業績を下支えに上昇基調維持。日米欧長期金利は低位推移

【 金融市場の予測(2017年11月) 】

(注) 網掛けは予測値。予測値は期中平均。但し、無担保コールO/N、FFレート、ECB主要政策金利は期末値。ユーロ円TIBORは360日ベース。スワップ5年は6カ月LIBORに対する固定金利払。為替相場はニューヨーク終値ベース。

(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成

2016 2017 2018 2019

年度 年度 年度 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3

日本

無担保コールO/N (末値、%) ▲ 0.06 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.07 ▲ 0.06 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05 ▲ 0.05

ユーロ円TIBOR (3か月、%) 0.06 0.06 0.06 0.06 0.06 0.06 0.06 0.06 0.06 0.06 0.06

金利スワップ (5年、%) ▲ 0.02 0.10 0.10 0.09 0.09 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10

新発国債 (10年、%) ▲ 0.05 0.05 0.05 0.04 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05

日経平均株価 (円) 17,520 21,000 23,100 19,503 19,880 22,000 22,600 22,800 23,000 23,200 23,500

米国

FFレート (末値、%) 0.75~1.00 1.50~1.75 1.75~2.00 1.00~1.25 1.00~1.25 1.25~1.50 1.50~1.75 1.75~2.00 1.75~2.00 1.75~2.00 1.75~2.00

新発国債 (10年、%) 1.97 2.30 2.50 2.26 2.24 2.35 2.40 2.50 2.50 2.50 2.50

ダウ平均株価 (ドル) 18,845 22,500 24,800 20,980 21,890 23,300 23,800 24,300 24,600 24,900 25,200

ユーロ圏

ECB主要政策金利 (末値、%) 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

ドイツ国債 (10年、%) 0.15 0.40 0.50 0.31 0.45 0.40 0.40 0.45 0.45 0.50 0.50

為替

ドル・円 (円/ドル) 108 112 115 111 111 113 114 115 115 115 115

ユーロ・ドル (ドル/ユーロ) 1.10 1.15 1.18 1.10 1.18 1.17 1.16 1.16 1.18 1.19 1.20

WTI原油先物価格 (ドル/バレル) 48 52 60 48 48 56 55 58 63 61 57

20182017

金融市場:欧米金融政策の出口進行に伴う市場変動リスクに警戒

64

◯ 投資家の不安心理を示すVIX指数は歴史的低水準が続く。低ボラティリティの反動による市場変動リスクに警戒

◯ グローバルな利回り追求の動きからハイイールド債市場などへの資金フローが増加。欧米金融政策の出口戦略が進む

なか、米金利急上昇などを契機に投資資金の逆流が生じるリスクに留意が必要

‧ 米ハイイールド債価格は、2016年初の中国ショックによる下落幅を取り戻し急速に上昇。エネルギー部門を投資対象と

するハイイールド債の価格は原油価格以上のペースで上昇

20

35

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65

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95

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80

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180

200

10 11 12 13 14 15 16 17

原油価格(右目盛)ハイイールド社債(エネルギーセクター)ハイイールド社債(全体)

(2010/1/1=100) (ドル/バレル)

(年)

【 VIX指数とスキュー指数の推移 】

(注)スキュー指数はS&P500指数のオプション市場の歪みが大きいほど上昇する。VIX指数はS&P500のオプション・インプライド・ボラティリティ指標であり、投資家の不安心理を示すと言われる。

(資料)CBOE、Bloombergより、みずほ総合研究所作成 (資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

【 ハイイールド社債価格と原油市場 】

0

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140

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160

90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16

VIX指数(右目盛)

スキュー指数

(年)

(Index) (Index)

欧米金利:米金利の上昇ペースは緩やかなものに止まる

65

◯ 市場参加者は先行きの利上げに対して慎重な見方。金利上昇は緩やかなペースに止まる

‧ FRBは2017年10月より再投資政策の縮小を開始したが、金利への影響は限定的

‧ 米大統領は次期議長にパウエル氏を指名。市場参加者の先行きの利上げ予想に大きな変化は無く、FRB見通しに比べ

慎重なまま

‧ 物価動向に強さがみられないなか、金利上昇は緩やかなペースに止まる

(注)FF金利先物市場からみた先行きの利上げパス。(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

【 市場参加者の米政策金利見通し 】【 米政策金利・短期・長期金利 】

(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

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3.5

10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

(%)

米10年国債利回り

米30年国債利回り

米2年国債利回り

FF金利(上限)

Libor3カ月物

2016年 2017年(月)

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2016 2017 2018 2019

2017/11/3

FRB見通し(2017/9, 中央値)

実績+総研見通し

(%)

(年)

欧米金利:期待インフレ率は高まっておらず、独金利は当面低位推移が続く

66

◯ 欧州経済は堅調だが、物価動向は弱く、独金利は当面低位推移が続く

‧ 仏独選挙を大きな波乱なく終え、景気が堅調さを維持するなか、欧州各国の対独スプレッドは総じて縮小傾向。S&Pは、

経済成長見通しの改善などを理由にイタリアを格上げ(BBB-→BBB、10/27)

‧ ECBの金融緩和縮小が実施されているものの、市場参加者は当面利上げが無いとみている模様

‧ 景気が底堅い一方物価は弱く、期待インフレ率は高まらず。独金利は当面低位推移が続く

1

2

3

4

5

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10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

(%)

(月)

イタリア

スペイン

フランス

ギリシャ(右目盛)

(%)

2016年 2017年

(注)期待インフレ率は5年先スタート5年物インフレ・スワップ・フォワードレート。(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

【 期待インフレ率と独10年国債利回り 】【 対独スプレッド 】

(注)各国10年国債利回りと独10年国債利回りとの差。(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

総じて縮小傾向

1.2

1.3

1.4

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

▲ 0.1

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0.1

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0.3

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0.6

0.7

11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

(%) (%)

(月)

独10年国債利回り

期待インフレ率(右目盛)

2016年 2017年

国内金利:10年国債は0~0.1%で推移。海外金利上昇局面での日銀の対応を要注視

67

◯ 10年国債利回りは、日銀のイールドカーブコントロールのもと、0~0.1%の間で推移

‧ 10年国債のフォワードレートは米大統領選後の米金利上昇を受け上昇基調で推移するも、日銀が2月に指値オペを実施

して以降は横ばい推移。市場は日銀のコントロールのもと金利変動の抑制長期化を織り込む

‧ 欧米金融政策の出口が進み、海外との金利差が拡大することにより円高リスクが低下したと判断すれば、2018年に向け

日銀は10年国債の金利目標水準を引き上げる可能性。海外金利上昇局面での日銀の対応に注視が必要

0.0

0.5

1.0

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10 11 12 13 14 15 16 17

(%)

(年)

イールドカーブ・コントロール導入

指値オペ実施

-1

0

1

2

3

4

5

6

7

8

▲0.5

0.0

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00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

(%) (%)

日本10年国債利回り

米10年国債利回り(右軸)

日米金利差(右軸)

(年)

(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成

【 日米10年国債利回りの推移 】 【 10年先10年国債利回り 】

(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成

日本株:海外投資家の買いがけん引し、92年1月以来の高値

68

◯ 日経平均株価は1992年以来となる水準まで上昇。時価総額では1989年12月末の日経平均史上最高値時点を上回る

‧ アベノミクス継続、力強い改善を見せている企業業績が日本株の評価を高め、海外投資家による日本株買いがけん引

◯ 短期的には上昇一服も改善基調が継続すると見込まれる企業業績を受けて2018年度にかけて上昇基調を予想

【 日本株(現物)の投資部門別売買動向 】

(注)年次データの2017年は10月までの月次データの累計。(資料)東京証券取引所より 、みずほ総合研究所作成

【 日経平均株価と東証1部時価総額の長期推移 】

(注)時価総額は東証1部(普通株)。(資料)日経Financial-QUESTよりみずほ総合研究所作成

0

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200

300

400

500

600

700

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

85 87 90 92 95 97 00 02 05 07 10 12 15 17

時価総額(右目盛)

日経平均株価

(円) (兆円)

(年)

96/6:22,666円

89/12:38,916円

▲30

▲20

▲10

0

10

20

30

17/1 17/4 17/7 17/10

信託銀行(年金等)事業法人投資信託個人海外投資家

(千億円) 月次

(年/月)

▲150

▲100

▲50

0

50

100

150

200

06 08 10 12 14 16

(千億円) 年次

買い越し

売り越し

(年)

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

2.4

2.6

95

100

105

110

115

120

16/7 16/9 16/11 17/1 17/3 17/5 17/7 17/9 17/11

ドル円相場

日米長期金利差(米-日)(右目盛)

(円/ドル) (%Pt)

(年/月)

為替:緩慢な米金利上昇でドル高進展は限定的。北朝鮮問題悪化による円高に警戒

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◯ 米金利上昇は緩やかで、ドルの上値は重い。北朝鮮を巡る緊張が高まった場合、リスクオフの円高が進む懸念も

‧ 米物価の伸びに力強さを欠くなか、米長期金利の上昇は緩慢に留まり、ドル高圧力の高まりは限定的に

‧ 米為替報告書(10/17)で日本は監視リスト対象継続。今後日米貿易交渉などの過程で、ドル高是正圧力が高まる可能性

◯ ユーロドルはECB政策理事会(10/26)後に一旦ユーロ安に戻す展開。カタルーニャ州独立騒動もユーロ売り材料に

‧ ECBによるもう一段のテーパリングへの期待が高まる過程で、再びユーロ高圧力が高まる可能性

(資料) Bloombergより、みずほ総合研究所作成

【 ドル円相場と日米長期金利差 】 【 米為替報告書(2017年10月) 】

(注)1.監視リスト対象5ヵ国の評価基準。図表上の数値は2016年7月~2017年6月の数値。2.前回(17年4月)より、対米貿易赤字が巨額で不相応なシェアを有する国は監視リスト国入りするとの基準が設けられた(中国が対象)。

(資料) 米財務省「為替報告書」より、みずほ総合研究所作成

評価軸大幅な

対米貿易黒字大幅な経常黒字

持続的・一方的な為替介入

主な基準巨額かつ不相応

対米貿易黒字が200億ドル超

貿易黒字がGDPの3%超

1年間のネット為替介入額がGDPの+2%超

単位 - (10億ドル) (%) (%)

中国 ✔ 357 1.3% ▲2.7%

日本 69 3.7% 0.0%

ドイツ 63 7.7% ―

韓国 22 5.7% 0.3%

スイス 13 10.3% 8.7%

原油:減産効果を背景に底堅く推移

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◯ ブレント原油は60ドル台を回復。6月に42ドルであったWTI原油も一時57ドルまで上昇

‧ 世界的な株高が続く中で原油市場にも投資資金が流入。減産効果による需給バランスの改善が原油投機の裏付けに

◯ 協調減産は再延長の可能性があり、原油相場は底堅く推移

‧ サウジアラビアの政情不安など中東の地政学的リスクも下支え要因に

‧ 産油国は需給を睨んだ生産を維持すると予想されることから、原油相場が再び下落するリスクは大幅に後退

【 原油相場と株式相場 】 【 原油相場の見通し 】

(資料)Thomson Reutersより、みずほ総合研究所作成 (資料)EIA、IMF、 Thomson Reutersより、みずほ総合研究所作成

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(ドル/バレル) (需要比、%)

(年)

原油相場(WTI)

需給バランス

(6カ月移動平均、右目盛)

需要超

(在庫減)↑

↓供給超

(在庫増)

原油相場

(WTI)

ダウ平均

新興国株

(MSCI)

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140

160

180

200

13 14 15 16 17

(2013/1/1=100)

(年)

(参考資料)主要国の政治日程

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(資料) みずほ総合研究所作成

2月 イエレンFRB議長任期満了

11月 中間選挙

上期 イタリア総選挙 上期 欧州議会選挙

10月 ドラギECB総裁任期満了

4月 黒田日銀総裁任期満了 3月 天皇退位(予定)

9月 自民党総裁選 4月 新天皇即位、改元(予定)

春頃 統一地方選挙

夏頃 参議院選挙

10月 消費税増税

5月迄 マレーシア議会選挙 4月頃 インドネシア議会選挙

秋 中国3中全会 5月迄 インド下院選挙

年内 タイ総選挙 7月頃 インドネシア大統領選挙

9月頃 オーストラリア上院下院選挙

秋 中国4中全会

3月 ロシア大統領選挙

7月 メキシコ大統領選挙

10月 ブラジル大統領選挙

2018年 2019年

米国

日本

その他

欧州

アジア

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