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2020 年 2 月 18 日 JATO Japan Limited プレスリリース 2019 年欧州新車販売台数レポート 2019 年の欧州市場は、世界市場の業績を上回り 直近 12 年間で最も多い販売台数を記録 12 月の土壇場での販売増により、それまで 1 年間続いていたマイナス傾向は覆された 欧州市場は、より厳しい規制と世界的な不確実性による困難があったものの、他国の業績を上回った SUV はマーケットシェアの 38.3%を占め、同セグメントの最高記録を更新 電動車の販売台数は、合計 128 万台となった 2019 年に世界の自動車業界を襲った乱気流は、欧州の新車販売へ害を与えるほど強いものではなかった。事実、欧州 27 カ国での乗用車販売台数は 1.1%増加しており、8%減となった中国、2%減となった米国とは対照的である。加え て、2019 年は欧州が成長を 5 年連続して記録した年であり、販売台数が 1,600 万台を超えた 2007 年以来の最多 販売記録を残した。合計して、2018 年比で 171,452 台増となる、15,757,412 台を売り上げている。 しかしながら、この好調な結果は、ほとんどが 2020 年の初めに施行された欧州の新しい排出規制に間に合うように、12 月に販売が増えたためである。事実、2019 年 11 月までの年度累計台数は、前年比で 0.4%減となっていた。新規制 で受け入れられない燃費の悪い車を取り換える直前の行動が、累積販売の数値をプラスへ変えたのだ。

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2020 年 2月 18日

JATO Japan Limited プレスリリース

2019年欧州新車販売台数レポート

2019年の欧州市場は、世界市場の業績を上回り

直近 12年間で最も多い販売台数を記録

▪ 12月の土壇場での販売増により、それまで 1年間続いていたマイナス傾向は覆された

▪ 欧州市場は、より厳しい規制と世界的な不確実性による困難があったものの、他国の業績を上回った

▪ SUVはマーケットシェアの 38.3%を占め、同セグメントの最高記録を更新

▪ 電動車の販売台数は、合計 128万台となった

2019 年に世界の自動車業界を襲った乱気流は、欧州の新車販売へ害を与えるほど強いものではなかった。事実、欧州

27 カ国での乗用車販売台数は 1.1%増加しており、8%減となった中国、2%減となった米国とは対照的である。加え

て、2019 年は欧州が成長を 5 年連続して記録した年であり、販売台数が 1,600万台を超えた 2007年以来の最多

販売記録を残した。合計して、2018年比で 171,452台増となる、15,757,412台を売り上げている。

しかしながら、この好調な結果は、ほとんどが 2020 年の初めに施行された欧州の新しい排出規制に間に合うように、12

月に販売が増えたためである。事実、2019 年 11 月までの年度累計台数は、前年比で 0.4%減となっていた。新規制

で受け入れられない燃費の悪い車を取り換える直前の行動が、累積販売の数値をプラスへ変えたのだ。

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JATO のグローバルアナリストである Felipe Munoz は「12月の結果は人為的なものであったが、11月までの間、欧州

販売が安定していたことにも留意すべきだ。昨年は業界にとって楽な期間ではなかったが、欧州は困難を前に、底強さを見

せた。問題は、この強さがより厳しい規制の下でも続くのかどうか、ということだ」

JATO のデータから、2019 年に欧州の 4 カ国が過去最高販売台数を記録したことが分かる。中でもポーランドは、ベル

ギー、デンマーク、スロバキア、ルクセンブルクを上回り、欧州で 6 番目に大きな市場となった。ハンガリーも 2007 年以来

の最多台数となり、ルーマニア、クロアチアも2008年以来最高の記録、ドイツも2009年来の最多販売となった。ただし、

すべての市場にとって吉報とはならず、イギリスやスペインを含む 12 カ国で、2018 年比で販売減となった。「よい結果と

なったのは、部分的には消費者にとってお買い得な条件によるものと、決定的には、市場の 58%を占める法人登録が

4%増となったことが影響している。その法人登録の内、大部分を自社登録が占めていることも、覚えておく価値がある」と

Munoz は述べた。

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電動車は全販売の 8.1%を占め、同タイプの世界新記録を樹立した。台数は 2018年比で 35%増となる、1,277,908

台となっている。この強力な成長は、12%減を記録したディーゼル車と、わずか 5%の成長となったガソリン車と対照的であ

る。Munoz は「電動車の販売が欧州市場で増えることで、世界市場での地盤も固まってきた。欧州は開発現場のハブとし

て重要であることに加えて、電動車の市場拡大という点でも無視できない市場である。ただ日本市場と、日本メーカーのハイ

ブリッド車には後塵を拝しているが」と述べている。

ピュア EV(BEV)は、356,300台を売り上げ、電動車の内の 28%を占めた。欧州の全乗用車においては 2.3%のマー

ケットシェアとなり、同タイプでの過去最高記録であった。この割合を超えたのは中国市場のみであり、販売台数は米国市場

よりも多い。

テスラは、電動車販売の並外れた結果を生み出

した、主要なブランドである。モデル 3 は市場に

登場して初めての年であったが、強大な結果を

出し、ピュア EV の最多販売モデルとなった。同モ

デルは、ミッドサイズプレミアムセダンながら

95,000台を売り上げ、全体販売ランキングでも

51位となっている。Munoz は「モデル 3 が、電

気自動車(BEV)の最多販売モデルとなり、そ

の他のプレミアムブランドよりも多くを売り上げたこ

とで、欧州市場の秩序を崩壊させたことは疑いの

ない事実である。しかしながら、このモデルが、必

ずしも多くの消費者が求めているボディタイプでな

い、セダンであることを考慮しなければならない。

電動 SUV が市場に投入され、消費者の選択

肢が広がったときにこそ、この成功は公平に評価

されるだろう」と述べた。2019年に輝かしい結果

を残したバッテリーEV(BEV)は、他にルノー ゾエ

(Zoe)、BMW i3、ヒュンダイ コナ(Kona)、アウディ E-Tron、ジャガー I -Paceがある。

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ハイブリッド車市場は、引き続きトヨタが大部分を占めており、レクサスと合わせれば、70%のシェアを握っている。しかしなが

ら、86,700台のハイブリッド車とマイルドハイブリッド車を売り上げた、メルセデスベンツとランドローバーの躍進により、トヨタ

はシェアを落とした。

販売台数の半分以上を電動車が占めているのは、テスラとトヨタの 2社のみである。次に比率が高いのは順に、ジャガー・

ランドローバー、ヒュンダイ・キア、ホンダ、ニッサングループとなった。電動車の構成率は、フォルクスワーゲングループで 2%、

ルノーグループで 3%、グループ PSA では 0.2%に留まる。Munoz は「電動車市場が確実に伸びている一方で、量産車

両の完全電動化からは、いまだ遠い位置にいる。欧州で多くを販売する自動車グループは、業界が期待していたほどの電

動車構成率を達成しなかった」と述べた。

SUV セグメントは、38%のマーケットシェアを獲得し、2019年は連続して 2桁成長を記録した 7年目の年となった。前

年比 12%増となる 6,030,481台を販売したが、600万台を突破したのは初めてのことである。しかし、SUV が 2018

年比でシェアを 3.6%ポイント拡大しているのに対し、サブコンパクトカー、MPV、コンパクトカー、エグゼクティブカーは、合わ

せて 3.6%ポイント縮小している。

SUVは、販売台数と利益を増やす原動力であり、欧州の自動車会社にとって極めて重要である。SUV のマーケットシェア

は、ほとんどをフォルクスワーゲングループが獲得しており、8.7%ポイント拡大した。そこへ続くのは、8.2%ポイント拡大した

ボルボ、6.5%ポイント拡大したスズキである。 フォルクスワーゲンの積極的な手法は、報われつつあると言える。2018年

から 37%増となる 138万台を売り上げ、欧州で 100万台以上の SUV を販売する唯一のメーカーとなっているからだ。

スモール SUV とコンパクト SUVは 2桁成長となり、ルノー キャプチャー、フォルクスワーゲン ティグアンがそれぞれのセグメン

トで首位となった。プレミアムカテゴリーでは、BMW X1が首位となったが、2位のアウディ Q3 と 3位のボルボ XC40は販

売台数を落としている。

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SUVの継続成長は、欧州で昔から人気のある車種の台数との引き換えによって生まれている。SUVがハッチバック、セダンが

MPVの売上を上回ったのは史上初のことである。Munozは「継続する SUVの成功は、欧州の自動車業界を作り変えてい

る。その意味するところは、年々厳しさを増す排出規制へいかに向き合っていくかといった、新しい挑戦である」と説明した。

本件に対するお問い合わせは下記までお願いします。

JATO Japan Limited

113-0024 東京都文京区西片 2-22-21 本郷 MK ビル 2F

Web: www.jato.com/japan/

Tel: 03-6801-9551

Email: [email protected]