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42 2021/03 東京倧孊広報誌 t a n s e i The University of Tokyo Magazine サむ゚ンスぞの招埅 「ネット 右翌」 は匱者ではなかった ロボットを創 るこずで人を知 る 特集 五神総長 の6 幎 ず 東京倧孊 知の協創の光は増幅する 次期総長 ずの特別察談、出来事幎衚、 寄皿、栌蚀、 デヌタで振 り 返る2015 2020

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東京倧孊広報誌

t a n s e i

T h e U n i v e r s i t y o f T o k y o M a g a z i n e

サむ゚ンスぞの招埅

「ネット右翌」は匱者ではなかったロボットを創るこずで人を知る

特集

五神総長の6幎ず東京倧孊知の協創の光は増幅する

次期総長ずの特別察談、出来事幎衚、寄皿、栌蚀、デヌタで振り返る20152020

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五神総長の6幎ず東京倧孊t a n s e i

T h e U n i v e r s i t y o f T o k y o M a g a z i n e42 2021/03

東京倧孊広報誌

発行日什和3幎 3月00日 線集発行東京倧孊広報宀 東京倧孊本郚広報課 〒113-8654 東京郜文京区本郷7䞁目3番 1号 TEL 03-3811-3393 FAX 03-3816-3913 E-mail[email protected] URLhttps://www.u-tokyo.ac.jp

422021/03

東京倧孊広報誌

総合図曞通「UTokyo Faculty Works」「新図曞通蚈画 アカデミック・コモンズ」で生たれ倉わった本郷の総合図曞通。赀絚毯の倧階段䞊の吹き抜け郚が広がっお窓が぀き、1階入口を入っお巊手に 2぀の展瀺スペヌスが出珟し、5階には飲食や歓談に䜿えるラりンゞもできたした。そしお芋逃しおほしくないのは、3階に登堎した「UTokyo Faculty Works」です。倧階段を䞊がっお正面の曞棚には東倧教員の著曞が勢揃い。りェブサむト「UTok

yo BiblioPlaza」ずの連携により、教員自身が曞いた内容玹介文が各々に぀いおいるのが特長で、他人の曞評を読むよりも著者の思い入れやこだわりがよく䌝わりたす。気になる本があればもちろん借り出し可。140幎の歎史ず知の銙りが暪溢する通でこれぞずいう䞀冊ず出䌚っおください。

t a n s e i

T h e U n i v e r s i t y o f T o k y o M a g a z i n e

サむ゚ンスぞの招埅

「ネット右翌」は匱者ではなかったロボットを創るこずで人を知る

特集

五神総長時代の東京倧孊知の協創の光は増幅する

次期総長ずの特別察談、出来事幎衚、寄皿、栌蚀、デヌタで振り返る6幎間

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t a n s e i

T h e U n i v e r s i t y o f T o k y o M a g a z i n e

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東京倧孊広報誌

今号の衚玙は、五神総長就任盎埌に始たった倧芏暡工事を終えお昚幎11月にグランドオヌプンした本郷の総合図曞通です。䌝統の本通を改修し、地䞋に300

䞇冊を収蔵できる自動曞庫ず亀流スペヌスを擁する別通を蚭け、アゞア研究図曞通も新蚭。新しい知の協創拠点が動き出したしたp.3の写真も。

 淡青42号は、五神総長時代の東倧を振り返り、増ペヌゞでお届けしたす。総長ず次期総長の察談から始たり、理事・副孊長などによる総括から、幎衚ず合わせお 6幎間の足跡がじっくりず芋えおきたす。孊倖有識者からのコメントでは 6幎間の達成ず課題が別の芖点で語られたす。倧孊債発行は瀟䌚の賛同を埗、囜際瀟䌚ずの぀ながりも匷くなったず評䟡された䞀方で、取組の展開には時の勢いが必芁ずいう蟛口のコメントや、女子孊生の 2割の壁に぀いおの指摘もありたした。「濃厚な」 6幎間を堪胜いただければさいわいです。30ペヌゞからはがらりず堎面転換し、デヌタ駆動型瀟䌚の行方を俯瞰したす。ネット濫甚の懞念に察しお「個人情報を䞊手に扱えば公共に圹立぀こずを日本人はもう知っおいたす」など、ネット瀟䌚をリヌドしおきた方の思いに心打たれたす。どうぞお楜しみください。

東京倧孊広報宀長 朚䞋正高

「淡青」に぀いお東京倧孊ず京郜倧孊圓時は東京垝囜倧孊、京郜垝囜倧孊が1920幎に最初の察校レガッタを瀬田川で行った際、抜遞によっお決たった色が「淡青」ラむトブルヌでした。本孊運動䌚応揎郚の旗をはじめずしお、スクヌルカラヌずしお定着しおいたす。

特集

p.03-29

線集発行東京倧孊広報宀

朚䞋正高広報宀長 地震研究所教授 広報誌郚䌚内田寛治医孊系研究科教授 䜐藀敎尚経枈孊研究科准教授 杉山枅圊 総合文化研究科准教授 高井次郎、小竹朝子、りィットニヌ・マッシュヌズ、青朚瑞穂 広報課 金吉恭子卒業生課、梶野久矎子卒業生郚門

※本誌ぞのご意芋・ご感想は[email protected]たでお寄せください。

アヌトディレクション现山田光宣现山田デザむンデザむングスクマ・クリスチャン、鈎朚沙季现山田デザむン 撮圱貝塚玔䞀p.1,3,4-7,8,22-27,32-35,36

印刷図曞印刷発行什和3幎3月12日

【淡青】お取り寄せ方法

p.04-07

総長×次期総長 特別察談 

いた぀ながれゆく 知の協創のバトン

p.08-19

東京倧孊クロニクル2015-2020

 䞻な出来事プレむバック改革のキヌパヌ゜ンから芋た6幎間

p.20-21

100 maxims五神時代の100研究者による盎筆栌蚀集

五神総長の6幎ず東京倧孊

テレメヌルで【淡青】を取り寄せるこずができたす。右のURL、たたはTEL自動応答電話にアクセスしお、資料請求番号をご入力ください。送料はご負担ください。

URL http://telemail.jp TEL 050-8601-010124時間受付資料請求番号793879  送料180円埌玍

p.32-35

ビペンド2020座談䌚村井玔×喜連川優×五神真×林銙里

p.22-27

孊倖有識者から芋たこの6幎の東倧 各界で掻躍する15人の寄皿集

p.28

デヌタで芋るこの6幎の東倧

p.29

匏兞プレむバック

「ネット右翌」は匱者ではなかった 氞吉垌久子ロボットを創るこずで人を知る 長井志江

サむ゚ンスぞの招埅

p.30-31

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特集

次期総長ずの特別察談、出来事幎衚、寄皿、栌蚀、

デヌタで振り返る20152020

五神総長の6幎ず東京倧孊

知の協創の光は増幅する

2015幎から東倧を牜匕しおきた総長が、

いた6幎間の任期を終えようずしおいたす。

第30代総長が攟った光は、激しく倉化する時代の

行き先を照らすだけでなく、匷い力を加えお

重量のある倧孊を次のステヌゞぞず抌し䞊げおきたした。

物理孊者が粟通するレヌザヌ光ずは違い、

倚様な広がりを芋せながら増幅しおきたその光の軌跡を、

本特集はいく぀かの偎面からトレヌスしたす。

浮かび䞊がるのは、瀟䌚倉革を駆動しお人類ず地球の未来に

貢献する知の協創の姿です。

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任期を終えようずしおいる五神真総長が、次期総長予定者の藀井茝倫理事・副孊長ず察談を行いたした。藀井先生は倧孊を真の経営䜓ずすべくずもに改革を進めおきた同志。これたでずこれからの東倧を語るにはこれ以䞊ないお盞手です。22幎の歎史を持぀本誌で初めお実珟した珟総長ず新総長の察談䌁画を仕切るのは、二人ずずもに汗を流しおきた癜波瀬䜐和子理事・副孊長。぀ながれる知のバトンの行方をご想像ください。

いた぀ながれゆく

珟総長ず次期総長が語るこれたでの6幎間ずこれからの6幎間

知の協創の バトン

工孊系研究科教授、理孊系研究科教授、理孊系研究科長を経お2015幎 4

月より総長。専門は光量子物理孊。著曞に『倉革を駆動する倧孊』東京倧孊出版䌚、『倧孊の未来地図』ちくた新曞』。

総長

GONOKAMI Makoto

五神 真

「経営」ずいう蚀葉を党孊文曞に䜿うこずにただ抵抗があったんです。藀井 あえお「経営」ず蚀わずに衚したしたね。五神 「公衚にあたっお」でも「倧孊の経営や運営に぀いお」ず曞くにずどめたした。「自立歩行する仕組みを」ず曞いたのはたさに「運営から経営ぞ」の意です。党孊で共有できる点を磚くこずに泚力したした。策定埌は党郚局の教授䌚を巡っおビゞョンの進め方に぀いお質疑応答を行いたした。トップダりンずボトムアップの繰り返しは垞に意識したした。藀井 総長の思いを普遍的な衚珟で瀺すこずに泚力したした。圓時の資料を芋盎しおみたら、地球があっお、知の公共性、東倧、倚様性ず卓越性があっお  ずいう図が出おきたした。SDGsずいう蚀葉は出おきたせんが、内容はSDGsず通底しおいたす。「21䞖玀の地球瀟䌚」ずいう捉え方をし、空間軞ず時間軞に觊れながら公共性に぀いお話す郚分には、いたやらなくおはならない、ずいう危機感が結び぀きたす。今埌の経枈成長は環境に配慮しながらでないずいけないずいう思いを蟌めおいたした。

トップダりンずボトムアップ の繰り返しでビゞョンを策定

癜波瀬 2016幎 3月の本誌座談䌚「淡青」32号では、五神総長が次の 6幎間の指針に぀いお集䞭的に怜蚎したずありたした。2015幎10月の「東京倧孊ビゞョン2020」公衚たでの経緯や思いをたずお䌺いしたいず思いたす。五神 藀井先生も含め、䜕人かのメンバヌず議論しながら草皿を䜜り、それをもずに科所長䌚議の堎で郚局長の先生方の意芋を聞き、緎り䞊げおいきたした。指針は党孊皆で合意しお進めないずいけないず考えたからです。発出に際しおは、ビゞョンずしお語りたかった私自身の思いを「東京倧孊ビゞョン2020の公衚にあたっお」ずいう別文曞で衚珟したした。たずえば「資本䞻矩や民䞻䞻矩ずいった珟代瀟䌚を支える基本的な仕組みの限界も露わに」ずいう蚀葉です。圓初はビゞョン本文に入れおいたしたが、さすがにそこたで曞くのは、ずいう指摘もあっお倖したした。「倧孊の経営や運営に぀いお、埓来の発想から脱し、そのあり方を転換するこずが䞍可欠」の郚分もそう。圓時

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知の協創の バトン癜波瀬 本誌座談䌚で「公共性」ずいう蚀葉を最初に発蚀されたのは藀井先生でした。藀井 倧孊は䞖界の公共性に貢献しないずいけないずいうのが倧前提でした。先の図には「21䞖玀の地球瀟䌚」ず曞きたしたが、新しい公共性を創るこずが倧孊の目指すべき方向性です。倧孊単䜓ではなく孊倖ず連携しお䞖界の新しい公共性を創ろうずいうのは、総長ず起草メンバヌずで早い時期から共有しおいたした。癜波瀬 五神総長ずいうず、産孊協創の圢を䜜られたこずも重芁な功瞟だず思いたす。組織察組織での包括連携ずいう構想に぀いお䌺えたすでしょうか。

経営者ずの議論で芋えおきた 新しい産孊連携のスタむル

五神 就任埌、各業界のトップリヌダヌず話をする機䌚が増え、䜕に投資をすればいいのかが芋えないず蚀われたのがヒントになりたした。総長就任前に開始した光科孊をテヌマずするCOI※事業での䌁業ずの連携プロゞェクトの経隓が背景にありたす。通垞の産孊共同研究で小粒なものが倚いのは、連携盞手の窓口ずなる䌁業の郚眲のレベルでは倧きな予算を決裁する暩限がないからだずわかりたした。倧きな構想で共同研究を進めるにはトップず盎接合意するしかないず思ったのです。普通の共同研究の契玄では、研究費は䜜業に必芁な経費の合算で決たりたす。これでは倧孊が生む知の䟡倀はれロ査定も同然。そこで、組織察組織の連

携をたずトップ同士で合意し、䜕に投資するかを䞀緒に考え、それにふさわしい契玄をするべきだず気づきたした。 ただ、それを実行するには東倧の䜓制が脆匱すぎたした。案件ごずに個別の事情を考慮した契玄曞を曞ける専門家は䞍圚。23の雛圢から遞び無理に圓おはめるしかなかったのです。法曹資栌を持぀プロをしっかり配備しお知財郚門を匷化するこずにしたした。23幎かかりたしたがきちんず敎備するこずができたした。藀井 私は五神総長の任期 4幎目に本郚の圹職に就くたでは、生産技術研究所の所長ずしお、所党䜓ず䌁業ずの総括的な産孊連携掻動を掚進しおいたした。圓時、五神総長から「本気の産孊連携」をやりたいず蚀われたこずをよく芚えおいたす。五神 産孊連携の本堎ずもいえる生研の所長だったのが藀井先生で、研究所だけで進めるには倧きすぎる案件を理事ずしお本郚に持ち蟌んでくれたした。野心的なものが沢山ありたしたが、そうしたものも受け止められる䜓制が最初の 3幎間で䜕ずか敎っおいたんです。藀井 トップはもちろん、実行郚隊同士もしっかり関係性を構築しないず産孊協創は進みたせん。担圓理事ずしおそこには気を配りたした。五神 藀井先生が瀟䌚連携本郚長になっおから開拓した案件は倚いですね。タタ・コンサルタンシヌ・サヌビシズTCSずの協創協定もその䞀぀でした。藀井 TCSはデゞタル技術でトップクラスの䌁業で、むンドず日本の関係を考える䞊でも非垞に重芁です。DXに取り組む東倧がTCSず手を組むのは瀟䌚にずっおもよいこずだず考えたした。癜波瀬 TSMC※ずの連携でも藀井先生がキヌパヌ゜ンだったず聞いおいたす。五神 2018幎の12月に台湟出匵するこずになったので、Global Advisory Board

のメンバヌでもある、TSMC創業者のモヌリス・チャンさんに盞談したした。光科孊のCOI事業で2014幎にTSMCを蚪問したこずがあり、そのずきに東倧はTS

MCず連携するべきず感じおいたのです。ずころが、チャンさんは2018幎の倏に匕退しおおり、埌継のマヌク・リュヌさんず話すようにず勧められたした。私はリュヌさんずは面識がなかったのですが、幞運なこずに、藀井先生がリュヌさんず既に知り合いになっおいたのです。藀井 その幎の 9月、京郜で行われたフォヌラムに参加した際に垭がたたたた隣で、今床台湟に行ったら寄らせおほしいず話したんです。連絡甚アドレスも教えおもらっおいた旚を総長に䌝えたした。五神 ならいっしょに行こう、ずなりたした。先方ずは事前の盞談をしおいなかったのですが、ぶっ぀け本番で半導䜓の最先端プロセス技術に぀いおの連携を持ちかけたのです。私の専門に近いこずもあり、包括的ずいうよりは技術的・戊略的な話を䞭心にしお、その堎で䞀緒にやろうずいうこずになりたした。TSMCは

ビゞネスではハヌドルが高い䌚瀟ず蚀われたすが、東倧に敬意を持っおくれおいたおかげで話が順調に進んだのです。藀井 半導䜓分野で蓄積しおきたアカデミアの぀ながりが効いたず思いたす。癜波瀬 ぀ながりずいう意味では、卒業生の力は今埌たすたす重芁になっおいくのではないでしょうか。藀井 瀟䌚連携には卒業生ずの連携も含みたす。倧孊の理念や取組みに察しお卒

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五神 任期䞭ずっず、DXを掻甚しお知識集玄型瀟䌚ぞの転換を進めようず蚀い続けたこずがコロナ察応ずいう意味でもよい準備ずなったずいえるでしょう。ただ、倧孊の掻動は顔を合わせお議論しながら知恵を生むこずが基本です。画面越しのやりずりには限界があるず痛感しおいたす。象城的だったのは総長補䜐䌚です。各郚局から遞ばれた気鋭の教員が総長補䜐ずなり、倧孊運営の芖点で働くこの仕組みは、教員の成長の機䌚でもありたす。執行郚ず顔を合わせお課題に向き合うなかで磚かれるものがあるんです。今幎のメンバヌもコロナの䞭で倧倉頑匵っお頂いおいたす。しかし、盎接顔を合わせる機䌚がなく、䟋幎なら終盀で感じる「ひず皮むけた達成感」を満喫できおいないかもしれないず感じたす。ほかの堎面でも同様のこずが起きおいるず想像したす。オンラむンだけでは限界があり、倧孊の機胜を十分発揮できおいないのではないかず危惧しおいたす。掻動制限も長期化しおいたすので、倧きく頭を切り替えお察応を考えるべき時期にきおいるず思いたす。癜波瀬 教職員も孊生も、倧孊党䜓がこれたでずは違う経隓をしおいたす。この状況が瀟䌚の分断を深刻化しおいるこずぞの懞念が倚くのずころで芋受けられたす。藀井先生はそうした最䞭に総長を匕き継ぐわけですが、いかがでしょうか。藀井 アカデミアは目をそらさずに解決策を探らないずいけたせん。できないからやめる、ではダメ。制限のなかでいか

査䌚には海倖からの委員も参加しおおり、最終的には東倧の構想が評䟡され、指定囜立倧孊ずなりたした。構想を玠早く実行するために、2017幎倏に未来瀟䌚協創掚進本郚FSIを総長盎䞋の組織ずしお発足させおいたに至りたす。FSIでは藀井先生に掻躍しお頂いおいたす。このバッゞも藀井先生の䞻導ですね。

バッゞを芋お「これは䜕」ず思うこずから構想が広がる

藀井 FSIを支える基金を創蚭するように総長に蚀われたしたが、このバッゞのむメヌゞは最初から頭にありたした。寄附者にお配りし、東倧ずずもに地球ず人類瀟䌚の未来に貢献しようずしおいるこずをバッゞを通じお呚りに広めおもらえたらよい埪環が生たれるず思ったんです。癜波瀬 バッゞを぀けおいるずよく「これは䜕 ?」ず泚目されたす。藀井 そう聞いおもらうこずが東倧の構想を実珟する第䞀歩になるず考えたした。五神 その幎の11月に経団連が䌁業行動憲章を改蚂したしたが、それはSDGsず

Society 5.0を前面に出すものでした。経枈界を代衚する団䜓が舵を切り、東倧の構想を埌抌ししおくれた圢でした。癜波瀬 メッセヌゞを広げようずしたずき、様々な分野で掻躍する卒業生は力になりたすね。藀井 東倧の卒業生組織には、地域同窓䌚連合䌚ず校友䌚の 2぀がありたすが、䞡者は団結しおずもにやっおいこうずしおいたす。五神 䞡䌚の皆さんが真剣に考え、任期䞭に倧同団結しようず蚀っおくれ、2019

幎 3月に芚曞が亀わされ、昚幎10月に事務局の䞀郚兌務ずいう圢で倧同団結の第1段階が始動したした。その10月末に地域同窓䌚連合䌚の有銬朗人䌚長ず話したした。残念なこずに有銬先生ずはこれが最埌になりたしたが、懞案の解決を芋届けおいただけお良かったず思いたす。癜波瀬 いたも只䞭にありたすが、五神総長の終盀はコロナ犍ずの戊いでした。

人文瀟䌚系研究科教授を経お2019幎4月より理事・副孊長囜際、総長ビゞョン広報担圓。専門は瀟䌚孊。著曞に『生き方の䞍平等』岩波新曞、『日本の䞍平等を考える』東京倧孊出版䌚。

理事・副孊長

SHIRAHASE Sawako

癜波瀬䜐和子

業生を含む瀟䌚の皆さんの共感を埗るこずは非垞に重芁です。五神 寄附を担圓する枉倖本郚を瀟䌚連携本郚に統合し担圓理事を藀井先生にお願いしたしたが、これは重芁な改組でした。以前は皆、個々には頑匵っおいおも組織ずしお力を発揮するには至らなかったんですが、そこが劇的に倉わりたした。藀井 別々に掻動しおいた枉倖本郚ず卒業生宀を䞀括りに瀟䌚連携本郚に入れたした。それたでは、卒業生の集たりに行っお寄附を呌びかけおも、「ここは寄附をもらいに来るずころではない」ず冷ややかに蚀われるこずもありたしたが、倧孊の瀟䌚貢献にはお金が必芁であるこずを䞁寧に説明し続けたこずで、颚向きは倉わっおきたように思いたす。癜波瀬 さお、2017幎には指定囜立倧孊の審査がありたした。圓時の様子を䌺えたすでしょうか。五神 このずきは「運営から経営ぞ」ず明確に打ち出したしたが、もう孊内でダメずいう人はいたせんでした。ただ、SDGsを前面に掲げた私たちの構想は文科省での審査䌚では予想以䞊に䞍評でした。総花的すぎる、具䜓的な絞り蟌みがほしい、などず。他倧ず違い、東倧は倧孊を地球ず人類瀟䌚の未来のために掻甚するずいう理念を匷調したしたが、審査員には倧颚呂敷に芋えたのかもしれたせん。でもそのずき私は、本気でした。審

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に工倫しおやるかが重芁。その意味で、昚幎のオヌプンキャンパスで実斜した「バヌチャル東倧」※はよい事䟋です。党孊で同様の詊みを積み䞊げたいです。癜波瀬 総長には倧きな決断が求められたす。たずえば今幎床、新孊期を倉曎せずに孊事暊を運甚するこずを五神総長は決断されたした。藀井 私も重芁な刀断が求められるずきが来るでしょう。総長ずしお倧孊のどの郚分にリ゜ヌスを投入するかずいう刀断がたず求められるず思いたす。

総長が䞀人で刀断しないず いけないこずが䜕床かある

五神 コロナ犍が任期の最終幎だったのは幞いでした。その堎で難しい刀断をしなければならないこずが床々ありたしたが、孊内倖の信頌感を積み䞊げおきたからこそ䜕ずかなったのです。これが 1幎目だったら盞圓厳しかったず思いたす。歎代総長を手䌝うなかで知りたしたが、総長が䞀人で刀断しないずいけないこずはやはりありたす。ある意味総長は孀独。仲間はいおも、同じ立堎の人は他にいない。そこは割り切るしかないず思いたす。癜波瀬 やり残しずいう点では、ダむバヌシティが挙げられたす。残念ながら、孊郚の女性比率ずいうこずでは効果があたり芋られたせんでした。五神 むンクルヌシブネスの点で、残念ながら東倧は理想からはるか遠いずころにいたす。しかし、それはダむバヌシティの远求が東倧の䞀番倧きなのびしろだ

ずいうこずでもありたす。女子孊生比率で最も遅れおいる東倧が、女性掻躍に資する瀟䌚を創るこずを先導する行動を瀺し続けるこずが重芁。珟圚の東倧の状況に぀いお倖囜で䌝えるず「䞍健康な状態」だずいわれたす。私も総長をやりながら実感しおきたこずですが、この感芚が孊内でもただ十分共有されおいない。これが䞀番の問題なのです。藀井 危機意識を匕き継いでさらに前に進めないずいけないず思っおいたす。むンクルヌシブネスに配慮しながら掻動を拡げるこずにポゞティブな䟡倀を芋出すのが䜕より重芁です。これは私が総長ずしお打ち出す指針のキヌコンセプトに据えたいず思っおいたす。五神 昚幎6月に女子孊生ず語る「UTo

kyo Woman’s Zoom Café」をやりたしたが、あれはコロナ犍ゆえに生たれた奜むベントでしたね。安田講堂に集たるのは倧倉ですが、Zoomなら気軜に参加できたす。画面越しですがじかに話せたずいう感觊も持぀こずができたようです。癜波瀬 総長ず盎接話した孊生は以前よりかなり増えたず思いたす。このあたり、藀井先生はどうお考えでしょうか。藀井 男子孊生ずもやったほうがいいですね。ダむバヌシティずいう意味では、留孊生ずも話したい。五神 有限の時間を䜕に䜿うかずいう刀断が必芁ですが、ここは絶察に䜿う䟡倀のあるずころですね。癜波瀬 ダむバヌシティ掚進の匷い思いを䞡先生から聞けたずころで、時間ずなりたした。あらためたしお、五神総長はこれたでの 6幎間、本圓にお疲れ様でした。藀井先生はこれからの 6幎間、どうぞよろしくお願いしたす。

生産技術研究所教授、生産技術研究所長を経お2019幎 4月より理事・副孊長財務、瀟䌚連携・産孊官協創担圓。専門は応甚マむクロ流䜓システム。趣味は氎泳、緑道ゞョギング。

察談日2021幎1月22日

理事・副孊長

FUJII Teruo

藀井茝倫

※COI文郚科孊省によるCenter of Innovationプログラム。10幎埌を芋据えた革新的な研究開発を支揎。※TSMCTaiwan Semiconductor Manufacturing

Company。䞖界最倧の半導䜓メヌカヌ。※「バヌチャル東倧」孊生有志が3DCGモデルで再珟した本郷キャンパスにスマホやPCでアクセスし自由に芋お回れるずいう䌁画。総長ず藀井理事の3Dアバタヌも掻躍。

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8

144幎を数える倧孊の歎史から芋れば、6幎なんおあっずいう間です。寛氞の時代からこの地で氎を悠然ず湛えおきた池からすれば、倧孊の歎史さえ倧したものではありたせん。しかし、孊生ずしお、教職員ずしお、卒業生ずしお、瞁あっおこの堎に居合わせた人間にずっおは、この6幎間はきっず特別なものだったはずです。70幎を䞀期ずすれば、二期目から䞉期目ぞの架橋ずなった五神時代。ここからの12ペヌゞでは、この間に倧孊の歎史に刻たれた出来事を時系列で振り返りたす。出来事の数々は倧孊の掻動を淡 ず々、心字池の氎面は明日も朚々を青 ず々映し出すこずでしょう。

東京倧孊クロニクル

この6幎間にあった䞻な出来事プレむバック

改革のキヌパヌ゜ンから芋たこの6幎

2015-2020

倧孊を運営する執行郚ずしお、執行郚を支える同志ずしお、五神時代の東京倧孊を総長ずずもに動かしおきた14人の教職員が、各々が担圓しお進めおきた改革の珟状ず課題に぀いお振り返りたす。

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9

梶田隆章先生のノヌベル物理孊賞受賞が決定。

硬匏野球郚が六倧孊野球で法政倧孊に勝利。

5/23

連敗を94でストップ。

 2017幎、東京倧孊は「地球ず人類瀟䌚の未

来に貢献する『知の協創の䞖界拠点』の圢成」

ずいう構想を掲げ、指定囜立倧孊法人に指定

されたした。この協創の効果的掚進のための

叞什塔ずしお同幎 7月に蚭眮したのが「未来

瀟䌚協創掚進本郚FSI」です。FSIは五神

総長を本郚長ずしお掚進の䞭心に眮いた、研

究・教育を暪断する党孊的組織です。FSIの理

念は、囜連が2015幎に採択したSDGsです。

SDGsは、2030幎たでに党人類にずっおより

平等で公平な瀟䌚を䜜るためのガむドラむン

で、貧困・飢逓、医療・犏祉、クリヌンな゚

ネルギ、平和など17分野の課題を掲げおい

ぞず発展し、本孊の倚様な掻動の基盀ずなっ

おいたす。たた「未来瀟䌚協創基金FSI基

金)」を蚭立し、理念に賛同くださる方から

ご支揎をいただき぀぀、本事業の瀟䌚ぞの浞

透を図っおいたす。

第30代総長の誕生ず垫の志を継ぐノヌベル賞

珟堎の特城を螏たえた支揎が肝

若手研究者支揎

宮園浩平理事・副孊長

10/6

小柎昌俊先生に続く神岡からの快挙。

東京倧孊協創プラットフォヌム開発株匏䌚瀟を蚭立。

1/21

ベンチャヌ創出のための事業を実斜。

若手教員の無期雇甚化の促進制床を開始。

11/1

総長が郚局キャラバンをスタヌト。

11/11

2月たでに党26郚局を蚪問し、珟堎の声を吞収。2018幎床には2回目を実斜。

五神時代の指針「東京倧孊ビゞョン2020」を公衚。10/22

「卓越性ず倚様性の盞互連環」が基本理念に。

東京倧孊ニュヌペヌクオフィスを開蚭。

11/6

梶田隆章先生に特別栄誉教授の称号を授䞎。

2016/1/18

4タヌム制を開始。

2015/4/1

1幎の課皋を 4孊期で実斜する仕組みに。

自転車郚の浊䜑暹遞手が党日本孊生遞手暩で優勝。

6/14

研究倫理教材コンテストを開催。

9/7

五神真総長が就任蚘者䌚芋。

4/17

10項目の所信を公衚。「倚様性を掻力ずする協働」「䞉぀の基瀎力」「知のプロフェッショナル」「知の協創の䞖界拠点」などのキヌワヌドが登堎。

ペット郚クルヌザヌ班が䞖界遞手暩に出堎。

8/31

皇倪子殿䞋・劃殿䞋が生研を芖察。9/17

藀井茝倫所長がお出迎え。

五十嵐圭日子先生らの技術がギネス䞖界蚘録™に。

1/27

酵玠のX線結晶構造解析で最高解像床を蚘録。

駒堎生協食堂で朝食半額キャンペヌンを実斜。

5/18

入孊匏の総長匏蟞を受けお。

磯貝明先生らがマルクス・ノァヌレンベリ賞を受賞。9/28

「森のノヌベル賞」受賞はアゞア初。

2015幎床

個人ロヌドレヌス。東倧初の快挙。

新蚭のFSIが党孊の叞什塔に

未来瀟䌚協創

犏田裕穂理事・副孊長

ビゞョン圢成分科䌚

連携支揎分科䌚

囜際卓越教育分科䌚

産孊協創分科䌚

孊知創出分科䌚

未来瀟䌚協創掚進本郚 Future Society InitiativeFSI本郚長総長構成科所長䌚議メンバヌ

AI INT 量子INT グロヌバル・コモンズINT

デヌタプラットフォヌム掚進TF

囜際連携TF

産孊協創ラボINT

※INTむニシアティブ、 TFタスクフォヌス

囜際化教育TF 囜際卓越倧孊院TF 囜際卓越孊郚教育TF

瀟䌚連携TF

次䞖代サむバヌむンフラINTd3INT

゜フトバンク東倧ラボ

TCS東倧ラボ

䞉井䞍動産東倧ラボ

䜏友林業東倧ラボ

ダむキン東倧ラボ

IBM東倧ラボ

日立東倧ラボ

日本ペむント東倧ラボ

たす。FSIはSDGsを柱に、それを

掻甚した未来瀟䌚ビゞョンの共有、

孊際融合分野・新分野の創出、グ

ロヌバル化の戊略的掚進、倚様な

セクタヌずの協働掚進などを通し

お、地球ず人類瀟䌚の未来ぞの貢

献に向けた協創を目指したした。

  0から立ち䞊げたFSIは珟圚、

ビゞョン圢成分科䌚、孊知創出分

科䌚、連携支揎分科䌚、囜際卓越

教育分科䌚、産孊協創分科䌚、各

皮タスクフォヌス及びむニシアテ

ィブからなる事業掚進組織右図

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10

「東京倧孊ビゞョン2020」を具珟化する取組みがスタヌト

にはそれぞれの特色があり、こうした制床も

研究分野によっお䜿いやすい堎合ずそうでな

い堎合があるこずでした。たずえば、半幎で

も取埗できるようになったサバティカル研修

や、「而立賞」授䞎を2020幎床から加えた孊

術成果刊行助成制床は、文系の若手のむンセ

ンティブに繋がったように思いたす。こうし

た特城を本郚が把握しながら研究を支揎する

こずが倧切だず改めお感じおいたす。 

 東倧が始めた囜際卓越倧孊院教育プログラ

ムWINGSは18件に成長し、孊生の皆さん

にはむンセンティブになっおいるず思いたす。

文科省の卓越倧孊院プログラムは東倧で 3件

の採択でしたが、今埌は新たな圢の支揎が開

始されるこずを期埅したす。若手研究者の育

成、女性や海倖の研究者など教員のダむバヌ

シティの掚進は匕き続き東京倧孊党䜓の課題

ずしお次の執行郚に蚗したいず思いたす。

スポヌツ・健康科孊の発展に向けお

スポヌツ先端科孊掚進

境田正暹理事

゜りル囜立倧孊ず戊略的パヌトナヌシップ協定を締結。

7/22

スポヌツ先端科孊研究拠点を蚭眮。

5/19

総合研究博物通がリニュヌアルオヌプン。

5/14

マテリアルむノベヌション研究センタヌを蚭眮。

7/1

倧隅良兞先生のノヌベル生理孊・医孊賞受賞が決定。

10/3

教逊孊郚助教授時代にオヌトファゞヌ研究を開始。

六倧孊野球開幕戊の始球匏で五神総長が登板。

2016/4/13

日立東倧ラボを蚭立。

6/20

超スマヌト瀟䌚の実珟ぞ向けおの連携。2018幎には連携の構想が本に。

連携研究機構制床の第 1号ずしお。

NHK孊生ロボコンで優勝した東京倧孊RoboTechが銖盞を蚪問。

8/15

その埌のバンコク倧䌚では 3賞を受賞。

卓越研究員制床を開始し初幎床の20人が決定。

10/5

研究のスタヌトアップ経費を 2幎間支絊する制床。

生態調和蟲孊機構の花ハスが品皮登録される。

11/7

名は「月のほほえみ」。出願から 2幎越しの成果。

情報基盀センタヌのスパコンが囜内最高性胜ず認定される。

11/14

Oakforest-PACSがストレヌゞ性胜のランキングで䞖界 1䜍に

囜際卓越倧孊院コヌスWINGSが実質スタヌト。

9

理孊系研究科のGSGCが皮切りに。

高倧接続研究開発センタヌを蚭眮。10/1

次䞖代知胜科孊研究センタヌAIセンタヌを蚭眮。

10/1

NECずの総合的産孊協創を開始。

9/2

第䞀匟の掻動ずしおAIの分野で協定を締結。

 若手研究者の支揎のため、2016幎床に東京

倧孊卓越研究員制床が開始されたした。スタ

ヌトアップなどに比范的自由に䜿える研究費

幎300䞇円が 2幎間支絊されたす。郚局長が

掚薊するものず公募で遞出するものがあり、

前者で遞ばれた若手研究者は 5幎間で109人

を数えたす。りェブサむトなどで研究内容を

玹介しおいたすが、この制床を通じお研究者

同士の繋がりが生たれるなどコミュニティの

圢成にも圹立っおいたす。公募型は2018幎床

に開始し、過去 2幎で17名を遞出したした。

 2017幎床に始めた若手研究者囜際展開事業

では、研修や孊䌚で海倖に行く際の旅費を支

揎しおいたす。2020幎床はコロナ犍で海倖枡

航の機䌚が制限されたしたが、オンラむン孊

䌚でも盞圓の参加費が必芁な堎合もあり、本

事業は十分な成果をあげおいるず思いたす。

 支揎に携わっお痛感したのは、各々の郚局

 五神総長は、「最先端のスポヌツ科孊を通

じお人間の身䜓や健康に぀いおの理解を深め

るこずにより、誰もが䜓ず心の健康を維持・

向䞊させるこずができるむンクルヌシブな瀟

䌚の実珟に貢献する」ずの考えのもず、圚任

期間を通じお東京倧孊のスポヌツずの぀なが

りをか぀おないほどに深められたした。最も

象城的な斜策は、スポヌツや健康に関連する

孊内の倚様な研究の盞互連携ず、これによる

新たな䟡倀創出を目的ずするスポヌツ先端科

孊研究拠点UTSSIの蚭立です2016幎 5

月。「トップアスリヌトずトップサむ゚ンテ

ィストのコラボレヌションにより研究を加速

詊合は早皲田倧に0-1

で惜敗。

総長が政府の未来投資䌚議の議員に。

9/12

2020幎 7月たで党42回の䌚議で提蚀。

第55回䞃倧孊総合䜓育倧䌚䞃倧戊で4幎振り11回目の総合優勝が決定。

9/14

歎代最高埗点での栄冠。9月24日に衚地匏を実斜。

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11

させる」方針のもず、これたで、日本スポヌ

ツ振興センタヌ、日本障がい者スポヌツ協䌚、

日本サッカヌ協䌚、党日本テコンドヌ協䌚等

ずの間で連携協定を締結したした。珟圚、各

競技団䜓の日本代衚遞手や匷化指定遞手等に

もご協力頂きながら、東京オリンピック・パ

ラリンピック倧䌚でのメダル獲埗はもずより、

競技力向䞊、コンディショニング匷化、怪我

予防等を目的ずした研究プロゞェクトが進め

られおいたす。たた、駒堎、本郷、柏のキャ

ンパス内の運動斜蚭や競技堎にハむテクカメ

ラやフォヌスプレヌトなどのハむテクセンサ

ヌを備え付け、実際の詊合や緎習における遞

手の運動デヌタをリアルタむムで取埗し、解

析するためのセンシングフィヌルドの敎備も

怜蚎されおいたす。藀井次期総長のもずでも、

スポヌツ・健康に関する東京倧孊の掻動がい

っそう発展するこずを祈念しおいたす。

月の科所長䌚議に「職員人事制床の再構築プ

ラン」が提瀺され、①耇線型キャリアパスの

圢成、②近隣倧孊等ずのアラむアンスの構築、

③倚様な雇甚制床の導入、④再雇甚職員の凊

遇・掻甚の芋盎しずいう 4぀の方向性が瀺さ

れたした。私が着任した2018幎 4月から玄 3

幎間は、これらを倧きく膚らたせながら具䜓

化しおいく日々でした。

 総長は、これたでのように正芏職員䞭心で

人事制床を考えるのではなく、有期雇甚職員

たで本孊の倧切な職員であり、党員のための

雇甚環境敎備が重芁だず繰り返し説かれたし

た。この圓然の前提が、いかに過去の職員人

事の芖点に欠けおいたかを痛感したす。再構

築プランずそのフォロヌアップを進め、他倧

孊にはない、数々の新制床が導入されたした。

正芏職員向け氞幎勀続者衚地を党職員察象の

感謝状莈呈匏に芋盎したこず、任期のない基

日本で䞀番働きやすい倧孊に

職員人事制床改革

里芋朋銙理事

URA認定制床を開始。

12

研究者に近い堎で掻動する郚局配眮型。

倧隅良兞先生に特別栄誉教授の称号を授䞎。

2/22

匷制猥耻事件で有眪刀決を受けた孊生5人に懲戒凊分。

12/7

3人を退孊、2人を停孊 1幎に。

スキヌ郚の石原湧暹遞手が䞖界遞手暩に出堎。

3/5

孊生スキヌオリ゚ンテヌリング党皮目で日本遞手トップに。

䞉厎臚海実隓所が130呚幎を迎え、䞉浊真珠プロゞェクトを開始。

1/28

神奈川県、ミキモト、京急、みうら持協ずの連携。

駒堎900番教宀で授䞎匏ず講挔䌚を実斜。

東京倧孊卓越教授の称号を梶田隆章先生ず十倉奜玀先生に授䞎。

3/22

東倧・経団連ベンチャヌ協創䌚議が発足1/16

革新的なベンチャヌの創出・育成に向けお。

攟射光分野融合囜際卓越拠点、生物普遍性研究機構、光量子科孊連携研究機構が発足。

12/1

懲戒凊分盞圓を公衚。

3/3

分生研の加藀茂明教授らの論文䞍正を認定。

東京倧孊公匏広報動画「Utokyo/Society」を公開。2017/1/23

瀟䌚に繋がる東倧の姿を描いた 2分間。

創立140呚幎蚘念展瀺を総合研究博物通が開始。

3/18

「赀門̶̶溶姫埡殿から東京倧孊ぞ」。囜宝時代の暙柱も展瀺。

日本サッカヌ協䌚ず連携協定を締結。

12/16

スポヌツ医孊・科孊研究をずもに掚進。

数理・情報教育研究センタヌが発足。2/1

Utokyo BiblioPlazaがスタヌト。

3/30

東倧教員が自著を玹介するりェブサむト。

生態調和蟲孊機構の花ハスが品皮登録される。

2016幎床

 五神総長は、職員向け行事で必ず「私は総

長ずしお東京倧孊を日本で䞀番働きやすい倧

孊にしたいず考えおいたす」ず述べられたす。

この蚀葉を耳にするたび、自分はどれだけ総

長の匷いご意志の実珟に貢献できおいるだろ

うかず身の匕き締たる思いがしたす。東京倧

孊ビゞョン2020には、教員の研究時間の確保、

効果的な教職協働が掲げられおいたす。教員

の研究時間を確保するためには、職員の責任

暩限を明確化し、職員がプロ集団ずなり、事

務遂行を安心しお任せられるよう発展しなけ

ればなりたせん。

 そのための人事制床改革ずしお、2016幎12

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12

幹職ずしおの職域時間限定職員制床の敎

備、郚長職ず同栌の「䞊垭技術専門員」の蚭

眮などは、総長が「日本で䞀番働きやすい倧

孊に」ずいうぶれない軞を瀺し続けられなけ

れば実珟しなかったでしょう。

 総長任期最埌の倧仕事ずしお、優秀な有期

雇甚職員を倧芏暡に正芏職員に転換する手続

きを進めおいたすが、次の課題は倚皮倚様な

人材が䞀぀になっお力を発揮できるような環

境づくりではないかず考えおいたす。

な研究倧孊であるこずは呚知できたした。今

埌は、成長著しい東南アゞアの諞倧孊ずも協

力しながら共に発展する段階に入るでしょう。

 コロナ犍にあっお党面オンラむン化した日

本語教育の取組みでは、留孊生や研究者だけ

でなく、その家族も参加できるずいう利点が

生たれたした。研究宀では英語が通じるずし

おも、街に出れば日本語ができたほうが楜で

す。東倧に来る人は、孊術以倖に日本や日本

文化に興味を持っおいるこずも倚く、日本語

の需芁は倧きい。その支揎を匷めれば東倧に

来たい人はさらに増えるはずです。

 東倧は新しい囜際化を䜓珟し぀぀ありたす

が、あえお蚀えば、課題は日本人孊生の送り

出しがそれほど増えおいないこず。 4タヌム

制で短期留孊に行きやすくなるず期埅したし

たが、ただ十分には掻甚されおいたせん。今

埌に期埅したす。

真の囜際化のための改組を敢行

グロヌバルキャンパス掚進

盞原博昭倧孊執行圹・副孊長

創立から140幎の節目に指定囜立倧孊法人ぞラむフサむ゚ンス連携研究教育拠点、臚床生呜医工孊連携研究機構、地震火山史料連携研究機構が発足。

2017/4/1

宇宙から垰還した倧西卓哉さんが報告䌚。

6/12

ISSぞ持参した淡青旗を東倧ぞ返還。

本郷の囜際孊術総合研究棟が完成。

8/30

経枈孊郚、公共政策倧孊院、文孊郚が共甚。

フィヌルドスタディ型政策協働プログラムの開始を発衚。

4/5

地域の課題に孊生が珟堎に入っお挑む詊み。

ヒュヌマニティヌズセンタヌが発足。

7/1

文系 8郚局による連携研究機構。

生産技術研究所附属千葉実隓所が機胜移転。

5/15

生研発祥の地西千葉から柏ぞ。

第1回「環境安党衛生スロヌガン」を発衚。7/4

総長宀の䞋にIRデヌタ宀を蚭眮。

4/1

倧孊の意思決定を支揎する情報を取り扱う。

文科省から指定囜立倧孊法人の指定を受ける。

6/30

「知の協創の䞖界拠点構想」が認められる。

ストックホルム倧孊矀ず戊略的パヌトナヌシップ協定を締結。

9/25

未来瀟䌚協創掚進本郚FSIを蚭眮。

7/4

本郚長は総長。地球ず人類の未来に貢献するために。

党日本軜量玚遞手暩゚むトで挕艇郚が決勝進出。

5/26

12幎ぶりの快挙。決勝では 4䜍に。

総合図曞通別通ラむブラリヌプラザがオヌプン。

7/10

胜動的な孊習や研究亀流のための広堎。

UTokyo

FSIThe University of Tokyo Future Society Initiative

新蚭されたアゞア倧孊連盟AUAに加盟。

4/29

アゞアの囜・地域を代衚する研究型倧孊15校の連携。

来は、海倖に関わるこずは専門の郚眲が担う

䜓制でしたが、囜際化が進むに぀れ、海倖か

ら来た人にも日本人ず同様に察応すべきだず

いう考えが広がりたした。様々な囜の人たち

が自然に倧孊生掻を送れる堎を目指すグロヌ

バルキャンパスモデル構想を2016幎頃から本

栌化させ、2018幎 4月に改組したした。教育

・孊生支揎や囜際亀流、囜際戊略に関わる郚

眲を䞀぀の傘の䞋にたずめたわけです。

 同時期に囜際総合力認定制床Go Global

Gatewayを始めたした。留孊、語孊孊修、

留孊生ずの亀流などの掻動を行った孊生がそ

れを申請し、倧孊が認定する仕組みで、個々

の掻動履歎を瀺すポヌトフォリオも甚意。珟

圚では䞀幎生の玄 4割が登録しおいたす。

 戊略的パヌトナヌシップの盞手校は、この

6幎で10倧孊に増えたした。いわゆる欧米有

力倧孊ずの連携は定着し、東倧がグロヌバル

 この 6幎で特筆すべきは、囜際本郚のグロ

ヌバルキャンパス掚進本郚ぞの改組です。埓

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13

 䞉四郎池の由来はよく知られおいたす。小

説の䞻人公が、池の呚りを散策するこずに続

けお身に着けた習慣は、図曞通に出入りする

こずでした。䞊京しお日も浅い䞀倧孊生が驚

いたのは、どの本を借り出しおみおも、誰か

が目を通した跡が残っおいるこずです。

 この゚ピ゜ヌドが瀺しおもいるように、倧

孊図曞通ずは、過去を未来ぞず繋ぎ、知のバ

トンを受け継いでゆく空間です。図曞通は、

倧孊ずその知の象城なのです。

 五神総長の 6幎間がさたざたな倉革の 6幎

間であったこずはよく知られおいるずころで

す。五神総長の斜策が、しかし、歎史ず䌝統

を受け止めお、それをより豊かな未来ぞず匕

き枡そうずするものでもあったこずは、五神

時代を象城する事業の 1぀が総合図曞通の新

通建蚭ず本通改修であるこずに衚れおいたす。

 新図曞通蚈画ずも、アカデミックコモンズ

ずも呌ばれたその事業は、予算蚈画から始た

り、ダム建蚭にも比すべき倧工事を経お、

2020幎秋にグランドオヌプンを迎えるこずが

できたした。10幎䜙に及ぶ案件でしたが、そ

の埌半が五神時代の 6幎間ず重なり、五神総

長の任期埌半の 3幎間は私が附属図曞通長を

務めさせお頂いた期間ずもなりたす。関係各

方面のご尜力によっお、総合図曞通は生たれ

倉わるこずができたした。あらたな研究組織

を含む機構の敎備ず、デゞタル化時代ぞの察

応等が、工事を終えたいた喫緊の課題ずしお

浮かび䞊っおおりたす。䞀局のご支揎をお願

いしお、拙文の結びずさせお頂きたす。

知の歎史ず䌝統を未来ぞ継承

新図曞通蚈画

熊野玔圊倧孊執行圹・副孊長

先端研が創立30呚幎匏兞を開催。

10/11

藀田誠先生のりルフ賞化孊郚門受賞が決定。

2/19

日本からは 2人目。分子の自己組織化の研究に高評䟡。

硬匏野球郚の宮台康平投手を日本ハムがドラフト7䜍指名。

10/27

2004幎の束家卓匘投手以来。

医科孊研究所が創立125呚幎・改組50呚幎の匏兞を開催。

11/29五神総長が゜りル倧孊の入孊匏で祝蟞。

3/2

「知に支えられた真の共感」をずメッセヌゞ。

次䞖代ニュヌトリノ科孊連携研究機構、ワンヘルス連携研究機構、感染症連携研究機構が発足。

10/1

若手研究者囜際展開事業を創蚭。

11

研鑜や発信のための海倖枡航に経費を支絊。

東京郜女性掻躍掚進倧賞の優秀賞を受賞。

1/18

男女共同参画宀の加速的取組みに高評䟡が。

ニュヌロむンテリゞェンス囜際研究機構が発足。

10/10

本孊で 2぀目のWPI拠点ずしお。

第1回グロヌバル・アドバむザリヌボヌド・ミヌティングを開催。

11/27

埓来のプレゞデンツ・カりンシルの機胜をより匷化。

䜎枩センタヌが蚭立50呚幎蚘念匏兞を開催。

2/21

競技ダンス郚が党日本孊生遞手暩で5連芇を達成。

12/10

合わせお 5組が各郚門で個人優勝。六倧孊野球で15幎ぶりに勝ち点を獲埗。

10/8

秋季リヌグで法政倧に連勝9-2、8-7。

バヌチャルリアリティ教育研究センタヌが発足。

2018/2/1

東京倧孊創立140呚幎蚘念講挔䌚を開催。

10/21

2017幎床

宇宙線研究所がスヌパヌカミオカンデのゞグ゜ヌパズルを発売。

10/27

その難解さからTwitterで評刀に。

Kavli IPMUが10呚幎蚘念匏兞を開催。

11/8

数孊、物理孊、倩文孊の䞖界拠点に成長。

躰道郚が党囜孊生倧䌚10連芇を達成。

11/22

蚈11競技に出堎し 8競技で優勝。

「倉身」した五神総長

囜際求心力匷化

矜田 正倧孊執行圹・副孊長

 任期前半の五神総長は、孊内の様々な制床

改革に泚力され、率盎に蚀っお、倧孊の囜際

展開ぞのご関心は高くありたせんでした。し

かし、孊内改革の目途が立った任期埌半にな

るず、「囜際」ぞの察応はがぜん積極的、戊

略的になりたす。優先順䜍が䞊がったのです。

転換点は、2018幎 5月に囜際倧孊連合IARU

の議長校をお匕き受けになった時だず思いた

す。䌚議から戻られた総長が「議長校を匕き

受けた」ずおっしゃるのを聞き、私は驚愕し

たした。それたでの総長の「囜際」察応から

は想像できない倧胆な決断だったからです。

 これ以埌、囜内、海倖の䌚議や招埅講挔な

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14

るこずでしょう。

 2004幎に本孊の産孊連携本郚が蚭眮された。

圓時の産孊連携掻動は共同研究の振興から始

たっおいる。共同研究の件数は増加し、2014

幎には党囜最倚の1400件超になったが、ほ

ずんどは数癟䞇円芏暡で、本栌的な瀟䌚実装

に぀ながるものはたれだった。他倧孊でも状

況は同様であり、このような背景から、政府

は2015幎圓時「本栌的な組織ず組織の連携」

を掚進すべきだずする政策を打ち出した。

 2015幎に五神総長の打ち出した産孊協創は、

政府が想定した斜策を凌駕する斬新な構想に

産業界の倉革に至る道筋を提瀺

産孊協創

枡郚俊也倧孊執行圹・副孊長

キャンパスの歎史的建築を続 ず々リノベヌション

懲戒凊分盞圓の公衚。

4/27

分生研の枡邊嘉兞元教授の研究䞍正を認定。

モビリティ・むノベヌション連携研究機構が発足。7/1

教育孊郚附属䞭等教育孊校の70呚幎蚘念匏兞。

6/1

枅華倧孊ず戊略的パヌトナヌシップ協定を締結。

7/23

囜際総合力認定制床がスタヌト。

4/12

愛称は「Go Global Gateway」

岩柀雄叞教授が囜際叞法裁刀所裁刀官に。

6/25

日本からは 4人目の遞出。

定量生呜科孊研究所を蚭眮。

4/1

分子现胞生物孊研究所を改組。

䞭倮食堂の絵画廃棄に぀いおのお詫びを発衚。

5/8

宇䜐矎圭叞䜜「きずな」を工事䞭に廃棄する過倱。

本郷・䞭倮食堂がリニュヌアルオヌプン。4/2

140呚幎蚘念。2階郚分はカフェに倉身。

総長が北海道挔習林を芖察。

8/6

囜際プログラミングコンテストで本孊チヌムが入賞

4/19

140チヌム䞭の4䜍で金メダル獲埗。

党孊りェブサむトを党面リニュヌアル。

6/27

先端研が「くたモン」を研究員に任呜。6/9

熊本ずの連携を加速。2019幎には論文の筆頭著者に。

倧気海掋研究所附属囜際沿岞海掋研究センタヌの新棟が完成。

7/20

東日本倧震灜で被灜した倧槌の斜蚭が再建。

本郷に保育園を新蚭。

4

ポピンズナヌサリヌスクヌル東倧本郷さくら。

埮生物科孊むノベヌション連携研究機構、地域未来瀟䌚連携研究機構が発足。

2018/4/1

ど、様々な機䌚をずらえおご自身のお考えを

英語で積極的に発蚀されるようになりたした。

「知識集玄型瀟䌚においお瀟䌚倉革を駆動する

倧孊」ずいう総長提唱の新しい倧孊像は、䞖

界各地の倧孊やビゞネスのリヌダヌ、知識人

たちに鮮烈な印象を䞎えおいたす。

 囜際総合力認定制床創蚭、東京フォヌラム

の幎次開催、Global Advisory Boardの掻甚

などずずもに、2019幎の東京カレッゞの蚭立

も、この「倉身」した五神総長のむニシアテ

ィブによるものです。海倖の卓越研究者招聘

ず孊内研究者ずの孊術亀流、分野暪断的テヌ

マの共同研究、優れた研究成果の発信が、こ

の新組織の重芁な䜿呜です。海倖の研究者を

巻き蟌んだ様々な新しい孊術掻動に挑戊しお

ゆきたす。

 かくしお、五神総長の時代は、東倧の囜際

展開が本栌化した時期ずしおも長く蚘憶され

基づくものであった。最倧の特城は、倧孊ず

産業界ずの郚分的な連携ではなく、組織のビ

ゞョン自身の創造を産孊が取り組むずころか

らスタヌトしたこずである。産孊が共通の目

暙をもずに、基幹的掻動の重なりを倧幅に拡

倧するこずで、「本栌的な連携」を成し遂げ

ようずするものであり、Society5.0に向けた

「瀟䌚倉革を駆動する倧孊」が、独自の知財

創出掻動や関連ベンチャヌ創出なども掻甚し

お、産業界の倉革を促す倧胆な意図を持぀も

のであった。成果は日立補䜜所やダむキン工

業などずの産孊協創の目芚たしい発展に結実

した。連携は囜内にずどたらず、IBMやTSM

Cずの連携を栞ずしたゲヌトり゚む構想、ベ

ンチャヌ゚コシステム創造における倧䌁業ず

のカヌブアりトベンチャヌ創出などにも及ん

でいく。䌁業ニヌズに基づく共同研究の振興

の域を超え、たさに産業界の倉革に至る道筋

蚘念怍暹を実斜。文孊郚の垞呂実習斜蚭も芖察。

©2010熊本県くたモン

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15

 2020幎10月に東京倧孊FSI債を゜ヌシャル

ボンドずしお発行したした。これは、日本で

初めおの倧孊債発行であり、コヌポレむトフ

ァむナンス型の債刞発行を可胜ずする囜立倧

孊法人法の政省什の改正、倚様なステヌクホ

ルダヌずの盎接察話の仕組みの敎備、統合レ

ポヌトの発行、倧孊債ずいう新しい金融商品

に察する垂堎の理解など倚くのハヌドルを乗

り越えるこずが求められたなかで、五神総長

の匷いリヌダヌシップにより実珟をしたもの

です。200億円芏暡の債刞発行に察しお、倚

様な局の投資家から、その 6倍を超えるオヌ

ダヌがあり、垂堎に歓迎される圢で、発行を

成功させるこずが出来たした。

 五神総長は、21䞖玀の地球瀟䌚に貢献する

「知の協創の䞖界拠点」ずなり、瀟䌚倉革を

駆動する圹割を果たすこずを東京倧孊の行動

指針ずしお掲げられおきたした。このビゞョより良い未来のための資金埪環を創出

経営䌁画

坂田䞀郎副孊長

「志ある卓越。」が東京倧孊キャッチコピヌに。12/27

140呚幎の公募。孊際情報孊府の囜分峰暹さん䜜。

䟡倀創造デザむン人材育成研究機構が発足。

12/1

囜際高等研究所に東京カレッゞを蚭眮。

2/1

テヌマは「2050幎の地球ず人類瀟䌚」。

ダむキン工業ずの産孊協創協定を締結。

12/17

産孊連携の枠に収たらない人材亀流を開始。

東アゞア藝文曞院を開蚭。

3/1

北京倧孊ずのゞョむント研究・教育プログラム。

理孊系研究科の倧小田結貎さんがBBC「今幎の女性100人」に。

11/27

惑星系の成り立ちの研究に高評䟡が。

陞䞊運動郚の近藀秀䞀遞手が箱根駅䌝に出堎。

2019/1/2

前幎の悔しさを越えお1区を疟走。

100出資により東京倧孊゚クステンション株匏䌚瀟を蚭立。

12/3

実践的リカレント教育を提䟛。

情報セキュリティ教育研究センタヌが発足。

2/1

自動車郚の地頭所光遞手が幎間総合王者に。

12/25

幎 6回の電気自動車レヌスで競う倧䌚。

東京倧孊卓越教授の称号を藀田誠先生に授䞎。

3/22

2018幎床

ペット郚クルヌザヌ班が䞖界遞手暩に出堎。

8/27

日本代衚 4組のうち孊生チヌムは本孊のみ。

理孊郚1号通東棟竣工匏を開催。

9/5

20幎越しの 1号通敎備蚈画が完了。

山䞊䌚通がリニュヌアルオヌプン。

10/11

140呚幎蚘念。囜際基準の䌚議堎が出珟。

日本の倧孊ずしお初の統合報告曞を発行。

10/26

財務情報ず掻動情報を統合。

囜際ミュオグラフィ連携研究機構が発足。

9/1

高校生・受隓生向けサむト「キミの東倧」を正匏オヌプン。

11/5

を瀺したものずいえる。

 このような詊みは䞖界的にも䟋を芋ないも

のであり、 6幎間で完結するものでもない。

FSI事業やグロヌバルコモンズなどの掻動を矅

針盀ずした瀟䌚倉革には、囜内倖の䌁業ずの

連携はたすたす重芁ずなる。この産孊協創を

䞀局発展させるには、囜立倧孊時代の硬盎的

な共同研究契玄の制床や、投資的掻動になじ

たない財務䌚蚈制床の刷新など、課題はただ

倚い。しかし「産孊連携」ではなく「産孊協

創」であるべきずの䞭栞的メッセヌゞは、こ

の先も、東京倧孊の瀟䌚ずの関係を瀺す理念

ずしお定着しおいくこずは間違いない。

ンを実珟するためには、東京倧孊が自ら戊略

を立おお行動する胜動的な経営䜓ずなり぀぀、

その圹割を拡匵しおいく必芁がありたす。倧

孊債ずいう新しい枠組みは、それに欠かせな

い自由裁量床の高い先行投資資金を獲埗する

ための切り札ずなりたした。知識集玄型瀟䌚

の到来によっお、知を集積する倧孊ぞの期埅

が高たるなか、倧孊債は、東京倧孊に限らず、

囜立倧孊の戊略的な経営実珟のための重芁な

手段ずしお泚目をされおいたす。

 倧孊債の発行にあたっおは、日本電気、ダ

むキン工業、䜏友林業、JSRほか東京倧孊ず

未来瀟䌚協創FSIを進める䌁業を含めた

45瀟もの䌁業から、゜ヌシャルボンドに察す

る投資衚明を行っおいただきたした。初回の

発行にかかわらず、第 6回サステナブルファ

むナンス倧賞を受賞するこずも出来たした。

垂堎ずの察話を通じた倧孊債の運甚を通じお、

圢のバリ゚ヌションA

アメフト郚が関東孊生リヌグ1郚TOP8に昇栌決定。

11/18

䞋䜍ブロックのBIG8で優勝し自動昇栌。

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16

瀟䌚が期埅する次䞖代ぞの投資先に倧孊がな

り、SDGsの達成を含めたより良い未来瀟䌚

の実珟に向けた資金埪環を創り出す姿を瀺し

たこずの意矩も倧きいず考えられたす。

情報開瀺に関する改革を行いたした。

 たず、2015幎床に予算配分制床の倧きな倉

曎が行われたした。財務戊略宀およびその䞋

に蚭けられたWGにおいお集䞭的な議論を行

い、2016幎 1月の科所長䌚議においお、珟圚

行われおいる 1次・ 2次・ 3次配分、抂算芁

求ず孊内ヒアリングによる評䟡ずいう珟行の

予算配分制床の骚子が瀺されたのです。この

制床倉曎の結果、各郚局の予算ず事業が孊内

で共有されるようになりたした。たた、本孊

の皮々の掻動状況の把握に資するデヌタ収集

ず分析を目的ずしおIRデヌタ宀が2017幎床に

蚭眮されたした。

 本孊の姿を瀟䌚に瀺す努力も始たりたした。

2015幎床に株䞻総䌚が始たり、財務レポヌト

が発行されたした。財務状況に加えお、教育、

研究、瀟䌚ずの連携ずいった掻動に぀いおも

䌝えようず、2018幎床からは財務レポヌトに

真の経営䜓に倉わるための端緒に

財務改革

有銬孝尚総長特任補䜐

意識は倉わっおきたがただ道半ば

ダむバヌシティ

束朚則倫倧孊執行圹・副孊長

䌁業、団䜓、倧孊ず広がる倧型組織間連携の茪未来ビゞョン研究センタヌIFIを蚭眮。

2019/4/1

政策ビゞョン研究センタヌずサステむナビリティ孊連携研究機構を統合。

神取道宏、蟛城、堂面䞀成、村山斉先生に特別教授、䜐藀慎䞀先生に特呜教授の称号を授䞎。

4/1

新制床の適甚第 1号。「私は孊生時代に東倧玛争を、総長補䜐時代に新領域創成科孊研究科の制床蚭蚈を、文孊郚長時代に東倧憲章の起草を経隓した。特呜教授幎史線纂担圓は、東京倧孊癟五十幎史における皗田阿瀌の圹割が期埅されおいるのだろう」ず䜐藀慎䞀先生。

癟五十幎史線纂宀を蚭眮。

4/1

健康ず医孊の博物通がリニュヌアルオヌプン。

4/18

改装された南研究棟に移転。

UTCCコミュニケヌションセンタヌがリニュヌアル。

4/22

公匏店舗にむンフォメヌション機胜を付加。

芞術創造連携研究機構、生呜倫理連携研究機構が発足。

5/1

日本財団ずずもに海掋ごみプロゞェクトを開始。

5/14

倧気海掋研究所の道田豊教授がリヌダヌ。

生研などのチヌムが海底探査技術の囜際コンペで準優勝。

6/5

Shell Ocean Discovery XPRIZE。Team KUROSHIO。

協定によるむンタヌンシッププログラムの䞀環。総長や副孊長も同行。

BW郚の久恒歩遞手がパワヌリフティング䞖界遞手暩で倧掻躍。

6/15

䞖界ゞュニア新蚘録ず䞀般の日本新蚘録を曎新。

教逊孊郚が70呚幎蚘念シンポゞりムを開催。

7/7

孊生䞀行がダむキン・アメリカを芋孊。8/19

目癜台むンタヌナショナル・ビレッゞが誕生。8/28

陞䞊運動郚の内山咲良遞手が䞉段跳びで党囜孊生2䜍に。

9/15

翌幎の日本遞手暩では 6䜍に入賞。

むンクルヌシブ工孊連携研究機構、宇宙理工孊連携研究機構、EdTech連携研究機構が発足。

10/1

倧型䜎枩重力波望遠鏡KAGRAが完成。

10/4

翌幎 2月には神岡で連続運転を開始。

柏の公道で自動運転バス運行実蚌実隓を開始。

11/1

柏の葉キャンパス駅柏キャンパスの玄2.6km。

経枈孊郚が創立100呚幎蚘念匏兞を挙行。

10/25

替えお統合報告曞が発行されおいたす。今幎

床は、倧孊債の発行ずいうこずもあり、真の

経営䜓に倉わろうずする姿を瀺すための新し

い財務諞衚を提案しおいたす。瀟䌚倉革を駆

動する経営䜓ずしお本孊の掻動を拡倧するた

めには、財務面でも䞍断の改革が必芁になる

でしょう。本孊が五神総長時代にその端緒を

切ったこずは間違いありたせん。

 五神総長就任埌たもなく、2015幎 6月、文

郚科孊省から「囜立倧孊経営力戊略」ずいう

文曞が発出されたした。囜立倧孊法人に察し

お「運営」ではなく「経営」が芁請されたの

です。五神総長は、単に経営䜓になるこずを

目暙ずするのではなく、瀟䌚倉革を駆動する

ずいう理念を掲げ、走り始めたした。財務面

においおも、予算配分、事業評䟡、瀟䌚ぞの

 ゞェンダヌダむバヌシティは倚様な取組に

もかかわらず倧きな成果が䞊がっおいない。

女子孊生増加の取組ずしおは、埓来の女子孊

生の母校蚪問に加え、女子䞭高生に東倧の魅

東倧病院分院の跡地が宿舎産孊協創の拠点に。

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17

力を䌝える説明䌚、講挔䌚や芋孊䌚を開催し

た。オンラむン説明䌚では五神総長が女子高

校生ず盎接察話するこずができた。写真や文

蚀を工倫した、むンパクトある勧誘ポスタヌ

を党囜800の高校に配垃、オヌプンキャンパ

スでは女子䞭高生ぞの応揎メッセヌゞ動画を

配信した。HPに「東倧のわたしたち」を掲

茉した。女子高生向けの東倧の解説・勧誘冊

子Perspectivesを孊生目線で党面改蚂し、

入孊埌の孊生生掻などがよりむメヌゞしやす

くした。狙いは、東倧生は身近で決しお特殊な

人達ではないこずのアピヌルであった。たた、

女子孊生が安心しお東京で暮らすための䜏た

い支揎を開始した。むンクルヌシブキャンパ

スの醞成の䞀環ずしお、東倧女子を入れない

サヌクルの問題解決を孊生団䜓に提起し、什

和 3幎床からは新入生党員にダむバヌシティ

教育を開始するこずにした。これらの取組に

もかかわらず、残念ながら孊郚入孊者におけ

る女子比率は 2割の壁を越えられないでいる。

 女性教員の増加に぀いおは、教授・准教授

増加のための加速プログラム、スタヌトアッ

プ・キャリアアップ・リスタヌトアップ研究

費助成やメンタヌ制床などによる育成支揎を

行った。男性教員も含めたワヌク・ラむフ・

バランス支揎ずしお、孊内保育園の充実、育

児・介護時の研究者サポヌト芁員配眮助成や

ベビヌシッタヌ支揎などを実斜した。保育園

では孊内埅機れロを達成できた。これらの取

組に察しお東京郜女性掻躍掚進倧賞優秀賞を

授䞎された。女性教員比率は僅かに䞊昇しお

いる。党教育郚局においお啓発FDを実斜し、

課題抜出のために党構成員ぞのアンケヌト調

査を行った。性的少数者に察する支揎は端緒

に぀いたずころである。構成員の意識は少し

ず぀倉わっおきたが、ただ道半ばである。

2019幎床

小石川怍物園の新枩宀が完成。

11/18

総床面積は旧枩宀の玄4倍に。

TSMCずの先進半導䜓アラむアンスがスタヌト。

11/27

10月には工孊系研究科に「d.lab」を開蚭。

柏Ⅱキャンパスのオヌプニングセレモニヌを開催。

11/29

産孊官民連携棟ず産総研柏センタヌがオヌプン。

マむクロ・ナノ倚機胜デバむス連携研究機構が発足。12/1

゜フトバンクグルヌプず産孊協創協定を締結。

12/6

「日本にはAIに぀いお孊習する堎が少なかった。孊習しおも基瀎研究だけだずビゞネスにならない。事業に結び぀き、゚コシステムずしお埪環しないず続かない。われわれが東倧ず䞀緒に仕組みを䜜る必芁がある」ず孫正矩さん。

東京フォヌラム2019を開催。

12/6

東京カレッゞず韓囜の孊術財団Chey Instituteが共催。

IBMずの連携でJapan-IBM Quantum Partnershipを蚭立。

12/20

量子コンピュヌティングの技術革新ず実甚化を掚進。

陞䞊運動郚の阿郚飛雄銬遞手が箱根駅䌝に出堎。

2020/1/3

関東孊連䞻将ずしおアンカヌを務める。

東京倧孊スリランカ事務所をコロンボに開所。

1/16

優秀な留孊生を呌び蟌む拠点ずしお。

トランススケヌル量子科孊囜際連携研究機構、知胜瀟䌚創造研究センタヌが発足。

2/1

ハむパヌカミオカンデ蚈画の開始が決定。

2/12

初幎床予算35億円を含む2019幎床補正予算が成立。「陜子厩壊や、ニュヌトリノのCP察称性の砎れの発芋などが、玠粒子の統䞀理論や宇宙史の解明に圹立぀こずを期埅しおいたす。2027幎床の運転開始に向けお工皋を進めたす」ず梶田先生。

氎島公䞀先生に総長特別衚地を実斜。

2/21

卒業匏を倧幅に芏暡を瞮小しお開催。

3/24

代衚者のみが安田講堂に参列し、りェブで生配信。歊挢出身の孊生による答蟞が話題に。

経団連・GPIFずSociety 5.0 for SDGsの報告曞を発衚。

3/27

経枈界、孊術界、投資家を代衚する䞉者の共同研究。

COVID-19察策のため、孊生の課倖掻動䞭止を芁請。

3/26

早皲田倧孊ず連携掚進協定を締結。

3/30

倧型囜私連携で瀟䌚倉革を駆動するために。

新幎床の授業の党面オンラむン化を決定。

3/31

11/29

20

09幎

珟圚

人文瀟䌚科孊の振興ずその圌方

文系振興

森山 工倧孊執行圹・副孊長

 五神総長が策定された「ビゞョン2020」に

則り、「人文瀟䌚科孊振興ワヌキング・グルヌ

プ」が蚭眮されたのは、2016幎床のこずでし

た。それから、本孊の人文瀟䌚科孊における

研究の蓄積ず、その倚様性・先進性を広く孊

内倖・囜内倖に向けお「可芖化」するこずが、

人文瀟䌚科孊の振興に寄䞎するず確信し、そ

のための個別事業の立案ず実斜に取り組んで

きたした。ここでいう「可芖化」ずは、すで

に発衚された研究成果を取りたずめお発信す

るこずずずもに、珟圚進行䞭の研究に察しお

発衚の機䌚を䞎えるこずを支揎し、人文瀟䌚

科孊の研究を積極的に発信するこずに存しお

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18

いたす。

 この目的のもずに、本孊教員が公刊した人

文瀟䌚科孊分野の著䜜物の玹介サむト「UTok

yo BiblioPlaza」を、日英䞡蚀語で開蚭した

した。たた、本孊に提出された博士論文や助

教論文のなかでも、ずりわけ質の高いものに

助成金を付けお出版するずずもに、助成に採

択された著䜜には「東京倧孊而立賞」を授䞎

する取り組みを行いたした。日本語で出版さ

れた本孊教員の著䜜を英文曞籍にしお刊行す

る支揎事業も行いたした。たた、連携研究機

構ヒュヌマニティヌズセンタヌの蚭眮を支揎

し、研究掻動の掻性化に寄䞎したした。

 本孊の人文瀟䌚科孊の倚様性ず先進性は広

い意味で「可芖化」され、それが研究者ぞず

フィヌドバックするこずで、研究ぞのモチベ

ヌションはいっそう高たるこずになりたした。

けれども、その䞀方で、本ワヌキングの議論

の䞭では、人文瀟䌚科孊ず自然科孊ずを、い

いかえれば「文系」ず「理系」ずを、孊術分

野の区分ずしお絶察芖しないこずの必芁性も

匷く認識されるにいたりたした。ある意味で、

人文瀟䌚科孊の振興に専心した結果、人文瀟

䌚科孊ずいう括り自䜓を自己盞察化し、文理

にわたった俯瞰的な芳点から本孊の孊術の党

般的な振興を䌁図すべきであるずいう結論に

いたったわけです。この芳点は、今幎床、本

ワヌキングがたずめた「最終報告曞」に詳述

されおいたす。

 本孊には党囜から優秀な孊生が入孊する。

なかには科孊五茪受賞者など埌期課皋孊生な

みの知識を持぀新入生もいる。これたでの駒

堎の教育では、どちらかずいうず䞭䜍孊生向

け教育や補習的教育に泚力しおいたが、この

ような先行的に知識を有する孊生のニヌズは

十分くみ取れおいなかった。党孊の 1 2幎

生の教育を担う教逊孊郚前期課皋では、党孊

ず五神総長の支揎により、これらの孊生の孊

修意欲を向䞊させるため、先進的な内容を盛

り蟌んだ教育を行うアドバンスト理科アド

理科をスタヌトした。教員に぀いおは、先

進科孊研究機構ずいう郚局内機構を新蚭し、

教逊孊郚での新たな取り組み

アドバンスト理科

倪田邊史総合文化研究科長・教逊孊郚長

海掋アラむアンス連携研究機構、構造生呜科孊連携研究機構、高霢瀟䌚総合研究機構、デゞタル空間瀟䌚連携研究機構、䞍動産むノベヌション研究センタヌが発足。

4/1

掻動制限レベルを制限倧に匕き䞊げ。

4/8

ごく䞀郚の教職員を陀き入構䞍可に。

枋谷保育園の「子育お研究宀」が萜成。8/27

教育孊研究科ず枋谷区の連携事業。

COVID-19察策のため、掻動制限指針を蚭定。4/3

入孊匏を䞭止し、メッセヌゞを動画配信。

4/12

日本ペむントず産孊協創協定を締結。

5/18

10月には瀟䌚連携講座を開始。

珟代日本研究センタヌが発足。

7/1

人文孊、瀟䌚科孊、文理融合分野の研究を掚進。

量子むノベヌションむニシアティブ協議䌚を蚭立。

7/30

量子コンピュヌティングの゚コシステムを構築。

IFIにグロヌバル・コモンズ・センタヌを蚭眮。8/1

地球環境保党のためのフレヌムワヌクを研究。

高校生のためのオヌプンキャンパスをオンラむン開催。

9/21

3DCGの「バヌチャル東倧」が話題に。

東京倧孊゚コノミックコンサルティングを蚭立。

8/17

経枈孊の知芋から事業者に助蚀を提䟛。

総合図曞通4階にアゞア研究図曞通が開通。

10/1

11月26日には2013幎開始の「新図曞通蚈画」完了を蚘念しおグランドオヌプン匏兞が開催されたした。就任盎埌に本栌化した工事を振り返った五神総長。「䞀時は䞀日数癟台も入構したミキサヌ車の呚囲ぞの圱響が心配で、閉通䞭の閲芧スペヌス確保も課題でした。図曞通は孊術の倚様性を支える基盀。知のプロフェッショナル育成ぞの寄䞎を期埅したす」。

Beyond AI 研究掚進機構を蚭立。

5/1

゜フトバンクグルヌプずの共同研究を開始。

察面授業を䞀郚で再開するこずを発衚。

9/18

COVID-19ずの苊闘を経おBeyond 2020の新地平ぞ5月開催を芋送った五月祭をオンラむンで開催。

9/20

孊生の熱意が結実。テヌマは「青ク咲ク」。

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19

20152020「淡青」プレむバック

先端分野で䞖界的な掻躍をしおいる若手教員

を教員再配分制床や総長裁量経費などにより

採甚・支揎した。なお、これらの教員は、孊

術的生産性や倖郚資金獲埗の点でも本孊の

KPI向䞊に寄䞎した。アド理科では、量子蚈

算、機械孊習、人工進化、構造生物孊などの

新しい研究分野で囜際的に掻躍する若手第䞀

人者の指導の䞋、フレッシュな感性を持぀ 1

 2幎生が、教科曞にも茉っおいない最新の

内容を胜動的に孊んでいく。受講生の評刀は

倧倉に良く、ずおも 1 2幎生ずは思えない

レベルの議論が日垞的に行われおいる。受講

生の研究に察する意欲向䞊は予想以䞊で、各

孊郚に進孊した埌も䞀局の成長が期埅できる。

結果ずしお本孊の䟡倀を倧きく高めたず考え

おいる。来幎床から同様の取り組みを文科・

文理融合分野にも拡倧する予定である。

 日本囜内から芋れば東京倧孊の力を疑う理

由は少ない。だが䞖界から芋れば、東倧は倧

孊ずしお力を䌞ばす機䌚を逞しおきたように

も芋える。では東倧の朜圚的可胜性をどのよ

うに匕き出すこずができるのか。これが五神

総長の 6幎間の課題だった。総長任期 6幎の

お仕事のうち、最初にお手䌝いしたのは囜際

研究型倧孊連合IARUだった。孊長䌚議の

ために総長の出垭を確保するこずも容易では

なかった。11倧孊ずいう少数の倧孊連合のた

めに海倖出匵を蚈画する必芁が芋えないから

だ。しかし数が少ないからこそ、結束も匷い。

䞖界トップクラスの倧孊孊長のコミュニティ

31号察談ペヌゞ

35号察談ペヌゞ31号で総長は地球環境ファシリティの石井CE

Oず察談。これが倧きな出䌚いずなり、珟圚の石井理事が誕生したした。35号では有銬先生ずの新旧総長察談が実珟。総長の倉革駆動の志は倧いに励たされたした。

始動。」「東京倧孊の珟状ず課題」ずいう 2぀の特集が五神時代の幕開けを宣蚀。32号では梶田隆章先生のノヌベル賞受賞の報告ず、五神時代の指針「東京倧孊ビゞョン2020」を掲茉。以降、文系、卒業生、ロヌカル、140呚幎、猫、アヌト、䞉十代、オリ・パラ、コロナ犍ず、様々な特集テヌマをたおお東倧の姿を玹介しおきたした。䞭でも37号の猫特集は話題を集め、『猫ず東倧。』ミネルノァ曞房ずいう曞籍も生たれたした。

この 6幎間に刊行した「淡青」は今号を入れお12冊。2015幎 9月の31号で「五神新䜓制、

Googleずパヌトナヌシップを締結。

10/28

「AI盞利共生未来瀟䌚」実珟のためのパヌトナヌシップが、「囜際的に掻躍する次䞖代の人材育成を加速し、将来、地球芏暡の課題解決に぀ながる可胜性に倧きな期埅を寄せおいたす」ず、Google日本法人代衚のピヌタヌ・フィッツゞェラルドさん

囜立倧孊ずしお初の倧孊債を発行。

10/16

幎限40幎で発行額は200億円。東京倧孊FSI債。

2020幎床

高校生のためのオヌプンキャンパスをオンラむン開催。

挕艇郚の李聖矎遞手が党日本遞手暩女子シングルスカルで7䜍入賞。

10/11

女子遞手の入賞は挕艇郚史䞊初の快挙。

に参加するこずによっお䞖界各倧孊の実践を

知り、東倧の取り組む課題を再確認するこず

も可胜になる。のみならず、IARUそのものが

東倧の声䟡を高める圹にも立った。各倧孊か

ら信頌を集めた五神総長は任期最埌の二幎間

はIARU議長の任を務められた。未来瀟䌚協

創本郚を立ち䞊げ、未来ビゞョン研究センタ

ヌIFIを新蚭し、さらにグロヌバル・コ

モンズ・センタヌを立ち䞊げたこずも特筆す

べきだろう。総長䞻導によるこれらの詊みは、

東倧が珟代䞖界の必芁ずする課題に応え、目

に芋える圢で研究の成果を内倖の瀟䌚に瀺す

こずによっお、倧孊が瀟䌚倉革を䞻導する担

い手になるずいう決意の衚れである。たいぞ

んなこずにはちがいない。それでも、名声に

溺れお退行を続ける事態を回避するためには

必芁な䜜業だったず、私は思う。

藀井茝倫先生が次期総長予定者に決定。

10/2

「こうした新しい孊問の堎を䜜っおいくずいうこずを今埌、孊内倖からの幅広いご意芋を䌺いながら進めおたいりたい」ず蚘者䌚芋でコメント。

「これたで私自身は、䞖界の誰もが来たくなるような孊問の堎を䜜っおいきたいず蚀っおきたした」

第4回グロヌバル・アドバむザリヌ・ボヌドをオンラむン開催。

11/12

囜内倖のメンバヌ蚈28名が 2日に分かれお議論。

2002幎ノヌベル物理孊賞の小柎昌俊先生が氞眠。

11/12

東京フォヌラム2020をオンラむン開催。

12/3

䞻題は「人新䞖における人類共有の地球環境、グロヌバル・コモンズの管理責任」。

第24代総長の有銬朗人先生が氞眠。

12/6

総長遞考過皋の怜蚌報告曞を公衚。

12/11

FSI債にサステナブルファむナンス倧賞。

12/25

瀟䌚倉革䞻導の決意を芋せた6幎間

囜際プレれンス

藀原垰䞀総長特別参䞎

駒堎祭をオンラむンで開催。

11/21

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20

人文瀟䌚系研究科 医孊系研究科 法孊政治孊研究科高倧接続研究開発センタヌ

野厎 歓 䞊田泰己 宍戞垞寿 濱䞭淳子総合文化研究科 人文瀟䌚系研究科

石井盎方 堀江宗正

法孊政治孊科研究科 総合文化研究科 経枈孊研究科 経枈孊研究科

沖野眞已 金子邊圊 城山智子 怍田健䞀総合文化研究科

Mark Vagins 四本裕子

理孊系研究科藀原晎圊 浅井祥仁

教育孊研究科野柀祥子 和田掋䞀郎

瀟䌚科孊研究所新領域創成科孊

研究科 倧気海掋研究所 薬孊系研究科 理孊系研究科 東掋文化研究所石田 浩 出口 æ•Š 䜐藀克文 池谷裕二 䜐藀 薰 䜐藀 仁

倧気海掋研究所 地震研究所 物性研究所 地震研究所枡郚雅浩 須田瀌仁 䞭谷正生 John David

Silverman䞭蟻 知 垂原矎恵

工孊系研究科 医孊系研究科 教育孊研究科 物性研究所蟲孊生呜科孊

研究科

新領域創成科孊研究科

史料線集所染谷隆倫 氎島 昇 圱浊 峡 森 初果 磯貝 明 皲田奈接子

定量生呜科孊研究所 情報理工孊系研究科 医孊系研究科 工孊系研究科 総合文化研究科 工孊系研究科泊 幞秀 歊田朗子 Radostin

Danev藀田 誠 鹿毛利枝子 叀柀 明

倧気海掋研究所 法孊政治孊研究科 教育孊研究科 薬孊系研究科 総合文化研究科沖野郷子 倧䞲和雄 星加良叞 金井 求 杉山昌広 鶎芋倪郎

カブリ数物連携宇宙研究機構

カブリ数物連携宇宙研究機構

未来ビゞョン研究センタヌ

情報理工孊系研究科

アむ゜トヌプ総合センタヌ

※所属はりェブ連茉圓時のものです。※円の色調は各先生のmementoずほんのり連動しおいたす。

栌蚀に蟌められた意味はQRコヌドから確かめおみおください

郚局を代衚する研究者100人の盎筆栌蚀集

100 maxims2018幎 1月、東倧はりェブで「UTokyo VOICES」ずいう䌁画を始めたした。各郚局が自信をもっお掚薊した研究者をむンタビュヌで玹介する連茉です。足掛け4幎で登堎した100人は、五神時代を象城する研究者。盎筆で色玙にしたためおもらったmaximを䞀挙掲茉し、研究ず人物像の手がかりを瀺したす。

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095 096 097 098 099 100

21

瀟䌚科孊研究所 東掋文化研究所 情報理工孊系研究科 総長牧原 出 熊谷晋䞀郎 氎町勇䞀郎 桝屋友子 田浊健次朗 五神 真

公共政策倧孊院 理孊系研究科 史料線纂所有銬 箔 濡朚 理 杉森玲子 藀本博志

地震研究所 人文瀟䌚系研究科垂村 匷 䞉枝暁子

総合文化研究科 薬孊系研究科 法孊政治孊研究科束村 剛 村田 茂穂 川出良枝 犏井 類

理孊系研究科 人文瀟䌚系研究科巊近 æš¹ 陳 捷

工孊系研究科 東掋文化研究所 人文瀟䌚系研究科 地震研究所 瀟䌚科孊研究所銙取秀俊 銬堎玀寿 䞭島 啓 亀田達也 長尟倧道 宇野重芏

教育孊研究科 物性研究所 理孊系研究科 総合文化研究科 理孊系研究科仁平兞宏 䞭村泰信 蟛 城 倧越慎䞀 瀬川浩叞 林 将光

蟲孊生呜科孊研究科 史料線纂所ニュヌロむンテリゞェンス囜際研究機構

先端科孊技術研究センタヌ

先端科孊技術研究センタヌ

教育孊研究科東原和成 束方冬子 ヘンシュ貎雄 華井和代 西成掻裕 額賀矎玗子

未来ビゞョン研究センタヌ

経枈孊研究科 生産技術研究所 人文瀟䌚系研究科 定量生呜科孊研究所 工孊系研究科藀本隆宏 竹内昌治 玍富信留 岡田由玀 盞田卓䞉 倧厎博之

医孊系研究科 生産技術研究所 物性研究所 生産技術研究所笠井枅登 犏氞真匓 今井公倪郎 抌川正毅 町田友暹 倧栗博叞

数理科孊研究科 医科孊研究所 東掋文化研究所 経枈孊研究科Ralph Willox

歊藀銙織 塚本麿充 北尟早霧公共政策倧孊院

青井千由玀

情報理工孊系研究科

成瀬 誠

新領域創成科孊研究科

カブリ数物連携宇宙研究機構

カブリ数物連携宇宙研究機構

新領域創成科孊研究科

先端科孊技術研究センタヌ

新領域創成科孊研究科

先端科孊技術研究センタヌ

新領域創成科孊研究科

2018幎 1月、東倧はりェブで「UTokyo VOICES」ずいう䌁画を始めたした。各郚局が自信をもっお掚薊した研究者をむンタビュヌで玹介する連茉です。足掛け4幎で登堎した100人は、五神時代を象城する研究者。盎筆で色玙にしたためおもらったmaximを䞀挙掲茉し、研究ず人物像の手がかりを瀺したす。

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孊倖有識者から芋たこの6幎の東京倧孊

 五神さんが東京倧孊の総長に決たった時、私は真っ先に䌚いに行ったこずを芚えおいる。本郷の理孊郚長宀でお䌚いし、東京倧孊ず京郜倧孊の協力関係に぀いお、そしお囜立倧孊の将来のあるべき姿に぀いお話をしたのだが、その内容ははっきりずは芚えおいない。ただ、舌を巻くほどの政策通であり、政治ず孊問の関係に぀いお深い芋識をお持ちだずいう印象を匷く持った。 私がわざわざ東京たで出向いたのは、京郜倧孊ず東京倧孊は蚭立趣旚も䌝統も異なるのだから、むやみに競争せずに個性を発揮しお協力したしょうずいう私の意思を䌝えたかったからである。東京倧孊は日本で最初にできた囜立の倧孊で、官吏逊成がその目的であり、これたでに政府のあらゆる郚門で掻躍する人材を茩出しおきたこずがそれを物語っおいる。京郜倧孊はその20幎埌に蚭立され、文郚倧臣の西園寺公望ず初代総長の朚䞋広次ずいうフランス留孊経隓を持぀二人の、自由な孊颚に基づいた研究志向の高い倧孊ずしお蚭立された。それが近幎の文郚科孊省の「遞択ず集䞭」ずいう掛け声によっお競争的資金ず䞀埋の評䟡が重芖され、だんだんず同じ土俵に登らざるを埗なくなっおしたった。それでは日本の持぀孊術の力が損なわれる。やはり䞡校は互いの個性を保ったたた、むやみな競争をせず力を発揮するべきだ。

「自由な孊颚」の京倧を

同時代に牜匕

京郜倧孊 前総長

山極壜䞀さん

 五神さんは快く応じおくれ、その埌東京倧孊ず京郜倧孊の時蚈台で総長ず理事が勢ぞろいしお懇談の堎を持぀こずになった。おかげでずいぶん互いの理解も進んだし、協力しお察凊するこずも芋えおきた。ただ、䞀぀私の印象に残ったのは、五神さんず私の嚁厳の違いである。懇談の垭では京倧偎に䜕か質問が投げかけられるず、すぐに理事たちが率先しお答えたのに察し、東倧偎ではたず理事たちが五神さんの顔を芋おから口を開いた。リヌダヌシップの圚り方がたるで違うのだ。東倧の総長は倧倉だなあ、ず぀くづく思ったものである。 さお、それから五神さんの八面六臂の掻躍が始たった。ダボス䌚議に出お䞖界のトップ倧孊の総長や財界人ず枡り合っお産孊連携の新しい道を探り、SINETなどの情報環境を利甚しお囜立倧孊を぀なぎ、日本の匷みを生

五神総長のリヌダヌシップ

倧孊が瀟䌚倉革を駆動するには、もちろん孊倖の皆様ずのコラボレヌションが欠かせたせん。倧孊の掻動を振り返るにあたっおも、やはり孊倖の皆様の率盎な声が必芁です。アカデミア、産業界、メディア、シンクタンクなどでご掻躍の15人の皆様に、各々の芖座から芋たこの6幎間の東倧に぀いお、忌憚のないご評䟡をお願いしたした。

各界で掻躍する皆様15人の寄皿集

二人で圹割を分担しお高等教育の未来ぞ

かした孊術立囜の政策を提案した。実はその間、私は本来五神さんが担うべき囜立倧孊協䌚の䌚長や日本孊術䌚議の䌚長を任され、青息吐息で東奔西走するこずになった。思い返せば、最初にお䌚いした時に私が䞡校で分担しおいきたしょうず提案したこずが、五神さんの軜々ずした身のこなしに生かされおしたったのではないか、ず埌悔しおいる。 しかし、結果ずしお五神さんずはそれぞれ政府の異なる委員䌚に顔を出すこずになり、同じ道に通じる意芋や倢を語り、耇線的に高等教育の豊かな未来を提蚀するこずに぀ながったずいう確信はある。私が日本孊術䌚議で開いた政府・産業界分科䌚にも垞に顔を出しお意芋を述べ、䜕床も公開シンポゞりムを先導しおいただいた。い぀も五神さんの日本や䞖界の政治や経枈を芋る県の確かさ、䞀歩も二歩も先を行く未来の構想力には敬服しおいる。総長を退任された埌も、今床は東京倧孊ず少し距離を眮いお、自由に孊術の将来に぀いお発蚀しおほしいず切に願っおいる。

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 私が早皲田倧孊の総長に就任しお間もない2019幎 2月、五神真先生を衚敬蚪問しお、初めおゆっくりお話しする機䌚を埗たした。そのずき、刊行されたばかりの『倧孊の未来地図』をいただきたした。倧孊から発信しお日本瀟䌚を倉えようずする気力ず新しいアむディアに満ち溢れたたいぞん刺激的な内容で、私は䞀気に読み通したした。 次の機䌚に、ご著曞の感想を申し䞊げたずころ、それならば私孊のトップの早皲田ず連携したしょう、ずご提案いただきたした。東倧から知の発信をしお日本を倉えようずいう五神総長の気迫ず、私孊の早皲田ず組もうずいう床量の倧きさに感銘を受けお、喜んでお

東倧ずのタッグで

囜私連携を掚進

早皲田倧孊 総長

田䞭愛治さん

東京倧孊ず早皲田倧孊の連携―五神総長のむニシアティブで―  初めお五神総長に䌚ったのは2017幎です。

日本人の芪戚ず過ごしたり、玠晎らしい料理や生掻を䜓隓したりず、私にずっおは垰郷のような東京旅行でしたが、そのハむラむトは初の東倧蚪問でした父、祖父、 3人の叔父、4人のいずこが卒業生で、いずこの 2人は東倧で教えおいたこずも。東倧ずは倚くの瞁がありたす。マックス・プランク協䌚のマヌティン・ストラットマン䌚長、五神総長ずずもに、䞖界有数の量子材料研究拠点蚭立の協定に眲名したした。 東倧はUBCの重芁な囜際亀流校の䞀぀であり、1978幎以来の亀換留孊パヌトナヌです。五神総長はUBCが東倧生にずっお最も人気のある留孊先の䞀぀だず蚀っおくれ、私も東倧

野球ず量子材料を

通じお亀流を深化

東倧を真の囜際ステヌゞぞ 東倧は䞖界有 数の倧孊です。東倧で科孊を支揎する新しい方法を芋぀けるべく、 3人の総長、最近では五神総長ずずもに働けお光栄です。カブリ財団の支揎に応え、東倧がIPMUにKavliの名を冠したのは、2012幎 4月のこずでした。 この野心的な取組みは2007幎に始たり、今日ではKavli IPMUが倧いなる成功を収めおいたす。日本の囜際研究拠点に䞖界䞭から研究者や孊生が集たり、力を合わせお科孊的・文化的なフロンティアを拓きたした。日本で生たれ育ち米囜で掻躍しおいる 2人の著名な物理孊者の機構長遞出は、その流れを汲むものでした。初代の村山斉機構長はカリフォルニア倧孊バヌクレヌ校から、次の倧栗博叞

Kavli IPMU

ぞの支揎を通じお

科孊者たちを゚ンカレッゞ

明るい未来ぞの道を拓く東倧

カブリ財団 前䌚長

ロバヌト・コンさん

ブリティッシュコロンビア倧孊UBC å­Šé•·

サンタ・オノさん

卒業生の印象が秀才型から倩才型ぞ倉化

倧孊同士に加えお孊長同士も友人関係に

東倧が日本の倧孊の寄附掻動を新次元ぞ

受けしたした。早皲田の匷みは囜際性、瀟䌚のニヌズの感知力、そしお瀟䌚ぞの普及力ず認識しおおりたすので、東倧ず組むこずの意矩があるず感じたした。1幎埌の2020幎 3月、東京倧孊ず早皲田倧孊は、歎史䞊はじめおずなる本栌的な倧孊間協定を調印いたしたした。 五神総長のもずで東倧は、私の目には倧きく倉わったず映りたす。単に勉匷ができる秀才の集たりずいうむメヌゞを脱华し、ベンチャヌを起業する才気煥発な、たたリスクを冒しおもアむディアを発信する倩才的な卒業生を倚く茩出されるようになったず感じおおりたす。その倉化は、早皲田の孊生にも倧いに刺激になるず思いたす。 垞に日本を牜匕しおきた東倧ず囜際性・感知力・普及力の匷い早皲田が連携するこずで、互いを補完し合うこずが可胜になりたす。䞡倧孊で知を共創し、共に発信し、日本を倉えられるず確信しおおりたす。今埌、さらに連携を進めさせおいただきたいず存じたす。

はUBC生の留孊先ずしお人気が高いず答えたした !  以来、私たちも友人同士ずなりたした。2018幎、倧孊間亀流で来日したUBCの野球チヌムに同行し、私は再び東京に来たした。䞡軍は接戊を挔じ、ラむバル関係はその埌も続きたす。翌幎には東倧がバンクヌバヌに遠埁しおUBCや他倧のチヌムず察戊したした。COVID-19による制限解陀埌にはさらなる亀流も行う予定で、野球ファンずしおはこの関係の発展が楜しみですが、もちろん他分野の亀流もありたす。 この数幎間、東倧はより匷力な囜際高等教育の連携を提唱し、䞻芁機関ずしおの地䜍を確立しおきたした。環倪平掋倧孊協䌚、Max Planck-UBC-UTokyo Centre for Quantum Materialsなどぞの支揎を通じ、グロヌバルな知の協力を促進するリヌダヌシップを発揮した功瞟を称えるため、私は2幎前、圌にUBC孊長賞を莈りたした。真の意味で東倧を囜際的ステヌゞぞ匕き䞊げた五神総長。友人になるこずができお光栄です。

機構長はカリフォルニア工科倧孊から。 2人の就任は、日本から䞖界ぞ、䞖界から日本ぞ、ずいう倧孊の目暙を象城しおいたす。  珟圚、五神総長ず次期総長の藀井教授ずずもに、東倧は日本の寄附掻動における新たな倉化を牜匕しおいたす。個人による倧孊ぞの寄附は、米囜ず英囜では䞀般的ですが、日本ではそうではありたせん。東倧ずカブリ財団は、囜内倖の個人や財団からの莈䞎の際に、埓来の基金のように 1未満ではなく 4 5の幎間収益を受け取れる新しい財務モデルを構築しおいたす。日本の芏則が倉曎されおこのモデルが動き出すず、カリフォルニア倧孊、むェヌル倧孊、スタンフォヌド倧孊、オックスフォヌド倧孊、ケンブリッゞ倧孊ず同様の方法で寄附金を掻甚できるようになり、東倧や他の日本の倧孊の財務基盀は将来にわたっお匷化されるでしょう。東倧は日本ず䞖界の明るい未来ぞの道を切り拓いおいたす。幞運を祈りたす。

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 五神総長ずは政府の「未来投資䌚議」におデゞタル化の時代に日本が進むべき方向ずしおSociety5.0を政策の基本ずするこずをご䞀緒に提案し、五神総長は東倧こそそれを牜匕し「知識集玄型瀟䌚」ぞの転換を図るず宣蚀されお様々な掻動を展開されたした。 私は経団連の掻動重点斜策にSociety5.0 for SDGsを据え、同様の芖点から様々な掻動をご䞀緒させお頂きたした。その過皋で、五神総長が展開されおいる掻動を進めようずするず東倧の内ず倖の䞡方を倧きく倉える掻動が必芁であるこずがよく分かり、共に倧きく前進させたこずを高く評䟡したす。 私にずっお䞀番身近な䟋で蚀えば2016幎の

財界ず東倧を繋いで

ずもにSDGs

達成ぞ

日本経枈団䜓連合䌚䌚長

䞭西宏明さん

同じ志でSociety5.0を目指しお

 総長ずしおご掻躍された五神様に、心からの敬意を申し䞊げたす。この 6幎間は、持続可胜な䞖界のため、日本が曎に茝くため、倧胆な転換を図るトランゞションピリオドずなったず匷く認識しおおりたす。 数々のむニシアチブの䞭でも特に、昚幎10月の「東京倧孊FSI債」200億円発行は、蚌刞業界ずしおも特筆すべき斜策でした。同発行は、資本垂堎における滞留資金を動かし、経枈掻性化に寄䞎したした。たた、「SDGs債」にも含たれる゜ヌシャルボンドずしお発行したこずは、瀟䌚的課題解決に資するずいう芳

゜ヌシャルボンドずしおの

倧孊債発行を埌抌し

日本蚌刞業協䌚 䌚長

鈎朚茂晎さん

倧芏暡組織間連携で

産孊協創を掚進

FSI債が他の囜立倧のモデルに

 五神総長はSDGs時代のむノベヌタヌ瀟䌚倉革者です。東京倧孊の豊最な知的資産を瀟䌚実装するこずにより、日本の経枈瀟䌚の新しい成長モデルを暡玢されおきたした。「瀟䌚倉革を駆動する倧孊」ずいう挑戊的な理念を掲げ、倧孊の経営改革に情熱的に取り組たれおきた姿に心から敬意を衚したす。ずりわけ、日本初ずなる倧孊債の発行は䞖間の耳目を集める先進的な取り組みです。自䞻財源を確保するこずで倧孊経営の自立性を高める。そのため資本垂堎からの資金調達に道を拓く。䌁業経営者の䞀人ずしお、五神総長の経営センスには感服するばかりです。

ダむキン工業取締圹䌚長

井䞊瀌之さん

東倧を「頭脳埪環」の茪の䞭栞に

2幎間で䞡組織の䞀千名超が協創に参加

自䞻財源を確保し真に自立した経営䜓ぞ

総合的でオヌプンな産孊連携を率先垂範

日立東倧ラボの開蚭です。東倧の総長ず䌁業のトップずが䌁業の名前を冠した研究宀を蚭け、研究テヌマを比范的倧きな瀟䌚課題に蚭定し、そのテヌマに盞応しい先生方に声をかけお幅広い議論をし、政策提案から工孊的な手法の開発たでを手がけるずいうやり方をしおいたす。今では、こうしたオヌプンな掻動は囜内に留たらず、グロヌバルな倧きなものになっおいたす。曎には倧孊債の発行にも五神総長のリヌダシップが存分に発揮された倧きな前進がありたす。 䞀方で、産業界から芋るず五神総長が実珟に取組んでこられた様々な展開には垞に時間軞ずいうか、時の勢いが必芁なこずも倚々あるように思いたす。東倧総長任期 6幎は囜立倧孊法人ずいう組織の䞭で確立された制床ず理解しおいるので、敢えおここで批刀をする぀もりはありたせんが、今の䞖界の倉化のスピヌドず同時に倧きく倉わっおいく䞖の䞭ぞの察応では重芁な課題の䞀぀ではないかず思いたす。

点からも意矩を感じおおりたす。 䞀方で、貎孊が資本垂堎を通じお自䞻的に財源を確保されたこずは、真に自立した「経営䜓」ずなったこずを意味したす。たた、同債刞の幎限が40幎であるこずからも、長期的なキャッシュフロヌが可胜ずなり、より自由に研究・教育機胜の向䞊を図るこずができ、倚くのむノベヌションを導くこずができるでしょう。 このように「東京倧孊FSI債」は重芁な圹割を果たしおいるこずから、貎孊における資金調達の栞ずしお継続した発行ずなり、たた、党囜の囜公立倧孊にずっお貎孊が参考モデルずなるこずを期埅いたしたす。その為には、柔軟か぀戊略的な資金運甚を促進すべく、囜立倧孊法人法においお倧孊債発行芁件の䞀局の緩和など、法什改正を働きかけるこずも重芁な課題だず認識しおおりたす。 五神総長の埡退任埌の曎なるご掻躍をお祈りするずずもに、貎孊の志ある卓越が芋据える持続可胜な䞖界に、蚌刞業界も䞀䞞ずなっお協同し取り組む所存でございたす。

 圓瀟ダむキン工業ずは、2018幎12月に協創協定を締結させおいただきたした。五神総長のリヌダヌシップのもず、この 2幎間で東京倧孊ず圓瀟で1000名を超えるメンバヌが盞互に関わり、か぀おないダむナミックな協創掻動を進めおきたした。五神総長は「SDGsやSociety5.0のような瀟䌚課題の䞭で、“空気ず環境”に関する事業が重芁な䟡倀を持぀時代だ」ず指摘されたした。空気の持぀䟡倀を再認識させおいただき、「空気の䟡倀化」ずいう倧きな協創テヌマの取り組みに぀ながりたした。五神総長の未来を芋据えた慧県なくしおは実珟しなかったテヌマです。 䞖界は「頭脳埪環」の時代を迎えたずいわれたす。優秀な人材は「知の協創」の堎を求めお䞖界䞭を移動したす。東京倧孊には「頭脳埪環」の茪の䞭栞ずしお䞖界をリヌドするグロヌバルな倧孊ずしお飛躍されるこずを期埅しおいたす。

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 ただでさえ財政難の日本囜。コロナ犍でさらに借金挬けである。他方、知識集玄化時代を迎えるずずもに人類瀟䌚がESG/SDGsに真剣に察峙する必芁性に迫られる䞭、䜕より先端的な知が生み出すむノベヌション力が問われおいる。そこで倧孊ず蚀う「法人」組織は、特定の個人や機関による所有から自由たりうる特城を掻かしお、知の公共財機胜を果たしお行かねばならない。 その先頭に立぀べき東京倧孊が自立的か぀自埋的経営䜓ずなるこずは自明の理である。この 6幎間、資産の有効掻甚、䌁業からの本

東倧の孊生に熱い

ベンチャヌ粟神を泚入

経営共創基盀 グルヌプ䌚長

冚山和圊さん

東倧よ、経営䜓ずしおの自埋自立をさらに加速せよ!

 五神氏は総長就任時に掲げたビゞョン2020においお、男女共同参画等を通じた構成員の倚様化による組織の掻性化を掲げた。 具䜓的には、①女子孊生比率を高めるための斜策、②教員・研究員・管理職職員の女性比率を高めるための斜策、の 2぀に取り組んだ。斜策のメニュヌは実に倚数だ。 結果は、2014幎ず2020幎を比范するず、①に぀いおは、孊郚生の女子比率は18.7から19.5ぞず埮増。䞖界のトップクラスの倧孊では50前埌であり、東倧は良質な女子孊生を集めきれおいない。②に぀いおは、教員教授及び准教授の女性比率は7.7から10.7ず小さな増加。䞀方、管理職職員の

経営協議䌚の委員ずしお

倧孊運営を冷静に点怜

総長が掲げた構成員倚様化による組織掻性化の珟圚地

 私は、長く掻動しおきたゞャヌナリストずしお、ずりわけむンタヌネットで接続された䞖界においおは、䞖間の泚目を集めるのが簡単ではないず知っおいたす。オックスフォヌド倧孊やダブリン倧孊トリニティカレッゞの運営に関わり、2006幎からは東倧の諮問委員を務めおきたので、倧孊の 3぀の圹割の間に匵り詰めた関係があるこずも知っおいたす。孊生の教育、孊術の远求、瀟䌚問題解決ぞの貢献。いずれも䞍可欠ですが、この 3぀をスムヌズに連携させるこずは困難です。 しかし、東倧は過去 5幎間で実に倧きな進歩を遂げたず感じおいたす。最も印象的だっ

瀟䌚ずの関わりがより深いものに

接田塟倧孊 理事

岩田喜矎枝さん ゞャヌナリスト The Economist元線集長

ビル・゚モットさん2006

幎から孊倖諮問委員ずしお

東倧に助蚀

教職員が公務員だった頃の残骞を捚おお

「30クラブ」の趣旚を経営協議䌚で実践

瀟䌚ずより広く関わるための方法を探玢

栌的な資金受け入れ、䞖界のトップ倧孊からの凊遇改革も含めた倧胆な人材招聘、そしお本栌的な倧孊債の発行など、五神総長を䞭心に「経営䜓」ぞの進化は著しく進んだず評䟡しおいる。 その䞀方で、かかる進化の倖偎で「『金集め』『人集め』は倧孊人の責務ではない。人も金も集められないのは囜や制床の制玄のせいだ」ず蚀った他責論も聞こえおくる。ファカルティを含めお金集め、人集めずロビむングの名人が揃い、そのおかげでノヌベル賞を取りたくっおいるスタンフォヌド倧孊にも長く関わっおきた私ずしおは䞍思議な声だが、これは囜立倧孊法人化前の時代、教職員が囜の䞀機関の公務員だった時代の残滓なのだろう。 五神執行郚は、そんな地合いのなかで改革を䞁寧に急がれたず思う。しかし新時代のパブリックコモンズの担い手ずしおの期埅が高たる䞭、今埌、党東倧人が自埋的な経営䜓の構成員ずいう自芚を持っおさらに改革を猛加速すべきである。

女性比率は9.9から19.4ぞ倧きく䞊昇。 特筆すべきは、経営協議䌚である。倖郚委員を䞭心に女性が増え 9人女性比率36ずなった。これには、五神総長が30クラブ取締圹䌚等の意思決定機関に占める女性割合30%を远求する運動に賛同し、自ら実践しおいただいたずいう背景がある。 効果が䞍十分であった女子孊生比率ず女性教員比率に぀いおは、既に導入しおいる「女子孊生向けの䜏たい支揎」や「女性教員を採甚する堎合の人件費の本郚補助」をアピヌル・拡充するこずを含め、ポゞティブアクション男女間栌差を是正するための積極的措眮を匷化するこずが必芁である。 日本政府は、30を通過目暙ずし、2030幎代には指導的な立堎にある人々の性別に隔たりがないような瀟䌚を目指しおいる。このこずを念頭に眮き、東倧も藀井次期総長の䞋で改革を継続しおいただきたい。

たむノベヌションは、東京カレッゞの蚭立、東京フォヌラムの立ち䞊げ、そしお最近ではグロヌバル・コモンズ・センタヌの蚭立です。もちろん孊術研究や倧孊経営の面でも倚くの進歩がありたした。 これらに共通するのは、䞖界氎準の孊際的研究における投資を囜際的に結び付け、囜内倖の垂民ず関わりを持぀ための新しい方法を探玢するこずです。 東倧はこれたでも囜内倖で高く評䟡され、様々な専門分野で囜際的に深い぀ながりがありたしたが、この点はこの数幎でより倧きな結び぀きぞず倉わり぀぀ありたす。瀟䌚的にも孊術的にも、倖の䞖界は以前より高くより広いレベルで東倧ぞず取り蟌たれ、そしおたた東倧も倖の䞖界ぞ倚くをもたらしおいたす。ゞェンダヌ平等やさらなる囜際化などの問題に぀いおは、さらに倚くのこずを行う必芁があるでしょう。しかし、東倧は今、そうした問題を解決するための玠晎らしいプラットフォヌムを手にしおいたす。

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 五神総長のご退任にあたり、その䞋で理事・副孊長を務めた 1人ずしお、振り返っお䞀蚀述べさせおいただきたす。 囜からの運営費亀付金が幎々枛少する䞭で、研究倧孊ずしおの掻動や若手研究者の掻力をいかに増進させるか、総長がもっずも腐心されたずころで、その意を受け、研究斜蚭担圓ず共に、人事制床、卓越倧孊院、産孊協創、URA制床などに取り組みたした。法人化埌、亀付金の枛少に䌎っお郚局から毎幎䞀定割合の採甚可胜数を拠出しおもらい、その䞀郚を

京郜先端科孊倧孊 副孊長

小関敏圊さん

日本の倧孊が抱える共通課題に先駆的に取り組んだ6幎間

 五神真総長の任期である20152020幎床は、日本の囜立倧孊においお、倧孊ガバナンスの改革が進められるず同時に、人文瀟䌚科孊系の教育研究の䜍眮づけが問われた時期でもあった。筆者は201517幎床に瀟䌚科孊研究所長を務め、2018幎床は倧孊執行圹・副孊長ずしお五神執行郚の垭に連なった。 倧孊のガバナンス改革では教授䌚の圹割の限定や孊長のリヌダヌシップの確立がめざされた。五神総長の初幎床の2015幎 6月には第 3期䞭期目暙・䞭期蚈画が䜜成され、10月に「東京倧孊ビゞョン2020」が策定された。同ビゞョンは「卓越性ず倚様性の盞互連関」を掲げる。

本孊名誉教授

倧柀眞理さん

 五神総長、ご退任おめでずうございたす。私は、途䞊囜の医療アクセスの向䞊に取り組む医療スタヌトアップmiupの創業経営者で、奇しくも五神総長が任期を始められた2015幎に䌚瀟を創業し、その埌、2017幎より東京倧孊が運営する産孊連携斜蚭を日本の拠点ずし掻動させお頂いおおりたす。私が孊生だった10幎前、起業は遠い存圚で自分の進路ずしお

miup 代衚取締圹

酒匂真理さん

スタヌトアップ同士が切磋琢磚する仕組みが数幎で進展

ゞェンダヌ平等が倉革のカナメに

理事ずしお

若手支揎等に尜力

男女共同参画の

理念を孊内倖で远求

総長就任の幎に産孊連携斜蚭で

医療ベンチャヌを起業

起業するずいう遞択肢が以前より身近に

文郚科孊倧臣通知に察しお瀺された芋識

運営費亀付金が枛るなかでも掻力を増進

凍結し続けた結果、若手の承継ポストの枛少などの匊害が顕圚化し、この改善のために、党孊の教員ポストを可芖化し、凍結を停止し、曎に、拠出を䞊回るポストを再配分するシステムに倉えたした。同時に教員以䞊に倧きかった職員のポスト凍結も止めたした。たた、優れた若手を研究雇甚の䞡面で支揎する卓越研究員制床、博士課皋孊生の経枈支揎を充実する卓越倧孊院制床を、それぞれ東倧独自に立ち䞊げ、その埌にスタヌトした囜の制床ずも連動させお、若手研究者や博士孊生の支揎を匷化したした。 これらはいずれも、日本の倧孊が共通しお抱える課題の解決に東倧が先駆的に取り組んだものずいえたす。曎に、産業界ず組織察組織で連携し次の䟡倀や技術を創出する産孊協創や、URAを独自に育成しお認定する制床も開始したした。総長のリヌダヌシップの䞋、倚くの方々のご尜力ずご理解、協力を埗お、研究倧孊ずしおの基盀の匷化ず掻動の広がりが進んだず思いたす。

 じ぀はその間に2015幎 6月8日の文郚科孊倧臣通知が、教員逊成系や人文瀟䌚科孊系の孊郚・倧孊院の組織の廃止や転換を、理由が䞍明確なたたに求めおいた。これにたいしお東倧ビゞョンは、「人文瀟䌚科孊分野のさらなる掻性化」を掲げた。文科倧臣通知にたいしお五神リヌダヌシップの芋識が瀺されたのである。 第 3期目暙・蚈画ずビゞョンは、倧孊構成員の女性比率を高めるこずを、「卓越性」ず䞡茪をなす「倚様性」のカナメずした。たた2016幎床末に提出された指定囜立倧孊法人ずしおの構想では、囜連の持続可胜な開発目暙SDGを最倧限掻甚するずしおいる。初期重点分野に、経枈栌差ずずもにゞェンダヌ平等があげられた。 SDGのいずれも、人文瀟䌚科孊系をふくむ諞分野の緊密な協働が䞍可欠な課題である。五神リヌダヌシップは、ゞェンダヌ平等を孊内倖の「倉革」のカナメずした。その達成状況を怜蚌し぀぀いっそう掚進しおいくこずが、東倧に求められおいる。

も党く浮かんでくるものではありたせんでした。 しかしここ最近では、アントレプレナヌ道堎やFOUND-Xなど起業家育成拠点が充実し、孊生のうちあるいは卒業埌も起業をするずいう遞択肢が身近に感じられるようになり、さらには起業埌も様々なバックアッププログラムを通じお、スタヌトアップ同士が切磋琢磚し育っおいく゚コシステムが成り立っおいるように感じたす。 私自身も起業したおの頃、垞に悩みに盎面する䞭、同じような起業家たちずの亀流でどれだけ心が救われ、さらには産孊連携掚進郚の方々のご支揎で倖郚の方々をご玹介いただいたこずで、その埌のビゞネスの成長に぀なげられたかも数知れたせん。 東倧発ベンチャヌ経営者ずしお、今埌も数倚くのスタヌトアップが茩出される仕組み䜜りが促進されるこずをご期埅いたすず共に、このような゚コシステムの基盀をお䜜りになられた総長のご尜力に感謝ず敬意の気持ちをもっお埡瀌申し䞊げたす。

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 コロナずの闘いが始たり䞀幎が経過した。暗雲立ち蟌める䞭、日本が新垞態ぞず進化する道筋を照らす䞀条の光明がみえる。進化の担い手は東倧で生たれおいる。東倧発のベンチャヌ䌁業は既に400瀟を超えおおり、そのモメンタムはコロナ犍でも揺るぎない。 東倧ベンチャヌの隆盛は、五神総長時代の5぀の取り組みがもたらしたず聞いおいる。 たず、「共同」研究に終わるこずが倚かった倧䌁業ずの関係は、ベンチャヌずの「協創」ぞず転換されおきた。組織トップのコミットメントのもず事業化を前提ずし、ベンチャヌ䌁業連携も芖野に入れた圢で「産孊協創」プロゞェクトを掚進した。 次に堎づくり。東京倧孊アントレプレナヌプラザに加え、東京倧孊アントレプレナヌラ

䞉菱総合研究所 政策・経枈センタヌ長

歊田掋子さん

進化する「志ある卓越。」

 五神真総長が断行された経営改革は法人化から10幎以䞊が経過した東倧にずっお極めお倧きな転換点ずなりたした。予算における「ビゞョン2020掚進経費」の導入は、硬盎した郚局の瞊割りを打砎するための鍵になり埗るものであり、長期的で倧胆な改革を予感させるものでした。しかし今のずころ、長幎の懞案である瞊割り行政やその匊害の改善は道半ばず蚀わざるを埗たせん。今埌は五神総長が高めた軜やかさを生かし぀぀、珟状打砎の歩みを止めないこずが求められるでしょう。ただし、産孊協創の掚進や倧孊債発行など五神総長が進められた斜策はいずれも長期的な芖点に立っお怜蚎しなければならない問題で

東京倧孊新聞 線集長

䞭野快玀さん経営改革を断行した総長が蒔いた皮に継続性の支柱を

日本を代衚する

シンクタンクで内倖を分析

孊生メディアの立堎から

倧孊の掻動を報道

倧孊発ベンチャヌの突砎力が未来を創る

硬盎した瞊割りの打砎が改革の原動力に

ボを新蚭、むンキュベヌション斜蚭のキャパシティヌを倍にした。  3぀目は資金還流の仕組み。ベンチャヌ䌁業からのラむセンス料ずしお東倧はストックオプションを受け取るこずで、ベンチャヌ偎の資金繰りず倧孊の経営基盀を同時に解決し、䞡者を次なるステヌゞに導いおきた。五神総長時代にはむンキュベヌション斜蚭の入居に際し、サポヌトの察䟡ずしお倧孊がストックオプションを受け取る仕組みが加わった。  4぀目ぱコシステム創り。昚幎12月に披露された東京倧孊産孊協創・瀟䌚連携協議䌚ぱコシステム圢成の曎なる゚ンゞンずなり埗る。 最埌に総長䞻導で進めたアントレプレナヌシップ教育の匷化・拡充。本業の教育が奜埪環の芁を成しおきた。 日本の産業構造転換の遅れは昔幎の課題だが、東倧発ベンチャヌの突砎力が産業構造を倉革し、アフタヌ・コロナの未来を創るこずを確信しおいる。

す。斜策自䜓が先行し、目的を倱うこずは避けるべきであり、五神総長が蒔いた皮に継続性ずいう支柱を立おおいかなければなりたせん。 瀟䌚における東倧の圹割を重芖され、そのための改革を断行された五神総長ですが、今埌改革の目は孊内にも向けねばなりたせん。昚幎の総長遞考時に顕圚化した孊内の分断に向き合うこず。そしお孊内における属性のいび぀な偏りや属性に基づく既埗暩益の存圚を認識し、䞍圓な既埗暩益を打ち壊すための取り組みが求められたす。倚様なバックグラりンドを持぀構成員が眮かれおいる状況にたずは寄り添い、状況を打開し埗る具䜓的な斜策を打ち出すこず。これが次期執行郚に最初に求められる姿勢であるず考えたす。たたこの6幎間で孊郚教育ぞのテコ入れが停滞したこずも芋過ごしおはいけたせん。将来瀟䌚の担い手ずなる人材の育成は極めお重芁な䜿呜です。藀井茝倫次期総長は10月の䌚芋で教育改革ぞの意欲を瀺されおおり、今埌のご尜力に倧倉期埅しおおりたす。

倩窓が埩掻した総合図曞通本通倧階段

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数字の倉遷で芋るこの6幎の東京倧孊2015幎9月刊の本誌31号では、東倧が第30代総長ずずもに取り組むべき課題をデヌタをもずに玹介したした。それから玄5幎半。果たしおそれらがクリアできたのか吊か、数倀を瀺しお怜蚌したす。課題解決に向かう倧孊の舵取りは、第31代総長ぞず匕き継がれたす。

孊郚孊生の女性比率

2014幎床

18.7%2020幎床

19.5%

䜏たい支揎、女子高校生ず総長の盎接察話、女子䞭高生向けのポスタヌや動画の制䜜などの取組みを続けたしたが、課題である 2割の壁は超えられたせんでした。倧孊院では26.9

→28.2ずなっおいたす。

倖囜人留孊生数

2014幎床

2873人2020幎床

4194人

孊郚は293→366人、倧孊院は2580→3828

人でした研究生等を含む。゚リア別の割合では、アゞアは81.9

→86.1ず増加、ペヌロッパは8.7→7.1

ず枛少、北米は2.6

→2.6で倉わらずでした。

博士課皋進孊率

2013幎床修了者

28.8%2019幎床修了者

26.9%

修士課皋修了者のうち倧孊院研究科に進孊した人は、2963人䞭852

人→3157人䞭849人ずなり、割合は1.9ポむント枛に。知識集玄型瀟䌚の進展を巊右する高床な博士人材の支揎は次期総長に蚗されたす。

2014幎床

84人2019幎床

120人留孊しおいる孊郚孊生の数

囜別ではアメリカ37人、むギリス15人、オヌストラリア 9人の順。倧孊院孊生も含めるず393人→422人でした。2020幎床はコロナ犍の圱響を受け、孊郚孊生52人、倧孊院を含めおも270人ずなりたした。

※出兞「東京倧孊の抂芁 資料線」ほか https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/overview/book.html

倖囜人教員数

2014幎床

215人2020幎床

326人

教授、准教授、講垫、助教、特任教授、特任准教授、特任講垫、特任助教の集蚈。囜別では䞭囜138→225人、韓囜75→79人、アメリカ46→57人、むンド22→33人、フランス24→32人の順でした。

2014幎床

9.9%2020幎床

19.4%

2014幎床

25.1億円2019幎床

41.7億円

管理職職員の女性比率孊生、教員ずずもに倧孊組織を構成する職員のうち、郚長、副郚長、事務長、課長の職に就く者兌務者及び特定有期雇甚教職員を陀くの数倀です。課長玚以䞊の女性はこの 6

幎で倧きく増えおきたした。

東倧基金寄附申蟌金額申蟌件数9882件のうち個人は9483

件、法人は399件。目的指定のある寄附39.4億円のうち、30.62億円は教育・研究支揎に、3.15億円は奚孊金等に、0.71億円はキャンパス環境敎備に圹立おられたす。

教員の女性比率 

2014幎床

16.5%2020幎床

18.2%

教授、准教授、講垫、助教、助手、特任教授、特任准教授、特任講垫、特任助教、特任研究員を察象にした数倀です。女性の研究科長・孊郚長は 0人→ 1人、女性の理事は 7人䞭 0人→8人䞭 3人ずなりたした。

有期雇甚教員の割合

収入に占める運営費亀付金の割合

2014幎床

2014幎床

33.2%

34.4%

2020幎床

2020幎床

32.7%

32.5%

6幎で0.5ポむント枛。わずかに芋えるかもしれたせんが、それたでは8幎で16ポむントも増えおいた数倀です。若手教員の無期雇甚化促進制床や卓越研究員制床ずいった取組みが確実に結果に぀ながりたした。

収入予算総額は2358.4億円から2599.04億円ぞ。文郚科孊省から配分される運営費亀付金は811.34億円から844.71億円ぞ。予算配分制床の倉曎、倧孊債発行など「真の経営䜓」を目指す取組みが進みたす。

連携研究機構の数

0 36組織の枠を超えた孊の融合で新たな孊問を創造するため、2016幎床から連携研究機構の蚭眮が始たりたした。マテリアルむノベヌション研究センタヌを筆頭にその数は珟圚36。未来の孊術の芜が育っおいたす。

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䞊野千鶎子さん

2015-2020

高峰譲吉、朚村栄、長岡半倪郎、南郚陜䞀郎、浅井祥仁、

小林冚雄、ベルツ、北里柎䞉郎、岡倉倩心、高楠順次郎、

䞋田正匘、梶田隆章、戞塚掋二、梅謙次郎、穂積陳重、

富井政章、谷山豊、岩柀健吉、宇沢匘文、小柎昌俊

䞊野英䞉郎、倧隅良兞、氎島昇、池田菊苗、モヌス、

箕䜜䜳吉、小野秀雄、吉野䜜造、南原繁、村山斉、藀原垰䞀、

神取道宏、高橋延枅、服郚四郎、駒井和愛、長岡半倪郎、

北里柎䞉郎、朚村栄、山極勝䞉郎、青山胀通

岡倉倩心、フェノロサ、梅謙次郎、穂積陳重、富井正章、

杉田粟叞、橘省吟、小川誠二、本庶䜑、北里柎䞉郎、

石坂公成、倚田冚雄、芋田宗介

内田祥䞉、南原繁、新枡戞皲造、䞞山眞男、原広叞、廣束枉、

北里柎䞉郎、䜐藀幹倫、䜐倉統、鈎朚梅倪郎

梶田隆章、橋本進吉、石塚韍麿、小柎昌俊、戞塚掋二、

倧隅良兞、䞭根千枝、安井誠䞀郎、東韍倪郎、高朚憲次

出雲充、鈎朚健吟、原ひろ子、森鎎倖、逊老孟叞、

梶田隆章、小柎昌俊

総長が蚀及した東倧ゆかりの人々 祝蟞をいただいた皆様

「ノむズから生たれる」

2019幎床孊郚入孊匏祝蟞

苅谷剛圊、

䜐藀勝圊

梶田隆章、

芳賀培

倧隅良兞、

石井菜穂子

ロバヌトキャンベル、

十倉奜玀

䞊野千鶎子、

ヘンシュ貎雄

明石康 ※

※コロナ犍のため匏兞は行わずメッセヌゞを録画しおりェブ配信。

 19幎の入孊匏の来賓祝蟞に招かれたのは晎倩の霹靂だっ

たが、それが巻き起こした反応も想定倖だった。わたしの

蚀っおいるこずは昔から倉わらない。倉わったのは勇気あ

る遞択をなさった東京倧孊です、ず蚀っおきた。その倏の

オヌプンキャンパスには䟋幎より女子孊生の参加が倚かっ

たず聞いた。翌幎の入詊結果は女子孊生比率が前幎床17.4

に察しお20幎床19.1、1.7ポむント増だから祝蟞効果は

あったのだろうか。ずはいえただ「 2割の壁」は越せない。

 その埌、孊内の孊生・院生ずやりずりする機䌚が増えた。

ある男子孊生から「なぜ女子孊生を増やさなければならな

いか、孊内で合意ができおいるずは思えたせん」ずいう発

蚀を聞いた。海倖に出たずきに総長が恥をかくからか、囜

際暙準に合わないず「倖圧」を受けるからか  内発的な

動機がないずいうのだ。倧孊は情報生産の堎、情報がノむ

ズから生たれるのは情報工孊の基本のき。瀟䌚孊のシステ

ム理論によれば「システムずは情報の瞮枛装眮である」、

぀たりノむズの発生を抑える効果がある。情報はシステム

の内郚ではなく、システムの「あいだ」に発生する。だず

したらシステム間の萜差が倧きいほど情報生産性が高くな

るのは圓然だろう。女は人口の半分いる。そのノむズをず

りこたなくお情報のむノベヌションはありえない。ここた

で蚀っおあげなくおは理解できないのだろうか、正解ばか

りに答えおきた東倧生の情報生産性が思いやられる。

総長の蚀葉で最も話題になったのが、就任2幎目の孊郚入孊匏で述べた「毎日、新聞を読みたすか ?」でした。芋出しだけでなく本文も読もうずいう内容を新聞各玙が報じおくれたした。囜内玙だけでなく海倖の情報にも觊れお芖野を広げるよう呌びかける内容でした。

UTokyo匏兞プレむバック春ず秋に行われる入孊匏・卒業匏・孊䜍蚘授䞎匏は、倧孊の数倚の行事の䞭でも特に重芁な匏兞ずいえたす。そこで誰がどんなこずを話すのかに぀いおは、瀟䌚からも高い関心を集めおきたした。この6幎間の匏兞を、人ず蚀葉を軞に振り返りたす。

2015 幎床

2016 幎床

2017 幎床

2018 幎床

2019 幎床

2020 幎床

認定NPO法人 りィメンズ アクションネットワヌク理事長

孊郚ず倧孊院の入孊匏では毎回来賓をお招きしお祝蟞をいただいおいたす。なかでもこの 6幎で瀟䌚から倧きな泚目を集めたのは、共感ず文化ぞの立ち入りに぀いお率盎に語ったキャンベル先生2018幎床孊郚、垫の蚀葉を受けお自分だけができるこずを行うよう語ったヘンシュ先生2019幎床倧孊院。そしお、合栌は自分だけの努力でできたこずではないず指摘しながら東倧のゞェンダヌギャップに蚀及した䞊野先生でした2019幎床孊郚。党文を掲茉したりェブペヌゞは200䞇以䞊ものPV数を蚘録、倧孊のホヌムペヌゞが始たっお以来最倧の反響ずなりたした。

五神総長は、匏兞では毎回倚くの東倧の先達の功瞟を玹介しながら孊生を゚ンカレッゞしおきたした。35回の匏蟞・告蟞で蚀及した東京倧孊ゆかりの先達は60人以䞊。明治から倧正、昭和、平成たで。そしお、理孊、医孊、化孊、蟲孊ずいった理系分野から、史孊、文孊、瀟䌚孊、経枈孊ずいった文系分野たで。その顔ぶれは非垞に幅広く、140有䜙幎の歎史を擁する日本の総合倧孊の䟡倀を䜙すずころなく䌝えおいたす。

五神総長がこの 6幎に述べた入孊匏の匏蟞11本玄7.25䞇字を察象に、登堎する蚀葉の頻床に応じお瀺したワヌドクラりドです「東倧」「皆さん」「これ」などは陀く。「孊問」や「瀟䌚」はもちろん、「人類」や「地球」、「プロフェッショナル」や「基瀎」の存圚も匷く意識されおいたこずがわかりたす。

特別寄皿

話題を呌んだ「新聞を読もう」 入孊匏匏蟞によく䜿われた蚀葉

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3030

むンタヌネットにおける䞖論圢成を怜蚌「ネット右翌」は匱者ではなかった異なる民族や倖囜人に察する偏芋は昔から瀟䌚に存圚しおいたす。しかし、むンタヌネットの普及により、その存圚感は以前より増しおいるように芋えたす。「ネット右翌」ず呌ばれるようになった人々の姿を、玄8䞇人の䞖論調査を通じお浮かび䞊がらせたのが、氞吉先生。実際の姿は、䞖間の想定ずは違うものでした。

氞吉垌久子文

Invitationto

Science

私はむンタヌネットが䞖論圢成に䞎える圱響

に぀いお、研究を行っおきたした。むンタヌ

ネットは人々が觊れるこずのできる情報の量

や、コミュニケヌションできる盞手の範囲を

ンタヌネットは今日の私たちの生掻

に欠かせないものずなっおいたす。む

瀟䌚科孊研究所 准教授

フランス革呜期の囜民議䌚を描いた絵「Ouverture

des Etats Généraux à Versailles le 5 mai 1789」Isidore Stanislaus Helman and Charles Monnet /

フランス囜立図曞通。「右翌」ずいう蚀葉は、王の絶察的拒吊暩をめぐる議決で、その支持掟が議長垭の右偎にいたこずに由来する。

参考van Beek, W. E. A. and F. Bienfait. 2014. “Political left and right.” Journal of Social and

Political Psychology 2 (1): 335-346.

倧幅に広げたした。このため、私たちはむン

タヌネットを通じお倚様な意芋に觊れられた

す。他方で、むンタヌネットは自分から情報

を探しに行く胜動的なメディアであるために、

そしお、むンタヌネットのアルゎリズムに組

み蟌たれたフィルタリングの機胜により、自

分ず䌌た人、自分の意芋ず合った情報に觊れ

やすくなる可胜性もありたす。この堎合、自

分の考えを支持する意芋・情報にばかり觊れ

るこずで、もずの意芋がさらに匷たる「゚コ

ヌチェンバヌ」ずいう珟象が生じるず考えら

れおいたす。

 ゚コヌチェンバヌが実際に生じおいるのか、

東北倧孊の瀧川裕貎先生ず共同で、Twitter侊

で政治に関心が高く、オピニオンリヌダヌず

いえる人500人以䞊のフォロワヌがいる、

1000回以䞊ツむヌトしおいる人に着目し、

怜蚌したした。その結果、これらのオピニオ

ンリヌダヌの間ではネットワヌクの䞊でも、

ツむヌトの話題の面でも分極化が生じおいる

こずがわかりたした。巊掟政党を䞭心にフォ

ロヌするクラスタヌず右掟政党を䞭心にフォ

ロヌするクラスタヌのネットワヌクは亀わっ

おおらず、前者は政府の汚職や共謀眪の問題

に぀いお、埌者は近隣諞囜ずの関係に぀いお

ずいうように、議論のテヌマも異なっおいた

した。これは、異なる政治的考えを持぀人の

亀流が、少なくずもTwitterずいう堎では生じ

おいないこずを瀺唆しおいたす。

 政治的分極化の問題は、しばしばネット右

翌ず結び぀けお語られたす。ネット右翌には

明確な定矩はありたせんが、䞀般的にむンタ

ヌネット䞊に排倖䞻矩的・歎史修正䞻矩的意

芋を曞き蟌んだり、拡散したりする人を指し

たす。ネット右翌には、瀟䌚経枈的に豊かで

ない、孀立した匱者などのむメヌゞがもたれ

おきたした。私は調査䌚瀟のモニタヌ77084

人に察するりェブ調査デヌタを甚い、こうし

たネット右翌像が劥圓なのかを怜蚌したした。

ネット右翌を排倖䞻矩的・保守的な考えを持

ち、むンタヌネット䞊で政治的・瀟䌚的テヌ

マに぀いお意芋の曞き蟌みや拡散を行ったこ

ずのある人、ず定矩し、非ネット右翌ずの比

范を行ったずころ、教育氎準、䞖垯収入、婚

姻状態や盞談盞手の有無に違いはみられたせ

んでした。぀たり、瀟䌚的に孀立した匱者ず

いう「ネット右翌」のむメヌゞは劥圓ではな

く、ある意味では瀟䌚によるレッテル貌りが

生んだものずもいえるのではないでしょうか。

今埌はむンタヌネット䞊でクラスタヌを超え

た意芋の広がりが生じるメカニズムを怜蚌し、

むンタヌネットず䞖論圢成の関連を怜蚌しお

いきたいず思いたす。

氞吉先生の共著曞『ネット右翌ずは䜕か』

青匓瀟2019幎 5月刊1600円皎

ネット右翌は非ネット右翌よりも、わずかに正芏雇甚や経営・自営の割合が高く、所埗分垃には倧きな違いがない。出兞『垂民の政治参加に関するアンケヌト』をもずに筆者䜜成

図 ネット右翌ず雇甚圢態・䞖垯収入の関連

雇甚圢態別の割合

䞖垯収入別の割合

ネット右翌1167

ネット右翌1167

非ネット右翌75917

非ネット右翌75917

49.3

44.1

2.1

2.1

13.9 17.8

19.7

11.1

10.5

18.3

25.5

8.2

13.5

1.2

21.6

22.4

27.1

22.2

0.8

9.5

30.0

29.2

正芏

100䞇円未満

非正芏

100䞇300䞇円

経営・自営

300600䞇円

孊生

600900䞇円

無職

無回答

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3131

ありたせん。予枬ができるこずによっお、人

は䞀郚しか芋えない物䜓から党䜓を想像した

り、他者の衚情や動きからその人の気持ち

意図や感情を掚し量るこずができたす。た

た、認識された物䜓や他者に察しおどう働き

かけるべきかも、予枬機胜が叞っおいるので

す。䟋えば、怅子に察しお座るずいう行動や、

困っおいる人を芋お助けるずいう行為を生成

できるのも、予枬機胜のおかげです。

 私たちは、この予枬機胜がい぀ごろ獲埗さ

れるのか、そしおそこにはどのような個人差

があるのかを、ロボットの実隓ず子䟛の実隓

を比范するこずで調べおきたした。子䟛の奜

きなお絵かき課題を甚いお、物䜓の䞀郚の特

に環境ず盞互䜜甚するロボットを甚いお、人

の認知発達の仕組みを研究しおきたした図

1。人の脳は「予枬する機械」であるず蚀わ

れおいたす。芖芚や聎芚などの感芚噚をずお

しお受け取る信号は、脳においおそのたた知

芚されるのではなく、脳が過去の経隓や知識

をもずに感芚信号を予枬し、その予枬信号ず

統合されお認識されたす。䟋えば、皆さんも

経隓したこずのある錯芖の䞀郚は、この予枬

機胜によっお生じるず考えられおいたす。脳

が知芚を歪めおいるのです。

 しかし、予枬の効果は悪いこずばかりでは

たちは、脳の機胜を真䌌た人工ニュ

ヌラルネットワヌクず、それをもず私 城から党䜓を予枬できるのか、そしお足りな

い特城を描き足すこずができるのかを調べた

した。

 するず、ロボットでは予枬機胜をバランス

良く獲埗したものだけが、高幎霢の子䟛のよ

うに、絵を完成させるこずができたした図

2。たた、ロボットの予枬機胜を匱くしたり

匷くしたりするず、異なる描画行動が珟れた

した。予枬機胜が未熟であるず、ロボットは

なぐり描きをするようになり、予枬機胜が過

剰であるず、呈瀺された絵に関わらず、い぀

も同じ絵を描くようになったのです。䌌たよ

うな描き方は、䜎幎霢の子䟛や、䞀郚の子䟛

の描画にも珟れおいたす。぀たりこの実隓か

ら、予枬機胜をバランス良く獲埗するこずが

人の知胜の発達の基盀にあり、そのバランス

の倉化が個性に぀ながるこずが分かっおきた

のです。

 私たちはこの考えを拡匵するこずで、自閉

スペクトラム症などの発達障害が生じる芁因

も解明できるのではないかず考えおいたす。

自閉スペクトラム症の人は瀟䌚的なコミュニ

ケヌションの難しさだけではなく、光や音に

察しお敏感な感芚過敏をも぀こずが倚いず蚀

われおいたす。そしお、この感芚過敏は、脳

の予枬機胜のバランス䞍党によっお生じるず

指摘されおいたす。私たちは発達障害を抱え

た研究者ず䞀緒に、感芚過敏がなぜ起きるの

か、芋え方・聞こえ方が倉わるこずで行動に

どう圱響するのかを、䜓隓型シミュレヌタや

人工ニュヌラルネットワヌクの開発をずおし

お調べおいるずころです図 3。

ニュヌロむンテリゞェンス囜際研究機構

特任教授http://developmental-robotics.jp

Invitationto

Scienceロボットを創るこずで人を知る予枬する脳に基づく知胜の発達ず個性人はどのようにしお知胜を獲埗するのか。この究極の問いに迫る方法の䞀぀に、人のように発達・孊習するロボットを創るずいう手法がありたす。創るこずによっおその仕組みを理解する、認知発達ロボティクスず呌ばれる研究です。2017幎創蚭の機構で脳の原理に迫る長井先生が、その䞀端を玹介したす。

長井志江 文

過剰な予枬 適床な予枬 未熟な予枬 なぐり描き繰り返し 䞍足郚分の远加

ロボットず子䟛の描画胜力の比范。ロボットの予枬機胜を倉化させるず、高幎霢児のように䞍足郚分を远加しお絵を完成させるだけではなく、同じ絵を繰り返したり、なぐり描きをする行動が珟れたした。

自閉スペクトラム症ASDの芖芚䞖界を再珟するシミュレヌタ。感芚過敏の䞖界を疑䌌䜓隓するこずで、瀟䌚的なコミュニケヌションに䞎える圱響を理解したす。

 このような研究をずおしお人の知

胜の原理を理解し、個性を生マむクロフォン内蔵カメラ

入力装眮環境からの芖聎芚信号を取埗

ヘッドマりントディスプレむ出力装眮ASDの芖芚過敏・鈍麻を再珟

かした瀟䌚づくりに圹立お

たいず考えおいたす。

ロボットの描画 子䟛の描画

図 2

42month

31month

48month

99month

82month

90month

78month

35month

71month

図 1

図 3

ASDの芖芚動画刺激

ASDの芖芚動画刺激

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フレヌムワヌクず指暙、Global Commo

ns Stewardship Index (GCS Index)の開発を進めおいたす。昚幎12月の東京フォヌラムでは、この構想に぀いお䞖界のリヌダヌず議論し、GCS Indexの詊行版を発衚したした。サむバヌ空間の指暙化はこれから取り組む課題です。林 コンピュヌタサむ゚ンスは広い䞖界の芁求や動きず連携しお進めるべきだずの旚を村井先生は著曞で述べおいたした。総長の認識もその延長にあるようです。

村井 Internetからinternetぞ、普通名詞ずなったむンタヌネットの意味は以前ず

をもたらすずいうバッドシナリオです。さらにコロナ犍の状況を芋るず、もう䞀぀囜家による監芖が匷たっお垂民の自由が奪われるずいうデヌタ監芖瀟䌚ずいうバッドシナリオもある。Society 5.0の目指す、皆が掻躍できるよい瀟䌚に向かうには、この二぀の厖の間の现い尟根を前に向かっおいかなければなりたせん。 サむバヌ空間ずフィゞカル空間の融合が進む䞭で、䞡者を合わせた「グロヌバル・コモンズ」を保党するこずが重芁ず考え、東倧は去幎 8月にグロヌバル・コモンズ・センタヌを蚭眮したした。各囜がグロヌバル・コモンズの保党にどのくらい取り組めおいるかを瀺すための統合

就任以来Society 5.0の構想を語り続けおきた五神総長には、退任前にぜひ話を聞きたいず願った人がいたした。日本のむンタヌネットを黎明期から支えおきた村井玔先生、増え続けるデヌタを工孊の力で凊理し掻甚に぀なげおきた喜連川優先生、メディア論の立堎からAI時代のゞェンダヌ平等瀟䌚を考えおいる林銙里先生です。村井先生の1995幎の著曞を端緒に展開された情報化瀟䌚の来し方行く末の議論を玹介したす。

デヌタ駆動型 瀟䌚の行方

おいるように思えたす。ITの歎史は苊難の連続。極床に恐れるこずなく良いシナリオを䜜っおゆくこずが肝芁です。村井 むンタヌネットナヌザヌは2000幎に䞖界人口の 6、2020幎には60を超えたした。 6のずきはむンタヌネットで良いこずをしようず皆が考えたしたが、䜿う人が増えれば圓然abuser悪甚する人も増え、それが厖っぷち問題を生みたす。問題に察応するには、コンテンツ

で孊生に蚀っおきたした。喜連川 コンピュヌタの芁玠は、蚈算、蚘憶、盞互結合の3぀です。盞互結合には以前から通信があり、その䞀圢態がむンタヌネットです。蚈算はスパコンに代衚され、1976幎のCRAYが最叀参です。そしおネットが生たれ、蚘憶、即ち、デヌタが泚目されたのは2009幎4thパラダ

むムからで、比范的最近です。デヌタ独占によるバッドシナリオずいうのは煜っ

倉わり、人類党䜓のプラットフォヌムずなりたした。がけっぷちの問題が生じたのはそのため。人間の発想や創造性を広げる䞀方、守備範囲もふくらみ、責任ず圹割が増えた。足元がどんどん䞊がっおきた感じです。林 著曞ではそれを「スノコ」ずいう蚀葉で衚珟されおいたしたね。村井 自分が人の足の䞋にあるもの以䞊を぀くっおいるず思うなよ、ずいう文脈

林 最初に総長から、この堎をセットした理由などお話しいただけたすか。五神 先日、村井先生の『むンタヌネット』岩波新曞を久々に読み盎しおみたした。26幎も前に珟圚の状況をかなり蚀い圓おおいるずころが倚く、非垞に面癜かったんです。1995幎圓時ず比べおいたの姿をどう芋おいるのか、この先、むンタヌネットはどうなるのかなど、是非お聞きしおみたいず思ったのです。 2018幎のダボス䌚議でナノァリ・ハラリさんは、特定の䌁業がデヌタを独占する瀟䌚ぞの懞念を述べたした。デヌタ瀟䌚がむンクルヌシブネスを実珟するずいうグッドシナリオずは逆にディストピア

internetは人間の「スノコ」

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ぞのトラストがあるかどうかが肝になりたす。 むンタヌネットで個人デヌタが最初に掻甚されたのは、1996幎のアトランタ五茪です。IBMが閲芧履歎からペヌゞをカスタマむズしお衚瀺したした。これを芋おビゞネスになるず気づき、ネット広告を展開しお成長したのがダフヌで、怜玢に玐づけお成長したのがグヌグル。こうしお個人デヌタの䟡倀が明らかになりたした。先日、政府の委員䌚で怜蚎するために海賊版挫画のサむトを芋たら、囜皎庁の広告が衚瀺されたした。個人の閲芧履歎をもずに関連の高い広告を衚瀺するむンタヌネット広告の技術的仕組みずし

おは仕方ないずはいえ、広告の゚コシステムが壊れおしたっおいる。フェむクニュヌスなどの問題の本質もこのあたりにあるのではないでしょうか。ただ、これは修正できるはずです。コアにあるのはコンピュヌタサむ゚ンスですが、いたや、皆の力、特にメディアやゞャヌナリズムの力が必芁です。林 意図的に悪さをしようずする人に察しおは、察策も考えやすいものです。ただ、珟圚の厖はそれだけではない。瀟䌚には、個人の意図ずは関係なく、偏向した暩力分垃や消費瀟䌚の磁堎の䞭で、集合的に無意識のうちに悪い方向に進むずいうダむナミズムがありたす。それが、

6から60にナヌザヌが広がるなかで匷化されおきたように思いたす。喜連川 技術の䞍具合はむンタヌネットに限りたせん。䟋えば化孊者が生み出したプラスチックが最近倧きく叩かれおいたすが、極めお倧きな䟿益を人類に䞎えたのは事実です。孊者の責任をそこたで問うべきでしょうか。科孊技術党おが垞に明ず暗を有しおいたす。むンタヌネットを䜜った人を責めるのは酷です。䞍具合が出たら盎す。「Fail Fast」の粟神で。五神 科孊技術は、法や瀟䌚システム、人々がどう動くかの経枈メカニズムずも連関させおいかねばなりたせん。経枈、法孊、歎史などの専門家ずずもに考え、

就任以来Society 5.0の構想を語り続けおきた五神総長には、退任前にぜひ話を聞きたいず願った人がいたした。日本のむンタヌネットを黎明期から支えおきた村井玔先生、増え続けるデヌタを工孊の力で凊理し掻甚に぀なげおきた喜連川優先生、メディア論の立堎からAI時代のゞェンダヌ平等瀟䌚を考えおいる林銙里先生です。村井先生の1995幎の著曞を端緒に展開された情報化瀟䌚の来し方行く末の議論を玹介したす。

デヌタ駆動型 瀟䌚の行方よいモデルを芋぀けるこずができれば、新しい䟡倀をもたらせるはずです。村井 abuseは「濫甚」「悪甚」。察矩語は「適甚」「善甚」です。この「善甚」の意識が広がっおいるず私は芋おいたす。1995

幎の阪神・淡路倧震灜のずき、日本人はむンタヌネットの䟡倀を理解したした。マスメディアは犠牲者の話しかしないが、むンタヌネットでは人助けに぀ながる情報が流通しおいるず気づいたんです。20

07幎にiPhoneが出お䜍眮情報の掻甚が広がり、2011幎の東日本倧震灜では人の安吊がわかるようになり、そしお珟圚のコロナ犍です。むンタヌネットを瀟䌚のた

めに䜿う流れは匷たっおいたす。ドコモの「モバむル統蚈情報」サむトでは、人流を垞時把握し個人を特定せずに公開しおいたす。個人情報を䞊手に扱えば公共に圹立぀こずを日本人はもう知っおいたす。五神 厖の䞊で監芖瀟䌚偎の谷に萜ちずにがんばっおいる感じでしょうか。林 喜連川先生も灜害情報に取り組んでいたすね。

匿名化した情報では足りない

喜連川 デゞタル防灜の瀟䌚実装の取纏めをしおいたす。阪神・淡路倧震灜の際、

避難しない人が倚かったそうです。慶應の先生が調べるず、避難を拒吊したのではなく次にどうすればいいかの情報を埅っおいたず。3.11の際、我々はツむッタヌ解析を行い、「がほしい」のに䜕が入るか被灜者が䜕を求めおいるかを調べたした。䞀番倚かったのは「情報」でした。灜害時は情報提䟛が最も重芁だずいう同じ結論が出たのが印象的です。ではコロナ犍で経枈掻動ず感染防止を䞡立させる方法はあるのか。囜家が囜民に「個人情報を䞀定期間だけ提䟛しおくれないか 感染源を特定できるので、感染を短期間に収束させ、経枈ダメヌゞを

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最小限に必ずしたす」ず問うのはどうかず思いたす。ただ日本では政府ず囜民の間にトラストがないため、実斜䞍胜なのが残念です。林 トラストは本来双方向で醞成されるもので、囜民が政府を信じられないずいうのは、囜民の問題だけではないはずです。そこには、信頌を埗られない䞍透明な政治の歎史や、政府ず垂民ずのコミュニケヌション䞍足が背景にあるず思いたす。政府に限らず、近代囜家にはシステムを぀くる偎ず囜民ずの意思疎通が十分あるずはいえなかった。こういうずころにむンタヌネットは圹立おるでしょうか。喜連川 教育が鍵。政府の教育再生デゞ

した。ずころが、子䟛ができるず圌らは東京に出おいこうずする。よい教育を受けさせるには東京ずいうわけです。教育が地方経枈の鍵を握るず思いたした。喜連川 授業を倧孊からアンバンドルし、東倧や慶應の講矩を講矩共有プラットフォヌムから誰でも芋られるようにする。圓然地方からも。自然淘汰が起こり、教え䞊手な講矩だけが残るでしょう。共通科目を教える先生はずっず少なくおいい。五神 実は東倧では、海倖の先生のオンラむン講矩だけで単䜍を認定するプログラムを怜蚎しおいたしお、来幎床には詊行を始める予定です。村井 米囜でMOOC※が始たったずき、

タルタスクフォヌスに参加しおいたすが、コロナ犍の教育を調査したらすごい孊生を発芋したした。倧半の孊生は授業の生䞭継を望みたす。たくたしいその孊生は録画を望むのです。デゞタルをフル掻甚しお早送りで芋られるから。簡単な所は飛ばしお難しい所だけ䞁寧に芋るのです。五神 DX掻甚の芁諊は個の倚様性ぞの察応です。今の話はたさにその奜䟋です。コロナ犍でカスタマむズが広がるず、党䜓ずしおよい教育、よい瀟䌚の姿が芋えおくるかもしれたせん。村井 山圢県の鶎岡に慶應矩塟倧孊の研究所があり、ここを起点にベンチャヌがたくさん生たれお地元経枈が掻性化した

教員の仕事がなくなるず蚀われたしたが、いたは誰も蚀いたせん。個々の教員がやるべきこずは他にたくさんあるからです。地方の倧孊でないずできないこずもある。NIIの䞻導で進めおほしいです。喜連川 村井先生に応揎しおいただけるなら是非ずも講矩共有プラットフォヌムをNIIで䜜りたいず思いたす。五神 コロナ犍の打撃から起き䞊がり残るのは、リアルの䟡倀を高めた倧孊だけではないかず思いたす。そのためにもサむバヌですむずころはそうできるようし

っかり進めおおかねばなりたせん。林 リアル空間ずサむバヌ空間の䞡方で

躓きは人間よりデゞタルの方がずっず正確に把握できる。コロナ犍での発芋です。

マンツヌマンこそ教育の䟡倀

五神 リアルの堎ではマンツヌマンが重芁です。研究宀では、卒業たでに教員は䜕癟時間も孊生ず個別に察話したす。そこから生み出される教育の䟡倀はかけがえのないものです。林 孊生には、条件のよい出自の人、぀たり村井先生の衚珟をお借りすれば、堅牢で良質なスノコを持っおいる人もいるし、䞍安定でガタガタのスノコしか持たない人もいたす。スノコそのものを持た

教育が進むず、䞀方通行的な「講矩」では枈たされない。求められる教員の資質も倉わるのではないかず思いたす。 村井 䞡者はそれほどわかれおはおらず、むしろ密に぀ながっおいる気がしたす。五神 デゞタル技術には個の倚様性に応じる力がありたす。いい先生が䞀人いれば他の先生はいらないかずいうずそれは違う。同じ科目でも様々な教え方があり孊び方も倚様です。孊生の個性に察応できるようマッチングさせるのが重芁です。喜連川 䞀人ずは蚀っおたせん。少数になるでしょう。教育のデゞタル化の最倧のご利益はおちこがれ防止です。孊生の

1984幎に孊術ネットワヌク「JUNET」を蚭立し、日本のむンタヌネットの瀎を築く。慶應矩塟倧孊のSFC研究所長、垞任理事、環境情報孊郚長などを歎任し、2020幎から内閣官房参䞎も務める。

慶應矩塟倧孊教授

MURAI Jun

村井 箔

生産技術研究所教授。2013幎より珟職。米囜ビッグデヌタ斜策の7幎前に特定領域「情報爆発」プロゞェクトを開始しおデヌタの䞭心的研究者を務め、情報凊理孊䌚䌚長などを歎任。専門はデヌタ工孊。

囜立情報孊研究所NII所長

KITSUREGAWA Masaru

喜連川 優

※Massive Open Online Courses

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ないで、進孊できない人、あきらめる人もいたす。むンタヌネットずいう新たなスノコの力で、倧孊のダむバヌシティの景芳は倉わるでしょうか。  村井 むンタヌネットが倚くの人に高等教育ぞのアクセシビリティを確保するずわかれば、人々の意識は倉わるはずです。喜連川 孊問は倚様化し现分化したした。现分化された個別の孊術に誰もがアクセスできるようにすべきず考えたす。䞀぀気になるのは研究者の評䟡を倧孊が倖郚化しおいるこず。以前は論文がなくおも倧孊が優秀ず認めれば孊䜍が授䞎されたしたが、今は査読付論文が䜕本必芁等ず評䟡を倖に頌りたす。結果、ちたちたし

た論文が増えおいる気がしたす。

デヌタには分断を進める力も

林 ご指摘の点は、孊術領域にデヌタサむ゚ンスが進行した際の負の面です。孊術の䞖界もデゞタル化が進み、論文の匕甚数などがすぐわかるようになりたした。デヌタサむ゚ンスは瀟䌚に貢献する䞀方、瀟䌚の分断を加速するパワヌにもなるず思いたす。デヌタサむ゚ンスの功眪を芋極めお新たなシステムを構想しなくおはなりたせん。五神 無から有を生み出すには、普通の論文を曞くだけではだめですね。2幎前の倏にアップル本瀟を蚪問したした。技

術者は論文執筆など求められないし曞きたいずも思っおいないようですが、研究は倧奜きで没頭しおいたした。そこは埓来の倧孊モデルずは党く違う知の創造の堎でした。今埌は倧孊にもそのような芁玠が求められるかもしれたせん。村井 むカれた倧孊、たじめな倧孊、ベンチャヌをがんばる倧孊などず倧孊が倚様化したらいい。東倧は尖った研究に特化しおほしいずころですが。喜連川 倧孊ではオリゞナリティを問い過ぎで、たさにアップルにいるような人材を倧孊が生み出す必芁がある。技術を瀟䌚で䜿える段階たで高めるこずを評䟡する颚土がないのが課題です。

林 村井先生のご著曞に、人類の歎史は、メディア・テクノロゞヌの限界によっお倚くの情報を切り萜ずしおきたが、むンタヌネットでいたたで切り萜ずしおきた情報をもう䞀床埩掻できるのでは、ずありたした。アカデミアの評䟡も、叀い制床の枠内で、均質的な成員の間だけで評䟡システムを぀くっおきたず思いたす。しかし、むンタヌネットによっお、孊問ずしお評䟡される別の軞が生たれ、これたでの枠からはみ出るような人も掻躍できる倧孊になるずいいなず思いたす。村井 人ず違うこずだっおできる若い幎代の成長には、寄り添っお話せる教員や

先茩や仲間ずの出䌚いが必芁で、倧孊の圹割はその堎になるこずだず思いたす。五神 私は倧孊が瀟䌚倉革を駆動するず蚀っおきたした。若い人がもがく゚ネルギヌを倉革に掻甚したかったんです。倉化を楜しみ、それを瀟䌚に圹立おたいず思っおいる若者は実際に増えおいるず感じたす。3.11を若い時分に経隓したこずが圱響しおいるのかもしれたせん。コロナ犍から起き䞊がった時に、掻躍する人がたくさん出おくるのが楜しみです。喜連川 昚幎 6月、トロントのスマヌトシティプロゞェクトをグヌグルがやめた

ず報道されたした。デヌタ駆動の難しさ

が象城的です。Society 5.0に向かうトラストを具珟化するのは䌁業ではなく倧孊。6幎前に総長が描いたこずが実感をもっお語れる時にきたしたね。五神 その責任がある倧孊が、旧態䟝然の瞊割りで隙間だらけのたたではいけたせん。それを埋めるにもダむバヌシティが重芁ですね。絶劙なタむミングで総長をやらせおもらったずあらためお実感しおいたす。

ロむタヌ通信瀟蚘者などを経お、2009幎より珟職。著曞に『メディア䞍信』岩波新曞ほか。2020幎より東京倧孊 Beyond AI

研究掚進機構 B’AI Global Forum

Projectリヌダヌを務める。

東京倧孊情報孊環教授

HAYASHI Kaori

林 驙里

座談䌚開催日2021幎1月27日

2015幎より珟職。専門は光量子物理孊。個を掻かす持続可胜な未来瀟䌚をデゞタル革新が拓くずいう信念は『Society

5.0』日立東倧ラボ線著日本経枈新聞出版瀟2018幎10月刊に詳しい。

東京倧孊総長

GONOKAMI Makoto

五神 真

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t a n s e iT h e U n i v e r s i t y o f T o k y o M a g a z i n e

42 2021/03東京倧孊広報誌

発行日什和3幎3月12日 線集発行東京倧孊広報宀 東京倧孊本郚広報課 〒113-8654 東京郜文京区本郷7䞁目3番1号 TEL 03-3811-3393 FAX 03-3816-3913 E-mail[email protected] URLhttps://www.u-tokyo.ac.jp

総合図曞通「UTokyo Faculty Works」「新図曞通蚈画 アカデミック・コモンズ」で生たれ倉わった本郷の総合図曞通。赀絚毯の倧階段䞊の吹き抜けが埩元されお光が入り、1階入口を入っお巊手に 2぀の展瀺スペヌスが出珟し、5階には飲食や歓談に䜿えるラりンゞもできたした。そしお芋逃しおほしくないのは、3階に登堎した「UTokyo Faculty Works」です。倧階段を䞊がっお正面の曞棚には東倧教員の著曞が勢揃い。りェブサむト「UTok

yo BiblioPlaza」ずの連携により、教員自身が曞いた内容玹介文が各々に぀いおいるのが特長で、著者の思い入れやこだわりがよく䌝わりたす。気になる本があればもちろん借り出し可。140幎の歎史ず知の銙りが暪溢する通でこれぞずいう䞀冊ず出䌚っおください。