研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

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経営学の普及に関する 実証研究 (共同研究者:群馬大学 新井康平さん)

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Page 1: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

経営学の普及に関する 実証研究

(共同研究者:群馬大学 新井康平さん)

Page 2: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

デニス・ルソー (2006) Academy of Management Review誌 (2005年AOM Presidential Address)

(ビジネススクールの教員になって)私が最も落胆したのは、研究における発見が、職場に十分に反映されていないことだった。 ・・・つまり、研究と実践の間には、隔たりが 存在するのだ。

(Rousseau, 2006, p. 257)

元アメリカ経営学会長デニス・ルソー発言の衝撃

Page 3: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

 2012年8月、アメリカ経営学会@ボストン  若手中堅の研究者、研究者の卵、実践家

、コンサルタント達の熱い議論。 ⇒ なぜ、経営学は「使われない」のか?   どうすれば「使える」学問になれるか?

元アメリカ経営学会長デニス・ルソー発言の衝撃

Page 4: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

(いくつかの結論)  抽象的な理論ではなく、「使える事実」を

生み出し、それを活用してもらうこと。Evidence-Based Management。

 そうした研究をするインセンティブを研究者に与えること。

重要な発見があった論文を採択する。  研究プロセス、特に、研究課題を   練り上げたり、分析結果の意味を 解釈するフェーズにビジネスパーソン   をもっともっと巻き込む。

元アメリカ経営学会長デニス・ルソー発言の衝撃

Page 5: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

 素朴に、「こういう議論を日本でしたら  どうなるか?」と思った。  たぶん、同じ結論にはならないだろうけれども、    少なくとも、投げかけるに値する問いだと思った。  しかし他方で・・・・・・

服部がボストンで考えたこと

Page 6: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

⇒ 「経営学が使える/使えない」の問題を 考えるのであれば、   「使われていない」ということを前提に するのではなく、   「経営学が普及している/いない」という、 より素朴な、   経験的な問いからスタートしなければ ならないのでは??

服部がボストンで考えたこと

Page 7: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

(1)日本のビジネスパーソンへの経営学の 普及の現状、普及の経路、そして普及を 促進/阻害する要因を明らかにすること

(2)知識としての経営学を知ることが。 ビジネスパーソンにどのような帰結を もたらすのかを明らかにすること  

私たちの「問題意識」

Page 8: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

経営学的 知識の 理解度

フレームワーク 知識の普及チャネル ①マスメディア (書籍、TV、新聞、雑誌) ②公式コミュニケーション (社内外研修、会議) ③非公式コミュニケーション(会話など)

個人の信念 ①サイエンス重視 ②クラフト重視 ③無信念

キャリアの成熟度 ①キャリアへの関心 ②キャリアの計画性

Page 9: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

経営学的 知識の理解度

フレームワーク

実践的帰結 ①年収 ②昇進

Page 10: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

 経営学の和書あるいは邦訳書の教科書の索引情報  具体的な手順  (1)2009年以降の出版年された28冊の教科書を選択。  (2)教科書の索引にあるキーワード(6549ワード)を エクセル上に転記し,言及頻度の高い上位40項 目抽出(人名、社名、商品名、一般用語 (e.g.株式会社)は排除)。  (3)各項目について、以下の6段階で測定  0. 聞いたことがない   1. 全く理解していない ~ 5. しっかりと理解している

調査の手続き

Page 11: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

 調査会社を用いたウェブ調査 (2012年12月6日~10日)

 回答者は、  ①正社員(大卒)  ②回答時点で20-65歳 という条件を満たすもの。

 2818名に回答を依頼し,実際に1489名が 回答(回答率52.8%)。 有効なサンプルサイズは1034名。

調査概要

Page 12: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

1つ目のカテゴリ 学術用語

リソース・ベースト・ビュー 1.76 ファイブ・フォース・モデル 1.70

限定合理性 1.86 管理過程論 1.90

X理論・Y理論 1.94 二要因理論(動機づけ-衛生理論) 1.96

コンティンジェンシー理論 1.8 課業管理 1.99

ポジショニング・アプローチ 1.94 コスト・リーダーシップ戦略 2.13

科学的管理法 2.11 取引コスト理論 2.04

マーケティング・ミックス 2.12 欲求階層説 2.11 公式組織 2.17 非公式組織 2.11 管理原則 2.17

コアコンピタンス 2.04 差別出来高給 2.24

2種類の「経営学的知識」の平均値 5点が最大値! 2つ目のカテゴリ ビジネス用語

事業戦略 2.85 権限委譲 2.87 個人主義 2.98 差別化戦略 2.74 官僚制 2.88

組織構造 2.63 戦略的意思決定 2.53

集中戦略 2.52 競争優位 2.53 職務拡大 2.55 経済人 2.46

有限責任 2.59 成長ベクトル 2.43 動機づけ要因 2.55 職務充実 2.4 経営者支配 2.35

所有と経営の分離 2.37 人間関係論 2.38

ナレッジ・マネジメント 2.29 暗黙知 2.17

オープン・システム 2.32

Page 13: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

経営学的 知識の 理解度

フレームワーク 知識の普及チャネル ①マスメディア 書籍(+)、TV(+)、新聞(+)、雑誌 ②公式コミュニケーション 社内外研修、会議 ③非公式コミュニケーション(会話など)

個人の信念 ①サイエンス重視(-) ②クラフト重視 ③無信念(+)

キャリアの成熟度 ①キャリアへの関心 ②キャリアの計画性(+)

Page 14: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

経営学的 知識の理解度

フレームワーク

実践的帰結 ①年収 ②昇進(+)

Page 15: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

【経営学の普及の現状】

  経営学が現場へと幅広く浸透しているとは言い難い?

【経営学普及のチャネル】

  少なくとも経営学を知るという目的からすれば,普及の主要なチャネルは,書籍やテレビ,日経新聞といったマスメディア・チャネル。

  学術雑誌は、経営学的知識の普及チャネルとはなっていない。

  公式・非公式な対人チャネルもしかり。

Page 16: 研究と実践2.0 服部さんのプレゼン

【経営学の普及の促進・阻害要因】

  サイエンス志向は経営学の阻害要因?   むしろ,仕事に対する特定の強い信念を持たないことが経営学の普及につながる?

  キャリアの成熟が,科学的知識を学び、摂取する要因

【経営学普及の帰結】

  経営学を知ることは,組織内における昇進という実践的帰結をもたらす?