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2 全市版 神戸ひらこ 1 99 5 . 1 . 1 7 当時さまざまな立場で震災を経験された人と 被災経験のない世代にお話を聞きました。 命をつなぐために、 地域の輪をつなごう 大濱義弘 NPO 法人 「神戸の絆 2005」 理事 おおはま よしひろ 避難所の運営で感じた共助の大切さ 当時、たくさんのボランティアの方々が全国から駆け付けてくれ、教師 の手が回らないところを埋めてくれて助かりました。その時の恩返しにな ればと思い、私は現在NPO法人「神戸の絆2005」で、震災の語り部と して体験や教訓、避難所運営のノウハウなどを全国に発信しています。 全国から助けられた恩返しを 人と人とのつながりのある地域は災害時にも強いです。つながりを作 るために、一番簡単にできることは「あいさつ」だと思います。子供たち には登下校時のあいさつの大切さを説いています。私たち大人も、地域 の人とすれ違ったらあいさつをする。そういった普段からの小さな行為 の積み重ねが、地域での共助の基盤を作るんじゃないかと思いますね。 日頃のつながりが、災害時の助け合いを生み出す 震 災 当 時 、北 区 の 藤 原 台 小 学 校 の 校 長 でした 。私 の 学 校 は ほとんど 被害が無く、被害が大きかった地区の学校避難所運営のお手伝いをしま した。いくつもの学校で共通していたことは、皆が自分の命を守ること に 必 死 で 、食 べ 物 や 寝 る場 所をめぐり、当 初 避 難 所 は 大 混 乱 。でもだ ん だん落ち着いてくると、率先して食べ物や 支援物資の配布を手伝う人や「寒くない? お腹すいてない?」といった声かけをする 人が増えていきました。そういった共助の 精 神 は 人 間 皆 あ るもの で す 。教 師 だ け で 避難所を運営することはできませんから、 皆がお互いに助け合うことが大切です。 新人編集者 かんべ 今年で 2 6 年 。語 り 継 が ひらこう 仲間との絆で、 届けた温もり 曹 英生 南京町商店街振興組合理事長 そう えいせい 震災当時、南京町(中央区)は比較的被害が少なかったのですが、そ れでも全壊や一部損壊の店が何軒かありました。この状況を何とかしよ うと、震災の1週間後に30人くらいで集まって今後のことを話し合った ん で す 。南 京 町 は 食 の 町 な の で 、食 で 市 民 の 皆 さん に 喜 ん でもら おう と、1月31日に炊き出しをすることを決 めまし た 。寒 い 季 節 だった の で 身 体 の 中 からあたたまる食事を提供したら、当日は 多くの人から「久しぶりに温かくておいし いものが食べられた。」という声をいただ いて、中には涙ぐまれている人も。ほんと にやってよかったと思いました。 限られた状況の中で自分たちができること 緊急事態が発生した後、すぐに大勢で活動するという動きは素地が無 かったらできないと思うんです。南京町では、春節祭の準備のために週 に1回くらい集まったりして、普段からコミュニケーションが取れていた んですよね。何かあったら集まって相談して、最善の動きをするというこ とを震災以前からしてきたので、あの時も動けたのだと思います。 普段からのコミュニケーションの大切さ いざという時にすぐに情報を得られるように、SNSなどのツールを使 いこなせるようにしたり、地域のみんなとLINEなどで情報網をしっかり 持っておくことが必要です。あと、普段からの人とのお付き合いは本当に 大事。今の時期は気をつける必要がありますが、おいしいものを食べて、 お酒を飲んで、食を通じて人間の輪を広めていくのもいいと思います。 今後のために私たちが備えられること 阪 神・淡 路 大 震 災 から2 6 年 。時 代とともに 、地 ます が 、ひとた び 大 災 害 が 発 生 す れ ば 、救 出 活 場 面 で 、人との つ な がり・助 け 合 い は 重 要 な 要 あらためて人とのつながりや共に助け合うこと 3 全市版 2021年(令和3年)1月号 千 代 が 丘 防 災 福 祉コミュニティ( 垂 水 区 )は 、10年 ほど前に要 援 護者支援を中心に活動を始めました。災害が起きたときに支援が必 要な人のお宅を訪問して、状況を確 認しています。活動を始めた頃は、 訪 問し ても「 あ ん た 誰?」と言 わ れ 、 十 分 な 話 が できな い 。だ から「 防 コ ミ」の名前を売って、街で会ったとき に あ い さ つ が で き る「 顔 見 知り」を 作ることから始めました。 当 初 の 活 動 は「 顔 見 知 り 」を 作 る こと 今 の 防 災コミュニ ティは 約 1 0 0 人 体 制 。た だ 、震 災 が 起こったとき に即戦力で動けるのは25人程度。登録されている要援護者は約330 人なので、1人で10人以上の支援をすることは難しく、1人1人を支援 するには時間と多くの人手が必要になります。でも、地域の人たちと 顔見知りになって、近所の人を巻き込んで支援を行う。それを広げる ことで、地域の共生につながって、防災力の強化になるんです。 「顔見知り」になることでできる支援 地域の人たちと顔見知りになるためには、きっかけと勇気が大切。 最初はあいさつしてくれない人でも、5回・10回としていると返してく れるようになるんです。ただ、知らない人に話しかけるのはなかなか 難しい。だから気軽に話できる環境が大事になってきます。普段から 気軽にあいさつを交わす、そんな街になってほしいですね。 大 切 な こと は「 きっ か け 」と「 勇 気 」 震災の教訓を、 未来 へつないでいくために 藤原祐弥 阪 神・淡 路 大 震 災 を 風 化 させ たくな いという思 い から 、1 0 月 に「 1 . 1 7 希 望 の 架 け 橋 」を 立 ち 上 げました 。現 在 、1 5~2 1 歳 のメン バ ー 2 2 人 で 活 動し て います 。きっか け は 、昨 年 舞 子 高 校 環 境防災科の3年生のときに同級生たちと、神戸 ルミナリエに「語り部ブース」を出展したこと。 過去の卒業生たちが、震災の体験談などをまと めた文集から抜粋したものや、震災直後と復興 後の写真パネルなどを展示しました。 若い世代に阪神・淡路大震災を知ってもらいたい 震災で家族や友達を亡くした人が私たちのブースに来て、当時の状況 を教えてくれることもありました。「震災を知らない自分が語り継ぎ活動を していいのか。」という思いがあったのですが「若い世代の人がこれから の希望だよ。これからも語り継いでいってね。」と声を掛けてもらえたこと がうれしかった。それが今のグループ名にもつながっています。 阪神・淡路大震災を語り継いでいきたい 大災害が起きた時の人とのつながり・重要性を伝えていくため、震災を 経験した人から自分たちに語り継いでもらったことを、さらに次の世代に つないでいく。震災経験者と震災を知らない世代の架け橋となれるよう、 今後語れる場を増やしていきたいです。 若い世代が語れる場を増やしたい 1.17 希望の架け橋 代表 「 顔 見 知り」に な る 、 それが役に立つ 川村喜由 千代が丘防災福祉 コミュニティ代表 かわむら きよし ふじわら ゆうや 震災を経験された3人が共通しておっしゃっていたのが、 普段からの人とのつながりの重要さ。あらためてご近所付 き合いの大切さを気づかせてくれました。あの震災の経験 や記憶はいつまでも残していかなくては。この教訓を今度 は私たち若い世代が引き継いでいくことが大事ですね。 が れる「 共 助 」の力 災 から の未来 域における人間関係の希薄化は進みつつあり 動から避難生活、地域社会の復興に至る全ての 素です。今後発生が予測される大災害に備え、 の 意 味・重 要 性 に つ い て 考 え て みませ ん か 。

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2 全 市 版

神戸ひらこ

1 9 9 5 .1 .1 7

当時さまざまな立場で震災を経験された人と被災経験のない世代にお話を聞きました。

命をつなぐために、地域の輪をつなごう

大濱義弘さんNPO法人 「神戸の絆 2005」 理事おおはま よしひろ

避難所の運営で感じた共助の大切さ

 当時、たくさんのボランティアの方々が全国から駆け付けてくれ、教師の手が回らないところを埋めてくれて助かりました。その時の恩返しになればと思い、私は現在NPO法人「神戸の絆2005」で、震災の語り部として体験や教訓、避難所運営のノウハウなどを全国に発信しています。

全国から助けられた恩返しを

 人と人とのつながりのある地域は災害時にも強いです。つながりを作るために、一番簡単にできることは「あいさつ」だと思います。子供たちには登下校時のあいさつの大切さを説いています。私たち大人も、地域の人とすれ違ったらあいさつをする。そういった普段からの小さな行為の積み重ねが、地域での共助の基盤を作るんじゃないかと思いますね。

日頃のつながりが、災害時の助け合いを生み出す

 震災当時、北区の藤原台小学校の校長でした。私の学校はほとんど被害が無く、被害が大きかった地区の学校避難所運営のお手伝いをしました。いくつもの学校で共通していたことは、皆が自分の命を守ることに必死で、食べ物や寝る場所をめぐり、当初避難所は大混乱。でもだんだん落ち着いてくると、率先して食べ物や支援物資の配布を手伝う人や「寒くない?お腹すいてない?」といった声かけをする人が増えていきました。そういった共助の精神は人間皆あるものです。教師だけで避難所を運営することはできませんから、皆がお互いに助け合うことが大切です。

新人編集者かんべ

今年で 2 6年。語り継がれる「共助」の力

震災ひらこう

仲間との絆で、届けた温もり

曹 英生さん南京町商店街振興組合理事長そう えいせい

 震災当時、南京町(中央区)は比較的被害が少なかったのですが、それでも全壊や一部損壊の店が何軒かありました。この状況を何とかしようと、震災の1週間後に30人くらいで集まって今後のことを話し合ったんです。南京町は食の町なので、食で市民の皆さんに喜んでもらおうと、1月31日に炊き出しをすることを決めました。寒い季節だったので身体の中からあたたまる食事を提供したら、当日は多くの人から「久しぶりに温かくておいしいものが食べられた。」という声をいただいて、中には涙ぐまれている人も。ほんとにやってよかったと思いました。

限られた状況の中で自分たちができること

 緊急事態が発生した後、すぐに大勢で活動するという動きは素地が無かったらできないと思うんです。南京町では、春節祭の準備のために週に1回くらい集まったりして、普段からコミュニケーションが取れていたんですよね。何かあったら集まって相談して、最善の動きをするということを震災以前からしてきたので、あの時も動けたのだと思います。

普段からのコミュニケーションの大切さ

 いざという時にすぐに情報を得られるように、SNSなどのツールを使いこなせるようにしたり、地域のみんなとLINEなどで情報網をしっかり持っておくことが必要です。あと、普段からの人とのお付き合いは本当に大事。今の時期は気をつける必要がありますが、おいしいものを食べて、お酒を飲んで、食を通じて人間の輪を広めていくのもいいと思います。

今後のために私たちが備えられること

阪神・淡路大震災から26年。時代とともに、地ますが、ひとたび大災害が発生すれば、救出活場面で、人とのつながり・助け合いは重要な要あらためて人とのつながりや共に助け合うこと

神 戸 市 広 報 紙 3全 市 版2021年(令和3年) 1月号

 千代が丘防災福祉コミュニティ(垂水区)は、10年ほど前に要援護者支援を中心に活動を始めました。災害が起きたときに支援が必要な人のお宅を訪問して、状況を確認しています。活動を始めた頃は、訪問しても「あんた誰?」と言われ、十分な話ができない。だから「防コミ」の名前を売って、街で会ったときにあいさつができる「顔見知り」を作ることから始めました。

当初の活動は「顔見知り」を作ること

 今の防災コミュニティは約100人体制。ただ、震災が起こったときに即戦力で動けるのは25人程度。登録されている要援護者は約330人なので、1人で10人以上の支援をすることは難しく、1人1人を支援するには時間と多くの人手が必要になります。でも、地域の人たちと顔見知りになって、近所の人を巻き込んで支援を行う。それを広げることで、地域の共生につながって、防災力の強化になるんです。

「顔見知り」になることでできる支援

 地域の人たちと顔見知りになるためには、きっかけと勇気が大切。最初はあいさつしてくれない人でも、5回・10回としていると返してくれるようになるんです。ただ、知らない人に話しかけるのはなかなか難しい。だから気軽に話できる環境が大事になってきます。普段から気軽にあいさつを交わす、そんな街になってほしいですね。

大切なことは「きっかけ」と「勇気」

震災の教訓を、未来へつないでいくために

藤原祐弥さん

 阪神・淡路大震災を風化させたくないという思いから、10月に「1.17希望の架け橋」を立ち上げました。現在、15~21歳のメンバー22人で活動しています。きっかけは、昨年舞子高校環境防災科の3年生のときに同級生たちと、神戸ルミナリエに「語り部ブース」を出展したこと。過去の卒業生たちが、震災の体験談などをまとめた文集から抜粋したものや、震災直後と復興後の写真パネルなどを展示しました。

若い世代に阪神・淡路大震災を知ってもらいたい

 震災で家族や友達を亡くした人が私たちのブースに来て、当時の状況を教えてくれることもありました。「震災を知らない自分が語り継ぎ活動をしていいのか。」という思いがあったのですが「若い世代の人がこれからの希望だよ。これからも語り継いでいってね。」と声を掛けてもらえたことがうれしかった。それが今のグループ名にもつながっています。

阪神・淡路大震災を語り継いでいきたい

 大災害が起きた時の人とのつながり・重要性を伝えていくため、震災を経験した人から自分たちに語り継いでもらったことを、さらに次の世代につないでいく。震災経験者と震災を知らない世代の架け橋となれるよう、今後語れる場を増やしていきたいです。

若い世代が語れる場を増やしたい

1.17 希望の架け橋 代表

「顔見知り」になる、それが役に立つ

川村喜由さん千代が丘防災福祉コミュニティ代表

かわむら きよし

ふじわら ゆうや

震災を経験された3人が共通しておっしゃっていたのが、普段からの人とのつながりの重要さ。あらためてご近所付き合いの大切さを気づかせてくれました。あの震災の経験や記憶はいつまでも残していかなくては。この教訓を今度は私たち若い世代が引き継いでいくことが大事ですね。

年。語り継がれる「共助」の力

震災から の未来

域における人間関係の希薄化は進みつつあり動から避難生活、地域社会の復興に至る全ての素です。今後発生が予測される大災害に備え、の意味・重要性について考えてみませんか。

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<開催にあたり、お願いしたいこと>新型コロナウイルスの感染拡大状況を踏まえ、なるべく自宅などそれぞれの場所での追悼をお願いします。

震災で亡くなられた人を追悼するとともに、震災で培われた「きずな・支えあう心」「やさしさ・思いやり」の大切さを次世代に語り継ぎます。

1月17日(日)東遊園地 5:00~21:00

<来場される場合>・特に混雑が予想される朝の時間帯は避けてください・必ずマスクを着用してください・自宅検温をし、発熱・咳・風邪などの症状がある人は来場を控えてください・「接触確認アプリ COCOA」「兵庫県新型コロナ追跡システム」の 登録をしてください(詳細は 5 面へ)

神戸市マイトライアル 検索

サンデー神戸 検索

[問]市事業・イベント案内センター(☎333-3372 F 333-3314)

藤本真一さん

1月17日(日)9:00から1時間の特別番組を生放送します。久元市長も出演し、追悼と震災経験の伝承・語り継ぎなどを、ラジオを通じてお届けします。

震災の経験や教訓を形に 市は今後の災害に備えて、1月17日(日)に今の時代に合わせたさまざまな取り組みを行います。

誰もがどこでもできる訓練「マイトライアル1 . 1 7」

まとめ 人と人とがつながり、助け合うことで、阪神・淡路大震災を乗り越

えてきた神戸。震災を経験した人たちからの教訓は、これからの若い世代にも受け継いでいかなければなりません。今後起こり得る災害に備えて、私たちができることから始めましょう。

市シェイクアウト訓練

スマートフォンから災害情報を提供し、ウェブ上でその情報を共有するシステムを活用した訓練です。

その場で3つの安全行動(まず低く、頭を守り、動かない)をとる訓練です。

11:00から15:00まで危機管理センターで開催します。災害時にも役立つ電気自動車を持つ市民に協力してもらい、その電力でいれたコーヒーを提供します。

L I N Eを活用した災害情報共有訓練

市政広報ラジオ番組

詳細は

共助DXカフェ 検索詳細は

神戸市1.17 STEP 検索詳細は

神戸市 1.17のつどい 検索詳細は

災害時の新たな共助を体験「共助DXカフェ」

垂水区舞多聞地域を拠点として、防災訓練や先進技術を取り入れた防災意識の啓発、ブース展示を行うなど、市と地域共催の防災訓練を実施します。

神戸市1.17防災訓練「STEP」

阪神・淡路大震災1.17 のつどい

実行委員会 委員長

「1.17のつどい」は、震災を経験した人にとってはあの日を忘れない気持ちの象徴であり、震災を知らない世代にとっては当時の様子に触れ合える場です。今は震災を知らない若い世代が増え、時代とともに形態が変わっていくかもしれませんが、毎年1月17日の朝に灯りをともし続けることが次世代にもつながると思っています。

久 元 市 長 の 神 戸を想う

4 全 市 版

「サンデー神戸」特別生放送

※サンデー神戸は、ラジオ関西(AM558kHz・FM91.1MHz) で毎週日曜9:00から放送中

ディーエックス

ふじもと  しんいち

1 .17 のつどい阪神・淡路大震災