21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力...

16
「 情 報 活 用 能 力 調 査 」の結 果 から見る 指 導 改 善 のポイント 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のために 平成27年3月

Upload: others

Post on 08-Jun-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

「情報活用能力調査」の結果から見る指導改善のポイント

21世紀を生き抜く児童生徒の

情 報 活 用 能 力育 成 の た め に

平成27年3月

情報活用能力育成のために-H1-H4.indd 2情報活用能力育成のために-H1-H4.indd 2 2015/04/27 10:072015/04/27 10:07

Page 2: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

2 情報活用能力育成のために

本調査は、「子供たちの情報活用能力」の状況を調査したものです。

○ 子供たちの情報活用能力の育成○ ICTを効果的に活用した分かりやすく深まる授業の実現○ 校務の情報化の推進

教育の情報化の推進

情報活用能力調査の概要調査目的

調査の目的は、児童生徒の情報活用能力育成に向けた施策の展開、学習指導の改善、教育課程の検討のための基礎資料を得ることです。

調査対象

国公私立の小学校第5学年児童(116校3,343人)・中学校第2学年生徒(104校3,338人)を対象としました。

調査実施時期

調査の実施時期は、平成25年10月~平成26年1月です。

調査内容

情報活用能力を構成する次の3つの観点から出題しました。 ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解 ③情報社会に参画する態度

調査方法

調査は、コンピュータに問題を提示し、コンピュータ操作で解答する形式で実施しました。 児童生徒は、キーボードを使った文字入力問題と4つの小問からなる大問を4問解答しました。(小学校60分、中学校68分で小問16問に解答) また、学校や家庭におけるICT機器の使用などに関するコンピュータによる質問調査も実施しました。

情報社会に参画する態度

情報の科学的な理解

情報活用の実践力

必要な情報の主体的な収集・判断・表現・処理・創造

受け手の状況などを踏まえた発信・伝達

課題や目的に応じた情報手段の適切な活用

情報や情報技術の役割や影響の理解

情報モラルの必要性情報に対する責任

望ましい情報社会の創造への参画

自らの情報活用を評価・改善するための理論や方法の理解

情報手段の特性の理解

情報活用能力とは 情報活用能力とは、情報及び情報手段を主体的に選択し、活用していくための個人の基礎的資質で、次の3観点8要素に整理されています。

:3観点 :8要素

情報活用能力の3観点8要素

情報活用能力育成のために-02-05.indd 1情報活用能力育成のために-02-05.indd 1 2015/04/27 10:002015/04/27 10:00

Page 3: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

3

文の構成は、コンピュータを使って考えると便利だね。

この図鑑の説明だけだと分からないこともあるね。

私が撮影したこの写真の方が意図がよく伝わるのではないかな。

自分の考えの根拠をもっとはっきり書き表した方がいいですね。

他のメディアでもっと詳しく調べてみようよ。

データの出典を明記しないとね。

1 | 学習課題を設定し、学習の見通しをもつ。

2 | 教科書の教材文(意見文)を読むとともに、情報を集め、考えを深める。

3 | コンピュータを活用して意見文を書き、交流して、推敲し、清書する。

4 | 学習を振り返り、まとめる。

コンピュータで文字、グラフ、表、静止画等を統合的に扱い、根拠となるデータや異なる意見なども取り上げて、意見文をまとめる。

お互いの意見文について、文章の書き方やデータの扱い方などについてアドバイスし合い、修正し、意見文を完成させる。

情報活用能力を育成するとは 情報活用能力を育むことは、必要な情報を主体的

に収集・判断・処理・編集・創造・表現し、発信・

伝達できる能力等を育むことです。また、基礎的・

基本的な知識・技能の確実な定着とともに、知識・

技能を活用して行う言語活動の基盤となるもので

あり、「生きる力」に資するものです。

〈平成23年 教育の情報化ビジョンより〉

情報活用能力を育成する学習活動例

一連の学習活動の中で情報活用能力を育成しましょう。

本文は、問題提起から始まっているね。

動画をみて、自然保護について考えてみましょう。

意見文の構成の仕方を確認しましょう。

様々な情報を上手に使って、説得力のある意見が書けましたね。

データをうまく使って、根拠がしっかりある意見文が書けたね。

解決の方法はないのかな。

皆で意見を交流したいな。

「自然保護」のまとめページを学校SNSで共有しよう。

「自然保護」について、必要な情報を集めて意見文を書くという見通しをもつ。

教科書の教材文(意見文)を読み、意見文の構成や書き方の工夫を学ぶ。

自分で選んだ本や資料などから必要な情報を収集し、意見文を書くために必要な事柄を整理する。

守ろう私たちの地球

集めた情報やメディアを、適切に活用できたかも振り返る。

「課題に応じて必要な情報を集め意見文を書く(国語)」

情報活用能力育成のために-02-05.indd 2情報活用能力育成のために-02-05.indd 2 2015/04/27 10:002015/04/27 10:00

Page 4: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

4 情報活用能力育成のために

調査の結果から分かった情報活用能力の課題課題一覧

濁音・半濁音・促音の入力や、アルファベットやカタカナの入力切り替えが苦手なことが分かりました。

P.7 で指導事例を紹介キーボードでの文字入力02

複数のウェブサイトを行き来しながら情報を比較し、目的に応じて情報を集めることが苦手なことが分かりました。

P.8 で指導事例を紹介複数データからの情報収集03

情報活用能力の育成を意識した授業の実施状況が低いことが分かりました。

P.6 で事例を紹介01 情報活用能力の育成を意識した授業の実践

複数の収集した情報をいくつかのグループに分類することが苦手なことが分かりました。

04 P.9 で指導事例を紹介情報の適切な分類

表やグラフから読み取れる情報を説明・分析することが苦手なことが分かりました。

P.10 で指導事例を紹介表やグラフの比較による分析05

数値情報をグラフで伝える際、適切なグラフの種類の選択や目盛の値等の読み取りが苦手なことが分かりました。

P.11 で指導事例を紹介適切なグラフの作成06

見出しの作成や貼り付ける写真を選択する際、受け手をあまり意識できていないことが分かりました。

P.12 で指導事例を紹介受け手を意識した資料作成や発表07

課題解決の提案をする際、その根拠となる情報を説明することが苦手なことが分かりました。

P.13 で指導事例を紹介情報に基づいた課題解決の提案08

ウェブサイトの信頼性の判断基準や、情報発信者として注意する点に関する知識が不足していることが分かりました。

P.14 で指導事例を紹介インターネット上での情報発信の特性の理解09

インターネット上でのトラブルの兆候に気づくことや、トラブルの適切な対応方法に関する知識が不足していることが分かりました。

P.15 で指導事例を紹介インターネット上でのトラブル遭遇時の対応10

ht tp: // jouhouka.mex t .go.jp/調査の詳細及び調査結果の詳細な分析は、

をご覧ください。

情報活用能力育成のために-02-05.indd 3情報活用能力育成のために-02-05.indd 3 2015/04/27 10:302015/04/27 10:30

Page 5: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

5

指導事例の見方情報活用能力調査の結果から分かった改善のポイントです。1

3 6

情報活用能力調査の結果を示しています。2

調査結果から分かった課題を踏まえて、情報活用能力育成のために必要とされる指導の例を示しています。

他学年や他教科等での指導事例を示しています。

4 指導事例の基本情報(校種・学年・教科等・単元名)と単元全体の学習活動例を示しています。

5 指導事例における主な学習活動例と指導のポイントを示しています。※ ここで例示している学習活動は単元 全体における1単位時間の中のある 特定の場面です。※ 情報活用能力の育成には、この事例 にある指導だけではなく単元間の つながりを意識し、単元全体を貫いた 学習指導を構成することが大切です。

12

3

4

5

6

情報活用能力育成のために-02-05.indd 4情報活用能力育成のために-02-05.indd 4 2015/04/27 10:012015/04/27 10:01

Page 6: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

6 情報活用能力育成のために

教育委員会単位で、情報活用能力育成に関する授業公開と参観、研究会の機会を作る。

校長が中心となって、教職員向けに教育の情報化に関連した話題や情報活用能力の育成に関する便りを発行する。

校内でのICT活用研修の内容を、ICT機器の操作方法の研修から、児童生徒がICTを用いて主体的・協働的に情報を活用するための指導内容の研修へと移行する。

その他の取組例

○ 校長がリーダーシップを発揮し、情報活用能力の育成に関する校内研修や模擬授業の実施を工夫すること。○ 日常の授業で指導している内容や場面を、情報活用能力の視点から振り返ること。○ ICT支援員等の外部人材の活用をすること。

必要とされる取組

事例Case Study 情報活用能力を育てる具体的な内容と

場面についての理解を深める

情報活用能力の育成を意識した授業の実施状況が低いことが分かりました。

調査の結果

ポイント

職員室でのスポット研修のイメージ

●校内でのスポット研修を繰り返し行う。● 校内での現職研修の中に、情報活用能力の育成に関する授業研究を位置付ける。

● 日常の授業で取り上げている内容を、情報活用能力の視点から見直す。

取組例1 校内でのスポット研修

● 年間を通して、会議後などに15分程度の研修時間を作る。本指導資料の1項目ごとや教育の情報化に関する手引き(P80-97)の1節ごとに内容を取りあげるなど、短時間の研修を実施する。

● 校内の職員が講師となり、ICTについての詳しい知識がなくとも、資料の輪読、感想の交流の進行を務めるだけでも良い。ICT支援員が講師となることも考えられる。

● 現在担任している学年での指導につなげる視点として、教育の情報化に関する手引き(P17-26)を参考にする。

● 本指導資料の事例を学校のICT環境の場合の実際の指導として取り上げ、指導場面を体験する。

スポット研修

● 校内研究のテーマとは別に、現職研修の一つとして授業実践を行う。その際、基礎資料として、本指導資料の指導事例や、教育委員会や関連団体等が作成している情報活用能力の育成に関する指導資料を用いて、研修をすすめる。

● 校内研究のテーマに沿って実施された授業を、情報活用能力育成の視点から検討する。日常の授業の中で、情報活用能力の育成に結び付く学習活動が行われていることを確認する。

取組例2

情報活用能力の育成に関する授業実践

授業研究

情報活用能力の育成を意識した授業の実践

改善ポイント

01

情報活用能力育成のために-06-16.indd 1情報活用能力育成のために-06-16.indd 1 2015/04/27 10:022015/04/27 10:02

Page 7: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

7

その他の取組例

-小学校- 5年・国語報告書、提案書や意見文を作成する場面で、分かったり、考えたりしたことを箇条書きに入力させてから、文につなげたり、順序を入れ替えたりする。

-中学校- 全学年・理科観察や実験の結果をまとめる場面で、写真、表やグラフを挿入したレポートを作成する。

○ インターネットによる検索だけでなく、コンピュータを 使って文章を書く学習活動を取り入れること。○ 社会科見学や理科の観察・実験レポートを書く際、コンピュータを使って作成する学習活動を取り入れること。

必要とされる指導の例

濁音・半濁音・促音の入力、アルファベットやカタカナの入力切り替えが苦手なことが分かりました。

調査の結果

小学校事例Case Study 「文字入力名人になろう」(3~4年各教科等)単元

文字入力の学習をモジュール化して複数の活動で展開する

① [backspace][delete][カーソル]のキーの場所と意味を知り、それぞれのキーを用途に応じて使い分ける。

② 母音の位置を知り、決められた指で押下する。その際、ホームポジションを意識する。

コンピュータを活用する際に、キーボードでの文字入力に関する小ステップの内容を各教科等の活動の中に取り入れる。

活動例

③ 母音と子音の関係を理解し、両手の指を使って文字入力する。 ▶ 特に母音を押す指が理解できるようになると、子音のアルファベットを自分で探しながら入力することができる。そのために、キートップに子音が分かるようなシールを貼るのも良い。

④ 長音、撥音、拗音などのローマ字入力を理解し、短文を入力する。 ▶ 長音などに見られるローマ字特有の表記があることや、キーボードの表示が大文字であることなどにより、子供の混乱が生じやすいので、ローマ字表記を一覧整理したワークシート等を活用する。

⑤ 漢字変換の仕方や適切な文節区切り、次候補の選択の仕方を理解し、短文を入力する。

⑥ 半角と全角との見分け方やアルファベット変換やカタカナ変換、半角変換などを理解し、短文を入力する。

キートップに貼るシールのイメージ

シールの工夫 「れ」はラ行の と「え」の だ。

RE

Rr

らりるれろ

上記①~⑥の内容をチェックリストにし、自己評価に活用させ、文字入力の学習を進める際の目安とする。また、グループ内でチェックリストを確認し合い、お互いに教え合う活動も考えられる。

キーボードでの文字入力

改善ポイント

02

情報活用能力育成のために-06-16.indd 2情報活用能力育成のために-06-16.indd 2 2015/04/27 10:022015/04/27 10:02

Page 8: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

8 情報活用能力育成のために

-小学校- 6年・国語話題になっているニュースについて情報を集める場面で、ニュース番組を見たり、複数の新聞記事を読み比べたりして、書き手の意図や工夫に気付く。

-中学校- 3年・社会 公民的分野地域の人口問題やゴミ問題について情報を収集する場面で、自分の主張の根拠となるデータを複数選択し、より相手に伝わるように処理加工する。

その他の指導場面

○ 情報収集の手段が複数あることを意識させ、目的に 合った手段を選択すること。○ インターネットでの検索ワードの選び方によって検索 結果が異なることを意識すること。○ 情報発信者の意図や誰に向けた情報であるかを意識すること。○ 異なる情報手段や複数のウェブページで収集した情報を比較させ、目的の情報を見つけ出すこと。

必要とされる指導の例

● ウェブページの情報が確かな情報であるかどうかを判断する手立てを示す。

● 全員共通に印刷した4種類の資料のうち、3つは受賞理由が含まれているもの、1つは受賞者の個人情報等が書いてあるものを用意し、それらを識別させる。

● 受賞の理由として必要だと思う情報にラインを引くようにする。

読む 青色LED開発者ノーベル賞受賞に関する文章を4種類読む。

● ラインを引いた中から、各資料に共通して記載されている受賞の理由を選択させ、付箋紙に書き出させる。受賞理由の表現からも、発信者の意図を読み取れることに気づかせたい。

● 共通していない情報や、受賞者の個人情報等の受賞理由は、別の付箋紙に書くようにする。

書き出す共通して記載されている情報を捉え、付箋紙に書き出す。

● 白色光源の実現、高品質・高性能化等の視点により情報を整理し、優先順位を考え、重要だと考えたことから順に3つに絞らせたい。

優先順位を考える

集めた情報を整理し、レポート作成のための優先順位を考える。

この後、ワードを限定したインターネット検索(「青色LED ノーベル賞 理由」のAND検索)で情報を収集選択し、整理する。また、他の情報メディアでの情報収集も行い、整理分析し、構成を工夫して自分の考えの根拠を明らかにしたレポートを書く。

必要な情報や共通して記載されている情報を探しているイメージ

中学校事例Case Study

「青色LED開発者はなぜノーベル賞を受賞したのかを説明しよう」(1年国語)単元

青色LEDに関して、調べて分かった事実や自分の考えが明確に伝わるように、構成を工夫してレポートを書く

複数のウェブサイトを行き来しながら情報を比較し、目的に応じて情報を集めることが苦手なことが分かりました。

調査の結果

複数データからの情報収集

改善ポイント

03

● 著者の表示や連絡先が明らかであり、所属機関が信頼できること

● 参考文献・引用が政府発表や研究データなどであること● 適度に更新されており、最終更新日が明らかであること● 製品などをすすめるような広告ではないこと など。

情報活用能力育成のために-06-16.indd 3情報活用能力育成のために-06-16.indd 3 2015/04/27 10:032015/04/27 10:03

Page 9: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

9

-小学校- 5年・社会社会科見学のまとめをする場面で、見たことや聞いたことを付箋やカードに書き出し、それを多様な観点から整理する。

-中学校- 1年・国語説明文を書く場面で、集めた情報を観点別に整理しながら構成を考える。

その他の指導場面

○ 集めた情報の共通点や相違点を意識すること。○情報を可視化するために、表や図に整理すること。○整理する観点そのものを児童生徒が考えるようにすること。○児童生徒自身の経験と資料の中にある情報を区別すること。

必要とされる指導の例

● 分類するには、観点が必要であることを意識させ、形や色などの見た目や、調べた体験を通して見えたこと、マークの目的や主張などの抽象的なものなど、様々な観点があることを理解できるようにする。

● 観点ごとに集めたカードに名前をつけ、Xチャートへのカードの置き方、名前の記入場所などを全員で確認しながら、全体で一緒に進める。

● 観点をもとに分類し、まとまりごとに名前をつけるようにする。

全体で分類する

身の回りで見つけたマークをXチャート(4つに分類するための思考ツール)を使い、クラス全体で観点をもとに分類する。

●観点ごとに新しいXチャートを使うようにする。● 分類の視点によっては、Yチャート(3分類)やWチャート(5分類)を使うこともできることを伝える。

個人で分類する 観点をもとに個人で分類する。

● 選んだ理由を説明させる活動から、分類したことがどう役立つのかについての言葉やフレーズを導き出し、板書する。多様な分類の仕方があることに興味を持たせたい。この後、友達の分類の観点の中で行ってみたい方法を見つけ、分類する(ペア)。また、教科書の教材文にある説明文の構成や書き方の工夫を活用して説明文を書く。

説明する最も気に入った分類の観点を選び、選んだ理由を説明する。(全体、グループ)

マークを見つけた場所、マークの意味などで構成されたカードをXチャートを使って分類するイメージ

小学校事例Case Study

「くらしと絵文字」(3年国語)単元

段落と段落のつながりに気をつけて説明文を読んだり、分かりやすい説明の仕方を考えてマークを紹介する説明文を書く

複数の収集した情報等をいくつかのグループに分類することが苦手なことが分かりました。

調査の結果

情報の適切な分類

改善ポイント

04

情報活用能力育成のために-06-16.indd 4情報活用能力育成のために-06-16.indd 4 2015/05/13 17:302015/05/13 17:30

Page 10: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

1010 情報活用能力育成のために

-小学校- 4年・社会交通事故件数の経年変化のグラフを読み取る場面で、長いスパンで見た場合と短いスパンで見た場合を比較して、見え方が異なることを理解する。

-中学校- 2年・数学携帯電話の複数の料金プランが書かれた表を分析する場面で、数値をもとに一次関数のグラフを作成して、自分の使用状況に応じた料金プランを選択する。

その他の指導場面

○ 表やグラフの単位に目を向けるなど比較の視点を複数示し、様々な読み取り方ができることを実感すること。

○ 統計資料や実験結果の表やグラフを読み取る際、そこから分かったことや予想できることを説明すること。○ 複数の統計資料を比較して、共通点や相違点を説明すること。

必要とされる指導の例

● 配布資料には出典を明記しておき、情報の分析にあたっては、データの出所を明確にすることを理解できるようにする。

● 少人数のグループごとに、以下の選択テーマに取り組み、グラフの傾向から考えられる理由について話し合わせる。

  テーマ① 日本の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)の経年変化 ・労働力率の全体減少傾向 ・男女別の傾向

  テーマ② 日本の年齢階級別(5歳階級)・男女別労働力率とその経年変化 ・女性のグラフにある「M字型」と呼ばれる特徴・男性と女性とで異なる経年変化

  テーマ③ 女性の年齢別労働力率の推移(国際比較) ・ 諸外国の女性の年齢別労働力との比較による日本の特徴  ・国別の経年による年齢別労働率の推移

整理するテーマに関する資料として配布されたグラフから読み取ったことを整理する。

他のテーマとして、「日本の雇用形態別・年齢階級別女性の就業者割合の推移」、「日本の結婚・出産前後の妻の就業継続割合」、「日本の年齢階級別就業率及び潜在的労働力率」、「女性管理職の割合、各分野における指導的地位に女性が占める割合、研究者に占める女性の割合の国際比較」などが考えられる。

● 複数のグラフから事象の特徴を客観的に捉えられるよう、各グループの意見を分類整理できるようにする。

意見交換をする

グループで整理した内容をもとに共通する傾向について意見交換する。

日本の男女別労働力グラフのイメージ

中学校事例Case Study

「日本で女性がより良く働く環境について考えよう」(3年社会 公民的分野)単元

女性が社会で活躍している現状を踏まえ、これからの社会における男女の協力について考え、説明する

表やグラフから読み取れる情報を説明、分析することが苦手なことが分かりました。

調査の結果

表やグラフの比較による分析

改善ポイント

05

情報活用能力育成のために-06-16.indd 5情報活用能力育成のために-06-16.indd 5 2015/04/27 10:032015/04/27 10:03

Page 11: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

1111

-小学校- 4年・理科1日の気温の変化を学習する場面で、計測した値を表に整理し、適切な目盛の大きさを考えながら、そのグラフも作成する。

-中学校- 全学年・技術/家庭 家庭分野消費生活が環境に与える影響を考える場面で、電気や水道の使用量など自分が集めてきたデータをもとに作成したグラフを挿入したレポートを作成する。

その他の指導場面

○ 同じデータを複数の種類のグラフ(棒グラフ・円グラフ・折れ線 グラフ・ヒストグラム等)にして、情報の伝わり方を比較すること。

○ 同じ種類のグラフでも目盛の値や階級の幅、階級の初期値を 変えることによって、情報の伝わり方が違うことを意識すること。

○ 伝えたい結果が素早く正確に他者にも分かるようになっているか実感すること。○ 表計算ソフト等を用いて、大量のデータのグラフ描画も瞬時にできることを意識すること。

必要とされる指導の例

この後、他教科でのグラフを活用する学習活動に結びつける。

● 発表の際に、ヒストグラムから読み取った特徴を根拠として述べるようにする。

話し合うグループをつくり、ペアの相手に選んだ人とその理由を発表し、話し合う。

ヒストグラム(階級の幅30点と5点)の比較

Aさん :

Bさん :

89104

118126

129109

120111

113114

130120

118123

121118

108124

115115

81109

116106

114118

105112

123124

111126

138139

105118

118137

118121

● ペア候補のスコアを見比べ、気付くことがあるか尋ね、最大値や最小値、範囲にも目を向けるようにしたい。

●代表値を求め、ペア候補の特徴を読み取るようにする。

代表値で比較する

コンピュータを活用して平均値、中央値、最頻値などの代表値を求め、比較する。

● 階級の幅を変えたヒストグラムの作成方法を確認する。

● 階級の幅を変えたヒストグラムを複数作成させ、自分のペアに選んだ候補とその理由を説明するには、何点の幅のヒストグラムがよいかを考えるようにする。

ヒストグラムで比較する

コンピュータを活用してヒストグラムを作成し、比較する。

ペアで2ゲームの合計得点を競うボウリング大会に参加することになり、ペアの相手をAさんまたはBさんから選ぶ。その際、右表のスコア(点)から選ぶことを告げる。

中学校事例Case Study

「資料の活用 ヒストグラムや代表値を利用すること・一緒に出るならどっち?」(1年数学)単元

目的に応じて資料を収集し、それらを表やグラフに整理し、代表値や資料の散らばりに着目してその資料の傾向を読み取り説明する

数値情報をグラフで伝える際、適切なグラフの種類や目盛の値等の選択が苦手なことが分かりました。

調査の結果

適切なグラフの作成

改善ポイント

06

情報活用能力育成のために-06-16.indd 6情報活用能力育成のために-06-16.indd 6 2015/04/27 10:032015/04/27 10:03

Page 12: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

1212 情報活用能力育成のために

-小学校- 6年・総合的な学習の時間自分たちが住む町の良さを伝えるパンフレットを作成する場面で、見る人たちにとってわかりやすいレイアウトや印象的な見出しを工夫する。

-中学校- 2年・技術/家庭 技術分野ウェブページを設計・制作・公開する場面で、不特定多数の人が見ることを意識して、操作しやすい画面構成・階層構造を考えたり、情報の正確さや著作権・肖像権の侵害が無いかを確認したりする。

その他の指導場面

○ 資料の枚数や発表時間の制約の中で、受け手の状況を踏まえた、発表資料の構成を考えること。○ 見出しには、内容の端的な要約の側面と、相手に印象付けるという表現の側面があることを理解すること。○ 写真やイラストを入れ替えることで、情報の受け手に与える印象が変わることを意識すること。○ 互いの発表や発表資料について評価し合い、良い点を共有すること。

必要とされる指導の例

小学校事例Case Study

「近隣の小学校との交流学習で、学校の自慢を紹介しよう」(4年国語)単元

「学校の自慢」について取材して得られた情報を整理し、写真を使って相手にわかりやすくスピーチをする

● 自分が最も伝えたいことを中心に、事例や理由を挙げながら、コンピュータを使ってメモし、話の構成を考えるようにする。

● 取材時に撮影した写真から、自分の思いを伝えるために有効なものを選択させる。

スピーチメモをつくる

話の構成を考え、スピーチメモをつくる。

● 聞き手にとって魅力的な「見出し」に当たる短い言葉にする。

● そのタイトルをつけた理由も文章で表現できるようにする。

タイトルを決める

取材で集めた情報を整理し、伝えたいことの中心を明確にして、スピーチのタイトルを決める。

● 少人数のグループで聞き合い、伝えたいことがわかりやすく表現できているか、写真と話の内容が合っているかなどを評価しながら聞くようにする。そして、話の順番を入れ替えたり、資料として提示する写真を変えたりすることについて考えられるようにする。

スピーチをする

メモに書いたことをもとにスピーチをする。

写真の撮り方の工夫によって伝えたいことが効果的に伝わる写真になることを体験する活動も行う。この活動を通して、写真を使った情報には様々な表現の仕方があることに気づかせるとともに、情報は送り手の意図によって作られていることを理解させたい。この後、スピーチメモや話し方などを修正し、近隣の小学校との交流(スピーチ)を行う。

自分の思いを伝えるのに有効な写真を選択しているイメージ

タイトルをもっと短くした方が

良いよ。

私が自慢に思うのは花壇いっぱいに花が咲くことだわ。

こちらの写真の方が意図が伝わると思うよ。

見出しの作成や貼り付ける写真の選択をする際、受け手をあまり意識できていないことが分かりました。

調査の結果

受け手を意識した資料作成や発表

改善ポイント

07

情報活用能力育成のために-06-16.indd 7情報活用能力育成のために-06-16.indd 7 2015/04/27 10:042015/04/27 10:04

Page 13: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

1313

-小学校- 5年・体育(保健)生活習慣病など、生活行動が主な原因となる病気の予防について学習する場面で、資料をもとに望ましい生活習慣について話し合い、提案する。

-中学校- 1年・技術/家庭 家庭分野課題学習として、商品についてその値段や大きさ、性能など複数の情報を比較する場面で、どの商品を買えば良いのかを根拠を挙げて提案する。

その他の指導場面

○ 課題設定や課題解決に必要なプロセスを理解し、不足している情報を発見すること。○ 課題の解決策を考えて発表し合い、互いの解決策の長所や短所、相手の思いや願いを理解すること。

○ 対立する意見の間で合意形成するために、工夫や新しい視点が必要であることを意識すること。○ グループで目的を達成させるための計画を立てさせ、実行後にも計画を評価すること。

必要とされる指導の例

小学校事例Case Study

「わたしたちの生活と食料生産 米づくりのさかんな庄内平野」(5年社会)単元

米作りについての工夫や課題を調べたり表現したりし、今後の米作りについて提案する

● 工夫をさらに発展させたり、課題を克服したりするためにどのような改善策があるかという視点で考えるようにする。

● 実現可能な提案から順に番号をつけさせる。一番良い提案について付箋や短冊に書き込むようにする。

箇条書きする

米作りに対する農家の工夫や課題をもとにした提案をノートに箇条書きする。

● 提案のプラス面とマイナス面をグループで考えさせ、根拠をもとに、自分の考えを相手に主張したり、相手の考えを理解したりすることができるようにする。

● 各自の考えをワークシート上に整理し、グループの立場を決めるようにし、さらに具体的な改善策を考えていくようにする。

交流する個人で考えた提案をグループ内で交流する。(「提案まとめ」ワークシートを活用)

● それぞれの提案の類似する点をまとめたり、マイナス面が多い提案を削除したりするなど、互いの意見の良さを生かし、折り合いをつけながら、一つの提案を作ることができるようにする。

提案を作り出す グループで一つの提案を作り出す。

この後、学校全体で話し合い、提案書としてまとめ、地域の方に提案する。提案書については学校SNSなども活用し発信する。

提案をまとめたワークシートのイメージ

今後の米作りについて提案しよう。

提案 (付せん、短ざくをはる)

プラス面

提案に対しての評価

提案に対する改善案

プラス面

提案に対し

マイナス面

1 提案 2

5 45 4 3 2 1

課題解決の提案をする際、その根拠となる情報を説明することが苦手なことが分かりました。

調査の結果

情報に基づいた課題解決の提案

改善ポイント

08

情報活用能力育成のために-06-16.indd 8情報活用能力育成のために-06-16.indd 8 2015/04/27 10:042015/04/27 10:04

Page 14: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

1414 情報活用能力育成のために

-小学校- 5年・特別活動メール、チャット、仮想SNSを体験する場面で、言葉だけの情報が、対面や電話での会話に比べ、相手に正確に伝わりづらいことを体験する。

-中学校- 全学年・総合的な学習の時間課題の解決に向けて情報収集する中で、ウェブ上にある同じ事象に対する異なる主張とその中で示されている根拠を比較し、情報の信頼性を自分で判断する体験をする。

その他の指導場面

○ 情報社会の特性を理解すること。○ ウェブサイトの信頼性について自分で判断するために気をつけることを理解すること。○ 伝達手段によって伝えることができる情報の種類(テキスト、音声、映像など)が異なることを理解すること。○ 文字だけでは誤解が生じる場合があるため、メッセージを受け取った相手の立場になって考えること。

必要とされる指導の例

● 自分たちのウェブページなどの文字、音声、静止画、動画を複合した制作活動について振り返る。

話し合う インターネットが生活の利便性を向上していることについて話し合う。

● インターネットの技術がもつプラス面とマイナス面を自分なりに考えるようにする。

● 情報のディジタル化や情報通信ネットワークの仕組み等の不理解で起きた影響と、コミュニケーション能力等の未熟さによる影響とは混同しやすいので、明確に区別し、技術の評価が適切なものになるよう働きかける。

評価するインターネットの技術の特徴を踏まえ、その影響を評価する。

● 受信者と発信者等の立場の違いにより、感じ方や考え方が違うことに気づき、技術の評価を窓口とした多様な視点で価値判断をできるようにする。

議論する グループで議論する。

この後、インターネットの技術の活用の仕方について、自分なりに考え、根拠をもとに述べるまとめの活動を行う。また、自分たちのウェブページへの取組について評価する。

インターネットの技術の特徴、プラス面、マイナス面を記載したイメージ

中学校事例Case Study

「調べたことを紹介するウェブページをつくろう」(2年技術・家庭 技術分野)題材

調べたことや考えたことを広報するウェブページを作成し、インターネット技術がもつプラス面とマイナス面を比較しながら、自分たちのウェブページを評価する

ウェブサイトの信頼性の判断基準や、情報発信者として注意する点に関する知識が不足していることが分かりました。

調査の結果

インターネット上での情報発信の特性の理解

改善ポイント

09

情報活用能力育成のために-06-16.indd 9情報活用能力育成のために-06-16.indd 9 2015/04/27 10:042015/04/27 10:04

Page 15: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

1515

-小学校- 3年・総合的な学習の時間設定した課題を解決するために、コンピュータ教室のパソコンを使用する場面で、IDとパスワードの必要性について知る。

-中学校- 全学年・技術/家庭 技術分野携帯電話・スマートフォンの使い方について話し合う場面で、どのような書き込みがトラブルに発展する可能性があるか考える。また、トラブルの兆候に気付いたときに取るべき行動について考える。

その他の指導場面

○ ケーススタディ形式でインターネット上のトラブルの種類や危険性、予防法や対処方法を身につけること。○ 相手の許可を得ずに写真を撮ったり使ったりすることで起こる問題について考えること。○ インターネット上に個人情報を登録する前に、運営企業の信頼性の判断基準などを理解すること。○ 学校のウェブサイトなどを利用し、情報発信者としての責任を自覚させる機会を与えること。

必要とされる指導の例

振り返るインターネット上に個人情報が流出した場合の影響について振り返る。

① 友人Aさんの全身写真:場所はAさんの学校の教室。Aさんは名札の着いた制服を着ている。

② 友人Bさんのペット(イヌ)の写真:場所はBくんの家の部屋。Bさんのペット以外は映っていない。

● 写真から直接見える情報(顔、名札、背景の教室など)で個人情報が特定できることを話し合う。

● 写真には撮影した位置情報(GPS情報)が記録される場合があり、個人情報が特定できることを伝える。

● 写真を撮影する際、位置情報を記録しない設定について理解できるようにする。

考えるウェブページにある2種類の写真から得られる情報について考える。

● 当事者の立場で考えるとともに、根拠を明らかにして意見を述べることができるようにする。

● 一人で抱え込まず、友人、保護者、教員、サイト運営会社などに相談するように促す。

話し合う友人が個人情報を特定できるような写真を載せていた場合、どのような対応をとるか話し合う。

この後、ウェブページなどで写真を掲載するときの留意点について整理する。情報セキュリティを含んだ情報モラルに関するニュースは定期的に朝の会などで取り上げたい。

ウェブページに掲載されている写真の説明イメージ

インターネットでのトラブル

中学校事例Case Study

「一枚の写真が持つ情報から考えよう」(全学年・特別活動)題材

情報社会の危険から身を守るとともに、不適切な情報に対応する

インターネット上でのトラブルの兆候に気づくことや、トラブルの適切な対応方法に関する知識が不足していることが分かりました。

調査の結果

インターネット上でのトラブル遭遇時の対応

改善ポイント

10

情報活用能力育成のために-06-16.indd 10情報活用能力育成のために-06-16.indd 10 2015/04/27 10:052015/04/27 10:05

Page 16: 21世紀を生き抜く児童生徒の 情報活用能力 育成のためにit.edu-c.open.ed.jp/ict-kensyu/suisin/h28_3.jyouhoukatuyou.pdf · ①情報活用の実践力 ②情報の科学的な理解

ht tp: // jouhouka.mex t .go.jp/調査の詳細及び調査結果の詳細な分析は、

をご覧ください。

作成に協力していただいた方 (々敬称略、五十音順)主   査 堀田 龍也 東北大学大学院情報科学研究科教授

小学校担当

木村 明憲 京都教育大学附属桃山小学校教諭小暮 敦子 三鷹市立第六小学校主幹教諭塩谷 京子 関西大学初等部専任教諭中川 斉史 三好市立下名小学校教頭西田 光昭 柏市立中原小学校校長

中学校担当

楠本 誠 松阪市立三雲中学校教諭金 隆子 米沢市立第二中学校教諭實松 勇太 岡崎市立葵中学校教諭田中 清治 駒ヶ根市立赤穂中学校教諭渡邊 茂一 相模原市教育委員会総合学習センター指導主事

※児童生徒の日常的・持続的なICT活用を支える環境の整備も大切です。

所属は平成27年3月31日現在

情報活用能力の育成に向けて

○ 課題解決の過程において、より深みのある主体的な解決に向けたICT活用もできるようにしましょう。

○ ICTの特長を生かした学習活動を行う際には、情報や情報手段の特性の理解や情報モラルなどの学習も進めましょう。

〈例〉 ICTは、以下のような特長があります。 ① 時間や空間を問わずに、音声・画像・データ等を蓄積・送受信できるという、時間的・空間的制約を超えること

② 距離に関わりなく相互に情報の発信・受信のやりとりができるという、双方向性を有すること

③ 多様で大量の情報を収集・編集・共有・分析・表示することなどができ、カスタマイズが容易であること

こうしたICTの特長を生かした主体的な情報収集・表現・創作・交流などの過程において、情報の科学的な理解や情報モラルに関する学習活動も行うことにより、情報社会で適正な活動を行うための基になる考えと態度を実践的に育成することができます。

〈例〉 短時間での校内でのスポット

研修などにおいて、日常の授業を、情報活用能力の育成の観点から見直してみましょう。

教科等及び各学年相互間の関連を図り、系統的な情報活用能力の育成に関する学習活動を計画することも大切です。

〈例〉 伝える相手や目的を意識しながら、ICTを適切に活用することを含めて、 ・ 文章や資料を読んだ上で、根拠に基づいて考えをまとめたこと

・ 自然事象や社会事象に関する情報を調べて分析したこと

などを交流し、自分の考えを広めたり深めたりする授業づくりをすすめましょう。

学校間や保護者・地域の方々との双方向の情報共有や意見交流においてICTを活用することも効果的です。

〈例〉 一 連の学習活動とは、課題に応じた情報の収集-整理・分析-まとめ・表現などのサイクルをうまくつくることです。

このサイクルを大切にした単元を貫く課題解決の過程の構築も検討してみましょう。

○ 各教科等の指導には、情報活用能力の育成につながるねらいや内容が含まれていることを意識しましょう。

○ 課題を設定する、情報を収集する、整理・分析する、まとめ・表現するなど、一連の学習活動を計画しましょう。

文科省では、情報モラルに関する学習活動をする際に役立つ児童生徒向けのビデオ教材と手引き書を作成しています。「教育の情報化」ホームページ(http://jouhouka.mexct.go.jp/)にも掲載しています。

情報活用能力育成のために-H1-H4.indd 1情報活用能力育成のために-H1-H4.indd 1 2015/04/27 10:072015/04/27 10:07