22 指 針 地球環境問題への対応 2...指針2 地 球 環 境 問 題 へ の 対 応 指...

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指針2 地球環境問題への対応 地球環境問題への対応 指  針 2 22 CO2 用語 解説 日本で発生するCO2排出量の約4分の1を占める電気事業にとって,地球温暖化 問題への対応は重要な課題です。 当社は,環境行動計画において「2010年度におけるCO2排出原単位 を1990年度実績に比べて20%程度低減する」こと を目標に掲げ,CO2などの温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでいます。 原子力発電,水力発電など運転中にCO2を排出しない非化石 エネルギーやCO2排出の少ないLNG火力発電は,電気の供給 面での温暖化対策として中心的役割を果たすものであり,利用 拡大に積極的に取り組んでいます。 これらの取り組みによるCO2排出抑制効果は,2003年度の 発電実績を基に試算すると約1,350万トン-CO2となります。こ れは,実排出量の約36%に相当します。 CO2排出抑制効果 地球温暖化防止に向けた取り組み 電気は,石炭などの化石エネルギーと原子力燃料などの非化石エネルギーから作られています。化石エネルギーの使用によ って,火力発電所から地球温暖化に影響を及ぼすCO2を排出しています。 2003年度のCO2排出量は3,705万トン-CO2となり,2002 年度と比較して約145万トン-CO2増加しました。 これは,原子力の定期検査等による原子力発電電力量の減少 を火力発電で補ったためです。 CO2排出量の実績 当社の温暖化防止対策 火力発電所から排出されるCO 2 【地球温暖化】 人間の活動の拡大に伴う二酸化炭素,メタン,亜酸化窒素などの温室効果ガスの排出量の増大により,大気中の温室効果ガスの濃度が高くなり,温室効果が強められて,地表 温度が上昇する現象。 【排出原単位】1kWhの電気を使用する際に排出されるCO2量のこと。 【電気事業における環境行動計画】 電気事業者が,自主的かつ積極的に環境保全対策に取り組むため1996年12月に電気事業連合会がとりまとめた行動計画。地球温暖化対策や循環 型社会の構築について具体的な目標を設定して取り組んでおり,毎年チェック&レビューを行い,結果を公表しています。 ●日本の電気事業および当社のCO2排出量 12.5 3.4 0.35 日本全体の約27% 電気事業全体の約10% 日  本 電気事業 当  社 備  考 CO2排出量 【2002年度】 ●電気事業のCO2排出削減目標 電気事業における環境行動計画 (2003):電気事業連合会 「2010年度における使用端CO2排出原単位※を1990 年度実績から20%程度低減(0.34kg-CO2/kWh程度にま で低減)するよう努める。」 (億kWh)(10万t-CO2(kg-CO2/kWh) 90 91 92 93 94 95 96 97 98 554 370.5 0.67 77 99 00 01 02 03(年度) 600 販売電力量(←左目盛) 2010年度目標値 原子力発電電力量(←左目盛) 約20% CO2排出原単位(→右目盛) 500 400 300 200 100 0 0.8 0.6 0.4 0.48 CO2 CO2 CO2排出量(←左目盛) ●CO2排出量の推移 ●CO2抑制効果 地球温暖化防止対策 電気の供給面 からの取り組み 非化石エネルギー等 の利用拡大 原子力発電の推進 新エネルギーの 導入と普及促進 電力供給設備 の効率の向上 火力発電所の 熱効率向上 送配電損失率の低減 水力の有効活用 LNGの利用拡大 その他の取り組み 炭素基金への参加 国際的な取り組み CO2以外の温室効果 ガスの排出抑制 海外での植林事業 への参加 電気の使用面 からの取り組み 省エネルギー 省エネルギー活動の推進 エネルギーの有効活用 負荷平準化の促進 料金制度による ピークシフトの推進 蓄熱システムなどの 普及促進 実排出量 3,705万t CO2 仮に, ①原子力発電, 水力発電, LNG火力発電を行わず, 従来型の化石燃料(石炭・石油)による 発電方式で発電した場合, ②1990年以降, 熱効率対策を行わなかった場合のCO2排出量 熱効率向上による 排出抑制量 約100万t - CO2 LNG火力発電による 排出抑制量 約300万t - CO2 水力発電による 排出抑制量 約340万t - CO2 原子力発電による 排出抑制量 約610万t - CO2 CO2 排出抑制を しなかった場合 約5,055万t CO2 CO2排出抑制効果 約1,350万t - CO2

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Page 1: 22 指 針 地球環境問題への対応 2...指針2 地 球 環 境 問 題 へ の 対 応 指 針 地球環境問題への対応 2環 境 経 営 パ フ ォ ー マ ン ス 地

指針2

地球環境問題への対応

   地球環境問題への対応    地球環境問題への対応 指  針 2環境経営パフォーマンス

地球温暖化防止に向けた取り組み

22

火力発電所から排出されるCO2

用語 解説

 日本で発生するCO2排出量の約4分の1を占める電気事業にとって,地球温暖化※問題への対応は重要な課題です。  当社は,環境行動計画において「2010年度におけるCO2排出原単位※を1990年度実績に比べて20%程度低減する」ことを目標に掲げ,CO2などの温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでいます。

 原子力発電,水力発電など運転中にCO2を排出しない非化石

エネルギーやCO2排出の少ないLNG火力発電は,電気の供給

面での温暖化対策として中心的役割を果たすものであり,利用

拡大に積極的に取り組んでいます。

 これらの取り組みによるCO2排出抑制効果は,2003年度の

発電実績を基に試算すると約1,350万トン-CO2となります。こ

れは,実排出量の約36%に相当します。

 CO2排出抑制効果

地球温暖化防止に向けた取り組み

 電気は,石炭などの化石エネルギーと原子力燃料などの非化石エネルギーから作られています。化石エネルギーの使用によって,火力発電所から地球温暖化に影響を及ぼすCO2を排出しています。

 2003年度のCO2排出量は3,705万トン-CO2となり,2002

年度と比較して約145万トン-CO2増加しました。

 これは,原子力の定期検査等による原子力発電電力量の減少

を火力発電で補ったためです。

 CO2排出量の実績

 当社の温暖化防止対策

火力発電所から排出されるCO2

【地球温暖化】 人間の活動の拡大に伴う二酸化炭素,メタン,亜酸化窒素などの温室効果ガスの排出量の増大により,大気中の温室効果ガスの濃度が高くなり,温室効果が強められて,地表温度が上昇する現象。

【排出原単位】 1kWhの電気を使用する際に排出されるCO2量のこと。 【電気事業における環境行動計画】 電気事業者が,自主的かつ積極的に環境保全対策に取り組むため1996年12月に電気事業連合会がとりまとめた行動計画。地球温暖化対策や循環型社会の構築について具体的な目標を設定して取り組んでおり,毎年チェック&レビューを行い,結果を公表しています。

●日本の電気事業および当社のCO2排出量

12.53.4

0.35

日本全体の約27%

電気事業全体の約10%

日  本電気事業

当  社

備  考CO2排出量

【2002年度】

●電気事業のCO2排出削減目標

電気事業における環境行動計画※(2003):電気事業連合会

 「2010年度における使用端CO2排出原単位※を1990年度実績から20%程度低減(0.34kg-CO2/kWh程度にまで低減)するよう努める。」

(億kWh)(10万t-CO2) (kg-CO2/kWh)

90 91 92 93 94 95 96 97 98

554

370.5

0.67

77

99 00 01 02 03(年度)

600

販売電力量(←左目盛)

2010年度目標値

原子力発電電力量(←左目盛)

約20%CO2排出原単位(→右目盛)

500

400

300

200

100

0

0.8

0.6

0.40.48

電力量・CO2排出量

CO2排出原単位

CO2排出量(←左目盛)

●CO2排出量の推移

●CO2抑制効果

地球温暖化防止対策

電気の供給面 からの取り組み

非化石エネルギー等 の利用拡大

原子力発電の推進

新エネルギーの 導入と普及促進

電力供給設備 の効率の向上

火力発電所の 熱効率向上

送配電損失率の低減

水力の有効活用

LNGの利用拡大

その他の取り組み

炭素基金への参加 国際的な取り組み

CO2以外の温室効果 ガスの排出抑制

海外での植林事業 への参加

電気の使用面 からの取り組み

省エネルギー

省エネルギー活動の推進

エネルギーの有効活用

負荷平準化の促進 料金制度による ピークシフトの推進

蓄熱システムなどの 普及促進

実排出量 3,705万t CO2

削減

仮に,①原子力発電,水力発電, LNG火力発電を行わず,従来型の化石燃料(石炭・石油)による発電方式で発電した場合,②1990年以降,熱効率対策を行わなかった場合のCO2排出量

熱効率向上による 排出抑制量 約100万t - CO2

LNG火力発電による 排出抑制量 約300万t - CO2

水力発電による 排出抑制量 約340万t - CO2

原子力発電による 排出抑制量 約610万t - CO2

CO2 排出抑制を しなかった場合 約5,055万t CO2

CO2排出抑制効果 約1,350万t - CO2

Page 2: 22 指 針 地球環境問題への対応 2...指針2 地 球 環 境 問 題 へ の 対 応 指 針 地球環境問題への対応 2環 境 経 営 パ フ ォ ー マ ン ス 地

指針2

地球環境問題への対応

環境経営パフォーマンス

原子力発電の推進によるCO2排出抑制 23

 原子力発電は,供給面での安定性・経済性に優れた電源として,石油代替エネルギーの中核となるものです。ウランの核分裂によるエネルギーを利用して発電するため,運転中にCO2を排出せず,地球温暖化防止という観点からも大きく貢献します。  当社は,安全性の確保を前提とした原子力発電の推進を最重点課題と位置付け,島根・上関地点の着実な開発を目指すとともに,現在運転中の島根原子力発電所1・2号機の設備利用率の向上に努めています。

 電気事業には安定的な電力供給とともに環境保全への配慮と

経済性が求められています。

 当社では,これらの要請を高いレベルで満足させるために,原

子力,火力(石油・石炭・LNG),水力などをバランス良く組み合

わせた「電源のベストミックス※」を追求しています。

 現状では原子力の比率が全国に比べて低い水準にあることか

ら,原子力発電の着実な開発を進めていきます。

 電源のベストミックスに向けた原子力発電の開発

 島根・上関の2地点において3基,出力合計411.9万kWの開

発を進めています。このうち島根原子力発電所3号機は,2011

年3月の運転開始を予定しており,今年3月には土地造成,埋立な

どの準備工事を開始しました。また,上関1・2号機は,それぞれ

2013年度,2016年度の営業運転開始を予定しています。

 原子力開発計画の概要

原子力発電の推進によるCO2排出抑制

用語 解説

【ベストミックス】 原子力,火力,水力といった電源について,各電源の供給安定性,経済性および環境への影響など総合的に勘案して,「原子力」「石炭火力」「その他(石油火力,LNG火力,水力,新エネルギー)」の3つのバランスのとれた電源構成を図ること。

 当社のCO2排出原単位は,島根3号機の営業運転開始により2割

程度低減されます。

 さらに上関1号機と,2号機が営業運転を開始すれば,それぞれ3

割程度,5割程度の低減が達成できる見通しです。

 原子力の開発による  CO2排出原単位の低減効果

(注)発電燃料の燃焼に加え,原料の採掘から諸設備の建設・燃料輸送・精製・運用・保守等のために消費される全てのエネルギーを対象としてCO2排出量を算出。

(1kWh当たりのCO2排出量) (

発電種類)

石炭火力

石油火力

LNG火力

LNG

コンバインド

太陽光

風力

原子力

地熱

水力

発電燃料燃焼設備・運用

出典:電力中央研究所報告書 他

0

200

400

600

800

1000

1200(g-CO2/kWh)

975

887

88

704

38

478

130 111

407

742608

519

53 29 22 15 11

●日本の電源別CO2排出原単位

電源設備

090 01 02 03

当社03全国

13当社計画

20

40

60

80

100

水力石炭ガス石油原子力

1,4001,6001,8001,900

1,2001,000

(万kW)

(%)

11 9 20 22

29 2618 16

1314

2815

26 3015

30

21 21

9

26

14

30

21

8

25

14

33

20 19 17

(年度)

※03全国は推定実績※グラフの破線は計画

●電源設備構成比の推移

12519

56

8

発電電力量

090 01 02 03

当社03全国

13当社計画

20

40

60

80

100

水力石炭ガス石油原子力

(%)

20 1726 28

186

10 5

1120

2922

40 4924 38

11 8

17

8

20

49

6 11 7

600700800

500400

(億kWh)

(年度)

※03全国は推定実績※グラフの破線は計画

●発電電力量構成比の推移

1990年度 2003年度 1基 2基 3基0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7(kg-CO2/kWh)

CO2排出原単位削減目標▲20%程度

目標値

2割程度

2割程度 3割

程度 5割程度

新規原子力の開発

0.60 0.67

●原子力開発によるCO2排出原単位低減効果

137.3 2005年3月

137.3

137.3

2008年度

2011年度

島根3号

上関1号

上関2号

着工年月

2011年3月

2013年度

2016年度

営業運転開始年月

島根県

山口県

山口県

所在地出力(万kW)発電所名

●原子力開発計画

http://www.energia.co.jp/energiaj/company/atom.html

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指針2

地球環境問題への対応

環境経営パフォーマンス

原子力発電の推進によるCO2排出抑制

24

 原子力発電は運転中にCO2を排出しないため,原子力発電所

の設備利用率の向上は,貴重な化石燃料の節約やCO2排出量の

削減に大きな効果があります。

 設備利用率が1%アップすることにより,1年間で約3万キロリ

ットル(重油換算)の燃料の節約につながるとともに,約8万トン

のCO2排出量が削減できます。

 当社は,今後も安全確保を最優先とした原子力発電所の安全・

安定運転を継続することにより,設備利用率の向上に努めていき

ます。

 原子力発電所設備利用率の向上

■取り組みの内容  原子力発電所の設備利用率は,故障トラブルによる計画外停

止を少なくすること,定期検査作業の効率化により発電停止日数

を短縮すること等で向上が期待できます。

 定期検査の期間短縮については,安全性・信頼性の確保を前

提として次のような作業の効率化に努めています。

 また,原子炉定格熱出力一定運転の導入(下記トピックスをご

参照ください。)により,設備利用率の向上を図っています。

■2003年度の結果  原子力発電所の定期検査は,検査内容に応じて発電停止日数

に長短が生じます。2003年度は,1・2号ともに発電停止日数

の長い定期検査が重なったこと等により,1・2号機合計の設備

利用率は前年度よりも低下し,68.5%となりました。

・点検済みの予備品との入替点検方式の採用

・短時間で点検作業が行える高効率機器の採用

・点検工程(時間管理の徹底)

・作業体制の見直しによる工程短縮

■定格熱出力一定運転  原子炉で発生する熱を一定に保って運転する方

法で,従来の定格電気出力一定運転に比べ,海水温

度が低い冬場には発電効率が良くなるため,より多く

の電気を生み出すことができます。

 この運転方法の導入により,発電設備の有効利用

が図られるとともに,CO2排出量が削減できます。

 原子力発電所の有効利用を図るため,2003年11月から

原子炉定格熱出力一定運転を導入しました。

 島根原子力発電所1,2号機において,この運転方式を導

入することにより,現在の安全性を維持したまま発電設備の

有効利用が図られ,設備利用率が向上(推定約1.1%)す

るとともに,原子力による発電電力量が増加(推定約1.2億kWh)

するため,CO2排出量を年間約10万t*削減できるものと考え

ています。(*自社火力による換算値)

原子炉定格熱出力 一定運転導入による 設備利用率向上

原子炉定格熱出力一定運転を開始

原子炉熱出力原子炉で発生する熱を一定に保つ

発生する電気は海水温度に応じて変動

電気出力

1月 6月 12月

出力原子炉熱出力

電気出力

定格熱出力一定運転

海水温度が低い冬場は定格電気出力を越え、多くの電気を作ることができます。

海水温度の変化

水温が低い

水温が高い

1月 6月 12月

温度

原子炉熱出力原子炉で発生する熱を調整

1月 6月 12月

出力

電気出力

発生する電気を一定(1号機:46万kW, 2号機:82万kW)に保つ

原子炉熱出力

電気出力

定格電気出力一定運転

68.5

●原子力発電所設備利用率の推移

0

60

80

90

100

70

50

94

82.7 81.5

77.9

83.8 83.4 81.6 80.5 72.9

58.2

82.8

95.489.5

60.3※島根1号機長期停止による(シュラウド取替作業)

91.695.7

95 96 97 98 99 00 01 02 03(年度)

(%)

2010年度 目標値

電力9社平均 中国電力

85%

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指針2

地球環境問題への対応

環境経営パフォーマンス

LNGの利用拡大 25

火力発電所熱効率の向上によるCO2排出抑制

 火力発電所の熱効率が向上すると,それだけエネルギーを有効利用できるため燃料の消費量が少なくなりCO2排出量を抑える効果があります。熱効率の高い設備を導入するとともに,効率の良い発電設備の優先的な運用を行っています。

火力発電所熱効率の向上によるCO2排出抑制

 LNG(液化天然ガス)は,燃焼してもばいじん,硫黄酸化物の発生がなく,石油・石炭など他の化石燃料に比べCO2の排出が少ないという優れた環境メリットがあり,大気汚染の防止やCO2排出量の削減に有効です。

LNGの利用拡大

 当社の火力発電所熱効率はLNGコンバインドサイクル発電方

式の導入や超々臨界圧発電方式の採用により向上しており,2003

年度も40.4%と高効率を維持しています。

 これにより,1990年以降熱効率対策を行わなかった場合と

比べ,約100万t-CO2を削減しました。

 火力発電所の熱効率が1%アップすると,1年間で約18万キ

ロリットル(重油換算)の燃料の節約につながるとともに,約55

万トンのCO2排出量が削減できます。

 火力発電所の熱効率

 水島3号機は,従来,重・原油を燃料とする石油火力発電所でし

たが,優れた環境特性をもつLNGの利用を拡大するため,LNG

への燃料転換を行います。(LNG転換開始予定:2006年4月)

 水島発電所3号機のLNGへの燃料転換

■超々臨界圧発電方式(三隅発電所1号機で採用)  ボイラから発生する蒸気の温度と圧力を従来に比べてさらに

高くした超々臨界圧(24.5MPa※,600℃)発電方式の採用に

より,高い熱効率を実現しています。2003年度も42.1%とい

う高い熱効率を維持しました。

 これにより,1990年の熱効率の石炭火力により発電した場合

と比べ,約30万t-CO2を削減したことになります。

■LNGコンバインドサイクル発電方式(柳井発電所で採用)  LNG(液化天然ガス)の燃焼ガスの力でガスタービンをまわし,

さらに,その排熱を回収してボイラで蒸気を作り,その蒸気の力

で蒸気タービンをまわす複合発電方式でありエネルギーをより

有効に利用できます。2003年度の熱効率も,43.8%という高

い効率を維持しました。

 これにより従来型の化石燃料による発電に比べ約300万t-

CO2を削減したことになります。

■加圧流動床複合発電方式(PFBC※)(大崎発電所で採用)  最新鋭の加圧流動床複合発電方式により,石炭の使用量を節

約できるほか,石炭を脱硫剤である石灰石と混合し,流動状態で

燃焼させるため,ボイラ内で硫黄酸化物を除去することができる

ので,排煙脱硫装置が不要になります。

 最新技術を積極的に導入し,火力発電所熱効率の向上に努め

ています。

 高効率発電方式の採用

用語 解説

【PFBC】Pressurized Fluidized Bed Combustion 圧力容器内に収納した流動床ボイラで石炭を燃やし,発生した蒸気の力で蒸気タービンをまわし,さらにボイラの排ガスの力でガスタービンをまわす効率のよい複合発電方式。

【MPa】 メガパスカル(圧力の単位)

999896949290888684828020

25

30

35

40

45

50

(%)

00 01 02 03(年度)

81岩国3号 86新小野田90柳井1号系列

94柳井2号系列46.09

40.4

●火力発電所熱効率の推移

2010年度 目標値

実績熱効率 設計熱効率(最高値)

 水島1号機は,使用する燃料を現在の石炭からLNGへ転換す

るとともに,発電効率が高いLNGコンバインドサイクル発電方式

を採用した設備に改造します。

 水島1号機では,49%という高い熱効率での運転を計画して

います。(運転開始予定:2009年4月)

 水島発電所1号機のLNG  コンバインドサイクル発電設備への改造

技術課 元廣 幸男 電源事業本部 下関発電所

当所は,石炭火力として世界で初めて脱硝装置,脱硫装

置を設置するなど,従来より環境対策に大いに力を注いで

きている発電所です。

現在は,環境行動計画に基づき,EMS(環境マネジメント

システム)を運用し,環境負荷低減に向け日々取り組んで

おり,昨年度には,管理事務所使用電力量を2001年度比

で約23%低減するなど確実に所員全員の地道な活動成

果が現れてきています。これからも継続的な環境活動推

進に向け,所員一丸となり頑張っていきたいと思います。

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指針2

地球環境問題への対応

環境経営パフォーマンス

水力の有効活用

26

新エネルギーの導入・普及促進

用語 解説

 水力は再生可能な自然エネルギーであり,運転中にCO2を排出しない発電方式のため,地球温暖化防止の面で有効利用を推進しています。水力の新規開発とともに,既存設備の老朽化対策・効率向上対策などを継続的に実施するとともに,広大な水源かん養林を維持・管理するなど,水資源の確保に努めています。

 当社は,純国産エネルギーであり,再生可能な水資源を有効利

用するために,河川環境の保全や経済性などを勘案しながら水力

発電の開発を進めており,現在,2006年度の運転開始を目指し,

新帝釈川発電所の建設工事を2003年5月より実施しています。

 水力発電の開発

 当社では,水資源の継続的な有効利用を図るため,老朽化した

既存設備の計画的な取り替えを行うとともに,それにあわせて最

新の技術を活用した効率の向上を行っています。

 既存設備の老朽化対策・効率向上対策

水力の有効利用

 当社では,事業所などに太陽光発電および風力発電設備を設置して信頼性とコスト面の課題を解決するための実証試験を行っています。また,新エネルギー発電からの電力購入についても促進しています。

新エネルギーの導入・普及促進

■既存設備の老朽化対策・  効率向上対策の実施例 ・打梨発電所

    (21,770kW→23,600kW)

・柴木川第二発電所

    (6,400kW→6,600kW)

 新エネルギーの導入

■太陽光発電  太陽光発電は,太陽の光線を利用するクリーンな発電方式です。

コストをはじめとして,夜間や悪天候時に発電能力が落ちること,

エネルギー密度が小さいなどの課題があります。

 2003年度末現在,365kWの設備を事業所の建物などに設

置し,普及促進を図っています。

■燃料電池※  燃料電池は燃料を直接燃焼させないこと,熱利用と合わせエネ

ルギー効率を高くできることから比較的クリーンな発電方式とし

て期待されています。当社は,固体高分子形燃料電池の基礎研究

を2003年度から技術研究センターにおいて実施しています。

■風力発電  風のエネルギーを利用して発電機を回し電気を起こす風力発

電は,エネルギー密度が小さく,風の状況に影響されやすいなど

の問題がありますが,クリーンな自然エネルギーを利用するとい

う長所があります。

 当社は山口県日置町に風力発電所を設置し,アップウインド式※

(300kW)とダウンウインド式※(107.5kW)の2機を導入して

います。

【アップウインド式】 風力発電の方式で,羽(ブレード)を支柱の風上側で回転させるもの。 【ダウンウインド方式】 風力発電の方式で,羽(ブレード)を支柱の風下側で回転させるもの。 【燃料電池】 水の電気分解と逆の工程で,水素と酸素を化学的に反応させて水とともに電気を取り出すシステム。排出ガスが極めてクリーンで,発電効率も高く,発電の際に発生する排熱が給湯・暖房などに利用できるため,地球温暖化防止や大都市における大気汚染対策として,都市部でのコージェネレーションシステムに組み合わせての利用などが期待されています。

柴木川第二発電所 新水車

新帝釈川発 電 所

2006年6月運転開始予定(ダム水路式)

1.1万kW

●工事中のもの

429

99 00 01 02 03(年度)

600

500

800

700

400

300

200

100

0

12

10

16

14

8

6

4

2

0

(MWh) (%)

1211

10

1413

490

発電電力量

設備利用率

474396

348

●風力発電実績

●太陽光発電出力 (2003年5月10日実施)(kW)

876 9 1110 1312 17161514 18 19(時刻)

多結晶太陽電池3.0kW

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

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指針2

地球環境問題への対応

環境経営パフォーマンス

新エネルギーの導入・普及促進 27

用語 解説

 2003年4月から電気事業者に一定量以上の新エネルギーの

利用を義務づける「電気事業者による新エネルギー等の利用に

関する特別措置法」(RPS※法)が施行されましたが,当社はこ

れまでも新エネルギーの普及促進に貢献するため,新エネルギ

ー発電からの余剰電力を積極的に購入してきました。

 また,太陽光および風力発電の開発を助成する中国グリーン電

力基金に対しても,基金への拠出などの支援を行っています。

 新エネルギーの普及促進

 2003年4月に施行された「電気事業者による新エネルギー

等の利用に関する特別措置法」(RPS法)では,新エネルギー等

から発電される電気(「新エネルギー等電気」)の一定割合以上

の利用を電気事業者に義務付けるとともに,これまでのように新

エネルギー等電気を直接供給しなくても,地域を越えて「新エネ

ルギー等電気相当量」を取引することにより,新エネルギー等電

気が利用されたとすることも可能にし,新エネルギー等の導入に

際して市場メカニズムの活用を図っています。当社は,市場メカ

ニズムを活用した新エネルギー等の更なる普及という法の趣旨

を尊重し,経済性にも配慮しながら,新エネルギー等の利用義務

量の達成に積極的に取り組みます。

 なお,2003年度は利用義務量を達成しました。

 電気事業者による新エネルギー等の利用に  関する特別措置法(RPS法)への対応について

 「中国グリーン電力基金」は,環境・エネルギー問題に関心の

高い地域の皆さまから参加者を募り,参加者からの寄付金をもと

に,太陽光(公共用)・風力発電設備などの建設を助成し,一層の

普及促進を図る市民参加型の取り組みです。基金の運営は,

(財)中国産業活性化センターが行っています。

 当社では,お申込みの手続きや寄付金の口座振替など,運営の

お手伝いをさせていただくとともに,募集PRや基金への拠出に

より,自然エネルギー発電設備の普及拡大に積極的に協力して

います。

 中国グリーン電力基金の支援

■新エネルギー発電からの電力購入 (廃棄物発電,太陽光発電,風力発電)  未利用エネルギーの有効活用の観点から,自治体等が行って

いる廃棄物発電※の余剰電力を購入しています。

 また,太陽光発電からは当社の販売電力単価で購入し,事業目

的の風力発電については,長期間,安定して電力を購入するメニ

ューを設けています。

 このように購入条件などに配慮をすることで新エネルギー発

電の普及を支援しています。2003年度に購入した廃棄物発電,

太陽光発電,風力発電からの電力量は8,025万kWでした。

【RPS】 Renewables Portfolio Standard法の概要については次のホームページをご参照ください。 経済産業省(資源エネルギー庁)http://www.rps.go.jp 中国電力 http://www.energia.co.jp/energy/index.html

【廃棄物発電】 ゴミの焼却によって生じる熱で蒸気をつくり,タービンを回して発電する方式。

②設備認定

③新エネルギー等電気

④電気

国(経済産業大臣)

新エネルギー等 電気発電事業者

(太陽光,風力,バイオマスなど)

一般のお客さま

電力会社 (電気事業者)

①新エネルギー等の  電気の利用義務

●新エネルギー発電からの電力購入量 (万kWh)

2,000

3,000

4,000

5.000

6,000

7,000

8,000

1,00099 00 01 02 03 (年度)

2,2702,585

3,928

4,911

8,025

・山口県中部環境施設組合  清掃工場 ・岡山市岡南環境センター ・呉市ごみ処理施設 ・宇部市環境保全センター ・出雲市外6市町広域事務  組合出雲エネルギーセンター

〈2003年度現在,13か所から購入中〉 ・岡山市東部クリーンセンター ・岡山市当新田環境センター ・米子市クリーンセンター ・広島市南工場 ・広島市中工場 ・福山リサイクル発電 ・倉敷市水島清掃工場 ・周南地区衛生施設組合恋路  クリーンセンター

月々500円(一口)から参加いただけます。 巻末に基金への参加申込書を添付していますので,ご利用ください。当基金に関するお問い合せは,(財)中国産業活性化センターTEL(082)241-9927または,お近くの中国電力の営業所までお願いします。また,申込書の取り寄せは,ホームページからも行うことができます。

「中国グリーン電力基金」に参加しませんか。

(1口500円/月)

太陽光(公共用) 130.4kW 652万円

風  力 2004年9月以降に決定する予定

91,598件 2,096口

●2004年5月末現在の参加件数および助成状況(2004年5月決定分)

助成対象設備区分 助成対象出力件数 助成額参加件数 参加口数

http://www.energia.co.jp/green/

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指針2

地球環境問題への対応

環境経営パフォーマンス

送配電損失率の低減

28

CO2以外の温室効果ガス排出の抑制

用語 解説

 発電所で発電した電気を,送配電線をとおしてお客さままで送り届ける間には電気の損失が発生します。この損失を減らすと余分な発電が抑えられ,燃料の消費量が減り,CO2排出量を抑えることができます。  当社は送配電損失率※の低減を図るため,50万ボルト送電線・2万ボルト配電線の拡張など従来から送配電線の高電圧化を進めています。  2003年度末には,2万ボルト配電線が当社供給区域内で約850kmの運転を開始しています。  また,一層の損失低減を図るため,低損失の電線や機器の採用を進めるとともに,送電線や6千ボルト配電線の損失低減を目指した自動給電システムや系統計画支援システムを導入しています。  2003年度の送配電損失率は5.7%になりました。

 優れた電気絶縁性を持つSF6ガスは遮断器・変圧器の軽量・

コンパクト化に役立ち,これに替わる有効な絶縁ガスが現在のと

ころ見つかっていないことから,不可欠な存在となっています。

 通常,このガスは密封されているため,大気中に漏出すること

はありません。点検や取り替えの際には,高性能ガス回収装置を

使用し,排出の抑制に努めています。また,機器廃棄時に回収し

たガスは再利用に努めています。

 その結果,2003年度の排出量は,点検時等において,1.1tを

排出しましたが,回収率は点検時97.4%,廃棄時99.8%となり

ました。

 SF6ガスの排出抑制

 HFCは,特定フロンの代替物質として事業所の空調機器に使

用していますが,特定フロンと同様に設備の定期点検時に回収

装置を使用するなどして,大気中への排出の抑制に努めています。

 2003年度における排出は50kgでした。

送配電損失率の低減

 オゾン層を破壊する特定フロンの代替物質として開発されたHFC※(ハイドロフルオロカーボン)や絶縁ガスとして使用されるSF6※(六フッ化硫黄)は,CO2などと同様に温室効果ガス※と呼ばれ,地球温暖化の原因物質となっています。  当社は,これらの問題に対応するため,機器点検時における高性能ガス回収装置の採用や作業手順などの適正管理を進め,大気中への排出抑制に努めています。

CO2以外の温室効果ガス排出の抑制

【送配電損失率】 送配電線によって生じる電気の損失量を発電所から送り出す電力量で除したもの。 【HFC】 温室効果ガスの一つで,エアコン,冷蔵庫などの冷媒やエアゾールの噴射剤などに使用されます。主に使用されるHFC-134aの他,HFC-152aなどがあり,二酸化炭素の140~11,700倍の温室効果をもつとされています。

【SF6】 フッ素と硫黄の化合物で,天然には存在せず工業的に生成される。優れた電気的絶縁性をもつとともに,人体に対して安全で安定しているので,電気事業では遮断器などの絶縁ガスに使用している。温室効果ガスの一つで,二酸化炭素の23,900倍の温室効果をもつといわれています。

【温室効果ガス】 地球は,太陽により温められ,地表から出ていく熱(赤外線)の何割かが大気中に吸収され,再び地表へと放射することで適当な温度に保たれています。この赤外線を吸収する働きを行うガスを温室効果ガスといい,このガスの濃度が増えるほど地球の気温は高くなります。京都議定書では,二酸化炭素(CO2),メタン(CH4),亜酸化窒素(N2O),パーフルオロカーボン(PFC),ハイドロフルオロカーボン(HFC)および六フッ化硫黄(SF6)の6つを温室効果ガスとして,その人為的排出を抑制することとしています。このほか,大気中の水蒸気やフロン,オゾンも温室効果ガスです。

 HFC(ハイドロフルオロカーボン)の  排出抑制

●SF6のリサイクルフロー

再利用

ガス メーカー

機器 メーカー

再利用 再利用

電力会社

再生・破壊

基準内ガス

基準外ガス 回収ガス

機器 メーカー 電力会社

基準内ガス

基準外ガス 回収ガス

ガス メーカー

SF6点検時回収率

SF6排出量

15 100

80

60

40

20

0

10

5

0

排出量(t)

99 00 01 02 03(年度)

回収率(%)

SF6廃棄時回収率

97.4

99.8

1.1

●SF6ガスの排出量

4.0

12.0

11.0

10.0

9.0

8.0

7.0

6.0

5.0

60

5.7

(%)

70 80 90 01 02 03(年度)

●送配電損失率の推移

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指針2

地球環境問題への対応

環境経営パフォーマンス

国際的な取り組み 29

 温室効果ガス削減の国際的な取り組みとして,海外の温室効果ガス削減プロジェクトへ共同で出資する「炭素基金」に参加するとともに,オーストラリアのビクトリア州において,丸紅(株)等と共同で植林プロジェクトに取り組んでいます。

国際的な取り組み

 当社は,毎年100ヘクタール程度の放牧跡地などを現地の農

家から借り受け,広葉樹のユーカリ・グロビュラスを植林してい

ます。

 このプロジェクトでは,1999年から2008年までの10年間

で,1,000ヘクタールを目標に植林面積を段階的に広げていき

ます。11年目以降は,10年間成育した樹木から順次伐採し,毎

年2.5万トン程度のチップを生産します。当社は本プロジェクト

に最大3.5億円を出資する予定です。

 なお,伐採後は再植林を行い,継続的な維持管理を行っていき

ます。

 オーストラリアで植林事業

年間約3万t-CO2(50万kW級の石炭火力発電所からのCO2排出量の約4~5日分相当)

約7,000t(当社の事務用紙使用量の約18年分相当)

プロジェクト(植林地1,000ha)によって吸収されるCO2量

年間100haの伐採によって生産される紙の量

●プロジェクトによって見込まれる効果(試算)

490ha(2003年分:84ha)広島市民球場の約408倍の土地に約49万本を植林植林面積

●これまでの植林実績(2003年12月末現在)

植林したユーカリ・グロビュラス

ビクトリア州 プロジェクト 実施場所

南オーストラリア州

シドニー●

●メルボルン

GG-CAP

複数プロジェクト クレジット購入契約

支払い クレジット

出資者

ナットソース・アセット・マネジメント社* ・プロジェクトの発掘,選択 ・プロジェクト実施者との交渉・契約 ・デリバリー管理

*ナットソース社がGG-CAP運営のために設立した100%子会社

 GG-CAP(Greenhouse Gas-Credit Aggregation Pool)

とは,開発途上国や東欧における温室効果ガス排出削減プロジェ

クトから生じるCO2排出削減量(CO2クレジット)を,先進国の企

業が共同で購入するもので,運営・管理には排出権売買の仲介に

実績を持つナットソース社があたり,2004年夏頃から運営を開

始する予定です。

 当社は,この基金におよそ20億円を出資する予定であり,これ

により360万トンのCO2クレジットが獲得できる見込みです。

 温室効果ガスクレジット共同購入プール  (GG-CAP)への参加

 PCF(Prototype Carbon Fund)とは,世界銀行が設立した

温室効果ガス削減をめざす取り組みのひとつで,出資者(6の政府,17

の企業)から集めた資金を開発途上国や東欧等で行う温室効果

ガス削減プロジェクトに投資し,CO2排出削減量(CO2クレジット)

を出資者に分配する仕組みです。

 当社は,地球規模での温暖化防止に貢献するため,2000年の

設立当初からPCFに参加しており,総額700万ドルを出資する

予定です。

 なお,この基金によって当社が得られるCO2クレジットは約

140万トン-CO2と見込まれます。

 世界銀行が設立した「炭素基金(PCF)」へ参加

●PCFの資金とCO2クレジットの流れ

途上国,東欧等 (プロジェクト)

審査機関 (審査,認証)

世界銀行 (炭素基金) 先進国(出資者)

資金 資金

CO2クレジット

CO2 クレジット

CO2 クレジット

ゴミ埋立地から回収したメタンガスを燃料とするバイオマス発電

石炭火力に代わる水力発電

ディーゼルや石炭に代わる小規模水力発電

石炭,コークスの代替として, 銑鉄生産に木炭を使用

再生可能エネルギー(水力発電, 風力発電)の開発 他

ラトビア(東欧)

チリ(南米)

ウガンダ(アフリカ)

ブラジル(南米)

コスタリカ(中米)

ホスト国(地域) プロジェクト概要

●PCF出資対象プロジェクト例

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指針2

地球環境問題への対応

環境経営パフォーマンス

30

物流の効率化によるCO2排出削減

 中国電力グループでは,2003年2月,物流会社エネルギア・

ロジスティックスを設立し,グループでの共同配送を実現するこ

とにより物流の最適化を図っています。

 これまで,当社各事業所向けの資機材を,グループ各社が個別

に輸送していましたが,これを逐次共同配送することにより効率

化し,トラック台数の2割削減を見込んでいます。これにより

CO2排出量を削減します。

 物流の最適化に向けた取り組み

 当社は,コールセンターの集約化や石炭輸送船の大型化など

石炭調達に係る物流システムの改革に取り組んでいます。

 火力発電所の燃料として,年間約600万tの石炭を輸入して

いますが,海外から日本国内への石炭輸送に使用する船舶(外航

船)については,2001年より10万t級の大型船3隻を導入し,輸

送効率の向上による経済性の追求とともに燃料輸送に関る環境

負荷削減を図っています。

 この大型船の導入により航海数の減少や燃費効率の向上の

効果から,従来の7~8万トン級の船舶による輸送と比較して,年

間で約8%,約4,000トンの船舶燃料の節約が可能となり,その

結果,CO2排出量も削減できました。

 石炭外航船の大型化(7.7万t→10万t積)  による船舶燃料消費量の低減

物流の効率化によるCO2排出削減

■共同配送方法の特長 ①中国電力が発注した資機材を,グループ会社工場から巡回方

 式で収集します。

②各方面の事業所に向けた輸送を集約化するため,中国地方を

 3エリアに分割し,各エリアに設ける物流センター間は,大型ト

 ラックを使用した幹線輸送を行います。

③各物流センターから受持エリア各事業所までの輸送は,大型ト

 ラックに数カ所の事業所向け資機材を混載し,巡回方式により

 配送します。

●330万t輸送の比較

船 舶

10万トン積 7.7万トン積

1,4611,221

1往復あたりの燃料消費量(t)

【前提】年間輸送量600万トンのうち330万tを7.7万t積から10万t積へ変更

船 名

SAGE SAGITTARIUS(セージ サジタリアス)

ENERGIA CENTAURUS(エネルギア ケンタウルス)

SINCERE PISCES(シンシア ピシーズ)

2001年3月30日

2001年6月4日

2001年8月2日

就 航

(参考)

第1船

第2船

第3船

仕様:全長:234.9m,全幅:43.0m,喫水:15.2m 載貨重量トン数:105,500t(3隻共通)

技術課 堀野 圭二 流通事業本部 益田電力所

当電力所が,ISO14001認

証取得事業所であることを,

所員一人ひとりが意識して,省

エネ・省資源・リサイクルに取

り組み,着実に成果を挙げて

います。

今後,システムの更なる改

善を目指し,環境に一段と優

しい企業活動に向け,所員一

丸となって取り組んでいきます。

●共同配送方式による物流の効率化

A

現状イメージ

製造メーカー (資機材)

資材センター

長距離

B

C

D

変更後イメージ

A Bグループ内の 製造会社 (資機材)

製造メーカー(資機材)

物流センター

事業所等 事業所等

D

集約化

C D短距離 短距離

物流センター

グループ内の 製造会社 (資機材)

事業所等

燃料消費量 48,213t航海数

33航海

従来型の場合

航海数

43航海 330万t

7.7万t積×43航海

燃料消費量 52,503t

大型船導入後

330万t

10万t積×33航海

航海数 10減

燃料消費量 4,290t減 (8%減)

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指針2

地球環境問題への対応

環境経営パフォーマンス 31

オゾン層保護に向けた取り組み

グループにおける新エネルギーの普及促進活動

 中電技術コンサルタント(株)では,土木,環境および電気の総

合技術力を発揮して新エネルギーに関する各種申請業務,各種

調査(風況,流況,生態系,電波障害,騒音他),プラント設計,施工監

理まで総合的なコンサルティングを行っています。

 太陽光,風力,水力,バイオマスなどの新エネルギープラントの

計画・設計のほか,既設プラントのリフレッシュ計画・設計など幅

広く対応しています。

 中電技術コンサルタント(株)  新エネルギープラントの調査・設計

 イームル工業(株)では,山岳地帯の山小屋や山間部のキャン

プ場などの電気をまかなうマイクロ水車発電装置を開発し,水の

落差,水量に幅広く対応できるよう水力タービン(水車)の機種

を標準シリーズ化しています。小水力は,大規模な土木工事を必

要とせず環境に負荷をかけないクリーンエネルギーとして注目

されており,2003年には世界遺産の島「屋久島」に出力

1.8kWの設備を設置しました。

 イームル工業(株)  省資源型マイクロ水車発電装置の開発・製造

用語 解説

 地球を取り巻くオゾン層※は,太陽光に含まれる有害な紫外線の大部分を吸収し,地球上の生物を守る大切な働きをするものですが,このオゾン層が特定フロン,特定ハロンなどによって破壊されています。当社は,これらの物質の排出を抑制するためのさまざまな対策を実施しています。

 特定フロンは主として空調機器の冷媒として使用するもので,

設備の更新時などでの特定フロンを使用しない機器への取り替

えや,定期点検時の高性能ガス回収装置の使用により,大気中へ

の排出を抑制しています。

 また,特定ハロンはこれまで発電設備や建物等における消火

剤としても使用してきましたが,消火装置の取替・新設の際には,

特定ハロンを使わないCO2消火装置や粉末消火装置を採用し

ています。

 代替フロン使用機器への計画的な取替え等により,2003年

度の排出量も0.3トンと,低い水準を維持しています。

 現在の排出量は自然リークによるものが大半であり,今後は,

日常管理の徹底によりトラブル・誤動作による排出を抑制してい

きます。

 特定フロン・ハロンの削減対策

オゾン層保護に向けた取り組み

グループにおける新エネルギーの普及促進活動

【オゾン層】オゾン濃度が高い大気の層のことで,地表からの高さが約20~25kmの上空に厚さ約20kmにわたっています。太陽光に含まれる有害な紫外線の大部分を吸収する働きをしています。

 (株)中電工では,2003年2月に香川県香川郡直島町にある

豊島(てしま)廃棄物等中間処理施設へ80kW大容量太陽光発

電設備を納入・設置しました。一般的に設置される10~30kW

容量の設備と比較すると,かなりの規模のものであり,当時,中四

国で設置された中では最大規模のものになります。現在も順調

に施設内の電気設備へ電力供

給しており,温室効果ガス等を

排出しない発電設備(想定

CO2削減量29t/年)として環

境保全に大きく貢献しています。

 (株)中電工  80kW大容量太陽光発電設備の納入・設置

 発変電設備・環境設備および

一般産業設備の建設・メンテナン

スを手掛ける中電プラント(株)

では,新エネルギー分野の風力・

バイオマス・太陽光発電に関する

調査・設計・工事施工等各種サー

ビスの提供を通じて,新エネルギ

ーの普及に寄与しています。

 中電プラント(株)  新エネルギー発電設備の建設・メンテナンス

●特定フロン類の排出量

(t)

99 00 01 02 03(年度)

4

3

2

1

0

0.3