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平成26年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 鉄鋼材料(鋼板等の被覆) 平成27年3月 問い合わせ先 特許庁総務部企画調査課 知財動向班 電話:03-3581-1101(内線2155)

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平成26年度 特許出願技術動向調査報告書(概要)

鉄鋼材料(鋼板等の被覆)

平成27年3月

特 許 庁 問い合わせ先

特許庁総務部企画調査課 知財動向班 電話:03-3581-1101(内線2155)

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- 1 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第1章 調査概要

第1節 調査目的

今後、我が国の産業が持続的に発展していくために、海外市場、特に中国市場での事

業展開の重要性が認識されており、中国市場での事業展開を念頭に置いた技術開発戦略、

知的財産戦略の策定が重要である。

また、近年、中国において特許出願が急増しており、2012 年には国際調査報告を作成

する際の先行技術調査の最小限資料に追加されるなど、中国特許文献の審査における重

要性は高まっている。このため、中国の特許文献の技術レベルを把握し、特許文献を整

理することは特許庁における審査体制の構築や的確かつ効率的な審査を行う上で必要で

ある。

本調査では、近年、中国市場において特に注目されている「鉄鋼材料(鋼板等の被覆)」

の分野について調査分析を行う。

中国における鉄鋼関連分野の特許・実用新案出願(登録)件数の増加は著しく、中国

における知財リスクが高まっている。

しかしながら、鉄鋼材料(鋼板等の被覆)関連技術について、中国国内で、どういっ

た出願人がどのような技術分野に出願し権利化しているのか、出願が増加している技術

分野はどこなのか等の基礎データが分析されていない。

このような背景のもと、鉄鋼材料(鋼板等の被覆)に関する特許・実用新案出願(登

録)の動向を調査し、技術革新の状況、技術競争力の状況と今後の展望について検討す

る。

この調査結果に基づいて、中国企業等の技術開発動向、知的財産戦略を明らかにし、

我が国の企業等が中国において事業展開する際の支援を図り、中国で事業を行う世界各

国企業の技術開発動向、知的財産戦略を明らかにし、我が国の企業等がグローバルなビ

ジネス展開をする際の競争力向上を図り、我が国の企業等が取り組むべき課題を整理し、

今後目指すべき研究開発・知的財産戦略の方向性を明らかにする。

第2節 技術概要

1.調査範囲

図 1- 1 に調査範囲を示す。鉄鋼材料(鋼板等の被覆)を概観した技術俯瞰図である。

本テーマの対象となる鉄鋼材料(鋼板等の被覆)は、多種多様な被覆の形態を内包して

おり、それらが付与する機能は多岐にわたる。

鉄鋼メーカーでの鋼板等の被覆としては、溶融状態にある被覆材料の適用(溶融めっ

き鋼材等)、化成被覆・不動態化(化成処理鋼材・クロメート処理鋼板等)、多層被覆(有

機複合鋼板、塗装鋼板、浸炭、窒化等)等がある。一方、専業メーカーあるいはユーザ

ーでの被覆として、真空蒸着・スパッタリング・イオン注入、溶射、分解による化学的

析出(化学蒸着)、接触メッキ等がある。

これらの被覆が材料表面に付与する機能としては、耐食性、耐候性、耐摩耗性・耐疲

労性・耐焼付性、潤滑性・加工性・成形性、塗装性をはじめとして多岐にわたる。

被覆に関する需要(用途)分野は、輸送機器分野、家電・OA 機器分野、住宅・建材分

野、構造物・建設分野、エネルギー産業分野、産業機械分野、医療機器分野と広範囲に

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

及ぶが、鋼板等の被覆に関連する主たる需要(用途)分野は、①輸送機器分野(自動車

が主体)、②家電・OA 機器分野、③住宅・建材分野、④産業機械分野、⑤構造物分野が

想定でき、一つの分野をとってみても多様な機能が求められている。例えば、自動車分

野では車体ボディ用内外板として耐食性・加工性等が求められ、溶融亜鉛めっき鋼板・

合金化溶融亜鉛めっき鋼板が用いられる。一方、パワートレイン摺動部では浸炭窒化・

溶射・蒸着等により高耐摩耗性機能が付与された鋼材が用いられる。

また、近年では環境汚染、製造品の安全性への関心の高まりを背景に、鋼板等の被覆

に関しても、地球温暖化ガス低減目的で自動車用めっき鋼板の高張力化、家電・建材用

処理鋼板のクロメートフリー化等主要な需要分野から環境負荷軽減・安全安心への対応

要求がある。

今回の調査では図 1- 1に示すように主に鉄鋼メーカーで行われる被覆および表面近傍

での改質に焦点を当てて、調査を行う。

図 1- 1 鉄鋼材料(鋼板等の被覆)の技術俯瞰図

 

*1:「塗装」は化成処理等今回調査対象の被覆と塗装の組み合わせを対象とする。

溶融めっき

溶射

化成処理

クロメート

多層被覆

塗装(*1)

鉄鋼メーカー

化学蒸着

無電解メッキ

浸炭

窒化

真空蒸着

スパッタリング

イオン注入

専業メーカー

最終ユーザー

耐食性

耐摩耗性

耐疲労性

耐焼付性

潤滑性

加工性成形性

塗装性

その他

輸送機器

分野

家電・OA分野

建材分野

産業機械

分野

構造物分野

被覆鋼材主

要利用分野被覆鋼材

主要機能主な

被覆技術

調査

対象

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第2章 市場環境調査

第1節 中国鉄鋼生産及び表面処理鋼板の現状

図 2- 1 に中国ならびに日米欧韓印の粗鋼生産量推移を示す。中国経済の躍進とともに

粗鋼生産量も急激に増加し、2008 年のリーマン経済危機に際しても減速することなく拡

大を続けた。

図 2- 2 は中国でのめっき鋼板の生産および輸出入推移を示したものである。国内生産

が急速に拡大するとともに、2010 年には輸出入が逆転し、輸出量が輸入量を上回ってい

る。

図 2- 1 世界の粗鋼生産量推移

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本

中国

韓国

インド

欧州

米国

粗鋼生産量(億トン)

(出典:Steel Statistical Year Book 2014 より日鉄住金総研㈱が作成)

図 2- 2 中国のめっき鋼板の生産および輸出入推移

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

生産量

輸出量

輸入量

国内市場規模

(万トン)

(出典:金属世界導報、WSA データより日鉄住金総研㈱が作成)

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第2節 中国鉄鋼業の競争力

表 2- 1 に 2013 年世界鉄鋼企業粗鋼生産ランキングを示す。上位 10 位以内に河北鋼鉄

集団、宝鋼集団、武漢鋼鉄集団、江蘇沙鋼集団、鞍山鋼鉄集団、首鋼集団の中国企業 6

社が並ぶ。

図 2- 3にめっき鋼板分野での主要プレーヤーの粗鋼生産量シェアとめっき鋼板生産量

比率を示す。粗鋼生産量については各社 4~6%程度のシェアを占め均衡した状態にある

が、冷延・めっき鋼板の生産量についてはメーカーによる差が顕著である。宝鋼集団、

鞍山鋼鉄集団、首鋼集団の順にシェアが大きく、武漢鋼鉄集団がこれに続いている。

表 2- 1 2013 年世界鉄鋼メーカーランキング

順位 本社所在地生産量

(百万トン)1 ArcelorMittal  ルクセンブルク 96.12 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 新日鐵住金  日本 50.13 Hebei Group 河北鋼鉄集団 中国 45.84 Baosteel Group 宝鋼集団 中国 43.95 Wuhan Group 武漢鋼鉄集団 中国 39.36 POSCO  韓国 38.47 Shagang Group 江蘇沙鋼集団 中国 35.18 Ansteel Group 鞍山鋼鉄集団 中国 33.79 Shougang Group 首鋼集団 中国 31.510 JFE Steel JFEスチール 日本 31.2

会社名

(出典:Worldsteel 資料より日鉄住金総研㈱が作成)

図 2- 3 中国鉄鋼メーカーの粗鋼シェアと冷延・亜鉛めっき製品シェア

0

5

10

15

20

25

30

右棒

中国粗鋼シェア%

左棒

冷延・溶融メッキ品比率%

鉄鋼メーカー

冷延・亜鉛メッキ比率

中国 粗鋼シェア

(出典:World Steel Dynamics データより日鉄住金総研㈱が作成)

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3章 特許・実用新案動向調査-全体動向調査(検索による解析に基づく調査)

第1節 調査の方法

鉄鋼材料(鋼板等の被覆)に関する特許・実用新案の全体動向調査(出願及び登録)、

技術区分動向調査、出願人別動向調査を行った。

本節では特許・実用新案情報検索、全体動向調査、出願人別動向調査の方法を概説す

る。

1.全体特許情報検索

特許・実用新案情報データベースは、英国 RWS Group 社と minesoft 社が提供する

PatBase1を用いて、資料編に示す検索式で検索を行った。対象期間は優先権主張年ベー

スで 2003~2012 年とした。出願先は、日本、米国、欧州、中国、韓国とし、該当件数は

33,763件であった。PatBaseによりデータ抽出を実施したのは 2014年 12月 25日である。

2.全体動向調査、出願人動向調査の方法

検索式により抽出された日本、米国、欧州、中国、韓国の各国に出願された特許・実

用新案数を母集団として、出願先国別、出願人国籍別、出願人上位ランキングなどのデ

ータ整理を行った。出願人国籍を「欧州国籍」とする国は、以下に示す EPC 加盟 38 カ国

である。また出願先として「欧州」とするのは、EPC 加盟国のうち PatBase に収録され

ている 35 カ国と欧州特許庁(EPO)である。実用新案に関する対象国は日本、欧州、中

国、韓国であり、欧州については PatBase に収録されている 35 カ国のうち、15 カ国(オ

ーストリア、ブルガリア、チェコ、ドイツ、デンマーク、エストニア、フィンランド、

フランス、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、

トルコ)が対象国である。

【EPC 加盟 38 カ国(2014 年 10 月現在)】オーストリア、ベルギー、ブルガリア、スイ

ス、キプロス、チェコ、ドイツ、デンマーク、エストニア、スペイン、フィンランド、

フランス、英国、ギリシャ、クロアチア、ハンガリー、アイルランド、アイスランド、

イタリア、リトアニア、ルクセンブルク、ラトビア、リヒテンシュタイン、モナコ、マ

ルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スウ

ェーデン、スロベニア、スロバキア、サンマリノ、マケドニア旧ユーゴスラビア、トル

コ、アルバニア

【欧州とみなす発行国(PatBase に収録されている EPC 加盟国 35 カ国と欧州特許庁)】

オーストリア、ベルギー、ブルガリア、スイス、キプロス、チェコ、ドイツ、デンマー

ク、エストニア、スペイン、フィンランド、フランス、英国、ギリシャ、クロアチア、

ハンガリー、アイルランド、アイスランド、イタリア、リトアニア、ルクセンブルク、

ラトビア、モナコ、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマ

ニア、セルビア、スウェーデン、スロベニア、スロバキア、サンマリノ、トルコ及び欧

州特許庁

1 アールダブリュエス グループ リミテッド、マインソフト リミテッドの登録商標。正式な登録名は

PatBasE(パットベース)。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

3.技術区分別調査の方法

検索に用いた IPC コード(C23C2/、C23C8/、C23C22/、C23C26/、C23C28/)毎に整理を

行った。

第2節 日米欧中韓への特許出願に関する全体動向調査

1.出願先(日米欧中韓):出願先国別特許出願件数推移及び比率

出願先国別特許出願件数推移及び件数比率を図 3- 1 に示す。特許出願は日本への出願

が 30.3%と最多で、中国への出願 24.2%、米国への出願 16.7%、欧州への出願が 16.3%、

韓国への出願が 12.6%となっている。年推移では中国への出願が増加傾向にあるのに対

し、日本への出願は漸減傾向にある。

図 3- 1 出願先国別特許出願件数推移と件数比率 (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

合計

32,329件

日本

9,790 30.3%

米国

5,384 16.7%

欧州

5,272 16.3%

中国

7,822 24.2%

韓国

4,061 12.6%

3,2723,027

3,250 3,208 3,271 3,249 3,2813,460 3,521

2,790

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 合計

出願先国 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

2.出願先(日米欧中韓):出願人国籍別特許出願件数推移及び比率

出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率を図 3- 2 に示す。特許出願は日本国籍出

願人による出願が 43.8%と最多で、欧州国籍出願人 19.1%、米国籍出願人 15.2%、中国籍

出願人 13.5%、韓国籍出願人 9.3%と続く。年推移では中国籍出願人、韓国籍出願人によ

る出願が増加傾向にあるのに対し、日本国籍出願人、米国籍出願人による出願は漸減傾

向にある。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 3- 2 出願人国籍別特許出願件数推移と件数比率 (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

3,2723,027

3,250 3,208 3,271 3,249 3,2813,460 3,521

2,790

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

日本

14,146 43.8%

米国

4,924 15.2%

欧州

6,169 19.1%

中国

4,365 13.5%

韓国

1,683 9.3%

その他

309 1.0%

合計

32,329件

3.出願先(日米欧中韓):出願先国別‐出願人国籍別特許出願件数

図 3- 3 に出願先国別‐出願人国籍別特許出願件数を示す。出願人が属する国への出願

が多いのはどの国も共通であるが、中国籍出願人による他国への出願が相対的に少ない

ことが見て取れる。

図 3- 3 出願先国別‐出願人国籍別特許出願件数 (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

7,808

1,810

1,409

1,798

1,321

818

1,763

1,194

701

448

882

1,317

2,406

946

618

39

127

51

4,122

26

199

252

147

196

1,622

44

115

65

59

26

出願先国

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

日本

米国

欧州

中国

韓国

4.出願先(日米欧中韓):出願先国別‐出願人国籍別特許出願件数収支

図 3- 4 に出願先国別‐出願人国籍別特許出願件数収支を示す。

日本、米国、欧州国籍出願人は特許出願に関しては、自国はもとより他国への出願も

精力的に行っていることがわかる。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 3- 4 出願先国別‐出願人国籍別特許出願件数収支 (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

1,321 32.5%

米国

448 11.0%

欧州

618 15.2%

中国

26 0.6%

韓国

1622 40.0%

その他

26 0.6%

日本

7,808 79.8%米国

818 8.4%

欧州

882 9.0%

中国

390.4%

韓国

199 2.0%

その他

440.4%

日本

1,810 33.6%

米国

1,763 32.7%

欧州

1,317 24.5%

中国

127 2.4%

韓国

252 4.7%

その他

115 2.0% 日本

1,40926.7%

米国

1,19422.6%

欧州

2,40645.6%

中国

511.0%

韓国

147 3.0%

その他

651.2%

日本

1,798 23.0%

米国

701 9.0%

欧州

946 12.1%

中国

4,122 52.7%

韓国

196 2.0%

その他

59 1.0%

日本への出願

9,790件

米国への出願

5,384件欧州への出願

5,272件

中国への出願

7,822件

韓国への出願

4,061件

1,810件

1,798件1,321件

1,409件

448件

818件

1,317件

946件

618件

39件

26件

51件

252件

196件

147件

1,194件

882件

199件

127件701件

5.出願人別動向

表 3- 1 に出願人別出願件数上位ランキングを示す。新日鐵住金株式会社と JFE スチー

ル株式会社が他を引き離している。上位 10 位には日本国籍企業が 5 社、米国籍企業 2

社、欧州国籍企業 2 社、韓国籍企業 1 社がランクインしている。また、上位 10 位までの

企業の業種としては鉄鋼関連の他、電機関連、化学品関連、自動車関連等、多様な構成

となっている。

表 3- 2 に出願先国別出願人別出願件数上位ランキングを示す。上位 10 位までに限っ

てみると、日本への出願では上位 10 位中 9 社が日本国籍企業である。米国への出願では

日本国籍企業が 4 社、欧州国籍企業が 3 社、米国籍企業が 2 社となっている。欧州への

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

出願は欧州国籍企業が 4 社、日本国籍企業 3 社、米国籍企業 2 社となっている。中国へ

の出願では中国籍企業、日本国籍企業が各 3 社、欧州国籍企業 2 社となっている。韓国

への出願では日本国籍企業が 4 社、韓国籍企業 3 社、欧州国籍企業 3 社となっている。

表 3- 1 出願人別出願件数上位ランキング (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

順位 出願人名称 件数

1 新日鐵住金株式会社 2292

2 JFEスチール株式会社 1844

3GENERAL ELECTRIC CO(米国)

842

4 POSCO(韓国) 819

5 株式会社神戸製鋼所 661

6 SIEMENS AG(ドイツ) 369

7UNITED TECHNOLOGIES CORP(米国)

360

8 HENKEL(ドイツ) 332

9 日新製鋼株式会社 316

10 トヨタ自動車株式会社 261

日米欧中韓への出願出願総数:32329

表 3- 2 出願先国別出願人別出願件数上位ランキング (出願先:日本、米国、欧州、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

順位 出願人名称 件数 順位 出願人名称 件数 順位 出願人名称 件数

1 新日鐵住金株式会社 1254 1 GENERAL ELECTRIC CO(米国) 274 1 GENERAL ELECTRIC CO(米国) 2602 JFEスチール株式会社 1080 2 新日鐵住金株式会社 247 2 新日鐵住金株式会社 2173 株式会社神戸製鋼所 282 3 JFEスチール株式会社 176 3 JFEスチール株式会社 177

4 日新製鋼株式会社 273 4UNITED TECHNOLOGIES CORP(米国)

117 4 SIEMENS AG(ドイツ) 162

5 GENERAL ELECTRIC CO(米国) 196 5 SIEMENS AG(ドイツ) 90 5UNITED TECHNOLOGIES CORP(米国)

117

6 トヨタ自動車株式会社 148 6 HENKEL(ドイツ) 79 6 HENKEL(ドイツ) 957 NTN株式会社 140 7 株式会社神戸製鋼所 79 7 株式会社神戸製鋼所 798 日本精工株式会社 124 8 POSCO(韓国) 60 8 POSCO(韓国) 64

9 日本パーカライジング株式会社 121 9 BASF(ドイツ) 45 9MTU AERO ENGINES GMBH(ドイツ)

56

10 日本ペイント株式会社 113 10 NTN株式会社 41 10 THYSSENKRUPP(ドイツ) 53

日本への出願出願総数:9790

米国への出願出願総数:5384

欧州への出願出願総数:5272

(出願先:中国、韓国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

順位 出願人名称 件数 順位 出願人名称 件数

1 新日鐵住金株式会社 296 1 POSCO(韓国) 5472 JFEスチール株式会社 212 2 新日鐵住金株式会社 2783 株式会社神戸製鋼所 118 3 JFEスチール株式会社 1994 GENERAL ELECTRIC CO(米国) 96 4 株式会社神戸製鋼所 1035 无锡麟龙铝业有限公司(中国) 84 5 HYUNDAI HYSCO(韓国) 75

6 POSCO(韓国) 79 6RESEARCH INSTITUTE OFINDUSTRIAL SCIENCE ANDTECHNOLOGY(韓国)

58

7 宝山钢铁股份有限公司(中国) 78 7 HENKEL(ドイツ) 428 HENKEL(ドイツ) 63 8 日本パーカライジング株式会社 429 SIEMENS AG(ドイツ) 63 9 ARCELORMITTAL(ルクセンブルク) 4110 三达奥克化学股份有限公司(中国) 51 10 SANDVIK(スウェーデン) 38

中国への出願出願総数:7822

韓国への出願出願総数:4061

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- 10 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

6.主要出願人動向

図 3- 5 に出願先日米欧中韓の主要出願人別特許出願件数推移を示す。なお、主要出願

人として、宝山钢铁股份有限公司(中国)、武汉钢铁(集团)公司(中国)、鞍钢股份有限

公司(中国)、POSCO(韓国)と THYSSENKRUPP(ドイツ)を選定した。

主要出願人の中では POSCO が他を大きく引き離しており、次に THYSSENKRUPP、宝山钢

铁股份有限公司が続いている。これら上位 3 社は継続的に特許出願を行っている。中国

籍の他の 2 社は 2007 年~2008 年を境に特許出願を増やしている。

図 3- 6 に出願先国別‐主要出願人別特許出願件数を示す。POSCO は自国への出願件数

が格段に多いが、他国へも一定件数の出願を行っている。THYSSENKRUPP は日米欧中韓へ

の出願を行っている。宝山钢铁股份有限公司も THYSSENKRUPP より件数は少ないが日米欧

中韓へ出願している。武汉钢铁集团公司と鞍钢股份有限公司は自国へのみの出願となっ

ている。

図 3- 5 主要出願人別特許出願件数推移 (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

37 42 64 43 73 82 74 133 142 129

2 14 18 34 14 25 23 23 35 7

1 12 11 17 11 15 17 8 4

1 4 4 3 6 7

1 1 2 1 5 3 6

出願人

出願年(優先権主張年)

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

POSCO

THYSSENKRUPP

宝山钢铁股份有限公司

武汉钢铁集团公司

鞍钢股份有限公司

優先権主張2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

図 3- 6 出願先国別‐主要出願人別特許出願件数 (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

69

36

4

60

39

2

64

53

6

79

37

78

25

19

547

30

6 出願人

出願先国

日本 米国 欧州 中国 韓国

POSCO

THYSSENKRUPP

宝山钢铁股份有限公司

武汉钢铁集团公司

鞍钢股份有限公司

優先権主張2003~2012年

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3節 日米欧中韓への特許出願に関する技術区分別動向調査

1.技術区分別出願件数推移

図 3- 7に今回検索に用いた IPCコードによる技術区分別の特許出願件数推移及び件数

比率を示す。また、IPC コード説明表を表 3- 3 に示す。IPC コードでの検索結果では、

C23C28/(多層被覆)、C23C22/(化成被覆・不動態化)、C23C8/(固相拡散)、C23C2/(溶

融めっき)、C23C26/(その他被覆)の順に多いが、比率的には 14%~30%の間となっており、

際立った差は見られない。

図 3- 7 技術区分別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

3,8193,459

3,812 3,798 3,842 3,783 3,781 3,980 3,976

3,051

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

C23C2/(溶融金属による被覆)C23C8/(非金属元素の固相拡散)C23C22/(反応性溶液による化学的表面処理)C23C26/(C23C2/~C23C24/に分類されない被覆)C23C28/(2以上の重ね合せ被覆層を得るための被覆)

技術区分

出願件数

優先権主張

2003~2012年

出願年(優先権主張年)

6,43917%

6,72218%

7,79321%

5,28114%

11,06630%

合計

37,301件

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

表 3- 3 IPC コード説明表

IPCコード 説明

C23C2/ 溶融金属による被覆(溶融めっきまたは溶融浸漬法)

C23C8/ 金属質材料表面への非金属元素のみの固相拡散(浸炭、窒化、ボロナイジング等)

C23C22/ 反応性溶液による化学的表面処理(化成被覆、金属の不動態化等)

C23C26/ C23C2/~C23C24/に分類されない被覆

C23C28/ 2以上の重ね合せ被覆層を得るための被覆(多層被覆)

2.技術区分別出願人国籍別出願件数

図 3- 8に今回検索に用いた IPCコードによる技術区分別の出願人国籍別の特許出願件

数を示す。日本国籍出願人は各技術区分で出願件数はトップであり、万遍なく出願して

いる。米国籍出願人、欧州国籍出願人は C23C28/の出願が相対的に多く、中国籍出願人

は C23C8/と C23C22/の出願が相対的に多い。韓国籍出願人は C23C2/の出願が相対的に多

い。

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- 12 -

本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 3- 8 技術区分別‐出願人国籍別特許出願件数 (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

3,266

3,140

3,479

2,404

4,666

289

931

930

1,153

2,326

1,110

1,196

1,214

1,078

2,400

831

1,051

1,703

178

842

866

338

414

416

737

77

66

53

52

95

技術区分

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

C23C2/

C23C8/

C23C22/

C23C26/

C23C28/

3.技術区分別出願人別出願件数上位ランキング

表 3- 4 に技術区分別(C23C2/、C23C22/)の特許出願件数上位ランキングを示す。IPC

C23C2/の上位 10 位には日本国籍出願人が 5 社、欧州国籍出願人、韓国籍出願人が共に 2

社、中国籍出願人が 1 社となっている。上位 10 位の業種内訳は鉄鋼関係が 8 社と大半を

占めている。IPC C23C22/の上位 10 位には日本国籍出願人が 5 社、欧州国籍出願人が 4

社となっており、上位 10位の業種内訳は鉄鋼関係が 5社、化学品関係 5社となっている。

表 3- 4 技術区分別特許出願件数上位ランキング (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

順位 該当出願件数:6439出願件数

順位 該当出願件数:7793出願件数

1 新日鐵住金株式会社 1190 1 JFEスチール株式会社 639

2 JFEスチール株式会社 1050 2 新日鐵住金株式会社 523

3 POSCO(韓国) 539 3 HENKEL(ドイツ) 337

4 株式会社神戸製鋼所 200 4 日本ペイント株式会社 199

5 日新製鋼株式会社 190 5 日本パーカライジング株式会社 193

6 THYSSENKRUPP(ドイツ) 158 6 POSCO(韓国) 187

7ARCELORMITTAL(ルクセンブルク)

144 7 株式会社神戸製鋼所 174

8 无锡麟龙铝业有限公司(中国) 96 8 BASF(ドイツ) 143

9 日立金属株式会社 60 9ARCELORMITTAL(ルクセンブルク)

106

10 HYUNDAI HYSCO(韓国) 59 10 CHEMETALL GMBH(ドイツ) 99

技術区分:C23C2/ 技術区分:C23C22/

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

4.技術区分別主要出願人動向

図 3- 9~図 3- 10 に技術区分別(C23C2/、C23C22/)の主要出願人別特許出願件数推

移を示す。主要出願人は、宝山钢铁股份有限公司(中国)、武汉钢铁(集团)公司(中国)、

鞍钢股份有限公司(中国)、POSCO(韓国)と THYSSENKRUPP(ドイツ)である。技術区分

(C23C2/)では主要出願人のうち POSCO、THYSSENKRUPP、宝山钢铁股份有限公司の順に

特許出願件数が多く、継続的に出願が行われている。武汉钢铁(集团)公司、鞍钢股份有

限公司は 2010 年以降出願を増やしている。技術区分(C23C22/)では POSCO の特許出願

件数が最も多く、継続的に出願している。出願件数は POSCO に比べると少ないが宝山钢

铁股份有限公司も継続的に出願している。

図 3- 9 技術区分(C23C2/)別‐主要出願人別特許出願件数推移 (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

27 21 36 26 38 59 52 107 92 81

1 9 17 29 8 20 18 13 35 8

9 5 10 3 10 6 6 3

1 1 1 4 2 5

1 1 2 4 5

出願人

出願年(優先権主張年)

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

POSCO

THYSSENKRUPP

宝山钢铁股份有限公司

鞍钢股份有限公司

武汉钢铁集团公司

優先権主張2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

図 3- 10 技術区分(C23C22/)別‐主要出願人別特許出願件数推移 (出願先:日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

4 17 20 11 29 31 15 13 28 19

6 6 6 18 1

2 5 5 7 3 11 3

1 3 1 1

1 1 1

出願人

出願年(優先権主張年)

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

POSCO

THYSSENKRUPP

宝山钢铁股份有限公司

武汉钢铁集团公司

鞍钢股份有限公司

優先権主張2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4章 特許・実用新案動向調査-中国への出願動向調査(詳細解析に基づく調査)

第1節 調査の方法

1.特許・実用新案情報の検索

詳細解析の対象特許、実用新案は、資料編で示す検索式に基づいて抽出した中国へ出

願された特許、実用新案である。優先権主張年 2003 年から 2012 年で抽出された特許、

実用新案の文献数は 9,085 件であった。(検索日:2014 年 12 月 25 日)

2.技術区分別調査の方法

本調査は、図 1- 1 の技術俯瞰図で示したように、主に鉄鋼メーカーで行う鋼板等の被

覆に関する技術である。この対象技術範囲に基づき技術区分表を作成した。技術区分は

大分類として、鉄鋼材料の品種、鋼種、課題、用途、被覆を設定した。鉄鋼材料の品種

では、鋼板、鋼管、線材、棒材、厚板、形鋼等材料の形状別の選択肢を設け、鋼種では、

普通鋼、高強度鋼、電磁鋼、ステンレス鋼、合金鋼等の選択肢の設定を行った。課題と

しては、特性(被膜厚み、被膜密着性、加工性等)、機能(耐食性、耐摩耗性、装飾性等)、

その他課題(有害物質代替、省エネ、省資源等)毎に選択肢を設定した。用途としては

自動車、家電、建材等主要な川下産業での鉄鋼材料の用途を網羅した。被覆としては、

今回の調査対象被覆技術(溶融金属による被覆、反応性溶液による化学処理、多層被覆、

非金属の固相拡散等)を対象として、被覆材料、製造方法・設備、前処理、被覆、後処

理等の分野で F タームを参考に選択肢を設定した。

この技術区分表に従い、1.で抽出された 9,085 件の特許、実用新案文献を解析した。

この際、抽出された文献には、本調査の対象技術範囲外であるユーザーでの処理、部品

に限定されたもの、非金属、非鉄金属、鉄鋼材料に関係のない装置などに関するものも

含まれており、それらは解析対象外とした。

本調査は中国に出願された特許、実用新案文献を対象とする。中国語公報しかない場

合には、レクシスネクシス・ジャパン株式会社の TotalPatent1により提供される機械翻

訳英語版明細書を解析の対象とした。パテントファミリーに日本語公報、英語公報があ

る場合には、それらパテントファミリーの文献を解析対象とした。

なお、本調査は中国出願の特許、実用新案を対象としており出願人名が中国語表記の

ものが多く含まれているため、主要な出願人に関しては中国語表記-英語表記-日本語表

記(略称含む)の対照表を資料編に示している。

1 レクシスネクシスの登録商標。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第2節 中国への出願に関する全体動向調査

1.出願人国籍別動向

図 4- 1~図 4- 2 に出願人国籍別特許出願(実用新案登録)件数推移及び件数比率を

示す。特許出願は中国籍出願人によるものが全体の 50%超を占め、次に日本国籍出願人、

欧州国籍出願人と続き、この 3 者で全体の 90%近くを占めている。年推移をみると日本

国籍出願人、中国籍出願人が出願件数を伸ばしているが、特に中国籍出願人は増加率が

大きい。実用新案登録は中国籍出願人によるものが 99%を占めており、特に 2008 年以降

急増している。

図 4- 1 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

100 87131

184235 254

311

405

479

386

0

100

200

300

400

500

600

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍

日本

72528.2%

米国98

3.8%

欧州

26510.3%

中国1,36953.2%

韓国

923.6%

その他

230.9%

合計

2,572件

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

図 4- 2 出願人国籍別実用新案登録件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

30.5%

米国

00.0%

欧州

10.2%

中国

55699.1%

韓国

00.0%

その他

10.2%

8 7 12 1723

45

97

119130

103

0

20

40

60

80

100

120

140

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

登録件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍

合計

561件

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

2.主要出願人動向

図 4- 3 に今回解析した特許出願の上位出願人を示す。特許出願件数のトップ 10 にラ

ンクインした中国籍出願人は 3 企業 1 大学であった。中国籍以外の出願人は日本国籍 4

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- 16 -

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

社、欧州国籍 1 社、韓国籍 1 社の 6 企業であった。実用新案登録件数の上位企業は全て

中国籍企業であった。

図 4- 4は主要出願人の優先権主張年 2003年から 2012年の間の特許出願件数推移を示

した図である。主要出願人は、ランキングの上位出願人のうち日本国籍以外の者とした。

上位にランキングされる出願人(POSCO 公司、宝山钢铁股份有限公司、汉高两合股份

公司)は継続的に出願している。常州大学は 2010 年から、武汉钢铁(集团)公司は 2007

年から出願を増やしている。

図 4- 3 特許出願、実用新案登録の上位出願人ランキング (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

順位 中国への特許出願人ランキング 件数 順位 中国への実用新案出願人ランキング 件数

1 新日鐵住金株式会社 239 1 宝山钢铁股份有限公司(中国) 442 JFEスチール株式会社 196 2 天津市新宇彩板有限公司(中国) 133 POSCO公司(POSCO:韓国) 72 3 武汉钢铁(集团)公司(中国) 114 宝山钢铁股份有限公司(中国) 65 4 北京君诚实业投资集团有限公司(中国) 115 株式会社神戸製鋼所 59 5 中冶连铸技术工程股份有限公司(中国) 86 日本パーカライジング株式会社 42 6 中冶恒通冷轧技术有限公司(中国) 7

7 汉高两合股份公司(HENKEL:ドイツ) 34 7鞍钢新轧-蒂森克虏伯镀锌钢板有限公司(中国)

7

8 天津市瀚隆镀锌有限公司(中国) 23 8 宝钢新日铁汽车板有限公司(中国) 69 常州大学(中国) 229 武汉钢铁(集团)公司(中国) 22

図 4- 4 主要出願人特許出願件数推移 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

1 4 9 9 9 8 6 12 13 1

1 3 8 16 10 9 8 7 3

1 2 5 4 7 5 3 6 1

15 8

1 5 16

1 4 4 3 6 4

出願人

出願年(優先権主張年)

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

POSCO公司

宝山钢铁股份有限公司

汉高两合股份公司

天津市瀚隆镀锌有限公司

常州大学

武汉钢铁(集团)公司

優先権主張2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行の

ずれ等で全出願データを反映していない可能性がある。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3節 中国への出願に関する技術区分別動向調査

1.品種別動向

図 4- 5~図 4- 6 に品種別特許出願件数推移、件数比率及び品種別‐出願人国籍別特

許出願件数を示す。特許出願は鋼板が 71.9%で全体の過半を占めており、年推移も 2003

年以降増加傾向である。他品種では件数が少なく、鋼板ほど顕著ではないものの増加傾

向がうかがえる。また、出願人国籍別では中国籍出願人、日本国籍出願人の順に多く、

この 2 者で全体の 8 割強となっており、特に鋼板への出願が多数を占めている。

図 4- 5 品種別特許出願件数推移及び件数比率(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

図 4- 6 品種別‐出願人国籍別特許出願件数(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

640

22

27

29

8

8

62

67

3

6

4

1

1

27

219

15

12

7

2

2

36

949

81

76

36

8

12

276

84

2

3

3

22

2

1

2

品種

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

鋼板

鋼管

線材

棒材

厚板

形鋼

その他鉄鋼材料

優先権主張2003~2012年

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2.鋼種別動向

図 4- 7~図 4- 8 に鋼種別特許出願件数推移、件数比率及び鋼種別‐出願人国籍別特

許出願件数を示す。特許出願は普通鋼、高強度鋼、ステンレス鋼の順に多く、この 3 鋼

種で全体の約 6 割を占め、特に 2007 年以降は普通鋼、高強度鋼の増加率が高い。また、

出願人国籍別では中国籍出願人、日本国籍出願人の順に多く、この 2 者で全体の 8 割強

となっており、中国籍出願人は普通鋼に関する出願比率が高く、日本国籍出願人は高強

度鋼に関する出願比率が相対的に高い。

図 4- 7 鋼種別特許出願件数推移及び件数比率(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

図 4- 8 鋼種別‐出願人国籍別特許出願件数(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

245

288

53

86

19

9

2

176

37

11

4

11

5

1

1

55

75

56

4

30

12

1

6

115

712

63

36

115

99

29

25

439

35

31

5

6

2

23

12

3

2

11

鋼種

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

普通鋼(炭素鋼)

高強度鋼

電磁鋼

ステンレス鋼

合金鋼

特殊鋼

鋳鋼

その他

優先権主張2003~2012年

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- 19 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

3.課題別動向

図 4- 9~図 4- 10 に課題別特許出願件数推移及び課題別‐出願人国籍別特許出願件数

を示す。特許出願は耐食性、被膜密着性、加工性、クロメートフリー、被膜厚みの順に

多い。年推移も 2003 年以降上位 3 課題は増加傾向である。近年の出願では、上記以外に

耐摩耗性、環境対策に関するものが増えている。また、出願人国籍別で見ると中国籍出

願人は特に耐食性、被膜密着性、耐摩耗性を課題とする出願が多いのに対し、日本国籍

出願人は耐食性、加工性、被膜密着性の出願が多い。その他(特性)、その他(機能)、

その他(課題)の件数が多いが、各「その他」とも記載なしが多い。記載なし以外とし

ては、その他(特性)では表面品位、機械的性質等、その他(機能)では耐指紋性、耐

水性等、その他(課題)ではコスト、設備等があった。

図 4- 9 課題別特許出願件数の年推移(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

出願年 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 合計被膜厚み 10 6 22 8 26 58 60 49 17 24 280被膜密着性 28 18 11 24 32 46 68 88 76 121 512被膜の付きまわり性 1 1 4 1 3 5 8 11 5 0 39化成処理性 2 2 6 2 8 25 9 8 9 15 86塗装性 2 1 7 14 6 22 26 18 27 33 156加工性・潤滑性・成形性 18 11 24 19 35 48 57 79 96 56 443溶接性 3 2 10 6 14 22 15 16 15 10 113その他(特性) 19 17 16 84 46 89 47 17 13 3 351

耐食性 45 42 63 85 105 152 172 222 206 217 1309

耐候性 2 1 0 1 4 2 14 21 21 9 75化学安定性・耐薬品性・耐酸化性(黒色化防止) 4 6 6 14 13 16 12 16 16 10 113耐熱性・断熱性・吸熱性 4 7 6 6 8 8 13 8 11 8 79耐摩耗性 10 9 15 5 9 12 26 38 55 55 234耐疲労性 3 3 2 2 4 4 16 13 18 14 79耐衝撃性 0 2 4 2 1 6 4 9 8 8 44耐焼付き性 3 0 1 1 0 2 4 2 1 2 16導電性・電気抵抗性・絶縁性 8 8 5 12 9 13 17 11 14 8 105磁気的性質 1 1 2 5 1 5 8 13 7 5 48光学的性質 1 0 0 2 2 1 1 2 1 0 10装飾性 1 2 2 14 8 26 15 23 13 10 114色調 4 4 13 17 7 4 14 13 4 11 91その他(機能) 30 33 32 64 54 68 57 44 56 46 484

リサイクル(処理液劣化再生、スラッジ回収等) 0 0 0 1 2 1 3 2 8 5 22

有害物質代替:クロメートフリー 22 15 26 33 46 54 50 43 41 25 355有害物質代替:鉛フリー 0 1 3 3 0 1 1 1 1 1 12有害物質代替:その他 2 1 3 3 12 8 5 11 11 11 67その他代替化(亜鉛代替等) 0 1 1 0 0 0 1 4 37 4 48省エネ 3 5 6 9 9 25 20 27 26 36 166省資源 1 1 1 3 5 7 11 7 15 18 69その他環境対策(低公害化等) 4 3 2 13 5 12 39 22 28 56 184その他(課題) 29 29 39 99 94 138 130 134 81 99 872

合計 260 232 332 552 568 880 923 972 937 920 6576

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- 20 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 4- 10 課題別‐出願人国籍別特許出願件数(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

67

192

12

32

71

273

62

373

20

55

19

22

34

18

7

52

22

5

48

22

1

156

6

5

2

16

8

20

10

18

1

8

5

2

63

1

3

1

12

1

3

1

3

1

3

4

23

6

2

3

2

2

56

49

2

7

18

42

20

141

3

10

4

21

9

14

2

1

8

5

29

2

5

6

5

123

226

24

44

57

92

19

650

49

37

47

178

44

14

8

21

21

4

48

52

21

131

6

54

44

137

50

153

20

24

1

2

2

28

10

63

1

7

8

15

2

6

8

14

4

2

4

4

3

3

19

1

1

1

1

2

1

1

課題

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

被膜厚み

被膜密着性

被膜の付きまわり性

化成処理性

塗装性

加工性・潤滑性・成形性

溶接性

耐食性

耐候性

化学安定性・耐薬品性・耐酸化性(黒色化防止)

耐熱性・断熱性・吸熱性

耐摩耗性

耐疲労性

耐衝撃性

耐焼付き性

導電性・電気抵抗性・絶縁性

磁気的性質

光学的性質

装飾性

色調

リサイクル(処理液劣化再生、スラッジ回収等)

有害物質代替:クロメートフリー

有害物質代替:鉛フリー

有害物質代替:その他

その他代替化(亜鉛代替等)

省エネ

省資源

その他環境対策(低公害化等)

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

4.用途別動向

図 4- 11~図 4- 12 に用途別特許出願件数推移及び用途別‐出願人国籍別特許出願件

数を示す。特許出願は自動車分野、家電分野、建材・住宅・家具分野の順に多い。年推

移も 2003 年以降自動車、家電分野は増加傾向である。近年の出願で増えているのは上記

以外には構造用用途、機械部品用途に関するものがある。また、出願人国籍別で見ると

中国籍出願人は自動車、家電、構造用、建材・住宅・家具への出願が多く、多岐にわた

っている。日本国籍出願人は特に自動車、家電、建材・住宅・家具への出願が多く、出

願分野が集中している。

図 4- 11 用途別特許出願件数の年推移(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

出願年 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 合計一般加工用 0 0 1 0 27 12 15 6 2 8 71構造用(土木・建築、機械、海洋等) 9 3 4 8 16 11 29 33 39 43 195配管(油井管、ラインパイプ) 5 5 4 3 4 1 7 6 12 13 60圧力容器 1 0 0 0 0 0 0 1 3 1 6タンク 0 0 1 0 0 0 3 1 1 2 8磁性用 2 3 3 7 7 11 15 27 11 3 89非磁性用 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1レール 1 0 0 0 0 0 2 0 0 2 5ボイラー用 0 0 1 2 2 0 1 3 1 0 10スチールコード 1 2 1 0 0 1 0 0 0 1 6造船・車両等輸送機器(自動車以外) 7 3 4 4 11 2 11 19 27 26 114自動車 38 26 49 45 89 84 101 135 161 104 832ホットスタンプ 0 0 0 0 0 3 2 2 4 7 18家電 17 20 26 31 63 66 51 58 62 48 442建材・住宅・家具 25 15 24 29 52 52 45 41 33 23 339金型 0 0 2 0 0 0 2 2 6 4 16機械部品(ばね、ボルト・ナット等) 0 3 8 2 0 2 8 25 33 35 116構造用部品 1 2 2 3 2 2 13 9 11 6 51精密部品 3 1 1 4 2 4 7 3 2 1 28工具 1 1 1 3 2 0 6 5 10 2 31容器(食缶・飲料缶・一斗缶等) 2 2 5 7 6 8 9 24 12 2 77その他 37 48 50 102 108 127 133 158 220 204 1187合計 150 135 187 250 391 386 460 558 650 535 3702

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 4- 12 用途別‐出願人国籍別特許出願件数(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

8

42

5

2

3

46

3

2

22

410

14

216

163

3

22

10

6

4

56

154

1

5

3

4

1

2

6

24

6

6

6

2

2

1

53

4

26

5

1

1

3

1

1

16

116

2

41

43

9

13

5

5

8

111

57

117

47

3

4

32

4

6

1

69

224

148

98

13

79

27

12

20

10

836

1

4

4

1

1

56

2

30

20

1

3

2

21

1

2

1

9

12

用途

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

一般加工用

構造用(土木・建築、機械、海洋等)

配管(油井管、ラインパイプ)

圧力容器

タンク

磁性用

非磁性用

レール

ボイラー用

スチールコード

造船・車両等輸送機器(自動車以外)

自動車

ホットスタンプ

家電

建材・住宅・家具

金型

機械部品(ばね、ボルト・ナット等)

構造用部品

精密部品

工具

容器(食缶・飲料缶・一斗缶等)

その他

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

5.被覆別動向

図 4- 13~図 4- 16 に特許出願、実用新案登録に関する被覆別件数推移、件数比率及

び被覆別‐出願人国籍別件数を示す。特許出願は溶融金属(めっき)、化成処理、多層被

覆、の順に多く、特に溶融金属、化成処理は年を追うごとに増加傾向を示している。ま

た、出願人国籍別では中国籍出願人によるものが最も多く、日本国籍が続き、この 2 者

で全体の 8 割強となっている。中国籍出願人は化成処理、溶融金属、固相拡散の順で特

許出願が多く、日本国籍出願人は溶融金属、化成処理、多層被覆の順に特許出願が多く、

特許出願対象の被覆技術の傾向が異なる。実用新案登録は溶融金属が全体 73.6%で過半

を占め、特に 2008 年以降の件数の大幅増加が特徴的である。また、出願人国籍では中国

籍出願人がほぼ 100%であり特に溶融金属に関する出願が多く、次に固相拡散となってい

る。

図 4- 17~図 4- 18 に特許出願、実用新案登録に関する鋼板分野における被覆別件数

推移及び件数比率を示す。特許出願では溶融金属、化成処理・不動態化、多層被覆の順

に多く、これらで全体の約 9 割近くを占めており、溶融金属、化成処理・不動態化は増

加傾向にある。また、件数は少ないが、固相拡散も出願が増える傾向にある。一方、実

用新案は溶融金属が全体の 8 割近くを占めており、次に固相拡散が続いており、共に近

年増加傾向にある。

図 4- 19~図 4- 20 に鋼板の溶融金属被覆に関する特許出願、実用新案登録の技術区

分別の動向を示す。特許出願では被覆材料、製造設備・方法、後処理に関するものの順

に多く、この 3 カテゴリーで全体の 8 割強を占めている。実用新案登録については製造

設備、被覆材料で全体の約 86%を占めている。

鋼板の溶融金属被覆に関する特許出願で一番該当するものの多い被覆材料関連出願の

動向について図 4- 21 に示す。被覆材料に関する特許出願としては亜鉛・亜鉛合金系の

材料が多く、アルミ・アルミ合金に関するものも近年増加傾向にある。

図 4- 13 被覆別特許出願件数推移及び件数比率(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

10988

145

207

268292

368

451

515

410

0

100

200

300

400

500

600

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

C溶融金属 D化成処理・不動態化

E多層被覆 F金属材料表面への非金属の固相拡散

Gその他 合計

出願年(優先権主張年)

1,01735.6%

85830.1%

48116.9%

35412.4%

1435.0%

合計

2,853件

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 4- 14 被覆別‐出願人国籍別特許出願件数(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

355

232

203

63

54

13

31

46

6

9

127

71

62

17

26

451

505

141

264

48

56

17

26

3

4

15

2

3

1

2

被覆

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

C溶融金属

D化成処理・不動態化

E多層被覆

F金属材料表面への非金属の固相拡散

Gその他

図 4- 15 被覆別実用新案登録件数推移及び件数比率(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

9 712

1726

45

98

119

132

104

0

20

40

60

80

100

120

140

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

C溶融金属 D化成処理・不動態化

E多層被覆 F金属材料表面への非金属の固相拡散

Gその他 合計

41973.6%

335.8%

213.7%

9116.0%

50.9%

出願年(優先権主張年)

合計

569件

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ等で全出願データを

反映していない可能性がある。

図 4- 16 被覆別‐出願人国籍別実用新案登録件数(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

2

1 1

417

33

18

91

5

1 被覆

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

C溶融金属

D化成処理・不動態化

E多層被覆

F金属材料表面への非金属の固相拡散

Gその他

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 4- 17 鋼板 被覆別特許出願件数推移(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

出願年 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 合計C溶融金属 23 14 40 50 98 102 122 159 203 105 916D化成処理・不動態化 31 19 38 43 60 70 94 120 112 100 687E多層被覆 15 21 28 20 33 72 47 51 54 26 367F金属材料表面への非金属の固相拡散 1 4 3 11 3 5 11 29 37 67 171Gその他 4 2 2 11 18 7 10 27 3 4 88合計 74 60 111 135 212 256 284 386 409 302 2229

41.1%

30.8%

16.5%

7.7% 3.9% C溶融金属

D化成処理・不動態

E多層被覆

F金属材料表面への非金属の固相拡散

Gその他

図 4- 18 鋼板 被覆別実用新案登録件数推移(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

出願年 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 合計C溶融金属 6 6 5 13 16 32 71 69 76 49 343D化成処理・不動態化 0 0 2 0 2 0 0 3 6 2 15E多層被覆 1 0 1 0 0 1 1 3 3 1 11F金属材料表面への非金属の固相拡散 0 0 0 0 0 0 2 10 20 30 62Gその他 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 2合計 7 6 8 13 19 33 74 85 105 83 433

79.2

%

3.5%

2.5%

14.3

%0.5%

C溶融金属

D化成処理・不動態

E多層被覆

F金属材料表面への非金属の固相拡散

Gその他

図 4- 19 鋼板 溶融金属による被覆に関する技術区分別特許出願件数推移(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

出願年 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 合計被覆材料 22 13 39 48 96 102 115 158 202 105 900製造設備・製造方法 15 12 23 33 53 78 84 113 146 96 653前処理 11 4 14 7 9 18 28 42 61 42 236被覆 4 1 12 2 10 35 30 42 29 20 185後処理 8 3 5 6 16 32 44 67 83 45 309その他 3 0 6 1 0 2 0 3 0 0 15合計 63 33 99 97 184 267 301 425 521 308 2298

39.2

%

28.4

%

10.3

%

8.1%

13.4

%

0.7% 被覆材料

製造設備・

製造方法前処理

被覆

後処理

その他

図 4- 20 鋼板 溶融金属による被覆に関する技術区分別実用新案登録件数推移(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

出願年 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 合計被覆材料 6 5 4 11 15 32 62 69 76 49 329製造設備 5 5 5 13 12 31 69 68 74 48 330前処理 0 1 0 1 2 0 3 5 1 4 17被覆 1 0 0 2 1 11 30 8 3 10 66後処理 1 0 0 0 2 4 1 9 3 2 22その他 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1合計 13 11 9 27 33 78 165 159 157 113 765

43.0

%43.1

%

2.2%8.6%

2.9% 0.1% 被覆材料

製造設備

前処理

被覆

後処理

その他

図 4- 21 鋼板 溶融金属による被覆に関する技術区分(被覆材料)別特許出願件数推移 (複数選択)(出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

出願年 亜鉛亜鉛合金

Alを含む亜鉛合金

Mgを含む亜鉛合金

Al・Al合金

錫・錫合金

鉛・鉛合金

めっき浴組成

めっき浴ドロス対策

その他 合計

2003 12 4 3 1 3 0 0 1 0 1 252004 5 1 6 2 0 1 0 0 0 3 182005 25 15 6 1 3 0 0 1 1 10 622006 35 7 8 4 5 2 0 1 1 4 672007 66 48 25 6 8 2 0 4 3 14 1762008 83 25 32 7 11 2 0 9 0 6 1752009 88 36 27 11 18 1 0 7 0 2 1902010 104 43 41 14 29 7 0 21 4 1 2642011 119 24 34 8 64 6 0 51 8 3 3172012 72 9 20 5 15 2 1 11 5 1 141合計 609 212 202 59 156 23 1 106 22 45 1435

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- 26 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第5章 政策動向調査

第1節 鉄鋼関係中国 5カ年計画について

中国の国家戦略や基本方針は 5 カ年計画に基づいて決められる。

図 5- 1 に示すように、5 カ年計画は 1953 年に始まって、現在は 2011 年、胡錦濤政権

下で採択された第 12 次 5 カ年計画(2011~2015 年 以下 12-5 計画)を推進中である。

12-5 計画では GDP 年平均成長率 7%、GDP 単位当たりエネルギー消費 16%削減などの主要

目標を挙げ、産業部門については表 5- 1 のような施策を実行中である。

12-5 計画を達成するうえで、中国鉄鋼業は二つの大きな課題を抱えている。

一つは産業配置の最適化すなわち「鉄鋼メーカー集約化」の課題である。この課題は

11-5 計画からの懸案で、上位 10 社による産業集約度 2010 年達成目標 50%を掲げて取組

んできており、2010 年には 48.6%に至るが、2011 年以降低下し、2012 年 45.9%、2013

年 39.4%と、12-5 カ年計画達成目標 60%を大きく後退する結果となっている。鉄鋼メー

カー集約化が大きく進まない最大の要因は、中小規模の地方国有メーカーおよび民営メ

ーカーが新規設備を立上げ、生産シェアを大きく伸ばしていることが指摘されている。

図 5- 1 中国 5 カ年計画

1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010

Roadmap 2011-2020

Roadmap 2006-2020

第1次~第9次五カ年計画第10次 第11次 第12次

国家科学技術の定礎

科学の進歩 科学の春 科教興国イノベーション型国家建設

鉄鋼業五ヵ年計画

☆2011発行

☆2006発行Technology Roadmap(2011-2020年鉄鋼科学技術ロードマップ)

➢金属学会と中国鋼鉄工業協会の業界100名余りの専門家により作成された

11次5ヵ年計画の実績

(1)プロセス・設備技術の向上と鉄鋼製品のレベルアップ

(2)川下産業や国家的重点プロジェクト(上海万博等)を下支え

現存する問題点

(1)国際的な鉄鉱石価格の上昇に伴う生産コスト上昇

(2)一部企業や工程で、旧式の低レベルな生産能力が省エネやCO2排出削減に影響

(3)ハイエンド鉄鋼製品が輸入に依存

①一部品種が需要者側ニーズを満たしていない

②中核技術の欠如(先端技術が担保されていない)

③国内原料(資源の地理的分散、低品位鉱) 、資源確保が不十分

出典:Science Portal China、中国鋼鉄工業科学与技術発展指南(2011-2020年)等の資料を元に日鉄住金総研㈱が作成

中国鉄鋼業の国家戦略

鉄鋼技術ロードマップの概要

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- 27 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 5- 1 12-5 計画の産業部門骨子

分類(篇) 中分類(章) 細目(内容)

(3篇) ①製造業の改造・高度化 ・産業配置の最適化、企業合併再編成

方式転換と高度化 ②戦略的新興産業の育成 ・新エネルギー産業、新素材産業

産業競争力の向上 ・新エネルギー自動車

③エネルギー生産と利用方式変革 ・エネルギー多元化推進

・エネルギー輸送ライン建設強化

(6篇) ①地球気候変動への対応 ・産業構造調整、排出規制強化

緑色発展・ ・省エネとエネルギー効率効率向上

資源節約型・ ②省資源管理の強化 ・資源利用総量規制の実施

環境配慮型 ・エネルギー多消費型産業の成長抑制

社会の建設 ③循環経済の大々的発展 ・リデュース・リユース・リサイクルの優先

・循環型生産方式の推進

④環境保護の取組み強化 ・水、大気、土壌の汚染問題解決強化

・汚染物質の排出削減と対策強化

(出典:(財)日中経済協会「日中経済交流 2010 年」参考資料をもとに日鉄住金総研㈱が作成)

第2節 環境問題と規制

中国鉄鋼業が直面するもう一つの課題は「環境問題」である。特に PM2.5(微小粒子

状物質)で代表される大気汚染の現状は深刻である。北京、天津、および鉄鋼メーカー

が密集する河北省での大気汚染が深刻であることから、当該地域の電力、鉄鋼からの排

出物が PM2.5 の原因となっているといわれている。当該地域の電力、鉄鋼、セメント、

非鉄金属などの重点管理業界には SO2、NOX、煤塵、揮発性有機化合物などの排出総量を

大幅に削減することが求められている。鉄鋼業の場合、排出総量の削減、設備の更新以

外に、前述の鉄鋼メーカー集約化に関係する鉄鋼設備の統廃合自体が議論されるように

なってきており、問題がより複雑深刻化している。表 5- 2 には中国の環境規制等の政策

動向の変遷を示す。

表 5- 2 中国の環境規制等の政策動向変遷

分類第10次5カ年計画(2001~2005年)

第11次5カ年計画(2006~2010年)

第12次5カ年計画(2011~2015年)

環境保護政策 ○末端対策から全プロセスコントロール ○資源節約型社会の構築 ○省エネ・排出削減に関する

 への転換と法整備  環境友好型社会の構築  拘束目標を設定

・環境保護法 ・単位GDPあたりのエネルギー消費量 ・1次エネルギー消費に占める

・自然資源法  を5年間で20%削減目標  非化石エネルギー比率を5年間で

・環境保護行政法規  11.4%まで高める

・環境保護部門規定 ・単位GDPあたりのエネルギー消費を

・クリーン生産促進法  16%削減

環境拘束目標 ・主要汚染物質の排出量を 2010年までに2005年比で 2015年までに2010年比で

 2000年比 10%削減 ・SO2の排出を10%削減 ・単位GDPあたりのCO2排出量を

・省エネルギー目標は、粗鋼生産1㌧ ・化学的酸素要求量 10%削減  17%削減

 当たりの標準炭換算エネルギー消費量 ・主な汚染物質の排出量を10%削減 ・アンモニア性窒素の排出量を10%削減

 920kgから800kgに引下げる。 ・Noxの排出量を10%削減

(2005年目途)

(出典:各種資料をもとに日鉄住金総研㈱が作成)

図 5- 2 は化学物質規制の国際展開を俯瞰したものである。EU が先鞭をつけた化学物

質規制の強化は、アジア各国に次々と拡大しているが、中国の RoHS への取組みは早く、

2013年 RoHSⅡを施行している。日本でも 1973年制定の化学物質審査規制法が、2004年、

2010 年に改定されている。また、日本鉄鋼業でも 2007 年に JIS 規格へのクロメートフ

リー処理の追加等対応している。2012 年には業界横断的な化学物質管理の標準となる、

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- 28 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

「製品含有化学物質管理—原則及び指針(JISZ7201)」が制定され、「含有物質管理ガイド

ライン(第 3 版)」が策定されている。

図 5- 2 化学物質規制の国際展開

(出典:経済産業省資料「国際的な化学物質規制拡大の動きと我が国企業アジア展開への影響」H25.5 より)

第3節 鉄鋼科学技術ロードマップ

11-5 計画、12-5 計画は中国金属学会、中国鋼鉄工業会の専門家により、鉄鋼分野の具

体的な目標にブレークダウンされる。2011 年の 12-5 計画の発表についで、「2011~2020

年中国鉄鋼科学技術ロードマップ」が改訂された。表 5- 3 に中国の鉄鋼科学技術ロード

マップにおける表面処理(めっき)分野のロードマップの概要を示す。鉄鋼先進国の技

術レベルに追付いて来たものの、今後の課題として、高張力 DP 鋼のめっき品質/生産性

向上、GA 鋼板の製品歩留向上などをあげている。

表 5- 3 中国の表面処理(めっき)分野のロードマップ

大分類 小分類 現状認識(開発状況)2011-2020年発展目標

●課題認識および ☆新規開発ターゲット主な用途

自動車鋼

板(GI)

○780&980DP/780TRIP/780CP商業生産

○高級自動車用外板の国産化(大企業)○エンジンパネル・ドア成形要求を満足する

450/500MPa級DPの試験製造○乗用車外板最大板幅1900㎜  等

●ハイエンド自動車鋼板は依然輸入が必要

●780MPa超鋼板はめっき層性能安定性、 ランアップ面で世界先進レベルと差異有り

☆780MPa超DP/TRIP/CP、特に980& 1180DPの品質/生産安定性の向上

ボディ構造部材

自動車鋼板(GA)

○最大780MPaの自動車外板用GA

(BH鋼、HSLA、DP鋼等)の供給可能(大企業)

●めっき品質、表面品質、製品歩留の面で

世界先進レベルと一定の差異有り☆GA-980DPの品質/生産安定性の向上

☆GAの製品歩留を80%以上とする

ボディ構造用部材

(1180DP、980TRIP)

Al-Mgめっき鋼

- ☆対純亜鉛めっき耐腐食性が5倍以上の 高耐腐食性新めっき鋼板の開発

建材

ホットプレス用鋼板

- ●ホットプレス用アルミけい素めっき鋼板の国産化

 は未完 (新規開発ターゲットとしての記載なし)

ボディ構造部材

(1470-Alめっき、 1470-Znめっき)

めっき鋼板(CG)

(出典:科学技術ロードマップより日鉄住金総研㈱が作成)

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目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第6章 総合分析と提言

中国に出願された特許・実用新案の詳細解析データを用いて総合的に分析を試みた結果

を以下に示す。

第1節 市場環境調査に基づく検証結果(技術開発)

1.自動車用途分野動向

図 6- 1 に自動車用途向け出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率を示す。特許出

願件数は、日本国籍出願人によるものが最も多く、中国籍出願人、欧州国籍出願人が続

き、この 3 者で約 90%を占める。2003 年頃は日本国籍出願人による出願が大半であるが、

数年遅れて中国籍出願人による出願が増加し、近年では中国籍出願人によるものの方が

多くなっている。これらの動向は自動車市場をはじめとする需要家市場の伸びとも関連

しているものと思われる。

図 6- 1 自動車用途 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

41049.3%

米国

242.9%

欧州

11613.9%

中国

22426.9%

韓国

566.7%

その他

20.2%

合計

832件

3826

49 45

89 84

101

135

161

104

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

2.建材用途分野動向

図 6- 2 に建材用途向け出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率を示す。特許出願

件数は日本国籍出願人によるものが最も多く、中国籍出願人、欧州国籍出願人が続き、

この 3 者で約 90%を占める。2003 年頃は日本国籍出願人による出願が増加しているが、

2007 年を境に中国籍出願人による出願が急増し、2012 年には中国籍出願人によるものの

方が多くなっている。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 6- 2 建材用途 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

16348.1%

米国

61.8%

欧州

4312.7%

中国

9828.9%

韓国

205.9%

その他

92.7%

合計

339件

25

15

24

29

52 52

4541

33

23

0

10

20

30

40

50

60

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

3.高強度鋼分野動向

図 6- 3~図 6- 7 に強度別出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率を示す。強度

レベルが高くなるにつれ日本国籍出願人による出願比率が高まっている。高強度側での

中国籍出願人による出願も徐々に増える傾向が見受けられるが、件数的には少ない。

図 6- 8 に高強度鋼の鋼組織別‐出願人国籍別特許出願件数を示す。日本国籍出願人に

よるものは固溶強化型の出願が他国籍より多く、TWIP に関する出願は唯一中国籍出願人

によるものである。

図 6- 3 高強度鋼(TS<400MPa) 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本3

37.5%

米国

225.0%

欧州

112.5%

中国

225.0%

韓国

00.0%

その他0

0.0%

合計

8件

0 0 0 0 0

2

1 1

2 2

0

1

2

3

4

5

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年TS<400 MPa

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 6- 4 高強度鋼(400≦TS<590MPa) 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

2558.1%

米国

37.0%

欧州

511.6%

中国

818.6%

韓国

24.7% その他

00.0%

合計

43件

400≦TS<590MPa

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

4

0

3

1

34 4

5

13

6

0

2

4

6

8

10

12

14

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年

図 6- 5 高強度鋼(590≦TS<780MPa) 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

4085.1%

米国

00.0%

欧州

36.4%

中国

24.3%

韓国

24.3% その他

00.0%

合計

47件

10

10

3

6

3

7

16

10

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年590≦TS<780MPa

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

図 6- 6 高強度鋼(780≦TS<980MPa) 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本57

85.1%

米国0

0.0%

欧州

46.0%

中国5

7.5%

韓国

11.5% その他

00.0%

合計

67件

2 1 1 0 1

9

4

8

35

6

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年780≦TS<980MPa

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 6- 7 高強度鋼(TS≧980MPa) 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

10486.7%

米国

00.0%

欧州

54.2%

中国

75.8%

韓国

43.3% その他

00.0%

合計

120件

2 1 1 02

18

7

25

52

12

0

10

20

30

40

50

60

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年TS≧980MPa

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

図 6- 8 高強度鋼 鋼組織別‐出願人国籍別特許出願件数 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

6

4

9

7

2

2

2

1

1

1

6

5

2

2

15

7

2

3

3

2

1

出願人国籍

高張力・固溶強化

高張力析出強化

高張力・組織強化

高張力・DP

高張力・TRIP

高張力・TWIP

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

高強度鋼

日本

2631.3%

米国

78.4%

欧州

1315.7%

中国

2833.7%

韓国

89.6%

その他1

1.2%

合計

83件

4.耐食性・耐候性・化学安定性分野動向

図 6- 9 に耐食性・耐候性・化学安定性分野出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比

率を示す。特許出願件数は中国籍出願によるものが最も多く、日本国籍出願人、欧州国

籍出願人が続き、この 3 者で約 90%を占める。2008 年頃までは日本国籍出願人による出

願が多いが、2006 年を境に中国籍出願人による出願が急増し、2009 年には中国籍出願人

によるものの方が多くなっている。

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- 33 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 6- 9 耐食性・耐候性・化学安定性 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

44829.9%

米国

674.5%欧州

15410.3%

中国

73649.2%

韓国

714.7%

その他

211.4%

合計

1,497件

51 4969

100122

170

198

259243 236

0

50

100

150

200

250

300

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

第2節 政策動向調査に基づく検証結果(環境対応)

1.有害物質代替(クロメートフリー)対応動向

図 6- 10 に有害物質代替(クロメートフリー)分野出願人国籍別特許出願件数推移及

び件数比率を示す。特許出願は日本国籍出願人によるものが最も多く、中国籍出願人が

続き、この 2 者で約 80%を占める。2003 年頃は日本国籍出願人による出願が大半である

が、2006 年を境に中国籍出願人による出願が急増し、2011 年には逆転して中国籍出願人

によるものの方が多くなっている。中国籍出願人の特許出願動向は政策動向調査に示し

た中国における化学物質規制対応に呼応しているように思われる。

図 6- 10 クロメートフリー 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

15643.9%

米国

236.5%

欧州

298.2%

中国

13136.9%

韓国

143.9%

その他

20.6%

合計

355件

22

15

26

33

46

5450

4341

25

0

10

20

30

40

50

60

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

2.省エネ対応動向

図 6- 11~図 6- 12 に省エネ分野出願人国籍別特許出願(実用新案登録)件数推移及

び件数比率を示す。特許出願は中国籍出願人によるものが 80%超で最も多く、日本国籍

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- 34 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

出願人が続き、この 2 者で約 90%超を占める。2003 年以降中国籍出願人による出願は増

加傾向を維持している。実用新案登録は 100%中国籍出願人によるものとなっており、

2007 年以降増加傾向を示している。

特許・実用新案ともに 2008 年を境に中国籍出願人による出願(登録)件数が急増して

おり、2006 年に始まった第 11 次 5 カ年計画との関連があるものと推察される。

図 6- 11 省エネ 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

169.6%

米国

31.8%

欧州

53.0%

中国

13782.5%

韓国

42.4%

その他

10.6%

合計

166件

35 6

9 9

25

20

27 26

36

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

図 6- 12 省エネ 出願人国籍別実用新案登録件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

00.0%

米国

00.0%

欧州

00.0%

中国

89100.0%

韓国

00.0%

その他

00.0%

合計

89件

1 10

12

5

13

18

28

20

0

5

10

15

20

25

30

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

登録件数

優先権主張

2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ等で全出願データを

反映していない可能性がある。

3.省資源対応動向

図 6- 13~図 6- 14 に省資源分野出願人国籍別特許出願(実用新案登録)件数推移及

び件数比率を示す。特許出願は中国籍出願人によるものが 70%超で最も多く、日本国籍

出願人、欧州国籍出願人が続き、この 3 者で約 90%超を占める。件数的には調査期間全

体で 69 件と決して多くはないが、2006 年以降中国籍出願人からの出願が増加傾向を示

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- 35 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

している。実用新案登録は 100%中国籍出願人よるものとなっており、2008 年以降増加傾

向を示している。

特許・実用新案ともに 2008~2009 年を境に中国籍出願人による出願(登録)件数が急

増しており、2006 年に始まった第 11 次 5 カ年計画との関連があるものと推察される。

図 6- 13 省資源 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

811.6%

米国2

2.9%

欧州

68.7%

中国50

72.5%

韓国

22.9%

その他

11.4%

合計

69件

1 1 1

3

5

7

11

7

15

18

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

図 6- 14 省資源 出願人国籍別実用新案登録件数推移及び件数比率

(出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

日本

00.0% 米国

00.0%

欧州

00.0%

中国

28100.0%

韓国

00.0%

その他

00.0%

合計

28件

0 0

2

1

0

2

5

3

9

6

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍 出願年(優先権主張年)

登録件数

優先権主張

2003~2012年

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ等で全出願データを

反映していない可能性がある。

第3節 特許・実用新案の出願の特徴

1.特許・実用新案の用途別動向

図 6- 15 に鋼板分野における特許・実用新案の用途別件数を示す。自動車、家電、建

材・住宅・家具の上位 3 用途は特許出願、実用新案登録ともに同じであるが、4 位以下

に関しては、特許出願は構造用、磁性用であるのに対し、実用新案では一般加工用、構

造用となっている。

中国への出願全体を俯瞰すると、自動車、家電、建材・住宅・家具分野を意識した特

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- 36 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

許・実用新案の出願(登録)が浮き彫りになっており、現在の中国で耐久消費財分野が

被覆鋼板の重要なマーケット分野になっていることがうかがえる。

図 6- 15 鋼板 用途別特許・実用新案出願件数(複数選択) (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

0 200 400 600 800 1000

その他

レール

スチールコード

非磁性用

金型

ボイラー用

圧力容器

タンク

工具

配管(油井管、ラインパイプ)

ホットスタンプ

精密部品

構造用部品

機械部品(ばね、ボルト・ナット等)

一般加工用

容器(食缶・飲料缶・一斗缶等)

造船・車両等輸送機器(自動車以外)

磁性用

構造用(土木・建築、機械、海洋等)

建材・住宅・家具

家電

自動車特許

0 100 200 300 400

その他

ホットスタンプ

非磁性用

レール

ボイラー用

スチールコード

圧力容器

タンク

構造用部品

精密部品

金型

配管(油井管、ラインパイプ)

工具

磁性用

容器(食缶・飲料缶・一斗缶等)

機械部品(ばね、ボルト・ナット等)

造船・車両等輸送機器(自動車以外)

構造用(土木・建築、機械、海洋等)

一般加工用

建材・住宅・家具

家電

自動車実用新案

2.鋼板分野の特許・実用新案における出願人動向

図 6- 16~図 6- 17 に鋼板分野における出願人国籍別件数推移及び件数比率を示す。

特許出願は中国籍出願人が 48%で、日本国籍出願人 32%、欧州国籍出願人が 11%で、この

3 者で全体の約 9 割を占めている。出願件数は年を追うごとに増える傾向にあり、なか

でも中国籍出願人の出願が急増している。実用新案登録は中国籍出願人がほぼ 100%で、

特に 2008 年以降急増している。

また、図 6- 18 に鋼板分野における特許・実用新案の出願人ランキングを示す。特許

出願の上位 10 位に中国籍出願人は 3 社、残りは日本国籍出願人 5 社、欧州国籍出願人 1

社、韓国籍出願人 1 社となっている。実用新案の上位出願人は中国籍出願人で占められ、

特に宝山钢铁股份有限公司が群を抜いている。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 6- 16 鋼板 出願人国籍別特許出願件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

69 61

101116

178

220 231

340

379

286

0

50

100

150

200

250

300

350

400

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍出願年(優先権主張年)

出願件数

優先権主張

2003~2012年

日本

64032.3%

米国

673.4%欧州

21911.1%

中国

94947.9%

韓国

844.2%

その他

221.1%

合計

1,981件

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

図 6- 17 鋼板 出願人国籍別実用新案登録件数推移及び件数比率 (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

6 6 813

17

33

73

85

103

82

0

20

40

60

80

100

120

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍出願年(優先権主張年)

登録件数

優先権主張

2003~2012年

日本

30.7%

米国

00.0%

欧州

10.2%

中国

42198.8%

韓国

00.0%

その他

10.2%

合計

426件

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

図 6- 18 鋼板 出願人ランキング (出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

順位 出願人名称 出願件数 順位 出願人名称 出願件数1 新日鐵住金株式会社 217 1 宝山钢铁股份有限公司(中国) 432 JFEスチール株式会社 192 2 天津市新宇彩板有限公司(中国) 133 POSCO公司(韓国) 71 3 中冶连铸技术工程股份有限公司(中国) 84 宝山钢铁股份有限公司(中国) 59 4 武汉钢铁(集团)公司(中国) 7

5 株式会社神戸製鋼所 53 4鞍钢新轧-蒂森克虏伯镀锌钢板有限公司(中国)

7

6 日本パーカライジング株式会社 37 4 中冶恒通冷轧技术有限公司(中国) 77 汉高两合股份公司(ドイツ) 29 7 宝钢新日铁汽车板有限公司(中国) 68 武汉钢铁(集团)公司(中国) 229 日本ペイント株式会社 189 鞍钢股份有限公司(中国) 18

鋼板への出願_特許 鋼板への出願_実用新案

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4節 中国鉄鋼業科学技術ロードマップ検証(めっき鋼板)

めっき鋼板に関する中国鉄鋼業技術ロードマップに記載の課題、目標に関連する事項

について調査を行った。全体を概観すると、自動車用高強度めっき鋼板関係は調査期間

においては日本国籍出願人が優位を保っているが、中国籍出願人によるものも徐々に増

加の傾向にある。高耐食性鋼板に関しては、2003 年頃は日本国籍出願人が優位であった

が、近年では中国籍出願人が存在感を増してきており、ロードマップに沿って今後さら

に出願が増加することが予想される。ホットプレス用鋼板は件数的には少ないが外国籍

出願人が依然優位の状態である。

1.自動車用 GI 高強度鋼板の品質・生産安定性

図 6- 19 に自動車用 GI 高強度鋼板(TS≧780MPa)の品質・生産安定性に関する出願人

国籍別特許出願件数推移と件数比率を示す。特許出願は日本国籍出願人の出願が最も多

く、次いで欧州国籍出願人、韓国籍出願人、中国籍出願人の順となっている。日本国籍

出願人からの出願は 2007 年から始まっており、欧州国籍出願人、韓国籍出願人は 2008

年から、中国籍出願人は 2011 年からとなっている。

図 6- 19 自動車用 GI 高強度鋼板品質・生産安定性に関する出願人国籍別特許出願件数推移及び比率(出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

2 1 0 02

16

5

18

40

13

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

優先権主張2003~2012年

日本86

88.7%

米国0

0.0%

欧州5

5.2%

中国2

2.1%

韓国4

4.1%

その他0

0.0%

合計

97件

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

出願人国籍

2.自動車用 GA 品質・歩留

図 6- 20 に自動車用 GA 鋼板(TS≧780MPa)の品質・歩留に関する出願人国籍別特許出

願件数推移と件数比率を示す。特許出願は日本国籍出願人によるものが約 5 割を占め、

次いで中国籍出願人、欧州国籍出願人、韓国籍出願人、米国籍出願人の順となっている。

出願は日本国籍出願人、欧州国籍出願人が先行し、2005 年から中国籍出願人、韓国籍出

願人の出願が始まっている。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 6- 20 自動車用 GA 鋼板品質・歩留に関する出願人国籍別特許出願件数推移及び比率

(出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

2 3

8

2

2119 18

30

17

4

0

5

10

15

20

25

30

35

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

優先権主張2003~2012年

日本

6350.8%

米国

21.6%

欧州

1915.3%

中国

2520.2%

韓国

1512.1%

その他

00.0%

合計

124件

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

出願人国籍

3.高耐食性めっき鋼板

図 6- 21 に高耐食性めっき鋼板に関する出願人国籍別特許出願件数推移と件数比率を

示す。特許出願は日本国籍の出願が約 4 割を占め、次いで中国籍出願人、欧州国籍出願

人、韓国籍出願人、米国籍出願人の順となっている。特許出願は日本国籍出願人、欧州

国籍出願人が先行し、2007 年以降中国籍出願人による出願が継続的になされている。

図 6- 21 高耐食性めっき鋼板に関する出願人国籍別特許出願件数推移及び比率

(出願先国:中国、出願年(優先権主張年):2003-2012 年)

2 37

11

24

32 31

49

29

21

0

10

20

30

40

50

60

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

優先権主張2003~2012年日本

8339.7%

米国

31.4%

欧州

2913.9%

中国

7033.5%

韓国

136.2%

その他

115.3%

合計

209件

注)2011年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で

全出願データを反映していない可能性がある。

出願人国籍

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第5節 提言

鉄鋼材料(鋼板等の被覆)に関する市場環境、特許・実用新案出願動向、政策動向の調

査・分析に基づき、今後日本が目指すべき技術開発と特許出願の方向性について、以下の

通り提案する。

【提言1】:

中国においては、2011 年の第 12 次 5 カ年計画を受けて策定されたロードマップの中で

自動車用高強度鋼板の品質・生産安定性の向上や、建材用高耐腐食性新めっき鋼板の開発

が目標として挙げられたところ、これを受けて、関連する出願が増えていくことが予想さ

れる。特に自動車用高強度鋼板に関しては、我が国の出願人による中国への出願が圧倒的

に多い分野であるが、今後は技術的優位性の維持に留まることなく、低コスト化等を含め、

総合的な競争力の強化を意識した技術開発が重要である。

自動車・建材用途分野について、中国籍出願人による中国への出願は、2007 年を境に急

増し、その後も一定レベルでの出願が見られる(図 6- 1~図 6- 2)。また、2011 年の第 12

次 5 カ年計画を受けて策定されたロードマップの中で、自動車・建材用途分野の中でも特

に高強度鋼板の品質・生産安定性の向上や高耐腐食性新めっき鋼板の開発が目標として挙

げられた(表 5- 3)。

この内、特に自動車用高強度鋼に関する強度別の出願は、2012 年までの時点では我が国

の出願人による出願が圧倒的に多い(図 6- 3~図 6- 7)が、鋼組織別の出願は、DP、TRIP

で中国籍出願人の存在感が増している(図 6- 8)。

耐食性・耐候性分野では特に 2007 年~2008 年以降中国籍出願人による特許出願・登録、

実用新案登録が増えており、この分野への関心が高いことがうかがわれる(図 6- 9)。例

えば、高耐腐食性めっき鋼板に関する特許出願は、日本国籍出願人、欧州国籍出願人が先

行していたが、2007年以降は中国籍出願人による出願が継続的になされている(図 6- 21)。

今後、高強度めっき鋼板、高耐食性鋼板の分野ではロードマップに示された課題克服に

対応して中国において一層技術開発が推し進められることが予想され、それに伴い、中国

籍出願人によるこれらの分野への出願(登録)もさらに増加することが予想される。した

がって、我が国は中国籍出願人による出願(登録)動向を注視するとともに、高強度化の

みならず、低コスト化、中国特有のニーズに応える製品開発等、総合的な競争力を高める

ための技術開発を推し進めていくことが重要である。

【提言2】:

中国では比較的早い段階から継続して多数の環境保護関連施策が採られており、省エネ、

有害物質代替(クロメートフリー)、省資源分野等、環境保護に関連する分野の、中国籍出

願人による出願(登録)が 2004 年頃から一定数みられる。中国への事業展開に際しては、

これらの分野において既に多数の出願(登録)が中国籍出願人によりなされていることに

も注意が必要である。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

中国においては比較的早い段階から環境保護関連施策が採られており、第 10 次 5 カ年計

画では環境保護、クリーン生産に関する法整備が進められ、第 12次 5カ年計画においては、

省エネ・排出削減に関する拘束性目標が一層強化された(表 5-2、図 5-2)。また、中国で

はニッケル規制を省独自で実施しているところもあり、リン、窒素、クロム等の排水規制

も厳しい。

省エネ分野の特許・実用新案出願(登録)について、中国出願人による中国への出願(登

録)は、2004 年頃からみられる上にほぼ毎年増加しており、かつ中国籍出願人による出願

の比率が高い(図 6- 11~図 6- 12)。また、有害物質代替(クロメートフリー)に関する

特許出願件数は 2008 年まで増加し、それ以降減少傾向にあるが、中国籍出願人による特許

出願件数は一定レベルを維持している(図 6- 10)。省資源分野に関しても、同様に 2006

年頃から中国籍出願人による特許出願・登録、実用新案登録が増えている(図 6- 13~図

6- 14)。

これら一連の中国籍出願人の出願(登録)動向は政策動向に呼応していると推認される。

したがって、中国において事業展開を円滑に行うためには、中国における環境分野の政策

動向、特許出願動向を注視する重要性が増している。

【提言3】:

直近 10 年程度の期間でみると、鋼板等の被覆の分野における中国への実用新案登録件数

は、中国籍出願人によるものが 99%以上を占めており、特に、2008 年頃から急激に登録件

数が増加していることや、溶融めっき、製造設備に関する分野に比較的登録が集中してい

ることが注目される。実用新案登録件数自体は特許出願件数の 1/5 程度であるものの、特

にこれらの分野においては、特許のみならず実用新案についても、訴訟等のリスクに対す

る警戒が必要である。

中国への 2003 年~2012 年の期間における鋼板等の被覆の分野の特許出願 2,572 件中、

中国籍出願人による出願は 1,369 件と半数以上を占め、日本国籍出願人の 725 件、欧州国

籍出願人の 265 件がこれに続く(図 4- 1)。一方、同期間における実用新案登録件数 561

件は、99%以上が中国籍出願人によるものであり(図 4- 2)、同期間内で、実用新案登録

件数は 2008 年頃から、特許出願の出願増を超える勢いで登録件数が増加している。また、

実用新案登録における出願人は、登録件数は多くはないが設備関連企業、エンジニアリン

企業等多岐にわたっている(図 4- 3)。

また、解析軸別に特許、実用新案それぞれの出願(登録)件数を対比すると、多くの解

析軸ではさほどの差は見られないが、鋼板の溶融めっきに関する出願(登録)と製造設備

に特徴のある出願(登録)に関しては、実用新案の件数比率が相対的に高くなっている(図

4- 19~図 4- 20)。

さらに、中国籍出願人と中国大手鉄鋼企業の間での実用新案権を背景にした訴訟が、鉄

鋼関連業界にも存在している。

以上を勘案すると、我が国の企業が中国において企業活動を行う場合、中国における実

用新案登録動向は決して軽視できず、実用新案による訴訟リスクがあり得ることを認識し

ておく必要がある。

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要約

第1部

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第3部

第4部

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資料編

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