平成28年度税制改正について...

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平成28年度税制改正について (中小企業・小規模事業者関係) 平成27年12月 中小企業庁

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Page 1: 平成28年度税制改正について (中小企業・小規模事業者関係)...マイナンバーや消費税複数税率対応で事務負担増が集中する中小企業を支援するため、適用対象者を見直

平成28年度税制改正について (中小企業・小規模事業者関係)

平成27年12月 中小企業庁

Page 2: 平成28年度税制改正について (中小企業・小規模事業者関係)...マイナンバーや消費税複数税率対応で事務負担増が集中する中小企業を支援するため、適用対象者を見直

○新たな機械装置の投資に係る固定資産税の特例の創設・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ○中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長・・・・・・・・・・・・・・・・・ ○中小法人の交際費課税の特例の延長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ○法人実効税率の引下げ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ○取引相場のない株式の評価方式に関する見直しの検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ○個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設等の検討・・・・・・・・・・・・・ ○産業競争力強化法に基づく創業支援事業計画の認定自治体における軽減措置の拡充及び延長 ○地方を訪れる外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.法人税 ○欠損金の繰戻しによる還付制度の延長・・・・・・・・・ 23 ○保険会社等の異常危険準備金の延長・・・・・・・・・・ 24 ○独立行政法人中小企業基盤整備機構の業務見直し (融資制度の対象拡充)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 ○事業再生ファンドにかかる企業再生税制の特例の 拡充及び延長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26

17

18

19

21

2.登録免許税等 ○株式会社商工組合中央金庫の抵当権設定登記に係る軽減措置の延長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

○独立行政法人中小企業基盤整備機構の仮設施設整備事業に係る特例措置の延長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28

<主な改正事項>

<その他の改正事項>

<参考:その他の主な中小企業税制>

○法人税率の特例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 ○中小企業投資促進税制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 ○商業・サービス業・農林水産業活性化税制・・・・・・ 32

○研究開発税制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 ○事業承継税制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34 ○小規模宅地等の計算の特例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35

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<主な改正事項>

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○中小企業が取得する新規の機械装置は、3年間、固定資産税を1/2に軽減する措置を創設。 ○史上初の固定資産税での設備投資減税。赤字中小企業にも大きな効果あり。

新たな機械装置の投資に係る固定資産税の特例(固定資産税)

特例 特例

特例

H28年度 H29年度 H30年度 H31年度 H32年度 H33年度

取得 取得

取得

【適用期間:3年間(平成30年度末までの投資)】 ※中小新法(P)の施行日以降に取得した資産が対象

新設

【支援対象】 中小企業者が新法の認定計画に基づき取得す

る新規の機械装置(新品) ※中小企業者:資本金1億円以下等、大企業の子会社除く 生産性を高める機械装置が対象 ※既存の設備投資減税(生産性向上設備投資減税)の支援要件

(①160万円以上、②生産性1%向上(10年以内に販売開始)、③

最新モデル)から、中小企業への配慮から、③最新モデル要件を除外。

【特例】 固定資産税(税率1.4%)の課税標準を3年間

1/2に軽減

適用期間 特例対象・内容

金属加工機械 ソフトウェア組込型(NC)複合加工機

対象設備の例

中小企業者 (赤字法人含む)

(生産性向上設備に係る) 固定資産税の特例 1/2軽減(3年間)

生産性向上設備

新法

事業所管 大臣

生産性向上計画 (設備投資・人材育成・経営手法改善等)

策定

記載された

特例措置

※例:平成28年に取得した設備は、平成29年1月1日時点に所有する資産として申告され、 平成29、30、31年度の3年間固定資産税を軽減。

認定

3

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(参考)「新たな投資に係る機械装置に係る固定資産税の特例」創設の効果等

②機械・装置に対する固定資産税収

機械装置(新規投資) からの初年度税収

0.12兆円

○固定資産税収8.7兆円のうち、新規の機械装置からの税収は0.12兆円。

○今回の特例による減収額(年平均)は、100-200億円

程度を想定。

土地 3.4兆円

家屋 3.7兆円

その他 償却資産 1.4兆円

①赤字中小企業にも大きな効果

○固定資産税は法人税と異なり赤字法人にも広く影響。 ○今回の特例により、約1兆円の設備投資を支援。

【企業規模別の赤字比率(平成25年度)】

【平成27年度(計画額)の固定資産税収の内訳】

○赤字法人にも課される固定資産税を軽減することで、赤字比率の高い中小企業に大きな効果。 ○市町村財政に配慮し、新たに取得する機械装置に軽減対象を限定。

69%

25% 24%

0

10

20

30

40

50

60

70

80

中小企業 中堅企業 大企業

※出典:平成25年度会社標本調査

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○マイナンバーや消費税複数税率対応で事務負担増が集中する中小企業を支援するため、適用対象者を見直した上で、適用期限を2年延長する。

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 延長

改正概要 【適用期間:2年間(平成29年度末まで)】

○中小企業者が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、当該減価償却資産の合計額300万円を限度として、全額損金算入(即時償却)することを認める措置。

○適用対象者から従業員1,000人超の法人を除外し、適用期限を2年延長する。

(所得税、法人税、個人住民税、法人住民税、事業税)

取得価額 償却方法

30万円未満 全額損金算入 (即時償却)

20万円未満 3年間で均等償却(注)

(残存価額なし)

10万円未満 全額損金算入 (即時償却)

合計300万円 まで

本則

(注)20万円未満の減価償却資産であれば、3年間で毎年1/3ずつ損金算入することが可能。

中小企業者のみ

全ての企業

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12%

11%

7%

4%

4%

4%

4%

41%

50%

47%

44%

39%

32%

22%

21%

15%

22%

26%

26%

23%

21%

22%

22%

23%

24%

29%

36%

45%

4%

1%

1%

2%

3%

4%

9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

5人以下

6~10人

11~50人

51~100人

101~200人

201~300人

301人以上

マイナンバー制度自体がわか

らない

マイナンバー対応について何を

すべきかわからない

何をすべきかはわかっている

が、まだ何も着手していない

マイナンバー対応に向けて計

画中である

マイナンバー対応についてすで

に取り組んでいる

資産名

物理的な安全管理措置

パソコン

監視カメラ

パーテーション

金庫

技術的な安全管理措置

人事・給与システム

データ管理システム

セキュリティソフト

(出典)租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書

適用社数・適用金額の推移

○46万社もの中小企業が本措置を活用。特に、従業員5人以下の小規模企業に多く利用されている。 ○マイナンバー制度への対応が遅れている中小企業が多い中、本措置は、マイナンバー制度への対応に必要

となる様々な少額資産の取得に活用可能。

(参考)特例措置の利用状況等

マイナンバー関連で取得する少額資産

42 43 46

2,347 2,423 2,613

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

0

10

20

30

40

50

60

平成23年度 平成24年度 平成25年度 適用社数 適用総額(右軸)

(万社) (億円) マイナンバーへの対応状況

5人以下 39%

6~20人

以下 36%

21~50人

以下 15%

51人以上 10%

従業者規模別適用社数

(出典)中小企業実態基本調査

【参考】中小企業庁のアンケート調査によれば、少額特例利用社のうち、従業員1,000人超の中小企業は、0.3%程度。

(出典)日本商工会議所、一般財団法人日本情報経済社会推進協議会(JIPDEC)

対応にすでに取り組んでいるのは1割以下

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○交際費は事業活動に不可欠な経費であり、販売促進手段が限られる中小法人を支援するため、適用期限を2年延長する。

中小法人の交際費課税の特例 (法人税、法人住民税、事業税) 延長

改正概要 【適用期間:2年間(平成29年度末まで)】

○法人が支出した交際費は、租税特別措置法により原則として損金不算入とされているが、中小法人については、特例として定額控除限度額(800万円)までの損金算入を認める措置。

○本措置の適用期限を2年延長する。

損金算入可能 損金不算入

交際費等 支出額

800万円 (定額控除限度額)

「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費その他の費用。 得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のための支出。

【参考】 ・平成26年度税制改正で創設された、交際費等のうち接待飲食費の50%までを損金に算入することができる措置

(大法人も適用可能)についても、適用期限を2年延長(平成29年度末まで)。 ・中小法人については、定額控除限度額(800万円)までの損金算入との選択適用が可能。

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Page 9: 平成28年度税制改正について (中小企業・小規模事業者関係)...マイナンバーや消費税複数税率対応で事務負担増が集中する中小企業を支援するため、適用対象者を見直

○中小法人の約9割が交際費を支出。本措置は、業種に偏り無く、幅広く利用されている。 ○交際費は、中小法人の事業活動の継続に不可欠であり、既存顧客との取引の維持・拡大や新規顧客開拓等に

活用されている。

(参考)特例措置の利用状況等

中小法人の交際費支出額の推移等

(出典)会社標本調査(資本金1億円以下の法人の合計。ただし、平成21,22年度は1億円「未満」の合計)

本措置に関する中小法人の声

○「交際費は人の輪を作るもの。人の輪を広げることで、事業に必要な様々な情報を得ることができる。」(製造業/東京)

○「交際費には、契約農家等の仕入先や生産委託先との関係構築のために、それなりの金額を使っている。」(小売業/東京)

○「交際費は毎年予算を設定している。予算の設定に当たって、税制上の優遇措置は大きな要因。」(情報通信業/東京)

交際費支出法人数の業種毎の割合

(出典)会社標本調査

農林水産業

1%

建設業

17%

製造業

14%

卸売業

10% 小売業

13% 料理飲食旅館業

5%

金融保険業

2%

不動産業

9%

運輸通信公益事業

3%

サービス業

26%

2,217 2,155 2,109 2,145 2,311

1,808 1,760 1,727 1,746 1,926

82% 82% 82% 81%

83%

75%

80%

85%

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度

交際費等支出額 損金算入額 損金算入割合(右軸)

(10億円)

(出典)中小企業税制に関するアンケート調査

中小法人の交際費支出の必要性

n=3027(複数回答)

78%

66%

39%

26%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

既存顧客との取引を維持・拡大するために

必要

商慣行上必要

新規顧客開拓のために必要

売上げを大きく左右するため必要

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法人実効税率の引下げ

○平成28年度に29.97%、平成30年度に29.74%まで税率引下げを決定。 - 3年連続で、2%を超える税率引下げを実現(26年度:▲2.38%、27年度:▲2.51%、28年度:▲2.14%) - 平成30年度には、ドイツ並みの水準を実現。 ○財源は、経済に悪影響の少ないものに絞って対応。 ① 研究開発税制を堅持 ② 減価償却制度の定額法への一本化は、投資拡大に悪影響の少ない、建物附属設備・構築物に限定 ③ 設備投資減税は、縮減・廃止期限を明確化することで、期限内の設備投資を後押し(「やるなら今でしょ」) ④ 外形標準課税の拡大は、中堅企業への配慮措置を拡充し、今後2年間、現行制度より負担が拡大しないことを確保 中小企業に対する外形標準課税は、引き続き「慎重に検討」を行うこととする。 ⑤ 繰越欠損金の控除上限の引き下げは、総枠を維持しつつ、縮減を3年刻みに延長し、激変緩和を強化

※東京都ベースであれば、現行の法人実効税率は33.06%。

現行 平成28年度 平成30年度

国の法人税率 23.9% 23.4% 23.2%

(参考)大法人向け法人事業税所得割 * 28年度までは、地方法人特別税を含む * 年800万円超所得分の標準税率

6.0% 3.6% 3.6%

(参考)国・地方の法人実効税率 <標準税率ベース※> 32.11% 29.97%

(▲2.14%) 29.74%

(▲2.37%)

改正概要

(法人税・法人住民税・法人事業税) 拡充

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(参考)これまでの引下げ経緯と国際水準

○安倍政権は、法人実効税率の7%超の引下げを実現。30年度にはドイツ並みの水準へ。

シンガポール

法人実効税率の国際水準(2014年度)

(出所)KPMG Corporate tax rates table等より経産産業省作成 ※アジアとは、中国、香港、インドネシア、韓国、マレ-シア、フィリピン、シンガポール、 台湾、タイ、ベトナムの 10 か国・地域

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

ドイツ イギリス 中国 韓国 2014年度 現行 (2015年度)

34.62%

29.66%

25.00% 24.20%

17.00 %

32.11%

2016年度

29.97%

37.00%

2013年度

アベノミクス以降、 7%超の引下げ

20.00 %

日本(標準税率)

2018年度

29.74%

OECD平均 24.98%

アジア(※)平均 22.17%

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(参考)課税ベース拡大①:減価償却方法の見直し

改正概要

○減価償却制度とは、建物や機械装置等の減価償却資産の取得に要した金額を、一定の減価償却方法(定額法・定率法)により、各年度に費用配分する制度。

○投資拡大に悪影響の少ない建物附属設備・構築物に限定し、減価償却方法を定額法に一本化。

○今後新規に取得する建物付属設備、構築物の減価償却方法を、定額法に一本化する。

改正前 改正後

建物 定額法 定額法

建物附属設備 定額法・定率法 定額法

構築物 定額法・定率法 定額法

機械及び装置 定額法・定率法 定額法・定率法

船舶 定額法・定率法 定額法・定率法

航空機 定額法・定率法 定額法・定率法

車両及び運搬具 定額法・定率法 定額法・定率法

工具、器具及び備品 定額法・定率法 定額法・定率法

<改正の対象となる減価償却資産>

1年目 2年目 3年目 (経過年数)

【100万円、耐用年数10年の減価償却資産を取得した場合の例】

定額法

200% 定率法 200%定率法を廃止し、定額法

のみとした場合、 に相当する金額分、減価償却費が減る

(減価償却費(万円))

20万円 10万円 10万円 10万円 16万円 13万円

<増収イメージ>

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(参考)課税ベース拡大②:生産性向上を促す設備等投資促進税制の縮減・廃止

B.生産ラインやオペレーションの刷新・改善

○旧モデルと比べて年平均1%以上生産性を向上させる最新モデル A.先端設備

○事業者が通常作成する設備投資計画上の投資収益率が15%以上 (中小企業は5%以上)

<対象> ◆機械・装置(限定なし) ◆器具・備品

(試験・測定機器、冷凍器付陳列ケース、サーバー(※)など) ◆建物関連(ボイラー、LED照明、断熱材・断熱窓など)、 ◆稼働状況等の情報を収集・分析・指示するソフトウエア(※)

※サーバーとソフトウエアは中小企業のみ ◆工具(ロール)

<確認方法> 各設備を担当する工業会等が、メーカーから申請を受けて確認

<対象>機械・装置、工具、器具備品、ソフトウエア、 建物、建物附属設備及び構築物 <確認方法>申請者が作成する簡素な設備投資計画を、 会計士又は税理士がチェックし、経産局が確認。

(注)産業競争力強化法施行日から適用

※ 産業競争力強化法の省令において対象設備の基準を定める。

○設備投資減税は、当初の期限通り、平成28年度に支援措置を縮減し、平成28年度末に廃止することを決定。

○縮減・廃止期限を明確化することで、期限内の設備投資を強力に後押し(「やるなら今でしょ」)。

※個々の設備等は、生産性向上・最新モデル要件を満たす必要なし

税制措置

H25 年度中 (注)

H26 年度

H27 年度

H28 年度

H29年度

特別 償却 即時 即時 即時 50%

特償

廃止

(うち建物、構築物) 即時 即時 即時 25%

特償

税額 控除 5% 5% 5% 4%

(うち建物、構築物) 3% 3% 3% 2%

改正概要 【適用期間:平成26年度から3年間(平成28年度末まで)】 ※産業競争力強化法の施行日から適用

対象設備

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[外形標準課税]

(参考)課税ベース拡大③:外形標準課税の拡大(大法人)

所得割 (所得額の6.0%) 所得割

(所得額の7.2%)

【平成26年度】

付加価値割 (付加価値額 の0.48%)

【平成27年度】 【平成28年度】

資本割 (資本金 等の額の

0.2%)

2 1

付加価値割 (付加価値額 の0.72%)

資本割 (資本金 等の額の

0.5%)

付加価値割 (付加価値額

の1.2%) 資本割 (資本金 等の額の 0.3%)

3 所得割

(所得額の3.6%)

今回の改正内容

○外形標準課税の適用対象法人のあり方についても、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行う。

中小法人(平成28年度与党税制改正大綱からの抜粋)

○大法人について、法人事業税における外形標準課税の割合を3/8から5/8に拡大。 ○これにより、所得を課税標準とする所得割の税率を6.0%から3.6%に引き下げ。 ○中小法人は対象としない。また、中堅企業に対する負担軽減措置を設ける。

純支払利子 純支払賃借料 単年度損益 賃金(報酬給与額)

付加価値額

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(参考)中堅企業の負担変動の軽減<拡充>

制度概要

②付加価値額が30億円超40億円未満の企業の場合 →控除率(左記の各割合を上限とする)をなだらかに逓減

○%

控除割合

付加価値額

40億円 30億円

付加価値額が35億円の企業は 37.5%(H28)の税額が軽減。

【適用期間:3年間(平成30年度末まで)】※赤字法人にも適用可能。

○地域の経済・雇用を支える中堅企業を対象に、現行の配慮措置を抜本的に拡充。 ○これにより、今後2年間、現行制度より中堅企業の負担が拡大しないことを確保。

①付加価値額が30億円以下の企業の場合 →適用年度の課税標準に、平成27年度の税率と適用年度の 税率を乗じ、後者の方が負担が重くなる場合、負担増加額の 一定割合(75%(H28)、50%(H29)、25%(H30))を控除

※適用対象企業は、付加価値額40億円未満。 (付加価値額=報酬給与額+純支払賃借料+純支払利子+単年度損益) ※中堅企業(資本金1億円超10億円未満)は、その付加価値額が平均約12億円(総務省平成25年度「道府県税の課税状況等に関する調」より試算)であることから、その太宗が付加価値額30億円以下であると考えられる。

=○%× (40億円-付加価値額)/10

75%(H28) 50%(H29) 25%(H30)

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27年度 28年度 29年度

300

400

500 500

外形標準課税の拡大(3/8→5/8)により、税負担が27年度:300、28年度:500と拡大する企業を想定した場合

300

400

350

税負担額

450

500

30年度 31年度

75%控除

今回の中堅配慮措置の拡充 現行の中堅配慮措置

27年度 28年度 29年度

300

400

350

税負担額

50%控除

300

400

500

400

50%控除

25%控除

現行制度より負担が 拡大しないことを確保

(参考)外形標準課税の拡大に伴う中堅配慮措置の拡充

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○平成27年度改正で決定した欠損金繰越控除の見直しについて、企業経営への影響を平準化する

観点から更なる見直しを実施。

○控除の総枠を維持しつつ、縮減期限を平成30年度にまで延長することで、激変緩和を強化。

改正概要

(参考)課税ベース拡大④:欠損金繰越控除制度の1年前倒し縮減と激変緩和措置(大法人)

平成26年度 現行 (平成27年度) 平成28年度 平成29年度 平成30年度

大法人 (※1)

控除限度 80% 65% 改正前:65% 改正後:60%

改正前50% 改正後:55% 50%

繰越期間 9年 9年 9年 改正前10年 改正後:9年 10年

65%

50%

【現行制度】 【改正後】

60%

55%

28年度 29年度

10%の差を5%刻み (60%→55%→50%)

15%の差 (65%→50%)

15 10

5 0

50%

30年度 28年度 29年度 30年度

(参考)繰越欠損金制度の見直しのイメージ

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○上場企業の株価の上昇に伴い、中小企業の中には、業績に大きな変化のない状況下であっても、想定外に 株価が高く評価されることにより、円滑な事業承継に影響を来す可能性が生じている。

○上場会社のグローバル連結経営の進展や株価の急激な変動を踏まえ、取引相場のない株式の評価方式のあり方について、早急に検討を行う。

取引相場のない株式の評価方式に関する見直し(相続税、贈与税) 検討事項

日経平均株価の推移

類似業種比準方式による株価の算出方法

    上場企業

    の業種別 (配当)(利益) (簿価純資産) (斟酌率)    平均株価

b c d 大会社 0.7A× B C D × 中会社 0.6

5 小会社 0.5

b,c,d:評価会社の1株当たりの金額B,C,D:上場企業の業種別の1株当たりの金額

+ × 3 +

類似業種比準価額 =

類似業種 の株価

類似業種の株価(上場会社の平均)と、各比準要素(配当、利

益、純資産)に関する、評価対象会社と上場会社との比率を用い

て、株価を求める方式。

株価上昇により上昇

○取引相場のない株式の評価については、企業の組織形態が業種や規模、上場・非上場の別により多様であることに留意しつつ、相続税法の時価主義の下で、比較対象となる上場会社の株価並びに配当、利益及び純資産という比準要素の適切なあり方について早急に総合的な検討を行う。

【平成28年度与党税制改正大綱(抜粋)】

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

22,000

(11/3/11) 東日本大震災

2013年最高値 (12月30日)

16,291円

(円)

11月末値

19,747円

2014年最高値 (12月8日)

17,935円

2015年最高値 (6月24日)

20,868円

安倍政権発足時

2012/12/26 10,230円

上場企業のグローバル連結経営の進展

A社(自動車製造業) B社(小売業) 海外割合

売上高 69%

営業利益 44%

総資産 57%

海外割合

営業収益 35%

営業利益 14%

有形固定資産 26%

株価は一時は 約2倍の水準に到達

17

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個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設等

○個人事業者は需要の開拓や個人の能力の発揮、自立的で個性豊かな地域社会の形成に貢献する重要な存在であり、個人事業者の「事業の持続的な発展」のため、事業承継の円滑化が必要。

○個人事業者の事業承継に係る税制上の措置については、既存の事業用の宅地についての特例措置のあり方を含め、引き続き総合的に検討する。

検討事項

①顧客との信頼関係に基づく国内外の需要開拓

②創業等を通じた個人の能力の発揮

③自立的で個性豊かな地域社会の形成

純資産4,800万円※超の個人事業者が所有する 事業用資産の構成

【出典】中小企業庁委託「中小企業における事業承継に関するアンケート・ヒアリング調査」 (2015年2月、株式会社帝国データバンク)再編加工。 (備考)帳簿価格ベース。資産ごとに、全体の上限下限5%を除いた数値の平均値による構成比。

土地39.9%

建物25.6%

機械・器具備品4.8%

商品・製品

・原材料等6.8%

事業用債権5.3%

その他事業用

資産3.1%

有価証券2.4%

現預金12.1%

※4,800万円:相続人が配偶者と子供2人の場合の相続税の基礎控除額

事業承継 の円滑化

事業継続に不可欠な事業用資産の 承継に伴う相続税負担の軽減が必要

<目的実現のための施策>

(小規模基本法第3条)

(小規模基本法第16条)

事業の持続的な発展 <政策目的>

(小規模基本法第3条)

建物25.6%

(相続税、贈与税、所得税、個人住民税)

個人事業者の意義 施策の必要性

○個人事業者の事業承継に係る税制上の措置については、現行制度上、事業用の宅地について特例措置があり、既に相続税負担の大幅な軽減が図られていること、事業用資産以外の資産を持つ者との公平性の観点に留意する必要があること、法人は株式等が散逸して事業の円滑な継続が困難になるという特別の事情により特例が認められているのに対し、個人事業者の事業承継に当たっては事業継続に不可欠な事業用資産の範囲を明確にするとともに、その承継の円滑化を支援するための枠組みが必要であること等の問題があることに留意し、既存の特例措置のあり方を含め、引き続き総合的に検討する。

○小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランス等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、今後の個人所得課税改革において所得の種類に応じた控除と人的な事情に配慮した控除の役割分担を見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。

【平成28年度与党税制改正大綱(抜粋)】

18

事業用宅地の特例(P35)の適用あり

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産業競争力強化法に基づく創業支援事業計画の認定自治体における登録免許税の 軽減措置の拡充及び延長(登録免許税)

改正概要

○産業競争力強化法に基づく創業支援事業計画の認定を受けた市区町村において、「特定創業支援事業」を受けた者への登録免許税の軽減措置について、株式会社だけでなく、合名・合資・合同会社の設立及び創業後5年未満の個人も利用可能とすることで地域の創業を後押しする。

拡充・延長

【適用期間:2年間(平成29年度末まで)】

○産業競争力強化法に基づく「特定創業支援事業」を受けた者への登録免許税軽減措置(資本金額の0.7%→0.35%)について、 株式会社設立だけでなく、合名・合資・合同会社の設立にも利用できるように拡充(※1)。 ○創業前の個人だけでなく、創業後5年未満の個人も本税制を利用できるよう拡充(※2)。

創業前の個人

開業

合名・合資・合

同会社及び株

式会社の設立

【会社設立登記に係る登録免許税】 〔本則〕 《資本金額の0.7%》 〔特例〕 →0.35%

連携 市区町村

ワンストップ 支援体制

創業支援 事業者

民間事業者 経済団体 金融機関等

創業支援事業計画

創業後5年未満の個人

開業5年

未満

(※)特定創業支援事業とは 創業時に必要となる「経営」「財務」「人材育成」「販路」の知識が身につく事業。 《具体支援事例》 ○創業塾 ○継続して行う個別相談支援 ○インキュベーション施設入居者への 継続支援 特定創業

支援事業

合名・合資・合

同会社及び株

式会社の設立

改正による 拡充部分(※2)

改正による 拡充部分(※1)

19

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【概要】 従来から創業支援に取り組んでいたが、法律施行を期に福岡市が中心となり、支援事業者の役割を明確化し、きめ細かい支援を実施。 【効果】 平成26年度の創業支援の実績は、 相談者677名、そのうち創業者 47名(登録免許税の軽減措置を 利用した者は11名)を創出。

(参考)産業競争力強化法に基づく全国の創業支援事業の取組

認定状況(平成27年10月末現在) 771市区町村/全国1,741市区町村

【都道府県別市区町村別認定割合率地図】

創業支援事例② 福岡県福岡市

創業支援事例① 石川県七尾市

【概要】 七尾市が中心となり、商工会議所や金融機関が連携し、創業希望者の掘り起こしから創業後のフォローアップまで一貫した創業支援を実施。 【効果】 平成26年度の創業支援の実績 は、相談者101名、そのうち創 業者24名(登録免許税の軽減 措置を利用した者は1名)を創出。

【事業概要】 産業用機械の設計から製作、メンテナンスまで一貫して行うものづくり企業。 【創業支援を受けた声】 特定創業支援事業は創業にあたり必要な 知識を学べ、役立った。創業当初より組織 化したいと考えていたので、登録免許税の 軽減措置は非常に助かった。

【事業概要】 高齢者の方に対して、訪問介護事業及び移送支援・福祉輸送事業を行っている企業。 【創業支援を受けた声】 長崎市や商工会議所の支援を受け、 創業者の心構えや経営に必要な知識 を体系的に身に付けられ、円滑に資金 調達ができた。

創業者事例② ㈱Creation Enterprise(福島県喜多方市) 創業者事例① ㈱介護の泉(長崎県長崎市)

認定割合率100%

80%以上~100%未満

60%以上~ 80%未満

40%以上~ 60%未満

20%以上~ 40%未満

1%以上~ 20%未満

20

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三大都市圏

その他道県

地方を訪れる外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充 (消費税、地方消費税)

現行制度

○「日本再興戦略」改訂2015において、「地方の免税店数を約6,600店(2015年4月現在)から、2017年に12,000店規模、2020年に20,000店規模へと増加させる」ことを目標と決定。

○免税対象品目の拡大(2014年10月実施)、免税手続カウンター制度の導入(2015年4月実施)により地方における免税店は順調に拡大しているものの、新たに現場で発生している諸課題を迅速に解決する必要がある。

○免税対象金額引き下げによる地方の消費拡大 免税の対象となる、一般物品の最低購入金額を「10,000円超」から

「5,000円以上」に引き下げる。(これに合わせ、消耗品の最低購入金額を「5,000円超」から「5,000円以上」に引き下げる。)

○海外直送の手続の簡素化 免税購入物品を免税店から直接海外の自宅や空港等へ直送する

場合の手続の簡素化を行う。

○免税手続カウンター制度の利便性向上 商店街区内に所在するショッピングセンターの店舗が、商店街の組

合員でなくとも、免税手続カウンターを活用し購入金額を合算することを可能とする。

○購入者誓約書の電磁的記録による保管 免税品販売時に免税店が保管する購入者誓約書について、電磁的

記録により保管することを可能とする。

【2014年改正】

《三大都市圏と地方部の免税店数》

・地方においてよく売れている民芸品・伝統工芸品等は、少額な販売が多く、現行の最低購入金額である10,000円に満たないことが多い。

課題例

(例)地域の民芸品・伝統工芸品は単価が2,000~3,000円程度のものが多いため、最低購入金額が10,000円のままでは免税対象となるために多数の商品を購入する必要がある。そのため、免税による買い増しが起こりにくい。

・パスポートに購入記録票等必要書類を貼り付ける必要があり、免税店での作業負担が大きい。

【2015年改正】

免税対象品目の拡大等 これまで免税対象から除かれていた食品類、飲料類、薬品類、化粧品類等の消耗品を含め、全ての品目が免税対象となるとともに、必要書類等の様式を緩和。

免税手続きの委託制度の創設等 商店街やショッピングセンター等において、各店舗の免税手続きを第三者に委託することが可能となった

(出典)観光庁集計 (出典)観光庁集計

(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫)

17,910店 (61.7%)

11,137店 (38.3%)

5,777 9,361

18,779

29,047

05,000

10,00015,00020,00025,00030,000

2014.4.1 2014.10.1 2015.4.1 2015.10.1

○免税手続の電子情報化に向けた検討 将来的な免税手続の電子情報化に向けて、引き続き検討する。

改正内容

長期検討項目

拡充

21

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<その他の改正事項>

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欠損金の繰戻しによる還付制度の延長(法人税)

○欠損金が生じた場合、前年度に支払った法人税の繰戻還付を受けることができる措置。適用期限を2年延長。

500万円の欠損

500万円の所得

【前年度】

75万円(※)の 法人税を納税 (税率15%の場合)

【今年度】

※500万円×15%=75万円

延長

23

改正概要

前年度の黒字と今年度の赤字を相殺し、 前年度に納税した法人税75万円が還付

【適用期間:2年間(平成29年度末まで)】

還付請求できる法人税の額 (前期の所得金額が限度)

= 前期の法人税額 × ÷ 当期の欠損金額 前期の所得金額

<還付請求できる法人税額の計算式>

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保険会社等の異常危険準備金の延長 (法人税・法人住民税・事業税)

○火災等共済組合及び火災共済協同組合連合会の財政基盤の強化を図り、今後の異常災害に備えるため、異常危険準備金の積立てに係る一定割合の損金算入を認める特例措置について、要件を見直した上で、適用期限を3年延長する。

改正概要 【適用期間:3年間(平成30年度末まで)】

延長

※前事業年度から繰り越された異常危険準備金残高(その事業年度において異常危険準備金に算入された額は含まない。)

異常危険準備金の積立てに係る損金算入の限度額 = 当該事業年度における

正味収入共済掛金の額 × 政令で定める割合 (2.0%又は4.0%)(注)

(注)異常危険準備金残高の正味収入共済掛金の額に対する割合が、「洗替保証率」(火災等共済組合:45%、火災共済協同組合連合会:60% )以下の場合に特例として4.0%を適用。

異常危険準備金残高※ > 正味収入共済掛金 × 洗替保証率 → 2.0%適用 異常危険準備金残高※ ≦ 正味収入共済掛金 × 洗替保証率 → 4.0%適用<特例>

○火災等共済組合及び火災共済協同組合連合会の異常危険準備金(※1)の積立てに係る一定割合(特例積立率:4%)の損金算入を認める特例措置。

○特例措置が適用される洗替保証率(※2)を引下げた(火災等共済組合:60→45%、火災共済協同組合連合会:75→60%)上で、適用期限を3年延長する。

(※1)異常危険準備金:共済事業の運営において、台風等の大規模自然災害等による、通常の予測の範囲を超える多額の共済金支払いに備えるために積み立

てる準備金のこと。

(※2)洗替保証率:正味収入共済掛金(契約者から受け取った共済掛金から契約者に払い戻した解約返戻金等を差し引いたもの)の額に対する異常危険準備金残高の割合。

24

<損金算入限度額の計算式>

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中小企業基盤整備機構の業務見直し(融資制度の対象拡充) (法人税、法人住民税、事業税)

改正概要

○小規模企業共済の加入者に、積み立てた掛金の範囲内で、事業活動に要する資金を貸付けている制度(小規模企業共済契約者貸付制度)について、貸付の対象に農事組合法人を追加し、共済加入者の利便性の向上等を図る。

【適用期間:期限の定めなし】

拡充

小規模企業共済の加入資格者 (小規模企業共済法第2条第1項)

小規模企業共済契約者貸付制度の対象者 (中小機構法第15条第2項第9号)

個人事業主

企業組合の役員

協業組合の役員

農事組合法人の役員

共済契約者

共済契約者が役員となっている企業組合

共済契約者が役員となっている協業組合

共済契約者が役員となっている農事組合法人

対象拡充 等 等

会社の役員 共済契約者が役員となっている会社

政令で規定 法律改正により 政令事項化

○小規模企業共済契約者貸付制度は、共済契約者等に対して、積み立てた掛金の範囲内で、事業活動に要する資金を貸し付ける制度。無担保・無保証人の迅速な貸付を実現し、共済契約者のニーズに応えている。

○今般、独立行政法人中小企業基盤整備機構法施行令の改正によって、貸付け制度の対象に農事組合法人を追加することから、同法人への貸付けについても、法人税法施行令第5条第1項第3号ロ(非収益事業)の対象とする。

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事業再生ファンドに係る企業再生税制の特例の延長 (法人税・法人住民税・事業税)

改正概要

拡充・延長

【適用期間:3年間(平成30年度末まで】

○2以上の金融機関等が出資した再生ファンドによる債権放棄の場合に適用される企業再生税制について、適

用期限を3年延長する措置を講ずる。また、本特例の適用要件である添付書類への債権の買取価額の記載

を不要とする措置を講ずる。

金融機関

金融機関 債権放棄

① 2以上の金融機関による債権放棄

【これまでも認められていたもの】

再生企業

② 地域経済活性化支援機構等による債権放棄

再生企業 金融機関

債権放棄 債権譲渡

又は

地域経済活性化支援機構

③ 事業再生ファンドによる債権放棄

再生企業 金融機関

事業再生ファンド 債権放棄

債権譲渡

金融機関

【25年度改正により認められた特例措置(適用期限を3年延長)】

○企業再生税制については、中小企業の事業再生を支援する観点から、内閣総理大臣及び経済産業大臣が指定する事業再生ファンドにより債権放棄が行われた場合についても、特例(評価損の損金算入が可能等)が措置されている。

○本特例について、適用対象者を限定(※)した上で、適用期限を3年延長する。また、適用要件である添付書類への債権の買い取り価額の記載を不要とする。

(※)平成21年12月4日(中小企業金融円滑化法の施行日)から平成28年3月31日までの間に、債務について金融機関から貸付け条件の変更を受けた法人に限定。

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株式会社商工組合中央金庫が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減(登録免許税) 延長

改正概要

○被災中小企業者の事業活動の活性化を図るため、株式会社商工組合中央金庫が行う被災中小企業者への貸付けに係る担保として抵当権の設定登記を行う際の登録免許税の軽減措置について、適用期限を3年延長する。

【適用期間:3年間(平成30年度末まで)】

時期 物件種類

H31.3.31まで H31.4.1から

H33.3.31まで (※1)

H33.4.1以降(※2)

(通常税率)

不動産、船舶、鉱業権等 2/1,000 3/1,000 4/1,000

自動車、建設機械、航空機等 1.5/1,000 2.5/1,000 3/1,000

工場財団、道路交通事業財団、 観光施設財団等

1.5/1,000 2/1,000 2.5/1,000

○東日本大震災により被害を受けた中小企業者等の借入れを支援するため、株式会社商工組合中央金庫が、被災中小企業者への貸付けに係る担保として、抵当権の設定登記を行う際の登録免許税を軽減する措置。

○適用期限を3年(平成30年度末まで)延長する。

(※1) 株式会社商工組合中央金庫の「完全民営化時点」又は「H33.3.31」のいずれか早い日 (※2) ※1の翌日

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独立行政法人中小企業基盤整備機構の仮設施設整備事業に係る特例措置の延長 (登録免許税、印紙税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税)

改正概要

○東日本大震災で被害を受けた地域における被災事業者の早期の事業再開を促進するため、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う仮設施設整備事業に係る登録免許税等の非課税措置について、適用期限を2年延長する。

【適用期間:2年間(平成29年度末まで(印紙税の非課税措置は平成30年度末まで))】

延長

中小機構における建設工事の請負契約書 (印紙税) → 非課税

被災事業者

中小企業基盤整備機構 (中小機構)

市町村への移管

仮設施設に対する ニーズ調査

市町村との調整 (要望、用地等)

仮設施設の建設

仮設施設の完成・ 市町村への貸与

市町村

要望とりまとめ

用地の提供

入居条件、入居者の決定・契約

【仮設施設整備事業の流れ】

①入居希望

②入居契約

1年以内の期間、中小機構が管理

所有権の保存登記 (登録免許税)→ 非課税

不動産取得税、固定資産税及び都市計画税 → 非課税

不動産の譲渡契約書 (印紙税)→ 非課税

○独立行政法人中小企業基盤整備機構が地方公共団体に施設を無償貸与及び無償譲渡する仮設施設整備事業について、登録免許税、印紙税、不動産取得税、固定資産税及び都市計画税の非課税措置を講ずる措置。

○適用期限を2年(平成29年度末まで)延長する。

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<参考:その他の主な中小企業税制>

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法人税率の特例(法人税・法人住民税・事業税)

概 要

○中小企業等の年800万円以下の所得金額について、法人税率を15%に軽減する措置。 ○平成27年度税制改正で、適用期限を2年延長。

【適用期間:2年間(平成28年度末まで)】

○中小企業等の法人税率は、年800万円以下の所得金額について19%に軽減されている。 ○当該税率は15%に更に軽減されており(租税特別措置)、平成27年度改正で適用期限を2年延長。

対象 法人税法における税率(本則) 租税特別措置法 における軽減税率

中小企業等 (資本金1億円以下の法人)

年800万円以下の所得金額 19% 15%

年800万円超の所得金額 23.4% -

大企業 (資本金1億円超の法人) 所得区分なし 23.4% -

【平成28年度】

30

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○中小企業が機械装置等を取得した場合、特別償却又は税額控除を受けることができる措置。

○生産性向上を促す設備等投資促進税制(P12)と異なり、上乗せ措置は、平成28年度末まで即時償却、税額控除の水準を維持。

中小企業投資促進税制(法人税・所得税・法人住民税・事業税)

【適用期間:3年間(平成28年度末まで)】 対象業種 ほぼ全業種

(娯楽業、風俗営業等を除く)

対象事業者 中小企業者等(資本金1億円以下)

対象設備

機械・装置 すべて(1台160万円以上)

器具・備品 電子計算機(複数台計120万円以上)デジタル複合機(1台120万円以上)

試験又は測定機器(複数台計120万円以上)

工具 測定工具及び検査工具(複数台計120万円以上)

ソフトウェア 複数基計70万円以上

貨物自動車 車両総重量3.5t以上

内航船舶 取得価額の75%

通常措置の対象業種・設備

上乗せ措置の要件・適用対象設備 先端設備

生産ライン等の改善に資する設備

31

特別償却 税額控除

個人事業主 資本金3,000万以下の中小企業 即時償却 10%

資本金3,000万超の中小企業 即時償却 7% 投資利益率が5%以上となる投資計画に記載された設備(貨物自動車・内航船舶は除く)

→申請者が作成する簡素な設備投資計画を、税理士等がチェックし、経済産

業局が確認。

最新モデルであること、旧モデルと比べて年平均1%以上生産性が向上するなど一定の要件に該当する以下の設備 ・機械・装置(ソフトウェア組込型機械・装置は、一代前モデルも対象)

・サーバー、試験・測定機器 ・稼働状況等の情報を収集・分析・指示するソフトウェア(生産性向上要件なし)

→工業会等がメーカーから申請をうけて確認

通常措置の対象設備のうち、一定の要件を満たす設備については上乗せ措置がある。

税制措置の内容

税制措置の内容

特別償却 税額控除

個人事業主 資本金3,000万以下の中小企業 30% 7%

資本金3,000万超の中小企業 30% 措置無し

(通称:A類型)

(通称:B類型)

概 要

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商業・サービス業・農林水産業活性化税制 (法人税・所得税・法人住民税・事業税)

○ 経営改善設備を取得した場合に、取得価額の30%特別償却又は7%税額控除を受けることができる措置。 ○ 平成27年度税制改正で、適用期限を2年延長。

概 要 【適用期間:2年間(平成28年度末まで】

○商業・サービス業者等が経営改善設備(※1)を取得した場合に、取得価額の30%特別償却又は7%税額控除(※2)ができる措置。

(※1) 認定経営革新等支援機関等(商工会議所等)による、経営改善に関する指導に伴って取得する下記の設備をいう。 1台30万円以上の器具・備品(ショーケース、看板、レジスター等) 1台60万円以上の建物附属設備(空調施設、店舗内装等)

(※2) 税額控除の対象法人は、資本金が3,000万円以下の中小企業等又は個人事業主に限る。

経営改善指導等

経営改善指導等に基づく 設備投資

中小商業・サービス業

税制措置 (特別償却30%又は税額控除7%)

都道府県中小企業団体中央会 商工会議所

商工会 商店街振興組合連合会

認定経営革新等支援機関 等

相談 経営改善指導等を行う機関

え1

【活性化に資する設備の例】

照明設備(ダウンライト) シャンプー台設備

理容椅子

冷蔵オープンショーケース

・店舗内のイメージアップ、集客力の拡大

【本税制のイメージ図】

32

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概 要

研究開発税制(法人税・所得税・法人住民税)

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○研究開発をした場合、試験研究費の一定率(12%~)の税額控除を受けることができる措置。 ○平成27年度税制改正で、オープンイノベーション(外部の技術・知識を活用した研究開発)型について、税額控

除率を大幅に引き上げるとともに、中小企業等の知的財産権の使用料等を対象費用に追加。

【増加型】 試験研究費が過去3年平均より増加した 場合の控除制度

【高水準型】 試験研究費の対売上比率が10%を超えた 場合の控除制度

選択 できる

【総額型】 試験研究費総額にかかる控除制度

控除額=試験研究費の総額×12% 大企業:8~10%

控除額=試験研究費の増加額 ×控除率(5~30%)

控除額= 売上高の10%を超える試験研究費の額×控除率

【適用期間:3年間(平成28年度末まで)(増加型、高水準型)】

控除額=特別試験研究費試験費×20%又は30% 大学・特別試験研究機関等との共同・委託研究:30% 企業間等:20%

※国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究、国の試験研究機関、大学又は中小企業者に委託する試験研究費等

【オープンイノベーション型】 特別試験研究費(※)にかかる控除制度

+ 恒久的 措置

<控除額> <控除限度額>

法人税額の

10%

法人税額の

5%

法人税額の

25%

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○後継者が、経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を現経営者から相続又は贈与により取得した場合において、相続税・贈与税の納税が猶予される措置。

○平成25年度税制改正で、適用要件を緩和。また、平成27年度税制改正では、2代目から3代目に承継する場合に、贈与税の納税義務が生じないようにするなど、措置を拡充。

<認定の要件> 中小企業者であること、上場会社・風俗会社でないこと、従業員が1名以上いること、資産運用会社に該当しないこと 等

※平成25年度改正(平成27年1月施行)により親族外承継を対象化。

○後継者が納付すべき相続税のうち、相続により取得した非上場株式等(注)に係る課税価額の80%に対応する額が納税猶予される。

(注)相続前から後継者が既に保有していた議決権株式等を含め、発行済議決権株式総数の2/3に達するまでの部分に限る。

相続税の納税猶予制度 贈与税の納税猶予制度

○後継者が納付すべき贈与税のうち、贈与により取得した非上場株式等(注)に係る課税価額の全額に対応する額が納税猶予される。

(注)贈与前から後継者が既に保有していた議決権株式等を含め、発行済議決権株式総数の2/3に達するまでの部分に限る。

○相続税・贈与税の申告期限から5年間は、以下の要件を満たして事業を継続することが必要。

①雇用の8割以上を5年間平均で維持 ※平成25年度改正(平成27年1月施行)前は、雇用の8割以上を毎年維持

②後継者が代表を継続

③先代経営者が代表者を退任(有給役員として残留化) (贈与税) ※平成25年度改正(平成27年1月施行) 前は先代経営者が役員を退任

④対象株式を継続して保有

⑤上場会社、資産管理会社、風俗関連事業を行う会社に該当しないこと 等

経済産業大臣の認定件数 相続 748件 贈与 352件 (平成20年10月~平成27年9月末)

事業承継税制 (相続税、贈与税)

概 要

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・居住用(上限240㎡まで) → 80%減額 【要件】同居親族が取得し申告期限まで居住 等

(参考)平成26年12月までの適用面積上限

・居住用(上限240㎡まで) ・事業用(上限400㎡まで) → 最大400㎡(注)まで80%減額 【要件】相続税申告期限までの事業継続 等

①「居住用宅地」を相続で取得した場合 ②「居住用宅地」と「事業用宅地」を相続で取得した場合

・居住用(上限330㎡まで) → 80%減額 【要件】同居親族が取得し申告期限まで居住 等

・居住用(上限330㎡まで) ・事業用(上限400㎡まで) → 最大730㎡まで80%減額 【要件】相続税申告期限までの事業継続 等

(注)居住用の上限240㎡で特例の適用を受けた場合には、 事業用で特例の適用を受けることはできない。

小規模宅地等の計算の特例 (相続税)

○宅地等を相続した場合に、相続税の課税価格から一定割合を減額することができる措置。 ○平成25年度税制改正で、居住用宅地の適用面積上限を拡充(240㎡→330㎡)するとともに、居住用宅地と

事業用宅地の両方で特例を受ける場合には、それぞれの適用面積上限(最大730㎡)まで特例を適用することができるよう、措置を拡充(平成27年1月施行)。

概 要

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