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GAMMA10 ECRH28GHz-1MWジャイロトロンの開発 数理物質科学研究科 物理学専攻 200920251 太田真雄 ー内容ー 研究背景と目的 ジャイロトロン設計 評価試験 計算値と試験値の比較 まとめと今後の課題

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Page 1: 28GHz-1MWジャイロトロンの開発目的 ECRH用の高周波源としてジャイロトロンと 呼ばれるマイクロ波発振管が用いられる。ジャイロトロンの出力増加により、電位障壁の

GAMMA10 ECRH用28GHz-1MWジャイロトロンの開発

数理物質科学研究科 物理学専攻

200920251 太田真雄

ー内容ー• 研究背景と目的• ジャイロトロン設計• 評価試験• 計算値と試験値の比較• まとめと今後の課題

Page 2: 28GHz-1MWジャイロトロンの開発目的 ECRH用の高周波源としてジャイロトロンと 呼ばれるマイクロ波発振管が用いられる。ジャイロトロンの出力増加により、電位障壁の

背景

• GAMMA10では、磁気ミラー効果を用いた粒子閉じ込めに加え、プラグ/バリア部で電子サイクロトロン共鳴加熱(ECRH)により電位障壁を形成し、閉じ込め改善を行なっている

• セントラル部では、イオン温度と電子温度の差によって生じるエネルギードラッグを軽減するためにECRHによる電子加熱を行なっている

電子サイクロトロン共鳴加熱

磁場中でサイクロトロン運動をしている電子に対して、その回転周波数に応じた電磁波を

入射することで電子を加熱する方式

GAMMA10装置

研究背景と目的

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目的

ECRH用の高周波源としてジャイロトロンと呼ばれるマイクロ波発振管が用いられる。ジャイロトロンの出力増加により、電位障壁の拡大、電子温度の上昇が確認されている。

• 既設500kWジャイロトロンを大電力化、出力1MWを目標とした設計を行なう

• 単独運転による評価試験にて設計値と実験値との比較を行なう

研究目的

1740m

m

28GHz-500kWジャイロトロン

研究背景と目的

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ジャイロトロンの構造

• 内部ヒーターで加熱されたカソード部エミッションベルトより熱電子を放出し、電子ビームを形成する

電子銃

• 電子ビームの磁場に垂直な回転エネルギーを電磁波のエネルギーに変換する

キャビティ

• 発振させた導波管モードの電磁波を直線偏波のガウス分布型電磁波ビームに変換する

放射器

• ジャイロトロン内部の真空と大気とを隔て、低損失で電磁波をジャイロトロン内から取り出す

出力窓

• 相互作用後の電子を回収する

コレクター

コレクター

キャビティ

電子銃

出力窓

ジャイロトロン模式図

放射器

外部磁場コイル

ジャイロトロン設計

キャビティ

電子銃

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0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

1.8

37 38 39 40 41 42 43

Δα/α[%

]

α

アノード電圧 Vak[kV]

α(改良後) Δα/α(改良後)

電子銃ジャイロトロン設計

Vak=38~40[kV]でα=1.1~1.3、Δα/α<8[%]を達成

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キャビティジャイロトロン設計

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

1.8

2

15 20 25 30 35 40 45 50 55

発振効率

[%]

発振出力

[MW

]ビーム電流 Ik[A]

出力 α =1.3 出力 α =1.2出力 α =1.1 効率 α =1.3効率 α =1.2 効率 α =1.1

Ik=40[A]においてα=1.1で発振出力1.22[MW]を達成

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完成

28GHz-1MWジャイロトロン

ジャイロトロン設計

既設ジャイロトロン 新型ジャイロトロン

発振周波数 28GHz 28GHz

発振出力 0.5MW 1MW

パルス幅 0.1s 1s

ビーム電圧 75kV 80kV

ビーム電流 20A 40A

発振モード TE4,2 TE8,3

出力窓 アルミナ サファイア

設計パラメータ比較

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評価試験評価試験

ダミーロード RF

冷却水IN

冷却水OUT

SiC吸収体

IN

OUT

温度差測定

発振出力

出力測定方法

ジャイロトロンより発振されたマイクロ波を内部で多重散乱させ、マイクロ波が持つ出力を壁面のSiC吸収体に吸収させる。吸収体壁の外側に冷却水を一定流量で流し、その温度変化からマイクロ波の出力を算出する。

C:比熱=1、d:密度=1、Q:流量、D:デューティー

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バーンパターンと発振周波数評価試験

出力窓とダミーロードの間に感熱紙をはさみ、発振されたマイクロ波の形状を確認

バーンパターン

出力窓とダミーロードの間からマイクロ波の

一部を分岐し、共振器を用いて周波数を測定

発振周波数減衰器

共振器

オシロスコープ

バーンパターンと周波数測定

27.6

27.7

27.8

27.9

28.0

28.1

28.2

28.3

28.4

0 10 20 30 40 50

発振周波数

[GH

z]

ビーム電流 Ik[A]

窓中心に円形の分布を確認

Ikによらず28.05GHzの発振を確認

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発振出力測定評価試験

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

1.2

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

発振効率

[%]

発振出力

[MW

]

ビーム電流 Ik [A]

出力 (実験値)

効率 (実験値)

•Ik=40[A]において発振出力1MWを達成•Ik≧16[A]で発振効率の低下を確認

結果

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計算値と試験値計算値と試験値の比較

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

0 10 20 30 40 50

Ou

tpu

t P

ow

er[M

W]

Beam Current Ik[A]

Calc.(α=1.4)

Calc.(α=1.3)

Calc.(α=1.2)

Calc.(α=1.1)

Calc.(α=1.0)

Experiment

Transmission Efficiency = 94.7%

発振出力

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

0 20 40 60

Ou

tpu

t E

ffic

ien

cy [

%]

Beam Current Ik [A]

Calc.(α=1.4)

Calc.(α=1.3)

Calc.(α=1.2)

Calc.(α=1.1)

Calc.(α=1.0)

Experiment

Transmission Efficiency = 94.7%

発振効率

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0

2

4

6

8

10

12

14

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

0 10 20 30 40 50

Δα

/α[%

]

Pitch F

acto

r α

Beam Current Ik[A]

Ik変化によるαの変動

α Δα/α

発振効率低下の要因計算値と試験値の比較

電子銃計算コードにより評価試験における外部磁場、電子銃の各電極電圧をパラメータにピッチファクターαの計算を行なった。

Ik増加に伴い、αの低下・Δα/αの増加が確認された。

α : 1 . 3 → 0 . 9

Δα/α : 3.3% → 5.8%

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まとめと今後の課題

• 発振出力1MWを目指した新型28GHzジャイロトロンを設計し、評価試験を実施した

• 目標発振出力の1MWをIk=40Aで達成した

• 発振効率がIk=15Aでの40%から低下し、Ik=40Aでは32%までの減少が確認された

• ビーム電流量の増加に伴い、ピッチファクターが1.3から0.9まで低下していることが確認された

まとめ

• さらなるジャイロトロン高効率化を目指すため、発振効率低下の原因と考えられるピッチファクター減少が生じる要因の究明と改善

• 新型ジャイロトロンのロングパルス試験の実施

• GAMMA10プラズマ実験への適応

今後の課題