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【優秀賞】
鉄道貨物輸送の可視化システムの構築による
貨物輸送効率化への提案
公益財団法人 鉄道総合技術研究所
信号・情報技術研究部
厲 国権 様
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1.はじめに
貨物輸送市場では、貨物自動車の分担率がトンベースで 90%以上、トンキロベースで
58%以上高く占めており、鉄道の分担率はそれぞれ 1%と 4%となっている。一方、貨物
輸送において直面している課題は、CO2排出による地球温暖化や少子高齢化社会の進展に
よるトラックドライバー不足などの社会問題があり、特に、物流労働力不足の社会問題が
大きな話題となっている。このような貨物輸送の現状に対する有力な対応策として、環境
に優しくかつ大量輸送能力をもつ輸送手段である鉄道貨物輸送による貨物輸送の効率性向
上がある。
しかし、鉄道貨物輸送は、輸送構造の変化、輸送手段の近代化や国鉄分割民営化などに
伴う輸送ネットワークの再編成により、貨物取扱駅数が 1950 年代の約 3800 から 2015 年
現在の約 250 まで激減した。しかも、鉄道貨物輸送は、コンテナ輸送に変り、貨物列車と
集配トラックを組み合わせたインターモーダル輸送が主になっている。鉄道貨物駅は、輸
送手段間、そして地域社会経済と輸送機関との結節点となっている。
上述の変化に伴って鉄道貨物輸送は、社会の目に触れる機会が少なくなるとともに、荷
主や鉄道輸送の利用者にとっては、鉄道利用のアクセスなどの利便性が低くなった。結果
として、荷主の物流担当者や輸送事業者自身でさえ、鉄道貨物輸送の優位性などをより適
切に認識・理解しそして評価することが困難なところが多くなっている。従って、このよ
うな状況に置かれている鉄道貨物に対しては、まず鉄道貨物輸送そのものを、荷主、貨物
輸送利用者に理解してもらう事が、鉄道輸送の緊要な課題となっている。
本稿では、貨物輸送の地理情報システム(Geographic Information System for Railway
Freight: RF-GIS)1)を基に、貨物輸送効率化に向けて、従来の見えない貨物輸送を地図上で
見える可視化システムとして提案した、次の 4 部構成で説明したい。
(1)既存の各種データや地理空間データを活用し、鉄道貨物輸送の地理空間データベ
ースを整備することによって、普段社会の目に触れる機会が少ない輸送経路などの貨物輸
送の状況を、分かりやすい形で可視化する。
(2)輸送実績データの入力によって鉄道線区ごとに統計分析を行い、貨物列車の輸送
実態を地図上で示す。
(3)貨物輸送シミュレーションを行うことにより、輸送時間、輸送費用などの評価指
標を算出する。
(4)荷主の商品輸送ニーズに応じて鉄道輸送と道路輸送を定量的に比較する。
以上より、輸送実態把握や輸送手段の定量的な比較評価そして鉄道利用へのアクセス改
善などの利便性向上に関する必要な判断情報を Web 上の地図で視覚的に示し、社会の目に
わかりやすい形で表わすことができる。これは、IT と GIS を活用することにより荷主と
鉄道貨物の新たな接点を創出し、鉄道貨物輸送の優位性が荷主をはじめ社会全体に認識し
理解され、貨物鉄道利用をさらに促進する事に寄与できると考えられる。鉄道輸送需要の
開拓、即ち、鉄道とトラック輸送の合理的な結合により貨物輸送全体の効率化に資するこ
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とができると考えられる。
2.既往資料及び研究の調査レビューと本論文の目的
鉄道貨物輸送ネットワークは、産業構造や輸送構造などの変化により大きく再編成され、
貨物取扱駅数は 1950 年代の約 3800 駅から 1980年代の国鉄分割民営化直前には約 400駅
まで大幅に集約し統合された 2)3)。2015 年度現在の貨物取扱駅数は、約 250 駅(うち、コン
テナ貨物取扱駅:149)4)である。一方、道路インフラの近代化とモータリゼーションの高
度化、そして社会経済と消費活動の変化により、貨物の道路輸送への依存性が強くなった。
これら一連の変化に伴い、鉄道貨物輸送に対して、社会の認知度が低下し、荷主の鉄道利
用意識が薄くなってしまった。しかし環境に優しい、省エネルギー、輸送効率性、中長距
離輸送における輸送費用が有利など、鉄道輸送における多くの優位性が依然存在する。こ
れらの鉄道輸送の優位性を発揮することが、社会経済そして物流体系が直面している問題
に対し、有力なソリューションの 1 つであると考えられる。鉄道貨物輸送の状況を視覚的
にわかり易く形で表示することが、解決の第一歩である。
1960 年代から地図データをコンピュータで扱うシステムとして始まった GIS は、地理
的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加
工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術 5)6)として、道路、水道、
電気、ガスなどの社会インフラの管理および都市計画、施工管理、店舗の出店計画や顧客
管理などのエリアマーケティング、災害時を想定した防災計画に広範に利用されている 7)。
また、カーナビゲーションシステム、オンライン地図システムやハザードマップ、スマ
ートフォンの普及など、IT や情報化社会の進展により、GIS はより身近な存在になりつつ
ある。地理情報をはじめとした既存のデータを用いて、図形や属性の作成・編集、空間デ
ータの分析・解析、シミュレーション結果の表示などを地図上で示す形で行うことによっ
て、意思決定に対する有益な支援情報を提供することができ、様々な分野で関連の研究開
発・基盤整備そして利用などが活発に進められている 8) ~11)。
さらに交通運輸の分野にも、コンクリート系建設材料の廃棄物発生の地理的分布とその
輸送状況についてデータ整備と可視化を行い、視覚的に分かりやすく提示したシステムの
開発事例がある 12)。このほかカーナビゲーションシステムをはじめ、自動車ルート探索や
配車計画など、多くの用途がある 13)。
貨物輸送については、様々な既存データが存在する 14)~17)。それらのデータを活用する
ことにより、これまで筆者が開発した貨物輸送の地理情報システム(RF-GIS)1)を基に、鉄
道貨物輸送の状況を地図上で可視化することが可能となる。本論文では、貨物輸送実態の
分析や輸送ニーズに応じる鉄道輸送と道路輸送を定量的に比較するシミュレーションなど
により荷主や輸送事業者に対し、鉄道輸送の優位性をより認知し理解できる可視化システ
ムを構築することを試みた。
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3.鉄道貨物輸送の可視化システム
3.1 鉄道貨物輸送の可視化システムとは
鉄道貨物輸送の可視化システムは、図 1 に示すように、貨物、鉄道、地理空間などの既
存データを活用した鉄道貨物輸送の地理空間データの整備により、貨物列車時刻表や貨物
品目・貨物積みデータなどを入力し、貨物列車の線区ごとの積載状況などを見込み、把握
し、貨物輸送シミュレーションを行う、地図上で操作できる鉄道貨物版の地理情報システ
ム(RF-GIS)である。
3.2 鉄道貨物輸送の地理空間データベースの整備
(1)既存データ
貨物輸送においては、以下の多くの既存関連データが存在する 2)~4)7)14)~17)。
①貨物データ
貨物品目分類、コンテナ種類、コンテナ営業案内、輸送実績データなど
②貨物駅データ
駅における列車取扱・通過・待避・入換え・信号などの貨物列車作業に関わる既存デ
ータ、鉄道ネットワークにおける貨物駅配置に関するデータ、駅の地域に所在する位置
データや貨物取扱作業施設データなど
図 1 貨物輸送の可視化システムの構成
鉄道路線などの空間データの活用機能
貨物ベースの情報データを、列車ベースの情報データに整合
貨物列車輸送実態の
計測・分析による積載率分布の作成
貨物輸送に関連する既存データの加工機能
鉄道路線データ(国土地理院)に貨物施設情報を加えた貨物輸送の空間
データの整備
輸送実態の計測・統計分析機能
地理的位置に輸送実態の表示機能
地図上で輸送実態を可視化
・既存データの収集とファイル化・既存GIS処理システムの導入データ
●駅1
●駅2
●駅i
●駅j
●駅k
●駅n
発生率
積載率
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③貨物列車データ
貨物時刻表、コンテナ貨物時刻表と貨物駅から発着する直行・中継列車・ローカル列
車などの情報データ
④鉄道輸送の空間データ
貨物列車が走行する鉄道輸送ネットワークは、各旅客鉄道事業者が保有している幹線
鉄道線区と、貨物鉄道事業者が保有している貨物駅および幹線と貨物駅間の連絡線区で
構成される。鉄道貨物輸送空間データは、国土地理院が整備している地理情報空間デー
タに、鉄道貨物施設を加えて作成する。
⑤地理情報システムの基盤データ
GIS 汎用アプリケーション「Super Map Objects.NET 6R」(日本スーパーマップ社
製)を使用する。
(2)鉄道貨物輸送の地理空間データベースの整備
図 2 は、貨物輸送に関する様々な既存データ、国土地理院から公表されている地理情報
データそして GIS 汎用アプリケーションを用いて、地図上で表示する鉄道貨物輸送の地理
空間データベースを示す。
データベースでは、各種データを編集・修正するシステムメンテナンス機能を備え、図
面調整などを自由に行う。これによって、貨物輸送に関する必要な関連情報を地図上で示
す貨物輸送を可視化することができる。
図 2 鉄道貨物輸送の地理空間データの整備
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4.可視化システムによる貨物列車輸送実態の分析
図 3 は、貨物列車輸送実態の分析に関するプロセスである。まずは、輸送実績データを、
図 1 に示す可視化システムに入力し、図 2 の貨物輸送の地理空間データとリンクさせる。
次に、分析対象となる貨物列車の通過線区を表示する。そして通過線区ごとに貨物列車の
積載状況を統計的に分析し、地図上の地理的位置に応じる貨物列車の積載率分布を示し、
視覚的に把握する。
貨物列車の積載率分布には、貨物列車の輸送効率と荷主の鉄道利用実績が反映されてい
る。鉄道輸送事業者にとっては、各々の貨物列車の輸送実態と荷主の商品輸送ニーズを一
致させる際に有効な支援情報と考えられる。
図 4 は、貨物列車の輸送実態の分析実例を示すものである。ここでは、輸送事業者の 1
ヶ月分の輸送実績データを用いている。可視化システムの画面上では、ある貨物駅を出発・
通過する全ての貨物列車を一覧とし、その中で、分析対象貨物列車を選び、同貨物列車の
通過線区を地図上で表示する。そして分析必要な線区に対する同列車の積載状況を統計的
に分析する。試みに行った分析結果では、分析対象貨物列車の積載率分布の平均値が
45.35%であることが判明した。この輸送状況に対しては、列車の余席をさらに活用する可
能性があるから、荷主の商品輸送ニーズに応じる鉄道輸送の潜在需要の開拓をさらに力を
入れることが必要であることが明らかになった。
図 3 貨物列車輸送実態の分析プロセス
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5.貨物輸送のシミュレーション
5.1 貨物輸送シミュレーションに関するデータベースの整備
貨物輸送シミュレーションの目的は、鉄道貨物輸送と道路輸送に対する複数の評価指標
値を算出し、定量的に比較することによって、鉄道貨物輸送の優位性を見出し、視覚的に
表示することである。このために、貨物輸送シミュレーションに関する必要なデータベー
スを整備することが必要であり、次のような既存データ 3)4)14)~18)を活用する。
(1)コンテナ貨物の輸送運賃と料金を計算するための既存情報データ
(2)地域別トラック輸送運賃・料金を計算するための関連情報データ
(3)鉄道輸送に対応する輸送距離を算出するための関連情報データ
(4)道路輸送に対応する輸送距離を算出するための関連情報データ
(5)鉄道輸送と道路輸送に対応する各種輸送時間を算出するための関連情報データ
(6)貨物輸送の法律・規制に関する情報データ
(7)貨物輸送に関する輸送制度(運賃料金の割増割引等)
(8)商品出荷地(市区町村役所の所在地)からターミナル駅や高速道路インターチェンジ
(I.C.)などの輸送施設までのアクセス条件に関する情報データ
(9)道路輸送の場合において、おける道路条件、高速道路ネットワーク、高速有料道路
注:積載率は、貨物列車の最大積載量に対する実際の積載量をパーセンテージで表したもの。
発生率は、一定の時期における各種積載率の発生割合をパーセンテージで表したもの。
図 4 可視化システムにおける貨物列車輸送実態の表示例
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の料金表など
(10)その他(属性などのデータ)
5.2 貨物輸送のシミュレーション機能
荷主は、自社の商品輸送を行う際、様々な輸送計画や輸送手段を選択肢として考慮する。
ここでは、図 5 に示すように、貨物の鉄道輸送と道路輸送に対する輸送シミュレーション
を行うことにより有効な判断支援情報を提供する。
まず、地図上で、荷主の商品出荷地(始発地)および輸送の目的地(到着地)、出荷時刻、輸
送トン数などに関する輸送ニーズ情報を入力する。
次に、道路輸送の場合は、トラック車種、輸送経路における経由箇所(一般道路の交差
点や高速道路のインターチェンジ)やドライバーの労働時間に関する規制そしてフェリー
の利用条件などを、地図上で設定する。
また、鉄道輸送の場合は、貨物の始発地と到着地における貨物駅や留置時間などを設定
するとともに、利用貨物列車を選択する。
以上より、荷主の輸送ニーズに対する貨物輸送シミュレーションを行うことができ、輸
送費用・料金、輸送時間、二酸化炭素(CO2)排出量、貨物輸送に関わるエネルギー消費
量、そして貨物の始発地および到着地(発・着荷主の所在地)から貨物駅あるいは高速道
路インターチェンジまでのアクセス状況などを算出する。
図 5 貨物輸送シミュレーションにおける輸送ニーズの入力例
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5.3 実用例
ここでは、図 4 に示した分析対象とした貨物列車に対応するケーススタディを利用して
貨物輸送シミュレーションについて説明する。
表 1 に示すのは、KS 地域から KT 地域までの 10 トン貨物(15:00 に出荷)の輸送ニ
ーズである。図 5 のデジタル地図上でニーズデータを貨物輸送条件として入力する。
道路輸送の場合は、10 トン貨物に対応する 10 トントラックを選択し、高速道路を利用
することにする。また、高速道路においては、貨物の始発地と到着地の近辺にあるインタ
ーチェンジを設定する。
鉄道輸送の場合は、貨物の始発地の周辺にある貨物列車の出発駅と輸送先の周辺にある
到着駅と、出荷時刻に合わせた両駅間に運行している貨物列車を選択する。また、貨物駅
の荷役施設の状況によって、コンテナ種類を決定する。さらに荷主の要望によって、貨物
駅で一時留置することも可能である。ここでは、荷主の 15:00 に出荷された貨物に対し
て、図 4 に示した、18:00 の時間帯に KS 地域の OST 貨物駅から出発し、翌日 5:00 の
時間帯に KT 地域の KGY 貨物駅に到着する貨物列車を選択する。また両駅でも大型荷役
施設が配置されているため、10 トンコンテナを利用する。
表 1 貨物輸送ニーズ(例)
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以上の貨物輸送条件に基づいたシミュレーションを実行すると、図 6 に示すような鉄道
輸送における貨物列車の運行線区と道路輸送におけるトラックの走行経路を、視覚的に表
示することができる。
同時に、表 2 に示すような定量的な評価指標値が算出される。
表 2 鉄道輸送と道路輸送の比較例
図 6 貨物列車の運行線区とトラックの走行経路の表示例
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道路輸送費用については、GIS で探索した貨物出荷地の KS 地域から輸送先の KT 地域
までの最短輸送距離の輸送ルートに対する、発送地が所属している KS 地域の距離制運賃
制度 17)を用いて法定上下限運賃をそれぞれに計算し、高速道路や有料道路の利用料金を計
上する。そして道路輸送の実態費用は、主要荷主運賃実態から推定した実態輸送費用計算
式 18)を利用して算出する。
鉄道輸送費用については、輸送事業者の営業ガイド 14)を利用して、鉄道輸送運賃と KS
地域の集貨トラック料金及び KT 地域の配達トラック料金により法定輸送費用を計算する。
同様に、実態輸送費用計算式 18)により鉄道輸送の実態輸送費用をも算出する
また、道路輸送時間については、一般道路では平均トラック走行時速と、高速道路では
速度抑制装置装備義務によるトラック走行時速の設定によって算出する。鉄道輸送時間は、
利用されるコンテナ貨物列車によるオンレール輸送時間と、貨物の始発地から出発駅まで
の集貨トラック輸送時間および到着駅から到着地までの配達トラック輸送時間、そして貨
物駅における貨物の滞留時間および関連作業時間で構成される。
さらに、同貨物輸送による CO2排出量とエネルギー消費量については、国土交通省に公
表された原単位に基づいて計算する。
始発地や到着地から貨物駅あるいはインターチェンジまでのアクセス距離は、GIS で輸
送ルートを探索する時に測れる。
以上より、表 1 に示した商品輸送ニーズに対する輸送シミュレーションにより、輸送費
用、輸送時間、CO2排出量、エネルギー消費量、そして駅までのアクセス状況などの複数
の指標値がそれぞれに出力される。
シミュレーションの結果は表 2 で表わされている。道路輸送(トラックで直接輸送する)
の場合に、輸送時間が短い、高速道路までのアクセスが近い。一方、鉄道輸送の場合は、
輸送費用が安く、CO2排出量やエネルギー消費量も少ないという鉄道の優位性が明瞭的に
表示し、またアクセス状況に関しては、出発駅(OST 駅)までの集貨距離や到着駅(KGY 駅)
からの配達距離がやや遠いという課題も判明した。
表 2 に示したような鉄道輸送と道路輸送との比較結果は、荷主が自社の商品輸送ニーズ
に応じる輸送手段選択の意思決定を行う際に、重要な判断材料としての支援情報につなが
ると考えられる。
6.まとめ
鉄道貨物輸送の活用による貨物輸送の効率化は、地球温暖化や少子高齢化社会の進展に
よる物流労働力不足などの社会問題に対する有効な対応策として大きく期待されている。
モーダルシフトの社会的重要性は高まっている。
本稿では、貨物輸送の地理情報システムの開発により、社会の目に触れる機会が少ない
貨物輸送を分かりやすい形で地図上に表示する可視化システムの構築を提案した。それに
基づいて、輸送経路などの状況を地図上で視覚的に表示し、鉄道コンテナ貨物列車の積載
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状態を通過線区ごとに計算し把握した。また、貨物輸送シミュレーションを行い、貨物輸
送の評価指標値を算出する事ができ、鉄道輸送と道路輸送を定量的に比較し、鉄道輸送の
優位性を明確に示すことが可能となった。それらの結果は、荷主そして輸送事業者にとっ
ては、貨物輸送を行う際に有益な分析・評価・判断情報であると考えられる。
貨物輸送の地理情報システムにより、荷主と鉄道貨物との新たな接点を構築し、荷主や
社会全体に鉄道貨物輸送の優位性をよりよく理解してもらうことができる。JR 貨物にと
っては、鉄道輸送に適する潜在的な貨物需要の開拓、即ち、鉄道とトラック輸送をより合
理的に結合することにより鉄道利用を促進し、貨物輸送全体の効率化に寄与できると考え
られる。
参考文献
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第 30 巻、第 8 号、pp.47-52、2016
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10) 桐村 喬、 中谷友樹、矢野桂司:市区町村の区域に関する時空間的な地理情報データ
ベースの開発-Municipality Map Maker for Web-、GIS-理論と応用(Theory and
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分析-伝統行事への Web-GIS の適用事例から-、GIS-理論と応用(Theory and
Applications of GIS)、Vol. 20、No.2、pp.13- 22、2012
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13) 増田悦夫:物流における GIS 活用の現状と今後の課題、日本物流学会誌、第 13 巻、
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16) 日本貨物鉄道株式会社:コンテナ時刻表、2010~
17) 交通日本社・刊:貨物運賃と各種料金表、2007
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