平成29年度 特許出願技術動向調査報告書(概要)...平成29年度...
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平成29年度
特許出願技術動向調査報告書(概要)
MIMO技術
平成30年2月
特 許 庁
問い合わせ先
特許庁総務部企画調査課 知財動向班
電話:03-3581-1101(内線:2155)
第1章 調査概要 .............................................................. 1
第 0 節 はじめに ............................................................ 1
第1節 調査目的 ............................................................ 2
第 2 節 調査の範囲 .......................................................... 3
第 2 章 市場環境 .............................................................. 4
第 1 節 はじめに ............................................................ 4
第 2 節 位置づけ(MIMO に関連する標準化動向) ............................... 4
第 3 節 市場予測 ............................................................ 6
第 3 章 政策動向 ............................................................. 12
第 1 節 ICT 政策 ........................................................... 12
第 2 節 公衆ワイヤレス(5G)に係る政策 ....................................... 14
第 3 節 電波政策 ........................................................... 15
第 4 節 特許出願等に関する政策 ............................................. 16
第 4 章 特許出願動向 ......................................................... 18
第 1 節 概要 ............................................................... 18
第 2 節 調査方法 ........................................................... 18
第 3 節 日米欧中韓への特許出願の動向調査 ................................... 21
第 5 章 研究開発動向 ......................................................... 36
第 1 節 概要 ............................................................... 36
第 2 節 全体動向調査 ....................................................... 38
第 3 節 技術区分別標準規格・提案動向調査 ................................... 39
第 4 節 研究者所属機別関寄書件数上位ランキング ............................. 44
第 6 章 重要出願人の特許戦略動向 ............................................. 46
第 1 節 概要 ............................................................... 46
第 2 節 重要出願人の出願動向 ............................................... 47
第 3 節 重要出願人の注目特許 ............................................... 54
第 4 節 重要出願人の注目寄書 ............................................... 55
第 7 章 総合分析と提言 ....................................................... 57
- 1 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
第1章 調査概要
第 0 節 はじめに
MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術は、送信側、受信側双方に複数のアン
テナを設置し、無線送受信機間の空間に複数の電波伝搬路を用意し、各伝搬路を同一の
帯域を使用しながら空間的に多重して信号伝送することにより、周波数利用の効率化を
図る技術である。
図 1-1 の MIMO の基本構成に示すように、送信機で Mt 個の複数の送信アンテナから、
各々異なった信号を同じ周波数を用いて送り(Multiple-Input)、受信側においても Mr
個の複数の受信アンテナを用いて複数伝搬路(ストリームとも呼ぶ)から到達した全て
の信号を同時に受信し(Multiple-Output)、各ストリームの信号を分離検出、復号する。
また、MIMO 技術の進展に伴い、各アンテナからの出力信号の位相制御を行って送信ビ
ームや受信ビームの指向性を制御するビームフォーミング技術も重要性を増している。
ビームフォーミング技術では、送信アンテナの素子数を増加することによって送信ビー
ムの指向性を鋭くすることにより、必要な方向に信号電力を集中することが可能になり、
与干渉の低減、電力効率の向上が実現される。このビームフォーミング技術と MIMO 技術
とを用いてマルチユーザ接続を行う技術はマルチユーザ MIMO 技術と呼ばれる。また、基
地局などにおいて非常に多くの送信アンテナ素子数を設けることでユーザ端末の方向に
鋭い送信ビームを形成する技術は Massive MIMO 技術と呼ばれる。
図 1-1 MIMO の基本構成
送信アンテナ 受信アンテナ
送信機 受信機
送信データ
(シンボル)
受信データ
(シンボル)
h11
h13 h12
h21 h22
h23
h33
h31 h32
複数電波伝搬
MT=3 MR=3
h11~h33:各電波伝搬路の送特性を示すチャネルインパルス応答
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第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
第1節 調査目的
特許情報から技術全体を俯瞰し、経済情報・産業情報を踏まえた技術開発の進展状況・
方向性を把握することは、特許庁における審査体制の構築や的確かつ効率的な審査等の
ための基礎資料の整備、産業政策、科学技術政策の基礎資料の整備をする上で必要であ
る。
また、今後、我が国の産業が持続的に発展していくためには、新規事業の創出が不可
欠であり、そのためには、企業や大学・公的研究機関等の技術開発、知財戦略策定を支
援していく必要がある。特許情報はこれら企業等の研究開発動向、知財戦略の表れであ
り、技術開発、知財戦略の方向性を決定していく上でも重要なものである。
MIMO 技術は、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナを用いたデータ伝送を行うこ
とにより通信の高速化を目的とした技術であり、様々な無線通信システムで採用されて
おり、また、Massive MIMO 等の研究開発も盛んに行われている。同技術は、第五世代移
動体通信システム(5G)や次世代無線 LAN(例えば、IEEE802.11ax)など、世界的な標
準規格の策定への取組みにおいて、中心となる技術で有り、現在も各国の企業・団体か
ら新技術の提案や特許出願がなされている。国際標準の策定の動向や、出願動向の傾向
を把握するためにも、同技術の動向調査が有益である。
このような背景のもと、本報告書では、MIMO 技術に関する特許の動向を調査し、技術
革新の状況、技術競争力の状況と今後の展望について報告する。
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第8部
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本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
第 2 節 調査の範囲
本調査の調査対象である MIMO 技術を MIMO 技術における要素技術、MIMO 技術に関連す
る周辺技術、応用システムにそれぞれ分け、本調査の調査範囲の概要を示すように図示
した技術俯瞰図を図 1-2 に示す。
MIMO 技術の要素技術としては、大量のアンテナ素子を用いることにより高度なビーム
制御や空間多重を実現する MassiveMIMO や、複数のユーザ端末と同時に空間多重を行う
MU-MIMO,アナログビームフォーミングとデジタルプリコーディングを組み合わせた
Hybrid Beam forming などが挙げられる。
MIMO 技術の周辺技術としては、MIMO 技術が搭載されるシステムにおいて用いられる
変調方式や多重化方式が挙げられる。例えば、セルラーシステムの下りリンクで用いら
れる OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)や NOMA(Non Orthogonal
Multiple Access:非直交多重アクセス),上りリンクで用いられる FDMA などが挙げられ
る。
MIMO 技術の応用システムとしては、3GPP により標準化が行われるセルラーシステム
や IEEE802.11 タスクグループにより標準化が行われる無線 LAN システム、ISDB-T とし
て標準化が行われる地上波デジタル放送や無線 WAN などが挙げられ、その応用分野は多
岐に亘っている。
図 1-2 技術俯瞰図
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本編
第1部
第2部
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要約
目次
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資料編
第 2 章 市場環境
第 1 節 はじめに
第 2 章では、近年、特に注目されている「MIMO (Multiple-Input Multiple- Output) 技
術」の分野に関連する市場環境について調査した結果を示す。
「MIMO 技術」は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)により標準化作業を
行う公衆移動体通信システムでの大容量化を支える技術として、2010 年ごろから 3.9 世
代(LTE)として導入が始まり、第 4 世代(LTE-A)を経て、第 5 世代移動体通信システ
ム(5G)ではビームフォーミングなどと組み合わせた Massive MIMO などとしてより重要
な役割を果たすこととなる。
また、MIMO 技術は無線 LAN システムにおいても利用されており、IEEE(The Institute
of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.11 タスクグループにより標準
化作業が行われ、2004 年ごろから、IEEE802.11n として標準化された規格において、高
速化を実現する技術として利用が始まっている。
第 2 節 位置づけ(MIMO に関連する標準化動向)
1. 3GPP
図 2-1 に、3GPP における MIMO 関連技術の標準化の変遷を示す。2005 年の Rel.7 から
MIMO 技術に関する標準化が始まっており、各リリースにおいて、要求条件、基本方式の
実現性検討を行う作業項目の検討を行っている。また、SI は Study Item を示し、WI は
Work Item を示し、詳細な技術規格検討及びその作成を行う作業項目の検討を行ってい
る。
図 2-1 3GPP における MIMO 関連の標準化作業の変遷1
1 3GPP 標準化動向の情報を基に作成
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
WIs and SIs for further enhancement of LTE / LTE-Advanced SIRel-9
WIs for LTE-Advanced
WIs and SIs for further enhancement of LTE-Advanced
Rel-8SI for LTE WI for LTE
LTE
Rel-11
Rel-12
Rel-10
Rel-13
LTE-Advanced
BeyondLTE-A
Rel-14
Rel-15
5G
Rel-16
SI for NR
Phase 1 WI
Phase 2 WI
SI for 3D BF
SI/WI for 3D BF
Rel-7
2×2 MIMO4×4 MIMO,コードブックPMI
8×4 MIMO,ダブルコードブック
MU-MIMO,ビームフォーミング
CoMP
CoMP: Coordinated Multi-PointCQI: Channel Quality IndicatorCSI-RS: Channel State Information-reference signalPMI:Precoding Matrix IndicatorPT-RS:Phase-tracking Reference Signal
MU-MIMO,二次元コードブック,CQI 平面アンテナ,
CSI-RSPMI Massive
MIMO
ハイブリッドビームフォーミング、PT-RS
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2. IEEE802.11
図 2-2 に IEEE802.11 タスクグループにおける MIMO 関連技術の標準化の変遷を示す。
2004 年から 2009 年にかけて、IEEE802.11n 規格として、上り/下りに、 大 4×4 の
SU-MIMO(Single User MIMO)を適用した(2.4/5 GHz 帯)。また、IEEE802.11ac 規格とし
て、 大 8×8 の MIMO で、上りに SU-MIMO、 下りに MU-MIMO を採用し、5 GHz 帯の高速
化が実用化された。2013 年から、IEEE802.11ax 規格で、上り/下りともに、 大 8×8
の MU-MIMO が採用された。更に、2015 年からは、IEEE802.11ay 規格で、 大 4×4 の
SU-MIMO と MU-MIMO とを採用し、60GHz といったミリ波についても対応している。
図 2-2 IEEE802.11 における標準化の推移
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
11n
2.4/5 GHz帯の高速化/ 大4×4 SU-MIMO(Uplink, Downlink)
11ad
60GHz対応による超高速化/(MIMO技術適用なし)
11ac
5 GHz帯の超高速化/ 大8×8 MIMOUplink:SU-MIMO, Downlink:MU-MIMO
11ax(HEW)
2.4/5 GHz帯の高効率化/ 大8×8 MU-MIMO(Uplink, Downlink)
11ay(NG60)
次世代技術での60GHz対応による超高速化/ 大4×4 SU-MIMO, MU-MIMO
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第 3 節 市場予測
1. 移動体通信事業者ランキング
公衆移動体通信サービスに「MIMO 技術」を用いる LTE の導入は、サービスを提供する
通信事業者単位で進展することとなる。この動向を俯瞰するため、公衆移動体通信サー
ビス提供する通信事業者の売上、接続数を GSMA(GSM Association)調査のランキングと
して示す。GSMA が 2016 年 9 月に発表した 2016 年の移動体通信事業者の上位 15 者のラ
ンキングについて、移動体通信事業者の売上を図 2-3 に、移動体通信事業者の接続数を
図 2-4 に示す。
図 2-3 移動体通信事業者の売上(上位 15 社)
図 2-4 移動体通信事業者の接続数(上位 15 社)
$107.00
$90.40
$75.50
$59.90
$59.60
$51.10
$42.60
$39.00
$36.00
$27.70
$25.60
$21.30
$17.20
$14.10
$12.70
$0.00 $50.00 $100.00 $150.00
China Mobile
Verizon Wireless
AT&T Group
Vodafone Group
SoftBank Group
Deutsche Telekom Group
Telefónica Group
NTT DOCOMO Group
América Móvil Group
China Unicom
China Telecom
Orange Group
au (KDDI)
Etisalat Group
Bharti Airtel Group
売上(12か月) 単位、10億ドル)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
912.3
464.6
342
286
282.9
272.6
232.6
223.2
211.4
194.1
192.9
176.1
163
160.7
159.9
0 200 400 600 800 1000
China Mobile
Vodafone Group
Bharti Airtel Group
China Unicom
América Móvil Group
Deutsche Telekom Group
MTN Group
China Telecom
Telenor Group
VimpelCom Group
Orange Group
Idea Cellular
Etisalat Group
Deutsche Telekom Group
Telkomsel
接続数(単位、百万台)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
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2. 公衆移動体通信システム機器市場
高速化、大容量化という MIMO 技術と共通した目的を実現するためにマクロセルに加え
て、スモールセルが導入された。この結果、市場は、マクロセル基地局市場、スモール
セル基地局市場のは 2つに分かれている。マクロ基地局の市場規模推移及び予測を図 2-5
に、スモールセルの市場規模推移及び予測を図 2-6 に示す。
マクロ基地局の市場は、2015年の約 634億ドルをピークに減少し始めているのに対し、
スモールセルは一貫して増加しており、今後も市場が形成されることが期待される。
図 2-5 マクロ基地局の市場規模推移及び予測1
図 2-6 スモールセルの市場規模推移及び予測2
1平成 29 年版情報通信白書 2017 年 7 月、総務省、P136、図表 3-3-3-14 移動体通信機器(マクロ基地局)
市場の推移及び予測) 2平成 29 年情報通信白書 2017 年 7 月、総務省、P136、図表 3-3-3-15 世界のスモールセル市場(出荷金額)
の推移及び予測)
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3. 無線 LAN 市場
無線 LAN(Wi-Fi)デバイスの出荷台数の推移は、年間平均 62%の成長率で伸び、2001
年に 410 万台の出荷台数であった Wi-Fi システムの出荷台数は、2014 年に 20 億台を超
えるまでに成長している1。
2012 年以降の周波数帯と標準規格別の無線 LANチップセットの市場規模推移を図 2-8
に示す(2015 年以降は予測値)。色別の各ブロックは、周波数帯と標準規格を組み合わ
せたチップセットである。図 2-7 によれば、チップセットのマルチモードやマルチバン
ドへの対応が進んでいる状況が伺える。
図 2-7 無線 LAN チップセットの市場規模推移 2
4. トラフィックの増大予測
図 2-8 に示すように、モバイルデバイスからのトラフィックは、セルラー及びセルラ
ーから固定ネットワークへのオフロードトラフィック共に増加する予測である。
図 2-8 世界のオフロードトラヒックの予測2
1 出典:802.11ac Wave 2 with MU-MIMO: The Next Mainstream Wi-Fi Standard、STRATEGY ANALYTICS,
Christopher Taylor, Novenver 2015, p.4/17 2 Connect with Wi-Fi Alliance、Wi-Fi Alliance、August 2016 2 Cisco Visual Networking Index: Global Mobile Data Traffic Forecast Update, 2016–2021、CISCO、
2017 年 2 月 7 日
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5. RF 系デバイスの市場
図 2-9、表 2-1 に世界のモバイルデバイスに係る部材市場の状況を示す。図 2-9 の
中で、特に Massive MIMO の開発を進めるうえで重要となる「RF 系」市場に着目する
と、「RF 系デバイス」は 0.7 兆円の市場規模であり、市場成長率の予測はおおよそ-8%
であるが、上位 3 社のシェアが約 65%に達している。また、表 2-1 によれば「RF 系デ
バイス」の市場では、日系企業のシェアが高いことが特徴とされている。このように、
「RF 系デバイス」は日本が強みを有している分野であるとみられている。
図 2-9 世界のモバイルデバイスに係る部材市場の成長率と上位 3 社の市場シェア1
表 2-1 世界のモバイルデバイスに係る部材市場の市場動向等2
1 平成 27 年版情報通信白書 2015 年 7 月、総務省、P276、図表 5-2-7-7 世界のモバイルデバイスに係る部
材市場の成長率と上位 3 社の市場シェア 2 平成 27 年版情報通信白書 2015 年 7 月、総務省、P276、図表 5-2-7-7 世界のモバイルデバイスに係る部
材市場の成長率と上位 3 社の市場シェア
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6. LTE の国別普及状況
表 2-2に示す上位 14か国について、LTEの普及が進んでいるのは先進国が中心であり、
発展途上国等では人口が多い国でも低い普及率にとどまっている国が少なくない。
これらの国では、今後 4G、5G の端末・基地局製品、ネットワークの市場の成長する余
地が大きく、有望な市場となっている。
表 2-2 LTE の国別普及状況(2016 年のモバイルセルラーホン加入者が 1 億以上の国)
7. ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP2017)における出展企業へのヒアリング
WTP2017 の出展者へのヒアリングにおいて、表 2-3 に示すような意見があった。
表 2-3 WTP2017 における出展企業へのヒアリング状況
項 ヒアリング内容 企業数
1 ・複数への無線規格への対応
5G、無線 LAN など複数の無線規格への対応が求められている
4 企業
2 ・MIMO の重要性
MIMO 用チップ、Massive MIMO 用の多素子アンテナの開発が今後行わ
れる
3 企業
3 ・MIMO 技術の応用
MIMO 技術を使用した IoT 製品やミリ波レーダーなどの開発が今後予
想される
3 企業
4 ・MIMO 技術の高周波への対応
MIMO は高周波帯域については、1THz 程度までは対応できる
1 企業
全体(注1)
(2016年)
LTE(年は右記)
中国 1,364.9 225.5 16.8% 2015年6月現在2億2,547万 13億4,134万人(2015年)
インド 1,127.8 ー ー 2015年10月現在国内300都市でサービスを展開 12億2,461万人(2015年)
米国 416.7 158.9 51.2% 2015年6月時点で普及率は51.2% 3億1,038万人(2015年)
インドネシア 385.6 ー ー 2014年12月、TelkomselがLTEサービスを提供開始 2億3,987万人(2015年)
ブラジル 244.1 15.5 8.2% 2015年時点でLTE加入比率は約6% 1億9,495万人(2015年)
ロシア 231.4 16 11.2% 2016年3月末現在、1,600万 1億4,296万人(2015年)
日本 164.3 102.2 80.6% 2017年3月現在、1億219万(注4) 1億2679万(2017.4.1)(注5)
ナイジェリア 154.3 0.4 0.2% 2016年6月現在では40万程度 1億5,842万人(2015年)
パキスタン 136.5 ー ー 2014年9月より商用サービスを開始 1億7,359万人(2015年)
バングラディシュ 126.4 ー ー 商用サービス開始の準備 1億4,869万人(2015年)
ベトナム 120.6 ー ー 2016年の4G周波数オークション応札を義務付け 8,785万人(2015年)
タイ 116.6 ー ー 2013年5月商用サービス開始 6,912万人(2015年)
フィリピン 113.0 ー ー 2015年現在で約60%の人口カバレッジ 9,326万人(2015年)
メキシコ 111.7 ー ー モバイル・データ通信は、2012年6月より提供開始 1億1,342万人(2015年)
携帯加入数(単位:百万)
国籍 LTEの普及状況(注2) 人口(注3)
注1:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2016より注2:日本以外は世界情報通信事情 http://www.soumu.go.jp/g-ict/index.htmlより注3:日本以外は世界情報通信事情 http://www.soumu.go.jp/g-ict/index.htmlより注4:総務省電気通信サービスの契約者数及びシェアに関する四半期データの公表(平成28年度第4四半期(3月末)) http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000123.htmlより注5:総務省 人口推計-平成29年4月報 - http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201704.pdfより
LTE普及率
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8. IoT の市場環境
IoT 機器について市場環境の面から見ると、図 2-10 に示すように世界の IoT デバイ
スの数は年率で 10%以上増加し続けており、今後も増加することが予想されている。
図 2-10 世界の IoT デバイス数の推移及び予測1
9. 電波利用産業の市場環境
図 2-11 に示すように、従来からの電波コア産業に対し、電波利用産業と総称される市場
の成長が期待されている。
(出典:2020 年代に向けた電波関連産業の動向について 株式会社三菱総合研究所 2014 年 10 月 6 日)
図 2-11 電波関連産業の市場規模予測
1 平成 28 年情報通信白書 2016 年 7 月、総務省、P80、図表 2-1-1-1 世界の IoT デバイス数の推移及び予
測
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第 3 章 政策動向
第 1 節 ICT 政策
1. 日本
第 5 期科学技術基本計画は平成 28 年度から実施され、平成 29 年 6 月 2 日に科学技術
イノベーション総合戦略 2017 が閣議決定され発表された。その中では、(a)重点事項、
(b)未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組、(c)経済・社会的課題へ
の対応、(d)科学技術イノベーションの基盤的な力の強化、(e)イノベーション創出に向
けた人材、知、資金の好循環システムの構築、(f)科学技術イノベーションの推進機能の
強化、を 6 本の柱とし、その実施状況が紹介されている。
そして、「MIMO 技術」を含む移動通信ネットワーク・技術は、科学技術基本計画のプ
ラットフォームを支える基本となる技術であり、自動運転、医療、モノづくりの基盤技
術として位置づけられている。
図 3-1 に示すように、個別分野のアクションプランにおいて、第 5 世代移動通信シス
テムと公衆無線 LAN があげられている。これらシステムでは、「MIMO 技術」は必要不可
欠であるため、これらの政策を支える重要な技術である。
図 3-1 2020 年に向けた社会全体の ICT 化アクションプラン1
2. 米国
米国における、改訂継続中の重要施策には米国イノベーション戦略(2009 年、2011
年、2015 年改訂)があり、その中のシステム・情報科学技術分野では、NITRD(省庁横
1 平成 28 年版情報通信白書、2016 年 7 月、総務省、P59、図表 1 2020 年に向けた社会全体の ICT 化 アク
ションプラン)
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断イニシアチブネットワーキング情報技術研究開発)があり、近年、この重点研究対象と
して、ビックデータ、サイバーフィジカルシステム、医療用情報技術、無線スペクトラ
ム研究開発1等が追加されている。
2017年度予算案における NITRDはネットワーク技術やコンピューティングに焦点が当
てられ、45 億ドルが要求されている。
3. 欧州
欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会では、2010 年 5 月に欧州デジタル・
アジェンダを策定し、同アジェンダにおける七つの優先課題の一つとして「高速・超高
速インターネット接続の拡大」が挙げられている。
EU のプログラムで 2014 年から 2020 年までの 7か年計画である科学技術計画(Horizon
2020)の中で、産業リーダーシップ(Industrial Leadership)と社会的な課題(Societal
Challenge)との枠組みにおいて、それぞれ優先課題を設定している。
4. 中国
中国の科学・イノベーション政策の基本方針は、国務院が 2006 年 2 月に発表した「国
家中長期科学技術発展計画綱要(2006-2020 年)」と、2016 年 5 月に発表した「国家イ
ノベーション駆動発展戦略綱要(2016~2030 年)」の基本策を踏襲し、「科学技術イノベ
ーション第 13 次五カ年計画(2016~2020 年)」として記載されている 。その中の重大
特定プロジェクトとして、モバイル通信があげられている。
国務院は 2013 年 8 月に「ブロードバンド中国」戦略及びその実施方策を明らかにし、
その中で、2020 年までの目標として、中国の基盤水準について先進国との格差を大幅に
縮小させることとし、固定ブロードバンドの世帯普及率を 70%、3G/4G(LTE)の人口普
及率を 85%に引き上げ、ブロードバンド接続が開通した行政村を 98%に引き上げるとと
もに、都市部と農村部の一般世帯向けブロードバンド接続をそれぞれ 50Mbps と 12Mbps
とし、経済発展が進んだ都市部の一部家庭では 1Gbps とするとしている。
5. 韓国
韓国では科学技術と ICT の融合による経済活性化を標榜しており、未来創造科学部
(「部」は我が国の省に相当)が研究開発の基礎研究から応用に至るまでを所管している。
韓国は大統領制であることから、トップダウンで政策が展開される側面が大きく、2017
年 5 月に文在寅大統領となったため、今後変わっていく可能性がある。
朴槿恵政権下では、「第 3 次科学技術基本計画(2013-2017)」 を主軸に推進されてい
た。この計画の具体的な研究開発投資分野としては、IT 融合新産業の創出をはじめとす
る「5 大推進分野」を掲げ、120 の国家戦略技術及び 30 の重点技術の研究開発を推進す
る方針を掲げている。
2013年 5月に未来創造科学部は「ギガビット級ブロードバンド網構築計画」を策定し、
2017 年までに全国 90%の地域にギガビット級ブロードバンド網を構築するとしている。
ギガビット級ブロードバンド活用促進のため、官民合わせて 103 億ウォンを投じ、様々
1 NITRD Program Componet Area(PCA) Difinitions:
https://www.nitrd.gov/subcommittee/NITRD-PCAs.aspx
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第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
な新サービス発掘に向けた取組みが行われている。
第 2 節 公衆ワイヤレス(5G)に係る政策
1. 日本
2014 年 9 月に発足した 5G の産学官の推進体制である「第 5 世代モバイル推進フォー
ラム(5GMF)」は、第 5 世代移動通信システムの早期実現を図るため、第 5 世代移動通信
システムに関する研究開発及び標準化に係る調査研究、関係機関との連絡調整、情報の
収集、普及啓発活動等を行い、電気通信利用の健全な発展に寄与することを目的として
いる。
2016 年 10 月 25 日には、2020 年の 5G の実現に向けた技術検討を行う総務省・情報通
信審議会「新世代モバイル通信システム委員会」の第 1 回会合が開かれ、引き続き検討
が進められている。
2. 米国
米国ホワイトハウスは 2016 年 7 月に NSF(the National Science Foundation)に 4 億
ドルを拠出して Advance Wireless Research Initiative(以下 AWRI)を組織し、無線技
術の研究を先導し、前向きなブロードバンド政策を構築することを発表している。
米連邦通信委員会(FCC)は 2016 年 7 月に 5G ネットワークに使用する 24GHz 以上の周
波数帯の開放ルールを決定した。これを受けて、早ければ 2018 年にも AT&T や Verizon
により、当該周波数帯を利用した暫定仕様での 5G 商用サービスが開始される可能性があ
る。
3. 欧州
欧州共同体(EU)は、2013 年 12 月 17 日に 5G 技術の研究開発を加速するための 5GPP
設立に合意し、研究開発プログラム Horizon2020 を通じて 5GPP の活動を支援するため、
7 億ユーロの公的資金を割り当てた。EU 企業には別途 30 億ユーロの投資が設定されてい
る。この 5G の研究及び標準化への投資は、EU のノウハウの蓄積と超高速ブロードバン
ドを先導させる役割を果たしている。また、英国においては、2017 年度予算案において、
世界のリーダーとなるべく 5G ネットワークを構築するため、1600 万ポンドが措置され
ることが示されている。
4. 中国
中国は 2016 年 7 月 20 日に、第 13 次 5 か年計画の中で、技術イノベーション 5 か年計
画を策定している。技術イノベーションに係る主なプロジェクトとして開始される領域
に 5G 技術が含まれている。
5G については、工業和信息化部、発展改革委員会、科学技術部の三省庁により設立さ
れた IMT-2020 Promotion Group が性能要件を検討しており、2016 年 1 月から 3~4GHz
帯を用いた実証実験を開始している。2020 年には商用サービスの開始を計画している。
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第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
5. 韓国
2014 年 1 月 27 日の発表で、未来創造科学部は、5G サービスの 5 つのコア:将来 SNS、
モバイル 3D イメージング、人工知能、ハイスピードサービスおよび超高精細解像度の
ホログラム、を開発、商用化し、これらの技術を 2018 年の平昌冬季オリンピックの期
間中に 28GHz 帯を用いて、プレスセンター、空港、会場等でホログラム、VR(仮想現実)
等を提供する計画を立てており、2020 年には商用サービスの開始を計画している。
第 3 節 電波政策
1. 6GHz 以下の周波数割当て目標
6GHz 以下の周波数割当て目標では、携帯電話等(現在:約 740MHz 幅)にあっては、
3GPPで設定されている国際標準バンド及び ITUにおいて当面確保すべき対象として検討
されている周波数帯を対象として確保している。
6GHz 以下の周波数帯で、無線 LAN を含めた対象周波数帯域の合計約 2900MHz 幅のうち、
既存無線システムとの周波数共用等を図り、2020 年までに 2700MHz 幅程度の確保を目指
している。イメージ図を図 3-2 に示す。
図 3-2 移動通信システムへの周波数割当ての目標(6GHz 以下)1
2. 移動通信システム用周波数割当ての目標(6GHz 以上)
6GHz 以上の周波数割当ての目標では、第 5 世代での活用を念頭に、諸外国での動向や
今後の周波数需要等を踏まえつつ、対象周波数帯の利用に関する研究・標準化等を進め
た上で、今後必要となる周波数幅の確保を目指すとしている。イメージ図を図 3-3 に示
す。
図 3-3 移動通信システムへの周波数割当ての目標(6GHz 以上)2
1 2020 年代に向けたワイヤレスブロードバンド戦略、総務省総合通信基盤局電波政策課、平成 27 年 6 月 26 日 2 2020 年代に向けたワイヤレスブロードバンド戦略、総務省総合通信基盤局電波政策課、平成 27 年 6 月 26 日
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本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
3. 無線 LAN 用周波数の拡大
無線 LAN の混雑が公共スペースや大規模集合住宅等において深刻化する懸念に対処す
るため、2020 年の東京オリンピック・パラリンピック等を見据え、無線 LAN をつながり
やすくするための技術・運用方法の検討、無線 LAN アクセスポイントの整備推進などに
加えて、無線 LAN の利用の増加に対応した使用周波数帯の拡張に向けて、検討が進めら
れている。イメージ図を、図 3-4 に示す。
図 3-4 無線 LAN 用 5GHz 帯周波数の利用状況と使用周波数帯拡張に向けた対応領域1
4. 5G 用周波数の国際的な検討状況
今後、ITU や 3GPP 等における 5G の無線インターフェイスに関する国際標準化動向を
見極めつつ、周波数帯毎に割当て時期を明記した周波数割当ロードマップの検討が進め
られている。5G の実現に向け 5G 用周波数帯の WRC-19 及び日米欧中韓の検討状況を、図
3-5 に示す。
図 3-5 WRC-19 及び日米欧中韓のミリ波準ミリ波帯の周波数利用計画2
第 4 節 特許出願等に関する政策
迅速な権利付与、適切な時期での権利付与、包括的で漏れのない権利確保等を図るた
めに各種の制度が設けられている。主な制度としては、早期審査制度、分割出願制度、
1 2020 年代に向けたワイヤレスブロードバンド戦略、総務省総合通信基盤局電波政策課、平成 27 年 6 月 26 日 2 WRC-19 候補周波数帯: ITU ジャーナル Vol. 46 No. 6(2016, 6)WRC-19 における高周波数帯(24.25
-86GHz)での携帯電話周波数の確保に向けて、を元に作成)
周波数帯(単位:GHz) 23GHz以上23 24 25 26 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87
WRC-19
候補(注1) 24.25-27.5 31.8-33.4 37-40.5 45.5-50.2 50.4-52.6 66-76 81-86
日本(注2) 27.5-29.5
米国(注2) 27.5-28.35 37-38.6,38,6-40 64-71
欧州(注2) 24.5-27.5 31.8-33.4
中国(注2) 26 40
韓国(注2) 26.5-29.5
27
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第5部
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資料編
審査着手を猶予する制度(審査猶予制度)、出願日の認定要件を緩和する制度(出願日認
定要件緩和制度)、仮出願制度、国内優先権制度、一部継続出願制度などがある。
ここでは、標準化に関する特許出願で有用と考えられる出願制度の概要と、各国の特
許制度比較及びその利用状況を紹介する。
(1) 出願制度の概要
標準化活動に有用な特許出願制度を分類すると、①標準化動向に合わせた権利化、
②簡易な出願手続き、 ③改良発明の出願、の 3 つの分類に大別され、それぞれに該当
する制度と標準化関連特許出願での想定されるメリットを表 3-1 に示し、各制度の概
要を以下に示す。
表 3-1 標準化活動に関連する特許出願制度と想定メリット
(2) 各国の特許制度比較
表 3-1 において示した分類・制度の各国における制度の有無を表 3-2 に示す。
表 3-2 標準化活動に有用な特許出願制度の各国の整備状況
分類 制度 日本 米国 欧州 中国 韓国
①標準化動向に合わ
せた権利化
早期審査制度 ○ ○ ○ ○ ○
分割出願制度 ○ ○ ○ ○ ○
審査猶予制度 × ○ × × ○
②簡易な出願手続き 出願日認定要件緩和制度 ○ × ○ × ○
仮出願制度 × ○ × × ×※1
③改良発明の出願 国内優先権制度 ○ × △※2 ○ ○
一部継続出願制度 × ○ × × ×
※1 出願日認定要件緩和制度を対応付け、仮出願制度として統計を出している
※2 EPC(欧州特許条約)加盟国の、各国の制度次第
尚、本文に記載する特許法等の翻訳は特許庁のホームページに記載されているものを使用した
分類 制度 標準化関連特許出願での想定メリット
①標準化動向に合わせ
た権利化
早期審査制度 早期に登録特許とすることで標準規格への
採用を有利にできる可能性が考えられる
分割出願制度 標準化活動の中で変遷する標準規格の内容
に追従して権利化できる
審査猶予制度 標準規格が確定するまで長期間を要する場
合に活用できる可能性がある
②簡易な出願手続き
出願日認定要件
緩和制度 煩雑な形式を省略でき、出願日を簡易に取
得できる 仮出願制度
③改良発明の出願 国内優先権制度
標準化活動に併せて内容を追加でき、結果
として標準規格を包含したより強い特許と
して権利化を図ることが可能
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第8部 第6部
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第1部
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第5部
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資料編
第 4 章 特許出願動向
第 1 節 概要
特許動向調査では、調査対象技術について検索によりファミリー単位で抽出される特
許文献の件数に基づき、PCT(特許協力条約)に基づく国際出願及び日本、米国、欧州、
中国、韓国(以下、日米欧中韓と略称する)への特許出願(登録特許)動向を調査した。
第 2 節では、特許調査方法として、「調査範囲」、「検索式」、「技術区分表」について説
明する。
第 3 節では、調査対象特許文献全体の件数やその推移及び比率を調査する「全体動向
調査」、特許文献の読み込みによる詳細調査結果全般を示す「技術区分別動向調査」及び
出願人別の件数ランキングなどの「出願人別動向調査」を記す。
第 2 節 調査方法
1. 調査範囲
(1) 調査範囲と検索条件
・対象期間 2003 年~2015 年(優先権主張年ベース)
・詳細解析対象文献数 21,627 件(DWPI ファミリー単位)
・対象国 日本、米国、欧州、中国、韓国
検索条件の概要を図 4-1 に示す。
図 4-1 特許文献の検索条件の概要
(2) データベース
使用したデータベースはダウエント・イノベーションのアジアパッケージ、ラテン
アメリカパッケージ付きで、コレクションは Enhanced Patent Data - DWPI and DPCI
を選択した。2017 年 8 月 2 日に取得したデータを用いて、調査を行った。
①通信制御、アンテナに特徴のある発明が記載された特許文献(上記技術に対応する特許分類が付与されている文献)
②無線通信の標準名が記載された特許文献(LTE、Wi-Fi, WiMAX, 802.11等)
+
③MIMOに関連する下記の用語が記載された特許文献
<母集団(特許文献)>
<調査対象文献(特許文献)>
• 抽出特許文献数:約21,600件(ファミリー単位)
• 対象期間 2003年~2015年(優先権主張年ベース)
• 対象国:日米欧中韓
関連要素技術 技術キーワード
MIMO"multiple input multiple output" OR "multi Input multi output" OR MIMO
Massive MIMO "distributed antenna system"
MU-MIMOblock adj diagonal*
SDM OR SDMA OR "spatial division"
ハイブリッドビームフォーミング*steering
beamform* OR beam adj form*
ハイブリッドビームフォーミング(コードブック型プリコーディング)
precod* OR PMI
codebook
ハイブリッドビームフォーミング(非コードブック型プリコーディング)
"dirty paper" OR DPC
"tomlinson harashima" OR THP
"vector perturbation"
多地点協調、信号分離
"maximum likelihood detection" OR MLD
"sphere decoding"
"cooperative multipoint" OR "cooperative multi-point" OR "coordinated multipoint" OR "coordinated multi-point" OR CoMP
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第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
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2. 技術区分表
詳細解析対象文献数 21,627 件(DWPI ファミリー単位)について、表 4-1 に示す技術
区分表中の各小分類を付与した。
表 4-1 技術区分表
大分類 中分類 大分類 中分類
A1a 端末 B1a 2本A1b 基地局・アクセスポイント B1b 3~8本A1c サイドリンク(端末間) B1c 9本以上A1d アップリンク B1d 不定数(複数)A1e その他の送受信構成 B1e アンテナ素子数の該当なしA1f 送受信構成の該当なし B2a ダイポールA2a 1対1 B2b モノポールA2b 1対多 B2c パッチA2c 多対多 B2d スロットA2d その他の接続構成 B2e その他のアンテナ種類A2e 接続構成の該当なし B2f アンテナ種類の該当なし
A3a 最大数1~4 B3a アンテナの1次元配列
A3b 最大数5~8 B3b アンテナの2次元配列A3c 最大数9以上 B3c アンテナの3次元配列A3d レイヤ構成の該当なし B3d 給電回路を工夫A4a 周波数利用効率 B3e その他の配列・給電A4b データレート B3f 配列・給電の該当なし
A4c 伝送品質 B4a指向性・ビーム形状・不要放射除去
A4d 多端末対応 B4b 高利得化・整合A4e カバレッジ/セルサイズ B4c アンテナ間の減結合A4f コスト低減 B4d その他の送受信特性A4g 低遅延 B4e 送受信特性の該当なしA4h その他の課題 B5a 小型化A4i 課題の該当なし B5b 耐久性向上A5a フィードバックあり B5c その他の機械的特性A5b フィードバックなし B5d 機械的特性の該当なしA5c 参照信号 B6a 70GHz以上ミリ波A5d 信号分離 B6b 60GHz帯ミリ波A5e コードブック型プリコーディング B6c その他のミリ波A5f 非線形プリコーディング B6d 準ミリ波A5g ビームフォーミング B6e 6~20GHz
A5hアナログビームフォーミングとデジタルプリコーディング
B6f 1~6GHz
A5i 偏波 B6g 0.7~1GHzA5j Massive MIMO B6h マルチバンド化・広帯域化A5k MU-MIMO B6i その他の動作周波数A5l 協調・中継伝送 B6j 動作周波数の該当なしA5m ダイバーシチ B7a 端末用A5n リソース割当 B7b 基地局用A5o その他の無線要素技術 B7c アクセスポイント用A5p 無線要素技術の該当なし B7d 固定局用A6a リンクアダプテーション B7e 航空機用A6b 誤り制御 B7f 自動車用A6c 変復調・多重 B7g 電車用A6d FDD B7h 船舶用A6e TDD B7i その他の乗り物用A6f Full Duplex B7j その他の適用対象A6g 非直交多重 B7k 適用対象の該当なし
A6h その他の汎用伝送技術A6i 汎用伝送技術の該当なしA7a 3Gモバイル通信・LTEA7b LTE-AA7c 5GA7d 無線LANA7e 無線PANA7f 無線MANA7g その他の標準規格A7h 標準規格の該当なしA8a ミリ波等の利用A8b マルチバンド・広帯域A8c 見通し内通信A8d デジタル放送A8e LPWAA8f IoT/M2M/MTCA8g 有線通信A8h その他の応用分野A8i 応用分野の該当なし
小分類
通信制御(A)
アンテナ種類(B2)
配列・給電(B3)
機械的特性(B5)
送受信特性(B4)
アンテナ(B)
アンテナ素子数(B1)
適用対象(B7)
動作周波数(B6)
応用分野(A8)
接続構成(A2)
小分類
送受信構成(A1)
汎用伝送技術(A6)
無線要素技術(A5)
標準規格(A7)
課題(A4)
レイヤ構成(A3)
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第2部
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要約
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資料編
4. 調査に関する特記事項
(1) 調査対象特許出願について
本調査においては、データ取得日(2017 年 8 月 2 日)までに公開された特許文献を
調査対象としている。2014 年及び 2015 年の特許出願は、データ取得日までに公開さ
れない場合があるため、2014 年及び 2015 年のデータは、現実の出願数を表している
とは限らない。登録件数についても同様である。
(2) 優先権主張年について
本調査において、優先権主張年とは、ダウエント・イノベーションにおける DWPI
ファミリーを構成する特許のうち出願日が も古いものの出願年を指す。なお、DWPI
ファミリーが1件のみの特許出願については、当該特許出願の出願年を優先権主張年
とする。
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第8部
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本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
第 3 節 日米欧中韓への特許出願の動向調査
1. 全体動向調査
(1) 出願人国籍別 PCT 出願件数推移及び出願件数比率
図 4-2 出願人国籍別 PCT 出願件数推移及び出願件数比率 (PCT 出願、優先権主張 2003-2015 年)
178
311 411
487 533
688
885
1,021
910 1,007 992 1,025
1,190
0
150
300
450
600
750
900
1,050
1,200
1,350
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別出願件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
日本国籍
1,250件
13.0%
米国籍
3,110件
32.3%
欧州国籍
1,932件
20.0%
中国籍
1,397件
14.5%
韓国籍
1,678件
17.4%
その他
271件
2.8%
合計
9,638件
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第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(2) 出願先国別出願件数推移及び出願件数比率
図 4-3 出願先国別出願件数推移及び出願件数比率 (出願先:日米欧中韓、優先権主張 2003-2015 年)
日本
5,569件
12.7%
米国
14,863件
33.9%
欧州
7,743件
17.6%
中国
9,878件
22.5%
韓国
5,846件
13.3%
合計43,899件
1,483
2,378
2,577 2,864
3,261
3,913
4,603 4,873
4,029 4,283 4,109
3,353
2,173
0
600
1,200
1,800
2,400
3,000
3,600
4,200
4,800
5,400
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,800
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願先国別出願件数
出願年(優先権主張年)
日本 米国 欧州 中国 韓国 合計
優先権主張 2003-2015年
出願先国
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
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第8部
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本編
第1部
第2部
第3部
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第5部
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資料編
(3) 出願先国別登録件数推移及び登録件数比率
図 4-4 出願先国別登録件数推移及び登録件数比率 (出願先:日米欧中韓、優先権主張 2003-2015 年)
日本
3,316件
13.7%
米国
9,864件
40.8%欧州
2,568件
10.6%
中国
5,091件
21.1%
韓国
3,338件
13.8%
合計24,177件
注:調査時点において審査請求前や審査中の出願が存在するため、2015年に近づく
につれて件数が減少する。
137 229 265 271 287 415 491 510 344 249 94 15 9
444 613 660 791 938 1,063 1,142 1,186 921 938 669 345 154
219 313 233 234 258 259 285 304 174 194 62 25 8
144 274 297 322 445 549 782 838 582 434 267 142 15
128 223 249 314 428 468 479 361 232 170 130 74 82
優先権主張:2003‐2015
日本
米国
欧州
中国
韓国
出願先国
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
出願年(優先権主張年)
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第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
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第5部
第7部
資料編
(4) 出願人国籍別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率
図 4-5 出願人国籍別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率 (出願先:日米欧中韓、優先権主張 2003-2015 年)
日本国籍
3,077件
14.2%
米国籍
6,485件
29.9%
欧州国籍
2,625件
12.1%
中国籍
4,487件
20.7%
韓国籍
3,986件
18.4%
その他
1,036件
4.8%
合計
21,696件
584
924
1,056 1,272
1,551
1,765
1,898 2,072 1,945
2,124 2,027 2,062
2,416
0
300
600
900
1,200
1,500
1,800
2,100
2,400
2,700
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別出願件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
- 25 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(5) 出願先国別-出願人国籍別出願件数
図 4-6 出願先国別-出願人国籍別出願件数 (出願先:日米欧中韓、優先権主張 2003-2015 年)
2508 1722 537160
55686
1878 6590 1930 770 2776 919
1092 2538 2206 499 1054354
1109 2327 1038 4210 800394
2991639 436
1253241
106
優先権主張:2003‐2015年
日本
米国
欧州
中国
韓国
出願先国
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他
出願人国籍
- 26 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(6) 出願先国別-出願人国籍別出願件数収支
図 4-7 出願先国別-出願人国籍別出願件数収支
(出願先:日米欧中韓、優先権主張 2003-2015 年)
日本国籍
2,508件45%
米国籍
1,722件31%
欧州国籍
537件10%
中国籍
160件3%
韓国籍
556件10%
その他
86件1%
日本国籍
1,878件,
12.6%
米国籍
6,590件,44.3%
欧州国籍
1,930件, 13.0%
中国籍
770件5%
韓国籍
2,776件, 18.7%
その他
919件
6%
日本国籍
1,092件14%
米国籍
2,538件
33%欧州国籍
2,206件28%
中国籍
499件6%
韓国籍
1,054件,
13.6%
その他
354件5%
日本国籍
1,109件11%
米国籍
2,327件
24%
欧州国籍
1,038件
10%
中国籍
4,210件43%
韓国籍
800件,
8.1%
その他
394件4%
日本国籍
299件
5%
米国籍
1,639件28%
欧州国籍
436件8%
中国籍
125件
2%
韓国籍
3,241件, 55.4%
その他
106件2%
1878件
1092件
1109件
299件
日本への出願
5,569件
1722件
2538件
2327件
1639件
米国への出願
14,863件
537件
1930件
1038件
436件
欧州への出願
7,743件
160件
770件
499件
125件
中国への出願
9,878件
556件
2776件
1054件
800件 韓国への出願
5,846件
優先権主張
2003~2015年
- 27 -
第8部
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本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(7) 規格関連出願への日本の注力状況
図 4-7 に示すように、日本国籍企業の出願件数において、規格に関連するコードブ
ック(CB)型プリコーディングの海外への出願は、その他の出願の平均値よりも高い割
合で海外出願されている。他の国籍の企業においても同様の傾向が見られるものの、
その割合の高さは、日本国籍企業が高い。このことから、日本企業がその他の出願と
比較して規格関連出願に注力していることが推察される。
図 4-8 規格関連出願への日本の注力状況
2508 1722 537160
55686
1878 6590 1930 770 2776 919
1092 2538 2206 499 1054354
1109 2327 1038 4210 800394
2991639 436
1253241
106
優先権主張:2003‐2015年
日本
米国
欧州
中国
韓国
出願先国
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他出願人国籍
232 207 81 60 1277
302 734 297 222 581 82
156 313 265 168 207 43
161 304 169 771 188 44
48 217 72 55 49421
優先権主張:2003‐2015年
日本
米国
欧州
中国
韓国
出願先国
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他
出願人国籍
日本国籍
米国籍
欧州国籍
中国籍
韓国籍
日本 100% 26% 24% 4% 17%
米国 75% 100% 88% 18% 86%
欧州 44% 39% 100% 12% 33%
中国 44% 35% 47% 100% 25%
韓国 12% 25% 20% 3% 100%
日本国籍
米国籍
欧州国籍
中国籍
韓国籍
日本 100% 28% 31% 8% 26%
米国 130% 100% 112% 29% 118%
欧州 67% 43% 100% 22% 42%
中国 69% 41% 64% 100% 38%
韓国 21% 31% 27% 7% 100%
CB型プリコーディング
自国への出願を100%
として、正規化
全出願件数
- 28 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
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資料編
2. 技術区分別動向調査
(1) 無線要素技術(A5)
図 4-9 技術区分別ファミリー件数推移
(出願先:日米欧中韓、無線要素技術、優先権主張:2003-2015 年)
(2) 中分類:無線要素技術(A5) 小分類:偏波(A5i)
図 4-10 出願人国籍別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率 (出願先:日米欧中韓、偏波(無線要素技術)、優先権主張:2003-2015 年)
(3) 中分類:無線要素技術(A5) 小分類:Massive MIMO(A5j)
図 4-11 出願人国籍別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率 (出願先:日米欧中韓、Massive MIMO(無線要素技術)、優先権主張:2003-2015 年)
注1:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
注2:「アナログBFとデジタルPC」は、「アナログビームフォーミングとデジタルプリコーディング」の略。
1,010
1,562 1,878
2,598
3,368 3,712
4,174
4,716 4,387
4,706 4,232
3,575
3,335
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
5,000
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1,000
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
技術区分別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
フィードバックあり フィードバックなし 参照信号 信号分離コードブック型プリコーディング 非線形プリコーディング ビームフォーミング アナログBFとデジタルPC偏波 Massive MIMO MU‐MIMO 協調・中継伝送
優先権主張 2003-2015年
項目
合計件数
12
31
22 28
38
34 39
53
69
57
85
75 77
0
15
30
45
60
75
90
0
5
10
15
20
25
30
35
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
日本国籍
87件
14.0%
米国籍
200件
32.3%
欧州国籍
92件
14.8%
中国籍
133件
21.5%
韓国籍
71件
11.5%
その他
37件
6.0%
合計620件
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
0 0 3 2 5 4 4 1 4
23
68
78
67
0
10
20
30
40
50
60
70
80
0
5
10
15
20
25
30
35
40
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
日本国籍
22件
8.5%
米国籍
52件
20.1%
欧州国籍
19件
7.3%
中国籍
84件
32.4%
韓国籍
69件
26.6%
その他
13件
5.0%
合計259件
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
- 29 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(4) 中分類:無線要素技術(A5) 小分類:MU-MIMO(A5k)
図 4-12 出願人国籍別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率 (出願先:日米欧中韓、MU-MIMO(無線要素技術)、優先権主張:2003-2015 年)
(5) 中分類:汎用伝送技術(A6) 小分類:非直交多重(A6g)
図 4-13 出願人国籍別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率 (出願先:日米欧中韓、非直交多重(汎用伝送技術)、優先権主張:2003-2015 年)
(6) 中分類:応用分野(A8) 小分類:ミリ波等の利用(A8a)
図 4-14 出願人国籍別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率 (出願先:日米欧中韓、ミリ波等の利用(応用分野)、優先権主張:2003-2015 年)
95 98
168 199
261
291
364
483
292 286 327 306 298
0
60
120
180
240
300
360
420
480
540
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
日本国籍
538件
15.5%
米国籍
1,254件
36.2%
欧州国籍
294件
8.5%
中国籍
655件
18.9%
韓国籍
590件
17.0%
その他
137件
4.0%
合計3,468件
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
32 24
53 62
29 36 36 38 37 32 30 31
64
0
10
20
30
40
50
60
70
0
5
10
15
20
25
30
35
40
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
日本国籍
73件
14.5%
米国籍
214件
42.5%
欧州国籍
38件
7.5%
中国籍
60件
11.9%
韓国籍
107件
21.2%
その他
12件
2.4%
合計504件
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
3
10 9 23
34
47
30
22
47 51
47
83
98
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0
4
8
12
16
20
24
28
32
36
40
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
日本国籍
45件
8.9%
米国籍
225件
44.6%
欧州国籍
32件
6.3%
中国籍
61件
12.1%
韓国籍
102件
20.2%
その他
39件
7.7%
合計504件
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
- 30 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
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資料編
(7) 中分類:応用分野(A8) 小分類:IoT/M2M/MTC(A8f)
図 4-15 出願人国籍別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率 (出願先:日米欧中韓、IoT/M2M/MTC(応用分野)、優先権主張:2003-2015 年)
(8) 特徴的なグラフ
強い直進性を有し減衰の大きいミリ波通信において、カバレッジエリアの確保に必
須な技術である多数アンテナを実装する Massive MIMO は、近年急速に出願が増加して
いる(図 4-16)。
図 4-16 Massive MIMO の注目技術区分の出願件数推移 (出願先:日米欧中韓、優先権主張:2003-2015 年)
今回の調査対象である MIMO 技術全出願について着目すると、ビームフォーミング制
御に必須なフィードバック制御に関する出願件数(図 4-17)及びアンテナの素子数の
増大に伴い用いられることとなったアナログビームフォーミングとデジタルプリコ
ーディングに関する出願件数(図 4-18)が増大している。
10 9 7
4 1 1 3
8
11
22 18
26
33
0
10
20
30
40
0
5
10
15
20
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
日本国籍
16件
10.5%
米国籍
79件
51.6%
欧州国籍
28件
18.3%
中国籍
9件
5.9%
韓国籍
12件
7.8%
その他
9件
5.9%
合計153件
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
0 0 1 0 8
2 1 2 5
23
84 83
59
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
技術区分別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
ビームフォーミング フィードバックあり 合計
優先権主張 2003-2015年
項目
合計件数
- 31 -
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本編
第1部
第2部
第3部
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要約
目次
第5部
第7部
資料編
図 4-17 出願人国籍別ファミリー件数推移
(出願先:日米欧中韓、フィードバックあり(無線要素技術)、優先権主張:2003-2015 年)
図 4-18 出願件数推移 アナログビームフォーミングとデジタルプリコーディング (PCT 出願、(無線要素技術)、優先権主張:2003 年-2015 年)
また、多数の IoT 機器と接続する MTC(Machine Type Communications)へ MIMO 技
術を適用した出願件数が増加している(図 4-19)。
図 4-19 出願人国籍別出願件数推移 IoT への利用(応用分野)
(PCT 出願、優先権主張:2003-2015 年)
108
221 260
357
470 519
583
719
590
665
532
409 414
0
100
200
300
400
500
600
700
800
0
25
50
75
100
125
150
175
200
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
1
5 3 3 4 6
11 10 10
21 23
30
13
0
5
10
15
20
25
30
35
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
合計件数
出願年(優先権主張年)
優先権主張 2003-2015年
7
16 16 15
19 18
27
42
27
36
41 39
29
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
合計件数
出願年(優先権主張年)
優先権主張 2003-2015年
PCT 出願
PCT 出願
- 32 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
特に、カバレッジエリアの増大(図 4-20)、多数の IoT 端末を収容する空間多重(SDM)
を目的としたビームフォーミング(図 4- 21)、非直交アクセス(図 4-22)の出願が近
年急増している。
図 4-20 出願人国籍別ファミリー件数推移カバレッジ/セルサイズ(課題)
(出願先:日米欧中韓、優先権主張:2003-2015 年)
図 4- 21 出願人国籍別ファミリー件数推移 ビームフォーミング(無線要素技術)
(出願先:日米欧中韓、優先権主張:2003-2015 年)
図 4-22 出願人国籍別ファミリー件数推移 非直交多重(汎用伝送技術)
127
178
218 236
249 266 267 294 282
278
251 254 260
0
50
100
150
200
250
300
0
20
40
60
80
100
120
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
186 240
326
461
633
709 780
844 787
882 885
777 780
0
150
300
450
600
750
900
1,050
0
50
100
150
200
250
300
350
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
32 24
53 62
29 36 36 38 37
32 30 31
64
0
10
20
30
40
50
60
70
0
5
10
15
20
25
30
35
40
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
- 33 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(出願先:日米欧中韓、優先権主張:2003-2015 年)
各技術区分の出願比率を国籍別に比較すると、全技術区分の平均の出願比率と比較
して、日本国籍の出願比率が多い技術区分として、図 4-23 に示すように参照信号、非
線形プリコーディングなどのビームフォーミングの実装技術がある。
図 4-23 技術区分による日本国籍比率の比較
4G,5G などの無線通信システムにおいては新たな技術やネットワーク構成に変化が
見られる。例えば、MIMO の要素技術も MU-MIMO から Massive MIMO へと変遷している
(図 4-24)。
図 4-24 研究の注力分野についての変遷
ミリ波帯を用いた MIMO 技術は近年出願が増加している(図 4-25)。
図 4-25 PCT 出願件数推移(ミリ波等の利用)
14.2% 15.9% 14.6%
全体 参照信号 非線形プリコーディング
日本国籍
3,077件
14.2%
米国籍
6,485件
29.9%
欧州国籍
2,625件
12.1%
中国籍
4,487件
20.7%
韓国籍
3,986件
18.4%
その他
1,036件
4.8%
合計
21,696件
日本国籍
390件
15.9%
米国籍
711件
29.0%
欧州国籍
272件
11.1%
中国籍
437件
17.8%
韓国籍
550件
22.5%
その他
89件
3.6%
合計2,449件
日本国籍
448件
14.6%
米国籍
688件
22.5%
欧州国籍
370件
12.1%
中国籍
776件
25.4%
韓国籍
681件
22.3%
その他
96件
3.1%
合計3,059件
160 305 202
421 506 246
113
143 60
703 455
64 141 48
96 24
29 17
1
3
8 68 0 0
4
82 144
67
31
51 51
581 390 92 72
27
106 48
12
6
10 2
41 19 50
235 145
429 464
125
40
199
17
367 233 144
286 109
352 115 49
13 65
66
146 81 0
0 0 0
0 0
0 0
0
0 57 15 55 14
88
85 46 6
127
66
178 47 5 4 0 2
1 7 1
94
131
543
297 85
153 120 312 488 117
14
55 39 140
115
0 0
7 172 53 69
25
4 2 10
24 137 206
81 185
164 91
75
14 0 30
53
44 99 27 80 140
17 7 8
7 47 90
12 35 34 66 118 36 14 8 18 125 113
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
技術区分別寄書件数比率
提出年
フィードバックあり フィードバックなし 参照信号 信号分離 コードブック型プリコーディング
非線形プリコーディング ビームフォーミング アナログBFとデジタルPC 偏波 Massive MIMO
MU‐MIMO 協調・中継伝送 ダイバーシチ リソース割当 その他の無線要素技術
提出年 2006-2016年
「アナログBFとデジタルPC」は、「アナログビームフォーミングとデジタルプリコーディング」の略。
5 12 12
29
39
50 43
51
67
83 86
111
131
0
20
40
60
80
100
120
140
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願年(優先権主張年)
優先権主張 2003-2015年
PCT 出願
- 34 -
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要約
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資料編
図 4-26 Massive MIMO の出願件数推移
図 4-27 からは、PCT 出願及び寄書提出ともに倍増(PCT 出願:2.4 倍/寄書:2.0
倍)しており、権利化及び標準化活動が活発になされていることがみてとれる。そし
て、権利化及び標準化活動の両方において、中国が台頭しており、米国は標準化活動
においては相対的な位置は低下しているものの(33.7%から 11.3%に推移)、権利化活
動は活発であることが分かる。日本は、寄書提出件数が倍増する中、寄書の提出割合
は増加しており、積極的な標準化活動を行っており、出願件数も増加している。
図 4-27 PCT 出願及び寄書提出件数及び国籍別割合の推移
日本国籍
88件
18.1%
米国籍
178件
36.6%
欧州国籍
115件
23.6%
中国籍
23件
4.7%
韓国籍
65件
13.3%
その他
18件
3.7%
日本国籍
120件
10.1%
米国籍
399件
33.5%
欧州国籍
238件
20.0%
中国籍
249件
20.9%
韓国籍
166件
13.9%
その他
18件
1.5%
日本国籍
55件
10.5%
米国籍
177件
33.7%
欧州国籍
112件
21.3%
中国籍
49件
9.3%
韓国籍
70件
13.3%
その他
62件
11.8%
日本国籍
134件
12.5%
米国籍
121件
11.3%
欧州国籍
171件
15.9%中国籍
314件
29.2%
韓国籍
263件
24.5%
その他
71件
6.6%
寄書提出件数 2006 年 2015 年
PCT 出願件数 2006 年 2015 年
PCT 出願
合計 487 件 合計 1190 件
合計 525 件 合計 1074 件
- 35 -
第8部
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第3部
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要約
目次
第5部
第7部
資料編
3. 出願人別動向調査
表 4-2 出願人別ファミリー件数上位ランキング (出願先:日米欧中韓、全体、優先権主張:2003-2015 年)
順位
出願人名称 件数順位
出願人名称 件数順位
出願人名称 件数
1 クゥアルコム(米国) 1,572 1 サムスン電子(韓国) 122 1 ファーウェイ(中国) 1632 サムスン電子(韓国) 1,396 2 インテル(米国) 57 2 クゥアルコム(米国) 1613 LG電子(韓国) 1,150 3 日本電気 54 3 インテル(米国) 1504 ファーウェイ(中国) 1,009 4 クゥアルコム(米国) 48 4 エリクソン(スウェーデン) 1395 インテル(米国) 843 4 パナソニック 48 5 LG電子(韓国) 1266 エリクソン(スウェーデン) 832 6 インターデジタル(米国) 41 6 サムスン電子(韓国) 847 ZTE(中国) 826 6 マーベル(米国) 41 7 ZTE(中国) 488 韓国電子通信研究院(韓国) 504 8 韓国電子通信研究院(韓国) 40 8 アルカテル・ルーセント(フランス) 469 アルカテル・ルーセント(フランス) 494 9 ファーウェイ(中国) 39 9 韓国電子通信研究院(韓国) 43
10 ブロードコム(米国) 456 10 LG電子(韓国) 37 10 中国情報産業部(中国) 3811 パナソニック 390 11 ブロードコム(米国) 33 11 ソニー 3612 マーベル(米国) 384 12 ノキア(フィンランド) 32 12 ノキア(フィンランド) 3513 日本電気 357 13 ソニー 28 13 電子科技大学(中国) 3314 NTTドコモ 343 14 富士通 27 14 西安電子科技大学(中国) 2615 ノキア(フィンランド) 292 14 エリクソン(スウェーデン) 27 14 ハルビン工業大学(中国) 2616 富士通 284 16 ZTE(中国) 26 16 NTTドコモ 2517 ソニー 254 17 日本電信電話 23 17 東南大学(中国) 2418 シャープ 238 18 東芝 21 18 日本電気 2219 インターデジタル(米国) 228 19 NTTドコモ 20 19 エイ・ティ・アンド・ティ(米国) 2120 大唐移動通信(中国) 201 20 アップル(米国) 19 20 日本電信電話 2021 西安電子科技大学(中国) 177 21 韓国科学技術院(韓国) 18 20 北京信威通信技術(中国) 2022 東芝 175 22 三菱電機 14 22 富士通 1623 三菱電機 174 23 シスコ テクノロジー (米国) 12 22 三菱電機 1624 テキサス・インスツルメンツ(米国) 167 23 アルカテル・ルーセント(フランス) 12 22 コーニング(米国) 1625 ノキア・シーメンス(フィンランド) 156 25 テキサス・インスツルメンツ(米国) 11 22 フェースブック(米国) 1626 韓国科学技術院(韓国) 154 26 フィリップス(オランダ) 9 22 韓国科学技術院(韓国) 1627 アップル(米国) 145 26 ノキア・シーメンス(フィンランド) 9 27 モトローラ(米国) 1528 日本電信電話 141 28 モトローラ(米国) 8 27 南京郵電大学(中国) 1529 京セラ 137 28 トムソン ライセンシング(フランス) 8 27 中国移動通信(中国) 1530 東南大学(中国) 135 28 大唐移動通信(中国) 8 30 パナソニック 14
30 華南理工大学(中国) 1430 ハルビン工程大学(中国) 14
日米欧中韓へのファミリー出願(2003-2015) 日米欧中韓へのファミリー出願(2006年) 日米欧中韓へのファミリー出願(2015年)
- 36 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
第 5 章 研究開発動向
第 1 節 概要
1. 調査方法
(1) 調査対象技術
第 4 部「特許出願動向」における第 2 章第 1 節 1.に記された調査対象技術と同様、
「MIMO 技術」の分野について、プリコーディング、信号検出、多重化技術、アンテナ
制御等の要素技術及びそれらの関連技術を調査対象とする。
(2) 調査対象寄書
調査対象として、3GPP の RAN WG1(Radio Access Network Working Group1)に 2006
年から 2016 年までに提案された寄書から、MIMO に関連するとみられる 7,465 件、及
び IEEE802.11 の TGn、TGac、TGad、TGax 及び TGay に 2006 年から 2016 年までに提出
された寄書から MIMO に関連するとみられる 2,103 件について調査を行った。
(3) 調査範囲
●3GPP に関する標準化関連文書の調査範囲
・対象期間 2006 年~2016 年(発行年ベース)
・詳細解析対象文書数 約 6,500 件
●IEEE に関する標準化関連文書の調査範囲
・対象期間 2004 年~2016 年(発行年ベース)
・詳細解析対象文書数 約 2,000 件
3GPP に関する標準化関連文書の検索条件の概要を図 5-1 に、IEEE 802.11 に関する
標準化関連文書の検索条件の概要を図 5-2 にそれぞれ示す。
図 5-1 検索条件(3GPP RAN WG1)
②MIMOに関連する下記の用語がタイトルに記載された寄書
<母集団(3GPP関連の寄書)>
<調査対象文献(3GPP関連の寄書)>
• 詳細解析対象文書数:約7,500件
• 対象期間:2006年~2016年(発行年ベース)
①通信技術の物理層に関する標準規程が記載された寄書(上記技術の標準規程を策定するR1に提出された寄書)
関連要素技術 技術キーワード
MIMO *MIMO
Massive MIMO Massive OR FD(Full Dimension) OR 3D
MU-MIMOmulti user OR MU
block diagonal
ハイブリッドビームフォーミング hybrid beamform
ハイブリッドビームフォーミング(コードブック型プリコーディング)
codebook
ハイブリッドビームフォーミング(非コードブック型プリコーディング)
Non linear precode
Dirty paper coding
Tomlinson Harashima
vector perturbation
偏波Polarization OR cross polarize OR horizontal OR vertical
信号分離
MMSE
MLD
SIC
zero forcing
非直交多重
NOMA(Non Orthogonal Multiple Access)
IDMA(Interleave Division Multiple Access)
SPC(SuperPosition Coding)
MUST(Multi-User Shared Access)
- 37 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
図 5-2 検索条件(IEEE802.11)
2. 技術区分表
各寄書について、第 4 章第 2 節 2.技術区分表の表 4-1 に示す技術区分表中の各小分類
を付与した。
②MIMOに関連する下記の用語が記載された寄書
<母集団(IEEE関連の寄書)>
<調査対象文献(IEEE関連の寄書)>
• 詳細解析対象文書数:約2,100件
• 対象期間:2006年~2016年(発行年ベース)
①IEEE802.11でMIMOの検討を行っている、TGn、TGac、TGad、TGax及びTGayに提出された寄書
関連要素技術 技術キーワード
MIMO multiple input OR multiple output OR MIMO
Massive MIMO Full Dimension
MU-MIMO
multi user
block diagonal
spatial division OR SDM OR SDMA
ハイブリッドビームフォーミングsteering
Beam form
ハイブリッドビームフォーミング(コードブック型プリコーディング)
Precode OR PMI
Code book
ハイブリッドビームフォーミング(非コードブック型プリコーディング)
Tomlinson Harashima OR THP
dirty paper
vector perturbation
偏波Polarization OR cross polarize OR horizontal OR vertical
信号分離
Minimum mean OR MMSE
maximum likelihood detection OR MLD
sphere decoding
Successive interference cancel OR SIC
zero forcing
IoT技術(MIMO関連に限定) (IoT OR M2M OR D2D OR MTC) AND MIMO
IEEE特有のMIMO関連用語
Training field OR STF OR LTF OR Data field OR signal field
null data packet OR NDP OR sounding OR parser OR parsing
- 38 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
第 2 節 全体動向調査
1. 全体動向調査
(1) 研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率(3GPP)
図 5-3 研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率
(提出先:3GPP、提出年:2006-2016 年)
(2) 研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率(IEEE802.11)
図 5-4 研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率
(提出先:IEEE802.11、提出年:2006-2016 年)
日本国籍
894件
12.3%
米国籍
1,530件
21.0%
欧州国籍
1,478件
20.3%
中国籍
1,526件
20.9%
韓国籍
1,262件
17.3%
その他
599件
8.2%
525
738
425
1,081
1,172
514
354 374
201
1,074
831
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
0
50
100
150
200
250
300
350
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
所属機関国籍別寄書件数
提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
提出年 2006-2016年
所属機関国籍
合計件数
合計7,289件
日本国籍
159件
8.5%
米国籍
1,179件
63.2%
欧州国籍
95件
5.1%
中国籍
136件
7.3%
韓国籍
193件
10.3%
その他
104件
5.6%
合計1,866件
171 145
45
149
213
221
163
25
76
184
474
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
500
0
50
100
150
200
250
300
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
所属機関国籍別寄書件数
提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
提出年 2006-2016年
所属機関
合計件数
- 39 -
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第2部
第3部
第4部
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第 3 節 技術区分別標準規格・提案動向調査
1. 技術区分別標準規格・提案動向調査
(1) 中分類:無線要素技術(A5) 小分類:偏波(A5i)
図 5-5 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率 (提出先:3GPP、偏波(無線要素技術)、提出年:2006-2016 年)
図 5-6 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率 (提出先:IEEE802.11、偏波(無線要素技術)、提出年:2006-2016 年)
(2) 中分類:無線要素技術(A5) 小分類:Massive MIMO(A5j)
図 5-7 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率 (提出先:3GPP、Massive MIMO(無線要素技術)、提出年:2006-2016 年
図 5-8 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率
(提出先:IEEE802.11、Massive MIMO(無線要素技術)、提出年:2006-2016 年)
15
55
14
88 85
46
6
127
66
178
47
0
30
60
90
120
150
180
0
10
20
30
40
50
60
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年
日本国籍
79件
10.9%
米国籍
164件
22.6%
欧州国籍
161件
22.1%
中国籍
175件
24.1%
韓国籍
116件
16.0%
その他
32件
4.4%
合計727件
0 1 0
43
9
1 0 0
4 2
29
0
15
30
45
0
5
10
15
20
25
30
35
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年日本国籍
11件
12.4%
米国籍
54件
60.7%
欧州国籍
5件
5.6%
中国籍
8件
9.0%
韓国籍
4件
4.5%
その他
7件
7.9%
合計89件
5 4 0 2 1 7 1
94
131
543
297
0
60
120
180
240
300
360
420
480
540
600
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
200
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年日本国籍
116件
10.7%
米国籍
159件
14.7%
欧州国籍
152件
14.0%
中国籍
348件
32.1%
韓国籍
257件
23.7%
その他
53件
4.9%
合計1,085件
0 0 0 0 0
1
0 0 0 0
7
0
1
2
3
4
5
6
7
0
1
2
3
4
5
6
7
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年日本国籍
0件
0.0% 米国籍
0件
0.0%
欧州国籍
2件
25.0%
中国籍
5件
62.5%
韓国籍
0件
0.0%
その他
1件
12.5%
合計8件
- 40 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(3) 中分類:無線要素技術 小分類:MU-MIMO(A5k)
図 5-9 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率
(提出先:3GPP、MU-MIMO(無線要素技術)、提出年:2006-2016 年)
図 5-10 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率 (提出先:IEEE802.11、MU-MIMO(無線要素技術)、提出年:2006-2016 年)
(4) 中分類:汎用伝送技術(A6) 小分類:非直交多重(A6g)
図 5-11 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率 (提出先:3GPP、非直交多重(汎用伝送技術)、提出年:2006-2016 年)
図 5-12 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率
(提出先:IEEE802.11、非直交多重(汎用伝送技術)、提出年:2006-2016 年)
85
153
120
312
488
117
14 55 39
140
115
0
80
160
240
320
400
480
560
0
20
40
60
80
100
120
140
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年日本国籍
246件
15.0%
米国籍
377件
23.0%
欧州国籍
300件
18.3%
中国籍
325件
19.8%
韓国籍
279件
17.0%
その他
111件
6.8%
合計1,638件
1 0 0
58
87 95
10 7 23
88
155
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年日本国籍
48件
9.2%
米国籍
273件
52.1%
欧州国籍
23件
4.4%
中国籍
44件
8.4%
韓国籍
94件
17.9%
その他
42件
8.0%
合計524件
3 0 0 0 0 0 0 0 0
32
25
0
4
8
12
16
20
24
28
32
36
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年
日本国籍
16件
26.7%
米国籍
24件
40.0%
欧州国籍
6件
10.0%
中国籍
5件
8.3%
韓国籍
1件
1.7%その他
8件
13.3%
合計60件
0 0 0
1
0 0 0 0 0
2
0 0
1
2
3
0
1
2
3
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年日本国籍
0件
0.0%
米国籍
0件
0.0%欧州国籍
1件
33.3%
中国籍
2件
66.7%
韓国籍
0件
0.0%
その他
0件
0.0%
合計3件
- 41 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(5) 中分類:応用分野(A8) 小分類:ミリ波等の利用(A8a)
図 5-13 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率 (提出先:3GPP、ミリ波等の利用(応用分野)、提出年:2006-2016 年)
図 5-14 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率
(提出先:IEEE802.11、ミリ波等の利用(応用分野)、提出年:2006-2016 年)
(6) 中分類:応用分野(A8) 小分類:IoT/M2M/MTC(A8f)
図 5-15 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率 (提出先:3GPP、IoT/M2M/MTC(応用分野)、提出年:2006-2016 年)
図 5-16 技術区分別研究者所属機関国籍別寄書件数推移及び寄書件数比率 (提出先:IEEE802.11、IoT/M2M/MTC(応用分野)、提出年:2006-2016 年)
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
61
0
15
30
45
60
75
0
5
10
15
20
25
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年日本国籍
1件
1.6%米国籍
7件
11.5%
欧州国籍
10件
16.4%
中国籍
21件
34.4%
韓国籍
19件
31.1%
その他
3件
4.9%
合計61件
0 0 0
56
91
33 32
0 0 0
139
0
20
40
60
80
100
120
140
0
10
20
30
40
50
60
70
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年日本国籍
43件
12.3%
米国籍
213件
60.7%欧州国籍
20件
5.7%
中国籍
25件
7.1%
韓国籍
26件
7.4%
その他
24件
6.8%
合計351件
1 0
2 2 2
27
56
17 18
37
30
0
6
12
18
24
30
36
42
48
54
60
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年日本国籍
20件
10.4%
米国籍
48件
25.0%
欧州国籍
32件
16.7%
中国籍
34件
17.7%
韓国籍
29件
15.1%
その他
29件
15.1%
合計192件
0 0 0 0 0 0 0 0
1
5
3
0
1
2
3
4
5
0
1
2
3
4
5
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
研究者所属機関国籍別寄書件数 提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
所属機関国籍
合計件数
提出年:2006‐2016年日本国籍
0件
0.0%
米国籍
4件
44.4%
欧州国籍
1件
11.1%
中国籍
4件
44.4%
韓国籍
0件
0.0%
その他
0件
0.0%
合計9件
- 42 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(7) 特徴的なグラフ
4G,5G などの無線通信システムにおいては新たな技術やネットワーク構成に変化が
見られる。例えば、MIMO の要素技術も MU-MIMO から Massive MIMO へと変遷している
(図 5-17)。
図 5-17 研究の注力分野についての変遷
160 305 202
421 506 246
113
143 60
703 455
64 141 48
96 24
29 17
1
3
8 68 0 0
4
82 144
67
31
51 51
581 390 92 72
27
106 48
12
6
10 2
41 19 50
235 145
429 464
125
40
199
17
367 233 144
286 109
352 115
49 13
65
66
146 81 0
0 0 0
0 0
0 0
0
0 57 15 55 14
88
85 46 6
127
66
178 47 5 4 0 2
1 7 1
94
131
543
297 85
153 120 312 488 117
14
55 39 140
115
0 0
7 172 53 69
25
4 2 10
24 137 206
81 185
164 91
75
14 0 30
53
44 99 27 80 140
17 7 8
7 47 90
12 35 34 66 118 36 14 8 18 125 113
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
技術区分別寄書件数比率
提出年
フィードバックあり フィードバックなし 参照信号 信号分離 コードブック型プリコーディング
非線形プリコーディング ビームフォーミング アナログBFとデジタルPC 偏波 Massive MIMO
MU‐MIMO 協調・中継伝送 ダイバーシチ リソース割当 その他の無線要素技術
提出年 2006-2016年
「アナログBFとデジタルPC」は、「アナログビームフォーミングとデジタルプリコーディング」の略。
- 43 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(7) 規格策定と寄書件数推移
コードブック型(CB 型)プリコーディング関連の特許出願件数は 2007 年と 2010 年
にピークが見られるが、これは 3GPP Rel.8 における 4×4 MIMO コードブック(検討
時期:2007 年-2008 年)、3GPP Rel.10 における 8×4 ダブルコードブック(検討時期:
2010 年)に、それぞれ対応した増加傾向であると考えられる(図 5-18)。
図 5-18 コードブックの規格策定と寄書件数推移
また、MU-MIMO技術について、2010年に出願件数のピークが見られ、これは3GPP Rel.9
での当該技術の採用(検討時期:2008 年-2010 年)、及び IEEE802.11ac での当該技
術の採用(検討時期:2009 年-2013 年)に対応した同様の増加傾向であると考えら
れる(図 5-19)。
図 5-19 MU-MIMO の規格策定と寄書件数推移
22 39 64
143
285 286 288
420
323 313 282 230
191
0
60
120
180
240
300
360
420
480
0
20
40
60
80
100
120
140
160
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
Rel-7 Rel-8
Rel-9
Rel-10
Rel-11Rel-12
Rel-13
Rel-14
LTE LTE-A
11ad
11ac
11ax
11ayIEEE
3GPP
BeyondLTE-A
11n
(1) コードブック
Rel-7 Rel-8
Rel-9
Rel-10
Rel-11Rel-12
Rel-13
Rel-14
LTE LTE-A
11ad
11ac
11ax
11ayIEEE
3GPP
BeyondLTE-A
11n
95 98
168 199
261
291
364
483
292 286 327 306 298
0
60
120
180
240
300
360
420
480
540
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
(2) MU-MIMO
- 44 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
第 4 節 研究者所属機別関寄書件数上位ランキング
(1) 3GPP 寄書
表 5-1 研究者所属機関別寄書件数上位ランキング (提出先:3GPP、提出年:2006-2016 年)
順位
提出機関名称 件数順位
提出機関名称 件数順位
提出機関名称 件数
1 サムスン電子(韓国) 719 1 クゥアルコム(米国) 54 1 サムスン電子(韓国) 1672 ファーウェイ(中国) 518 2 サムスン電子(韓国) 38 2 ZTE(中国) 843 クゥアルコム(米国) 515 3 ノーテル(カナダ) 37 3 大唐移動通信(中国) 814 エリクソン(スウェーデン) 462 4 エリクソン(スウェーデン) 33 4 ファーウェイ(中国) 755 LG電子(韓国) 411 5 NTTドコモ 32 5 エリクソン(スウェーデン) 666 大唐移動通信(中国) 366 6 大唐移動通信(中国) 31 6 ノキア(フィンランド) 657 ZTE(中国) 361 6 テキサス・インスツルメンツ(米国) 31 6 LG電子(韓国) 658 アルカテル・ルーセント(フランス) 348 8 モトローラ(米国) 30 8 NTTドコモ 519 ノキア(フィンランド) 283 9 ノキア(フィンランド) 29 9 インテル(米国) 44
10 モトローラ(米国) 278 10 インテル(米国) 28 10 クゥアルコム(米国) 4111 NTTドコモ 266 11 フィリップス(オランダ) 26 11 アルカテル・ルーセント(フランス) 3812 テキサス・インスツルメンツ(米国) 234 12 LG電子(韓国) 19 12 中国移動通信(中国) 3113 ノキア・シーメンス(フィンランド) 207 13 フリースケール(米国) 16 13 メディアテック(台湾) 2714 インテル(米国) 203 14 インターデジタル(米国) 13 13 韓国電子通信研究院(韓国) 2715 ノーテル(カナダ) 189 14 韓国電子通信研究院(韓国) 13 15 インターデジタル(米国) 2316 パナソニック 128 14 アルカテル・ルーセント(フランス) 13 16 日本電気 2217 日本電気 127 17 シーメンス(ドイツ) 10 17 富士通 1818 フィリップス(オランダ) 122 18 ファーウェイ(中国) 9 18 ソニー 1619 インターデジタル(米国) 120 19 日本電気 8 19 工業技術研究院 (台湾) 1520 富士通 94 20 RiT Technologies Ltd.(米国) 7 20 パナソニック 1321 メディアテック(台湾) 87 21 工業技術研究院 (台湾) 6 21 Beijing Xinwei Telecom Tech.(中国) 1222 中国移動通信(中国) 79 22 シャープ 4 22 中国電信研究院(中国) 1023 韓国電子通信研究院(韓国) 76 22 中華電信研究院(中国) 4 23 エヌビディア(米国) 924 シャープ 72 22 アイピーワイヤレス(米国) 4 24 China Telecom(中国) 825 三菱電機 60 22 ZTE(中国) 4 25 京セラ 626 ルネサス エレクトロニクス 55 22 パナソニック 4 25 INNOVATIVE SONIC CORP(米国) 626 ブラックベリー(カナダ) 55 22 東芝 4 27 シャープ 5
28 パンテック(韓国) 46 4件以上 28 資訊工業策進會(台湾) 429 マーベル(米国) 42 28 レノボ(中国) 430 工業技術研究院 (台湾) 38 28 ASUSTEK COMPUTER INC(米国) 4
28 中華電信研究院(中国) 4
4件以上
3GPPへの寄書(2006-2016) 3GPPへの寄書(2006) 3GPPへの寄書(2015)
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第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(2) IEEE 寄書
表 5-2 研究者所属機関別寄書件数上位ランキング (提出先:IEEE802.11、提出年:2006-2016 年)
順位
提出機関名称 件数順位
提出機関名称 件数順位
提出機関名称 件数
1 インテル(米国) 348 1 インテル(米国) 58 1 ニューラコム(米国) 432 クゥアルコム(米国) 197 2 クゥアルコム(米国) 19 2 マーベル(米国) 143 ブロードコム(米国) 153 2 ブロードコム(米国) 19 3 クゥアルコム(米国) 124 マーベル(米国) 136 4 ソニー 12 4 インテル(米国) 105 ニューラコム(米国) 95 5 コネクサント システムズ(米国) 8 4 LG電子(韓国) 106 ファーウェイ(中国) 94 6 モトローラ(米国) 6 6 インターデジタル(米国) 97 LG電子(韓国) 66 6 マーベル(米国) 6 6 ファーウェイ(中国) 98 メディアテック(台湾) 65 6 AMD(米国) 6 8 延世大学(韓国) 79 シスコ テクノロジー (米国) 57 9 エアゴーネットワークス(米国) 5 8 東芝 7
10 韓国電子通信研究院(韓国) 48 9 STマイクロエレクトロニクス(スイス) 5 10 エリクソン(スウェーデン) 511 日本電信電話 47 11 ファーウェイ(中国) 3 10 韓国科学技術院(韓国) 512 インターデジタル(米国) 39 11 ノキア(フィンランド) 3 10 ケイディディアイ 512 サムスン電子(韓国) 39 11 インターデジタル(米国) 3 13 ソニー 414 ソニー 31 14 シスコ テクノロジー (米国) 2 13 アルバネットワークス(米国) 415 ZTE(中国) 29 14 メタリンク(米国) 2 13 コンテナ(米国) 416 STマイクロエレクトロニクス(スイス) 22 14 アセロス・コミュニケーションズ(米国) 2 16 メディアテック(台湾) 317 コネクサント システムズ(米国) 19 14 三菱電機 2 16 九州工科大学 317 CSR(英国) 19 14 テキサス・インスツルメンツ(米国) 2 16 アップル(米国) 318 アップル(米国) 18 14 ナノラジオ(スウェーデン) 2 19 サリー大学(英国) 2
20 アセロス・コミュニケーションズ 16 件数:2件以上 19 韓国科学技術院(韓国) 220 エリクソン(スウェーデン) 16 19 ZTE(中国) 220 延世大学(韓国) 16 19 キヤノン 223 東芝 15 19 サムスン電子(韓国) 223 パナソニック 15 19 ブロードコム(米国) 2
25 モトローラ(米国) 14 件数:2件以上26 コンテナ(米国) 1326 韓国科学技術院(韓国) 1326 セレノ・コミュニケーションズ (イスラエル) 1329 情報通信研究機構 1230 フランステレコム(フランス) 11
IEEE802.11への寄書(2006-2016) IEEE802.11への寄書(2006) IEEE802.11への寄書(2015)
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第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
合計3,123件
第 6 章 重要出願人の特許戦略動向
第 1 節 概要
日本への特許出願件数の多い出願人及び IoT 関連企業の合計 13 者を、重要出願人の特
許出願戦略動向における調査対象とした。
カテゴリ別の重要出願人を表6-1に示す。また重要出願人の日本への出願件数を図 6-1
に示す。重要出願人による日本への特許出願件数の合計(3,123 件)は、日本への全出
願件数(5,569 件)の約 56%を占める。
表 6-1 重要出願人の一覧
カテゴリ 重要出願人
日本 NTT ドコモ、パナソニック、シャープ
米国 クゥアルコム、インターデジタル
欧州 エリクソン、ノキア
中国 ファーウェイ、ZTE
韓国 サムスン電子、LG 電子
IoT インテル、アップル
図 6-1 重要出願人別出願件数(出願先国:日本)
29
164
220
266
65
66
22
143
142
1,092
182
405
327
0 200 400 600 800 1,000 1,200
アップル(米国)
インテル(米国)
LG電子(韓国)
サムスン電子(韓国)
ZTE(中国)
ファーウェイ(中国)
ノキア(フィンランド)
エリクソン(スウェーデン)
インターデジタル(米国)
クゥアルコム(米国)
シャープ
パナソニック
NTTドコモ
優先権主張
2003~2015年
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第6部
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第1部
第2部
第3部
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要約
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第7部
資料編
第 2 節 重要出願人の出願動向
1. 出願ルートと出願先国
重要出願人の出願ルートおよび出願先国について表 6-2 に示す。表 6-2 においては重
要出願人ごとの PCT ルート1、パリルート2、国内優先利用3それぞれの出願件数と各社の
総出願数に対する各出願ルートへの出願件数の割合を示しているが、各ルートへの出願
件数の割合は、それぞれエリクソン、サムスン電子、アップルが多い。また優先権主張
を伴わない出願の割合は ZTE が多い。
出願先国については、単一国出願の割合は ZTE が高く、エリクソンが低い。
表 6-2 出願ルートと出願先国
※濃いピンクに塗られたセルは、重要出願人中で も出願件数の割合が多いもの
※薄いピンクに塗られたセルは、重要出願人中で比較的出願件数の割合が多いもの
※緑色に塗られたセルは、重要出願人中で も出願件数の割合が少ないもの
1PCT ルート: 特許協力条約(PCT)に基づいてなされる出願(優先権主張番号群の中に国コードが「WO」
が含まれる) 2 パリルート: パリ条約に基づく外国への直接出願(優先権主張番号群の中に発行国以外の国コードが含
まれる) 3国内優先: 別の国内出願を優先権主張の基礎としている出願
NTTドコモ 1,201 434 (36%) 277 (23%) 87 (7%) 403 (33%) 371 73 (19%) 267 (71%) 31 (8%)
パナソニック 1,464 720 (49%) 173 (11%) 161 (10%) 410 (28%) 427 138 (32%) 230 (53%) 59 (13%)
シャープ 569 194 (34%) 10 (1%) 54 (9%) 311 (54%) 250 103 (41%) 87 (34%) 60 (24%)
クアルコム(米国) 7,036 3,284 (46%) 916 (13%) 1,261 (17%) 1,575 (22%) 1,520 168 (11%) 1,060 (69%) 292 (19%)
インターデジタル(米国) 1,011 398 (39%) 242 (23%) 196 (19%) 175 (17%) 230 44 (19%) 156 (67%) 30 (13%)
エリクソン(スウェーデン) 2,609 1,515 (58%) 66 (2%) 157 (6%) 871 (33%) 812 51 (6%) 545 (67%) 216 (26%)
ノキア(フィンランド) 837 364 (43%) 89 (10%) 62 (7%) 322 (38%) 303 30 (9%) 175 (57%) 98 (32%)
ファーウェイ(中国) 2,466 1,037 (42%) 35 (1%) 206 (8%) 1,188 (48%) 1,006 267 (26%) 360 (35%) 379 (37%)
ZTE(中国) 1,571 365 (23%) 16 (1%) 21 (1%) 1,169 (74%) 832 412 (49%) 129 (15%) 291 (34%)
サムスン電子(韓国) 3,906 861 (22%) 1,384 (35%) 372 (9%) 1,289 (33%) 1,426 422 (29%) 901 (63%) 103 (7%)
LG電子(韓国) 3,654 1,895 (51%) 566 (15%) 173 (4%) 1,020 (27%) 1,181 254 (21%) 597 (50%) 330 (27%)
インテル(米国) 2,481 1,105 (44%) 274 (11%) 371 (14%) 731 (29%) 709 163 (22%) 398 (56%) 148 (20%)
アップル(米国) 429 217 (50%) 27 (6%) 110 (25%) 75 (17%) 121 58 (47%) 46 (38%) 17 (14%)
総計 29,234 12,389 (42%) 4,075 (13%) 3,231 (11%) 9,539 (32%) 9,188 2,183 (23%) 4,951 (53%) 2,054 (22%)
パリルート 国内優先 PCT+1か国
出願ルート(全出願) 出願先国(全ファミリー)
総計優先あり
優先なし 総計 単一国 複数国PCTのみ
PCTルート
優先権主張
2003~2015年
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本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
2. 特許制度活用状況
日本への出願と米国への出願における特許制度の活用状況を表 6-3 に示す。
日本への出願においては、分割を積極的に利用している主な出願人は米国籍(インタ
ーデジタル、アップル、クゥアルコム)である。また、早期審査を利用する主な出願人
は、クゥアルコム、NTT ドコモ、パナソニックである。
米国への出願におては、継続出願の利用率はファーウェイとアップルが高い。
仮出願の利用率は、インターデジタル、LG 電子が高く、パナソニック、シャープが低
い。
表 6-3 特許制度活用状況
※濃いピンクに塗られたセルは、重要出願人中で も出願件数が多いもの
※薄いピンクに塗られたセルは、重要出願人中で比較的出願件数が多いもの
※緑色に塗られたセルは重要出願人中で も出願件数が少ないもの
日本への出願 米国への出願
出願件数 審査請求数 出願件数
全体 分割全体
(対全出願)早期
(対全審査請求)全体 継続 一部継続 仮出願 分割 早期
NTTドコモ 327 24 (7%) 282 (86%) 19 (6%) 204 10 (4%) 0 (0%) 39 (19%) 6 (2%) 2 (0%)
パナソニック 405 102 (25%) 335 (82%) 21 (6%) 376 137 (36%) 0 (0%) 19 (5%) 31 (8%) 3 (0%)
シャープ 182 14 (7%) 130 (71%) 6 (4%) 124 7 (5%) 2 (1%) 9 (7%) 7 (5%) 2 (1%)
クゥアルコム(米国) 1,093 329 (30%) 1,050 (96%) 90 (8%) 1,586 139 (8%) 32 (2%) 1,230 (77%) 95 (5%) 8 (0%)
インターデジタル(米国) 142 60 (42%) 141 (99%) 1 (0%) 242 82 (33%) 3 (1%) 239 (98%) 5 (2%) 0 (0%)
エリクソン(スウェーデン) 143 10 (6%) 141 (98%) 5 (3%) 724 107 (14%) 21 (2%) 282 (38%) 19 (2%) 3 (0%)
ノキア(フィンランド) 22 2 (9%) 22 (100%) 0 (0%) 238 9 (3%) 5 (2%) 58 (24%) 1 (0%) 0 (0%)
ファーウェイ(中国) 66 6 (9%) 66 (100%) 1 (1%) 508 300 (59%) 5 (0%) 138 (27%) 7 (1%) 24 (4%)
ZTE(中国) 65 2 (3%) 65 (100%) 1 (1%) 123 3 (2%) 1 (0%) 17 (13%) 0 (0%) 8 (6%)
サムスン電子(韓国) 266 41 (15%) 250 (93%) 0 (0%) 1,155 142 (12%) 6 (0%) 357 (30%) 7 (0%) 6 (0%)
LG電子(韓国) 220 39 (17%) 214 (97%) 0 (0%) 1,032 274 (26%) 2 (0%) 934 (90%) 11 (1%) 22 (2%)
インテル(米国) 163 28 (17%) 163 (100%) 0 (0%) 782 178 (22%) 18 (2%) 360 (46%) 16 (2%) 14 (1%)
アップル(米国) 29 9 (31%) 29 (100%) 0 (0%) 202 112 (55%) 9 (4%) 122 (60%) 14 (6%) 1 (0%)
総計 3,123 666 (21%) 2,888 (92%) 144 (4%) 7,296 1,500 (20%) 104 (1%) 3,804 (52%) 219 (3%) 93 (1%)
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第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
3. 国際調査結果の利用
国際調査1の結果の利用について調査した結果について、表 6-4 に示す。
PCT 出願における国際予備審査請求を利用する主要な出願人は、インターデジタルと
クゥアルコムであった。また、日本への出願における国際調査に基づく自発補正を行う
主要な出願人は、ファーウェイ、インターデジタルと LG 電子であった。国際調査結果の
利用に関しては、規格関連の出願2とそれ以外との間で大きな相違が見られなかった。
表 6-4 国際調査結果の利用状況
※濃いピンクに塗られたセルは、重要出願人中で も出願件数が多いもの
※薄いピンクに塗られたセルは、重要出願人中で比較的出願件数が多いもの
※DO 出願:PCT から日本に国内移行した出願
※基礎出願:PCT 出願において優先権主張の基礎となっている日本出願
1 国際調査:特許の国際出願後に行われる特許の属する技術分野に関する調査。原則として、「国際特許」
として出願された全ての出願に関して行われる。 2 規格関連の出願:調査対象の出願の内、表 4-1 技術区分表により「標準規格」に分類された出願
MIMO分野全体のPCT出願全体 規格関連のPCT出願件数MIMO全体のDO出願+基礎出願
(出願先:日本)規格関連のDO出願+基礎出願
(出願先:日本)
全体 予備審査 全体 予備審査 全体 自発補正 全体 自発補正
NTTドコモ 190 9 (4%) 96 0 (0%) 184 42 (22%) 101 11 (10%)
パナソニック 260 7 (2%) 80 2 (2%) 218 129 (59%) 59 26 (44%)
シャープ 143 5 (3%) 66 4 (6%) 106 55 (51%) 54 34 (62%)
クゥアルコム(米国) 1,336 205 (15%) 766 121 (15%) 768 300 (39%) 417 177 (42%)
インターデジタル(米国) 172 55 (31%) 93 27 (29%) 82 57 (69%) 43 30 (69%)
エリクソン(スウェーデン) 764 67 (8%) 383 37 (9%) 135 56 (41%) 69 32 (46%)
ノキア(フィンランド) 251 0 (0%) 139 0 (0%) 22 6 (27%) 9 4 (44%)
ファーウェイ(中国) 733 0 (0%) 281 0 (0%) 56 51 (91%) 26 24 (92%)
ZTE(中国) 418 0 (0%) 152 0 (0%) 63 20 (31%) 28 9 (32%)
サムスン電子(韓国) 507 2 (0%) 245 1 (0%) 160 53 (33%) 69 21 (30%)
LG電子(韓国) 885 0 (0%) 415 0 (0%) 171 111 (64%) 88 58 (65%)
インテル(米国) 506 2 (0%) 297 0 (0%) 129 29 (22%) 75 18 (24%)
アップル(米国) 51 0 (0%) 27 0 (0%) 20 11 (55%) 13 7 (53%)
総計 6,216 352 (5%) 3,040 192 (6%) 2,114 920 (43%) 1,051 451 (42%)
- 50 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
4. 出願人国籍と ISA(国際調査機関)との対応関係
日、中、韓の出願人は自国を ISA に指定するケースがほとんどである。米、フィンラ
ンド、スウェーデンの出願人は欧州特許庁(EPO)を指定するケースが大半である。特に、
米国籍出願人が自国を指定するケースは少ない。
規格関連の出願とそれ以外との間で、ISA 選択の相違は見られない。
図 6-2 出願人国籍と ISA(国際調査機関)との対応関係(PCT 出願)全体
図 6-3 出願人国籍と ISA(国際調査機関)との対応関係(PCT 出願)規格関連
497 9
56 21 10
80 1,511 74 370 30
16 665 67
3 198 66
1 25 41 1,074
9 1
2 1,349
41
日本国籍
米国籍
フィンランド・
スウェーデン国籍
中国籍
韓国籍
JP US EP CN KR FI・SE その他
自国
国際調査機関(ISA)
出願人国籍
優先権主張
2003~2015年
213 4 13 11 1
31 870 49 222
11
6 353
37 3 93
30
10 14 404
4 1
1 650
9
日本国籍
米国籍
フィンランド・
スウェーデン国籍
中国籍
韓国籍
JP US EP CN KR FI・SE その他
自国
国際調査機関(ISA)
出願人国籍
優先権主張
2003~2015年
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第2部
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5. 重要出願人毎の特許戦略
(1) クゥアルコムの特許戦略
本調査における重要出願人の中でも、出願人別ファミリー件数 上位のクゥアルコ
ムについて、出願戦略を調査する。
表 6-5 技術区分毎の出願件数<クゥアルコム> 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
無
線
要
素
技
術
フィードバックあり 25 81 271 131 110 226 254 300 110 149 172 74 55
フィードバックなし 0 12 0 6 14 10 23 44 4 43 26 12 3
参照信号 2 64 116 39 54 81 158 130 60 65 116 50 34
信号分離 71 69 212 72 49 127 113 180 41 94 74 38 25
コードブック型プリコーディ
ング 0 27 49 1 42 114 88 83 55 63 74 48 20
非線形プリコーディング 9 36 43 12 63 76 54 120 35 39 39 35 15
ビームフォーミング 23 23 194 67 165 272 372 443 266 355 324 238 125
アナログビームフォーミング
とデジタルプリコーディング 0 0 0 0 0 0 2 12 2 27 15 15 2
偏波 0 14 0 3 0 15 0 0 0 6 0 7 6
Massive MIMO 0 0 0 0 0 11 6 0 0 0 14 0 0
MU-MIMO 37 23 191 117 26 168 247 340 126 81 241 148 81
協調・中継伝送 9 8 14 12 0 140 165 100 117 141 114 55 22
ダイバーシチ 70 120 143 39 47 91 161 228 144 320 295 154 67
リソース割当 37 39 135 31 64 119 148 200 115 168 177 95 44
その他の無線要素技術 35 38 131 27 35 163 99 27 80 66 117 76 40
応
用
分
野
ミリ波等の利用 0 0 0 0 15 49 0 0 1 18 4 48 12
マルチバンド・広帯域 14 25 110 0 0 36 26 31 34 54 31 26 13
見通し内通信 0 20 0 0 0 0 5 0 16 5 0 4 2
デジタル放送 14 7 36 0 7 13 11 48 19 34 25 11 6
LPWA 2 0 0 0 0 0 6 0 26 30 43 18 12
IoT/M2M/MTC 0 0 0 13 0 0 0 0 2 33 20 12 9
有線通信 0 1 0 0 0 0 2 0 0 0 2 0 2
その他の応用分野 0 47 71 20 23 67 73 104 50 48 84 60 22
出願件数 160 298 571 307 341 753 877 890 558 638 780 568 289
- 52 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
規格提案の策定の時期に関わらず、常に一定以上の水準で特許出願がなされていて
おり、常に出願水準を維持するクゥアルコムの出願姿勢は、日、欧、中、韓の出願傾
向と異なる点がある(図 6-4,図 6-5)。
図 6-4 3GPP への各国からの寄書提案の推移とクゥアルコムの出願件数推移
図 6-5 要素技術分野別推移(クゥアルコム)
525
738
425
1,081
1,172
514
354 374
201
1,074
831
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
0
50
100
150
200
250
300
350
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
所属機関国籍別寄書件数
提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
提出年 2006-2016年
所属機関国籍
合計件数
36
59
117
48 58
136
158 162
108
158
195
176
161
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
200
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
優先権主張 2003-2015年
3GPP提案件数
クゥアルコムの出願件数推移
FBあり
28件
16.4%
FBなし
0件
0.0%
参照信号
13件
7.6%
信号分離
24件
14.0%
CB型PC
7件
4.1%
非線形PC
6件
3.5%
Beam Form
26件
15.2%
ハイブリッド
0件
0.0%
偏波
0件
0.0%
Massive MIMO
0件
0.0%
MU-MIMO
25件
14.6%
協調・中継
2件
1.2%
ダイバーシチ
20件
11.7%
リソース割当
10件
5.8%その他
10件
5.8%
FBあり
28件
9.8%
FBなし
2件
0.7%
参照信号
17件
6.0%
信号分離
14件
4.9%
CB型PC
10件
3.5%
非CB型PC
8件
2.8%
Beam Form
67件
23.5%
ハイブリッド
1件
0.4%
偏波
3件
1.1%
Massive MIMO
0件
0.0%
MU-MIMO
44件
15.4%
協調・中継
11件
3.9%
ダイバーシチ
36件
12.6%
リソース割当
23件
8.1%
その他
21件
7.4%
2005年 2015年
合計
171件
合計
285件
- 53 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
(2) プレイヤー毎の特許戦略
プレイヤー毎に注力する分野も異なっているものと推察される(図 6-7,図 6-8)。
図 6-6 要素技術分野別推移(ネットワーク機器を製造する4社合計)
図 6-7 要素技術分野別推移(端末装置を製造する7社合計)
2006年 2015年
FBあり
9件
12.3%
FBなし
1件
1.4%
参照信号
4件
5.5%
信号分離
5件
6.8%
CB型PC
1件
1.4%
非線形PC
4件
5.5%
Beam Form
20件
27.4%
アナログBFと
デジタルPC
0件
0.0%
偏波
2件
2.7%
Massive MIMO
0件
0.0%
MU-MIMO
4件
5.5%
協調・中継
2件
2.7%
ダイバーシチ
11件
15.1%
リソース割当
5件
6.8%その他
5件
6.8%
合計
73件
FBあり
61件
15.2%
FBなし
2件
0.5%
参照信号
35件
8.7%
信号分離
15件
3.7%
CB型PC
41件
10.2%
非線形PC
34件
8.5%
Beam Form
95件
23.6%
アナログBFと
デジタルPC
5件
1.2%
偏波
9件
2.2%
Massive
MIMO
6件
1.5%
MU-MIMO
31件
7.7%
協調・中継
13件
3.2%
ダイバーシチ
23件
5.7%
リソース割当
18件
4.5%
その他
14件
3.5%
合計
402件
FBあり
94件
15.9%
FBなし
5件
0.8%
参照信号
30件
5.1%
信号分離
67件
11.3%
CB型PC
25件
4.2%
非CB型PC
31件
5.2%
Beam Form
102件
17.2%
ハイブリッド
2件
0.3%
偏波
3件
0.5%
Massive MIMO
0件
0.0%
MU-MIMO
56件
9.5%協調・中継
5件
0.8%
ダイバーシチ
103件
17.4%
リソース割当
25件
4.2% その他
44件
7.4%
FBあり
103件
13.0%
FBなし
13件
1.6%
参照信号
59件
7.5%信号分離
28件
3.5%
CB型PC
39件
4.9%
非CB型PC
33件
4.2%
Beam Form
158件
20.0%
ハイブリッド
5件
0.6%
偏波
16件
2.0%
Massive MIMO
10件
1.3%
MU-MIMO
86件
10.9%
協調・中継
30件
3.8%
ダイバーシチ
106件
13.4%
リソース割当
64件
8.1%
その他
41件
5.2%
2005年 2015年合計
592件
合計
791件
- 54 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
第 3 節 重要出願人の注目特許
表 6-6 に分割出願件数に着目した注目特許について規格関連(引用文献に標準化の文
献を含む)の出願を含む DWPI ファミリーであって、分割出願の件数が多い上位 8 位まで
(出願件数としては 14 件)を示す。パナソニック、インターデジタル、クゥアルコムか
らの出願に分割出願の利用が多くみられる。
表 6-7 に被引用回数に着目した注目特許について、規格関連の出願を含む DWPI ファミ
リーであって、それに含まれる出願が審査官により引用された回数の合計が多い上位 10
位まで(出願件数としては 11 件)を示す。11 件中、インターデジタルによる出願が 6
件を占めている。
表 6-6 分割出願数の上位ランキング
表 6-7 引用回数の上位ランキング(特許)
- 55 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
第 4 節 重要出願人の注目寄書
(1) 注目寄書
重要出願人が提案している注目寄書として、以下の条件で注目寄書を選定した。
・注目寄書の選定範囲:2006 年から 2016 年までの 3GPP 寄書
・選定基準:本調査の調査対象出願が引用した回数が多い 3GPP 寄書
(引用回数の上位 20 位タイ(23 件))
表 6-8 調査対象特許からの引用回数が多い標準規格提案(3GPP)
ドコ
モ
パナ
ソニ
ック
シャ
-プ
クア
ルコ
ム
イン
ター
デジ
タル
エリ
クソ
ン
ノキ
ア
ファ
ーウ
ェイ
ZTE
サム
スン
電子
LG
電子
イン
テル
アッ
プル
TI
その
他1
39 ●R1-112420 2011年8月
Considerations on CSI feedback enhancements forhigh-priority antenna configurations
230 ●
R1-082469 2008年7月LTE-Advanced – Coordinated Multipointtransmission/reception
2 30 ● R1-102104 2010年4月 Possible Refinement on 8Tx Codebook Design
426 ● R1-082501 2008年7月
DL Collaborative MIMO: DL Collaborative MIMO for LTE-A
525 ● R1-104737 2010年8月
On the benefits of Uplink Closed Loop TransmitDiversity
622 ● R1-104914 2010年8月
Options for uplink closed loop TX diversity &beamforming
7 21 ● R1-071044 2007年2月 Precoding Considerations in LTE MIMO Downlink8 16 ● R1-061819 2006年6月 Overhead reduction of UL CQI signalling for E-UTRA DL8 16 ● ● ● R1-063345 2006年11月 CDD-based Precoding for E-UTRA downlink MIMO8 16 ● R1-111763 2011年3月 4-branch MIMO for HSDPA11 15 ● R1-082497 2008年7月 Network MIMO Precoding
1115 ●
R1-090875 2009年2月Link analyses for RS structure in support of higher orderMIMO
11 15 ● R1-102387 2010年4月 Multiplexing scheme with UCI and data on PUSCH14 14 ● R1-062314 2006年8月 Generalized CDD scheme for E-UTRA downlink MIMO14 14 ● R1-071573 2007年3月 Uplink data-non-associated control signalling
1414 ●
R1-082886 2008年8月Inter-Cell Interference Mitigation Through LimitedCoordination
14 14 ● R1-090070 2009年1月 Resource Mapping Issues on JP transmission in CoMP18 13 ● ● ● ● ● * R1-081565 2008年4月 Refinement on MIMO Precoding Schemes18 13 ● R1-101742 2010年4月 Further refinements of feedback framework
1813 **
R1-105111 2010年8月36.213 DraftCR (Rel-10, B) Introduction of Rel-10 LTE-Advanced features
21 12 ● R1-082496 2008年7月 UL SU-MIMO for E-UTRA21 12 ● R1-084400 2008年11月 Further considerations for COMP operation
2112 ●
R1-100852 2010年2月PMI-based multi-granular feedback for SU/MU-MIMOoperation
●は当該寄書の提案者であることを示す 注:Alcatel-LucentはNokiaに買収されたので、ノキアとみなして表示している* 富士通、NEC、モトローラ ** モトローラ 今回の調査の対象に含まれていない寄書
韓国 IoT関連
寄書番号 提案時期 タイトル順位
被参照回数
日本 米国 欧州 中国
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第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
表 6-8 を参照すると、引用回数の多い寄書を も多く提案している企業はエリクソ
ンである。表 6-8 の調査対象特許からの引用回数の注目寄書上位ランキングにおける
注目寄書の引用分布状況を図 6-8 に示す。引用回数の多い寄書を も多く提案してい
る企業であるエリクソンに着目すると、自社出願からの引用が多く、他の重要出願人
の出願からも多く引用されていることが分かる。
図 6-8 注目寄書の引用分布状況
- 57 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
第 7 章 総合分析と提言
提言1 世界市場におけるサービスの展開を見据えた技術開発
4G,5G の無線通信システムや無線 LAN で用いられる MIMO 技術を搭載した通信機器の市場
は、端末市場、基地局市場ともに今後成長が見込めると考えられ、知的財産権、端末・基地
局製品、それらを用いたサービスの市場として有望である。
今後の世界市場における人口動態や携帯端末の普及率を見据えたサービス展開をすること
が必要である。
提言 2 日本の技術優位性を生かした製品開発・事業戦略
(1) 次世代無線システムへの対応
4G,5G などの無線通信システムにおいては新たな技術やネットワーク構成に変化が見られ
る。例えば、MIMO の要素技術も MU-MIMO から Massive MIMO へと変遷しており、ヘテロジー
ニアスネットワークの導入により、スモールセルの重要性が増大している。
スモールセルでは、広帯域な周波数スペクトルが確保できるミリ波帯の適用が想定される。
ミリ波帯を用いた MIMO 技術は近年出願が増加している。ミリ波通信においてカバレッジエリ
アの確保に必須技術である多数アンテナを実装する Massive MIMO も、近年出願が増加してい
る。これらの技術について出願の増加時期は標準化活動においてこれらの技術が検討される
時期と連動している。とりわけ、Massive MIMO におけるビームフォーミング技術、ビームフ
ォーミング制御に必須なフィードバック制御に関する出願件数が増大している。また、
Massive MIMO のビームフォーミングの有効な実現方法の 1 つであるアナログ・デジタル処理
を組み合わせたハイブリッド・ビームフォーミングの出願件数も近年急増している。これら
のビームフォーミングに関する技術分野では日本企業が得意とする RF デバイス技術の優位
性を活かせることが期待できる。
今後、複数の無線規格やミリ波帯などの高周波数の周波数スペクトルに対応した次世代無
線システム・機器の需要が高まることが予想されることから、これらの技術動向を注視しつ
つ研究開発や製品開発を積極的に推し進めていく必要があると考えられる。
(2) IoT 機器など多様化する新たなデバイスへの対応
IoT機器と接続する MTC(Machine-Type Communications)への MIMO技術の適用の出願数が増
加している。特に、カバレッジエリアの拡大、あるいは多数の IoT 機器を収容するための空
間多重(SDM)を目的としたビームフォーミング、非直交多重アクセス等の出願が近年急増し
ている。
今後、拡大が見込まれる IoT 機器の市場において非直交多重アクセス技術、日本企業が比
較的出願に注力していると思われる非線形プリコーディングや参照信号に関するビームフォ
ーミングなどの標準化関連技術・実装技術についても、研究開発や製品開発を積極的に推し
進めていく必要があると考えられる。
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第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
提言 3 標準化活動と各国特許制度とに応じた特許戦略
4G,5G,無線 LAN の無線通信システムの標準化が進められている MIMO 技術においては、自社
の提案・支持する方式の採用や、規格関連の特許権の取得が重要である。このため、規格を
策定するための提案文書である寄書の件数とその対応する出願件数は、いずれも規格が策定
される前に共に増加傾向を示している。これらの無線通信システムは時代とともに進化を遂
げており、その背景には、MU-MIMO、Massive MIMO などの要素技術の高度化がある。日本企
業は、その他の出願と比較して、規格関連出願に注力している。各企業では様々な出願戦略
をとっているところ、近年では中国企業の出願・寄書の増加が目覚ましく、業界における主
なプレイヤーの構成も変化してきている。将来的な要素技術の高度化の方向を見据えて全世
界で絶え間なく行われる研究開発競争の中、日本企業は標準化活動の成果となる標準化関連
出願や、実装技術に関する出願を、今後も継続的に行っていくことが重要である。とりわけ、
研究開発や標準化活動の結果として新たな技術が生まれる蓋然性の高い技術分野について
は、クゥアルコムを代表とする米国企業のように寄書が減少する時期においても積極的に出
願し続けるという出願戦略を参考にしてはどうか。
また、MIMO 技術における出願戦略として、重要出願人は、分割出願(日本)、仮出願(米国)
の利用比率が各国の平均に比べて極めて高い。MIMO 技術、無線インターフェイスの将来の標
準化関連技術・実装技術について、必要な特許権を確実に取得すべく各国特許制度を研究し
積極的に活用することが重要である。
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第8部
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本編
第1部
第2部
第3部
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要約
目次
第5部
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資料編
提言1 世界市場におけるサービスの展開を見据えた技術開発
4G,5G の無線通信システムや無線 LAN で用いられる MIMO 技術を搭載した通信機器の市場
は、端末市場、基地局市場ともに今後成長が見込めると考えられ、知的財産権、端末・基地
局製品、それらを用いたサービスの市場として有望である。
今後の世界市場における人口動態や携帯端末の普及率を見据えたサービス展開をすること
が必要である。
世界の無線通信システムを用いるモバイルデバイスからのトラフィックは、セルラー
及びセルラーから固定ネットワークへのオフロードトラフィック共に増加する予測であ
り(図 7-1)、電波関連産業の市場規模も増加する予測(図 7-2)となっている。
図 7-1 世界のトラフィックの予測1
図 7-2 電波関連産業の市場規模予測2
1出典:Cisco Visual Networking Index: Global Mobile Data Traffic Forecast Update, 2016–2021、CISCO、
2017 年 2 月 7 日 2 出典:2020 年代に向けた電波関連産業の動向について、株式会社三菱総合研究所 2014 年 10 月 6 日
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第8部 第6部
本編
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第2部
第3部
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要約
目次
第5部
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資料編
このような状況の中、大容量無線通信システムを支える MIMO 技術は、継続的に研究開
発がなされ、その研究開発の結果としての特許出願件数(PCT)も着実に増加している(図
7-3)。
図 7-3 出願人国籍別 PCT 出願件数推移及び出願件数比率 (PCT 出願、優先権主張 2003-2015 年)
MIMO 技術は 4G,5G, 無線 LAN の無線通信技術における主要な技術である。MIMO 技術
を搭載した通信機器の市場は今後も成長が見込まれている(図 7-2)。また、4G,5G にお
ける移動無線通信システムは、マクロセルとスモールセルとが混在するヘテロジーニア
スなネットワークにより構成されるが、スモールセル市場は成長しており(図 7-4)、こ
の傾向は今後も続くものとみられている。
図 7-4 スモールセルの世界市場の推移及び予測1
1 平成 29 年情報通信白書 2017 年 7 月、総務省、P136、図表 3-3-3-15
世界のスモールセル市場(出荷金額)の推移及び予測
178
311 411
487 533
688
885
1,021
910 1,007 992 1,025
1,190
0
150
300
450
600
750
900
1,050
1,200
1,350
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別出願件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
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要約
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資料編
世界的に見ると、表 7-1 に示す上位 14 か国について、LTE に関する普及状況を調査し
た結果からも、LTE の普及が進んでいるのは先進国が中心であり、新興国や発展途上国
等では人口が多い国でも低い普及率にとどまっている国が少なくない。これらの国では、
今後 4G,5G の端末・基地局製品、ネットワークの市場の成長する余地が大きい有望な市
場となっている。今後、これらの国々の人口の動態や携帯端末の普及率を見据えたサー
ビス展開が必要である。
表 7-1 LTE の国別普及状況(2016 年のモバイルセルラーホン加入者が 1 億以上の国)1
表内の(注)は脚注にて示す。
1 注 1:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2016 より
注2:日本以外は世界情報通信事情 http://www.soumu.go.jp/g-ict/index.html より
注3:日本以外は世界情報通信事情 http://www.soumu.go.jp/g-ict/index.html より
注4:総務省電気通信サービスの契約者数及びシェアに関する四半期データの公表(平成 28 年度第 4 四半
期(3 月末))http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000123.html より
注5:総務省人口推計-平成 29 年 4 月報 - http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201704.pdf より
全体(注1)
(2016年)
LTE(年は右記)
中国 1,364.9 225.5 16.8% 2015年6月現在2億2,547万 13億4,134万人(2015年)
インド 1,127.8 ー ー 2015年10月現在国内300都市でサービスを展開 12億2,461万人(2015年)
米国 416.7 158.9 51.2% 2015年6月時点で普及率は51.2% 3億1,038万人(2015年)
インドネシア 385.6 ー ー 2014年12月、TelkomselがLTEサービスを提供開始 2億3,987万人(2015年)
ブラジル 244.1 15.5 8.2% 2015年時点でLTE加入比率は約6% 1億9,495万人(2015年)
ロシア 231.4 16 11.2% 2016年3月末現在、1,600万 1億4,296万人(2015年)
日本 164.3 102.2 80.6% 2017年3月現在、1億219万(注4) 1億2679万(2017.4.1)(注5)
ナイジェリア 154.3 0.4 0.2% 2016年6月現在では40万程度 1億5,842万人(2015年)
パキスタン 136.5 ー ー 2014年9月より商用サービスを開始 1億7,359万人(2015年)
バングラディシュ 126.4 ー ー 商用サービス開始の準備 1億4,869万人(2015年)
ベトナム 120.6 ー ー 2016年の4G周波数オークション応札を義務付け 8,785万人(2015年)
タイ 116.6 ー ー 2013年5月商用サービス開始 6,912万人(2015年)
フィリピン 113.0 ー ー 2015年現在で約60%の人口カバレッジ 9,326万人(2015年)
メキシコ 111.7 ー ー モバイル・データ通信は、2012年6月より提供開始 1億1,342万人(2015年)
携帯加入数(単位:百万)
国籍 LTEの普及状況(注2) 人口(注3)LTE普及率
- 62 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
提言 2 日本の技術優位性を生かした製品開発・事業戦略
(1) 次世代無線システムへの対応
4G,5G などの無線通信システムにおいては新たな技術やネットワーク構成に変化が見られ
る。例えば、MIMO の要素技術も MU-MIMO から Massive MIMO へと変遷しており、ヘテロジー
ニアスネットワークの導入により、スモールセルの重要性が増大している。
スモールセルでは、広帯域な周波数スペクトルが確保できるミリ波帯の適用が想定される。
ミリ波帯を用いた MIMO 技術は近年出願が増加している。ミリ波通信においてカバレッジエリ
アの確保に必須技術である多数アンテナを実装する Massive MIMO も、近年出願が増加してい
る。これらの技術について出願の増加時期は標準化活動においてこれらの技術が検討される
時期と連動している。とりわけ、Massive MIMO におけるビームフォーミング技術、ビームフ
ォーミング制御に必須なフィードバック制御に関する出願件数が増大している。また、
Massive MIMO のビームフォーミングの有効な実現方法の 1 つであるアナログ・デジタル処理
を組み合わせたハイブリッド・ビームフォーミングの出願件数も近年急増している。これら
のビームフォーミングに関する技術分野では日本企業が得意とする RF デバイス技術の優位
性を活かせることが期待できる。
今後、複数の無線規格やミリ波帯などの高周波数の周波数スペクトルに対応した次世代無
線システム・機器の需要が高まることが予想されることから、これらの技術動向を注視しつ
つ研究開発や製品開発を積極的に推し進めていく必要があると考えられる。
4G,5G などの無線通信システムにおいては新たな技術やネットワーク構成に変化が見られ
る。例えば、MIMOの要素技術も MU-MIMOから Massive MIMOへと変遷している(図 7-5,図 7-6)。
なお、図 7-5 に加え、出願の注力分野の変遷を加えたものを要約末尾に掲載する(図 7-30)。
図 7-5 研究の注力分野についての変遷
160 305 202
421 506 246
113
143 60
703 455
64 141 48
96 24
29 17
1
3
8 68 0 0
4
82 144
67
31
51 51
581 390 92 72
27
106 48
12
6
10 2
41 19 50
235 145
429 464
125
40
199
17
367 233 144
286 109
352 115 49
13 65
66
146 81 0
0 0 0
0 0
0 0
0
0 57 15 55 14
88
85 46 6
127
66
178 47 5 4 0 2
1 7 1
94
131
543
297 85
153 120 312 488 117
14
55 39 140
115
0 0
7 172 53 69
25
4 2 10
24 137 206
81 185
164 91
75
14 0 30
53
44 99 27 80 140
17 7 8
7 47 90
12 35 34 66 118 36 14 8 18 125 113
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
技術区分別寄書件数比率
提出年
フィードバックあり フィードバックなし 参照信号 信号分離 コードブック型プリコーディング
非線形プリコーディング ビームフォーミング アナログBFとデジタルPC 偏波 Massive MIMO
MU‐MIMO 協調・中継伝送 ダイバーシチ リソース割当 その他の無線要素技術
提出年 2006-2016年
「アナログBFとデジタルPC」は、「アナログビームフォーミングとデジタルプリコーディング」の略。
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第1部
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第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
図 7-6 MU―MIMO と MassiveMIMO の寄書件数推移
4G,5G の次世代無線通信システムでは、マクロセルとスモールセルとを組み合わせ
たヘテロジーニアスネットワークが導入されることから、図 7-4 に市場規模の予測を
示したとおり、スモールセルはますます重要な役割を担うことになる。次世代無線通
信システムにおいて技術の進展を遂げているMIMO技術はIoT製品やミリ波レーダーな
ど多方面への応用展開も検討されており、ミリ波をはじめとする高周波帯域での電力
の効率化にも有効な技術と見られている。WTP2017 への出展者へのヒアリングにおい
ても、これからの通信機器には 5G、無線 LAN など複数の無線規格への対応が求められ
るとともに、MIMO 用チップや Massive MIMO 用の多素子のアンテナの開発が進められ
るとの意見があった(表 7-2)。
表 7-2 WTP2017 における出展企業へのヒアリング状況
項 ヒアリング内容 企業数
1 ・複数への無線規格への対応
5G、無線 LAN など複数の無線規格への対応が求められている
4 企業
2 ・MIMO の重要性
MIMO 用チップ、Massive MIMO 用の多素子アンテナの開発が今
後行われる
3 企業
3 ・MIMO 技術の応用
MIMO 技術を使用した IoT 製品やミリ波レーダーなどの開発が
今後予想される
3 企業
4 ・MIMO 技術の高周波への対応
MIMO は高周波帯域については、1THz 程度までは対応できる
1 企業
スモールセルでは、広い周波数スペクトルが確保できるミリ波帯の適用が想定され
ている。このような状況の中、ミリ波帯を用いた MIMO 技術は近年出願が増加している
(図 7-7)。
85
153 120
312
488
117
14 55
39 140 115
5 4 0 2 1 7 1
94 131
543
297
0
100
200
300
400
500
600
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年提出年
MU-MIMO Massive MIMO
提出年 2006-2016年
寄書件数
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要約
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資料編
図 7-7 PCT 出願件数推移(ミリ波等の利用)
強い直進性を有し減衰の大きいミリ波通信において、カバレッジエリアの確保に必
須な技術である多数アンテナを実装する Massive MIMO は、近年急速に出願が増加して
いる(図 7-8)。また、この増加時期は標準化活動において Massive MIMO が検討され
る時期(Rel.14)と連動している(図 7-9)。
図 7-8 Massive MIMO の注目技術区分の出願件数推移 (出願先:日米欧中韓、優先権主張:2003-2015 年)
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
0 0 1 0 8
2 1 2 5
23
84 83
59
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
技術区分別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
ビームフォーミング フィードバックあり 合計
優先権主張 2003-2015年
項目
合計件数
5 12 12
29
39
50 43
51
67
83 86
111
131
0
20
40
60
80
100
120
140
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願年(優先権主張年)
優先権主張 2003-2015年
PCT 出願
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図 7-9 寄書の提出状況と出願動向の相関(Massive MIMO)
また、多数アンテナを実装する Massive MIMO 技術においては、ビームフォーミング
技術の適用が前提であり、これは、図 7-8 において、Massive MIMO に分類された出願
のうち、ビームフォーミング、フィードバック制御に関する出願が多いことからも把
握することができる。
今回の調査対象である MIMO 技術全出願について着目すると、ビームフォーミング制
御に必須なフィードバック制御に関する出願件数(図 7-10)及びアンテナの素子数の
増大に伴い用いられることとなったアナログビームフォーミングとデジタルプリコー
ディングに関する出願件数(図 7-11)が増大している。
図 7-10 出願人国籍別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率
(出願先:日米欧中韓、フィードバックあり(無線要素技術)、優先権主張:2003-2015 年)
0 0 1 0 1 1 1 0 2
11
43 41
20
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
合計件数
出願年(優先権主張年)
優先権主張 2003-2015年
5 40
2
1 7
1
94131
543
297
0 0 0 0 0
1
0 00
07
0
25
50
75
100
125
150
0
100
200
300
400
500
600
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
IEEE寄書件数
3GPP寄書件数
提出年
3GPP IEEE
提出年 2006-2016年
PCT出願
3GPP
IEEE
Rel-7 Rel-8
Rel-9
Rel-10
Rel-11Rel-12
Rel-13
Rel-14
LTE LTE-A
11ad
11ac
11ax
11ayIEEE
3GPP
BeyondLTE-A
11n
108
221 260
357
470 519
583
719
590
665
532
409 414
0
100
200
300
400
500
600
700
800
0
25
50
75
100
125
150
175
200
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
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図 7-11 出願件数推移 アナログビームフォーミングとデジタルプリコーディング (PCT 出願、(無線要素技術)、優先権主張:2003 年-2015 年)
一方、図 7-12、表 7-3 に世界のモバイルデバイスに係る部材市場の状況を示す。
図 7-12 において、特に Massive MIMO の開発を進めるうえで重要となる「RF 系デバ
イス」市場に着目すると、「RF 系デバイス」は市場の成長率の予測はおおよそ-8%であ
るが、上位 3 社のシェアが約 65%に達している。また、表 7-3 によれば、「RF 系デバイ
ス」の市場では、日系企業のシェアが高いことが特徴とされている。このように、「RF
系デバイス」市場は、日本が強みを有している分野であるとみられている。
図 7-12 世界のモバイルデバイスに係る部材市場の成長率と上位 3 社の市場シェア1
1 平成 27 年版情報通信白書 2015 年 7 月、総務省、P276、図表 5-2-7-7 世界のモバイルデバイスに係る部
材市場の成長率と上位 3 社の市場シェア
1
5 3 3 4 6
11 10 10
21 23
30
13
0
5
10
15
20
25
30
35
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
合計件数
出願年(優先権主張年)
優先権主張 2003-2015年
PCT 出願
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資料編
表 7-3 世界のモバイルデバイスに係る部材市場の市場動向等1
有識者によれば、Massive MIMO によるビームフォーミングはアナログビームフォー
ミングとデジタルプリコーディングによるハイブリッド方式から 終的にはフルデジ
タル方式になって行くとみられている。フルデジタル方式の導入には、高速インター
フェイス、低消費電力の AD/DA が実現することが課題となる。これらの課題を解決し、
フルデジタル化を実現する上で、日本が優位性を持つと言われているデバイス技術、
RF 技術を活かすことができる可能性があるとのことである。
今後、5G に利用される周波数の検討状況は、2012 年より検討されているが、2017
年時点において各国共通の利用可能な周波数はなく(図 7-13)、各国への対応を行う
ためには、マルチバンド化への対応や各国に合わせた技術開発が必要となると考えら
れる。
図 7-13 WRC-19 及び日米欧中韓のミリ波準ミリ波帯の周波数利用計画2、3
1 平成 27 年版情報通信白書 2015 年 7 月、総務省、P276、図表 5-2-7-7 世界のモバイルデバイスに係る部
材市場の成長率と上位 3 社の市場シェア 2 WRC-19 候補周波数帯: ITU ジャーナル Vol. 46 No. 6(2016, 6) WRC-19 における高周波数帯(24.25
-86GHz)での携帯電話周波数の確保に向けて、を元に作成 3 日米欧中韓の状況: 情報通信審議会情報通信技術分科会新世代モバイル通信システム委員会(第 4 回)、
平成 29 年 5 月 12 日 基本コンセプト作業班における検討状況、を元に作成
周波数帯(単位:GHz) 23GHz以上23 24 25 26 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87
WRC-19
候補(注1) 24.25-27.5 31.8-33.4 37-40.5 45.5-50.2 50.4-52.6 66-76 81-86
日本(注2) 27.5-29.5
米国(注2) 27.5-28.35 37-38.6,38,6-40 64-71
欧州(注2) 24.5-27.5 31.8-33.4
中国(注2) 26 40
韓国(注2) 26.5-29.5
27
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提言 2 日本の技術優位性を生かした製品開発・事業戦略
(2) IoT 機器など多様化する新たなデバイスへの対応
IoT機器と接続する MTC(Machine-Type Communications)への MIMO技術の適用の出願数が増
加している。特に、カバレッジエリアの拡大、あるいは多数の IoT 機器を収容するための空
間多重(SDM)を目的としたビームフォーミング、非直交多重アクセス等の出願が近年急増し
ている。
今後、拡大が見込まれる IoT 機器の市場において非直交多重アクセス技術、日本企業が比
較的出願に注力していると思われる非線形プリコーディングや参照信号に関するビームフォ
ーミングなどの標準化関連技術・実装技術についても、研究開発や製品開発を積極的に推し
進めていく必要があると考えられる
IoT 機器について市場環境の面から見ると、世界の IoT デバイスの数は年率で 10%
以上増加し続けており、今後も増加することが予想されている(図 7-14)。また、IoT
関連の市場規模も増加することが予想されている(図 7-2)。
図 7-14 世界の IoT デバイス数の推移及び予測1
また、多数の IoT 機器と接続する MTC(Machine Type Communications)へ MIMO 技
術を適用した出願件数が増加している(図 7-15)。
1出典:平成 28 年情報通信白書 2016 年 7 月、総務省、P80、図表 2-1-1-1 世界の IoT デバイス数の推移及
び予測
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第2部
第3部
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要約
目次
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資料編
図 7-15 出願人国籍別出願件数推移 IoT への利用(応用分野)
(PCT 出願、優先権主張:2003-2015 年)
特に、カバレッジエリアの増大(図 7-16)、多数の IoT 端末を収容する空間多重(SDM)
を目的としたビームフォーミング(図 7-17)、非直交アクセス(図 7-18)の出願が近
年急増している。
図 7-16 出願人国籍別ファミリー件数推移カバレッジ/セルサイズ(課題)
(出願先:日米欧中韓、優先権主張:2003-2015 年)
図 7-17 出願人国籍別ファミリー件数推移 ビームフォーミング(無線要素技術)、
(出願先:日米欧中韓、優先権主張:2003-2015 年)
7
16 16 15
19 18
27
42
27
36
41 39
29
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
合計件数
出願年(優先権主張年)
優先権主張 2003-2015年
127
178
218 236
249 266 267 294 282
278
251 254 260
0
50
100
150
200
250
300
0
20
40
60
80
100
120
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
186 240
326
461
633
709 780
844 787
882 885
777 780
0
150
300
450
600
750
900
1,050
0
50
100
150
200
250
300
350
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
PCT 出願
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図 7-18 出願人国籍別ファミリー件数推移 非直交多重(汎用伝送技術)
(出願先:日米欧中韓、優先権主張:2003-2015 年)
各技術区分の出願比率を国籍別に比較すると、全技術区分の平均の出願比率と比較
して、日本国籍の出願比率が多い技術区分として、図 7-19 に示すように参照信号、非
線形プリコーディングなどのビームフォーミングの実装技術がある。
図 7-19 技術区分による日本国籍比率の比較
また、有識者ヒアリングにおいて以下のような意見があった。
・通常の MIMO は線形の MIMO を使っているが、今後は、非線形 MIMO が必ず必要であ
る技術である。
・IoT のなかでも低遅延できっちり接続できるかという方向で MIMO 技術が使われる
可能性がある。
今後、拡大が見込まれる IoT 市場において、非直交多重アクセス技術や、MIMO 技術
の中でも日本が比較的優位にあるとみられる非コードブック型プリコーディング、参
照信号などビームフォーミングの実装技術、及び製品開発を積極的に推し進めていく
必要があると考えられる。
32 24
53 62
29 36 36 38 37 32 30 31
64
0
10
20
30
40
50
60
70
0
5
10
15
20
25
30
35
40
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
14.2% 15.9% 14.6%
全体 参照信号 非線形プリコーディング
日本国籍
3,077件
14.2%
米国籍
6,485件
29.9%
欧州国籍
2,625件
12.1%
中国籍
4,487件
20.7%
韓国籍
3,986件
18.4%
その他
1,036件
4.8%
合計
21,696件
日本国籍
390件
15.9%
米国籍
711件
29.0%
欧州国籍
272件
11.1%
中国籍
437件
17.8%
韓国籍
550件
22.5%
その他
89件
3.6%
合計2,449件
日本国籍
448件
14.6%
米国籍
688件
22.5%
欧州国籍
370件
12.1%
中国籍
776件
25.4%
韓国籍
681件
22.3%
その他
96件
3.1%
合計3,059件
- 71 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
提言 3 標準化活動と各国特許制度とに応じた特許戦略
4G,5G,無線 LAN の無線通信システムの標準化が進められている MIMO 技術においては、自社
の提案・支持する方式の採用や、規格関連の特許権の取得が重要である。このため、規格を
策定するための提案文書である寄書の件数とその対応する出願件数は、いずれも規格が策定
される前に共に増加傾向を示している。これらの無線通信システムは時代とともに進化を遂
げており、その背景には、MU-MIMO、Massive MIMO などの要素技術の高度化がある。日本企
業は、その他の出願と比較して、規格関連出願に注力している。各企業では様々な出願戦略
をとっているところ、近年では中国企業の出願・寄書の増加が目覚ましく、業界における主
なプレイヤーの構成も変化してきている。将来的な要素技術の高度化の方向を見据えて全世
界で絶え間なく行われる研究開発競争の中、日本企業は標準化活動の成果となる標準化関連
出願や、実装技術に関する出願を、今後も継続的に行っていくことが重要である。とりわけ、
研究開発や標準化活動の結果として新たな技術が生まれる蓋然性の高い技術分野について
は、クゥアルコムを代表とする米国企業のように寄書が減少する時期においても積極的に出
願し続けるという出願戦略を参考にしてはどうか。また、MIMO 技術における出願戦略として、
重要出願人は、分割出願(日本)、仮出願(米国)の利用比率が各国の平均に比べて極めて高い。
MIMO 技術、無線インターフェイスの将来の標準化関連技術・実装技術について、必要な特許
権を確実に取得すべく各国特許制度を研究し積極的に活用することが重要である。
(1) 標準化の策定と出願件数
4G、5G、無線 LAN システムの標準化が進められている MIMO 分野においては、自社の
提案・支持する方式の採用や、規格関連の特許権の取得が重要である。このため、規
格を策定するための提案文書である寄書の件数とそれに対応する特許出願件数は、い
ずれも規格が策定される前にともに増加傾向を示している。
例えば、コードブック型(CB 型)プリコーディング関連の特許出願件数は 2007 年
と 2010 年にピークが見られるが、これは 3GPP Rel.8 における 4×4 MIMO コードブッ
ク(検討時期:2007 年-2008 年)、3GPP Rel.10 における 8×4 ダブルコードブック(検
討時期:2010 年)に、それぞれ対応した増加傾向であると考えられる(図 7-20)。また、
MU-MIMO 技術について、2010 年に出願件数のピークが見られ、これは 3GPP Rel.9 での
当該技術の採用(検討時期:2008 年-2010 年)、及び IEEE802.11ac での当該技術の採
用(検討時期:2009 年-2013 年)に対応した同様の増加傾向であると考えられる(図
7-21)。
- 72 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
図 7-20 MIMO 技術の標準化の推移と出願件数推移の相関(CB 型プリコーディング)
図 7-21 MIMO 技術の標準化の推移と出願件数推移の相関(MU-MIMO)
(2) 日本は規格関連出願を重視
4G、5G、無線 LAN システムは時代とともに進化を遂げており、その背景には、図 7-21
上欄に示すような要素技術の変遷がある。近年では、MIMO の要素技術として、MU-MIMO、
Massive MIMO といった技術が登場している。
図 7-22 に示すように、日本国籍企業の出願件数において、規格に関連するコードブ
ック(CB)型プリコーディングの海外への出願は、その他の出願の平均値よりも高い割
合で海外出願されている。他の国籍の企業においても同様の傾向が見られるものの、
Rel-7 Rel-8
Rel-9
Rel-10
Rel-11Rel-12
Rel-13
Rel-14
LTE LTE-A
11ad
11ac
11ax
11ayIEEE
3GPP
BeyondLTE-A
11n
22 39 64
143
285 286 288
420
323 313 282 230
191
0
60
120
180
240
300
360
420
480
0
20
40
60
80
100
120
140
160
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
(1) コードブック
Rel-7 Rel-8
Rel-9
Rel-10
Rel-11Rel-12
Rel-13
Rel-14
LTE LTE-A
11ad
11ac
11ax
11ayIEEE
3GPP
BeyondLTE-A
11n
95 98
168 199
261
291
364
483
292 286 327 306 298
0
60
120
180
240
300
360
420
480
540
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
出願人国籍別ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
優先権主張 2003-2015年
出願人国籍
合計件数
注:2014年以降は、データベース収録の遅れやPCT出願の各国移行のずれ等により、全データを反映していない可能性がある。
(2) MU-MIMO
- 73 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
その割合の高さは、日本国籍企業が高い。このことから、日本企業がその他の出願と
比較して規格関連出願に注力していることが推察される。
図 7-22 規格関連出願への日本の注力状況
(3) プレイヤーの変化・その注力分野の変遷
本調査における 3GPP への寄書提出件数(2006 年~2016 年)と特許出願件数(2003
年~2015 年)の両方を調査した範囲の始点と終点である 2006 年と 2015 年の各年にお
ける寄書・特許出願の国籍別件数及び比率を図 7-23 に示す。
図 7-23 からは、PCT 出願及び寄書提出ともに倍増(PCT 出願:2.4 倍/寄書:2.0
倍)しており、権利化及び標準化活動が活発になされていることがみてとれる。そし
て、権利化及び標準化活動の両方において、中国が台頭しており、米国は標準化活動
においては相対的な位置は低下しているものの(33.7%から 11.3%に推移)、権利化活
動は活発であることが分かる。日本は、寄書提出件数が倍増する中、寄書の提出割合
は増加しており、積極的な標準化活動を行っており、出願件数も増加している。
したがって、権利化及び標準化活動がますます活発に行われ競争が激化するなか、
それぞれの活動における主たるプレイヤーの構成も変化しているものと推察される。
2508 1722 537160
55686
1878 6590 1930 770 2776 919
1092 2538 2206 499 1054354
1109 2327 1038 4210 800394
2991639 436
1253241
106
優先権主張:2003‐2015年
日本
米国
欧州
中国
韓国
出願先国
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他出願人国籍
232 207 81 60 1277
302 734 297 222 581 82
156 313 265 168 207 43
161 304 169 771 188 44
48 217 72 55 49421
優先権主張:2003‐2015年
日本
米国
欧州
中国
韓国
出願先国
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他
出願人国籍
日本国籍
米国籍
欧州国籍
中国籍
韓国籍
日本 100% 26% 24% 4% 17%
米国 75% 100% 88% 18% 86%
欧州 44% 39% 100% 12% 33%
中国 44% 35% 47% 100% 25%
韓国 12% 25% 20% 3% 100%
日本国籍
米国籍
欧州国籍
中国籍
韓国籍
日本 100% 28% 31% 8% 26%
米国 130% 100% 112% 29% 118%
欧州 67% 43% 100% 22% 42%
中国 69% 41% 64% 100% 38%
韓国 21% 31% 27% 7% 100%
CB型プリコーディング
自国への出願を100%
として、正規化
全出願件数
- 74 -
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本編
第1部
第2部
第3部
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要約
目次
第5部
第7部
資料編
図 7-23 PCT 出願及び寄書提出件数及び国籍別割合の推移
また、プレイヤー毎に注力する分野も異なっているものと推察される(図 7-24,図
7-25)。
図 7-24 要素技術分野別推移(ネットワーク機器を製造する4社合計)
日本国籍
88件
18.1%
米国籍
178件
36.6%
欧州国籍
115件
23.6%
中国籍
23件
4.7%
韓国籍
65件
13.3%
その他
18件
3.7%
日本国籍
120件
10.1%
米国籍
399件
33.5%
欧州国籍
238件
20.0%
中国籍
249件
20.9%
韓国籍
166件
13.9%
その他
18件
1.5%
日本国籍
55件
10.5%
米国籍
177件
33.7%
欧州国籍
112件
21.3%
中国籍
49件
9.3%
韓国籍
70件
13.3%
その他
62件
11.8%
日本国籍
134件
12.5%
米国籍
121件
11.3%
欧州国籍
171件
15.9%中国籍
314件
29.2%
韓国籍
263件
24.5%
その他
71件
6.6%
FBあり
9件
12.3%
FBなし
1件
1.4%
参照信号
4件
5.5%
信号分離
5件
6.8%
CB型PC
1件
1.4%
非線形PC
4件
5.5%
Beam Form
20件
27.4%
ハイブリッド
0件
0.0%
偏波
2件
2.7%
Massive MIMO
0件
0.0%
MU-MIMO
4件
5.5%
協調・中継
2件
2.7%
ダイバーシチ
11件
15.1%
リソース割当
5件
6.8%その他
5件
6.8%
FBあり
61件
15.2%
FBなし
2件
0.5%
参照信号
35件
8.7%
信号分離
15件
3.7%
CB型PC
41件
10.2%
非線形PC
34件
8.5%
Beam Form
95件
23.6%ハイブリッド
5件
1.2%
偏波
9件
2.2%
Massive MIMO
6件
1.5%
MU-MIMO
31件
7.7%
協調・中継
13件
3.2%
ダイバーシチ
23件
5.7%
リソース割当
18件
4.5%
その他
14件
3.5%
2005年 2015年合計
73件
合計
402件
寄書提出件数 2006 年 2015 年
PCT 出願件数 2006 年 2015 年
合計 525 件
合計 487 件
合計 1074 件
合計 1190 件
- 75 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
図 7-25 要素技術分野別推移(端末装置を製造する7社合計)
(4) クゥアルコムに見られる継続的出願の姿勢
3GPP への寄書提案件数は標準規格の策定の時期に応じて、件数の多い時期と少ない
時期の波がみられる(図 7-26)。そして、これに伴い、米国・中国を除く国籍からの
出願は、この波に応じて出願が多い時期と少ない時期がある(図 7-3)。
米国籍の出願人として、例えば、クゥアルコムの特許出願の推移を着目すると、規
格提案の策定の時期に関わらず、常に一定以上の水準で特許出願がなされていており、
常に出願水準を維持するクゥアルコムの出願姿勢は、日、欧、中、韓の出願傾向と異
なる点がある(図 7-26、図 7-27)。
図 7-26 3GPP への各国からの寄書提案の推移とクゥアルコムの出願件数推移
FBあり
94件
15.9%
FBなし
5件
0.8%
参照信号
30件
5.1%
信号分離
67件
11.3%
CB型PC
25件
4.2%
非CB型PC
31件
5.2%
Beam Form
102件
17.2%
ハイブリッド
2件
0.3%
偏波
3件
0.5%
Massive MIMO
0件
0.0%
MU-MIMO
56件
9.5%協調・中継
5件
0.8%
ダイバーシチ
103件
17.4%
リソース割当
25件
4.2% その他
44件
7.4%
FBあり
103件
13.0%
FBなし
13件
1.6%
参照信号
59件
7.5%信号分離
28件
3.5%
CB型PC
39件
4.9%
非CB型PC
33件
4.2%
Beam Form
158件
20.0%
ハイブリッド
5件
0.6%
偏波
16件
2.0%
Massive MIMO
10件
1.3%
MU-MIMO
86件
10.9%
協調・中継
30件
3.8%
ダイバーシチ
106件
13.4%
リソース割当
64件
8.1%
その他
41件
5.2%
2005年 2015年合計
592件
合計
791件
525
738
425
1,081
1,172
514
354 374
201
1,074
831
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
0
50
100
150
200
250
300
350
2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
所属機関国籍別寄書件数
提出年
日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計
提出年 2006-2016年
所属機関国籍
合計件数
36
59
117
48 58
136
158 162
108
158
195
176
161
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
200
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
ファミリー件数
出願年(優先権主張年)
優先権主張 2003-2015年
3GPP提案件数
クゥアルコムの出願件数推移
- 76 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
図 7-27 要素技術分野別推移(クゥアルコム)
(5)各国の特許出願制度と重要出願人の利用状況
標準化活動に関連した特許出願制度は、そのニーズに応じて、①標準化の動向に合
わせた権利化、②簡易な手続き、③改良発明の出願、の3つに大別され、表 7-4 にそ
のメリットと各国の整備状況を示す。
表 7-4 から分かるとおり、全ての制度が全ての国で利用できるわけではなく、標準
化活動の成果として生み出される特許出願の権利化には、適切な制度の利用が不可欠
であることが分かる。
表 7-4 各制度の標準化におけるメリット、及び、各国における制度の有無
※ EPC(欧州特許条約)加盟国の、各国の制度次第
そして、MIMO 技術における重要出願人について、日本及び米国の特許制度活用状況
をまとめた表が表 7-5 である。表中の、日本への出願における分割出願の割合、米国
への出願における仮出願の割合に注目する。
日本への出願における分割出願については、重要出願人の分割出願の利用状況は平
均で 21%を示しており(表 7-5)、全出願人の分割出願の利用状況(図 7-28)に比較す
FBあり
28件
16.4%
FBなし
0件
0.0%
参照信号
13件
7.6%
信号分離
24件
14.0%
CB型PC
7件
4.1%
非線形PC
6件
3.5%
Beam Form
26件
15.2%
ハイブリッド
0件
0.0%
偏波
0件
0.0%
Massive MIMO
0件
0.0%
MU-MIMO
25件
14.6%
協調・中継
2件
1.2%
ダイバーシチ
20件
11.7%
リソース割当
10件
5.8%その他
10件
5.8%
FBあり
28件
9.8%
FBなし
2件
0.7%
参照信号
17件
6.0%
信号分離
14件
4.9%
CB型PC
10件
3.5%
非CB型PC
8件
2.8%
Beam Form
67件
23.5%
ハイブリッド
1件
0.4%
偏波
3件
1.1%
Massive MIMO
0件
0.0%
MU-MIMO
44件
15.4%
協調・中継
11件
3.9%
ダイバーシチ
36件
12.6%
リソース割当
23件
8.1%
その他
21件
7.4%
2005年 2015年
合計
171件
合計
285件
- 77 -
第8部
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本編
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要約
目次
第5部
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資料編
ると、3 倍程度と高い水準であることが分かる。
表 7-5 重要出願人の特許制度活用状況
図 7-28 分割出願の件数推移及び特許出願件数に対する比率
同様に、米国における仮出願の利用頻度について、重要出願人は平均で 52%の出願
について仮出願制度を利用している(表 7-5)。一方、米国の出願全体での仮出願の利
用頻度は、平均で 27.8%(図 7-29)であることから、重要出願人は、2 倍程度の頻度
で利用しており、日本の分割出願と同様に高い頻度で利用していることが分かる。
日本への出願 米国への出願
出願件数 審査請求数 出願件数
全体 分割全体
(対全出願)早期
(対全審査請求)全体 継続 一部継続 仮出願 分割 早期
NTTドコモ 327 24 (7%) 282 (86%) 19 (6%) 204 10 (4%) 0 (0%) 39 (19%) 6 (2%) 2 (0%)
パナソニック 405 102 (25%) 335 (82%) 21 (6%) 376 137 (36%) 0 (0%) 19 (5%) 31 (8%) 3 (0%)
シャープ 182 14 (7%) 130 (71%) 6 (4%) 124 7 (5%) 2 (1%) 9 (7%) 7 (5%) 2 (1%)
クアルコム(米国) 1,093 329 (30%) 1,050 (96%) 90 (8%) 1,586 139 (8%) 32 (2%) 1,230 (77%) 95 (5%) 8 (0%)
インターデジタル(米国) 142 60 (42%) 141 (99%) 1 (0%) 242 82 (33%) 3 (1%) 239 (98%) 5 (2%) 0 (0%)
エリクソン(スウェーデン) 143 10 (6%) 141 (98%) 5 (3%) 724 107 (14%) 21 (2%) 282 (38%) 19 (2%) 3 (0%)
ノキア(フィンランド) 22 2 (9%) 22 (100%) 0 (0%) 238 9 (3%) 5 (2%) 58 (24%) 1 (0%) 0 (0%)
ファーウェイ(中国) 66 6 (9%) 66 (100%) 1 (1%) 508 300 (59%) 5 (0%) 138 (27%) 7 (1%) 24 (4%)
ZTE(中国) 65 2 (3%) 65 (100%) 1 (1%) 123 3 (2%) 1 (0%) 17 (13%) 0 (0%) 8 (6%)
サムスン電子(韓国) 266 41 (15%) 250 (93%) 0 (0%) 1,155 142 (12%) 6 (0%) 357 (30%) 7 (0%) 6 (0%)
LG電子(韓国) 220 39 (17%) 214 (97%) 0 (0%) 1,032 274 (26%) 2 (0%) 934 (90%) 11 (1%) 22 (2%)
インテル(米国) 163 28 (17%) 163 (100%) 0 (0%) 782 178 (22%) 18 (2%) 360 (46%) 16 (2%) 14 (1%)
アップル(米国) 29 9 (31%) 29 (100%) 0 (0%) 202 112 (55%) 9 (4%) 122 (60%) 14 (6%) 1 (0%)
総計 3,123 666 (21%) 2,888 (92%) 144 (4%) 7,296 1,500 (20%) 104 (1%) 3,804 (52%) 219 (3%) 93 (1%)
優先権主張2003~2015年
18,832 18,914 18,418
22,369 22,918
26,854 28,463 27,878 28,242
29,717
4.8% 4.8%5.3%
6.5% 6.7%
7.8%8.7% 8.6% 8.9% 8.9%
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
分割出願 特許出願件数に対する比率(件数) (%)
(特許行政年次報告書2017年版、特許庁のデータより作成)
分割出願件数推移(日本)
平均7.0%
- 78 -
第8部 第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
図 7-29 仮出願件数推移及び特許出願件数に対する比率
このように重要出願人は各種の特許制度の活用比率が平均よりも高く、各制度のメ
リットを意識した権利化活動を行っていると推察される。
163,031177,942
169,173 170,676 167,390
28.8% 29.6%27.4% 27.6%
25.7%
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
35.0%
40.0%
45.0%
50.0%
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
160,000
180,000
200,000
2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
仮出願件数 特許出願件数に対する比率
仮出願件数推移(米国)
(Performance and Accountability Report FY2016、USPTOのデータより作成)
平均27.8%
- 79 -
第8部
第6部
本編
第1部
第2部
第3部
第4部
要約
目次
第5部
第7部
資料編
図 7-30 出願件数比率推移及び提案件数比率推移の比較
160
30
5 20
2 421
50
6 246
113
143
60
703
45
5
64
141
48
96
24
29
17
1
3
8 68
0 0
4
82
144
67
31
51
51
581
39
0 92
72
27
106
48
12
6
10
2
41
19
50
235
145
429
46
4
125
40
199
17
367
23
3 144
28
6 10
9 352
11
5 49
13
65
66
146
81
0 0
0
0
0
0
0 0
0
0 57
15
55
14
88
85
46
6
127
66
178
47
5 4
0
2
1
7
1
94
131
543
297
85
153
120
312
48
8 117
14
55
39
140
115
0 0
7
172
53
69
25
4
2
10
24
137
20
6 81
185
16
4 91
75
14
0
30
53
44
99
27
80
140
17
7 8
7
47
90
12
35
34
66
118
36
14
8
18
125
11
3
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
2006
年200
7年20
08年
2009
年201
0年20
11年
201
2年
201
3年20
14年
201
5年
201
6年
技 術 区 分 別 寄 書 件 数 比 率
提出
年20
06-20
16年
79
199
220
357
513
505
558
806
669
775
626
455
424
9
29
18
25
75
64
45
66
55
83
52
33
33
27
95
63
89
100
144
222
280
333
415
314
247
216
88
160
188
267
284
291
232
281
251
290
265
203
194
22
47
55
127
292
271
276
460
362
369
330
259
195
35
67
67
158
339
289
343
496
324
309
319
241
188
166
232
299
445
666
698
739
957
916
986
1,015
878
785
7
11
13
14
27
21
20
23
36
47
55
53
40
13
27
21
29
42
35
37
53
81
58
87
79
78
0
0
3
2
4
4
4
1
4
26
84
92
72
74
88
123
194
289
262
342
527
347
340
361
349
295
11
26
24
70
71
159
379
303
592
581
333
257
149
178
270
270
346
420
392
365
406
371
424
403
359
311
38
73
84
135
187
229
258
358
337
373
286
245
205
64
114
127
167
201
206
195
242
247
255
231
242
182
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
技 術 区 分 別 フ ァ ミ リ ー 件 数 比 率
提出
年
フィ
ード
バッ
クあ
りフ
ィー
ドバ
ック
なし
参照
信号
信号
分離
コー
ドブ
ック
型プ
リコ
ーデ
ィン
グ
非線
形プ
リコ
ーデ
ィン
グビ
ーム
フォ
ーミ
ング
アナ
ログBFと
デジ
タル
PC
偏波
Massive M
IMO
MU‐M
IMO
協調
・中継
伝送
ダイ
バー
シチ
リソ
ース
割当
その
他の
無線
要素
技術
項目
優先
権主
張年
2003-
2015
年
「ア
ナロ
グBFと
デジ
タル
PC」は
、「ア
ナロ
グビ
ーム
フォ
ーミ
ング
とデ
ジタ
ルプ
リコ
ーデ
ィン
グ」の
略。
- 80 -
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