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3 実機による負荷試験
3-1 試験の概要
3-1-1 試験の概要
実機を使用した負荷試験の概要は以下のとおりである。 ①日時・場所 試験日時:2014年 11月 17日~20日 場所:茨城県常陸大宮市上檜沢地内(美和木材協同組合土場)
表 3-1 試験日程と概要
日 付 使用機種名 備考 11月 17日 フェラバンチャーMSE-45(住友 SH-135) 試験準備、負荷試験 11月 18日 ハーベスタ KETO-150S(CAT 314C) 負荷試験 11月 19日 グラップルローダ F-801(IHI) 〃 11月 20日 日建ロングリーチグラップル
(コベルコ SK165SRR) 負荷試験、片付け
*()内はベースマシン ②試験手順 ・路面がコンクリートで舗装された土場の試験スペース上に,等間隔で荷重計を設置する。 ・荷重計は左右(ホイールは前後輪,フォワーダ等は履帯長に均等になるよう)に配置。 ・転倒防止のため、荷重計両脇に H型鋼を接地荷重計の上に鉄板を敷設。 ・試験車両を静かに載せる。静止状態で荷重計測を実施。 ・計測時間は1動作当たり 1分。
図 3-1 試験のイメージ図
荷重計 H型鋼
敷鉄板
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図 3-2 試験器材等の配置イメージ図
③荷重計・使用器材 【荷重計等】(東京測器研究所製) ・荷重計(圧力センターホール型) KCC-500KNA ×12個 ・コントロールユニット TMR-211 ・表示ユニット TMR-281 ・ひずみゲージユニット TMR-221
図 3-3 荷重計形状
表 3-2 荷重計寸法
キャタピラ-等 (鉄板)
荷重計
ケーブル
ひずみレコーダ
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表 3-3 荷重計の仕様
(東京測器研究所カタログより抜粋) 【その他器材】 ・H型鋼 (H)125×(B)125×(t1)6.5×(t2)9mm 長さ 6m 4本 ・敷鉄板(縞鋼板) 910×1820×22mm 長さ 1.82m 6枚
H型鋼と荷重計の設置状況 縞鋼板の敷設状況
モニタリング状況
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3-1-2 使用機械
【フェラバンチャーMSE-45】 ベースマシン:住友 SH-135X-6 平均接地圧:53kPa
【ハーベスタ KETO-150S】
ベースマシン:CAT 314C 平均接地圧:45kPa
【グラップルローダ F-801(IHI)】
ベースマシン: 平均接地圧:53kPa
【ロングリーチグラップル(日建)】 ベースマシン:コベルコ SK165SRR 平均接地圧:50.9kPa
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3-1-3 荷重試験の方法
①【フェラバンチャーMSE-45】 荷重試験は等間隔に設置された荷重計の上に鉄板を敷き、その上に機械を配置し、下表に示した
6 ケース(グラップル荷重、アーム長、旋回角度)の組合せで試験を実施した。機械は静止状態にし、1分間荷重を計測し平均値を求めた。なお、荷重計番号、設置間隔等は下図のとおりである。 表 3-4 フェラバンチャーMSE-45 の負荷試験の組合せ
グラップル荷重 アーム長
ケース1 無 3m
ケース2 無 7m
ケース3 全木1本 5m
ケース4 全木1本 6m
ケース5 全木3本 5m
ケース6 全木3本 6m
〃
〃
角度
0°45°90°135°180°
〃
〃
〃
*全木 1本(長さ 16.9m、元口径 22cm)
側面図 平面図 図 3-4 荷重計の配置と旋回角度
ケース1 ケース2 ケース3
ケース4 ケース5
5×0.54=2.70m
荷重計
L6 L5 L4 L3 L2 L1
R6 R5 R4 R3 R2 R1
0°180°
90° 45° 135°
荷重計
1990
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②【ハーベスタ KETO-150S】 荷重試験は等間隔に設置された荷重計の上に鉄板を敷き、その上に機械を配置し、下表に示した4
ケース(グラップル荷重、アーム長、旋回角度)の組合せで試験を実施した。機械は静止状態にし、1 分間荷重を計測し平均値を求めた。なお、荷重計番号、設置間隔等は下図のとおりである。 表 3-5 ハーベスタ KETO-150S の負荷試験の組合せ
グラップル荷重 アーム長 旋回角度 ケース1 無 3.3m 0°45°90°135°180° ケース2 無 8.3m 〃 ケース3 全木 1本 3.3m 〃 ケース4 全木 1本 8.3m 〃
*全木 1本(長さ 16.9m、元口径 22cm) 側面図 平面図 図 3-5 荷重計の配置と旋回角度
ケース1 ケース2
ケース3 ケース4
5×0.54=2.70m
荷重計
L6 L5 L4 L3 L2 L1
R6 R5 R4 R3 R2 R1
0° 180°
90° 45° 135°
荷重計
1990
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③【グラップルローダ F-801(IHI)】 荷重試験は等間隔に設置された荷重計の上に鉄板を敷き、その上に機械を配置し、下表に示した8
ケース(荷台荷重、グラップル荷重、アーム長、旋回角度)の組合せで試験を実施した。機械は静止状
態にし、1分間荷重を計測し平均値を求めた。なお、荷重計番号、設置間隔等は下図のとおりである。 表 3-6 グラップルローダ F-801 の負荷試験の組合せ
荷台荷重 グラップル荷重 アーム長 角度
ケース1 無 無 3m 45°90°135°180°
ケース2 無 無 8m 〃
ケース3 無 玉切 2 本 3m 〃
ケース4 無 玉切 2 本 8m 〃
ケース5 半載 玉切 2本 3m 〃
ケース6 半載 玉切 2本 8m 〃
ケース7 全載 玉切 2本 3m 〃
ケース8 全載 玉切 2本 8m 〃
*玉切 1本(長さ 3.1m、末口径 22cm,24cm) 側面図 平面図 図 3-6 荷重計の配置と旋回角度
ケース1 ケース2 ケース3 ケース4
ケース5 ケース6 ケース7 ケース8
荷重計
2×0.60 =1.20m
3.04m
L6 L5 L4 L3 L2 L1 荷重計
90° 45° 135°
R6 R5 R4 R3 R2 R1
0° 180° 1720
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④【ロングリーチグラップル(日建)】 荷重試験は等間隔に設置された荷重計の上に鉄板を敷き、その上に機械を配置し、下表に示した6
ケース(グラップル荷重、アーム長、旋回角度)の組合せで試験を実施した。機械は静止状態にし、1分間荷重を計測し平均値を求めた。なお、荷重計番号、設置間隔等は下図のとおりである。 表 3-7 ロングリーチグラップルの負荷試験の組合せ
グラップル荷重 アーム長
ケース1 無 3m
ケース2 無 9.7m
ケース3 無 12m
ケース4 全木1本 3m
ケース5 全木1本 9.7m
ケース6 全木1本 12m 〃
角度
0°45°90°135°180°
〃
〃
〃
〃
*全木 1本(長さ 16.9m、元口径 22cm)
側面図 平面図 図 3-7 荷重計の配置と旋回角度
ケース1 ケース2 ケース3
ケース4 ケース5 ケース6
5×0.56=2.80m
荷重計
L6 L5 L4 L3 L2 L1
R6 R5 R4 R3 R2 R1
0° 180°
90° 45° 135°
荷重計
1990
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3-2 試験結果
3-2-1 旋回角度ごとの最大接地荷重
各機械における旋回角度ごとに作用した最大接地荷重をまとめると以下のとおりである。機械の種類、アーム長、旋回角度等の条件により異なるが、荷重計 1個当たり最大で 96kNの荷重が計測された。 【フェラバンチャーMSE-45】 表 3-8 フェラバンチャーMSE-45 の最大接地荷重
旋回角度 0° 45° 90° 135° 180°
接地荷重(kN) 60.54 69.49 79.38 95.68 65.99
測定箇所 L2 L2 L4 L4 L4
アーム長(m) 6 6 7 7 6グラップル荷重 全木3本 全木3本 無 無 全木1本
・フェラバンチャーMSE-45は旋回角度 135度で最大接地荷重が作用する。
【ハーベスタ KETO-150S】 表 3-9 ハーベスタ KETO-150S の最大接地荷重
旋回角度 0° 45° 90° 135° 180°
接地荷重(kN) 67.74 68.5 73.74 87.25 70.57
測定箇所 R2 L3 L3 L5 L5アーム長(m) 3.3 8.3 8.3 8.3 8.3グラップル荷重 全木1本 無 全木1本 全木1本 無
・ハーベスタ KETO-150Sは旋回角度 135度で最大接地荷重が作用する。
【グラップルローダ F-801(IHI)】 表 3-10 グラップルローダ F-801 の最大接地荷重
荷台荷重 全載 全載 全載 空荷旋回角度 45° 90° 135° 180°
接地荷重(kN) 40.69 45.93 45.63 42.99
測定箇所 L5 L5 L5 R1アーム長(m) 8 8 8 3グラップル荷重 玉切2本 玉切2本 玉切2本 玉切2本
・グラップルローダ F-801(IHI)は旋回角度 90度(135度)で最大接地荷重が作用する。 【ロングリーチグラップル(日建)】 表 3-11 ロングリーチグラップルの最大接地荷重
旋回角度 0° 45° 90° 135° 180°
接地荷重(kN) 86.44 67.47 62.72 64.98 87.86
測定箇所 R2 L3 R2 L5 L5アーム長(m) 9.7 12 3 12 12グラップル荷重 無 全木1本 無 全木1本 全木1本
・ロングリーチグラップル(日建) は旋回角度 180度(0度)で最大接地荷重が作用する。
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3-2-2 最大接地荷重(荷重計 1個)の全体荷重(荷重計 12 個)に対する割合
旋回角度ごとに作用した最大接地荷重とそれに対する全体荷重の割合をまとめると以下のとおりで
ある。最大で全体荷重の約 6割の荷重が 1箇所に集中するケースが確認された。 【フェラバンチャーMSE-45】 表 3-12 フェラバンチャーMSE-45 の最大接地荷重の全体荷重に対する割合
アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 0° 45° 90° 135° 180°
測定箇所 L4 L4 L4 L4 L4接地荷重(kN) 39.88 49.66 55.71 62.27 63.49
全体荷重に対する割合 24% 30% 33% 38% 38%
測定箇所 R2 L4 L4 L4 L4
接地荷重(kN) 40.75 49.99 55.33 62.68 63.32
全体荷重に対する割合 24% 30% 33% 38% 38%
測定箇所 R2 L4 L4 L4 L4
接地荷重(kN) 35.67 48.35 58.73 66.54 63.57
全体荷重に対する割合 21% 28% 34% 38% 37%
測定箇所 R2 L4 L4 L4 L4
接地荷重(kN) 49.92 47.34 73.41 89.55 65.99
全体荷重に対する割合 30% 28% 44% 53% 39%
測定箇所 L2 L2 L4 L4 L4接地荷重(kN) 60.54 69.49 79.05 92.18 51.61
全体荷重に対する割合 35% 41% 46% 54% 30%
測定箇所 R2 L2 L4 L4 L4接地荷重(kN) 58.54 61.36 79.38 95.68 55.54
全体荷重に対する割合 35% 37% 48% 58% 33%
7 無
6 全木1本
6 全木3本
3 無
5 全木1本
5 全木3本
・アーム長 5m以下の場合は旋回した側に全体荷重の 40%未満の最大接地荷重が作用する ・アーム長 6mを超えると旋回した側に全体荷重の 28%~58%の最大接地荷重が作用する ・特に 135°で全体荷重の 50%を越える最大接地荷重が作用する。
【ハーベスタ KETO-150S】 表 3-13 ハーベスタ KETO-150S の最大接地荷重の全体荷重に対する割合
アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 0° 45° 90° 135° 180°
測定箇所 R2 R2 R2 R2 R2接地荷重(kN) 63.77 58.15 58.84 56.91 56.22
全体荷重に対する割合 43% 37% 39% 38% 37%測定箇所 R2 R2 R2 R2 R2接地荷重(kN) 67.74 59.27 58.3 55.55 55.06
全体荷重に対する割合 44% 39% 37% 36% 36%測定箇所 R2 L3 L3 L5 L5接地荷重(kN) 63.48 68.5 70.36 81.05 70.57
全体荷重に対する割合 40% 46% 46% 53% 47%
測定箇所 R2 L3 L3 L5 L5
接地荷重(kN) 63.82 63.41 73.74 87.25 68.56
全体荷重に対する割合 40% 41% 47% 57% 46%
8.3 全木1本
無3.3
全木1本3.3
無8.3
・アーム長 3.3mの場合は旋回とは反対側に最大荷重が作用し、その値は全体荷重の 40%以下。 ・アーム長 8.3mの場合は0°を除いて旋回した側に最大荷重が作用し、その値は全体荷重の 41%~57%。 ・特に 135°で全体荷重の 50%を越える最大接地荷重が作用する。
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【グラップルローダ F-801(IHI)】 表 3-14 グラップルローダ F-801 の最大接地荷重の全体荷重に対する割合
荷台荷重アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 45° 90° 135° 180°
測定箇所 L1 R1 R1 R1接地荷重(kN) 30.44 27.06 26.83 27.13
全体荷重に対する割合 32% 29% 28% 30%
測定箇所 L1 L1 R1 R1
接地荷重(kN) 30.59 27.15 31.97 42.99
全体荷重に対する割合 31% 29% 35% 46%
測定箇所 L1 L1 L5 R1
接地荷重(kN) 30.4 28.46 26.81 25.8
全体荷重に対する割合 33% 31% 28% 27%
測定箇所 L1 L1 L5 R1接地荷重(kN) 40.12 36.49 33.04 39.33
全体荷重に対する割合 41% 38% 34% 40%
測定箇所 L1 L5 L5 R1接地荷重(kN) 31.89 31.05 32.93 28.39
全体荷重に対する割合 28% 28% 30% 25%
測定箇所 L1 L5 L5 L5
接地荷重(kN) 34.51 36.87 37.96 29.35
全体荷重に対する割合 31% 32% 34% 27%
測定箇所 L5 L5 L5 L5接地荷重(kN) 37.1 40.11 40.06 34.16
全体荷重に対する割合 28% 31% 31% 26%
測定箇所 L5 L5 L5 L5
接地荷重(kN) 40.69 45.93 45.63 35.73
全体荷重に対する割合 30% 35% 33% 28%
半載
全載
3 玉切2本
8 玉切2本
3 玉切2本
8 玉切2本
玉切2本
8 無
空荷
8 玉切2本
3 無
3
・アーム長 3mの場合は旋回した側に全体荷重の 26%~32%の最大接地荷重が作用する。 ・アーム長 8mの場合は旋回した側に全体荷重の 27%~41%の最大接地荷重が作用する。特に空荷で グラップル荷重がある場合、旋回した側に全体荷重の 34%~41%の最大接地荷重が作用する。 【ロングリーチグラップル(日建)】 表 3-15 ロングリーチグラップルの最大接地荷重の全体荷重に対する割合
アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 0° 45° 90° 135° 180°
測定箇所 R2 R2 R2 R2 R2接地荷重(kN) 63.87 65.92 62.72 58.79 55.36
全体荷重に対する割合 36% 35% 34% 33% 31%測定箇所 R2 R2 R2 R2 R2接地荷重(kN) 67.97 67.2 62.19 56.47 52.64
全体荷重に対する割合 36% 36% 34% 30% 28%測定箇所 R2 L3 L4 L5 L5接地荷重(kN) 84.65 60.55 54.71 59.09 80.72
全体荷重に対する割合 47% 32% 30% 33% 45%
測定箇所 R2 L3 L4 L5 L5接地荷重(kN) 86.44 63.09 58.68 57.99 81.66
全体荷重に対する割合 47% 33% 32% 32% 45%
測定箇所 R2 L3 L4 L5 L5接地荷重(kN) 83.47 59.81 58.91 56.66 79.63
全体荷重に対する割合 46% 32% 31% 31% 44%
測定箇所 R2 L3 L4 L5 L5接地荷重(kN) 84.86 67.47 59.97 64.98 87.86
全体荷重に対する割合 45% 36% 32% 34% 48%
3 無
3 全木1本
9.7 無
9.7 全木1本
12 無
12 全木1本
・アーム長 3mの場合は旋回とは反対側に最大荷重が作用し、その値は全体荷重の 40%以下 ・アーム長 9.7m以上の場合は旋回した側に全体荷重の 30%~48%の最大接地荷重が作用する。 ・特に 0°、180°で全体荷重の 40%を越える最大接地荷重が作用する。
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3-2-3 左側荷重合計値(旋回側)と右側荷重合計値の比較
左側(旋回側)履帯に作用する荷重(荷重計 6箇所合計値)と右側履帯に作用する荷重(荷重計 6箇所合計値)の割合をまとめると以下のとおりである。最大で左側(旋回側)履帯に右側の約 8倍の荷重が作用するケースが確認された。なお、各表中の値は、右側荷重に対する荷重がかかると想定された旋回側である
左側荷重との比率を示している。 【フェラバンチャーMSE-45】 表 3-16 フェラバンチャーMSE-45 の左側荷重合計値と右側荷重合計値の比較
アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 0° 45° 90° 135° 180°
①左側荷重合計(旋回側) 79.00 93.54 95.26 94.36 88.39②右側荷重合計 87.35 72.21 72.26 69.82 76.81
①/② 90% 130% 132% 135% 115%
①左側荷重合計(旋回側) 80.08 101.66 96.65 96.13 89.89
②右側荷重合計 88.83 65.37 72.74 70.47 77.13
①/② 90% 156% 133% 136% 117%
①左側荷重合計(旋回側) 80.70 100.21 106.30 106.00 93.79
②右側荷重合計 91.63 73.09 65.41 67.75 79.42
①/② 88% 137% 163% 156% 118%
①左側荷重合計(旋回側) 80.04 123.33 131.22 123.93 92.24
②右側荷重合計 88.76 44.87 35.68 43.68 74.97
①/② 90% 275% 368% 284% 123%
①左側荷重合計(旋回側) 81.20 137.69 153.07 138.84 94.36②右側荷重合計 90.98 33.03 19.40 32.39 76.84
①/② 89% 417% 789% 429% 123%
①左側荷重合計(旋回側) 78.37 131.62 142.28 131.23 89.74②右側荷重合計 87.75 34.33 22.34 33.07 76.53
①/② 89% 383% 637% 397% 117%
7 無
3 無
5 全木1本
5 全木3本
6 全木1本
6 全木3本
・アーム長 5m以下の場合は、左側(旋回側)に右側荷重合計の 88%~163%の荷重が作用する。 ・アーム長 6m~7mの場合は、左側(旋回側)に右側荷重合計の 89%~789%の荷重が作用する。特に90°の場合の比率が 368%~637%と高い。 【ハーベスタ KETO-150S】 表 3-17 ハーベスタ KETO-150S の左側荷重合計値と右側荷重合計値の比較
アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 0° 45° 90° 135° 180°
①左側荷重合計(旋回側) 71.78 82.13 77.75 80.79 82.18②右側荷重合計 78.15 74.32 73.92 70.27 70.74
①/② 92% 111% 105% 115% 116%①左側荷重合計(旋回側) 73.85 80.05 84.7 84.94 82.39②右側荷重合計 81.69 73.57 71.92 67.96 71.65
①/② 90% 109% 118% 125% 115%①左側荷重合計(旋回側) 76.15 105.56 122.09 108.49 78.47②右側荷重合計 80.99 42.81 32.31 44.03 71.72
①/② 94% 247% 378% 246% 109%
①左側荷重合計(旋回側) 75.48 113.26 132.27 113.24 75.5
②右側荷重合計 82.15 39.71 25.2 38.74 74.37
①/② 92% 285% 525% 292% 102%
8.3 全木1本
3.3 無
3.3 全木1本
8.3 無
・アーム長 3.3mの場合は、左側(旋回側)に右側荷重合計の 90%~125%の荷重が作用する。 ・アーム長 8.3mの場合は、左側(旋回側)に右側荷重合計の 92%~525%の荷重が作用する。特に 90° の場合の比率が 378%~525%と高い。
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【グラップルローダ F-801(IHI)】 表 3-18 グラップルローダ F-801 の左側荷重合計値と右側荷重合計値の比較
荷台荷重アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 45° 90° 135° 180°
①左側荷重合計(旋回側) 57.95 58.88 57.69 46.64②右側荷重合計 36.02 33.14 36.79 43.62
①/② 161% 178% 157% 107%
①左側荷重合計(旋回側) 64.98 59.52 59.02 48.49
②右側荷重合計 35.05 32.89 33.38 45.24
①/② 185% 181% 177% 107%
①左側荷重合計(旋回側) 61.56 65.23 63.44 48.85
②右側荷重合計 30.61 27.24 32.91 46.12
①/② 201% 239% 193% 106%
①左側荷重合計(旋回側) 71.63 78.45 71.31 50.96②右側荷重合計 25.38 17.42 25.75 47.66
①/② 282% 450% 277% 107%
①左側荷重合計(旋回側) 70.88 74.46 70.04 58.54②右側荷重合計 44.29 38.03 39.67 54.11
①/② 160% 196% 177% 108%
①左側荷重合計(旋回側) 79.31 86.59 78.97 57.19
②右側荷重合計 32.3 27.42 32.22 50.98
①/② 246% 316% 245% 112%
①左側荷重合計(旋回側) 78.85 82.65 79.59 66.98②右側荷重合計 51.68 46.89 48.86 62.66
①/② 153% 176% 163% 107%
①左側荷重合計(旋回側) 90.04 95.42 91.7 66.81
②右側荷重合計 45.04 35.14 44.75 62.39
①/② 200% 272% 205% 107%
全載
3 玉切2本
8 玉切2本
半載
3 玉切2本
8 玉切2本
空荷
3 無
3 玉切2本
8 無
8 玉切2本
・アーム長 3mの場合は、左側(旋回側)に右側荷重合計の 107%~196%の荷重が作用する。 ・アーム長 8mの場合は、左側(旋回側)に右側荷重合計の 106%~450%の荷重が作用する。特に空荷でグラップル荷重がある場合、旋回した側に全体荷重の 107%~150%の荷重が作用する。 【ロングリーチグラップル(日建)】 表 3-19 ロングリーチグラップルの左側荷重合計値と右側荷重合計値の比較
アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 0° 45° 90° 135° 180°
①左側荷重合計(旋回側) 84.56 92.84 97.08 99.08 98.80②右側荷重合計 93.27 93.00 86.79 81.31 79.39
①/② 91% 100% 112% 122% 124%
①左側荷重合計(旋回側) 89.48 97.59 100.48 106.69 104.00
②右側荷重合計 99.06 90.04 81.40 82.27 85.00
①/② 90% 108% 123% 130% 122%
①左側荷重合計(旋回側) 84.66 119.84 132.59 129.58 100.52
②右側荷重合計 96.00 67.60 47.46 51.06 79.46
①/② 88% 177% 279% 254% 127%
①左側荷重合計(旋回側) 84.14 122.51 137.35 134.31 101.40②右側荷重合計 98.38 67.78 44.71 49.20 81.20
①/② 86% 181% 307% 273% 125%
①左側荷重合計(旋回側) 85.23 118.63 137.70 132.01 102.09②右側荷重合計 96.85 66.41 50.21 49.55 80.77
①/② 88% 179% 274% 266% 126%
①左側荷重合計(旋回側) 86.80 126.90 148.61 143.64 103.11②右側荷重合計 99.74 62.53 40.51 46.10 79.75
①/② 87% 203% 367% 312% 129%
3 無
3 全木1本
9.7 無
9.7 全木1本
12 無
12 全木1本
・アーム長 3mの場合は、左側(旋回側)に右側荷重合計の 90%~130%の荷重が作用する。 ・アーム長 9.7m~12m の場合は、左側(旋回側)に右側荷重合計の 86%~367%の荷重が作用する。特に 90°の場合の比率が 274%~367%と高い。
-
35
3-2-4 左側荷重最大値(旋回側)と右側荷重最大値の比較
左側(旋回側)に作用する最大接地荷重と右側に作用する最大接地荷重を比較した結果をまとめると以下のとおりである。最大で左側(旋回側)に右側の約 11 倍の荷重が作用するケースが確認された。なお、各表中の値は、右側荷重に対する荷重がかかると想定された旋回側である左側荷重との比率を示してい
る。 【フェラバンチャーMSE-45】 表 3-20 フェラバンチャーMSE-45 の左側荷重最大値と右側荷重最大値の比較
アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 0° 45° 90° 135° 180°
①左側荷重最大値(旋回側) 39.88 49.66 55.71 62.27 63.49②右側荷重最大値 38.38 24.33 23.34 21.13 22.56
①/② 104% 204% 239% 295% 281%
①左側荷重最大値(旋回側) 31.9 49.99 55.33 62.68 63.32
②右側荷重最大値 40.75 21.98 22.66 20.99 21.69
①/② 78% 227% 244% 299% 292%
①左側荷重最大値(旋回側) 34.19 48.35 58.73 66.54 63.57
②右側荷重最大値 35.67 24.96 20.88 19.13 24.24
①/② 96% 194% 281% 348% 262%
①左側荷重最大値(旋回側) 44.24 47.34 73.41 89.55 65.99
②右側荷重最大値 49.92 19.72 10.36 17.15 36.08
①/② 89% 240% 709% 522% 183%
①左側荷重最大値(旋回側) 60.54 69.49 79.05 92.18 51.61②右側荷重最大値 59.23 16.83 7.23 14.42 38.56
①/② 102% 413% 1093% 639% 134%
①左側荷重最大値(旋回側) 53.74 61.36 79.38 95.68 55.54②右側荷重最大値 58.54 17.07 7.96 14.89 38.74
①/② 92% 359% 997% 643% 143%
6 全木1本
6 全木3本
3 無
5 全木1本
5 全木3本
7 無
・アーム長 3m~5mの場合は左側(旋回側) より右側荷重最大値の方が大きい。 ・アーム長 6m~12mの場合は 0°を除き、左側(旋回側)に右側荷重最大値の 92%~1093%の荷重が作用する。特に 90°の場合の比率が 709%~1093%と高い。 【ハーベスタ KETO-150S】 表 3-21 ハーベスタ KETO-150S の左側荷重最大値と右側荷重最大値の比較
アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 0° 45° 90° 135° 180°
①左側荷重最大値(旋回側) 38.78 39.92 43.78 46.89 47.52②右側荷重最大値 63.77 58.15 58.84 56.91 56.22
①/② 61% 69% 74% 82% 85%①左側荷重最大値(旋回側) 35.73 40.53 46.4 52.42 54.57②右側荷重最大値 67.74 59.27 58.3 55.55 55.06
①/② 53% 68% 80% 94% 99%①左側荷重最大値(旋回側) 47.95 68.5 70.36 81.05 70.57②右側荷重最大値 63.48 32.2 20.77 26.59 29.58
①/② 76% 213% 339% 305% 239%
①左側荷重最大値(旋回側) 32.1 63.41 73.74 87.25 68.56
②右側荷重最大値 63.82 27.18 14.12 22.61 40.68
①/② 50% 233% 522% 386% 169%
8.3 無
8.3 全木1本
3.3 無
3.3 全木1本
・アーム長 3.3mの場合は左側(旋回側)より右側荷重最大値の方が大きい。 ・アーム長 8.3mの場合は 0°を除き、左側(旋回側)に右側荷重最大値の 213%~522%の荷重が作用する。特に 90°の場合の比率が 339%~522%と高い。
-
36
【グラップルローダ F-801(IHI)】 表 3-22 グラップルローダ F-801 の左側荷重最大値と右側荷重最大値の比較
荷台荷重アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 45° 90° 135° 180°
①左側荷重最大値(旋回側) 30.44 26.1 23.81 20.23②右側荷重最大値 26.27 27.06 26.83 27.13
①/② 116% 96% 89% 75%
①左側荷重最大値(旋回側) 30.59 27.15 28.28 31.49
②右側荷重最大値 29.63 26.88 31.97 42.99
①/② 103% 101% 88% 73%
①左側荷重最大値(旋回側) 30.4 28.46 26.81 20.6
②右側荷重最大値 27.3 24.41 25.02 25.8
①/② 111% 117% 107% 80%
①左側荷重最大値(旋回側) 40.12 36.49 33.04 32.68②右側荷重最大値 22.74 16.19 23.92 39.33
①/② 176% 225% 138% 83%
①左側荷重最大値(旋回側) 31.89 31.05 32.93 28.3②右側荷重最大値 27.93 26.42 27.88 28.39
①/② 114% 118% 118% 100%
①左側荷重最大値(旋回側) 34.51 36.87 37.96 29.35
②右側荷重最大値 28.52 23.35 24.73 25.5
①/② 121% 158% 153% 115%
①左側荷重最大値(旋回側) 37.1 40.11 40.06 34.16②右側荷重最大値 34.29 31.09 28.64 30.08
①/② 108% 129% 140% 114%①左側荷重最大値(旋回側) 40.69 45.93 45.63 35.73②右側荷重最大値 34.93 28.87 26.18 26.54
①/② 116% 159% 174% 135%
全載
3 玉切2本
8 玉切2本
半載
3 玉切2本
8 玉切2本
空荷
3 無
3 玉切2本
8 無
8 玉切2本
・アーム長 3mの場合は左側(旋回側)に右側荷重最大値の 73%~140%の荷重が作用する。 ・アーム長 8mの場合は左側(旋回側)に右側荷重最大値の 80%~225%の荷重が作用する。 【ロングリーチグラップル(日建)】 表 3-23 ロングリーチグラップルの左側荷重最大値と右側荷重最大値の比較
アーム長(m)
グラップル荷重
アーム角度 0° 45° 90° 135° 180°
①左側荷重最大値(旋回側) 41.14 37.22 39.45 40.44 46.34②右側荷重最大値 63.87 65.92 62.72 58.79 55.36
①/② 64% 56% 63% 69% 84%①左側荷重最大値(旋回側) 38.14 40.15 41.79 43.12 51.78②右側荷重最大値 67.97 67.2 62.19 56.47 52.64
①/② 56% 60% 67% 76% 98%①左側荷重最大値(旋回側) 44.29 60.55 54.71 59.09 80.72②右側荷重最大値 84.65 54.8 39.38 31.84 33.43
①/② 52% 110% 139% 186% 241%
①左側荷重最大値(旋回側) 45.21 63.09 58.68 57.99 81.66
②右側荷重最大値 86.44 53.81 36.98 29.61 34.51
①/② 52% 117% 159% 196% 237%
①左側荷重最大値(旋回側) 42.56 59.81 58.91 56.66 79.63
②右側荷重最大値 83.47 53.84 38.17 30.12 33.66
①/② 51% 111% 154% 188% 237%
①左側荷重最大値(旋回側) 50.78 67.47 59.97 64.98 87.86②右側荷重最大値 84.86 47.68 30.37 24.62 35.87
①/② 60% 142% 197% 264% 245%
9.7 全木1本
12 無
12 全木1本
3 無
3 全木1本
9.7 無
・アーム長 3mの場合は左側(旋回側)に右側荷重最大値の 56%~98%の荷重が作用する。 ・アーム長 9.7mの場合は 0°を除き、左側(旋回側)に右側荷重最大値の 110%~241%の荷重が作用する。 ・アーム長 12mの場合は 0°を除き、左側(旋回側)に右側荷重最大値の 111%~264%の荷重が作用する。
-
37
3-2-5 F-801 の重心移動
F-801 は4機種の中で車体が長く、唯一荷台を有し、アーム長も 8m と長い。集材作業における重心の
移動が最も大きいと推測できることから、負荷試験の結果を用いてケースごとの重心位置を整理した。
車軸方向を X軸、直角方向を Y軸とし、座標原点を荷重計配置の中心として、ケース 1~8にける重心
位置の移動を調査した。
側面図 平面図 図 3-8 荷重計の配置と旋回角度
45°90°
135°
180°0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7
直角方向・旋回側(m)
車軸方向(m)
45°90°135°
180°0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
‐0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8
直角方向・旋回側(m)
車軸方向(m) 図 3-9 空荷-アーム:3m-グラップル荷重:無 図 3-10 空荷-アーム:3m-グラップル荷重:有
45°
90°
135°
180°0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
直角方向・旋回側(m)
車軸方向(m)
45°
90°
135°
180° 0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
‐0.4 ‐0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
直角方向・旋回側(m)
車軸方向(m)
図 3-11 空荷-アーム:8m-グラップル荷重:無 図 3-12 空荷-アーム:8m-グラップル荷重:有
4.24m
Y軸
1.2m 3.04m
2.12m 2.12m
荷重計
L6 L5 L4 L3 L2 L1
45° 135°
荷重計
R6 R5 R4 R3 R2 R1
180° X軸
Y軸
90°
0°
-
38
45°
90°135°
180°0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
‐0.3 ‐0.2 ‐0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4
直角方向・旋回側(m)
車軸方向(m)
45°
90ド
135°
180°0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
‐0.4 ‐0.2 0 0.2 0.4 0.6
直角方向・旋回側(m)
車軸方向(m)
図 3-13 半載-アーム:3m-グラップル荷重:有 図 3-14 半載-アーム:8m-グラップル荷重:有
45°
90°135°
180°0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
‐0.4 ‐0.3 ‐0.2 ‐0.1 0 0.1 0.2
直角方向・旋回側(m)
車軸方向(m)
45°
90°
135°
180°0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
‐0.7 ‐0.6 ‐0.5 ‐0.4 ‐0.3 ‐0.2 ‐0.1 0 0.1 0.2 0.3
直角方向・旋回側(m)
車軸方向(m)
図 3-15 全載-アーム:3m-グラップル荷重:有 図 3-16 全載-アーム:8m-グラップル荷重:有
①荷台の荷重が「空荷」→「半載」→「全載」にあわせて、重心位置も後ろ側(グラフの左側)に移動する。 ②旋回角度が 45°→90°→135°→180°にあわせて、重心位置も後ろ側(グラフの左側)に移動する。 ③図 3-10を除いて、旋回角度 90°で、重心位置が最も外側(グラフ上側)になる。 ④直角方向(Y軸)の重心移動が最も大きいのは、図 3-12 (空荷-ア-ム8m-グラップル荷重:有)の 0.56 m、次いで、図 3-14 (半載-ア-ム8m-グラップル荷重:有)の 0.49m、図 3-16 (全載-ア-ム8m-グ ラップル荷重:有)の 0.43mであり、アームの長い方が重心移動が大きい。 ⑤車軸方向(X軸)の重心移動が最も大きいのは、図 3-12 (空荷-ア-ム8m-グラップル荷重:有)の 1.1m、 次いで、図 3-16 (全載-ア-ム8m-グラップル荷重:有)の 0.74m、図 3-11 (空荷-ア-ム8m-グラップ ル荷重:無) の 0.71mであり、アームの長い方が重心移動が大きい。 ⑥車軸方向(X軸)並びに直角方向(Y軸)の重心移動が最も大きいのは、図 3-12 (空荷-ア-ム8m-グラップ ル荷重:有)となる。(最も危険)
-
39
3-3 まとめ
①最大接地荷重が旋回した側ではなく反対側に作用するのは、カウンタ-ウエイトの影響によるもの
と考えられる。(カウンターウエイトは、重心から離れた位置に荷重がかかった時に重心の移動が許容
範囲内に収まり、装置が安定するようにするもので、バックホウやクレーンなどのショベル系建設機械
は、機械の特性上、安定を考慮してアームと反対側にカウンタウ-エイトが配置されている。) ②機種により異なるがアーム長が概ね 6m 以上になると機械総重量の 50%に相当する最大接地荷重が局 所的に作用することがある。(表 3-12~15参照) ③作業時、左右履帯に作用する荷重の割合は機種により異なるが、アーム長が概ね 5mを越えると影響 が大きくなる。アーム長 5m以下では右側履帯荷重1に対して左側(旋回側)2、アーム長 5mを越える場合は、右側履帯荷重1に対して左側(旋回側)6.4 となる。右側履帯荷重に対して旋回側の履帯に最大で 6.4倍の荷重が作用する。(表 3-16~19参照) ④フェラバンチャーやハーベスタ等のバックホウをベースマシンとしている高性能林業機械は、車両進
行方向に対して 135°(斜め後ろ)~180°(後ろ)方向に旋回した場合に最大接地荷重が作用する。従って、135°~180°方向に旋回し、アーム長を最大に伸ばした状態で集材を行う場合には安全な作業を心がける必要がある。この体勢で重い材をつかむ場合には特に注意が必要である。 ⑤グラップルローダ F-801は、荷台荷重の有無により重心位置が大きく移動するため、安定性が変化する。特に荷台が空の場合に旋回側前輪に集中荷重が作用する。従って集材作業を行う場合には、近くの
材を荷台に積込み、重心位置を荷台側に移動させてから、遠くにある材をつかむと安全性が高くなる。 集中荷重が作用するホイールタイプだけでなく、荷重が分散される履帯タイプの高性能林業機械であ
っても、路面に大きな荷重が作用することが明かとなった。具体的には局所に機械総重量の 50%に相当する集中荷重が作用することや、旋回側履帯に反対側履帯の 6倍を超える荷重が作用する等、集材作業時には大きな荷重が森林作業道の路面に作用することが明かとなった。 なお、今回の負荷試験は平坦なコンクリート舗装上で実施したが、森林作業道は凹凸があるため、集
材作業では試験値以上の集中荷重が作用する可能性があるので留意する必要がある。
3-4 今後の課題
今回の実機による負荷試験では,静止状態での最大地盤反力を求めたが、試験結果から本来荷重が分
散する履帯タイプの高性能林業機械においても、局所的な集中荷重や旋回側履帯に反対側履帯の6倍を
超える荷重が作用するなどの実態が明らかになった。このことは、森林作業道作設における路肩の締固
めの重要性を改めて認識させる結果である。
今後は森林作業道の実態により近づけるため、アームやグラップルを作動させた状態での最大地盤反
力を調査し、路肩を強化する施工法や補強工法の検討を進めていくことが必要である。
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40
3-5 実機を用いた沈下試験
3-5-1 調査対象地の概要
調査対象地は茨城県常陸大宮市民有林内である。表層地質は、約 1億 7600万年前~1億 4600万年前に海溝で複雑に変形した地層(付加体)である。作設位置は平坦な下方斜面であり、移動堆積物である礫の存在が認められたが、主体は表層部の火山灰質の粘性分を含む土が主体である。
図 3-17 沈下試験調査地位置図
3-5-2 調査対象の森林作業道
調査対象とした森林作業道は幅員 3.0m、縦断勾配 7.0%であり、運材路としての利用回数は 0回のものである。切土高 0.5m~0.7m、盛土高 0.2m~0.5mである。 作設者の技量が高く、路肩の仕上げが丁寧であり、根株を土羽尻に利用した施工を行っている。山手
側も一旦掘り下げ、下方の土と混合しており、山手側も盛土が行われている。調査日は冬季であること
から、当初の路面は凍結の影響を受けて、やや硬さを感じる状態であったが、試験を実施した際には、
凍結した状態が緩む状態であった。 3-5-3 調査実施方法
測定区間:10m(1mごとに川手と山手の地盤高をレベルにより測定) F801の積載量:4m材を満載 丸太を満載状態で 2回走行し、それぞれの地盤高を測定した。車両の走行は試験時のみである。
調査地位置
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41
写真 3-1 調査対象の森林作業道と積載量
3-5-4 調査結果
山手、川手とも同様の変化であるが、やや川手側の数値が大きかったが、この程度ならば車両の走行
には影響はないと判断された。(図 3-18、19参照)川手、山手とも最大の沈下量は 2~3㎝程度であった。(図 3-20 参照) 締固めが十分に行われていること、やや凍結の影響を受けていたことから、大きな沈下は発生しなかった。今回の測定では、車両の走行による盛土の押し出しが発生した場合に影響を受ける
であろうと想定された箇所に調査の基面高(BM)を設けたが、2回の車両の走行による BMの変化はなかった。 なお、図中 T1は車両未走行時、T2は 1回走行後、T3は 2回走行後のものである。
写真 3-2 走行前(左)、2回走行後(右)
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図 3-18 山手側の地盤高の変化
図 3-19 川手側の地盤高の変化
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図 3-20 山手側と川手側の測点別沈下量の変化