(3) n2 1 8wasmath.la.coocan.jp/arithmetic.pdf(m, n...

33
基本解法確認演習 整数 1 (倍数) (1) a 0 する。 a について じているこ せ。 (2) n について, n 3 ⇐⇒ n (10 )各位 3 あるこ せ。 (3) n き,n 2 1 8 あるこ せ。 2 (整数の除法) (1) a b a = bq + r, 0 5 r<b たす q, r がただ一 だけ するこ せ。 (2) 3 7 ( ) めよ。 1 c 学フォーラム

Upload: others

Post on 18-Jun-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

基本解法確認演習 整数

1 (倍数)

(1) aを 0でない整数とする。aの倍数は和,差,積について閉じていることを示せ。(2) 自然数 nについて,

nが 3の倍数 ⇐⇒ nの(10進法表示で)各位の数の和が 3の倍数であることを示せ。

(3) nが奇数のとき,n2 − 1は 8の倍数であることを示せ。

2 (整数の除法)

(1) aが任意の整数で,bが正の整数ならば,a = bq + r, 0 5 r < b

を満たす整数 q, rがただ一組だけ存在することを示せ。(2) 3桁の 7の倍数(自然数)の個数を求めよ。

— 1 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

3 (最小公倍数,最大公約数)

a, bを正の整数とし,aと bの最小公倍数を l, 最大公約数をmをするとき,次の各性質を証明せよ。(1) aと bの公倍数は lの倍数である。(2) aと bの公約数を dとすると,dとmの最小公倍数はmに一致する。すなわち,

aと bの公約数はmの約数である。(3) ab = lm

4 (素数,互いに素)

a, bを 0でない整数とする。(1) abが素数 pで割り切れるならば,aまたは bは pで割り切れることを示せ。(2) paと bは互いに素yと pa + bと abは互いに素yは同値であることを示せ。(3) a(a + 1)(a + 2)は 6の倍数であることを示せ。

— 2 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

5 (素因数分解)

(1) 168と 180の最大公約数,最小公倍数を求めよ。(2) 180の正の約数の個数と正の約数の総和を求めよ。(3) 正の整数 nの正の約数の個数が奇数であるためには,nが平方数であることが必要十分であることを証明せよ。

(4) p, q, rを p < q < rである素数とし,aを正の整数とするとき,a(a + r) = p2q2

を満たす (a, p, q, r)をすべて求めよ。

6 (範囲の限定)

(1) 2次不等式 x2 − 7x − 4 < 0を満たす整数を求めよ。

(2)6x + 19x2 + 2

が整数となるような実数 xの値をすべて求めよ。

(3) xの連立不等式{x2 − ax < 02x2 − 3x − 9 < 0

の整数解がただ 1つであるような実数 aの範囲を求めよ。

(4)23

<m

n<

34を満たす有理数

m

n(m, nは正の整数)の中で,分母 nが最小のも

のを求めよ。(5) mを正の整数とする。m3 + 3m2 + 2m + 6 はある正の整数の 3乗である。mを求めよ。

— 3 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

7 (1次の不定方程式)

次の方程式の整数解を求めよ。(1) 24x = 18y

(2) 2x + 4y = 1(3) 3x − 5y = 7

8 (2次の不定方程式)

(1) 5x2 + y2 = 21を満たす正の整数 (x, y)の組をすべて求めよ。(2) 2x2 − 2xy + y2 + x − 2y = 0を満たす整数 (x, y)の組をすべて求めよ。(3) mn − 2m + 4n − 20 = 0を満たす自然数 (m, n)の組をすべて求めよ。(4) a2 + 7ab + 12b2 + a + 3b − 9 = 0を満たす整数 a, bの組 (a, b)をすべて求めよ。

(5)√

n2 + n − 1 が整数となるような整数 nをすべて求めよ。

— 4 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

9 (余りの考察)

(1) 任意の整数 nに対して,n2 + n + 1は 5で割り切れないことを示せ。(2) a, b, c, dを整数とする。整式

f(x) = ax3 + bx2 + cx + d

において,f(−1), f(0), f(1)がいずれも 3で割り切れないならば,方程式 f(x) = 0は整数の解をもたないことを証明せよ。

(3) 32003を 11で割った余りを求めよ。(4) 32003 (を 10進法で表したとき)の下 5桁を求めよ。(5) nを正の整数とし,2000nを 7で割った余りを anとする。Sn = a1 +a2 + · · ·+an

が 7で割り切れる最小の nを求めよ。

10(余りと転換法 背理法)

(1) 自然数 a, bに対して,a2 + b2が 3の倍数ならば,a, bはともに 3の倍数であることを証明せよ。

(2) 自然数 a, b, cが a2 + b2 = c2を満たすとき,a, bの少なくとも一方は偶数であることを証明せよ。

— 5 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

11(ユークリッドの互除法)

(1) 0でない整数 a, bに対して,整数 q, rを用いて a = bq + rと表すときgcd(a, b) = gcd(b, r)

となることを示せ。(2) 方程式 2003x + 15y = 1の整数解を求めよ。(3) nを正の整数とする。 n2 + 2が 2n + 1の倍数になる nを求めよ。

12(ax + by = 1の定理)

a, bを互いに素な整数とするとき,ax + by = 1

を満たす整数 x, yが存在することを証明せよ。

— 6 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

13(対称式の処理)

(1) abcd = a + b + c + dを満たす正の整数 a, b, c, d をすべて求めよ。

(2)1a

+1b

+1c

> 1 を満たすような相異なる 2以上の自然数 a, b, c に対して,

1a

+1b

+1cがとり得る値をすべて求めよ。

14(格子点)

(1) a, bが互いの素な整数であるとき,2点O(0, 0), A(a, b)を結ぶ線分上には,両端を除いて格子点が存在しないことを示せ。

(2) △ABCの辺AB, ACそれぞれの上に両端を除いて奇数個の格子点があるとき,辺 BC上にも両端を除いて奇数個の格子点があることを示せ。

(3) 格子点を頂点とする平行四辺形の内部に格子点がないとき,この平行四辺形の面積は 1であることを示せ。

— 7 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

15(整数係数漸化式)

数列 {an}を漸化式a1 = 2, a2 = 4, an+2 = 4an+1 + 2an (n = 1, 2, 3, · · · )

によって定める。(1) anは整数であることを示せ。(2) a2004を 5で割った余りを求めよ。

16(整数値多項式)

f(x) = ax2 + bx + c (a, b, cは実数)に対して,f(0), f(1), f(2)がいずれも整数であるとき,すべての整数 nに対して f(n)は整数であることを示せ。

— 8 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

17(整数部分,小数部分)

(1)√

141 の整数部分を求めよ。

(2) 実数 xに対して,[x ]は xを超えない最大の整数を表すものとする。このとき,

[x ] +[x + 1

2

]= [2x ]

が成り立つことを証明せよ。

(3) nを自然数とするとき,2n

3の整数部分を(ガウス記号を使わない) nの式で表せ。

18(p進法)

(1) 10進法で 4444と表された数を 3進法で表せ。(2) 3進法で 10121と表された数を 10進法で表せ。

— 9 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

1 確認:1, 2, 3, · · · のように個数を数えたり,番号をつけるのに用いられる数を自然数という。自然数は和について閉じているが,差については閉じていない(自然数どうしの和は自然数になるが,差は自然数になるとは限らない)。そこで,

0 (= 1 − 1), −1 (= 1 − 2), −2 (= 1 − 3), −3 (= 1 − 4), ······を追加して和 差について閉じるようにした数全体を整数という。整数は和 差 積について閉じているが,商については一般に閉じていないことを

考えて,2つの整数 a, bの商a

b(b = 0)が整数であるとき,すなわち

a = bq (qは整数)

と表されるとき,aは bで割り切れる,bは aを割るという。また,このとき aは bの倍数,bは aの約数といい,記号では b

∣∣aと表す。倍数の性質として重要なのは,bの倍数と任意の整数との積もまた bの倍数になる

ことと,倍数も和 差について閉じていることである。

解答:

(1) aの倍数 am, an (m, nは整数)に対してam + an = a(m + n), am − an = a(m − n), am an = a(amn)

となり,整数は和,差,積について閉じているから,aの倍数は和,差,積について閉じている。 (おわり)

(2) nをm桁の自然数とし,各位の数字を akで表すとn = a1 10m−1 + a2 10m−2 + · · · + am−1 10 + am

= a1(1 + 9bm−1) + a2(1 + 9bm−2) + · · · + am−1(1 + 9b1) + am

= a1 + a2 + · · · + am−1 + am + 9(a1bm−1 + a2bm−2 + · · · + am−1b1)= a1 + a2 + · · · + am−1 + am + 3(3a1bm−1 + 3a2bm−2 + · · · + 3am−1b1)

(bkは各位が 1である k桁の自然数)であるから,

nが 3の倍数 ⇐⇒ a1 + a2 + · · · + am−1 + amが 3の倍数(おわり)

(注) 上の議論より,9の倍数についても同様のことが言える。

(3) 奇数 nはn = 2k + 1 (kは整数)

と表されるから,n2 − 1 = (4k2 + 4k + 1) − 1 = 4k(k + 1)

kと k + 1のうち一方は偶数であるから,k(k + 1)は偶数であり,n2 − 1は 8の倍数

である。(おわり)

— 10 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

2 確認:小学生のときに13 ÷ 5 = 2あまり 3

と習ったが,これはよく考えてみるとおかしい。左辺は数値で右辺は事柄なので,等しいはずはないのである。そこで,中学以降では整数の除法を

a = bq + r, 0 5 r < b

と表し,等式としての正しさとわかりやすさとを実現したのであった。ただし,整数は商について閉じていないので,これは厳密には除法ではない。あくまでも,このような等式で表現することを習慣的に除法と呼んでいるということに注意する。このとき,rを(aを bで割ったときの)余りといい,誤解がなければ qを商と呼んで差し支えない。高校で習う整式(多項式)の除法も,このような考え方 表し方を基礎としている。ま

た,本問(2)のように答案としての説明の表現にも用いられる。(1)では,上のような等式表現が可能であること,さらにその表現が一意であること

を確かめる。

解答:

(1) 数直線を bの倍数で区切ると,実数全体を区間qb 5 x < (q + 1)b (qは整数)

で覆うことができる。よって,任意の整数 aに対してqb 5 a < (q + 1)b

を満たす整数 qが存在する。このとき,a − qb = rとおくとa = qb + r, 0 5 r < b

いま a = sb + t, 0 5 t < bを満たす整数 s, tがあるとすれば,aを消去して(q − s)b = t − r

t − rは bの倍数となるが,その範囲より 0 5 |t − r| < bであるから,t − r = 0 ∴ r = t

b > 0であるから,(q − s)b = 0よりq − s = 0 ∴ q = s (おわり)

(2) 999 = 7 × 142 + 5より1以上 999以下の 7の倍数は 142個

99 = 7 × 14 + 1より1以上 99以下の 7の倍数は 14個

よって,3桁の 7の倍数は142 − 14 = 128 個 (答)

— 11 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

3 確認:0 でない整数 a, b に対して, a の倍数かつ b の倍数であるような整数を aと bの公倍数という。公倍数の中で最小正のものを最小公倍数 (least commonmultiple)といい,記号で lcm(a, b)と表す。また,aの約数かつ bの約数であるような整数を aと bの公約数をいう。公約数の中で最大のものを最大公約数 (greatestcommon divisor)といい,記号で gcd(a, b)または略して (a, b)と表す。ただし,(a, b)は座標と混同される恐れがあるので,高校ではあまり用いられない。本問で示す 3つの定理は,最小公倍数と最大公約数についての重要な性質なので,結

果はきちんと覚えておこう。

解答:

(1) aと bの公倍数を cとし,整数 q, rをc = lq + r, 0 5 r < l

により定める。(→ 2 (1)

)cも lも aの倍数であるから,r = c − lqは aの倍数で

あり,同様に rは bの倍数でもあるから,rは aと bの公倍数である。もし 0 < r < lとすると,lの最小性に反してしまうから,

r = 0 ∴ c = lq

よって,aと bの公倍数は最小公倍数 lの倍数である。 (おわり)

(2) k = lcm(d, m) > 0とする。 a, bはともに dの倍数かつmの倍数であるから,(1)より, aと bはともに kの倍数,つまり kは aと bの公約数である。m = gcd(a, b)の最大性より

k 5 m

k (> 0)はmの倍数であるから,k = m ∴ k = m

よって,aと bの公約数は最大公約数mの約数である。 (おわり)

(3) abは aと bの公倍数であるから,(1)よりab = ld (dは正の整数)

l = aα = bβ とおくとa = βd, b = αd (α, βは正の整数)

と表され,dは aと bの公約数となるから,(2)よりde = m (eは正の整数)

と表される。a

m=

β

e,

b

m=

α

eは整数

となるから,eはαとβの公約数であり,もし e > 1ならば

l = aα = bβ > aα

e= b

β

e

となって,lが aと bの最小公倍数であることに反する。∴ e = 1, ab = lm (おわり)

— 12 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

4 確認:1と自分自身のちょうど 2つを正の約数にもつ自然数を素数という。この定義からすると 1は素数ではないのだが,誤解を避ける(?)ために p2以上の整数で · · · yと明記された書物も多い。約数で素数のものを特に素因数という。素数の大きな特徴として (p, a, bが正の整数のとき)

pは素数 ⇐⇒ pが abを割るならば,pは aまたは bを割るという性質が成り立つ。本問(1)では⇒ を示すが, ⇐ については,対偶を考えれば明らかである。 2以上の整数m, nの積で表される整数mnを合成数という。

2つの整数 a, bの最大公約数が 1であるとき,aと bは互いに素であるという。素因数分解

(→ 5

)や互除法

(→ 11

)により実際に最大公約数が求められる場合もある

が,互いに素であることを示すには,共通の素因数があるとして矛盾を導くのが基本的である。また,aと bが互いに素なとき,lcm(a, b) = abとなることも重要である。

解答:

(1) aと pの最大公約数 gcd(a, p)は pの約数であり,pは素数であるから,gcd(a, p) = p または 1

gcd(a, p) = pのとき aは pで割り切れる。gcd(a, p) = 1のとき,p

∣∣abよりap = lcm(a, p)

∣∣ lcm(a, ab) = ab ∴ p∣∣b (おわり)

(2) pを素数とするとき,(1)の性質よりp∣∣ab ⇐⇒ p

∣∣a または p∣∣b

であるから,p∣∣a + b かつ p

∣∣ab ⇐⇒ p∣∣a + b かつ “ p

∣∣a または p∣∣b ”

⇐⇒ “ p∣∣a + b かつ p

∣∣a ”または “ p∣∣a + b かつ p

∣∣b ”

⇐⇒ p∣∣b かつ p

∣∣a両辺を否定すると

a + bと abは互いに素 ⇐⇒ aと bは互いに素 (おわり)

(3) aと a + 1の一方は偶数であるから,a(a + 1)は偶数であり,a(a + 1)(a + 2)は偶数 (2の倍数)

である。 a, a + 1, a + 2のうちの 1つは 3の倍数であるから,a(a + 1)(a + 2)は 3の倍数

である。 2と 3は互いに素であるから,2の倍数かつ 3の倍数は 6の倍数であり,a(a + 1)(a + 2)は 6の倍数である。 (おわり)

— 13 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

5 確認:2以上の任意の整数は,有限個の素数の積に(順序を除いて)一意に分解できる。最小の合成数 4については 4 = 2× 2となって成り立つから,このような性質を満たさない合成数があるとすれば,その最小数 aが存在する。aは 2以上の整数 b, cを用いて a = bcと表されるが,aの最小性より b, cはそれぞれ有限個の素数の積で表されるから,aもそのようになり矛盾する。素因数分解が 2通りに

p1e1p2

e2 · · · prer = q1

f1q2f2 · · · qs

fs

と表されるとすれば,まず左辺は p1で割り切れ,素数の性質から p1 = q1としてよい。4 (1)で示した性質をくり返し適用すると e1 = f1が導かれ,最終的に

r = s, ej = fj ( j = 1, 2, · · · , r )

が得られる。(定理の証明おわり)正の整数 a, bの素因数分解を

a = p1e1p2

e2 · · · prer , b = p1

f1p2f2 · · · pr

fr (ei, fjは 0以上の整数)とすれば,最大公約数 最小公倍数は

gcd(a, b) = p1min(e1, f1) p2

min(e2, f2) · · · prmin(er, fr)

lcm(a, b) = p1max(e1, f1) p2

max(e2, f2) · · · prmax(er, fr)

となる。aの正の約数は p1

k1p2k2 · · · pr

kr (0 5 ki 5 ei)と表されるから,aの正の約数の個数は

(e1 + 1)(e2 + 1) · · · (er + 1)aの正の約数の総和は

e1∏a=1

p1a

e2∏b=1

p2b · · ·

er∏c=1

prc

である。

解答:

(1) 2 ) 168 1802 ) 84 903 ) 42 45

14 15より

gcd(168, 180) = 22 × 3 = 12lcm(168, 180) = 12 × 14 × 15 = 2520

}(答)

(2) 180 = 22 × 32 × 5と素因数分解され,180の正の約数は2a3b5c (a = 0, 1, 2 ; b = 0, 1, 2 ; c = 0, 1)

と表されるから,180の正の約数の個数は(2 + 1) × (2 + 1) × (1 + 1) = 18 個 (答)

180の正の約数の総和は(1 + 2 + 22)(1 + 3 + 32)(1 + 5) = 7 × 13 × 6 = 546 (答)

— 14 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

(3) nの素因数分解をn = p1

e1p2e2 · · · pr

er

とすると,nの正の約数の個数N はN = (e1 + 1)(e2 + 1) · · · (er + 1)

であるから,N が奇数 ⇐⇒ e1 + 1, e2 + 1, · · · , er + 1がすべて奇数

⇐⇒ e1, e2, · · · , erがすべて偶数⇐⇒ ek = 2fk (k = 1, 2, · · · , r)を満たす自然数 fkがある⇐⇒ n = (p1

f1p2f2 · · · pr

fr)2と表される⇐⇒ nは平方数 (おわり)

(4) 0 < a < a + r, p < qであり,pと qは素数であるから,(a, a + r) = (1, p2q2), (p, pq2), (q, p2q), (p2, q2)

の 4つの場合に限られる。( i ) a = 1, a + r = p2q2のとき

r = p2q2 − 1 = (pq + 1)(pq − 1)rは素数であるから

pq + 1 = r, pq − 1 = 1となるが,p, qは素数であるから pq = 2は成り立たない。

( ii ) a = p, a + r = pq2のときr = pq2 − p = p(q + 1)(q − 1)

pは素数で,p < qであるから2 5 p 5 q − 1 < q + 1

となって,rは合成数となるから不適である。(iii) a = q, a + r = q2qのとき

r = p2q − q = q(p + 1)(p − 1)p, qは p < qなる素数であるから

q = 3, p + 1 = 3, p − 1 = 1となって,rは合成数となるから不適である。

(iv) a = p2, a + r = q2のときr = q2 − p2 = (q + p)(q − p)

rは素数で,0 < q − p < q + pであるから,q + p = r, q − p = 1

p, qは素数であるから p = 2, q = 3と定まり,r = 5, a = 4が得られる。

以上より,求める整数の組は(a, p, q, r) = (4, 2, 3, 5) (答)

— 15 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

6 確認:整数は数直線上で一定の間隔 1を保って分布しているので,条件を満たす範囲を大雑把に評価するだけで,答の候補を絞り込むことができる。(1) 2次不等式の解の範囲で整数を拾えばよいのだが,境界値が無理数の場合はその無理数を隣り合う整数で評価するのが基本である。ただ,整数係数の整式の場合はグラフ(関数の増減)を考えた方が簡単である。

(2)6x + 19x2 + 2

= nとでもおいて,実数 xの存在条件(実数解条件)を考える。

(3) 不等式を満たす整数 xは限られるので,pただ 1つの解yが具体的に決まる。(4) まず整数係数の連立不等式に直し,

正の整数 ⇐⇒ 1以上の整数と言い換えて処理する。意外な盲点であるが,不等式自体は実数の範囲で考えているため,これだけのことで評価が厳しくなっているのである。

(5) 隣り合う立方数(3乗数)で評価することを考える。

解答:

(1)〔解法 1〕公式を用いて 2次不等式 x2 − 7x − 4 < 0を解くと7 −

√65

2< x <

7 +√

652

ここで,82 < 65 < 92より 8 <√

65 < 9であるから,境界値の範囲は

7 − 92

<7 −

√65

2<

7 − 82

,7 + 8

2<

7 +√

652

<7 + 9

2となり,xを整数の範囲に限定すると

0 5 x 5 7 ∴ x = 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 (答)

〔解法 2〕f(x) = x2 − 7x − 4とおくと,(f(0) = −4, f(7−x) = f(x)に注目して)f(−1) = 4 > 0, f(0) = −4 < 0, f(7) = −4 < 0, f(8) = 4 > 0

より,求める整数解はx = 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 (答)

(2)6x + 19x2 + 2

= nとおくと,

9nx2 − 6x + (2n − 1) = 0

n = 0のとき,x = − 16

n = 0のとき,xの 2次方程式が実数解をもつことより14 (判別式) = 32 − 9n(2n − 1) = 0

9(2n2 − n − 1) = 9(2n + 1)(n − 1) 5 0nは 0でない整数であるから n = 1となり,このとき

9x2 − 6x + 1 = (3x − 1)2 = 0 ∴ x =13

— 16 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

以上より,求める xの値は

x = − 16

,13

(答)

(3){

x2 − ax < 0 · · · · · · 1⃝2x2 − 3x − 9 < 0 · · · · · · 2⃝

1⃝ (⇔ x(x − a) < 0 )を解くと,a < 0のとき a < x < 0, a = 0のとき解なし,a > 0のとき 0 < x < a

となるから,ただ 1つの整数解は− 1または 1

に限られる。 2⃝ (⇔ (2x + 3)(x − 3) < 0 )を解くと,

− 32

< x < 3

であるから, 1⃝かつ 2⃝を満たす整数 xが− 1だけとなるのはa < −1

のときであり, 1⃝かつ 2⃝を満たす整数 xが 1だけとなるのは1 < a 5 2

のときである。以上より,求める範囲はa < −1 または 1 < a 5 2 (答)

(4) 正の整数は 1以上の整数と同じであることに注意すると23

<m

n⇐⇒ 3m − 2n > 0 ⇐⇒ 3m − 2n = 1 ⇐⇒ m = 2n + 1

3m

n<

34

⇐⇒ 3n − 4m > 0 ⇐⇒ 3n − 4m = 1 ⇐⇒ m 5 3n − 14

であるから,実数mが存在するための条件は2n + 1

35 3n − 1

44(2n + 1) 5 3(3n − 1) ∴ n = 7

n = 7のとき2 × 7 + 1

35 m 5 3 × 7 − 1

4∴ m = 5

よって,求める有理数はm

n=

57

(答)

(5) m > 0よりm3 < m3 + 3m2 + 2m + 6 < m3 + 6m2 + 12m + 8 = (m + 2)2

であるから,m3 + 3m2 + 2m + 6が立方数とすればm3 + 3m2 + 2m + 6 = (m + 1)3

2m + 6 = 3m + 1 ∴ m = 5 (答)

— 17 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

7 確認:a, b が互いに素な整数 (ab = 0)であるときax = by ⇐⇒ x = bn, y = an (nは整数)

が成り立つことが,1次不定方程式の解法の基本となる。定数項が 0でないときは,解 (x0, y0)を 1組見つけて差をとると

ax − by + c = 0−) ax0 − by0 + c = 0

a(x − x0) − b(y − y0) = 0

のように,aX = bY の形に帰着できる。(→ (2)

)整数解 (x0, y0)が見つけにくいとき

は,ユークリッドの互除法(→ 9

)を用いる。 aと bが互いに素でないときは,両辺

を gcd(a, b)で割る。必然的にax + by + c = 0を満たす整数 x, yが存在 ⇐⇒ gcd(a, b)

∣∣cということになる。

(→ 10

)解答:

(1) 両辺を gcd(24, 18) = 6で割って24x = 18y ⇐⇒ 4x = 3y

4xは 3の倍数であるが,4と 3は互いに素であるから,x = 3n (nは整数)

と表され,4 3n = 3yより yも求めてx = 3n, y = 4n (nは整数) (答)

(2) x, yが整数のとき 2x + 4yは偶数で,右辺 1は奇数であるから,2x + 4y = 1は整数解をもたない (答)

(3) 3 × 9 − 5 × 4 = 7であるから,3x − 5y = 7の両辺からひいて3x − 5y = 7 ⇐⇒ 3(x − 9) − 5(y − 4) = 0

⇐⇒ 3(x − 9) = 5(y − 4)

3と 5は互いに素であるから,x − 9 = 5n, y − 4 = 3n

∴ x = 5n + 9, y = 3n + 4 (nは整数) (答)

— 18 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

8 確認:(多変数)2次方程式の 2次の項全体の部分を主要部というが,主要部については(必要ならば適当に両辺を整数倍すると)整数係数多項式として

( i ) 既約多項式 (ii) 相異なる 1次式の積 (iii) 完全平方式の整数倍のいずれかとなる。不定方程式の整数解を求めるには,各型に応じて

( i ) 主要部が因数分解できないときは,(必要条件として)実数の存在条件(平方または判別式が 0以上)から範囲を絞り込む

(ii) 主要部が相異なる 1次式の積にできるときは,式全体を“ ( ) × ( ) =定数 ”の形にして約数を考える

(iii) 主要部が平方式の定数倍のときは,平方因数に注目するというのが基本である。2次曲線論の知識を借りれば,

( i )は楕円の方程式であり,存在範囲が有界であることを活用(ii)は双曲線または 2直線の方程式であり,方程式の特徴を活用(iii)は放物線の方程式であり,1次式と平方のギャップを活用

ということになり,極めて自然な発想だと言える。ただし,放物線の方程式にあたる(iii)の型の場合,不定方程式の整数解は定まらないので,本問では取り上げない。(ii)の型の場合,本問(3), (4)のような変形自体が解法の決め手となるので,変形方法をしっかりと覚えてほしい。

解答:

(1) y2 = 21 − 5x2 = 0より

x2 5 215

= 4 +15

xは正の整数であるから,x = 1 または x = 2

x = 1のときは y2 = 16であり,yも正の整数であるから y = 4x = 2のときは y2 = 1であり,yは正の整数であるから y = 1以上より,求める正の整数の組は

(x, y) = (1, 4), (2, 1) (答)

(2) 与えられた方程式を yについて整理してy2 − 2(x + 1)y + 2x2 + x = 0

必要条件として実数 yが存在することより14 (判別式) = (x + 1)2 − (2x2 + x) = −x2 + x + 1 = 0

f(x) = −x2 + x + 1とおくとf(−1) = −1 < 0, f(0) = 1 > 0, f(1) = 1 > 0, f(2) = −1 < 0

であるから,xが整数であることよりx = 0 または x = 1

x = 0のときはy2 − 2y = y(y − 2) = 0 ∴ y = 0, 2

— 19 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

x = 1のときはy2 − 4y + 3 = (y − 1)(y − 3) = 0 ∴ y = 1, 3

よって,求める整数解は(x, y) = (0, 0), (0, 2), (1, 1), (1, 3) (答)

(3) 与えられた方程式を変形してm(n − 2) + 4n − 20 = 0m(n − 2) + 4(n − 2) − 12 = 0

∴ (m + 4)(n − 2) = 12

m = 1, n = 1より m + 4 = 5, n − 2 = −1であるから,(m + 4, n − 2) = (6, 2), (12, 1)

∴ (m, n) = (2, 4), (8, 3) (答)

(4) a2 + 7ab + 12b2 = (a + 3b)(a + 4b)に注目してa2 + 7ab + 12b2 + a + 3b − 9 = (a + 3b + c)(a + 4b + d) + k

とおくと,1次以下の項の係数比較よりc + d = 1, 4c + 3d = 3, cd + k = −9

∴ c = 0, d = 1, k = −9よって,与えられた方程式は

(a + 3b)(a + 4b + 1) = 9

9の約数を考えて(a+3b, a+4b+1) = (1, 9), (3, 3), (9, 1), (−1, −9), (−3, −3), (−9, −1)

∴ (a, b) = (−20, 7), (6, −1), (36, −9), (26, −9), (0, −1), (−30, 7) (答)

(5)√

n2 + n − 1 = m (= 0)とおくと,

n2 + n − 1 =(n +

12

)2− 5

4= m2

(2n + 1)2 − (2m)2 = 5∴ (2n + 2m + 1)(2n − 2m + 1) = 5

m = 0より 2n + 2m + 1 = 2n − 2m + 1であるから,(2n + 2m + 1, 2n − 2m + 1) = (5, 1), (−1, −5)

∴ (n, m) = (1, 1), (−2, 1)

よって,√

n2 + n − 1 が整数となるような整数 nはn = 1, −2 (答)

— 20 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

9 確認:自然数 bで割れるか割れないかを議論するには,整数 q, rを用いて bq + r

(0 5 r < b)の形に持ち込めばよい(→ 1 , 2

)が,変形のしようがないときには

N を bで割った余りで場合分けするのが有効な手段である。余りの個数が限られていることに注目すると,a, mが 2以上の整数のとき

an(nは自然数)をmで割った余りは周期をもつことがわかる。 a, a2, a3, · · · が異なる余りをとり続けるのは無理だからである。実際に解く場面では,(3)のように,実験して an = (mの倍数)+ 1となる nを見つけるのがポイントとなる。 (10進法表示における) 1の位や下何桁かについても,余りとみることができる。周期性の考察のほか,二項定理の活用もポイントとなる。

2整数 a, bについて,a − bが自然数mで割り切れるとき,記号でa ≡ b (mod m)

と表し,aと bはmを法として合同であるという。a1 ≡ a2, b1 ≡ b2 (mod m)のときa1 + b1 ≡ a2 + b2, a1 − b1 ≡ a2 − b2, a1b1 ≡ a2b2 (mod m)

が成り立ち,演算が矛盾なく定義できる。(各自で確かめよ。)大きな数の余りを扱うときに,この合同類を考えると便利である。

解答:

(1) n = 5q + r (q, rは整数,0 5 r 5 4)と表すことができてn2 + n + 1 = (5q + r)2 + (5q + r) + 1 = 5(5q2 + 2qr + q) + r2 + r + 1

であるから,r2 + r + 1が 5で割れ切れないことを示せばよい。r = 0のとき r2 + r + 1 = 1r = 1のとき r2 + r + 1 = 3r = 2のとき r2 + r + 1 = 7 = 5 + 2r = 3のとき r2 + r + 1 = 13 = 5 × 2 + 3r = 4のとき r2 + r + 1 = 21 = 5 × 4 + 1

となるから,n2 + n + 1は 5で割り切れない。 (おわり)

(2) 3で割った余りに注目すれば,任意の整数 nは3m − 1, 3m, 3m + 1 (mは整数)

のいずれかの形に表される。f(3m − 1) = a(3m − 1)3 + b(3m − 1)2 + c(3m − 1) + d

= (3の倍数) + a(−1)3 + b(−1)2 + c(−1) + d

= (3の倍数) + f(−1)

f(3m) = a(3m)3 + b(3m)2 + c(3m) + d

= 3(9am3 + 3bm2 + cm) + d

= (3の倍数) + f(0)

f(3m + 1) = a(3m + 1)3 + b(3m + 1)2 + c(3m + 1) + d

= (3の倍数) + a 13 + b 12 + c 1 + d

— 21 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

= (3の倍数) + f(1)

であるから,f(−1), f(0), f(1)がいずれも 3で割り切れないならば,任意の整数nに対して f(n)は 3で割り切れない,特に f(n) = 0である。 (おわり)

(3) 32 = 9, 33 = 27 = 11 × 2 + 5, 34 = 81 = 11 × 7 + 4, 35 = 243 = 11 × 22 + 1に注目すると,

3n+5 − 3n = 3n(243 − 1) = 11 × 3n × 22より,3nを 11で割った余りは nについて 5を周期とする。

2003 = 5 × 400 + 3より,32003を 11で割った余りは,33を 11で割った余りと等しくなるから,

32003を 11で割った余りは 5 (答)

(4) 32003 = 3 × (32)1001

= 3 × (10 − 1)1001

= 3 × (−1 + 1001 10 − 1001C2 102 + 1001C3 103 − 1001C4 104)+ (105の倍数)

= 3 × (−1 + 1001 10 − 1001 500 102 + 1001 500 333 103

− 1001 250 333 499 104) + (105の倍数)= 3 × (−1 + 10010 − 50000 + 105) + (105の倍数)= 3 × 60009 + (105の倍数)= 180027 + (105の倍数)

であるから,32003の下 5桁は 80027 (答)

(5) 2000 = 7 × 285 + 5より2000 ≡ 5 (mod 7), a1 = 520002 ≡ 52 ≡ 25 ≡ 4 (mod 7), a2 = 420003 ≡ 4 × 5 ≡ 20 ≡ 6 (mod 7), a3 = 620004 ≡ 6 × 5 ≡ 30 ≡ 2 (mod 7), a4 = 220005 ≡ 2 × 5 ≡ 10 ≡ 3 (mod 7), a5 = 320006 ≡ 3 × 5 ≡ 15 ≡ 1 (mod 7), a6 = 1

以下,7で割った余りは 5, 4, 6, 2, 3, 1をくり返す。S2 = 5 + 4 = 9S3 = 9 + 6 = 15S4 = 15 + 2 = 17S5 = 17 + 3 = 20S6 = 20 + 1 = 21

であるから,

Snが 7で割り切れる最小の nは 6 (答)

— 22 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

10 確認: 9 において p余りで場合分けするy手法を確認したが,場合分けを尽くすことで逆の命題の成立を導くことができる。このような論法を転換法という。本問(1)では a2 + b2が 3の倍数だからといって a2 + b2を変形しようがないので,

a2 + b2を 3で割ったときに起こり得るすべての余りを調べることで,a2 + b2が 3の倍数となる場合を特定する。本問(2)も転換法で証明できるが,aと bがともに奇数となる場合が起こらないこと

さえ示せばよいので,aと bがともに奇数と仮定して矛盾を導く方が手っ取り早い。このような論法を背理法という。

(2)では,aと bを偶数 奇数で(2で割った余りで)場合分けするだけでは,うまく証明できない。平方数の偶奇を扱うときは,4または 8で割った余りで場合分けするのが基本である。それは 1 (3)の結果に基づいている。

解答:

(1) mを整数として(3m)2 = 3(3m2), (3m ± 1)2 = 3(3m2 ± 2m) + 1

と表されるから,整数 nについてnは 3の倍数 ⇐⇒ n2は 3の倍数nは 3で割り切れない ⇐⇒ n2は 3で割ると 1余る

が成り立つ。3で割った余りについて,起こり得るすべての場合を調べると

a2 0 0 1 1b2 0 1 0 1

a2 + b2 0 1 1 2

よって,a2 + b2が 3の倍数となるのは,a, bがともに 3の倍数のときに限られる。(おわり)

(2) a, bがともに奇数とすると,a = 2m − 1, b = 2n − 1 (m, nは自然数)

と表されるから,a2 + b2 = 4(m2 − m + n2 − n) + 2

ところが,a, bがともに奇数ならば cは偶数となり,c2は 4の倍数となるから,c2 = 4(m2 − m + n2 − n) + 2

となり,仮定 a2 + b2 = c2に反してしまう。よって,a2 + b2 = c2を満たすとき,a, bの少なくとも一方は偶数である。

(おわり)

— 23 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

11 確認:本問(1)で示すように,整数 a, b, q, r (ab = 0)に対してa = bq + r =⇒ gcd(a, b) = gcd(b, r)

が成り立つ。 0 5 r < |b|とできるので,この操作を何回か繰り返せば aと bの最大公約数を求めることができる。このような方法をユークリッドの互除法という。なお,(1)自体は 0 5 r < |b|でなくても成り立つ。(1)の証明は 3 (2)を用いる。

1次不定方程式は既に 7 で扱ったが,本問(2)のように係数の数値が大きいとすぐには解が見つけられないので,ユークリッドの互除法を用いることにする。整数の場合により小さい数に帰着されるのと同様にして,整式(多項式)にユーク

リッドの互除法を適用すると,より低い次数の式(が表す数)の議論に帰着できる。

解答:

(1) d = gcd(a, b), δ = gcd(b, r)とおく。a = bq + rより aは δの倍数であるから,δは aと bの公約数である。よって,

δ∣∣ d = gcd(a, b)

また,r = a− bqより rは dの倍数であるから,dは bと rの公約数である。よって,d

∣∣ δ = gcd(b, r)d > 0, δ > 0であるから,互いに約数であることより

d = δ (おわり)

(2) 2003 = 15 × 133 + 8 −→ 2003 − 15 × 133 = 815 = 8 + 7 −→ 15 − 8 = 78 = 7 + 1 −→ 8 − 7 = 1

であるから,最後の式から順に代入していくと8 − (15 − 8) = 1 ∴ 8 × 2 − 15 = 1(2003 − 15 × 133) × 2 − 15 = 1

∴ 2003 × 2 − 15 × 267 = 12003x + 15y = 1の両辺からひいて

2003(x − 2) + 15(y + 267) = 02003と 15は互いに素であるから,

x − 2 = 15n, y + 267 = −2003n (nは整数)∴ x = 15n + 2, y = −2003n − 267 (nは整数) (答)

(3) 2n + 1は奇数であることに注意して4(n2 + 2) = 4n2 − 1 + 9 = (2n + 1)(2n − 1) + 9

にユークリッドの互除法を適用すると,gcd(n2 + 2, 2n + 1) = gcd(4(n2 + 2), 2n + 1) = gcd(2n + 1, 9)

n = 1より 2n + 1 = 3であることに注意してn2 + 2が 2n + 1の倍数 ⇐⇒ gcd(n2 +2, 2n+1) = gcd(2n+1, 9) = 2n+1

⇐⇒ 2n + 1は 9の約数⇐⇒ 2n + 1 = 3または 9 ⇐⇒ n = 1, 4 (答)

— 24 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

12 確認:1次不定方程式の解の存在の根拠や格子点の考察の基礎となる基本定理:a, bを互いに素な整数とするとき,ax + by = 1を満たす整数 x, yが存在する

の証明を考える。ユークリッドの互除法を用いて, 11 (2)を一般化すれば証明できそうであるが,定理の証明だけであれば,もっと見通しの良い方法がある。

(方針 1) 1 − a, 1 − 2a, · · · , 1 − baを bで割った余りが相異なることを導く。

(方針 2) 集合 {ax + by |x, yは整数}が gcd(a, b)の倍数の集合であることを示す。

定理の証明する論法もまた,重要な考え方として習得しておきたい。

解答:(証明 1) 1 − a, 1 − 2a, · · · , 1 − baについて,任意の 2数の差

(1 − ja) − (1 − ka) = a(k − j) (1 5 j < k 5 b)を考えると,0 < k − j < bであり,aと bは互いに素であるから,

a(k − j)は bで割り切れない

すなわち,1 − a, 1 − 2a, · · · , 1 − baを bで割った余りは相異なる。

これらは b個あるから,このうち 1つは bで割り切れ,それを 1 − axとするとby = 1 − ax

と満たす整数 x, yが存在する。 (おわり)

(証明 2) S = {ax + by |x, yは整数}とおく。ax + by, au + bv ∈ S, nを整数とすると

(ax + by) ± (au + bv) = a(x ± u) + b(y ± v) ∈ S

n(ax + by) = a(nx) + b(ny) ∈ S

が成り立つことに注意する。Sに属する正の整数で最小のものを dとすると,任意の s ∈ Sに対して,

s = dq + r , 0 5 r < d

を満たす整数 q, rが存在する。(→ 2

)上の注意より dq ∈ S, r = s − dq ∈ Sであるから,dの最小性より

s = dq ∴ S = {dz | zは整数}a = a 1 + b 0 ∈ S, b = a 0 + b 1 ∈ Sより

a = dm, b = dn (m, nは整数)と表される。 dは aと bの正の公約数であり,aと bは互いに素であるから,

d = 1特に,Sは整数全体の集合となり,ax + by = 1を満たす整数 x, yが存在する。

(おわり)

(注) 一般に,{ax + by |x, yは整数} = {gcd(a, b) z | zは整数}が成り立つ。

— 25 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

13 確認:対称式で表された条件では,1つの大小関係の場合だけを調べたあとに,変数を入れ替えてすべてを求めるのが定石である。そのとき,自分で定めた大小関係が範囲の限定をもたらすことが整数問題の手法として重要である。俗に, p見えない束縛条件yと呼ばれているものである。大小を設定して評価式を見出したあとは, 6 と同様に候補を絞って,1つ 1つ吟味していくことになる。

解答:

(1) 0 < a 5 b 5 c 5 dとするとabcd = a + b + c + d 5 d + d + d + d = 4d ∴ abc 5 4

0 < a 5 b 5 cに注意して拾い上げると(a, b, c) = (1, 1, 1), (1, 1, 2) (1, 1, 3), (1, 1, 4), (1, 2, 2)

abcd = a + b + c + dより整数 d (= c)を求めると(a, b, c) = (1, 1, 1)のとき,d = 3 + dとなって不適(a, b, c) = (1, 1, 2)のとき,2d = 4 + d ∴ d = 4

(a, b, c) = (1, 1, 3)のとき,3d = 5 + d ∴ d =52

(不適)

(a, b, c) = (1, 1, 4)のとき,4d = 6 + d ∴ d = 2 (c 5 dに反する)

(a, b, c) = (1, 2, 2)のとき,4d = 5 + d ∴ d =53

(不適)

a, b, c, dを入れかえたものも考えて,求める正の整数の組は(a, b, c, d) = (1, 1, 2, 4), (1, 1, 4, 2), (1, 2, 1, 4), (1, 4, 1, 2)

(1, 2, 4, 1), (1, 4, 2, 1), (2, 1, 1, 4), (4, 1, 1, 2)(2, 1, 4, 1), (4, 1, 2, 1), (2, 4, 1, 1), (4, 2, 1, 1) (答)

(2) 対称性より,2 5 a < b < cとして一般性を失わない。このとき

1 <1a

+1b

+1c

<1a

+1a

+1a

=3a

∴ 2 5 a < 3

aは自然数であるからa = 2

a = 2を代入して,bについても同様に考えて12

<1b

+1c

<1b

+1b

=2b

∴ a = 2 < b < 4

a = 2, b = 3であるから1c

> 1 − 12− 1

3=

16

∴ c = 4 または 5

よって,2 5 a < b < cのとき (a, b, c) = (2, 3, 4)または (2, 3, 5)に定まり,12

+13

+14

=6 + 4 + 3

12=

1312

,12

+13

+15

=15 + 10 + 6

30=

3130

より,

求める値は1312

,3130

(答)

— 26 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

14 確認:座標平面や座標空間において,座標成分がすべて整数である点を格子点という。格子点を(整数論的に)論じる上で基本となるのは

1◦ 2つの格子点 (0, 0), (a, b)を結ぶ線分上は,両端を除いてgcd(a, b)−1個の格子点がある

2◦ 格子点を頂点とし,格子点を内部にもたない平行四辺形の面積は 1

という 2つの性質である。gcd(a, b) = dとおくと,a = dm, b = dnを満たす互いに素な整数m, nが存在し,

(0, 0), (m, n), (2m, 2n), · · · , (dm, dn)は線分上の格子点となるが,(1)の結果よりこの間には他に格子点はないので 1◦が成り立つ。

2◦は本問(3)で証明するが,このような平行四辺形によって座標平面上のすべての格子点が尽くされることがポイントである。なお,ただ単に格子点の個数を数える問題は数列の問題なので,本ファイルでは扱

わないことにする。

解答:

(1) a = 0のときは b = ±1であるから,題意は成立する。a < 0のときは a, bをそれぞれ− a, −bに置き換えて議論すればよいので,

a > 0のときを示せば十分である。線分OAは

y = ba x, 0 5 x 5 a

と表されるが,aと bは互いに素であるからba ,

2ba , · · · ,

(a − 1)ba はすべて整数でない。

よって,線分OA上には両端を除いて格子点は存在しない。 (おわり)

(2)−→AB = (a, b),

−→AC = (c, d)とおくと,仮定より

(辺AB上の格子点の個数) = gcd(a, b) − 1 ,

(辺 BC上の格子点の個数) = gcd(c, d) − 1

はともに奇数であるから,gcd(a, b), gcd(c, d)はともに偶数であり,a, b, c, dは偶数

である。−→BC = (c − a, d − b)

について,c − aも d − bも偶数であるからgcd(c − a, d − b)は偶数

であり,(辺 BC上の格子点の個数) = gcd(c − a, d − b) − 1 は奇数

である。 (おわり)

— 27 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

(3) 適当に平行移動して,平行四辺形の 4頂点をO(0, 0), A(a, c), B(a + b, c + d), C(b, d)

としてよい。平行四辺形の内部には格子点がないので,この平行四辺形を座標平面上に敷き詰めることによりすべての格子点を尽くせるから,特に{

1 = am + bn · · · · · · 1⃝0 = cm + dn · · · · · · 2⃝

{0 = ap + bq · · · · · · 3⃝1 = cp + dq · · · · · · 4⃝

を満たす整数m, n, p, qが存在する。1⃝× d − 2⃝× b : (ad − bc)m = a · · · · · · 5⃝2⃝× a − 1⃝× c : (ad − bc)n = −c · · · · · · 6⃝3⃝× d − 4⃝× b : (ad − bc)p = −b · · · · · · 7⃝4⃝× a − 3⃝× c : (ad − bc)q = d · · · · · · 8⃝

であるから, 5⃝× 8⃝− 7⃝× 6⃝より(ad − bc)2(mq − np) = ad − bc

平行四辺形OABCの面積 SはS = |ad − bc| = 0

であるから(ad − bc)(mq − np) = 1

ad − bc, mq − npはともに整数であるから,ad − bc = ±1 ∴ S = |ad − bc| = 1 (おわり)

— 28 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

15 確認:漸化式a1 = 2, a2 = 4, an+2 = 4an+1 + 2an (n = 1, 2, 3, · · · )

は基本的な形なので,一般項はan = (2 +

√6 )n−1 + (2 −

√6 )n−1

と容易に求められるが,その表示を見ても整数論的性質は何もわからない。そこで,漸化式が整数係数であることを活かし,帰納的に考えて解決しようと試みる。

(2)では, 9 と同様,余りに周期性があることを見い出す。

解答:

(1) anが整数であることを nについての数学的帰納法で示す。仮定より,a1 = 2, a2 = 4は既に整数である。ak, ak+1がともに整数であるとすれば,整数は和,積について閉じているので,

ak+2 = 4ak+1 + 2ak

より ak+2も整数である。よって,任意の自然数 nに対して,anは整数である。 (おわり)

(2) 数列 {an}の何項かを求めると,a1 = 2a2 = 4a3 = 4 × 4 + 2 × 2 = 20 ≡ 0 (mod 5)a4 = 4 × 20 + 2 × 4 = 88 ≡ 3 (mod 5)a5 = 4 × 88 + 2 × 20 = 392 ≡ 2 (mod 5)a6 = 4 × 392 + 2 × 88 = 964 ≡ 4 (mod 5)

...与えられた漸化式より,一般に

an+4 − an = (4an+3 + 2an+2) − an

= 4(4an+2 + 2an+1) + 2an+2 − an

= 18an+2 + 8an+1 − an

= 18(4an+1 + 2an) + 8an+1 − an

= 5(16an+1 + 7an)

(1)より an+1, anは整数であるから,an+4 ≡ an (mod 5)

2004 = 4 × 501よりa2004 ≡ a4 ≡ 3 (mod 5)

a2004を 5で割った余りは 3 (答)

— 29 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

16 確認:本問では,整数値多項式を考える。解法のポイントは1◦ 任意の整数 nに対して f(n + 1) − f(n)は整数であることを示す2◦ 階乗関数 x(x − 1)(x − 2) · · · (x − k + 1)だけで表す

のいずれかの方針をとることである。本問で示したことを一般化するとn次多項式 P (n)について,P (0), P (1), ···, P (n)が整数ならば,すべての整数mに対して P (m)は整数である

ことが成り立つ。逆に,すべての整数mに対して P (m)が整数となる n次多項式は

P (x) =n∑

k=0

akQk(x) (akは整数,Qk(x)は k次階乗関数)

と表される。( k次階乗関数Qk(x)とは Qk = x(x − 1)(x − 2) · · · (x − k + 1) (k = 2),Q1(x) = x, Q0(x) = 1のことである。) 意欲のある人は証明に挑戦してみよう。

解答:(解法 1) g(n) = f(n + 1) − f(n) = 2an + (a + b)とおく。

g(0) = f(1) − f(0) = a + b, g(1) = f(2) − f(1) = 2a + (a + b)はいずれも整数であるから

2a, a + bはともに整数であり,任意の整数 nに対して

g(n) = 2an + (a + b)は整数である。

n = 1のとき f(n) = f(0) +n∑

k=0

g(k)

n 5 −1のとき f(n) = f(0) −−1∑

k=−|n|+1

g(k)

と表されるから,f(0)とあわせて,f(n)は整数である。 (おわり)

(解法 2) f(x) = ax(x − 1) + (a + b)x + cとみて,f(0) = c, f(1) = (a + b) + c, f(2) = 2a + (a + b) + c

はそれぞれ整数であるから,c, a + b, 2aはすべて整数

である。連続する整数の積は偶数であるから,すべての整数 nに対して

f(n) = 2a12

n(n − 1) + (a + b)n + c は整数

である。 (おわり)

— 30 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

17 確認:実数 xをx = n + α (nは整数,0 5 α < 1)

と表すとき,nを xの整数部分,αを nの小数部分という。 xの整数部分は [x ]と表され,この記号はガウス記号と呼ばれている。実際に問題を解く場面では,隣り合う整数で評価し,

[x ] = n ⇐⇒ n 5 x < n + 1と考える。(1)のように平方根で表された数については,根号の中の数を隣り合う平方数で評価すればよい。

有理数 ab

(a, bは整数,b > 0)については,整数 q, rを用いて

a = bq + r , 0 5 r < b

と表される(→ 2

)から,

ab

= q + r

b, 0 5 r

b< 1

とみることで,商と余りの問題に帰着される。 9 で確認したように,2nは 3で割った余りについて周期をもつので,(3)のタイプの問題では先に小数部分を求める。

解答:

(1) 112(= 121) < 141 < 122(= 144)より11 <

√141 < 12 ∴

√141 の整数部分は 11 (答)

(2) [x ] = nとおく。

n 5 x < n +12のとき

n +12

5 x +12

< n + 1 , 2n 5 2x < 2n + 1

∴ [x ] = n,[x + 1

2

]= n, [2x ] = 2n

n +12

5 x < n + 1のとき

n + 1 5 x +12

< n +32

, 2n + 1 5 2x < 2n + 2

∴ [x ] = n,[x + 1

2

]= n + 1, [2x ] = 2n + 1

よって,いずれの場合も

[x ] +[x + 1

2

]= [2x ]

(おわり)

— 31 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

(3) 2nを 3で割った余りを rnとおくと,2n = (3 − 1)n ≡ (−1)n (mod 3)

であるから,nが奇数のとき rn = 2, nが偶数のとき rn = 1

1つの式にまとめると

rn =3 − (−1)n

2

2n = 3[

2n

3

]+ rn であるから,[2n

3

]=

2n − rn

3=

2n+1 − 3 + (−1)n

6(答)

— 32 — c⃝早稲田数学フォーラム

基本解法確認演習 整数

18 確認:通常の数字の表記は,10ごとに位を繰り上げるので,10進法と呼ばれている。この 10の部分を一般の(2以上の整数)pにして,各位を 0, 1, 2, · · · , p− 1のいずれかの数字とし,pごとに位が上がる表記を p進法という。 10進法で 54367が

54321 = 5 × 104 + 4 × 103 + 3 × 102 + 6 × 10 + 7を意味するのと同様,p進法で anan−1 · · · a1a0と表される数 aは

a = an pn + an−1 pn−1 + · · · + a1 p + a0

のことである。これをa = p(an pn−1 + an−1 pn−2 + · · · + a2 p + a1) + a0

an pn−1 + an−1 pn−2 + · · · + a2 p + a1 = p(an pn−2 + · · · + a2) + a1...

とみるとわかるように,pで割った余りを次々に求めていくことにより,p進法表示は得られる。

解答:

(1) 4444を 3で割り,その商を次々に 3で割ると4444 = 3 × 1481 + 11481 = 3 × 493 + 2493 = 3 × 164 + 1164 = 3 × 54 + 254 = 3 × 18 + 018 = 3 × 6 + 06 = 3 × 2 + 0

となるから,10進法で表された 4444を 3進法で表すと 20002121 (答)

(2) 3進法で表された 10121を 10進法で表すと1 × 34 + 0 × 33 + 1 × 32 + 2 × 3 + 1 = 81 + 0 + 9 + 6 + 1

= 97 (答)

— 33 — c⃝早稲田数学フォーラム