31p2-am163 osdrc による 性 の 圧 に対する 効果の検討 近藤 …

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31P2-am163 OSDrC 技術による徐放崩壊錠設計に対する効果の検討 ◯近藤 1 ,波多野 1 丹羽 1 1 1 大薬) 【目的】近年,薬物に苦味マスキングあるいは放出制御を施した口腔内速崩壊錠 の開発が望まれている.このような口腔内速崩壊錠の製造の際には,機能性薬物 粒子の低い圧縮成形性や,圧縮による薬物粒子の損傷が問題となる.これまでに, 我々は One-step dry-coated tablets (OSDrC)技術が機能性薬物粒子を含有する口腔内 速崩壊錠の調製法として有用であることを報告してきた.そこで,本研究では OSDrC 技術による圧縮時の機能性薬物粒子の保護効果について評価検討した. 【実験方法】モデル薬物には高血圧治療薬のアラセプリルを用いた.薬物および 結晶セルロースを複合型流動層造粒機(AGM-2M-PJ, ホソカワミクロン)により造 粒し,さらにアクリル酸系徐放性基剤(Eudragit RS30D, NE30D, エボニックデグサ) にてコーティングし,徐放性粒子を調製した.OSDrC 技術により,得られた徐放 性粒子を内核に,マンニトール造粒物(Granutol S, フロイント産業)および適当な崩 壊剤を物理混合した賦形剤を外層に用いた口腔内速崩壊錠を調製した.また内核 成分のみを圧縮成形した核錠を対照とした.得られた錠剤について,圧縮過程を 解析した他,口腔内崩壊時間および引張強度の測定,溶出試験などを実施した. 【結果と考察】30-90 MPa で圧縮した OSDrC 錠および核錠の薬物放出特性を評価 した.核錠の放出挙動は,圧縮前の徐放性粒子と比較して 30 MPa においても極め て遅く,打錠圧により大きく変化しなかった.これは圧縮により徐放性粒子が圧 密化されて疎水性のマトリックスを形成するためだと推察した.一方 OSDrC 錠の 放出挙動は,核錠と比較して速く,打錠圧を下げることにより圧縮前の徐放性粒 子の挙動に近づく結果となった.これは OSDrC 技術により徐放性粒子の圧密が緩 和されたためだと推察した.発表では圧縮過程および錠剤物性の結果も報告する.

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Page 1: 31P2-am163 OSDrC による 性 の 圧 に対する 効果の検討 近藤 …

31P2-am163OSDrC技術による徐放性口腔内速崩壊錠の設計と圧縮に対する保護効果の検討◯近藤 啓太1,波多野 絢子 1,丹羽 敏幸1,檀上 和美1(1名城大薬)

【目的】近年,薬物に苦味マスキングあるいは放出制御を施した口腔内速崩壊錠の開発が望まれている.このような口腔内速崩壊錠の製造の際には,機能性薬物粒子の低い圧縮成形性や,圧縮による薬物粒子の損傷が問題となる.これまでに,我々は One-step dry-coated tablets (OSDrC)技術が機能性薬物粒子を含有する口腔内速崩壊錠の調製法として有用であることを報告してきた.そこで,本研究ではOSDrC技術による圧縮時の機能性薬物粒子の保護効果について評価検討した. 【実験方法】モデル薬物には高血圧治療薬のアラセプリルを用いた.薬物および結晶セルロースを複合型流動層造粒機(AGM-2M-PJ, ホソカワミクロン)により造粒し,さらにアクリル酸系徐放性基剤(Eudragit RS30D, NE30D, エボニックデグサ)にてコーティングし,徐放性粒子を調製した.OSDrC 技術により,得られた徐放性粒子を内核に,マンニトール造粒物(Granutol S, フロイント産業)および適当な崩壊剤を物理混合した賦形剤を外層に用いた口腔内速崩壊錠を調製した.また内核成分のみを圧縮成形した核錠を対照とした.得られた錠剤について,圧縮過程を解析した他,口腔内崩壊時間および引張強度の測定,溶出試験などを実施した. 【結果と考察】30-90 MPaで圧縮した OSDrC錠および核錠の薬物放出特性を評価した.核錠の放出挙動は,圧縮前の徐放性粒子と比較して 30 MPaにおいても極めて遅く,打錠圧により大きく変化しなかった.これは圧縮により徐放性粒子が圧密化されて疎水性のマトリックスを形成するためだと推察した.一方 OSDrC錠の放出挙動は,核錠と比較して速く,打錠圧を下げることにより圧縮前の徐放性粒子の挙動に近づく結果となった.これは OSDrC技術により徐放性粒子の圧密が緩和されたためだと推察した.発表では圧縮過程および錠剤物性の結果も報告する.