3.4 外力の類型化...20 3.4 外力の類型化...
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3.4 外力の類型化
外力を大まかに整理すると、「局部震度法」によるものが中心となる。また、配管系(横引き)に
関しては、「層間変形角・共振・合成応力(自重+運転+荷重+内圧力+地震力)」が項目に加わる。
更に、配管系(たて)になると「層間変形角・共振・合成応力(自重+運転+荷重+内圧力+地震
力)・座屈防止」が項目に加わる。
上記を踏まえ、各部位の外力を類型化として、文献調査から得た情報を「A.外力算出法」と「B.
各部設計法」に分類・整理し、次頁以降に掲載する。
なお、類型化したシート中に記載した寸法等の基準は、本調査において参考とした学会等の推奨
値であり、法的な基準等として定められている数値でないことに留意する必要がある。
分類 番号 タイトル
A01 局部震度法による地震力(設計用水平震度) A02 局部震度法による地震力(設計用水平震度の考え方) A03 動的解析結果による地震力(設計用水平震度) A04 局部震度法による地震力の算出
外力算出法
A05 配管系の耐震設計(地震力・層間変形角・共振)<その1~その5>
アンカーボルト(引抜力とせん断力)<その1~その5>
アンカーボルト(選定)<その1~その3> アンカーボルト(簡易選定法)
B01
アンカーボルト(信頼性)<その1~その2> 基礎の検討<その1~その2> 基礎の形状<その1~その2> 基礎の検討(タイプ別)<その1~その6>
B02
基礎の選定 頂部支持材の検討
B03 頂部支持材の方法 <その1~その3>
B04 背面支持材の方法 耐震ストッパの検討 <その1~その2> 耐震ストッパの方法 <その1~その3> B05 耐震ストッパの選定 架台(高架台)<その1~その3>
B06 架台(天井吊り架台)<その1~その3>
B07 配管系の設計方針 <その1~その3> B08 横引き配管の設計 <その1~その8> B09 たて配管の設計 <その1~その5-2> B10 配管系の耐震支持材の設計 <その1~その7> B11 配管系の耐震支持材と構造体との取合い部の設計<その1~その2> B12 建築物のエキスパンションジョイント部を通過する配管等
各部設計法
B13 フレキの長さ <その1~その7>
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A05: 配管系の耐震設計(地震力・層間変形角・共振)<その1>
出典: 空衛学会:P115
外力
■設計荷重条件
■地震力(地震力・建築物の層間変形角・配管系と建築物の共振)
地震時に配管系に加わる地震力は、「①地震力」と「②建築物の層間変形角」と「③配管系と建
築物の共振」から決定される。ただし、個別の算出値がある場合は、その値を採用してよい。
<地震力・解説>
地震力は、大地震によって建築物躯体を介して配管系に生ずる「応答加速度」と、建築物躯体
の変形や振動などによって生ずる「強制変形」に分類されるため、配管系の耐震設計を行う際に
は、「応答加速度」と「強制変形」を同時に考慮する必要がある。
また、配管に関しては、「管軸直交方向」と「管軸方向」に区分して地震力を考慮する。
<設計荷重条件・解説>
配管系に加わる荷重としては、上記枠内の 4種類の荷重のほかに熱による力(Thermal Load)、
風圧力(Wind Load)、積雪荷重(Snow Load)、及び試験荷重(Test Load)などが考えられるが、
大地震時の組合せとしては、同時に起こらないと考えても問題ないため、組合せからは除外して
いる。
なお、熱による力の影響を考慮する場合は、設計荷重と熱荷重の組合せを行い、応力度の検討
を別途行うものとするが、耐震性の検討については除外してもよいと考える。
また、屋外に設置される配管系については、風圧力、積雪荷重、および地震力の中で 大のも
のを地震力とみなし、組合せを考える。
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A05: 配管系の耐震設計(地震力・層間変形角・共振)<その2>
出典: 空衛学会:P115
外力
①地震力
設計用地震力は、下記枠内に示す設計用震度 kHに配管などの運転重量を乗じた値とする。
配管系の自重支持における許容応力度は、長期許容応力度で部材の選定を行うことにしている
が、短期許容応力度は長期の 1.5 倍であるために、鉛直方向の地震力として 0.5G 相当分は見込ま
れていると考えられる。そのため、鉛直方向の計算上の地震力としては、1.0G 相当の水平方向の
設計用震度を用いてよい。
また、屋上配管の耐震支持架台のコンクリート基礎は、重要性の高い場合は 1.5G 相当の建築物
躯体と一体化する。
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A05: 配管系の耐震設計(地震力・層間変形角・共振)<その3>
出典: 空衛学会:P116-117
外力
<①地震力・解説>
<②建築物の層間変形角・解説>
②建築物の層間変形角
大地震時の建築物の変形により配管系に生じた強制変形による応力度は、下記の設計用層間変
形角から算出する。ただし、大地震時の建築物の層間変形角が計算されている場合は、その値に
よる。
◆設計用層間変形角 1/200 (鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造)
◆設計用層間変形角 1/100 (鉄骨造)
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A05: 配管系の耐震設計(地震力・層間変形角・共振)<その4>
出典: 空衛学会:P117
外力
③配管系と建築物の共振
配管系は、建築物の一次固有周期との共振を避けるように支持固定を行う。
<③配管系と建築物の共振・解説>
本指針では、配管系の固有振動数が 3.3Hz 以上となることを原則としている。配管系は建築物
の振動によって加振されるので、配管系と建築物は共振増幅しないようにする。共振増幅を避け
るためには、両社の固有振動数の比がほぼ 0.8~1.25 の範囲に入らないようにすればよいと考え
られるが、下記のような問題がある。
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A05: 配管系の耐震設計(地震力・層間変形角・共振)<その5>
出典: 空衛学会:P118
外力
<③配管系と建築物の共振・解説(続き)>
前述の(1)~(3)を合わせて考えると、低層の建築物になればなるほど配管の断面方向耐震支持
間隔を狭くしていかなければならない。また、高層の建築物の場合にはその一次固有周期は長く
なるものの、場合によっては二次、三次のモードの振動がかなり大きく出ることも考えられ、低
層の場合と同様の問題が残る。
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B.各部設計法(B01~B12)
B01: アンカーボルト(引抜力とせん断力)<その1>
出典: センター指針:P11-12
設計
図・式 参照ページ図2.1-1 P31図2.1-2 P32図2.1-3 P33図2.1-4 P342.1-1式 P312.1-2式 P322.1-3式 P31-322.1-4式 P332.1-5式 P332.1-6式 P332.1-7式 P34
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B01: アンカーボルト(選定)<その3>
出典: センター指針:P19
設計
(5)計算を要しないもの
M8 以上のアンカーボルト 4本以上で床上に据付けられている機器については、その重量(W)
が縦横比(h/ℓ)と設計用水平震度(KH)を用いて図 2.1-8 により定められる許容重量以下であ
れば,アンカーボルトの選定計算をすることを要しない。
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B01: アンカーボルト(信頼性)<その1>
出典: あと施工アンカー 附属書1
設計
1.金属拡張アンカー
金属拡張アンカーのドリルビット呼び径、穿孔深さ、理論上の 大引抜き力、長期許容引抜き
力、短期許容引抜き力を附表 1.1 に示す。
附表 1.1 金属拡張アンカーのドリルビット呼び径、
穿孔深さ、理論上の 大引抜き力、長期許容引抜き力、短期許容引抜き力
理論上の最大引抜き力※1 Tmc (kN)
穿孔深さ(mm)
種 類 記 号 ねじの
呼び 18
N/mm2 21
N/mm2
36 N/mm2
ドリル ビット
呼び径※2
(mm) 基本 寸法
公差
長期許容引抜き力(kN)※3
短期許容引抜き力(kN)※3
K1-10 M10 8.6 9.3 12.1 12.5 12.0
40 +5 -0
0.5 0.75
K1-12 M12 13.6 14.7 19.3 16.5 16.0
50 +5 -0
0.5 0.75 内部コーン打込み式
K1-16 M16 19.8 21.4 28.0 20.5 20.0
60 +5 -0
0.8 1.2
K2-10 M10 8.9 9.6 12.6 14.5 14.0
45 +5 -0
2.7 4.0
K2-12 M12 13.9 15.0 19.7 18.0 18.0
57 +5 -0
4.2 6.3 スリーブ
打込み式
K2-16 M16 20.2 21.9 28.6 22.5 22.0
67 +5 -0
6.1 9.1
K3-10 M10 8.3 8.9 11.7 10.0 10.0
60 +5 -0
2.5 3.7
K3-12 M12 12.8 13.8 18.1 12.0 12.0
70 +5 -0
3.8 5.8 ウエッジ式
K3-16 M16 21.1 22.8 29.9 16.5 16.0
90 +5 -0
6.3 9.5
備考 ※1.理論上の 大引抜き力(Tmc)は、計算式での Tmc=0.31√σB×Acで求めた値であり、
σBが 18N/mm2,21N/mm2,36N/mm2の値を示した。
※2.ドリルビット呼び径は、上段が日本仕様、下段がドイツ建設エンジニアリング協会規準の
ドリルビットを示す。
※3.長期許容引抜き力・短期許容引抜き力は、コンクリート強度(σB)が 18N/mm2における設
計上で使用する値を示した。
アンカーボルトは、「先付けアンカー」と「あと施工アンカー」に分類される。本項目(B01:
アンカーボルト)では、原則として、信頼性の高い「先付けアンカー」を使用することを推奨す
る。アンカーボルト種別の選定で、やむを得ず「あと施工アンカー」を採用する場合は、引抜き
力について留意されたい。
なお、「あと施工アンカー」は、「金属拡張アンカー」と「接着系アンカー」の2種類に分類さ
れ、「あと施工アンカー」の許容引抜き力については、下表を参照されたい。
あと施工アンカーの対象となる「コンクリート躯体」は、主として JIS A 5308(レディーミク
ストコンクリート)とし、18N/mm2が確保されていることが前提となっていることに留意されたい。
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B01: アンカーボルト(信頼性)<その2>
出典: あと施工アンカー 附属書1
設計
2.接着系アンカー
接着系アンカーのドリルビット呼び径、穿孔深さ、理論上の 大引抜き力、長期許容引抜き力、
短期許容引抜き力を附表 1.2 に示す。
附表 1.2 接着系アンカーのドリルビット呼び径、穿孔深さ、
理論上の 大引抜き力、長期許容引抜き力、短期許容引抜き力
種 類 記号 ねじの
呼び
理論上の
最大引抜き力
Tmc (kN)
ドリルビット
呼び径
(㎜)
穿孔深さ※1
(㎜)
長期許容
引抜き力※3
(kN)
短期許容
引抜き力※3
(kN)
S1-10 M10 22.0 12 80 4.0 6.0
S1-12 M12 33.2 14.5 100 6.0 9.0 ガラス管式
S1-16 M16 57.3 19 130 8.0 12.0
S2-10 M10 22.0 12 80 4.0 6.0
S2-12 M12 33.2 14 100 6.0 9.0 フィルム
チューブ式 S2-16 M16 57.3 18 130 8.0 12.0
S3-10 M10 22.0 12 90 4.0 6.0
S3-12 M12 33.2 14 100 6.0 9.0 紙チューブ式
S3-16 M16 57.3 18 130 8.0 12.0
S4-10 M10 22.0 JCAA 規格による
※2
JCAA 規格による
※2 4.0 6.0
S4-12 M12 33.2 JCAA 規格による
※2
JCAA 規格による
※2 6.0 9.0
その他の接着
系アンカー
S4-16 M16 57.3 JCAA 規格による
※2
JCAA 規格による
※2 8.0 12.0
備考 ※1.穿孔深さの公差は、-0~+5mm とする。
※2.JCAA 規格とは、日本建築あと施工アンカー協会の規格をいう。
※3.長期許容引抜き力・短期許容引抜き力は、コンクリート強度(σB)が 18N/mm2における
設計上で使用する値を示した。
空衛学会の「建築設備用あと施工アンカー」によると、接着系アンカーは、顕著なコーン破壊
にならず、付着強度も低くなっており、10N/mm2の付着強度が確保されていえば、固結力として安
定した強度が得られると記載されている。したがって、コンクリートと接着剤の界面からの付着
破壊になることが多く、下表では「付着破壊引抜き力」を基準としていることに留意されたい。
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B02: 基礎の検討 <その1>
出典: センター指針:P20
設計
基礎の断面形状は、主要構造躯体(床スラブ、はり)と一体化されたd・eタイプの基
礎を採用することを推奨する。また、基礎コンクリートの設計基準強度が 18N/mm2以上の
強度を有することが前提となっていることに留意されたい。
表 参照ページ表2.2-1 P42表2.2-2 P43表2.2-3 P44