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Copyright 2020 Yamada Zeikai All Rights Reserved. 36 5G 投資促進税制の創設 1 .改正のポイント 大綱 52 ページ 62 63 ページ 36-1 (法人税: 5G 投資促進税制の創設) 1)趣旨・背景 安全・安心な第5世代移動通信システム(5G)情報通信インフラの早期かつ集中的な整備を目的として創設される。 2)内容 「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の制定を前提に、主務大臣の認定を受けた同法 の認定導入計画に基づく一定のシステム導入を行う青色申告法人が、5Gに関する一定の設備の取得等を行った場合 に特別償却30%または税額控除15%(法人税額の20%を限度)ができる。 3)適用時期 「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の施行の日から2022年(令和4年)331日までの 間に、特定高度情報通信用認定等設備の取得等をし、国内にある事業の用に供した場合その他の場合に適用される。 4)影響 5G基地局のみならずローカル5Gの関連設備等への投資に対するインセンティブを付与することにより、5Gサービス の早期全国展開及び円滑導入が図られ、ひいては、多数の地域における経済活性化及び課題解決を実現するとともに、 我が国経済の国際競争力強化の実現が見込まれる。 5)実務のポイント 「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の制定が前提であるため、手続きや対象事業者 については、同法の公表を待ち、確認する必要がある。 所得税についても同様の改正が行われる。 「税額控除」を選択した場合の法人住民税については、中小企業者等に係る法人住民税のみに適用される(つまり、 大企業(中小企業者等以外)に係る法人住民税には適用されない)。 固定資産税・都市計画税の特例措置については、適用対象者及び対象資産が異なる。

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36. 5G投資促進税制の創設

1.改正のポイント

大綱52ページ62~63ページ

36-1 (法人税:5G投資促進税制の創設)

(1)趣旨・背景安全・安心な第5世代移動通信システム(5G)情報通信インフラの早期かつ集中的な整備を目的として創設される。

(2)内容「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の制定を前提に、主務大臣の認定を受けた同法

の認定導入計画に基づく一定のシステム導入を行う青色申告法人が、5Gに関する一定の設備の取得等を行った場合に特別償却30%または税額控除15%(法人税額の20%を限度)ができる。

(3)適用時期「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の施行の日から2022年(令和4年)3月31日までの

間に、特定高度情報通信用認定等設備の取得等をし、国内にある事業の用に供した場合その他の場合に適用される。

(4)影響5G基地局のみならずローカル5Gの関連設備等への投資に対するインセンティブを付与することにより、5Gサービス

の早期全国展開及び円滑導入が図られ、ひいては、多数の地域における経済活性化及び課題解決を実現するとともに、我が国経済の国際競争力強化の実現が見込まれる。

(5)実務のポイント・ 「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の制定が前提であるため、手続きや対象事業者

については、同法の公表を待ち、確認する必要がある。

・ 所得税についても同様の改正が行われる。・ 「税額控除」を選択した場合の法人住民税については、中小企業者等に係る法人住民税のみに適用される(つまり、

大企業(中小企業者等以外)に係る法人住民税には適用されない)。・ 固定資産税・都市計画税の特例措置については、適用対象者及び対象資産が異なる。

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Copyright 2020 Yamada Zeikai All Rights Reserved.36-2 (法人税:5G投資促進税制の創設)

• 国際的には一部の国で5Gサービスが既に開始される中、携帯電話事業者4社の認定計画では、5G基地局の開設予定数は5年間の認定期間の最終2年間に集中しており、特に本年度及び来年度の基地局の設置数は少数にとどまっている。

• 5Gは、21世紀の基幹インフラとして様々な分野における社会課題解決、生産性向上、国際競争力強化の観点から、全国への速やかな整備が強く求められる。

• ローカル5Gは、その効果が大いに期待される一方、小規模エリアでの免許であるため、導入コストが低廉化していない運用開始当初では、ローカル5G導入による採算性を見込むことが容易でなく、ローカル5Gサービスの円滑な導入に懸念がある。

• 以上より、5Gサービスの提供に必要となるICTインフラの早期全国展開及び円滑導入を支援するための税制措置が創設される。

2.改正の趣旨・背景

<参考> 5G実現に向けた日・米・中・韓・欧の取組状況

(出典)総務省「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」 (出典)総務省「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」

<参考> 第5世代移動通信システム(5G)とは

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(出典)総務省「ローカル5Gの概要について」

<参考> ローカル5Gとは

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3.改正の内容「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の制定を前提に、一定の確認を受けた法人が、一定の設備の取得等を行った場合に適用できる税制優遇措置が創設される。

(※1) 「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律の認定導入計画(仮称)」に従って実施される同法の「特定高度情報通信等システム(仮称)」の導入で、その早期の普及を促すものであってその供給の安定性の確保に特に資するものとして基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものをいう。

(※2)適用を受けようとする法人の認定導入計画に記載された機械その他の減価償却資産で、一定のシステム導入の用に供するための一定のものをいう。

(※3)地域課題の解決に資すると市区町村長が同意の上で、総務大臣が認めたものに限る。

<特別償却・税額控除の特例措置>

<固定資産税・都市計画税の特例措置>

適用対象者「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の規定により認定を受けた「特定高度情報通信等システム導入計画(仮称)」に基づき、電波法の規定によりローカル5G無線局に係る一定の免許(※3)を受けた者

対象資産新たに取得した下記に掲げる償却資産  ①「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の規定により主務大臣の確認を受けたもの  ②取得価額の合計額が3億円以下のもの

税制措置 最初の3年間、課税標準を価格の1/2とする。

青色申告書を提出する法人かつ一定のシステム導入(※1)を行う「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の「認定特定高度情報通信等システム導入事業者(仮称)」に該当する法人

特定高度情報通信用認定等設備(※2)

「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の施行の日から2022年(令和4年)3月31日までの間に、対象資産の取得等をして、国内にある事業の用に供した場合その他の場合

特別償却 取得価額×30%

税額控除取得価額×15%

(控除上限額:法人税額×20%)

適用対象者

対象資産

税制措置(選択適用)

要件

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Copyright 2020 Yamada Zeikai All Rights Reserved.36-5 (法人税:5G投資促進税制の創設)

(2)特定高度情報通信等システム導入計画(仮称)及び課税の特例の要件・認定手続き5G投資促進税制の適用を受ける場合、「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律の認定導入計画(仮称)」について主務大臣の認定が必要となる。認定手続き等については、今後詳細が発表される見込みである。

① 事業者(全国・ローカル5G事業者)は「特定高度情報通信等システム導入計画(仮称)」を策定・提出② 主務大臣の認定(※)を受けた「特定高度情報通信等システム導入計画(仮称)」に基づき設備導入

③ 特定高度情報通信用認定等設備への投資について課税の特例が適用

<参考>手続きの流れ

(1)適用対象事業者・適用対象設備

(出典)総務省「令和2年税制改正要望」「租税特別措置等に係る政策の事前評価書」 経済産業省「令和2年度(2020年度)経済産業省関係税制改正について」より作成

(出典)経済産業省「令和2年度(2020年度)経済産業省関係税制改正について」より作成

(※)NTTドコモ、KDDI(沖縄セルラー電話)、ソフトバンク、楽天モバイル

税制改正要望等によると下記の事業者及び設備が対象と想定されている。

<参考>想定される対象事業者・対象設備

(※)安全性、信頼性、供給可能性、オープン性(国際規格等)が認定の基準となる見込みである。

対象事業者 想定される事業者 対象設備

ローカル5G用無線局の免許人工場主や農業者等の地域事業者、CATV事業者、ベンダー系事業者、電力系事業者等

送受信設備、通信モジュール、コア設備、光ファイバ

認定を受けた開設計画に記載されている5G基地局の数を上回る数の基地局を開設した携帯電話事業者

携帯通信事業者4社(※)送受信設備、空中線(アンテナ)

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Copyright 2020 Yamada Zeikai All Rights Reserved.36-6 (法人税:5G投資促進税制の創設)

4.適用時期「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の施行の日から2022年(令和4年)3月31日までの間に、特定高度情報通信用認定等設備の取得等をし、国内にある事業の用に供した場合その他の場合に適用される。

5.改正の影響5G基地局のみならずローカル5Gの関連設備等への投資に対するインセンティブを付与することにより、5Gサービスの早期全国展開及び円滑導入が図られ、ひいては、多数の地域における経済活性化及び課題解決を実現するとともに、我が国経済の国際競争力強化の実現が見込まれる。

(※)固定資産税・都市計画税の特例措置についても、同様の時期に取得等したものが適用される。

6.実務上の留意点・ 所得税についても同様の改正が行われる。・ 地方税(法人住民税・法人事業税)について、「特別償却」を選択した場合には法人住民税及び法人事業税に適用され、「税額控除」を

選択した場合には中小企業者等(※1)に係る法人住民税のみに適用される(つまり、大企業(中小企業者等以外)に係る法人住民税には適用されない)。

・ 固定資産税・都市計画税の特例措置については、適用対象者及び対象資産(※2)が異なる。

下記については、今後法令等により確認が必要となる。・ 「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の施行日及び制定内容・ 「特定高度情報通信等システムの普及に関する法律の認定導入計画(仮称)」の具体的な内容及び申請、認定方法・ 「認定特定高度情報通信等システム導入事業者(仮称)」及び「特定高度情報通信用認定等設備」の対象者、対象設備・ 繰越控除の適用

(※1)中小企業者等とは、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(発行済株式又は出資の1/2以上を同一の大規模法人に所有されている法人及び発行済株式又は出資の2/3以上を大規模法人に所有されている法人を除く)及び資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人をいう。

(※2)固定資産税・都市計画税の特例措置の対象資産となる「取得価額の合計額が3億円以下のもの」は、取得価額の合計額が3億円を超える場合には、その全てが特例措置の対象外となる見込みである(つまり、取得価額の合計額が3億円を超えた場合でも3億円まで特例措置が適用できる、というわけではない)。