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  • NA・・・・・・

    発行 :ベストテック(株) 全394ページ 定価 :8000円+税(送料別) 御注文 :E-mail、[email protected]

    user_hoshinoテキストボックス内部流れシステム 表紙

  • NA・・・・・・

    user_hoshinoテキストボックス内部流れシステム 裏表紙

  • 原著者序文

    良好な設計の流れシステムは、優れた性能を発揮するのはもちろん、エネルギー消費が少なく、信頼性や安全性が高い。それを実現するために、エンジニアは正しいデータと解析手法に基づいて流れシステムを設計しなければならない。

    本書の流れシステムに係るデータ/解析手法は、多くの研究者/エンジニア/オペレータからの有益な情報を採用している。使い勝手が良く、かつ分かり易いように心がけた。非圧縮性流れだけでなく、圧縮性流れやキャビテーションについても記載した。データは、信頼度別にクラス分けした。流れの挙動についても詳しく記載したので、非一般的な形状の圧力損失推定や、重要なコンポーネントの流れ設計に役立つと思う。

    本書は、初版以来、様々な産業分野でデファクトスタンダードとして使われている。さらに多くの分野で本書が活用されることを願っている。

    本書の内容変更や補足に係る情報は「www.internalflow.com」で公開する。

    フローマスタ(flowmaster)は、本書の記載内容を基にフローマスタグループ(www.flowmaster.com)が開発/販売するコンピュータソフトウェアであり、多くの産業分野(例えば、化学/エネルギー/自動車産業)で用いられている。

    D. S. Miller   2009 年 3 月

    原著者 日本語版への序文

    本書の日本語版が出版されるに至ったことは私の大きな喜びであり、出版元のベストテック㈱と訳者に深く感謝する。

    本書の執筆にあたっては、流れシステムに係る多くのエンジニアや研究者に最大限お役に立てるよう心がけた。世界中の流れシステムには、過去 50 年間、研究開発や不具合対策に数十億ドルを超える膨大な費用が注ぎ込まれてきた。流れシステムを良好に設計すれば、省エネルギー効果によって、環境汚染を抑えつつ、一年間に十億ドルもの費用を節約できる。本書記載のデータと解析手法は、30年以上に渡って産業界で使われ続けており、様々な研究/開発プロジェクトに多少なりとも貢献してきたと自負している。

    圧力損失と流れ挙動に関する記載は、BHR Group(www.bhrgroup.com)の研究成果に多くを拠っている。

    本書が日本のエンジニアの方々に大いに活用され、素晴らしい設計の一助になることを願っている。

    D. S. Miller   2011 年 7 月

  • v

    記号と圧力の定義 ……………………………… 1

    第 1 部 流体力学

    1.序論 1. 1. 本書で扱う流れについて ………………… 5 1. 2. 単位と、流体の物性 ……………………… 5 1. 3. 非圧縮性流体の諸式 ……………………… 7 1. 4. 損失係数の普遍性 ………………………… 11 1. 5. 損失係数全般 ……………………………… 14 1. 6. 運動エネルギー分布 ……………………… 18 1. 7. 例題について ……………………………… 18 1. 8. 損失係数のクラス分け …………………… 18

    2.圧力損失の源 2. 1. 初めに ……………………………………… 21 2. 2. 乱流 ………………………………………… 22 2. 3. 逆勾配 ……………………………………… 23

    3.システムの「圧力、流量、規模」計算 3. 1. 初めに ……………………………………… 27 3. 2. 損失に関する式 …………………………… 27 3. 3. システム計算と、    ポンプとファンの選定 ………………… 28 3. 4.  計算余裕 ………………………………… 31

    4.流れシステムのマネージメント 4. 1. 初めに ……………………………………… 33 4. 2. 性能と信頼性 ……………………………… 33 4. 3. 入口流れ …………………………………… 34 4. 4. 運用状態 …………………………………… 35 4. 5. シール ……………………………………… 37 4. 6. 設計審査 …………………………………… 38

    5.内部流れ 5. 1. 序論 ………………………………………… 51 5. 2. 真っ直ぐなパイプ/通路 ………………… 51 5. 3. 平面壁ディフューザ ……………………… 59 5. 4. 曲り ………………………………………… 71 5. 5. 曲り同士の流体的干渉 …………………… 80 5. 6. 曲りディフューザ ………………………… 82

     5. 7. 合流と分岐 ………………………………… 86 5. 8. 断面積と流れ方向の急変 ………………… 94 5. 9. 層流 ………………………………………… 102

    6.キャビテーション 6. 1. 初めに ……………………………………… 105 6. 2. キャビテーションのタイプ ……………… 106 6. 3. 定義 ………………………………………… 112 6. 4. ディフューザのキャビテーション特性 … 114 6. 5. 曲りのキャビテーション特性 …………… 114 6. 6. 表面不連続部のキャビテーション特性 … 115 6. 7. 溝のキャビテーション特性 ……………… 117 6. 8. 粗面のキャビテーション特性 …………… 118 6. 9. 急拡大のキャビテーション特性 ………… 119 6. 10. ノズルやパイプの急拡大     キャビテーション特性 ………………… 120 6. 11. 厚いオリフィスの     キャビテーション特性 ………………… 121 6. 12. バタフライバルブの     キャビテーション特性 ………………… 122 6. 13. グローブバルブの     キャビテーション特性 ………………… 124 6. 14. ボールバルブの     キャビテーション特性 ………………… 126 6. 15. 高ヘッドエネルギー散逸 ………………… 126 6. 16. 例題 ………………………………………… 126

    7.圧縮性流れ 7. 1. 序論 ………………………………………… 133 7. 2. マッハ数、チョーク ……………………… 134 7. 3. 圧縮性流れの諸関係 ……………………… 134 7. 4. 内部流れのマッハ数 ……………………… 138 7. 5. チョーク流れ ……………………………… 141 7. 6. 圧縮性流れの損失係数 …………………… 143 7. 7. 計算手順 …………………………………… 147 7. 8. システム計算 ……………………………… 158 7. 9. バルブ ……………………………………… 161 7. 10. 圧力開放システム、減圧システム ……… 170 7. 11. 等温流れ …………………………………… 171 7. 12. 例題 ………………………………………… 172

    目    次

  • vi

    第2部 圧力損失データ

    8.パイプと通路内の摩擦損失 8. 1. 初めに ……………………………………… 187 8. 2. 円形断面パイプ …………………………… 189 8. 3. 非円形断面 ………………………………… 191 8. 4. ヘッド、流量、パイプ寸法の算出 ……… 194 8. 5. 層流 ………………………………………… 195 8. 6. 例題 ………………………………………… 196

    9.曲り 9. 1. 初めに ……………………………………… 203 9. 2. 円形断面曲り ……………………………… 203 9. 3. 長方形断面曲り …………………………… 207 9. 4. エルボ ……………………………………… 212 9. 5. 90°連続エルボ ……………………………… 213 9. 6. 断面積/曲率が変化する曲り …………… 213 9. 7. 180°二重パイプ曲り ……………………… 215 9. 8. ベーン付き曲り …………………………… 218 9. 9. コイル ……………………………………… 218 9. 10. 市販品の曲り ……………………………… 221 9. 11. 層流 ………………………………………… 221 9. 12. 例題 ………………………………………… 222

    10.曲り間の流体的干渉 10. 1. 初めに ……………………………………… 225 10. 2. 曲り組合せ(曲り角度 90°) …………… 225 10. 3. 曲り組合せ(曲り角度 90°以下) ……… 227 10. 4. 非円形断面の曲り組合せ ………………… 228 10. 5. ベーン付き 90°曲り組合せ ……………… 230 10. 6. 例題 ………………………………………… 23011.ディフューザ 11. 1. 初めに ……………………………………… 233 11. 2. 標準ディフューザ ………………………… 235 11. 3. 強く偏向する環状ディフューザ ………… 243 11. 4. 非対称ディフューザ ……………………… 243 11. 5. 曲面壁ディフューザ ……………………… 244 11. 6. 断面遷移ディフューザ …………………… 246 11. 7. 最適設計ラインの上方に     属するディフューザの設計 …………… 247 11. 8. 例題 ………………………………………… 252

    12.曲りディフューザ 12. 1. 初めに ……………………………………… 259 12. 2. 曲りディフューザ(推奨形状) ………… 262 12. 3. 90°「曲り-スペーサ-     ディフューザ」組合せ ………………… 266 12. 4. 半径比の影響 ……………………………… 268 12. 5. 曲り角度の影響 …………………………… 278 12. 6. 入口境界層厚さの影響 …………………… 279 12. 7. 縦横比の影響 ……………………………… 286 12. 8. 「ディフューザ     -スペーサ-曲り」組合せ …………… 287 12. 9. 複合ディフューザ ………………………… 287 12. 10. 曲面壁ディフューザ …………………… 293 12. 11. 「曲り-ディフューザ」、      「ディフューザ-曲り」の干渉 …… 296

    13.分岐と合流 13. 1. 初めに ……………………………………… 301 13. 2. T字合流節点部の角形状が鋭い場合 …… 304 13. 3. T字合流節点部、角形状の影響 ………… 305 13. 4. 対称な合流節点部 ………………………… 312 13. 5. 角が鋭い分岐 ……………………………… 315 13. 6. T字分岐節点部、角形状の影響 ………… 318 13. 7. T字分岐節点部、損失特性の改善 ……… 319 13. 8. 対称な分岐節点部 ………………………… 320 13. 9. 3本以上の支流路を持つ節点部 ………… 320 13. 10. 断面形状の影響 ………………………… 328 13. 11. T字節点部と曲りの流体的干渉 ……… 336 13. 12. パイプ壁孔の損失係数 ………………… 344 13. 13. マニホールド …………………………… 345 13. 14. 例題 ……………………………………… 349

    14.種々のコンポーネント 14. 1. 初めに ……………………………………… 361 14. 2. オリフィス、スクリーン、多孔板 ……… 362 14. 3. 差圧流量計 ………………………………… 369 14. 4. 入口と縮小部 ……………………………… 370 14. 5. 拡大部、自由放出ノズル ………………… 371 14. 6. バルブ ……………………………………… 373 14. 7. 層流 ………………………………………… 380

    索 引 ……………………………………………… 387

  • 序論 9

    式(1.5a)を変形すると

    P=ρgz+p+ρU 2

    2 (1.5b)

    ここで、 P を総圧、 p を静圧と呼ぶ。例えば、水柱高さ 50 mm のとき、水の密度 ρ を 1000 kg/m3 と

    すれば

    P=ρgh=1000×9.81×(50/1000)=490 N/m2

    1. 3. 3. 損失ヘッドと圧力損失

    本書では「総損失ヘッド」を略して「損失ヘッド」と記載する。同じく、「総圧力損失」を「圧力

    損失」と記載する。システムの2点間の損失ヘッドは、それら2点間の総ヘッドの差に等しい。損失

    ヘッドΔH は、次式で表わされる(図 1. 3 参照)。

    ΔH = h1+U1

    2

    2g - h2+

    U22

    2g (1.7a)

    圧力損失ΔP は

    ΔP = p1+ρU1

    2

    2 - p2+ρU2

    2

    2 + ρg(z1-z2) (1.7b)

    なお、(z1-z2)は圧力計間の高低差である。

    21

    基準面

    1での総ヘッド

    2での総ヘッド

    コンポーネント

    ピエゾヘッド 速度ヘッド

    総ヘッド勾配

    コンポーネント

    h2h1

    1 と 2 の間の総損失ヘッドU 22

    2gU 212g

    図 1.3 総損失ヘッド

  • 33

    4. 流れシステムのマネージメント

    4. 1. 初めに

    「効率、信頼性、安全性」に優れた流れシステムを設計するには、良好なプロジェクトマネージ

    メントが是非とも必要である。このようにして設計されたシステムは、運転容易かつ整備が簡単であ

    る。本章では、流れシステムの「設計、仕様書作成、装備品選定」にあたって、正式な基準に則って

    実行することの利点を強調する。

    特別な場合を除いて、多くの主要工業用設備では、装置間を移動する流体が、複雑なパイプやダク

    トを経由するのを、出来るだけ避けようとする。装置とは、例えば、ボイラー、蒸留塔、熱交換器、

    ポンプ、モーター、リアクター、蒸気タービンである。これらの装置は「熱や流体の移送、化学反

    応、結晶化、燃焼、内部流れによるエネルギーの分離や変換」等を行う。

    全ての工業上の分野が内部流れに関係しているにもかかわらず、いまだに確立されていないのが、

    良好な設計を保証する設計審査の手順である。結果として、膨大なエネルギー消費、低性能、低信頼

    性、低安全性、過大な維持費用、環境汚染が生じている。プロジェクトマネージャーは、流れシステ

    ムの審査を通じて、設計上の「不備や、とんでもない間違いや、怠慢な省略」を見つけ出すのに、大

    いに貢献できる。本章では、流れシステムを設計するにあたって、特に注意しなければならない事項

    を記載している。これらをまとめると

    1 . システム性能を正確に計算しても、ヘッドや流量に余裕を持たせ過ぎると、コスト/信頼性/運

    用性に深刻な影響を与える。

    2 . 装備品に対する要求は、簡潔かつ完全に規定する。

    3 . システムが、どのように動きそうかを考える。システムは、仕様書どおりに動くとは限らない。

    4 . 動的なコンポーネント(例えば、ポンプやバルブ)に適切なシールを採用し、漏洩を防止する。

    5 . 「装備品や設備」の入口流れに特に注意する。良好な流量分配を達成するためには、入念な流路

    設計が必要である。

    6 . 使用される流体の種類を把握する。通常あるいは異常状態下における流体の汚れや挙動を理解す

    る。

    4. 2. 性能と信頼性

    システムの信頼性が低くなったり、運用上の問題を抱えたりするのは、設計上の要因によることが

    多い。これら不具合は「仕様書の不備、装備品やコンポーネントの選定間違い、セーフティマージン

    の不足(運用の柔軟性が損なわれる)、運用環境への認識不足」等によって発生する。

    第2部に記載の性能データは、動的コンポーネント(ポンプ、バルブ、ファン等)の「仕様設定、

  • 内部流れシステム34

    選定、装着、運用」が正しくないときには、割り引かなければならない。流体機械は、限られた範囲

    で効率的に動作するようにしか設計できない。設計範囲を外れて運用すると「寿命低下、運用/維持

    コストの増大、音や振動の増加」等を招く。

    4. 2. 1. 仕様書の準備

    装備品の仕様書作成と選定のときには、プロジェクトマネージメントが、プラントの効率/信頼性

    /安全性を高めるために是非とも必要である。そのためには、以下に精通していなければならない。

    1 . 装備品の特性

    2 . 工程

    3 . 装着状態、動作状態

    4 . 装備品製作会社の能力

    仕様書は、下記に従うべきである。

    1 . 明確かつ読みやすく、適用文書が適切であること。

    2 . 範囲が明確に定義されていること。

    3 . 適用するスタンダードのみを含むこと。各スタンダードの適用部分の項目番号を明確にする。関

    連する情報を、明瞭で理解容易な1つの文書にまとめるのが望ましい。

    4 . 自社とベンダー(装備品製造会社)の技術データ/性能データに係る責任範囲を明確にしておく。

    仕様書には、修正履歴と目次が必須である。仕様書は「多くの変更、スタンダードの追加、余計な

    要求」等を含むと、厚くなってしまう。これでは、優れたプラントを作ることができない。仕様書に

    は、設計者の能力と知識が反映される。理想的な仕様書は、簡潔であり、真に必要な情報のみが記載

    されている。このような仕様書であれば、ベンダーの努力を促すことができ、誤解による不測の事態

    を防止できる。

    優秀なベンダーは、システム設計者の力量不足を補えるが、システムのヘッドや流量の計算が間

    違っていたら、全て帳消しである。装備品に対する要求は、システムのヘッドと流量を安全側に計算

    し、その値に基づいて設定する。装備品が設計範囲外で動作すると、プラントの収益性が悪化する。

    実際のところ、システムは、広い範囲のヘッドと流量に渡って運転される。それらは全て仕様書に記

    載し、「最大値が規定されているから」等の理由で未定としてはならない。

    4. 3. 入口流れ

    流体エンジニアの最悪の間違いは、入口から装備品までの流れについて、考慮し忘れたり、状態を

  • 内部流れシステム130

    6章の参考文献

    流体機器における技術的重要性を反映して、キャビテーションに係る文献は多数存在する。キャ

    ビテーションの影響を強く受けるのは、回転機器、高速船、潜水艦である。これらに係る文献は、耐

    キャビテーション材料に関するものを含んで、大きな割合を占めている。下記の優れた文献には、多

    くの参考文献が記載されている。

    1 . Knapp, R. T., Daily, J. W. and Hammitt, F. G., Cavitation, New York: McGraw-Hill (1970), 564pp.

    システムコンポーネントの設計に確実かつ広く適用可能な試験データは少ない。バルブについては

    「Metropolitan Water District of Southern California at the Colorado State University and in the District’s own

    facility」が多大な成果をあげている。

    2 . Winn, W. P. and Johnson, D. E., Cavitation parameters for outlet valves. Proc. ASCE, J. Hydraul. Div., 96

    (HY12), 2519-2533 (December 1970).

    3 . Winn, W. P., Throttling valves: testing and selection. J. Am. Water Works Assoc., 64⑶, 163-169 (March

    1972).

    「Colorado State University」による成果は、主として Tuliss と Ball から発表されている。それら発

    表文献を通じて、バルブに関する実験データにアクセスできる。6.8 節~ 6.12 節の記載にあたっては、

    「Colorado State University」の下記文献を参照した。

    4 . Tullis, J. P., Cavitation scale effects for valves. Proc. ASCE, J. Hydraul. Div., 99 (HY7), 1109-1128 (July

    1973).

    5 . Ball, J. W. and Tullis, J. P., Cavitation in butterfly valves. Proc. ASCE, J. Hydraul. Div., 99 (HY9), 1303-

    1318 (September 1973).

    6 . Tullis, J. P. and Ball, J. W., Cavitation data for valves and its application. Conference on Cavitation, Heriot-

    Watt University, Edinburgh, Institute of Mechanical Engineering, Paper C153/74, pp. 55-63 (3-5 September

    1974).

    7 . Ball, J. W. and Tullis, J. P., Predicting cavitation in sudden enlargements. Proc. ASCE, J Hydraul. Div., 101

    (HY7), 857-870 (July 1975).

    オリフィス式ディシペーターの設計にあたっては、下記文献が参考になる。

    8 . Ripken, J. F. and Hyakawa, N., Cavitation in high-head conduit control dissipators. Proc. ASCE, J. Hydraul.

    Div., 98 (HY1), 239-256 (January 1972).

    種々のバルブについての更なるデータが、下記文献に記載されている。

    9 . Tullis, J. P. and Marschner, B. E., Review of cavitation research on valves. Proc. ASCE, J. Hydraul. Div., 94

    (HY1), 1-16 (January 1968).

    10. Darvas, L. A., Cavitation in close conduit flow control systems. Inst. Eng., Aust. Civ. Eng. Trans., 213-219

    (October 1970).

    6.4. 節のディフューザのキャビテーション特性に係る記載は University of Michigan やその他による

    文献に基づいている。下記文献を通じて、キャビテーション研究団体からの優れた文献を知ることが

  • 圧縮性流れ 161

    7. 9. バルブ

    7. 9. 1. 初めに

    バルブの技術文献は、「流れの挙動や、バルブとシステムとの流体的干渉」よりも、むしろバルブ

    選定にあたっての簡易計算方に重きを置いているものが多い。

    バルブの圧縮性流れに係る計算式は、技術文献によってまちまちである。米国の ISA Standard 39.9

    “Control Valve Sizing Equations for Compressible Fluids” でさえも、推奨式のみならず 2 つの代替式を

    記載している。代替式の内の 1 つは、British Standard BS4740 “Evaluating Control Capacity” の第 2 部

    “Gases or Vapours” にも記載されている。

    バルブ計算式のほとんどは、臨界(音速)流れを基準にするとともに、亜音速流れに適用可能な修

    正係数を含んでいる。この修正係数を含む経験式が多く存在し、混乱を招いている。

    ISA Standard S39.4 には、オリフィス板の修正係数が記載されている。この修正係数は、使わない方

    がよい。オリフィス板の損失のほとんどは、最小有効断面に向けて流れが加速する過程で発生する。

    3 2 1 0 1 2 3 4 5

    長さ/パイプ直径

    静圧

    グローブバルブ

    アングルバルブ

    バルブ無しの場合の勾配

    6

    バタフライバルブ

    図 7.19 バルブ通過流の静圧変化(等総圧損失、非チョーク状態)

  • 内部流れシステム162

    修正係数は、圧縮性が「静圧と最小有効断面積」変化に与える影響によって違ってくる。バルブ内で

    は、最小有効断面下流で拡大と混合が起き、静圧が回復し、総圧が低下する。

    図 7.19 は、バルブ内の静圧変化を示している。本図から明らかなように、最小有効断面下流では、

    静圧が大きく回復する。圧力回復が大きなバルブでは、静圧比( p1-p2)/p1 が 0.1 でも、臨界流速にな

    る。一方、圧力回復が小さなバルブでは、静圧比が 0.5 にならないと、臨界流速に達しない。

    バルブの寸法設定方法は、非圧縮性に係るものを、圧縮性の場合にそのまま適用できない。このこ

    とを強く認識すべきである。非圧縮性流体の場合、圧力回復が大きいと、バルブ前後の圧力差が小さ

    くなる。すなわち、バルブの容量が大きくなる。これに対して、圧縮性流体では、流れが臨界状態に

    達すると、静圧回復は流量(バルブ容量)に影響しなくなる。すなわち、非圧縮性流れでは静圧回復

    が大きいと高容量になるが、圧縮性流れでは静圧回復が大きいと小さな圧力差で臨界状態が起きる。

    臨界流れが一旦発生すると、バルブの容量は内部の幾何学的流路断面積に依存する。よって、非圧縮

    性下で圧力回復が小さくて低容量なバルブであっても、圧縮性下で高い容量を持ち得る。

    バルブの寸法設定にあたっては、可能な限りバルブメーカーと調整すべきである。しかしながら、

    バルブは、通常、標準的なものから選定される。そのため、バルブが使われているときに、寸法設定

    の多少の誤りは表面化しないことが多い。バルブの総圧損失がシステムの他部分の全損失を上回るの

    であれば、全システムの寸法や制御方法を見直す必要がある。

    7. 9. 2. バルブ製造会社のデータ

    圧縮性流体がバルブを通過する場合の計算方法は、いまだ確立されずに混乱している。経験式をさ

    らに追加するのは望ましくないので、バルブ製造業者のデータを、以下の計算手順に適用可能なよう

    に変換する。

    「バルブと、システム」の性能計算を同基準で行うために、圧力と温度には、それぞれ総圧と総温

    度を用いる。

    製造会社から提示されるデータは、水または空気を流したときの実験値に基づいている。空気の基

    本式は

    質量流量=1.67×10-2AvC1Y ( ρp1)0.5(kg/s) (7.32)

    ここで、Av は水流れ試験に基づく容量係数、C1 は臨界空気流れにおけるガスフローファクター(図

    7.20)である。Y は、未臨界フローファクターであり、流れが臨界に達したとき 1 になる。

    バルブ内の流れが総圧損失無しに最小有効断面に至ると仮定すると、製造会社のデータを用いて、

    基準面積 Aa が求まる。

     Aa=24.4×10-3AvC1 [1 +(γ-1)M12/ 2 ]-(γ +1)/2(γ-1) (7.33)

    損失係数 K は、製造会社が提供する Av(Av=24×10-6Cv)から計算する。

    K=2(A/Av)2 (7.34)

  • 圧縮性流れ 163

    A は、バルブ入口面積(m2)である。

    式(7.20)、式(7.33)、式(7.34)から

    1.2×10-3C12[1 +(γ-1)M12/2]-(γ +1)/(γ-1)=1-pt 2 /pt11-pa /pt1

    (7.35)

    バルブ入口のマッハ数は通常 0.2 以下なので、式(7.35)は簡略化でき

    15

    20

    25

    30

    35

    40

    0 20 40 60 80 100

    開度(度)全閉 全開

    バタフライバルブ

    プラグバルブ(流れ急変)

    プラグバルブ(流れ変化おだやか)

    アングルバルブ

    ボールバルブ

    バタフライバルブC1

    図 7.20 ガスフローファクター

  • パイプと通路内の摩擦損失 189

    使用した後に、パイプの粗さは 0.5 mm になる。

    粗さの劣化防止には、以下が有効である。

    1. 当初から表面仕上げを良好にし、低流速エリアを極力小さくする。後流が発生すると堆積物が形成

    されやすいからである。

    2. 当初から侵食と腐食の防止策を施す。

    3. 淡水や海水を塩素殺菌し「微生物やその分泌粘液、貝」等の付着物を防止する。2 m/s 以上の連続

    流を確保して壁面せん断応力を大きくすれば、フジツボ/エボシガイ/他の海生生物の定着を十分

    に防止できる。

    4. 無処理水が流れるパイプの腐食が問題ならば、水を脱酸素する。また、硫化水素が含まれているの

    ならば、それを除去する。

    8. 1. 2. 摩擦の計算精度

    摩擦を計算するときには、粗さを設定しなければならない。高いレイノルズ数では、粗さが 100

    パーセント違うと、摩擦係数は 10 パーセント異なってくる。損失ヘッドは、「少なくとも直径の4

    倍」に逆比例する。このため、パイプ直径には、ノミナル寸法でなく実寸法を用いるべきである。

    新品のパイプにおいて、摩擦係数の推定値が、壁面の堆積や劣化が無いときに、滑らかなパイプの

    1.2 倍以下の場合、直径誤差が 0.5 パーセント以下であれば、損失ヘッドを 5 パーセント以内の精度で

    求められる。同様なパイプで、摩擦係数の推定値が滑らかなパイプの 1.5 倍以下であるものは、損失

    ヘッドを約 10 パーセントの精度で求められる。

    使用に伴う劣化が予想される場合、摩擦係数は、普通、25~50 パーセント大きくなる。堆積物や粘

    液が成長すると、さらに大きくなる。

    8. 2. 円形断面パイプ(8.1.2. 節の記載を前提に、クラス1)

    摩擦損失を求めるのに、広く用いられているのがムーディ線図(図 8.1)である。ムーディ線図は、

    コールブルックやホワイトの提示式をプロットしたものである。コールブルック/ホワイトの式を解

    くには、コンピュータや電卓を使った繰り返し計算が必要になる。それよりも、ムーディ線図を使う

    方が簡単である。コールブルック/ホワイトの式に基づいて摩擦係数を与える近似式は

    f=0.25 log κ

    3.7D + 5.74

    Re0.92 (8.4)

  • 内部流れシステム19015°C、760mmHgにおける

    UD(流速:m/s、直径:m)

    レイノルズ数UD/ν

    滑らかなパイプ

    滑らかなパイプ

    層流

    相対粗さk/D

    0.10.090.08

    0.07

    0.06

    0.05

    0.04

    0.03

    0.025

    0.02

    0.015

    0.010.009

    0.008

    103

    23

    4568

    42

    34568

    52

    34563

    62

    34568

    72

    34568

    810

    1010

    1010

    0.01

    0.015

    0.02

    0.03

    0.04

    0.008

    0.006

    0.05

    100

    1000

    50

    500

    20

    200

    10

    100

    5

    50

    2

    20

    1.0

    0.5

    0.2

    0.1

    0.05

    105

    21.0

    0.5

    0.02

    0.2

    0.01

    0.1

    水空気

    0.004

    0.002

    0.001

    0.0008

    0.0006

    0.0004

    0.0002

    0.0001

    0.000 05

    0.000 01

    0.000 005

    0.000 001

    摩擦係数 ƒ=∆H/ =∆P/ ρ LDU22g

    LD

    U22

    図8.

    1. ム

    ーデ

    ィ線

  • 内部流れシステム196

    8. 6. 例題

    例題 1:Q、L、D、ν、κ が与えられ、損失ヘッドΔH を求める場合

    空気が方形断面通路(一辺 0.2 m、長さ 25 m)を流れるときの損失ヘッドを計算せよ。ただし、以

    下が既知であるとする。

    流量 Q=0.8 m3

    空気密度=1.23 kg/m3

    空気の動粘性係数=1.45×10-5 m2/s

    通路の粗さκ=0.025 mm

    式(8.2)から

    D=4 A/Pr=4×0.22/(4×0.2)=0.2 m

    相対粗さ

    κ /D=0.025×10-3/0.2=1.25×10-4

    平均流速

    U=Q/A=0.8/(0.2×0.2)=20 m/s

    レイノルズ数

    Re=DU/v=0.2×20/1.45×10-5=2.8×105

    式(8.4)から、摩擦係数 f を算出する。

    f=0.25 log κ

    3.7D + 5.74

    Re0.92

    =0.25 log 1.25×10

    -4

    3.7 + 5.74(2.8×105)0.9

    2

    =0.0158

    図 8.1 からレイノルズ数 2.8×105、相対粗さ 1.25×10-4 のときの摩擦係数 f を読むと、上記の算出

    結果と同じ 0.0158 が得られる。

    式(8.3)から

    Kf=f L/D=0.0158×25/0.2=1.975

  • パイプと通路内の摩擦損失 197

    損失ヘッドは

    ΔH=Kf U 2/2g=1.975×202/(2×9.81)

    = 40.3 m(空気柱)=49.6 mm(水柱)

    例題 2:ΔH、L、D、ν、κ が与えられ、流量 Q を求める場合

    「直状パイプ(直径 50 mm)とコンポーネント」からなるシステムが、2つのタンク間をつないで

    いる。重力の作用で、15℃の水がシステムを経由してタンク間を流れる。コンポーネントの損失係数

    Kt は、レイノルズ数 105 以上で 6.5 である。パイプ長さが 40 m、タンク間の高低差が 6 m であるとき

    の流量 Q を求めよ。ただし、パイプ内面は滑らかであり、水の動粘性係数ν=1.14×10-6 m2/s とする。

    (初回の計算)

    パイプの摩擦係数を、図 8.1 の滑らかなパイプの平均的な値 f=0.015 と仮定する。

    パイプの損失係数

    Kf= f L/D=0.015×40/(50×10-3)=12

    損失ヘッド

    ΔH=6m=(Kf + Kt︶U 2/2g

    平均流速

    U= 6×2×9.8112 + 6.5

    =2.52 m/s

    レイノルズ数

    Re=UDv

    =2.52×50×10-3

    1.14×10-6 =0.111×106

    図 8.1 から

    f=0.0178

    (2回目の計算)

    f=0.0178 として

    Kf=12×0.0178/0.015=14.2

    U=2.52 12 + 6.514.2 + 6.5

    =2.38 m/s

    Re=0.111×106×2.38/2.52=0.105×106

  • 内部流れシステム320

    13. 8. 対称な分岐節点部

    対称なT字節点部(各支流路の断面積は同一)で分岐するときの損失係数 K31 を図 13.27 に示す

    (クラス1)。角アールが小さい場合に、支流路1と支流路2のいずれか一方の流量が少なく、かつ損

    失ヘッドが大きいと、不安定な流れが起きる可能性があるので注意する。

    図 13.27 ⑴は、Y字節点部(各支流路の断面積は同一)で分岐するときの損失係数 K31、K32 を示し

    ている(クラス1)。

    図 13.28 は、Y字分岐節点部において、A1=A2、A1+A2=A3 であるときの損失係数を示している(ク

    ラス2)。図 13.29 は、A1=A2=A3 のときの損失係数を示している(クラス2)。

    13. 9. 3本以上の支流路を持つ節点部

    3本以上の支流路が節点部で合流する場合、その損失係数は、T字節点部の類似流れに基づいて、

    0 0.2 0. 4 0. 6 0. 8 1. 0

    3. 02. 0

    1. 00. 75

    0.50.25

    0.75

    0.5 0.25

    0. 150.1

    1. 5

    0. 10

    0. 1

    0. 2

    0. 3

    0. 4

    0. 5

    0. 6

    0. 7

    0. 8

    0. 9

    1. 0

    0. 3 0. 5 0. 7 0. 9

    45°

    流量比 Q1 /Q3

    A 1/ A3

    Q3A3

    Q2A2

    Q1A1

    図 13.26 良好な設計の 45°分岐の損失係数 K31(A2=A3-A1)

  • 分岐と合流 321

    0.8

    1. 0

    1. 2

    1. 4

    0. 6

    0. 40 0. 2 0. 4 0. 6 0. 8 1. 0

    K31

    1

    3

    2

    流量比 Q1 /Q3

    r/d=0r/d=0.09

    r/d=0.5

    r/d=0.19

    図 13.27 分岐、対称T字節点部の損失係数 K31

    0.4

    0. 6

    0. 8

    1. 0

    1. 2

    0. 2

    00 0.2 0. 4 0. 6 0. 8 1. 0

    Kij

    23

    1

    1 2

    3

    90°

    流量比 Q1 /Q3

    K31

    K31 K32

    図 13.27(1) 分岐、対称Y字節点部の損失係数 K31、K32

  • 内部流れシステム374

    14. 6. 1. ボールバルブ(クラス2)

    ボールバルブの全開時の損失係数は、全開における開口面積がパイプ断面積と等しければ、同じ長

    さのパイプの摩擦係数とほぼ等しい。典型的な値は 0.05 である。図 14.17 は、途中開度におけるボー

    ルバルブの損失係数を、バルブ角度に対する値として示している。

    14. 6. 2. バタフライバルブ(クラス2)

    バタフライ(弁板)の厚さに対する損失係数を、図 14.18 に示す。図 14.19 は、弁板のタイプが異

    なる 3 種類のバルブについて、開度に対する損失係数を示している。

    14. 6. 3. ダイアフラムバルブ(クラス3)

    図 14.20 は、2 種類のダイアフラムバルブについて、おおよその損失係数を示している。

    14. 6. 4. ゲートバルブ、スリースバルブ(クラス2)

    図 14.21 は、ゲートバルブの全開状態における損失係数を「シート面積/パイプ面積」比に対する

    値として示している。図 14.22 は、ゲートバルブとスリースバルブの損失係数を、「開き」に対する値

    として示している。

    (a) (b)

    0.1D2

    0. 75D1

    30°7°

    1.5D

    1

    D1 D1D2 D2

    図 14.16 性能良好ノズル

  • 種々のコンポーネント 375

    0.1

    1. 0

    10

    100

    0 30 60 90

    損失係数 K

    ν

    θ

    ボール/パイプ面積比:0.7

    バルブ角度

    図 14.17 ボールバルブの損失係数

    0.1 0. 2 0. 3 0. 40. 1

    0. 2

    0. 4

    0. 6

    1. 0

    2. 0

    損失係数 K

    ν

    dt 一般的な市販バルブ

    優れた設計

    通常の t/d 範囲

    厚さ比 t/d

    図 14.18 バタフライバルブの損失係数(全開状態)

    パンフレット_111003.pdfバインダ4.pdfバインダ2.pdfIFS 168.pdfIFS 169.pdfIFS 170.pdfIFS 203.pdfIFS 327.pdfIFS 328.pdfIFS 4.pdfIFS 41.pdf

    IFS 381.pdfIFS 382.pdf

    表裏_111003.pdf

    IFS 137.pdf