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応用物理学特別演習 平成 28 10 11 ナノバイオ工学研究室 北嶋 3D structure of individual nanocrystals in solution by electron microscopy Jungwon Park 1,2,3,* , Hans Elmlund 4,5,* , Peter Ercius 6,* , Jong Min Yuk 7,8,9 , David T. Limmer 10 , Qian Chen 1,8,11 , Kwanpyo Kim 12 , Sang Hoon Han 13 , David A. Weitz 2,3 , A. Zettl 7,8,9 , A. Paul Alivisatos 1,8,9, 1 Department of Chemistry, UCB, Berkeley, USA. 2 Department of Applied Physics, Harvard University, Cambridge, USA. 3 School of Engineering and Applied Sciences, Harvard University, Cambridge, USA. 4 Department of Biochemistry and Molecular Biology, School of Biomedical Sciences, Monash University, Clayton, Australia. 5 ARC Centre of Excellence for Advanced Molecular Imaging, Clayton, Australia. 6 Molecular Foundry, LBNL, Berkeley, USA. 7 Department of Physics, UCB, Berkeley, USA. 8 Materials Sciences Division, LBNL, Berkeley, USA. 9 Kavli ENSI, Berkeley, USA. 10 Princeton Center for Theoretical Science, Princeton University, Princeton, USA. 11 Miller Institute for Basic Research in Science, UCB, Berkeley, USA. 12 Department of Physics, UNIST, South Korea. 13 Amore-Pacific Co. R&D Center, South Korea. Science 349, 290-295 (2015) 金属ナノ粒子は原子スケールでの相互作用において特異な性質を示すため、生体イメージン グや再生可能エネルギー、触媒など様々なアプリケーションへの応用が期待されている。ナノ 粒子はバルク材料に比べて体積あたりの表面積が大きく、そのことがバルク材料と異なる原子 配置、電子構造を作り、その特異な性質の原因となっていると考えられているため、3 次元構 造を実験的に明らかにすることはナノ粒子の物性や合成、成長メカニズムの理解のために非常 に重要である。本論文では、まず化学的に直径 2 nm ほどに合成した Pt ナノ粒子を含む溶液を グラフェン 2 枚の間に封入した試料を作製し、高分解能 TEM と直接電子検出器を用いて液中 ナノ粒子の高分解能動画を取得した。そしてその動画を生体分子構造解析のために開発された 単粒子 3 次元再構成アルゴリズムを用いて解析することで液中金属ナノ粒子の 3 次元構造再構 成を行った。この手法により 2 つの Pt ナノ粒子の構造再構成を行った結果、これらの 2 つの ナノ粒子はどちらも 3 つの結晶ドメインからなっており、その格子は界面付近で大きく湾曲し ている部分があることがわかった(図 1)。このことから、金属ナノ粒子は複数のより小さな粒 子が集まって成長し、融合の際の格子ズレは室温程度のエネルギーでは解消されないことが示 唆された。また、粒子中のドメインの向きのズレはエネルギー状態が安定となる角度と一致し ており、手法の妥当性を示している。開発された手法は液中でのナノ粒子のその場観察により 3 次元構造再構成を行っているため、粒子の成長、触媒反応のその場観察にも応用できると期 待される。 1 3 次元再構成された溶液中における 2 つの Pt ナノ粒子の電子密度マッピング スケールバー:0.5nm

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応用物理学特別演習

平成 28 年 10 月 11 日

ナノバイオ工学研究室 北嶋 凌

3D structure of individual nanocrystals in solution

by electron microscopy

Jungwon Park1,2,3,*, Hans Elmlund4,5,*, Peter Ercius6,*, Jong Min Yuk7,8,9, David T.

Limmer10, Qian Chen1,8,11, Kwanpyo Kim12, Sang Hoon Han13, David A. Weitz2,3, A. Zettl7,8,9,

A. Paul Alivisatos1,8,9,†

1Department of Chemistry, UCB, Berkeley, USA. 2Department of Applied Physics, Harvard University, Cambridge, USA. 3School of Engineering and Applied Sciences, Harvard University, Cambridge, USA. 4Department of Biochemistry

and Molecular Biology, School of Biomedical Sciences, Monash University, Clayton, Australia. 5ARC Centre of Excellence for Advanced Molecular Imaging, Clayton, Australia. 6Molecular Foundry, LBNL, Berkeley, USA.

7Department of Physics, UCB, Berkeley, USA. 8Materials Sciences Division, LBNL, Berkeley, USA. 9Kavli ENSI, Berkeley, USA. 10Princeton Center for Theoretical Science, Princeton University, Princeton, USA. 11Miller Institute for

Basic Research in Science, UCB, Berkeley, USA. 12Department of Physics, UNIST, South Korea. 13Amore-Pacific Co. R&D Center, South Korea.

Science 349, 290-295 (2015)

金属ナノ粒子は原子スケールでの相互作用において特異な性質を示すため、生体イメージン

グや再生可能エネルギー、触媒など様々なアプリケーションへの応用が期待されている。ナノ

粒子はバルク材料に比べて体積あたりの表面積が大きく、そのことがバルク材料と異なる原子

配置、電子構造を作り、その特異な性質の原因となっていると考えられているため、3 次元構

造を実験的に明らかにすることはナノ粒子の物性や合成、成長メカニズムの理解のために非常

に重要である。本論文では、まず化学的に直径 2 nm ほどに合成した Pt ナノ粒子を含む溶液を

グラフェン 2 枚の間に封入した試料を作製し、高分解能 TEM と直接電子検出器を用いて液中

ナノ粒子の高分解能動画を取得した。そしてその動画を生体分子構造解析のために開発された

単粒子 3 次元再構成アルゴリズムを用いて解析することで液中金属ナノ粒子の 3 次元構造再構

成を行った。この手法により 2 つの Pt ナノ粒子の構造再構成を行った結果、これらの 2 つの

ナノ粒子はどちらも 3 つの結晶ドメインからなっており、その格子は界面付近で大きく湾曲し

ている部分があることがわかった(図 1)。このことから、金属ナノ粒子は複数のより小さな粒

子が集まって成長し、融合の際の格子ズレは室温程度のエネルギーでは解消されないことが示

唆された。また、粒子中のドメインの向きのズレはエネルギー状態が安定となる角度と一致し

ており、手法の妥当性を示している。開発された手法は液中でのナノ粒子のその場観察により

3 次元構造再構成を行っているため、粒子の成長、触媒反応のその場観察にも応用できると期

待される。

図 1 3 次元再構成された溶液中における 2 つの Pt ナノ粒子の電子密度マッピング

スケールバー:0.5nm

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応用物理学特別演習

平成 28年 10 月 11 日

極限量子光学研究室 跡部 龍之介

Measurement and laser control of attosecond charge

migration in ionized iodoacetylene

P. M. Kraus1, B. Mignolet2,3, D. Baykusheva1, A. Rupenyan1, L. Horný1, E. F. Penka4, G. Grassi1, O. I. Tolstikhin5, J. Schneider1, F. Jensen6, L. B. Madsen7, A. D. Bandrauk4, F. Remacle2,

and H. J. Wörner1* 1Laboratorium für Physikalische Chemie, ETH Zürich, 8093 Zürich, Switzerland. 2Department of

Chemistry, Université de Liège, B4000 Liège, Belgium. 3PULSE Institute and Department of Chemistry, Stanford University, Stanford, CA 94305, USA. 4Laboratoire de Chimie Théorique,

Université de Sherbrooke, Sherbrooke, Quebec J1K 2R1, Canada. 5Moscow Institute of Physics and Technology, Dolgoprudny 141700, Russia. 6Department of Chemistry, Aarhus University, 8000 Aarhus

C, Denmark. 7Department of Physics and Astronomy, Aarhus University, 8000 Aarhus C, Denmark. Science 350 (6262), 790-795 (2015)

光との相互作用後の電子や空孔の超高

速なふるまいは、化学反応、生物学的過

程、またはそれらの技術応用において鍵

となる役割を果たす。今研究では、極性

分子であるヨードアセチレン(HCCI)をイオン化した後の正孔の移動を空間ま

たは時間分解するために、高次高調波分

光を改良し、アト秒スケールで正孔分布

を求めた。ヨードアセチレンのイオンは、

強レーザー場イオン化により、X Π基底状態とA Π第1励起状態に分布される。その状態の分布から正孔の分布を求

めることができ、状態分布の時間変化を

測定することで正孔の移動を求めるこ

とができる。分子がレーザーに垂直に配

向しているとき、正孔の移動はレーザー

場の影響を受けないが、平行に配向して

いるときは、レーザー場の影響を受けて

正孔が移動する。今実験では、その両方

を測定することでレーザー場による正

孔の移動への影響を考えた。図の(A)(B) の実線は、分子がレーザーに平行に配向

した場合のX 状態のポピュレーションの時間変化である。実際は、3ステップ

モデルにおける電子の再結合から、高調

波の次数をイオン化から経過した時間に変換した。この時間の間隔が 100asオーダーなので、結果その分解能でポピュレーションの変化が観察され、正孔の移動を求めることができた。

図:(A and B)分子がレーザーに平行に偏向した場合のX 状態のポピュレーション(実線)とX とA 間の相対位相(破線)の時間変化。 (C and D) ヨードアセチレンのイオン化後の電子空孔ダイナミクス(C)レーザー場に垂直に偏向した場合(D)レーザー場に平行に偏向した場合。

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応用物理学特別演習

平成 28 年 10 月 11 日

量子機能工学研究室 宗石 直樹

Characterization of surface acoustic waves by

stroboscopic white-light interferometry

Kimmo Kokkonen1, Lauri Lipiäinen1, Igor Shavrin2, Steffen Novotny2,

Matti Kaivola1 and Hanne Ludvigsen2

𝐷1 epartment of Applied Physics, Aalto University, P.O. Box 13500, FI-00076 Aalto, Finland,

𝐹2 iber Optics Group, Department of Micro and Nanosciences, Aalto University,

Optics Express 23, 9690-9695 (2015)

共振器等の高周波デバイスの中には、表面弾性波(Surface

Acoustic Wave, SAW)を利用した物がある。表面弾性波とは

物質表面を伝播する弾性波である。デバイス上を伝搬する

SAWの様子を観測することは、SAWやデバイスの開発・研

究を行う上で重要である。デバイス上を伝播する SAWなど

のミクロな表面変位の観測にはレーザー干渉計が有効である。

レーザー干渉計によるSAWの観測技術を向上させる為には、

観測可能な SAWの周波数の上限を引き上げる必要がある。

SAWの観測に用いられるレーザー干渉計の 1つに、走査

型白色干渉(Stroboscopic White-Light Interferometry,

SWLI)がある。SWLIでは、物質表面の凹凸に依存して変

化する干渉縞の画像を CCDカメラによって取得する。取得した画像を解析することによっ

て物質表面の形状を 3Dデータとして画像化する。

SWLIに利用される光のパルス幅が短い程、高い周波数の SAWの観測が可能である。文

献 1で報告されている SWLIでは、白色 LED光源を使用することで 13 MHzの SAWの観

測に成功した。LED光源によるものと比べ短いパルス幅を実現できるスーパーコンテニュー

ム(Super Continuum, SC)光を使用すれば、13 MHz を超える周波数の SAWの観測が可能

になる。SC光は非常に広いスペクトル幅を持ったレーザー光であり、非線形媒質に超短パ

ルスを入射することで発生する。

本公演では、SWLIに SC光を用いたシステムとそれによる実験の結果(図 1)を紹介する。

試料には圧電基盤上に SAWを励起するデバイスを使用した。実験の結果、周波数 74 MHz、

波長 50 µm、最大振幅 3 nm の SAWを観測することに成功した。今後さらに高い周波数の

SAWを観測可能なシステムの開発が期待される。

[1] I. Shavrin et al , Opt. Express 21, 16901–16907 (2013).

図 1 SC光を用いたSWLIによ

り 3D データで再現された

74MHzの SAW