3次元地盤モデルの revitへの読み込み ⼿順書 - bim...
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3次元地盤モデルのRevitへの読み込み⼿順書 Ver 1.0
RUG 地盤情報TF
3次元地盤モデルのRevitへの読み込み⼿順書
RUG 地盤情報TF 1
⽬次 1. はじめに ................................................................................................. 2
2. 地盤データの⼊⼿ ...................................................................................... 3
3. 3次元地盤モデルの作成⽅法 ........................................................................ 4
4. Revit への読込み⽅法 .............................................................................. 14
4.1. Revitへの読み込みの前提条件 ............................................................... 14
4.2. 敷地境界線・ボーリング位置図(2D)の読み込み ............................................ 14
4.3. 地盤モデルの読み込み ......................................................................... 15
4.4. 柱状図モデルの読み込み....................................................................... 18
4.5. 測量点の調整 .................................................................................. 19
4.6. 3D地盤モデルの位置合わせ ................................................................... 20
5. TIPS ボーリング交換⽤データ(xml)の有効利⽤ .............................................. 23
6. おわりに ................................................................................................ 26
3次元地盤モデルのRevitへの読み込み⼿順書
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1. はじめに Revit User Group(RUG)ではRevit-BIMによるワークフローのミッシングリンク(データ流通の⾎栓)
を発⾒し、解決するためのタスクフォース(TF)活動を⾏っています。
TFの1つである地盤情報TFでは、「地盤情報をどの様にBIMモデルに取り込み、活⽤していくか」と
いうミッシングリンクの解決を⽬指して活動しています。
本書は活動成果の⼀つとして地盤情報から3次元地盤モデルを作成し、Revitに取込むまでの⼿順を
まとめたものです。 3次元地盤モデルの作成には、3次元地質解析技術コンソーシアムより無償提供さ
れているOCTAS Drafterを⽤いています。OCTAS Drafterの詳しい説明や制限事項及びソフトウエア
のダウンロードについては下記を参照下さい。
https://www.3dgeoteccon.com/cont5/main.html (リンク情報 2018年10⽉現在)
なお、本書を基に作成された3次元地盤モデルは⼟質分布や⽀持層の深度・起伏状況を予察的に
知るためのモデルです。地盤の真の姿を現すものではありませんので、本格的な地盤モデルは慎重な⼯学
的判定を元に別途作成する必要があります。
また、本書の内容はRevit2018.3に基づいて記載しています。
以下にワークフローの概略を⽰します。
■地盤データの⼊⼿
xml 形式のデータを 「OCTAS Drafter」 へ
■3次元地盤モデル作成
「OCTAS Drafter」で3次元地盤モデルを作成
■ Revit へ読込み
・3次元ボーリングモデルを dxf 形式で Revitへ
・⽀持層の xyz 座標を csv 形式で Revit へ
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2. 地盤データの⼊⼿ OCTAS Drafterで3次元地盤モデルを作成するためには、国⼟交通省の地質・⼟質調査成果電⼦
納品要領に基づくボーリング交換⽤データ(xml形式のボーリングデータ)を⽤意する必要があります。
下記に電⼦納品のガイドライン及び要領についてのリンクを⽰します。
電⼦納品ガイドライン
http://www.cals-ed.go.jp/mg/wp-content/uploads/guide_bor4.pdf
(2018年10⽉現在)
電⼦納品要領
http://www.cals-ed.go.jp/mg/wp-content/uploads/boring73.pdf
(2018年10⽉現在)
新規でボーリング調査を発注する際には上記の基準に基づくデータを成果品として求める必要がありま
す。また位置データについては、建物との位置関係・レベル関係が分かるように孔⼝座標(緯度・経度)
及び孔⼝標⾼(TP基準)が正確に⼊⼒されていることが望まれます。既存ボーリングデータを⽤いる場
合は、記事の記載内容と地質判定に⽭盾がないか等をチェックする必要があります。また座標の⼊⼒精度、
管理精度によって位置情報に誤差が⽣じる可能性があるので注意が必要です。
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3. 3次元地盤モデルの作成⽅法 「OCTAS Drafter」を使⽤してRevitに読込む為の3次元地盤モデルを作成します。
1. OCTAS Drafterを起動
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2. プロジェクトを新規作成
「プロジェクト管理」→「プロジェクトメニュー」→「新規プロジェクト」
保存先、プロジェクト名、地区名、座標系(平⾯直⾓座標系)を指定し「OK」
3. 柱状図のXMLデータを読み込む
「3次元柱状図」→「柱状図選択」→「登録」
柱状図.xmlは複数選択することも後から追加することもできる。
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柱状図データが読込まれる。
マウスの左ボタンをドラッグすると表⽰⾓度を調整できる。
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4. 解析領域の指定
「3次元柱状図」→「解析領域指定」→設定調整後「決定」
・ 解像度︓X × Y ≦ 10000、Z ≦ 100
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5. 上下⾯サーフェスの指定
「3次元柱状図」→「上下⾯サーフェス」→設定調整後「上下⾯サーフェス作成」
各柱状図のレベルより最上⾯、最下⾯が作成される。
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6. 地形モデルの選択
「3次元柱状図」→「地形モデル選択」
ボーリング上⾯サーフェス︓5.で指定した上⾯サーフェスが選択される。
DEM(ネットから取得)︓「データ取得」
・ 事前に国⼟地理院のサイトでユーザー登録が必要。
・ 企業のセキュリティ設定により地形データを取得できないこともある。
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地形データサービスより地形データが取得される。
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7. ⼟質・N値モデリング
「⼟質・N値モデリング」→「決定」
「⼟質・N値モデリング」→「補間」
⼟質・N値のボクセルモデルが作成される。
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8. ⽀持層モデリング
画⾯右側のアイコンから「レイヤ」を選択し、「⼟質・N値3Dモデル.csv」のチェックを外してボクセルモデ
ルを⾮表⽰にしておく。
「⽀持層モデリング」→「パラメータ指定」→「決定」
⽀持層サーフェスが作成される。
・ ⽀持層サーフェスはデフォルトでN値50が5回続く層の上⾯としている。
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9. Octas Drafter より地盤データを抽出
① 3 次元 CAD データ(DXF データ)
「data3d」→「map」→「boring_プロジェクト名」→「xml」
BOR.dxf
② ⽀持層・推定地下⽔⾯の座標データ
「data3d」→「model」→「geo_プロジェクト名」→「grid」
⽀持層上⾯.txt → .csv を作成しておく
推定地下⽔⾯.txt → .csv を作成しておく
③ 地表⾯の座標データ
「data3d」→「model」→「land _プロジェクト名」→「grid」
ボーリングデータ上⾯.txt → .csv を作成しておく※
④ その他のデータ構成についてはOCTAS Drafterのマニュアルを参照ください。
DXFファイル、テキストファイル×3 (ファイル形式の変更の必要あり)の合計4つのファイルを
OCTAS Drafterからコピーする。
※拡張⼦の変更の際は、ただ拡張⼦を変更するのではなく、Excel等でカンマ区切りCSVのファイルに
変換する。
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4. Revit への読込み⽅法
4.1. Revitへの読み込みの前提条件
本⼿順書では、プロジェクト基点を次の位置として解説を進めます。
・ 平⾯(X,Y)の原点は、構造通り⼼の初めの交点
・ ⾼さ⽅向(Z)の原点は1FL
4.2. 敷地境界線・ボーリング位置図(2D)の読み込み
ここでは、敷地境界線とボーリング位置を平⾯図として記した2DデータをRevitに読み込みます。
このデータは、この後読み込む「3次元地盤モデル」が正しい位置・⽅向に配置されたかを確認し、
異なっている場合に調整を⾏うために使⽤します。
1. ボーリング位置図のdwgファイルをRevitに読み込む
※表⽰されない時は、表⽰/グラフィックスの「読み込みカテゴリ」のチェックが付いているかを確
認
2. dwgファイルの敷地と、Revitの敷地を合わせる
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4.3. 地盤モデルの読み込み
地盤の作成では、作成中に作図領域をクリックしないように注意して作業を⾏います。
クリックしてしまうと、その位置に地盤⾯の点データが追加され、正しくない誤った形状になります。
4.3.1. ビュー表⽰の確認
3Dビューを開き、次のモデルカテゴリ項⽬を表⽰に設定する
■ 地盤⾯
■ プロジェクト基準点
■ 測量点
■ 敷地境界線
4.3.2. ⽀持層上⾯モデルの作成
1. ツール「地盤⾯」を選択し、「点ファイルを指定」を選択
※タブ「 マス&外構」→ツール「地盤⾯」
2. OCTAS Drafterで作成した「⽀持層上⾯モデル.csv」ファイルを選択し「開く」
を押す
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※単位はメートルを選択
3. 取り込みが完了したら「レ点」の終了ボタンを押す
※地盤⾯の作成中に作図領域をクリックしないように注意する。
クリックすると地盤⾯の点が作成され、誤った地形データとなってしまいます。
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4.3.3. 地表⾯モデル・推定地下⽔⾯モデルの作成
1. 「⽀持層上⾯モデルの作成」と同様の⼿順で、「ボーリングデータ上⾯.csv」を読
み込む
2. 同様に、「推定地下⽔⾯.csv」を読み込む
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4.4. 柱状図モデルの読み込み
1. タブ「挿⼊」→ツール「CADを読み込む」を選択し、「ボーリング柱状図」のDXFファイルを
次の点に注意して読み込む
● 読み込み単位︓メートル
● 配置︓⾃動基準点合わせ
● 配置先︓1FL
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4.5. 測量点の調整
測量点の座標は、TP=0などの⽔準線の位置に合うように設定します。
本解説では、TPを基準線として測量点の設定を⾏う⽅法を解説します。
1. 測量点が表⽰される断⾯図ビュー(または軸組み図ビュー)を開き、測量点を表⽰する
※表⽰/グラフィックスのカテゴリ「外構」→サブカテゴリ「測量点」
2. 移動ツールを使い、TPの値の値だけ「測量点」を移動
※本解説では、TP=20m
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4.6. 3D地盤モデルの位置合わせ
4.6.1. ビューの確認
3Dビューを開き、下記のデータが配置されていることを確認します。
ボーリング位置図
ボーリング柱状図
ボーリング上⾯
推定地下⽔⾯
⽀持層上⾯
[ボーリング位置図] [ボーリング柱状図]
[ボーリング上⾯]
[推定地下⽔⾯] [⽀持層上⾯]
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4.6.2. 位置合わせ
1. ボーリング柱状図モデルと3次元地盤モデル(ボーリング上⾯・推定地下⽔⾯・
⽀持層上⾯)を⼀緒に選択し、ボーリング位置図のNo.1-Aの位置にボーリン
グ柱状図No.1-Bを合わせます。
2. その後、No.1_A,Bのボーリングの位置を中⼼にしてボーリング柱状図No.2-B
とボーリング位置図のNo.2-Aの位置が合うように回転させます。
No.1_A,B
No.1_B
No.1_A
No.1_A,B
No.2_A
No.2_B
No.1_A,B
No.2_A,B
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4.6.3. 完成
※Revitは最⻑距離の制限があるため、内部基準点より32km(直径20マイル)以上の場合、
⾃動的に中⼼位置に移動するため位置合わせ時には注意が必要です。
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5. TIPS ボーリング交換⽤データ(xml)の有効利⽤ 地盤情報TFの活動を通して、ボーリング交換⽤データ(xml)を構造計算ソフトの「⼟質柱状図」データとし
て有効に利⽤できることがわかりました。基礎・杭・地盤の⼀連計算ソフト「BUS-基礎構造」(開発元︓
株式会社構造システム)は、同製品の「⼟質柱状図」データに必要な項⽬をxmlからピックアップして読み
込む機能を実装することができました。
BUS-基礎構造では、地盤データ(⼟質柱状図)を⼊⼒することにより、液状化判定計算、杭・地盤の
⽀持⼒計算から杭・基礎の応⼒・断⾯計算、沈下量計算、数量計算までを⼀貫して計算することができ
ます。従来、データ⼊⼒は数値などを打ち込んでいましたが、xmlから⾃動で読み込むことによってデータ作
成の⼿間を⼤幅に削減し、⼊⼒の間違いも回避することがでるようになりました。
■読み込むデータの書式
国⼟交通省の「電⼦納品に関する要領・基準」(※)Webページの「地質・⼟質調査成果電⼦納品
要領」に記載されているボーリング交換⽤データ(XML、DTDファイル)から「⼟質柱状図」ダイアログにボ
ーリングデータを読込むことができます。
※電⼦納品に関する要領・基準
国⼟交通省Webページ
http://www.cals-ed.go.jp/cri_point/
以下、簡単にデータ読込機能を紹介いたします。
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■操作⼿順
①BUS-基礎構造の⼊⼒メニューから「⼟質柱状図」ダイアログを開きます。
②「ファイルの呼出」機能を使って「国交省電⼦納品柱状図データ(*.xml)」を選択します。
③ボーリングデータが「⼟質柱状図」ダイアログに読み込まれます。
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■ボーリング交換⽤データの取得内容
ボーリング交換⽤データから取得するデータは、BUS-基礎構造の「⼟質柱状図」 データに保存されます。
⼀例として、DTDバージョン4.0を読み込んだ場合に保存される項⽬は下記の通りです。
(この他に、DTDバージョン3.0と2.1の読み込みにも対応しています。)
ボーリング交換用データのタグ名称 土質柱状図の
入力項目備考
ボーリング名 名称 名称がない場合は調査名で代用します。
調査名 調査件名
調査位置住所 調査位置
調査期間_終了年月日 試験年月日
工学的地質区分名現場土質名_下端深度 深度/層厚 深度入力で固定します。
工学的地質区分名現場土質名_岩相
工学的地質区分名現場土質名_岩石
標準貫入試験_開始深度 深度
標準貫入試験_合計打撃回数
標準貫入試験_合計貫入量
N 値 貫入量を考慮して 30 ㎝あたりのN 値に換算
します。
土質種別 ボーリング交換用データのコード番号により判断します。
ボーリング交換⽤データにより基礎設計における⼟質柱状図の⼊⼒作業の軽減、⼊⼒ミス等の防⽌がさ
れ構造計算が効率化されてきます。しかし、構造計算結果を設計図に反映させる部分はこれから考えて
いかなければなりません。
そこで、ST-Bridge Ver.2により基礎・杭のデータ交換が進むと設計の効率化はさらに進み、今後は構
造計算プログラムとRevitがシームレスにつながるようになるものと思われます。
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6. おわりに 地盤情報TFの今後の活動としては、読み込んだ3次元地盤モデルと基礎モデルの関連性を利⽤した
ソリューションを考えていきたいと考えています。
最後になりましたが、本TFのメンバー並びに本書の執筆者を下記に⽰します。
TFメンバー
⻘⽊ 隆広 株式会社 ⽇⽴建設設計
伊原 俊⼀ 株式会社 構造システム
⼤越 潤 ⼤成建設 株式会社
⼤⽇⽅ 貞夫 株式会社 構造システム
遠塚 明⼦ 新⽇鉄住⾦エンジニアリング 株式会社
⻄⼭ 昭⼀ 応⽤地質 株式会社
⼭本 敦 株式会社 東畑建築事務所
横⼭ 聡 ⼤成建設 株式会社