－13－

３．自販機適正リサイクル処理の検討

１）自販機概要 容器入り自販機の構造を図表３，４，５に標準的な自販機の構造を示す。金銭処理機構、制御

機構、表示機構、保存販売機構の４機構から構成されていて、各機構はそれぞれ相互関係にて作

動する。 図表３は、正面図で街角に置かれてい

る通り缶飲料のサンプル、コイン・紙幣

投入口、電照板、商品取出口がある。 図表４は、正面の扉を開けた図で、紙

幣を管理するビルバリデータ、コインを

管理するコインメックス（メカニズム）、

庫内灯が付いている内扉、全体を制御す

る基板類があり、さらに内部には缶飲料

をストックするサーペンラックがある。

内部下部の奥には、缶を冷やす熱交換器

を有する凝縮器などが配置されている。 図表５は、自販機の縦方向断面図で、

ベンドラックが幾重にも重なり多量の缶

をストック出来る。下部の加熱冷却部には、保温用ヒータと冷却用圧縮機があり圧縮機内の冷媒

フロンを回収する。 商品のサイズによって構成が異なり、１００～５００ｍℓの小容量にはサーペン（サーペンタ

イン）ラックと、５００ｍℓ以上ではコンベヤ方式、チェーンエレベータ方式の構成が用途に よって組み合わされている。 缶やビンはベンドラック（商品収容棚）に収納され、冷却または加温される。

（文献：日本自動販売機工業会編 自販機技術総覧）

図表 3

図表 4 本体各部の構造と名称 図表 5

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２）自販機処理のガイドライン 廃棄物となる自販機は、通常破砕処理され、金属類はリサイクルしその他はシュレッダー

ダストとして安定型産業廃棄物最終処分場にて埋め立てられていた。 さらに、「シュレッダー処理される自動車及び電気機械器具の事前選別ガイドライン」（平

成 15 年）が策定され、日本自販機工業会からは「自販機の適正廃棄マニュアル」（平成 13年）が発行されている。

廃自販機処理に係る留意事項としていくつか紹介する。 排出事業者は、自販機産業廃棄物管理票（マニュフェスト）を交付し収集運搬及び中間処

理や最終処分を行わなければならない。受託者は、産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処

分業の許可を受け、それぞれ排出者と契約を結び適正な処理を行う。 ①「事前選別」

蛍光灯、ニッカド電池などの事前選別は、排出事業者である中身商品メーカー等が自ら実

施するか産業廃棄物処理業者の第３者に委託する。 事前選別は、一般的に廃棄物処理に該当しないとされているので、産業廃棄物処理の許可

を受けていない自販機メーカーや設置業者に委託しても差し支えない。 ②「フロン回収」

フロン回収は、フロン回収の許可を受けていることを許可証のコピーなどにより確認して、

許可業者に委託する。 ③「事前選別・フロン回収処理の確認」

排出事業者は、事前選別、フロン回収処理を第三者に委託した場合、受託した業者に対し

て処理が適正に行われたことを明記したマニフェストや破壊証明の写しの送付しなければ

ならない。 ④廃棄物処理業者の選定

＜収集運搬業者＞ 委託する業者が産業廃棄物の収集運搬業の許可を受けていることを、許可証のコピーなど

により確認する。収集する場所（中身商品メーカーの物流拠点など）と運搬する場所（中間

処理業者の施設）の両方での許可を受けていなければならない。ただし、通過する都道府県

等における許可は必要ない。 ＜中間処理業者＞

委託する業者が、産業廃棄物中間処理の許可を受けていることを、許可証のコピーなどに

より確認する。また、中間処理後のシュレッターダストなどの処理方法、委託先などについ

ても確認することが必要である。許可証のコピーの提示、契約書の締結、マニフェストの利

用を拒む業者には委託出来ない。 ＜マニフェストの管理＞

排出事業者は、送付したＢ２・Ｄ・Ｅ票と手元に残したＡ票を照合し、委託した処理が適

正に行われたことを確認する。従って、規定の期間内にマニフェストが返送されない場合に

は，委託した業者に理由をただすとともに、速やかに処理するように求めなければならない。

－15－

３）自販機リサイクル処理事前テスト

自販機工業会では、メーカーとして自販機（平均重量３４０ｋｇ）の分解処理をモータ容

量１，０００ＫＷクラスの破砕機によるシュレッダー処理を想定し自販機の設計を行ってい

る。

一方、廃家電処理プラントの破砕機は冷蔵庫（平均重量６０ｋｇ）処理を目的にしている

ため、その多くが２００ＫＷ～４４０ＫＷと小型である。

当社の破砕機は、冷蔵庫用も洗濯機用も同じタイプでサイズも等しい竪型衝撃破砕機であ

るが、前者のモータ容量は２００ＫＷで後者は１５０ＫＷとなっている。 従って、投入可能なサイズ（高さ１０５０×幅９５０×長さ１９５０ｍｍ）も同じである。 本事業実施に先立ち、当プラントでの分解処理手順検討・問題点の抽出・設備改善対策の

検討を目的に缶式・カップ式各１台の事前分解処理実験を行った。 「投入物の仕分け」 日本自販機工業会の「自販機の適正廃棄マニュアル」に従い、当社の２台の破砕機の特性

を考慮し決定した投入物の仕分を以下に示す。 竪型破砕機 洗濯機側 冷蔵庫側

特徴の差 破砕のみ ウレタン・断熱材フロン回収

可能 破砕投入物 ウレタンを含まない物

（外扉、サーペンラック、

内カバー、電照板など） 別途破砕 基板、コインメック、ビル

バリ、基板、制御機器

ウレタンボード 内扉 発泡スチロール 断熱材充填筐体 筐体（切断品、未切断） 外扉

投入しない物 堅牢な鉄部材 自販機アジャスターボルト、補強鍵、ショックアブソー

バー、 環境影響物質

蛍光灯、電池、グラスウール 特定有価回収物

電線類、トランス、コンデンサー 機械選別不能物――手選別済み

ステンレス、ガラス 図表 6 投入物の仕分け

次に実施提案計画にて予定した大型油圧切断機使用を想定し、事前テストとして油圧クラン

プ付きフォークリフトにて圧縮・切断テストを行い、筐体圧縮後破砕機に投入したが破砕処理

に失敗したのでその例を示す。 （１）クランプの爪を利用して圧縮・変形作業が出来ることは確認できた。しかし、一定の

サイズや形状にすることが出来ず対角が投入可能サイズより大きい部分が有り、投入シュート

に圧縮した筐体が引っ掛かり閉塞することがあることが判明した。

－16－

（２）閉塞物の除去は、破砕機内に潜って除去作業すると宙ずりの自販機が落下する可能性

が有り、非常に危険な作業となる。一気に全部落下させると破砕機が起動不能となる。 なお、ロータに破砕片が絡みつき回転出来なくなった破砕機の運転不能時の復旧作業を写真

２１に示す。

写真 ２１ 破砕閉塞復旧状況

4）当社廃家電プラントで本事業実行に必要な追加作業・設備・改造工事

前述の事前テストの結果、当社の設備について検討を行い以下の設備追加・改造を行を行うこ

とで自販機のリサイクル処理が可能となった。

＜開錠作業＞ 自販機の「鍵」は、回収した時点で開錠されていないものがある。もともと防犯上堅牢な設

計となっているため鍵の取り壊し作業は困難を極め、溶断・機械的破壊作業等にて解扉を行わ

なくてはならない。回収の際必ず開錠の徹底が必要である。スムーズに開くものもあるが、鍵

が引かかっている場合、蝶番や鍵をチップソーで切った。 また、回収時・積み下ろし時にハンドリングによっては自販機筐体の変形のため扉が開かな

いことがあるため隙間を作って、新規に購入した油圧式開削機（ホルマトロ製）で扉を開ける

作業なども行った（写真２２）。

写真 ２２ ホルマトロによる前面扉の開放作業

－17－

＜破砕機投入リフター改造＞ 当社の冷蔵庫破砕機の処理能力の制限から、大型の自販機（約５００ｋｇ）はサイズ・

重量の分割・分解を行いその能力に合わせなければならない。 冷蔵庫投入リフターのフレームやカバーに、幅が広い自販機がぶつかるため、間口の高

さのみを高く（有効サイズは高さ１０５０→１３００ｍｍ）した。（写真２３）

写真 ２３ 冷蔵庫投入リフター

また、切断又は分断した自販機の筐体に凸凹・変形が著しい場合、既設ローラコンベヤで

は搬送不能で、特にリフター内では保護柵があるため手での補助が出来ない。 そこで、大型の自販機や変形してコンベヤに乗せることが出来ない筐体を切断（後述）後

リフト投入することとした。（写真２４）

写真 ２４ 自動販売機搬送状況

＜シュート監視カメラ改良＞ 事前分解処理テストにより洗濯機破砕機のシュート、及び冷蔵庫破砕機投入部における投

入物の状態を監視する必要性が判明した。洗濯機竪型破砕機のカメラは、本来ロータ中心に

おける残留破砕物観察のためであって、シュート内での投入・破砕物の様子を見る目的では

なかった。

既設１０５０ｍｍ

改造１３００ｍｍ

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写真 ２５ 洗濯機破砕シュート部 写真 ２６ 洗濯機破砕機内部観察

自販機破砕状況

前面扉が引っ掛かったシュート部

写真 ２７ テレビモニターシステム

カメラを洗濯機破砕機の上ではなく、シュート（写真２５）を中心に破砕機ローターも見

えるアングルに変更した。これにより、滑り落ちる投入・破砕物も観察することが可能とな

った（写真２６）。 冷蔵庫破砕機では、ズームレンズでロータのみ大きく見える状態であったが、標準カメラ

に交換してズームアウトし冷蔵庫投入コンベヤの先端面と破砕機内の状態が観察できるよ

うにした。 その結果、破砕機内の閉塞と投入コンベヤのラビリンスのゴムカーテンによる渋滞も観察

出来るようになった（写真２７）。

＜筐体切断＞ 自販機をスムーズに当社の破砕機に投入するには、サイズや変形の問題から分割は免れな

いと判断し分割方法を検討した。 ・解体工事用重機による分断・解体

本事業提案時想定した断熱材フロンを回収出来る冷蔵庫破砕機は、破砕物搬送がロール

コンベヤなので、解体工事用重機切断での場合蟹爪のような刃先で自販機のボディーを切り

刻むと変形が著しいものは搬送できない場合があることが判明した。また、解砕・切断作業

範囲が大きく、飛散ウレタン屑の回収問題および時間帯の制約があり、多くの解体業者が使

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用している解体工事用重機の使用は当社では断念した。 ・切断機による切断 検討の結果、自販機筐体の切断が可能な切込み深さ５０ｍｍ以上の小型切断機で形状に沿

って、手で分割する簡便な方法を採用するにこととした。 手持ち式の小型切断機は、電源さえ確保すれば自販機が少々変形していても手で柔軟に形

に沿って操作し切断することが可能で、ウレタンや切り屑の飛散も少ない。また、必要以上

の力で自販機を変形させたり、周辺に破砕片が飛び散る量も少ない。また、導入コストが低

く消耗品も安価で手軽に交換できる経済的メリットもある。 使用した工具を下記に示す。

品 名 メーカー 型 式 最大切込み深さ チップソー丸カッター 新ダイワ Ｂ１８Ｎ－Ｆ ６０ｍｍ チップソーカッター 日立工機 ＣＤ－７ ６０ｍｍ

切断作業での注意点は、切り屑が円周方向に飛び散るため必ず本体の防塵保護カバーを適

正に取り付け、保護具を着用する、回転中切断刃には決して手を近づけない、チップソー交

換時は必ず電源コードを抜くなどある。 また、切断後冷蔵庫搬送コンベヤに乗せるものは、幅を９５０ｍｍ以下にしてコンベヤ上

での引っ掛かりを防いだ。 以下に、自販機の切断状況を写真２８～３３に示す。

写真 ２８ 側面切断 写真 ２９ 前面扉の切断

写真 ３０変形側面切断 写真 ３１ ウレタンボード切断

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写真 ３２ 切断済みウレタン

写真 ３３ 対面の側面切断

＜変形の矯正＞ クランプ式フォークリフトのクランプ爪を利用して、変形した側面を平らに矯正することで

ロールコンベヤでの搬送性を向上することが出来た。この方法は、特に変形した小型自販機に

有効で形を整形するだけで切断することなく冷蔵庫破砕機に投入出来る。

５）自販機分解・部品回収プロセス

事前テストや既存設備改造結果をもとに、缶式・カップ式自販機についてそれぞれ手分解・

破砕処理の手順を考察した。

それぞれの分解処理工程の詳細は別紙分解手順写真集－１，２に示す。

以下に概略を示す。 ①冷媒種類の再確認

分解作業を開始前に再度プレートの記入と手書きが合っているか再確認する。 ②事前選別 前面扉を開け、内扉と制御基板やビルバリなどユニット化されている内部構成機器を外す。

＜使用分解用工具＞ 手分解工具として以下に示すものを用意した。 ａ．電動ドライバー（プラスビット長さ１５０ｍｍ、３００ｍｍなど） ｂ．電動トルクレンチ（Ｍ１０、Ｍ１２、Ｍ１３、Ｍ１７、Ｍ１９など） ｃ．バール、スクレーパ ｄ．金切りハサミ・普通ペンチ・ラジオペンチ ｅ．プライヤー・手回しドライバー（プラス、マイナス） ｆ．モンキースパナ（大・小）、ラチェットレンチ（呼称８～２２） ｇ．めがねレンチ（１７×１９、１０×１３、１２×１４、１９×２２） ｈ．片手ハンマー、中ハンマー ｉ．電動丸鋸、ベビーサンダー ｊ．油圧開砕機（ホルマトロ製）

－21－

「事前選別除去品」 以下の写真に示すものは、破砕する前に別途取り除き処理するように規定した。

水銀を含む乾電池及び蛍光灯は個別回収し、適正処理業者に処理を依頼する。 ビルバリ及びコインメックスは個別回収し、基板と共に破砕を行い鉄や非鉄を物理選別した

後、非鉄精錬処理する。 冷媒フロンはフロン回収機で回収し、フロン・オイル分離後適正処理業者に処理を依頼する。

写真 ３４ 蛍光灯

写真 ３５ 電池

写真 ３６ コインメックス

写真 ３７ ビルバリ

写真 ３８ フロン及びオイル

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③破砕機投入作業 事前選別での電池や蛍光灯を取り除き、冷媒フロンの回収とコンプレッサー除去を行

い外扉や内扉など分離して洗濯機破砕機と冷蔵庫破砕機に投入する。

写真 ３９ 手分解除去品

写真 ４０ 保管コンテナ

写真 ４１ 保管コンテナ

写真 ４２ 内部筐体 破砕機投入は、筐体を投入可能な形状にして、鉄板や樹脂を中心とする投入物の品目や形

状を確認しながら投入を行なう。以下に破砕機投入作業を写真３９～４２に示す。 洗濯機破砕機には、基本的に分解物を洗濯機投入コンベヤへ手で投入する。 サーペンラックや前扉は、小物と組合せながら投入し過電流による投入不可を出来るだけ

防いだ。 破砕は、日程を決め自販機のみ纏めて行なうため、インナーコンテナに入れて保管する。

有効サイズは高さ１，３００ｍｍとし、リフト投入前に電動カッターにて切断後投入する。

－23－

写真 ４３ 内部筐体の圧縮

写真 ４４ 洗濯機破砕機投入コンベア

写真 ４５ 内部筐体への小物の収容 写真 ４６ 前面ドア枠

事前処理テストの結果、冷蔵庫破砕機での破砕はウレタンを含む筐体や内扉、ウレタンボ

ード、ウォーターバスなどをメインにする。切断していない筐体は約８０ｋｇと重いためフ

ォークリフトでの投入作業とする。また、冷蔵庫前処理コンベヤの制御は、通常の冷蔵庫に

合わせてあるため光センサーが感知しなければ自動運転とならない。このため投入担当者を

自販機の投入部２名・合流コンベヤ１名・リフター上部１名・リフター下操作部１名配置し

て自販機の傾きや引っ掛かりに合わせてサポートしながら投入作業を継続する体制とする。 ④ 破砕回収物 廃自販機破砕後の回収物は、鉄、非鉄、樹脂、ウレタンとダスト類になる。 その代表的な写真を示す。

写真 ４７ 鉄 写真 ４８ 非鉄１

写真 ４９ 非鉄２ 写真 ５０ 樹脂

ウレタンは圧縮したＲＤＦとなるが、分析の結果残存フロン濃度も冷蔵庫とほぼ同じで、

それ以外の破砕片もそれぞれ見掛けは冷蔵庫の破砕片と何ら変わったところは無かった。 ⑤ 断熱材フロン回収量測定

断熱材フロン回収機は、活性炭４棟にそれぞれ７５０ｋｇずつの活性炭を充填してあり

－24－

約９０分サイクルで運転している。図表２を基にそのシーケンスをチャート１に示す。

チャート１．断熱材フロン回収機シーケンスチャート 断熱材フロンが活性炭に吸着される量は自販機１台当り０．３ｋｇ程度が想定され、

１０台回収してもやっと３kg 位しかならない。 このため仮に「組合２」の時、筐体を数台破砕試験した分を脱着工程で断熱材フロンを

回収しても、既に吸着した冷蔵庫の断熱剤フロンと区別することが出来ずその量を把握する

ことが難しい。 このため試験前は、長時間の連続投入ではなく少量の自販機を破砕処理しても断熱材フロ

ン回収量を把握することは、冷蔵庫操業後では困難であると考えていた。 しかし回収した断熱材フロンの量ではなく、破砕風中の断熱材フロンガス濃度を連続計測

し、積分したガス量に温度補正した蒸気密度を掛けることにより、破砕時に発生している断

熱材フロンの回収量が積算可能と推定した。 実際に回収したフロンの重量やモル分率による試算と比較することによって、自販機の断

熱材フロン回収量がより正確に把握できることを見出した。 ＜フロン計測使用機器＞ ａ．フロン濃度測定器 メーカー名：理研計器株式会社

製品名：ポータブル赤外線フロンガス測定器 型 式：ＲＩ－４１３Ａ 測定ガス及び測定範囲 Ｒ１１ ０～４９７５ｐｐｍ Ｒ１２ ０～４９７５ｐｐｍ 等

ｂ．記録計 パソコン入力ソフト

＜自販機断熱フロン回収量計測の検証＞ 図表７は断熱材フロンＲ１１測定中の気流の条件と断熱材フロン濃度測定結果である。今

回の測定では、回収断熱材フロンの回帰計算推計値は３．０３ｋｇでモル分率による計算で

は、２．８ｋｇとなった。 自動販売機破砕翌日の実回収量は、約５０ｋｇであった。冷蔵庫破砕よるフロン回収が殆

どなので相関は得られない。リアルタイムの記録を利用しなければ少量のフロン回収量を把

握することは出来ない。

運転順序 組合１ 組合２ 組合３ 組合４ 組合１ 停止前 時間 0 90 180 270 360 420 活性炭棟 1 黄 活性炭棟 2 緑 活性炭棟 3 赤 活性炭棟 4 青 活性炭棟 1 黄 活性炭棟 2 緑

－25－

試験として断熱材フロン回収量を把握するため出来るだけ既設の測定器や表計算ソフト

「エクセル」などを利用して計算した。将来、本格的に破砕ガス中のフロン濃度を把握し回

収量を算出するための基礎計算として今回は試算することにした。

（グラフ） 断熱材フロン濃度 ０３/１１/１８　１７：４８～１９：０２　自動販売機破砕時

温度 22 ℃ 蒸気密度 5.511 kg/m3風量 55 Ｎm3／min

-200

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

18:00

図表 7 断熱フロンガス濃度記録

当初、理想気体のモル計算で流体の体積から濃度分の重量を計算しようとしたが、北海

道の冬は、気温が低くＲ１１の沸点である２３．４℃以下の破砕ガスであるため、理想気

体としてのモル計算は参考値として計算することにした。 そこで、旭硝子製フロンＲ１１の技術資料より温度と蒸気密度の関係から５次元回帰

分析にて関数を求めた結果次式を得た。 蒸気密度ρ ＝－297.5186+5.16235×t－0.03591×t2+0.00013×t3－2.339e(－7)×t4+1.874e(－10)×t5 以下に各温度における次元回帰分析の値を示す。

ｐｐｍ

５ 次 回 帰 分 析

回 帰 統 計

重 相 関 R 0 .9 9 99 9 98 63

重 決 定 R 2 0 .9 9 99 9 97 25

補 正 R 2 0 .9 9 99 9 97 04

標 準 誤 差 0 .0 0 63 6 54 99観 測 数 70

分 散 分 析 表

自 由 度 変 動 分 散 観 測 さ れ た 分 散 比 有 意 F

回 帰 5 9 44 3 .6 9 7 91 4 18 88 .7 3 95 8 3 4 6 61 30 1 2 .7 1 1 .5 7 58 E- 20 8

残 差 64 0 .0 0 2 5 93 25 3 4 .0 5 1 9 6E- 0 5合 計 69 9 44 3 .7 0 0 50 7

係 数 標 準 誤 差 t P -値 下 限 9 5% 上 限 95 % 下 限 9 5 .0 % 上 限 95 .0 %

切 片 -2 9 7 .5 1 8 64 43 2 8 .3 0 8 52 26 8 -1 0 .5 0 9 86 1 2 1 .4 3 3 45 E- 15 - 3 54 .0 7 1 3 68 4 - 24 0 .9 6 5 92 0 1 -3 54 .0 7 13 6 84 - 24 0 .9 6 5 9 20 1

絶 対 温 度 5 .1 6 23 5 73 25 0 .4 7 9 06 78 9 10 .7 7 58 36 6 4 5 .1 1 4 54 E- 16 4 .2 0 5 31 0 05 9 6 .1 1 94 0 45 9 2 4 .2 0 5 3 10 0 59 6 .1 1 9 40 4 59 2

te m p２ -0 .0 3 59 0 97 36 0 .0 0 3 2 24 67 3 - 11 .1 3 59 31 3 9 1 .2 8 3 E- 16 - 0 .0 4 2 35 1 75 4 - 0 .0 2 94 6 77 1 7 -0 .0 4 2 3 51 7 54 - 0 .0 2 9 46 7 71 7

te m p3 0 .0 0 01 2 68 98 1 .0 7 92 3 E-0 5 11 .7 5 81 66 7 2 1 .2 1 8 39 E- 17 0 .0 0 0 10 5 33 8 0 .0 0 01 4 84 5 8 0 .0 0 0 1 05 3 38 0 .0 0 0 14 8 45 8

te m p4 - 2 .3 3 8 83 E- 07 1 .7 9 60 5 E-0 8 - 13 .0 2 21 06 8 2 1 .1 8 1 23 E- 19 -2 .6 9 76 3 E-0 7 - 1 .9 8 0 0 3E- 0 7 - 2 .6 9 7 63 E- 07 -1 .9 8 00 3E-0 7te m p5 1 .8 7 4 03 E- 10 1 .1 8 91 1 E-1 1 15 .7 5 99 05 8 7 1 .0 3 1 32 E- 23 1 .6 3 64 8E-1 0 2 .1 1 1 5 8E- 1 0 1 .6 3 6 48 E- 10 2 .1 1 15 8E-1 0

－26－

温度 絶対温度 temp＾2 temp＾3 temp＾4 temp＾5 蒸気密度 １次回帰分析 ２次回帰分析 ３次回帰分析 ４次回帰分析 ５次回帰分析-40 233 54289 12649337 2947295521 6.8672E+11 0.3623 -6.8589 2.2031 0.1528 0.3856 0.3535-38 235 55225 12977875 3049800625 7.16703E+11 0.4060 -6.3251 1.9488 0.2551 0.4204 0.4023-36 237 56169 13312053 3154956561 7.47725E+11 0.4543 -5.7914 1.7177 0.3543 0.4611 0.4541-34 239 57121 13651919 3262808641 7.79811E+11 0.5071 -5.2577 1.5098 0.4513 0.5079 0.5094-32 241 58081 13997521 3373402561 8.1299E+11 0.5647 -4.7240 1.3250 0.5469 0.5609 0.5687-30 243 59049 14348907 3486784401 8.47289E+11 0.6276 -4.1902 1.1635 0.6417 0.6203 0.6325-28 245 60025 14706125 3603000625 8.82735E+11 0.6964 -3.6565 1.0251 0.7366 0.6863 0.7014-26 247 61009 15069223 3722098081 9.19358E+11 0.7709 -3.1228 0.9099 0.8324 0.7593 0.7757-24 249 62001 15438249 3844124001 9.57187E+11 0.8522 -2.5891 0.8178 0.9298 0.8394 0.8561-22 251 63001 15813251 3969126001 9.96251E+11 0.9398 -2.0553 0.7490 1.0297 0.9268 0.9429-20 253 64009 16194277 4097152081 1.03658E+12 1.0350 -1.5216 0.7033 1.1328 1.0220 1.0366-18 255 65025 16581375 4228250625 1.0782E+12 1.1360 -0.9879 0.6808 1.2399 1.1252 1.1378-16 257 66049 16974593 4362470401 1.12115E+12 1.2470 -0.4542 0.6815 1.3518 1.2368 1.2470-14 259 67081 17373979 4499860561 1.16546E+12 1.3650 0.0795 0.7053 1.4693 1.3570 1.3645-12 261 68121 17779581 4640470641 1.21116E+12 1.4930 0.6133 0.7523 1.5931 1.4863 1.4910-10 263 69169 18191447 4784350561 1.25828E+12 1.6290 1.1470 0.8225 1.7240 1.6250 1.6269-8 265 70225 18609625 4931550625 1.30686E+12 1.7760 1.6807 0.9159 1.8628 1.7736 1.7727-6 267 71289 19034163 5082121521 1.35693E+12 1.9320 2.2144 1.0325 2.0104 1.9325 1.9290-4 269 72361 19465109 5236114321 1.40851E+12 2.1010 2.7482 1.1722 2.1674 2.1021 2.0961-2 271 73441 19902511 5393580481 1.46166E+12 2.2790 3.2819 1.3351 2.3347 2.2829 2.27480 273 74529 20346417 5554571841 1.5164E+12 2.4690 3.8156 1.5212 2.5130 2.4753 2.46542 275 75625 20796875 5719140625 1.57276E+12 2.6730 4.3493 1.7304 2.7032 2.6799 2.66844 277 76729 21253933 5887339441 1.63079E+12 2.8880 4.8831 1.9629 2.9060 2.8972 2.88466 279 77841 21717639 6059221281 1.69052E+12 3.1180 5.4168 2.2185 3.1221 3.1277 3.11438 281 78961 22188041 6234839521 1.75199E+12 3.3600 5.9505 2.4972 3.3525 3.3720 3.3582

10 283 80089 22665187 6414247921 1.81523E+12 3.6200 6.4842 2.7992 3.5978 3.6306 3.616812 285 81225 23149125 6597500625 1.88029E+12 3.8940 7.0180 3.1243 3.8588 3.9042 3.890814 287 82369 23639903 6784652161 1.9472E+12 4.1800 7.5517 3.4727 4.1364 4.1933 4.180616 289 83521 24137569 6975757441 2.01599E+12 4.4860 8.0854 3.8442 4.4312 4.4986 4.486918 291 84681 24642171 7170871761 2.08672E+12 4.8060 8.6191 4.2388 4.7442 4.8208 4.810420 293 85849 25153757 7370050801 2.15942E+12 5.1510 9.1529 4.6567 5.0760 5.1605 5.151622 295 87025 25672375 7573350625 2.23414E+12 5.5110 9.6866 5.0977 5.4275 5.5183 5.511224 297 88209 26198073 7780827681 2.31091E+12 5.8890 10.2203 5.5619 5.7994 5.8951 5.889926 299 89401 26730899 7992538801 2.38977E+12 6.2900 10.7540 6.0493 6.1926 6.2915 6.288428 301 90601 27270901 8208541201 2.47077E+12 6.7020 11.2878 6.5598 6.6077 6.7083 6.707330 303 91809 27818127 8428892481 2.55395E+12 7.1380 11.8215 7.0935 7.0456 7.1463 7.147332 305 93025 28372625 8653650625 2.63936E+12 7.6010 12.3552 7.6504 7.5071 7.6061 7.609334 307 94249 28934443 8882874001 2.72704E+12 8.0880 12.8889 8.2305 7.9930 8.0887 8.093936 309 95481 29503629 9116621361 2.81704E+12 8.5950 13.4227 8.8338 8.5039 8.5948 8.601938 311 96721 30080231 9354951841 2.90939E+12 9.1330 13.9564 9.4602 9.0408 9.1253 9.134240 313 97969 30664297 9597924961 3.00415E+12 9.6880 14.4901 10.1098 9.6044 9.6811 9.691542 315 99225 31255875 9845600625 3.10136E+12 10.2700 15.0238 10.7826 10.1955 10.2629 10.274644 317 100489 31855013 10098039121 3.20108E+12 10.8900 15.5576 11.4785 10.8148 10.8718 10.884546 319 101761 32461759 10355301121 3.30334E+12 11.5200 16.0913 12.1977 11.4632 11.5086 11.522048 321 103041 33076161 10617447681 3.4082E+12 12.2000 16.6250 12.9400 12.1414 12.1743 12.188150 323 104329 33698267 10884540241 3.51571E+12 12.8800 17.1587 13.7055 12.8503 12.8698 12.883552 325 105625 34328125 11156640625 3.62591E+12 13.6000 17.6925 14.4941 13.5905 13.5961 13.609454 327 106929 34965783 11433811041 3.73886E+12 14.3600 18.2262 15.3060 14.3629 14.3541 14.366756 329 108241 35611289 11716114081 3.8546E+12 15.1600 18.7599 16.1410 15.1682 15.1450 15.156458 331 109561 36264691 12003612721 3.9732E+12 15.9800 19.2936 16.9992 16.0073 15.9696 15.979660 333 110889 36926037 12296370321 4.09469E+12 16.8400 19.8274 17.8806 16.8809 16.8291 16.837362 335 112225 37595375 12594450625 4.21914E+12 17.7400 20.3611 18.7851 17.7899 17.7246 17.730564 337 113569 38272753 12897917761 4.3466E+12 18.6700 20.8948 19.7128 18.7349 18.6570 18.660666 339 114921 38958219 13206836241 4.47712E+12 19.6400 21.4285 20.6637 19.7168 19.6276 19.628568 341 116281 39651821 13521270961 4.61075E+12 20.6500 21.9623 21.6378 20.7363 20.6374 20.635570 343 117649 40353607 13841287201 4.74756E+12 21.7000 22.4960 22.6350 21.7943 21.6876 21.682872 345 119025 41063625 14166950625 4.8876E+12 22.7700 23.0297 23.6555 22.8915 22.7793 22.771774 347 120409 41781923 14498327281 5.03092E+12 23.9000 23.5634 24.6991 24.0287 23.9137 23.903576 349 121801 42508549 14835483601 5.17758E+12 25.0700 24.0972 25.7659 25.2067 25.0920 25.079478 351 123201 43243551 15178486401 5.32765E+12 26.3000 24.6309 26.8558 26.4263 26.3155 26.300980 353 124609 43986977 15527402881 5.48117E+12 27.5700 25.1646 27.9690 27.6882 27.5853 27.569382 355 126025 44738875 15882300625 5.63822E+12 28.8800 25.6983 29.1053 28.9933 28.9028 28.886184 357 127449 45499293 16243247601 5.79884E+12 30.2500 26.2321 30.2647 30.3422 30.2691 30.252786 359 128881 46268279 16610312161 5.9631E+12 31.6600 26.7658 31.4474 31.7359 31.6856 31.670688 361 130321 47045881 16983563041 6.13107E+12 33.1300 27.2995 32.6532 33.1750 33.1536 33.141490 363 131769 47832147 17363069361 6.30279E+12 34.6600 27.8332 33.8823 34.6605 34.6745 34.666692 365 133225 48627125 17748900625 6.47835E+12 36.2400 28.3670 35.1345 36.1929 36.2495 36.248094 367 134689 49430863 18141126721 6.65779E+12 37.8900 28.9007 36.4098 37.7732 37.8800 37.887196 369 136161 50243409 18539817921 6.84119E+12 39.5900 29.4344 37.7084 39.4021 39.5675 39.585698 371 137641 51064811 18945044881 7.02861E+12 41.3600 29.9681 39.0301 41.0804 41.3132 41.3453

－27－

蒸気密度と温度の関係

-10.0000

0.0000

10.0000

20.0000

30.0000

40.0000

50.0000

-60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 120

温 度

蒸気

密度

旭硝子資料

５次回帰分析

３次回帰分析

１次回帰分析

5次解析

蒸気密度=-297.5186+5.16235*t-0.03591*t2+0.00013*t3-2.339e(-7)*t4+1.874e(-10)*t5

図表 8 フロンガスの蒸気密度と温度の関係 この密度関数を温度と連動させて単位時間当たりの回収フロンガス量を積分して、運転中の

フロンＲ１１回収量を求める。 フロン濃度計とデータロガーにて、回収フロンガス量の計測・記録を行い回帰計算した結果、

５次元にて蒸気密度とほぼ合致した。

先の知見により、

冷蔵庫破砕中のフロ

ンガス濃度と破砕ガ

スの温度を連続記録

し積算した計算値と、

実際のフロン回収量

を比較した結果、左グ

ラフに示すとおり相

関関係を得ることが

出来たので自販機破

砕におけるフロン回

収量の検証に活用す

ることとした。

図表 9 断熱材フロン回収量の実測値と計算値の比較

実回収量と計算値

0

20

40

60

80

100

120

140

160

2004/1/8

2004/1/10

2004/1/12

2004/1/14

2004/1/16

2004/1/18

2004/1/20

2004/1/22

2004/1/24

2004/1/26

2004/1/28

2004/1/30

2004/2/1

2004/2/3

2004/2/5

2004/2/7

作業日

回収

量(k

g)

回帰計算回収量

ﾓﾙ計算回収量

実回収量