4. sdgsに関する国内外の取組 み状況と課題...2017/05/31 · mdgs...
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4. SDGSに関する国内外の取組み状況と課題
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各国政府の取組①:ドイツ
• 持続可能な開発の21の分野で数値目標と達成年を設定。
• 政府の検討委員会は全ての大臣で構成され、NSSに関する重要な決定をする。
• 持続可能な開発のためのドイツ協議会は、ビジネス、労働組合、メディア、教会、環境NGOなどから首相に任命された15名の専門家からなり、NSS実施のための提言をする。
• SCP、循環型経済、GHG排出ゼロの経済成長を政府として目指す。
メルケル首相のリーダーシップの下、全ての省庁が実施に参加。今年の10月までに国家持続可能性戦略(National Sustainability Strategy: NSS)にSDGsを反映させる予定。
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各国政府の取組②:インドネシア
<SDGs実施の準備状況>• 国家計画庁(National Planning Agency)がSDGs実施の調整機関。国家SDGs調
整チームを設置、サポートするための国家SDGs事務局も設置予定。
• 中期開発計画2015-2019にSDGsを反映。SCPと持続可能な都市を重要視。
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<MDGsの実施に積極的>
トップダウンの施策。2010年に大統領府、計画省に
MDGsオフィスを設置し、主流化(予算確保、計画作成等)を図る。
34全ての州でMDGs行動計画と報告書を作成。
毎年大統領によりMDGs賞がMDGsの達成において最も躍進した地区に授与。
強いトップダウンのリーダーシップの下、明確な実施主体を設置し、国家計画や予算にSDGs要素の主流化を図っている。
東ヌサ・トゥンガラ州政府の衛生関連の取組みを
表彰している様子(2014年3月)
各国政府の取組③:日本
• SDGs推進本部の設置、円卓会議の開催
• SDGs実施指針の策定(2016年12月)
• 2017年~:取組の推進
国の施策(各省庁)との紐付け、実施の強化
各主体(国、自治体、企業など)の実施状況の把握をするためのプラットフォームの設置を検討
円卓会議の継続開催
国連への報告(HLPFなど)
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内閣にSDGs推進本部を設置、SDGs実施指針を策定し、今後は国内での取組の推進を図り、進捗状況をレビューしていく予定。
SDGSと企業の動き
「SDGsは持続可能な開発の達成に向けたビジョンと
ロードマップである。コアビジネスなしに実現しない。」
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by ユニリーバCEO、Paul Polman氏
「人間の顔をしたグローバル市場を」
by 前国連事務総長コフィ・アナン氏
SDGコンパス(2015年9月)
SDGsを、企業戦略、ゴール、活動などを立案し、運用し、周知し、報告する上で、それら全体を包括するフレームワークとして利用
市場拡大、雇用改善の好機に:
将来のビジネスチャンスの見極め
企業の持続性に関わる価値の増強
利害関係者との関係の強化、新たな政策展開との同調
社会と市場の安定化
共通語および共有される目的の活用
意欲度の高い目標設定が重要
ベースラインを基準にした予測達成度を大幅に上回る目標や達成させる道筋もはっきりしない目標を設定することで、イノベーションや創作性を促進、宣伝効果も生む
「アウトサイド・イン」のアプローチ:「科学に基づく」目標設定
気候変動分野で支持を集めている:Science Based Targets Initiative, Future-Fit Benchmarks etc.
SDGコンパス:各企業の事業にSDGsがもたらす影響を解説、持続可能性を企業の戦略の中心に据えるためのツールと知識を提供
出典:http://sdgcompass.org/
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企業がSDGsに取組むための5つのステップ
優先課題の特定:バリューチェーンをマッピングし、影響領域を特定する
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意欲的な目標の設定:アウトサイド・イン・アプローチ
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海外企業の動向
企業がSDGsを達成することで、2030年までに少なくとも12兆ドルの経済価値、
最大3億8000万人の雇用創出の可能性(食料と農業、都市、エネルギーと資材、
健康と福祉の4分野)
(2017年1月のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)にてBusiness and Sustainable Development Commissionが発表した調査レポー
ト『Better Business Better World』より。2017年4月1日にWBCSDが続編となるCEO Guideを発表)
SDGsに取組む用意がある(71%)、自社ビジネスがSDGsに与える影響を測定する
ツールを有する(13%) 、5年以内にSDGsを事業戦略に組み込む予定(41%)
(2016年に世界中の986社を対象に実施された、プライス・ウォーターハウス・クーパース(PwC)調査レポート『ビジネスと持続
可能な開発目標(SDGs):SDGs実現に向けて企業に何が求められているのか』より)
調査対象企業のCEOのうち、SDGsに精通(32%)、対応を検討中(23%)、経営層
の認識(32%)、 中間管理職の自社SDGs目標達成計画の認識(5%)
(世界の5,567人の企業経営陣を対象に実施した国連グローバル・コンパクト(UNGC)調査レポート『Global Opportunity Report2016』より)
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日本企業のSDGS取組み実態調査レポート(GCNJ/IGES共同調査、2017年4月)
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「動き出したSDGsとビジネス~日本企業の取組み現場から~」 GCNJ会員企業・団体のSDGsの取組み状況について、アンケート・ヒアリングを実施*GCNJ会員233企業 / 団体対象のアンケ
ート調査及び企業・外部関係者ヒアリング(計17社・団体)
先進企業の事例(11件)も紹介
企業がSDGsを推進していくため、各ステークホルダーに向けた提言
日本企業の取組み実態調査結果
アンケート調査の内容及び方法• 調査対象:2016年9月2日時点のGCNJ会員・アソシエイト会員全233団体• 調査方法:WEBアンケート• 調査期間:2016年9月2日-9月21日• 調査内容:SDGs目標別の取組み状況,SDGs取組み上の課題並びに今後の方向性について• 回収状況:147団体(回収率63%)
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図1:回答企業/団体の売上高 図2:回答企業/団体の市場
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調査結果-1: SDGs取組の進捗度
半数以上(54%)がまだステップ1「SDGsを理解する」の段階であり、ステップ2「優先課題を決定する」は22%、ステップ3「目標を設定する」やステップ4「経営へ統合する」は10%前後に留まっている
図4:SDG Compassにおける進捗状況<現在の進捗はどのステップですか?>(SDGs Compassを参考にしている企業/団体のみ回答)
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調査結果-2: SDGsの認識
GCNJ会員はSDGsの推進を「価値の向上(売上向上、ブランド力強化)」と捉えている回答が最も多く(79%)、「ステークホルダーとの関係強化」(57%)、「新たなビジネスチャンス」(57%)が続く
図3:SDGsの認識:<Q:貴社・団体内では、SDGsをどのように認識していますか?>
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調査結果-3: SDGsの認識(GCNJ会員vs非会員)
図4:SDGsの認識(レポート内図6):<Q:貴社・団体内では、SDGsをどのように認識していますか?>
GCNJ会員と非会員におけるSDGsの認識には顕著な差がみられる・「新たなビジネスチャンス」(会員57%vs非会員26%)・「持続可能性に関わる企業価値の向上において重要」(会員79%vs非会員58%)
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調査結果-4: 組織におけるSDGsの認知度
図6(レポート内図5):SDGsの認知度(2015年vs2016年):<Q:貴社・貴団体でのSDGs認知度について、あてはまる状況を選択して下さい(複数選択)>
図7:SDGsの認知度(売上高別)
昨年から、「主にCSR担当に定着している」が61%から84%に急増。CSR部門での認知度が向上
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調査結果-5: SDGs認知度向上への取組み
図8(レポート内図8):SDGsの定着のための取組み:<Q:貴社・団体内でのSDGsの認知度向上のために、どのような活動をしていますか?>
SDGsの認知度向上には、社内/団体内全般への働きかけ、そして「トップメッセージ」が有効であるとの回答である・「トップメッセージ」「社報等(紙媒体)での周知」(17%)・「研修(e-learningも含む)」「WEBでの周知」(16%)
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調査結果-6: 重要なパートナー
昨年度から「自社」で取り組むという回答が大幅に減った反面、「顧客」「取引先」「消費者」「株主・投資家」という回答が急増
図9(レポート内図9):SDGs推進における重要なパートナー<Q:自社でSDGsを推進するために重要なパートナーはどこだと考えますか?(複数選択)>
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調査結果-7: 課題
昨年から、社内の理解度が低いという課題は相変わらず残るものの、「リソースの不足」「政府の方針、関与が希薄」という回答が新たにみられる
図12(レポート内図10):SDGs推進における課題<Q:SDGsに取組む場合にどのようなことが課題となっていますか?(複数選択)>
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調査結果-8: 今後の取組み
事業計画へのSDGs反映に関して尋ねたところ、全体では、中期の取組みを検討しているとの回答が最多であった
「首都圏vs首都圏以外」でみると、首都圏が「取組みの計画化」により積極的であることがわかる
図7:SDGs推進の今後の取組み(全体)
<Q:SDGsに関連した今後の取組み状況を教えて下さい>
図13-2:SDGs推進の今後の取組み(*首都圏vs首都圏以外)*首都圏=東京,神奈川,埼玉,千葉
日本企業のSDGS取組み全体像
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各企業がコア事業に密接な分野で、時間を切った定量的な目標・ターゲットを設定している。
官民パートナーシップやマルチ・ステークホルダーとの協力で実施するケースも多い。
今後は、各事業における分野・セクター間の相互便益を理解し、スケールアップに役立てることも重要。
日本企業の多くがSDGsを既存の企業理念や事業の「棚卸し」として活用
一部日本企業にSDGsを本業化(経営戦略への取り入れ等)する動き
メッセージ①:企業に対して
ボトムアップとトップダウン融合型アプローチ
事例)サラヤ、味の素、住友化学など
「SDGsは将来のあるべき社会像を示し、人々の様々なニーズ
を反映=に取組むことは人々のニーズに向き合うことで=ビジネスチャンス」
経営層や中間管理職に伝えていくことが重要
事例)オムロン、SOMPOホールディングス、シスメックスなど
GCNJなどの企業グループが一丸となって行動を起こすことも有益
日本)GCNJがSDGs実施指針の策定プロセスにインプット
グローバル)2017年1月のダボス会議に先立ち、コカ・コーラ、ネスレ、イケアなど80のグローバル企業がイギリス首相に公開書簡を提出
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メッセージ②:行政に対して
先導役となってビジョンの積極的な発信を
国内の課題にも関連付けた国の明確なビジョンと実施体制の構築
国内各地の情報格差への対応:
地方自治体の総合計画へのSDGs取り入れ
東京以外の主要都市でも啓発活動を実施、など
企業の取組み事例を集約・発信していくプラットフォームの設置:
企業の取組み事例の集約・進捗を国内外に発信
関連したミーティングやセミナーの開催
SDGsロゴによるキャンペーン
公的な表彰制度の設置、など
メッセージ③:他ステークホルダーに対して
投資家:自らが企業によるSDGs推進を加速していく動きを
SDGsに対応していない企業への長期的な投資リスクの投資判断基準への取り入れを検討
国連機関・研究機関:先進事例や評価方法に関する情報発信を
世界の潮流や動向に関するタイムリーな情報発信、企業のSDGs取組み計画の企画、評価・モニタリング
市民社会(NGO・NPO):日々の注視と連携の強化を
普及活動や実施面において良きパートナーとして企業の取組みをサポート
5. 地方自治体に期待される役割
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自治体に期待されること
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『SDGsは将来のあるべき社会像』20年、30年後、将来世代の生活環境をより良くするためにSDGsを日常生活に取り入れていく必要あり
地方自治体の役割:
市民に直結、地域密着のキメの細かさと機動的な取組み
⇒市民の行動の変革をより良い方向に促していくこと
何をしたらよいのか?
地方自治体の総合計画へのSDGsの活用とモニタリング
地方自治体の取組みに対する中央政府の関心を強化
啓発活動、地元企業・団体等との連携
SDGSの特徴
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1. 目標は提示、そこまでのアプローチは各自の事情を踏まえて
パートナーシップで共同の旅路を
2. 誰も取り残さない、人道的+優先順位、ビジネスライク途上国・先進国ともに対象
3. ヒトの要素+時間の要素将来の世代を考えて、今日の自分の行動を判断する
出典:UNIC, http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/
神奈川県について
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東京に隣接、首都圏を構成、33の市町村(19-13-1) 人口(915万人、全国2番、スウェーデン並み)、人口
密度(3800人/km2、全国3番、全国平均の10倍強)、総生産(全国4番、マレーシア並み)
内外の交流の拠点(東海道、太平洋) 豊かな歴史、文化(鎌倉、小田原、横浜) 少子・高齢化と人口の地域的減少
出典:神奈川県ホームページ http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f530001/p780102.html#、http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f530038/p780107.html
かながわキンタロウ
神奈川県とSDGS:
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神奈川県の政策
総合計画 「かながわグランドデザイン」
第2期実施計画(主要施策・計画推進編)
環境政策 地球温暖化対策計画
『私たちの環境行動宣言かながわエコ10トライ』
など
SDGsの17目標
重点課題とSDGsの紐付けが必要(エネルギー、防災、福祉、ジェンダー、教育、温暖化対策など?)
今後に向けて
高齢化の進行と人口の地域的減少
自治体としてのブランド力と地域経済の活性化
SDGs先進企業の誘致、若い世代へのライフスタイル・サポート(子育て等)
意識の啓発:①ロゴ、「SDGs City」(環境未来都市、ASEAN ESC)、②学校教育
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神奈川県・各自治体の重点課題とSDGsの紐付け
内外のパートナーとの協働・連携の一層の強化
最後に
IGES/UNU-IAS共催:
第9回持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム (ISAP2017)(2017年7月25-26日、横浜)
テーマ: Transformational Changes: Putting Sustainability at the Heart of Action
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ご清聴ありがとうございました。
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