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5) 横架材接合部の引抜力の計算 St-Y’s 1階床組を除く上階の床組および小屋梁組を構成する主要な横架材の接合部は、地震力等に よって外れ落ちることがないよう、十分な引張耐力を有する方法(3kN以上の短期許容耐力 を最低限とする)で緊結されていなければならない。 【参考】水平構面の構造計算を省略できる条件 横架材接合部の仕様は、「羽子板ボルト又は短冊金物と同等 以上(7.5kN以上)」 水平力が作用した時に床面外周に生じる引張力に対する抵抗力は、 柱通しの場合は仕口の引張力、梁通しの場合は継手の引張力となる。

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  • 5) 横架材接合部の引抜力の計算

    St-Y’s

    1階床組を除く上階の床組および小屋梁組を構成する主要な横架材の接合部は、地震力等に

    よって外れ落ちることがないよう、十分な引張耐力を有する方法(3kN以上の短期許容耐力

    を最低限とする)で緊結されていなければならない。

    【参考】水平構面の構造計算を省略できる条件

    横架材接合部の仕様は、「羽子板ボルト又は短冊金物と同等

    以上(7.5kN以上)」

    水平力が作用した時に床面外周に生じる引張力に対する抵抗力は、

    柱通しの場合は仕口の引張力、梁通しの場合は継手の引張力となる。

  • 5-1) 水平構面の設計

    St-Y’s

    グレー本

    P87

    C = T = MoD

    水平構面中央部に生じる曲げモーメント Mo(kN・m)

    壁際端に生じるせん断力Q(kN)

    外周梁に生じる軸力 C(=T)(kN)

    D:水平構面の奥行 (m)L :耐力壁線間隔(m)

    Mo = w x L2

    8

    Q = w x L

    2Q’ =

    QD

    必要床倍率 α = Q’

    P0(=1.96kN/m)

    必要接合部倍率 = C

    基準耐力(=5.3kN)

    水平構面の必要せん断耐力 (kN/m)

  • 【横架材接合部の短期許容引張耐力】

    St-Y’s

    横架材接合部の仕様短期許容引張耐力

    Ta (kN)

    継手

    (1) 腰掛け蟻(鎌)継ぎ+厚さ 3.2㎜の短冊金物で双方の横架材に対してそれぞれ径 12㎜のボルト締めしたもの。又は、これと同等以上の接合方法としたもの。 10.1

    (2) 腰掛け蟻(鎌)継ぎ+厚さ 3.2㎜の短冊金物 2枚を用いて双方の横架材に対してそれぞれ径 12㎜のボルト締めしたもの。又は、これと同等以上の接合方法としたもの。 15.9

    仕口 (3)

    大入れ蟻掛け+厚さ 3.2㎜の鋼板に径 12㎜のボルトを溶接した金物(羽子板ボルト)を用いて、一方の部材に対して径 12㎜のボルト締め、他方の部材に対して厚さ 4.5㎜、40㎜角の座金を介してナット締めしたもの。又は、これと同等の接合方法としたもの。

    10.1

    (4)

    大入れ蟻掛け+厚さ 3.2㎜の鋼板に径 12㎜のボルトを溶接した金物(羽子板ボルト)2個を用いて、一方の部材に対して径 12㎜のボルト締め、他方の部材に対して 2個の金物それぞれについて厚さ 4.5㎜、40㎜角の座金を介してナット締めしたもの。又は、これと同等の接合方法としたもの。

    15.9

    (5)

    横架材端部を通し柱に大入れほぞ差し、又は、傾ぎ大入れとし、引張力は羽子板ボルト又は短冊金物、又は、かね折り金物(厚さ 3.2㎜の鋼板を L字型に折り曲げて出隅部の通し柱に取り付く直交方向の横架材端部どうしを径 12㎜のボルト締め)を用いて径 12㎜のボルト締めとしたもの。

    7.5

    (6)横架材端部を通し柱に大入れほぞ差し、又は、傾ぎ大入れとし、引張力は羽子板ボルト又は短冊金物を用いて径 12㎜のボルト締めに加えて長さ 50㎜径 4.5㎜スクリュー釘 1本をそれぞれの横架材に打ち込んだもの。

    8.5

    【参考】追っ掛大栓継ぎ

    (公財)日本住宅・木材技術センター

    耐力評価:許容引張耐力 23.3KN

  • 【必要床倍率の算定】

    ①地震力の算定

    水平構面に生じる地震力 = 76.02kN

    地震力を等価荷重とした場合、

    矢印の方向に生じる地震力は

    w = 76.02kN / 10.92m = 6.96 kN/m

    18.20m

    10.92m

    5.46m

  • 【必要床倍率の算定】

    ②水平構面に生じる応力の算定

    水平構面中央部に生じる曲げモーメント

    Mo = w x L2 / 8 = 6.96 x 5.462 / 8 = 25.95 kN・m

    壁際端に生じるせん断力

    Q = w x L / 2 = 6.96 x 5.46 / 2 = 19.01 kN

    水平構面の必要せん断耐力 Q’ = Q / D = 19.01 / 18.2 = 1.04 kN/m

    必要床倍率 α = Q’ / P0 = 1.04 / 1.96 = 0.53 倍

    外周梁に生じる軸力

    C(T) = Mo / D = 25.95 / 18.2 = 1.43 kN

    外周部に生じる軸力 = 外周部に必要な短期引張耐力となるため

    必要接合部倍率 = C / 基準耐力 = 1.43 / 5.30 = 0.27 倍

  • 【必要床倍率の算定】

    ①地震力の算定

    水平構面に生じる地震力 = 76.02kN

    地震力を等価荷重とした場合、

    矢印の方向に生じる地震力は

    w = 76.02kN / m = kN/m

    18.20m

    10.92m

    4.55m

    計算

  • 【必要床倍率の算定】

    ②水平構面に生じる応力の算定

    水平構面中央部に生じる曲げモーメント

    Mo = w x L2 / 8 = x 2 / 8 = kN・m

    壁際端に生じるせん断力

    Q = w x L / 2 = x / 2 = kN

    水平構面の必要せん断耐力 Q’ = Q / D = / = kN/m

    必要床倍率 α = Q’ / P0 = / 1.96 = 倍

    外周梁に生じる軸力

    C(T) = Mo / D = / = kN

    外周部に生じる軸力 = 外周部に必要な短期引張耐力となるため

    必要接合部倍率 = C / 基準耐力 = / 5.30 = 倍

    計算

  • 6) 土台とアンカーボルトの検定

    St-Y’s

    6-1) アンカーボルトの設置位置①耐力壁の部分は、その両端の柱の下部にそれぞれ柱心から200㎜以内の位置に設置する。

    ②引抜力が作用しない個所であっても、土台端部(上木部分)や継手部に設置する。

  • St-Y’s

    ③アンカーボルトの間隔は、2階建て以下のときは3m以内に、3階建てのときは2m以内になる

    ように設置する。

    ④使用するアンカーボルトの長さを決定する際は、ねじ山が3山以上ナットから出ていること。

  • St-Y’s

    ①短期の引抜力が10kNを超える1階柱脚接合部は、

    M16アンカーボルトと直結する接合仕様とする。

    ②柱脚と土台を緊結するタイプの接合仕様を用いる場合にあっては、

    土台断面寸法は幅105㎜以上 x せい105㎜以上とし、

    柱心からM12アンカーボルトまでの距離Ld(㎜)は、下式を満たすこと。

    Ld ≦ 2400/Ta 、かつ、300㎜以下

    Ta:柱脚と土台の接合仕様における短期許容引張耐力 (kN)

    2400:土台の短期許容曲げモーメントの略算値 (kN・㎜)

    6-2) 土台の曲げの構造計算を省略できる条件

  • 6-3)アンカーボルトの引張の計算を省略できる条件

    St-Y’s

    ③アンカーボルトのコンクリート基礎への定着長さが、柱脚接合部の短期許容耐力に応じて

    以下の表の値以上確保されていること。

    ④柱脚金物及びアンカーボルトの引張力を土台に定着させる部分に用いる座金は、柱脚接合部の

    短期許容引張耐力に応じて、下記の仕様の座金又は同等以上の面積を有する座金とすること。

    アンカーボルト柱脚接合部の短期許容耐力

    アンカーボルトの基礎への定着長さ

    M12 全て 250㎜以上

    M1625kN 以下 360㎜

    25kN を超え 35.5kN 以下 510㎜

    柱脚接合部の短期許容耐力 角座金の仕様

    6.4kN 以下 厚さ 4.5mm、40mm 角11.7kN 以下 厚さ 6.0mm、54mm 角25.6kN 以下 厚さ 9.0mm、80mm 角

    土台の種類 種類短期許容せん断力

    Qa (kN)ひば、ひのき、広葉樹、その他Fc≧23.4N/㎜2の樹種

    M12 8.72 M16 15.51

    べいつが、すぎ、その他Fc≧18.0N/㎜2の樹種

    M12 7.65 M16 13.60

    【アンカーボルトの短期許容せん断耐力 (M12Pa、M16Pa)】

  • 6-4) アンカーボルトのせん断耐力の検定

    St-Y’s

    アンカーボルトの仕様

    種類短期許容せん断力

    Qa (kN)短期許容引張耐力

    Ta (kN)座金めり込み時の耐力

    (kN)M12(ヒバ等) 8.72 19.74 15.80

    X方向

    通りM12本数

    Qa (kN) ΣQa (kN)鉛直方向の許容せん断耐力

    判定+方向 検定値 -方向 検定値

    Y1 12 8.72 104.64 53.51 0.51 53.51 0.51 OKY7 12 8.72 104.64 26.75 0.26 26.75 0.26 OKY10 12 8.72 104.64 53.51 0.51 53.51 0.51 OK

    Y方向

    通りM12本数

    Qa (kN) ΣQa (kN)鉛直方向の許容せん断耐力

    判定+方向 検定値 -方向 検定値

    X1 7 8.72 61.04 35.67 0.58 35.67 0.58 OKX4 7 8.72 61.04 17.84 0.29 17.84 0.29 OKX8 7 8.72 61.04 26.75 0.44 26.75 0.44 OKX11 7 8.72 61.04 17.84 0.29 17.84 0.29 OKX14 7 8.72 61.04 35.67 0.58 35.67 0.58 OK