5,088 5,341 5,089 5,191 4,805 5,601 4,433 総火災件数 5,915 ......- 1 - 住宅火災以外の...
TRANSCRIPT
- 1 -
住宅火災以外の
建物から出火した火災
1,152
40.7%
住宅
615件
36.7%
共同住宅
1060件
63.3%
住宅火災
1,675件
59.3%
第1章 住宅火災の実態
(*住宅火災による死者・負傷者はすべて自損を除く)
1 住宅火災の概要
⑴ 住宅火災件数
平成 27年中の火災件数は 4,433 件発生し、このうち住宅火災(住宅《複合用途建物の住宅
部分を含む》、共同住宅《寄宿舎を含む》から出火した火災をいう。)は 1,675 件で、前年に比
べ 19 件減少しています(図 1-1)。
また、建物から出火した火災の件数は、2,827 件発生し、そのうち住宅火災の割合は 59.2%
です。住宅火災の内訳は、住宅 615 件(36.7%)、共同住宅 1,060 件(63.3%)となってい
ます(表 1-1、表 1-2、図 1-2)。
図 1-1 最近 10 年間の住宅火災件数等の推移
表 1-1 最近 10 年間の住宅火災件数等
18 年 19 年 20 年 21 年 22 年 23 年 24 年 25 年 26 年 27 年
総 火 災 件 数 5,915 5,800 5,763 5,601 5,088 5,341 5,089 5,191 4,805 4,433
建物から出火
し た 火 災 3,611 3,494 3,605 3,341 3,093 3,098 3,206 3,127 2,878 2,827
住宅火災件数 2,271 2,189 2,243 2,099 1,869 1,864 1,916 1,777 1,694 1,675
建物から出火
した火災に対
す る 割 合
62.9% 62.7% 62.2% 62.8% 60.4% 60.2% 59.8% 56.8% 58.9% 59.3%
表 1-2 建物火災の内訳
図 1-2 建物火災の内訳
5,915 5,800 5,763 5,601
5,0885,341
5,089 5,1914,805
4,433
3,611 3,494 3,6053,341
3,093 3,098 3,206 3,1272,878 2,827
2,271 2,189 2,243 2,0991,869 1,864 1,916 1,777 1,694 1,675
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年
総火災件数
建物から出火
した火災
住宅火災件数
建物から出火した火災 2,827 件
内訳件数
住宅火災件数
1,675 件(59.3%)
住宅 615 件(36.7%)
共同住宅 1,060 件(63.3%)
住宅火災以外の
建物から出火した火災 1,152件(40.7%)
(人) *治外法権及び管外からの延焼火災は、総火災件数のみ計上します。
N=2,827
*「建物から出火した火災」とは火元の用途が建物の火災です。
- 2 -
住宅
34人
49.3%
共同住宅
35人
50.7%
86
114
101 98
89
70
94
77 78 79
76
106
98
87 83
61
85
72 71 69
46
61 60
48 49
40
57
49
58
50
0
20
40
60
80
100
120
140
18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年
火災による死者 住宅火災の死者 65歳以上の
住宅火災の死者
⑵ 住宅火災による死者数
平成27 年中の火災による死者は 79 人で、前年に比べ 1 人増加しています。そのうち自損
を除く住宅火災による死者は 69 人(以後、住宅火災による死者・負傷者はすべて自損を除く)
で、前年に比べ 2 人減少しています。火災による死者のうち住宅火災による死者の占める割合
は、87.3%となっています(図 1-3、表 1-3)。住宅火災による死者のうち、65 歳以上の高齢
者(以下「高齢者」という。)は、50人と全体の 72.5%を占め、住宅火災による死者に占める
高齢者の割合は、非常に高い割合となっています(図 1-3、図 1-4、表 1-3)。
また、住宅火災の死者を用途別で見ると、住宅で34人(49.3%)、共同住宅で35人(50.7%)
の死者が発生しており、ほぼ同じ割合となっています。(表 1-4、図 1-5)
表 1-3 最近 10 年間の住宅火災による死者数
18 年 19 年 20 年 21 年 22 年 23 年 24 年 25 年 26 年 27 年
火災による死者 86 114 101 98 89 70 94 77 78 79
住宅火災の死者 76 106 98 87 83 61 85 72 71 69
住宅火災の死者の
火災による死者に
対 す る 割 合
88.4%
93.0%
97.0%
88.8%
93.3%
87.1%
90.4%
93.5%
91.0% 87.3%
高 齢 者 の 住 宅
火 災 の 死 者 46 61 60 48 49 40 57 49 58 50
高 齢 者 の 住 宅
火災の死者割合 60.5% 57.5% 61.2% 55.2% 59.0% 65.6% 67.1% 68.1% 81.7% 72.5%
表 1-4 住宅火災による死者の内訳(カッコ内は高齢者数)
図 1-5 住宅用途別死者の内訳 (自損を除く)
用途別 死者数 割合
住宅 34
(27) 49.3%
共同住宅 35
(23) 50.7%
合計 69
(50) 100%
(人)
※ ( )は、高齢者の内数です。
図 1-3 最近 10 年間の住宅火災による
死者数等の推移
図 1-4 最近5年間の住宅火災による
死者数と高齢者の割合
(人)
N=69
- 3 -
0.00 1.00 2.00 3.00
65歳未満
65歳以上
75歳未満
75歳以上
0.18
1.24
2.25
22,847 23,174
22,578
19,319
16,909
15,95616,705
15,561
13,013 12,98410.06
10.59 10.07
9.20 9.05 8.56 8.72 8.76
7.68 7.75
5.00
10.00
15.00
20.00
25.00
10,000
15,000
20,000
25,000
18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年
焼損床面積
1件あたりの
焼損床面積
高齢者と高齢者以外の人口10万人あたりの住宅火災による死者発生数を比較すると、65
歳未満の死者は 0.18 人発生しているのに対し、65 歳以上 75歳未満の死者は 1.24 人と約
7 倍に増加し、さらに 75 歳以上の死者は 2.25 人と約 13 倍に増加しています(表 1-5、図
1-6)。今後、火災による被害を受けるリスクが高い高齢者を守るため、より積極的な高齢者の
被害低減対策を行う必要があります。
表 1-5 高齢者死者数と人口
※人口:平成 27 年1月1日現在 図 1-6 年齢別人口10万人あたりの住宅火災による
(住民基本台帳による東京都の世帯と人口より) 死者発生数
⑶ 住宅火災の焼損床面積
平成27 年中の住宅火災の焼損床面積は 12,984 29 減少しています。
また、住宅火災 1 件あたりの平均焼損床面積は 7.75 0.07 してい
ます(図 1-7)。
図 1-7 最近 10 年間の住宅火災の焼損床面積の推移
年齢別 死者 管内人口 人口 10 万人
あたりの
死者発生数
75歳以上 31 1,377,447 2.25
75歳未満
65歳以上 19 1,533,550 1.24
65歳未満 19 10,272,956 0.18
( ) ( )
(人)
〔住宅火災における焼損床面積〕
〔住宅火災1件あたりの平均焼損床面積〕
約 13 倍
約 7 倍
- 4 -
2 住宅火災の状況
⑴ 出火原因別状況
出火原因別にみると、「こんろ」が 453件(27.0%)と最も多く、次いで「たばこ」が 274
件(16.4%)、「放火」が 162 件(9.7%)、「ストーブ」が 92件(5.5%)となっており、
これら上位を合わせると全体に占める割合は、58.6%となっています(表 1-6、図 1-8)。
表 1-6 出火原因別住宅火災件数
図 1-8 住宅火災の出火原因別の割合
⑵ 着火物別状況
着火物別にみると、「くず類」が 203 件(12.1%)と最も多く、次いで「ふとん類」が 175
件(10.4%)、「紙類」が 159 件(9.5%)となっています(表 1-7、図 1-9)。
表 1-7 着火物別住宅火災件数
図 1-9 住宅火災の着火物別
出火原因 住宅火災
合計 住宅 共同住宅
こ ん ろ 453 144 309
た ば こ 274 77 197
放 火 162 40 122
ス ト ー ブ 92 40 52
ロ ウ ソ ク 38 14 24
コ ー ド 28 14 14
火 遊 び 14 4 10
ラ イ タ ー 12 3 9
そ の 他 428 204 224
不 明 174 75 99
合 計 1,675 615 1,060
着火物 住宅火災
合計 住宅 共同住宅
く ず 類 203 62 141
ふ と ん 類 175 68 107
紙 類 159 41 118
動 植 物 油 149 42 107
衣 類 ・ 繊 維 類 125 38 87
内装・建具・家具類 67 35 32
ガ ス 類 65 23 42
着 衣 60 28 32
電 線 被 覆 28 14 14
カーテン・じゅうたん等 26 11 15
ガ ソ リ ン 等 15 7 8
そ の 他 456 178 278
不 明 147 68 79
合 計 1,675 615 1,060
※1 「こんろ」は、ガステーブル等、電気こんろを合わせたものです。
2 「放火」は、放火の疑いを含みます。 3 「ストーブ」は、電気、ガス、石油を合わせたものです。
N=1,675
N=1,675
こんろ
453件
27.0%
たばこ
274件
16.4%放火
162件
9.7%
ストーブ
92件
5.5%
ロウソク
38件
2.3%
コード
28件
1.7%
火遊び
14件
0.8%
ライター
12件
0.7%
その他
428件
25.6%
不明
174件
10.4%
くず類
203件
12.1%ふとん類
175件
10.4%
紙類
159件
9.5%
動植物油
149件
8.9%
衣類・繊維類
125件
7.5%内装・建具・家具類
67件
4.0%
ガス類
65件
3.9%
着衣
60件
3.6%
電線被覆
28件
1.7%
カーテン・じゅうたん等
26件
1.6%
ガソリン等
15件
0.9%
その他
456件
27.2%
不明
147件
8.8%
- 5 -
居室等
679件
40.5%
台所・キッチン等
639件
38.1%
ベランダ
96件
5.7%
廊下・階段等
58件
3.5%
玄関・ホール
50件
3.0%
便所・洗面所・浴室等
45件
2.7%
車庫・駐車場等
21件
1.3%
建物の外周部
15件
0.9%
その他
69件
4.1% 不明
3件
0.2%
⑶ 出火箇所別状況
出火箇所別にみると、「居室等」が 679 件(40.5%)と最も多く、次いで「台所・キッチン
等」が 639件(38.1%)となっており、これら上位を合わせると全体の約 8 割近く(78.6%)
を占めています(表 1-8、図 1-10)。
表 1-8 出火箇所別住宅火災件数
図 1-10 住宅火災の出火箇所別の割合
⑷ 初期消火別状況
平成 27年中の住宅火災における初期消火実施状況をみると、住宅火災 1,675 件のうち、「初
期消火実施」が 1,091 件(65.1%)、「初期消火無」が 584件(34.9%)となっています。ま
た、「初期消火実施」のうち成功・失敗別にみると、「初期消火成功」が 844 件(77.4%)、「初
期消火失敗」247件(22.6%)となっています(図 1-11)。「初期消火失敗」の理由には、「発
見が遅れた」、「あせり消火できなかった」、「煙が充満していた」等がありました。
平成 27年中の住宅火災における初期消火の状況を、火災 1件当たりの死者発生数、損害
額、焼損面積を比較すると、死者発生数については初期消火実施が低い数値となっており、損
害額、焼損面積については、初期消火無しが低い数値となっています。(図 1-12-1~3)
平成 27年から過去 5年間の各項目について比較すると、全ての項目で初期消火実施が低い
数値となっています。(図 1-12-4~6)
このことから、平成 27年中は初期消火無しの方が低い数値の項目があるものの、総合的に
見ると初期消火実施の方が、被害が減少していることが分かります
各家庭に消火器等を備えるとともに、防火防災訓練等で初期消火訓練を実施することの必要
性がわかります。
出火箇所 住宅火災
合計 住宅 共同住宅
居 室 等 679 273 406
台所・キッチン等 639 224 415
ベ ラ ン ダ 96 29 67
廊 下 ・ 階 段 等 58 9 49
玄 関 ・ ホ ー ル 50 9 41
便所・洗面所・浴室等 45 14 31
車 庫 ・ 駐 車 場 等 21 8 13
建 物 の 外 周 部 15 11 4
そ の 他 69 37 32
不 明 3 1 2
合 計 1,675 615 1,060
図 1-11 初期消火実施状況
49 人
N=1,675
N=1,675
初期消火無
584件
34.9%
初期消火失敗
247件
22.6%
初期消火成功
844件
77.4%
初期消火実施
1,091件
65.1%
- 6 -
0.000
0.010
0.020
0.030
0.040
0.050
0.060
0.070
0.080
初期消火実施 初期消火無
0.024
0.074
(人)
6.0
6.5
7.0
7.5
8.0
初期消火実施 初期消火無
7.9
7.2
1200
1202
1204
1206
1208
1210
初期消火実施 初期消火無
12081206
(千円)
0.010
0.020
0.030
0.040
0.050
0.060
0.070
初期消火実施 初期消火無
0.024
0.069
(人)
5.0
6.0
7.0
8.0
9.0
初期消火実施 初期消火無
7.5
9.9
1,100
1,200
1,300
1,400
1,500
1,600
1,700
初期消火実施 初期消火無
1,254
1,672
(千円)
平成27年中
図 1-12-1 火災1件当たり死者発生数 図 1-12-2 火災1件あたり 損害額 図 1-12-3 火災1件あたり焼損床面積
過去5年間の集計値(平成 23 年から平成 27 年まで)
図 1-12-4 火災1件当たり死者発生数 図 1-12-5 火災1件あたり 損害額 図 1-12-6 火災1件あたり焼損床面積
- 7 -
たばこ
16人
23.2%
こんろ
7人
10.1%
ストーブ
7人
10.1%
コード
3人
4.3%
放火
2人
2.9%
その他
10人
14.5%
不明
24人
34.8%
3 住宅火災による死傷者の状況
⑴ 出火原因別死傷者発生状況
ア 死者の発生した住宅火災の出火原因
住宅火災による死者 69人を出火原因別にみると、「たばこ」が 16 人(23.2%)と最も多
く、次いで「こんろ」が7人(10.1%)、「ストーブ」が 7 人(10.1%)、「コード」が 3 人
(4.4%)、「放火」が2人(2.9%)となっています(表 1-9、図 1-13)。
図 1-13 出火原因別死者の割合
最も多い出火原因である「たばこ」について見てみると、死者 16 人のうち 11人が男性で、
7 割近くを占めているのが特徴です。発生状況を見ると「寝たばこ」が 2 人、「火源落下」が
12 人、「不始末」が 2 人であり、全ての火災が適切な方法で喫煙していれば発生を防止でき
たと思われるものです(表 1-10)。
2番目に多い「ストーブ」による火災をみると、7 人中 4人が高齢者であり、ふとん等の可
燃物が接触したことによるものや、電線が短絡したことによる火災が発生しています。
(表 1-11)
このような原因で死者が発生している実態を踏まえ、ストーブの近くには可燃物を置かない、
就寝時には使用しない、ストーブの上には洗濯物を干さない、給油の際は火を消すなど、適切
な使用を継続的に呼びかける必要があります。
表1-10 たばこによる死者の内訳 表1-11 ストーブによる死者の内訳
出火原因 死者数 死者発生
火災件数
出火原因別
死者発生率
(死者発生火災件数
/出火原因別
住宅火災件数)
た ば こ 16(14) 15 5.5% 15/274
ス ト ー ブ 7(4) 6 6.5% 6/92
こ ん ろ 7(5) 7 1.5% 7/453
コ ー ド 3(1) 3 10.7% 3/28
放 火 2(1) 2 1.2% 2/162
そ の 他 10(7) 9 1.8% 9/492
不 明 24(18) 22 12.6% 22/174
合 計 69(50) 64 3.8% 64/1,675
た ば こ の 内 訳 死者数(高齢者数) 男性 女性 ス ト ー ブ の 内 訳 死者数(高齢者数)
火 源 落 下 12(11) 8 4 可 燃 物 が 接 触 6(4)
寝 た ば こ 2(1) 1 1 電 線 が 短 絡 す る 1(0)
不 始 末 2(1) 2 0 合 計 7(4)
合 計 16 (14) 11 5
※1 ( )は、高齢者の内数です。 2 「こんろ」は、ガステーブル等、電気こんろを合わせたものです。
3 「放火」は、放火の疑いを含みます。 4 「ストーブ」は、電気、ガス、石油を合わせたものです。
N=69
表 1-9 出火原因別死者数
- 8 -
コード
18人
38%
差し込みプラグ
10人
21%コードコネクター
3人
6%
屋内線
2人
4%
電気毛布
2人
4%
電気ポット
1人
2%
その他
12人
25%
57
5
13
7
1
3
2
5
270
300
249229
250
0
50
100
150
200
250
300
350
0
5
10
15
20
平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
高齢者 高齢者以外 電気コード火災等件数
6人
10人
7人
13人
12人
109
71
75
213
357
473
0 100 200 300 400 500
その他
半断線により発熱する
絶縁劣化により発熱する
トラッキング
電線が短絡する
金属の接触部が過熱する
また、近年では電気火災のうち漏電・電線の短絡・スパーク・半断線・トラッキング等によ
る発熱によって起こる火災(以下「電気コード火災等」という。)の死者が多く発生していま
す。平成27 年の火災件数は、昨年よりも 21 件増加しています。死者については、1 人減少
し、高齢者の割合も減少していますが、依然として高齢者が大半を占めています。(図 1-14)。
死者が発生した「電気コード火災等」の主な出火原因についてまとめると「コード」、「差し
込みプラグ」で多く発生しています(図 1-15)。
経過別にみると、「金属の接触部分が過熱する」、「電線が短絡する」、「トラッキング」の順
多く発生しています(図 1-16)。
コードは物に踏まれたり折れ曲がった状態で使用されていたためにコードの被覆が損傷し
たり、長年使用したことによる経年劣化により、短絡や半断線が発生して火災に至るケース
があります。差し込みプラグは、差し刃間のトラッキング現象による火災が多く発生してい
ます。
トラッキング現象を防止するためには、
①差し込みプラグは常時差し込んだままにせずに、使用時以外は抜いておく。
②長期間差したままのプラグは定期的に点検するとともに、乾いた布などで掃除し、発熱等
の異常がある場合は交換する。特に埃や湿気の多い環境下で使われているものや、家具等の陰
に隠れているものには細心の注意が必要です。
図 1-14 過去5年間の住宅火災における「電気コード火災等」の死者数・件数
N=1,298 N=48
図 1-15 主な「電気コード火災等」による死者数
(H23~27)
図 1-16 「電気コード火災等」における主な原因
(H23~27)
(人) (件)
(件)
- 9 -
天ぷら油
56人
34.4%
着衣着火
44人
27.0%
エアゾール缶に関連
17人
10.4%
その他
46人
28.2%
イ 負傷者の発生した火災の出火原因
住宅火災による負傷者は 539 人で、出火原因別でみると、「こんろ」が 163 人(30.2%)
と最も多く、次いで、「たばこ」が 53 人(9.8%)、「ストーブ」が 42 人(7.8%)となって
います(表 1-12、図 1-17)。
また、負傷者に占める高齢者の割合は、38.0%(205/539)であり、出火原因別で見る
と、「こんろ」36.2%(59/163)、「たばこ」34.0%(18/53)、「ストーブ」35.7%(15/42)、
「コード」32.0%(8/25)となっています(表 1-12)。
表 1-12 負傷者発生状況と出火原因
「こんろ」での負傷者の内訳をみると、「天ぷら油火災」が 56人と最も多く、「着衣に着火
した火災」が 44人、「エアゾール缶等に関連した火災」が 17人と続きます。(図 1-18)
調理中など特に油を加熱している際には、「その場を絶対に離れない」、「もしその場を離れ
なければならないときは必ず火を消す」、また「エアゾール缶等の火気厳禁の器物を調理器具
周辺に置かない」、「衣服の袖口や裾が火に触れないように気をつける」などの注意喚起が必
要です。
出火原因 負傷者数 負傷者に占める
高齢者の割合
こ ん ろ 163(59) 36.2%(59/163)
た ば こ 53(18) 34.0%(18/53)
ス ト ー ブ 42(15) 35.7%(15/42)
コ ー ド 25(6) 24.0%(6/25)
放 火 24(10) 41.7%(10/24)
ロ ウ ソ ク 18(10) 55.6%(10/18)
ラ イ タ ー 8(2) 25.0%(2/8)
火 遊 び 3(-) -(0/3)
そ の 他 108(35) 32.4%(35/108)
不 明 95(50) 52.6%(50/95)
合 計 539(205) 38.0% (205/539)
※1 ( )は、高齢者の内数です。 2 「こんろ」は、ガステーブル等、電気こんろを合わせたものです。
3 「放火」は、放火の疑いを含みます。 4 「ストーブ」は、電気、ガス、石油を合わせたものです。
図 1-17 出火原因別負傷者の割合
-6-
N=539
※ ( )は、高齢者の内数です。
図 1-18 「こんろ」による火災の負傷者内訳
N=163
こんろ
163人
30.2%
たばこ
53人
9.8%
ストーブ
42人
7.8%
コード
25人
4.6%
放火
24人
4.5%
ロウソク
18人
3.3%
ライター
8人
1.5%
火遊び
3人
0.6%
その他
108人
20.0%
不明
95人
17.6%
- 10 -
⑵ 着火物別死傷者発生状況
ア 死傷者が発生した住宅火災の着火物
着火物別の死者発生状況をみると、「ふとん等」が 15 人(21.7%)と最も多く、次いで「内
装・建具・家具類」が 8人(11.6%)、「着衣」「衣類・繊維等」「紙類」各6人(8.7%)とな
っています(表 1-13、図 1-19)。
表 1-13 着火物別死者数
着火物 死者数 死者発生
火災件数
着火物別
死者発生率
(死者発生火災件数/
着火物別住宅火災件数)
ふ と ん 等 15(13) 13 7.4% 13/175
内装・建具・家具類 8(6) 8 11.9% 8/67
着 衣 6(5) 6 10.0% 6/60
衣 類 ・ 繊 維 等 6(3) 5 4.0% 5/125
紙 類 6(3) 6 3.8% 6/159
く ず 類 4(2) 4 2.0% 4/203
ガ ソ リ ン 等 1(-) 1 6.7% 1/15
電 線 被 覆 -(-) - - -/28
カーテン・絨毯等 -(-) - - -/26
動 植 物 油 -(-) - - -/149
ガ ス 類 -(-) - - -/65
そ の 他 1(1) 1 0.2% 1/456
不 明 22(17) 20 13.6% 20/147
合 計 69(50) 64 3.8% 64/1675
※ ( )は、高齢者の内数です。
※ ( )は、高齢者の内数です。
ふとん等
15人
21.7%
内装・建具・家具類
8人
11.6%
着衣
6人
8.7%衣類・繊維等
6人
8.7%
紙類
6人
8.7%くず類
4人
5.8%
ガソリン等
1人
1.4%
その他
1人
1.4%
不明
22人
31.9%
N=69
図 1-19 着火物別死者の割合(自損を除く)
- 11 -
動植物油
58人
10.8%ふとん等
57人
10.6%
着衣
56人
10.4%
ガス類
48人
8.9%紙類
39人
7.2%
衣類・繊維類
36人
6.7%
くず類
36人
6.7%
内装・建具・家具等
23人
4.3%
ガソリン等
9人
1.7%
カーテン・じゅうたん等
4人
0.7%
電線被覆
4人
0.7%
その他
76人
14.1%
不明
93人
17.3%
また、負傷者の発生状況を見てみると、「動植物油」が最も多く、次いで「ふとん等」、「着
衣」、「ガス類」と続いています(表 1-14、図 1-20)。
表1-14 着火物別負傷者数
着火物 負傷者数 負 傷 者 発 生
火 災 件 数
着 火 物 別
負傷者発生率
(負傷者発生火災件数
/着火物別住宅火災件数)
動 植 物 油 58(15) 48 32.2% 48/149
ふ と ん 等 57(25) 37 21.1% 37/175
着 衣 56(31) 51 85.0% 51/60
ガ ス 類 48(14) 40 61.5% 40/65
紙 類 39(13) 25 15.7% 25/159
衣 類 ・ 繊 維 類 36(16) 28 22.4% 28/125
く ず 類 36(12) 27 13.3% 27/203
内装・建具・家具等 23(5) 11 16.4% 11/67
ガ ソ リ ン 等 9(2) 8 53.3% 8/15
カーテン・じゅうたん等 4(1) 5 19.2% 5/26
電 線 被 覆 4(-) 4 14.3% 4/28
そ の 他 76(26) 53 11.6% 53/456
不 明 93(45) 63 42.9% 63/147
合 計 539(205) 400 23.9% 400/1,675
適正な喫煙管理や調理時における配慮が必要なのはもちろんですが、死者、負傷者が発生した
火災の着火物の上位を占める「ふとん類」、「着衣」等の繊維製品への着火防止対策として、防炎
品の使用が有効です。万が一、火源に接しても通常の製品と比べて燃え広がりにくく、火災の拡
大を防止する効果が期待できることから、都民に対して継続的に普及促進を図っていく必要が
あります。
図 1-20 着火物別負傷者の割合(自損を除く)
※ ( )は、高齢者の内数です。
N=539
- 12 -
たばこ
75件
42.9%
ストーブ
30件
17.1%放火
9件
5.1%
ロウソク
4件
2.3%
こんろ
2件
1.1%
ライター
2件
1.1%
その他
43件
24.6%
不明
10件
5.7%
死亡
8人
30.8%
重症
2人
7.7%
中等症
6人
23.1%
軽症
10人
38.5%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
イ 着火物と出火原因
着火物で死者数と負傷者数が高い割合である「ふとん等」の出火原因は、「たばこ」が 75
件(42.9%)とほぼ半数を占めています。「たばこ」を出火原因として「ふとん等」に着火し
た火災では、75 件中、26 人の死傷者が発生し、死者が 8 人、重症の負傷者が 2 人となり、
ふとんから出火した場合に重症化しやすい傾向があります(図 1-21)。
実際に、寝たばこ等、寝具上への火種の落下などにより、多くの死傷者が発生しています。
中等症以上の死傷者の約 3 割は、「就寝中」での発生となっています。(図 1-22)
「ふとん等」、「たばこ」、「就寝中」の組み合わせでの危険度が高くなることから、寝たばこ
の危険性を分かりやすく伝える注意喚起が必要です。
図 1-22 「ふとん等」を着火物とした「たばこ」火災による死傷時の状況(自損を除く)
図 1-21 「ふとん等」の着火による火災の出火原因件数と「たばこ」による死傷者数の内訳(自損を除く)
N=175
75 件中 20 件で
計 26 人の
死傷者が発生
N=26
2人
25%
1人
50% 2人
33%
4人
40%
1人
13%
1人
50% 4人
67%
6人
60%5人
62%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
死亡 重症 中等症 軽症
就寝中 その他 不明
- 13 -
居室等
259人
48.1%台所・キッチン等
217人
40.3%
便所・洗面所・浴室等
13人
2,4%
ベランダ
12人
2.2%
玄関・ホール
7人
1.3%
廊下・階段等
5人
0.9% 車庫・駐車場等
1人
0.2%
建物の外周部
1人
0.2%
その他
24人
4.5%
⑶ 出火箇所別状況
出火箇所別の死者発生状況をみると、「居室等」が 57 人(82.6%)と最も多く、次いで「台
所・キッチン等」が 11人(15.9%)となっており、「居室等」「台所・キッチン等」で 98.5%
を占めています(表 1-15、図 1-23)。
表 1-15 出火箇所別死者数
また、負傷者の発生状況を見ても「居室等」259人(48.1%)と最も高く、次いで「台所・
キッチン等」が 217人(40.3%)となっており、「居室等」「台所・キッチン等」を合わせると、
88.4%を占めています(表 1-16、図 1-24)。
表 1-16 出火箇所別負傷者数
このことからも、住宅用火災警報器は、主な生活スペースである居室、火気を扱う台所、そ
して、下階の火災をいち早く知るためにも階段にそれぞれ設置する必要があります。
出火箇所 死者数 発生
件数
出火箇所別
死者発生率
(死者発生火災件数/
出火箇所別
住宅火災件数)
居 室 等 57( 41 ) 53 7.8% 53/679
台所・キッチン等 11 ( 8 ) 10 1.6% 10/639
ベ ラ ン ダ - ( - ) - - -/96
廊 下 ・ 階 段 等 - ( - ) - - -/58
便所・洗面所・浴室等 - ( - ) - - -/49
玄 関 ・ ホ ー ル - ( - ) - - -/50
車 庫 ・ 駐 車 場 等 - ( - ) - - -/21
建 物 の 外 周 部 - ( - ) - - -/15
そ の 他 1( 1 ) 1 1.5% 1/65
不 明 - ( - ) - - -/3
合 計 69 ( 50 ) 64 3.8% 64/1,675
出火箇所 負傷者数
発 生
件 数
出火箇所別
負 傷 者
発 生 率
( 負 傷 者 発 生
火 災 件 数 /
出 火 箇 所 別
住宅火災件数)
居 室 等 259( 110 ) 180 26.5% 180/679
台所・キッチン等 217( 69 ) 173 27.1% 173/639
便所・洗面所・浴室等 13( 6 ) 10 20.4% 10/49
ベ ラ ン ダ 12( 5 ) 11 11.5% 11/96
玄 関 ・ ホ ー ル 7(3 ) 6 12.0% 6/50
廊 下 ・ 階 段 等 5(1) 4 6.9% 4/58
車 庫 ・ 駐 車 場 等 1(1) 1 4.8% 1/21
建 物 の 外 周 部 1(1) 1 6.7% 1/15
そ の 他 24(9) 14 21.5% 14/65
不 明 -(-) - 0.0% -/3
合 計 539(205) ) 400 23.9% 400/1,675
※ ( )は、高齢者の内数です。
図 1-23 出火箇所別死者の割合
N=69
※ ( )は、高齢者の内数です。
N=539
居室等
57人
82.6%
台所・キッチン等
11人
15.9%
その他
1名
1.4%
図 1-24 出火箇所別負傷者の割合
- 14 -
⑷ 月・時間帯別状況
月別の住宅火災の件数を見ると、12月から 4 月までの各月で比較的多く発生しており、この
5 ヶ月間の間に、873 件(52.1%)発生しています。
月別の死者の発生状況を見ると、12 月から2月の 3 ヶ月間に 37 人(53.6%)発生してい
ます。この期間の月平均死者数約 12..3 人は、年間の月平均死者数 5.8 人より 6.5 人多くなっ
ています。
月別の負傷者の発生状況を月別に見ると、12月から4月までの5ヶ月間に309人(57.3%)
発生しています。この期間の月平均負傷者数 61.8 人は、年間の月平均負傷者数 44.9 人より
16.9 人多くなっています。
月別に件数、死者数、負傷者を見ると、いずれも火災多発期(12 月 1 日から 3 月31日ま
で)を含む期間内、あるいはその前後の時期に多く発生していることがわかります。
不明を除く死者の発生状況を時間帯別にみると、18 時から 7 時までの時間帯に 47 人
(68.1%)発生しています。この時間帯の平均死者発生率 6.0%は、年間の時間帯平均死者発
生率 3.8%より 2.2 ポイント高くなっています(表 1-18)。
表 1-17 月別死者発生状況
出火月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 合計
死 者 数 11 14 5 3 4 1 3 4 1 6 5 12 69
死 者 発 生 率 4.8% 7.8% 3.0% 1.1% 3.0% 1.1% 2.5% 3.4% 0.9% 5.0% 3.8% 7.0% 3.8%
高齢者死者数 8 5 4 3 4 1 1 3 1 6 3 11 50
負 傷 者 数 67 80 54 53 33 30 52 37 26 30 22 55 539
負傷者発生率 24.4% 29.9% 24.4% 27.6% 18.8% 26.3% 30.3% 22.7% 20.6% 20.8% 15.1% 22.1% 23.9%
高齢者負傷者数 27 25 20 14 11 14 18 23 8 11 8 26 205
住宅火災件数 209 154 164 174 133 95 122 119 107 120 106 172 1,675
死者発生住宅
火 災 件 数 10 12 5 2 4 1 3 4 1 6 4 12 64
負 傷 者 発 生
住宅火災件数 51 46 40 48 25 25 37 27 22 25 16 38 400
表 1-18 時間帯別死者発生状況
出火時間帯
0
~
1
2
~
3
4
~
5
6
~
7
8
~
9
10
~
11
12
~
13
14
~
15
16
~
17
18
~
19
20
~
21
22
~
23
不
明
合
計
死 者 数 10 8 7 8 3 5 1 5 5 6 6 2 3 69
死 者 発 生 率 7.9% 7.9% 11.3% 6.8% 2.2% 4.1% 0.7% 4.0% 2.6% 3.1% 3.6% 1.5% 2.1% 3.8%
高齢者死者数 7 6 6 6 2 5 - 3 4 4 5 1 1 50
負 傷 者 数 66 41 22 62 38 41 49 18 31 60 71 34 6 539
負傷者発生率 36.0% 32.6% 34.0% 33.3% 20.7% 26.8% 25.7% 15.8% 16.8% 21.9% 32.5% 22.7% 3.4% 23.9%
高齢者負傷者数 15 13 11 30 18 21 21 7 16 22 17 11 3 205
住宅火災件数 114 89 53 117 135 123 152 101 155 192 166 132 146 1675
死者発生住宅
火 災 件 数 9 7 6 8 3 5 1 4 4 6 6 2 3 64
負 傷 者 発 生
住宅火災件数 41 29 18 39 28 33 39 16 26 42 54 30 5 400
※1 死者発生率=死者発生住宅火災件数/住宅火災件数 ※2 負傷者発生率=負傷者発生住宅火災件数/住宅火災件数
※1
※1
※2
※2
- 15 -
1
2
3
4
2
5
6
9
6
2
1 1
2
1
2
5
3
4
8
2
0
2
4
6
8
10
男性 女性
⑸ 年齢別状況
年齢別に住宅火災による死者発生状況をみると、65 歳以上の高齢者が 50人(72.5%)と全
体の約 7 割を占めています。65 歳以上 75 歳未満の前期高齢者と 75 歳以上の後期高齢者に
区分すると、男女とも住宅火災による死者発生における後期高齢者の割合が高くなっています。
また、性別にみると、男性が 40 人(58.0%)となっており、65 歳以上の高齢者男性の死者
は、28人(40.6%)となっています。(表 1-19、図 1-25)
これに対し、女性の死者は29人(42.0%)、65歳以上の高齢者女性の死者は22人(31.9%)
となっています。
高齢者は、身体状況等により火災の発見や避難が遅れてしまい、高齢者以外と比較して生命の
危険が増すことが死者発生割合の高さに表れていると考えられます。
表 1-19 年齢別死者発生状況
年齢別 合計 火災程度 性別
全焼 半焼 部分焼 ぼや 男性 女性
乳 幼 児 0 ~ 5 2- 2 1 1
未 成 年 6 ~ 9 -
1 0~1 9 - -
成 人
2 0~2 9 3 2 1 2 1
3 0~3 9 - -
4 0~4 9 5 1 1 2 1 3 2
5 0~5 9 5 1 4 4 1
6 0~6 4 4 1 1 2 2 2
前期高齢者 6 5~6 9 10 4 2 4 5 5
7 0~7 4 9 2 2 5 6 3
後期高齢者
7 5~7 9 13 4 3 6 9 4
8 0~8 9 14 2 5 6 1 6 8
9 0 ~ 4 2 1 1 2 2
合 計 69 16 17 33 3 40 29
図 1-25 住宅火災による死者年齢別・男女別推移(自損を除く)
n=69
(人)
- 16 -
6 7 74
710
13
8 9 10
1721
1816
11
6
15
8
139
22
2931
2932
45.9%51.8% 54.2%
59.2% 59.4%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
0
10
20
30
40
50
60
70
80
平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
その他 一人暮らし 高齢者含む家族
高齢者夫婦のみ 高齢者一人暮らし 高齢者世帯のみの割合
⑹ 世帯別状況
住宅火災による死者のうち家族構成を見てみると、一人暮らし、高齢者を含む家族、高齢者夫
婦のみ、高齢者一人暮らしに分けられ、そのうち高齢者世帯のみの割合が全体の約6割を占めて
います。高齢者のみの世帯において、火災が発生した際、身体状況等により火災の発見や避難が
遅れてしまい、高齢者以外と比較して生命の危険が増すことが死者発生割合の高さに表れてい
ると考えられます(図 1-26)。
⑺ 死傷者発生時の状態別状況
住宅火災による死者の発生状況を状態別にみると、死者69人中、「就寝中」が16人(23.2%)
であり、不明を除くと最も多く発生しています(表 1-20)。
また、負傷者発生時の状況をみると、負傷者数 539 人中「初期消火中」が 159 人(29.5%)
と最も多く、次いで「家事従業中」82 人(15.2%)、「就寝中」66 人(12.2%)、「避難中」
54 人(10.0%)と続いています(表 1-21)。
表 1-20 死亡発生時の状態(自損を除く)
状 況 死者数(高齢者) 状 態 別 死 者
発 生 率
( 状 態 別 死 者 数
/ 住 宅 火 災 死 者 数 )
就 寝 中 16(14) 23.2% 16/69
家 事 従 事 中 4(3) 5.8% 4/69
休 憩 中 2(2) 2.9% 2/69
避 難 中 1(1) 1.4% 1/69
採 暖 中 1(0) 1.4% 1/69
初 期 消 火 中 1(1) 1.4% 1/69
不 明 44(29) 63.8% 44/69
合 計 69(50) 100.0% 69/69
図 1-26 過去5年間の住宅火災における死者の世帯状況別
※ ( )は、高齢者の内数で
す。
(人)
- 17 -
表 1-21 負傷者発生時の状態
状 況 負傷者数(高齢者) 状 態 別
負 傷 者 発 生 率
(状態別負傷者数
/住宅火災負傷者数)
初 期 消 火 中 159(50) 29.5% 159/539
家 事 従 事 中 82(37) 15.2% 82/539
就 寝 中 66(22) 12.2% 66/539
避 難 中 54(20) 10.0% 54/539
作 業 中 38(15) 7.1% 38/539
休 憩 中 24(11) 4.5% 24/539
防ぎょ中(消防職・団員) 6(-) 1.1% 6/539
飲 食 中 5(3) 0.9% 5/539
救 助 中 5(4) 0.9% 5/539
火 災 通 報 中 4(2) 0.7% 4/539
見 物 中 2(1) 0.4% 2/539
火 遊 び 中 2(-) 0.4% 2/539
採 暖 中 1(1) 0.2% 1/539
指揮中(消防職・団員) 1(-) 0.2% 1/539
ホース延長中(消防職・団員) 1(-) 0.2% 1/539
消 防 隊 に 協 力 中 1(-) 0.2% 1/539
そ の 他 47(15) 8.7% 47/539
不 明 41(24) 7.6% 41/539
合 計 539(205) 100.0% 539/539
「就寝中」で火災に気付かない、若しくは発見が遅れることで被害を受けるだけでなく、火災
に気づいて「初期消火中」や「避難中」でも死傷者が発生しています。
このことから、住宅用火災警報器の適切な設置による火災の早期発見はもちろんのこと、防火
防災訓練や防火座談会等における正しい初期消火方法や避難方法の周知、防炎製品や住宅用ス
プリンクラー設備等の住宅用防災機器の普及による被害拡大防止等、更なる防火対策が必要で
す。
※ ( )は、高齢者の内数です。
- 18 -
住警器
740件
44.2%
自火報等
468件
27.9%
なし
467件
27.9%
4 住宅用火災警報器の状況
⑴ 住宅火災の内訳
住宅火災 1,675 件と死者 69 人(自損を除く)を住宅用火災警報器等の設置有無別にみると住
宅用火災警報器(以下「住警器」という。)が設置されていた住宅火災は、740 件(44.2%)
死者は 30 人(43.5%)発生しており、自動火災報知設備等(以下「自火報等」)が設置されて
いた住宅火災は 468件(27.9%)、死者は8人(11.6%)、未設置の住宅火災は 467件(27.9%)、
死者は 31 人(44.9%)となっています(図 1-27、図 1-28)。
住宅火災の件数に占める住警器等設置状況別の死者及び負傷者の発生状況を見ると、住警器
等設置あり(住警器及び自火報等設置)では、死者発生件数(死者及び負傷者の両方が発生した
火災を含む)が 35 件(2.9%)、負傷者のみ発生件数が 260 件(21.5%)発生しています。
一方、住警器等の設置なしでは、死者発生件数が 29 件(6.2%)、負傷者のみ発生件数が 120
件(25.7%)発生しています。このことから、住警器等設置なしの方が、死者及び負傷者が発
生している件数の割合が高いことがわかります。(図
⑵ 住警器設置有無別の比較
住警器または自動火災報知設備等を設置している(以下「住警器等設置」という。)住宅にお
ける火災と、どちらも設置していない(以下「未設置」という。)住宅における火災を比較して
みると、火災1件当たりの平均焼損床面積は、住警器等設置住宅においては、5.2㎡となって
いるのに対し、未設置住宅では 14.4 ㎡と約 2.8倍に、火災1件あたりの平均損害額でも、住
警器等設置住宅は約 93万円であるのに対し、未設置住宅では約 192 万円であり、約 3倍と
未設置住宅における被害が大きいことを示しています(図 1-30、図 1-31)。
2.9%
35件
6.2%
29件
21.5%
260件
25.7%
120件
75.6%
913件
68.1%
318件
0%
20%
40%
60%
80%
100%
住警器等設置あり なし
死者発生件数 負傷者のみ発生件数 なし
1208件 467件
N=1,675
N=69 図 1-27
住警器等設置状況別住宅火災件数
図 1-28
住警器等設置状況別死者数
住警器
30人
43.5%
自火報等
8人
11.6%
なし
31人
44.9%
図 1-29 住警器等設置状況別の死者及び負傷者 発生件数の割合
- 19 -
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0
住警器等あり 住警器等なし
3.1
6.6
ぼや
438件
78.1%
部分焼
104件
18.5%
半焼
12件
2.1%
全焼
7件
1.2%
ぼや
119件
66.5%
部分焼
37件
20.7%
半焼
16件
8.9%
全焼
7件
3.9%
一方、住宅火災による死者発生状況を住警器等の設置状況別にみると、火災100件あたり
では住警器等設置住宅で 3.1件、住警器等未設置住宅の場合は 6.6件で死者が発生しており、
住警器等設置住宅の約 2.1 倍の死者が発生しています(図 1-32)。
⑶ 全部設置と一部設置の比較
住警器が設置されていた住宅火災(740件)のうち、条例基準どおりにすべての居室、台所、
階段に設置されている住宅(以下「全部設置」という。)と一部のみに設置されている住宅(以
下「一部設置」という。)を比較すると、住警器が設置されていた住宅火災件数のうち、全部設
置が 561件(73.1%)、一部設置が 179 件(26.9%)となっています。
火災程度別にみると、住警器が全部設置だった火災 561 件中、半焼以上が 19 件(3.3%)
に対し、住警器が一部設置だった火災 179 件中、半焼以上が 23件(12.8%)です(図 1-33、
図 1-34)。
図 1-33 住警器全部設置の火災程度 図 1-34 住警器一部設置の火災程度
0
50
100
150
200
住警器等あり 住警器等なし
93
192
0.0
5.0
10.0
15.0
住警器等あり 住警器等なし
5.2
14.4
図 1-32 住警器等設置有無別火災100 件あたりの死者発生件数
(万円))
Heihou
me-
totu
(㎡)
Heih
oum
e-
totu
(件)
N=561
N=179
約 2.1 倍
図 1-30 住警器等設置有無別
火災1件あたりの平均焼損床面積
図 1-31 住警器等設置有無別
火災1件あたりの平均損害額
約 2.1 倍 約 2.8 倍
- 20 -
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
全部設置 一部設置
3.2
6.7
128
253
459423
329289 279 258
33.8%
48.1%
79.4%
80.6%
79.3%81.5%
79.2%
87.3%
0%
50%
100%
0
100
200
300
400
500
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
奏功事例件数
(N=2417)住警器設置率
(件)
(「消防に関する世論調査」による)
(件)
住警器設置状況別に死者の発生状況を比較すると、全部設置では 561 件中 18 件で死者が発
生しており、一部設置では 179 件中 12件で死者が発生しています。
100 件あたりの死者発生件数を比較すると、全部設置では 3.2 件に対して、一部設置では
6.7 件で、約2.1 倍の差になっています(図 1-35)。
図 1-35 住警器設置状況別 100 件あたりの死者発生件数
(自損を除く)
⑷ 奏功事例の内訳
平成27 年中における住警器の作動により火災を未然に防いだ、若しくは、火災による被害を
軽減した奏功事例は、258 件ありました。また、住警器等の設置率は 87.3%となっています。
(図 1-36)
図 1-36 住宅用火災警報器奏功事例・設置率の推移
(人)
約2.1 倍
- 21 -
火災に至
らなかっ
た事例
133件
51.6%
ぼや
100件
38.8%
部分焼
21件
8.1%
全焼
3件
1.2%
半焼
1件
0.4%
n=258
居室
83件
32.2% 台所
165件
64.0%
階段
2件
0.8%
その他
5件
1.9%
不明
3件
1.2%
n=258
居住者
98人
38.0%
両方
14人
5.4%
その他
7人
2.7%通行人
14人
10.1%
隣人
125人
89.9%
居住者以外
139人
53.9%
n=258
平成 27 年中における住警器の奏功事例の焼損程度別では、火災に至らなかった事例が 133
件(51.6%)と約 5 割以上を占めています。また、火災に至った事例についてもぼやが 100 件
(38.8%)と約4割となり、住警器による火災の早期発見の効果が表れています(図 1-37)。
奏功(出火)場所別では、台所が 165 件(64.0%)、次いで居室は 83 件(32.2%)となっ
ています(図 1-38)。
図 1-37 焼損程度別奏功事例 図 1-38 奏功(出火)箇所別奏功事例
住警器の鳴動に気付いた人をみると、居住者が 98 人(38.0%)と 4 割弱である一方、居住
者以外の隣人・通行人は 139 人(53.9%)と半数以上を占めています(図 1-39)。
図 1-39 住警器の鳴動に気付いた人
火災に至らな
かった事例
※「両方」とは、居住者及び居住者以外が同時に気付いた場合です。