企業のウェブ戦略策定
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~多様化したメディア時代に企業はウェブとどう付き合うか~TRANSCRIPT
2009/12/09Takeshi KOUNO.
2009/12/09Takeshi KOUNO.
~多様化したメディア時代に企業はウェブとどう付き合うか~~多様化したメディア時代に企業はウェブとどう付き合うか~
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企業のウェブ戦略策定企業のウェブ戦略策定
Webディレクション講座2009年秋期大阪教室Webディレクション講座2009年秋期大阪教室
自己紹介(有料セミナーですし簡潔に)
• 河野武 / KOUNO Takeshi– 1974年7月3日生まれ。立命館大学経済学部卒。コミュニケーション・デザイナー。企画屋。
– 1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーランスとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワン専務取締役兼
COOを務める。2005年から2007年までシックス・アパート株式会社マーケティング担当執行役員を
務める。現在は、ブックオフオンライン株式会社取
締役のほか、数社の顧問・アドバイザーを務める。
–近著に「そんなんじゃクチコミしないよ。」がある。–個人でもcrossreview、clipmailなどを運営。
諸注意
• 今日は講義ではありません。一緒に手と頭を動かし考えていただくワークショップです
–講義の部分もありますけどね–みなさんの意見を発表していただきます
• 質問は随時受付けますので遠慮なくどうぞ–明日以降のメールでもけっこうです
• 明日は大阪をブラブラして帰るので返事は明後日になるかも
• 資料はあとで共有しますのでメモは不要です
本日の参加状況
広告/SP会社
制作会社
広告主
3
メディア
制作会社向けの話を中心にと聞いていますが、広告主の方もいらっしゃるようなので、
こういう意見もあるよってときは、ぜひ随時コメントをお願いします
(いちおうぼくも広告主サイドで仕事してますのでウソは言わないです)
13
2 6
本日のメニュー
23
企業サイトを取り巻く状況を知る
本当に実のある提案とは
1 企業のウェブ戦略を考える
よろしくお付き合いください
でははじめます
企業のウェブ戦略を考える
1
最近よく聞く話
• 予算が削減された–たしかにあります
• 費用対効果に厳しくなった–いままでが無頓着だっただけ–投資(Investment)と費用(Cost)を勘違い
• 後半に話します• ネットでクチコミがどうたらこうたら–目を覚ませ!
よくわからないものにお金は使いたくないけど、
じゃあ何に使えばいいのかわからない
企業はウェブに
何を求めているのか?
考えてください
いきなりですが、
最初の質問
企業はウェブサイトを
のために作っている。
なぜなら、今の時代は
だから/から。
(発表タイム)
(参考まで)
もう一度
別方向から考えてみましょう
そもそも企業のウェブサイトは
のために存在している。
ゆえに、
でなければならない。
(発表タイム)
(参考まで)
ここまでのまとめ
• 企業は自己の存在を証明し、収益を最大化するためにウェブサイトを作っている
–収益=売上(利益)、信頼性、人材確保$–ネットで見つからない情報は存在しないのと同じ
• その背景には消費者の変化がある– メディア接触の多様化–購買行動プロセスの中でネットでの情報収集を取り入れる人が増えてきた
–広告が効きにくい時代(鵜呑みにしない)• よって企業のウェブ戦略は短期的または中長期的において収益に貢献しなければならない
企業サイトを取り巻く状況を知る
2
企業サイト?
企業サイトへの導線
どんな導線があるか考えてみましょう
企業サイトへの導線
名刺だって導線に
企業サイトへの導線を分解
テレビ
広告
検索
ブログ
アフィリエイト
たぶんこのへんまでは
日頃から考えてますよね?
企業サイトに連れてくることが目的じゃない
• 「どういう人を、どうやって連れてくるか」という視点は大事だけど不十分
• 連れてきたあとに「どうしてもらうか」が重要–キャンペーンへの応募?–店頭での購入?
• 商品情報を参照するだけでは収益に繋がらない
誰を対象にするかどうやって連れてくるか
何をしてもらうか
ここが繋がってないと
説得力に欠ける
企業のウェブ戦略
企業サイトの
訪問者が減少?
英語圏の状況
英語圏の状況
企業サイト、メディアサイト、
ポータルサイトの伸び率は減少、
ソーシャルメディアだけが圧倒的に伸びている
$という話
整理すると
• Google Trendsは相対的な傾向(トレンド)を示すもので、下降線だからといって実数が減
少しているとは限らない
–つまりネット全体の伸びに対して企業サイトは伸びてない
–一方ソーシャルメディアはネット全体の伸びに対して伸びている
• この数字はページビュー数ではなく訪問者数なのでFlashやAjaxによるサイト内のページ遷移うんぬんは関係ない
仮に、この傾向が本当だとして
考えましょう
企業サイトの訪問者が減少する理由
企業サイトの訪問者が減少する(伸び悩む)
理由を考えてください
(発表タイム)
(参考)企業サイトの訪問者が減少する理由
ソーシャルメディアの登場ブログや価格.comのような比較サイトも含め、昔は企業サイトにしかなかった商品情報がネット上に溢れるようになった。そのため商品のスペックを確認する目的で企業サイトを訪問する利用者が減少もしくは伸び悩んでいる
ECサイトの普及インターネット利用者は検索エンジンから(企業サイトではなく)ソーシャルメディアを訪問し、たとえばブログからアフィリエイト経由でECサイトにジャンプしてそのまま購入するなど、商品の販売プロセスに企業サイトが不要になっている
検索エンジンの変化ディレクトリ型から、下層ページにダイレクトに利用者を誘導するロボット型に主流が移り、さらにCGMと称されるページ群が大量に⽣成された結果、 製品名で検索しても企業サイトが2ページ目以降に下がってしまうことが増えた。つまりかなりの割合を占めていた検索エンジン経由の流⼊(=訪問者数)が減少もしくは伸び悩んでいる
企業サイトの訪問者が減少する(伸び悩む)
理由を考えてください
(参考)日本の状況
(参考)日本の状況
メディアサイトやポータルサイトは下降傾向だが、
企業サイトでもコカ・コーラなどは伸びているし
ソーシャルメディアでもmixiなどは下降している(Facebookがないためか)
英語圏に比べると全体的に伸びてない印象
(参考)インターネット普及率
インターネット利用者数(推計)は、6歳以上で、過去1年間に、インターネットを利用したことがある者を対象と
して行った本調査の結果からの推計値。インターネット接続機器については、パソコン、携帯電話・PHS、携
帯情報端末、ゲーム機等あらゆるものを含み(当該機器を所有しているか否かは問わない。)、利用目的等に
ついても、個人的な利用、仕事上の利用、学校での利用等あらゆるものを含む。
平成20年「通信利用動向調査」
全体の利用者数が増えてないので、
個々のサイト訪問者数が伸びてないのも
当然といえば当然
(参考)Yahoo!JAPANのデータ比較
傾向としては伸びてないように見えても
実際には(傾きはゆるやかだが)
伸び続けている
企業サイトの訪問者数は減っているのか
• 企業サイトの訪問者数–ソーシャルメディアに比べると伸びていない– しかし実数は伸びている(必ずしも減ってない)
• そもそも企業サイトは目的地なのか?–目的地ということはそこで何かが完結すること
• 何が完結するのか?–企業サイトに訪問してもらわなければ完結しないのか?
企業サイトそのものの役割を
再考する必要がある
企業サイトは
経由地でいい
(その1)
企業サイトはあくまでも経由地
• そもそも企業サイトは目的地でなくていい– ECサイトなり店頭なりで商品が売れれば十分
• 極論、まったく参照されずに商品が売れるのであれば(企業サイトの運用コストがかからない
ので)悪い話ではない
–採用やIRなど他の用途についてはここでは無視• 検索結果にブログや比較サイトが表示される以上、顧客(見込み顧客) は勝手に調べる
–検索結果では個人のブログも企業サイトも並列• 大事なのは、最終的にどこに連れていくか
経由地としての企業サイトの役割
どこから? どこまで?
ブログ
検索
商品説明
ブログで読んだゲームソフトがほしくなった
アフィリエイト
ECサイト
経由地としての企業サイトの役割
どこから? どこまで?
テレビ 店舗検索
テレビ番組で餃子の王将が紹介されてて食べたくなった
検索
店頭
経由地としての企業サイトの役割
どこから? どこまで?
テレビ 店舗検索
テレビ番組で餃子の王将が紹介されてて食べたくなった
検索
店頭
最適化されているか?
企業サイトだけで
完結するのか?
(その2)
企業サイトだけで完結するのか
• キャンペーンの応募ならともかく、商品購入などは企業サイトだけで完結しない
–消費者は情報を鵜呑みにしない• 検索、比較、相談�
–消費者は簡単に信用しない• 信用にたるだけの情報を開示していますか?• 隠しても必ずバレます
企業サイトはインターネットの一部であり、
購買行動プロセスにおいても
その一部に過ぎないことを認識すべき
(無視されることすらある)
企業サイトとソーシャルメディアをリンクする
• 企業サイトだけで完結しない時代• ソーシャルメディア上に設けた企業アカウントやコミュニティを含んだネットワークを構築
–ユーザーはほっといても勝手に情報を(いい情報も悪い情報も)流通する
–それを促進したり、あるいは正しく補正したりするには、企業が自らソーシャルメディアに参加してい
く必要がある
• 企業サイトそのものをハブ的な位置づけに– どんどんリンクしてソーシャルメディア側に情報だけでなくトラフィックも流していく
–商品情報だけでなく、体験談も企業サイトで紹介
ここまでのまとめ
• インターネット全体の傾向としては企業サイトよりもソーシャルメディアのほうが伸びている
• 企業サイトを経由地として考える– どこから連れてきて、何を体験してもらい、どこへ案内するのかを徹底的に考える
• 企業サイトだけで考えない–来てもらうのではなく、こちらから伺う姿勢–ソーシャルメディア上には無数の声がある
• オンラインモニタリングの結果をウェブ戦略に反映• どうすれば企業と消費者を繋ぐことができるか–そのためのウェブであり、その先に収益がある
本当に実のある提案とは
3
提案時のチェックポイント
• 目的は短期的な貢献か、中長期的な貢献か–短期的には売上/利益アップ
• 費用対効果が問われる• キャンペーンサイトはほぼこっち
–中長期的には顧客支持率(CS/CR)アップ• 投資対効果が問われる(いわゆるROIはこっち)• コーポレートサイトはこっちが多い
• どこからどこに連れて行くのか–本当のゴールは何か–企業サイトだけで成立するのか
• 広告展開は不要?• ソーシャルメディアは?
ケーススタディ
ケーススタディ
• ブックオフのサイトを題材にしましょう
–ぼくも常日頃から言いたいことありますし• あなたならどのような提案をしますか?
–サイトそのもののリニューアル–広告展開–ソーシャルメディアへの参加– etc.
企業が抱える課題や目的を踏まえて、
具体的な提案を考えてみてください
(パクらないので大丈夫です)
コーポレートサイトの場合
このサイトの目的(仮):
大)店舗誘導、買取促進
中)採用
小)会社概要、IR
予算:500万円納期:3ヶ月 無視してもいいです
考えましょう
コーポレートサイトへの提案
提案するのは
期待される効果は
(発表タイム)
(参考)コーポレートサイトへの提案
提案するのは
ジオターゲティングの技術を使い、アクセスしてきたIPアドレスから自動で最寄の店舗をページのメイン部分に表⽰しておき、訪問者の検索の⼿間を軽減する。さらに店舗の住所をケータイにメール送信できるようにする。また、アクセスしてきた時間に応じても表示を連動し、もし営業時間外の場合はブックオフオンラインへ誘導。現状のお知らせ部分はほぼ無意味なので有効活用する。
期待される効果は
離脱率が軽減し、店舗ページへのアクセス数が増える。その結果、実際に店舗を訪れる客数が増加することが期待される。
テクノロジーを知る
• 動的なコンテンツ生成
–自動振り分け、表示切替• 位置情報、時間帯、ケータイ機種、ブラウザ�
– LPO(Landing Page Optimization)– A/Bテスト
• 効果測定と相関分析
–目的を達成するにはどの数値を改善すればいいのかを正しく理解する
–阻害要因を明確にして共有する• でないと理不尽な責任を追及されることに
このあたりは前々回で紹介されてますね
(参考)コーポレートサイトへの提案
提案するのは
「店舗貸切全国キャラバン」の実施。各都道府県の代表店を決めて、開店前の1時間を目処に当選者が買い漁れるキャンペーンを実施。軍資⾦として5〜10万円を提供。店舗単位で抽選。店舗またはブックオフオンラインで1000円以上購入すると応募券がもらえるようにする。応募はウェブで⾏う。貸切キャンペーンは毎週末に⾏うイメージで、そのキャラバンの模様をブログやYouTubeを使って公開する。
期待される効果は
応募券をもらうために来店客数が増えることが期待される。さらにキャンペーンのスケジュールを事前告知することで、ネットでの話題波及に加え、当⽇の(⾒学目的の)来店客数増も期待される。
キャンペーンサイトの場合
このサイトの目的(仮):
大)CSR(活動報告)中)ブランドイメージ向上
小)買取促進
予算:100万円納期:1ヶ月 無視してもいいです
考えましょう
キャンペーンサイトへの提案
提案するのは
期待される効果は
(発表タイム)
(参考)キャンペーンサイトへの提案
提案するのは
このサイトとは別に企業のCSR活動についての情報ポータルにあたるメディアサイトを構築する。またはスポンサーとして支援する。構築は大掛かりなものではなく、ブログ程度で⼗分。そして共同で取り組んでもらえる企業もそこで募集する。(おそらくCSR担当者は検索して訪問すると推測)
期待される効果は
CSRについて考える機会を増やし、ブックオフの取り組みが自社のビジネスと直結した活動なので他社と比べても持続可能性が高いことを伝え、さらには相乗りを希望する企業が現れることを期待する。
まとめます
本日のまとめ
• 企業のウェブ戦略はサイトを作ることではない– とにもかくにも収益を上げること(当たり前)
• 短期的な戦略と中長期的な戦略は別である
–投資とコストはちがう• 確実性を求めるのか、ホームランを狙うのか
–回収までの時間軸も分けて考える• 入口だけでなく出口をきちんと考える
– どこから連れてきて、どこへ案内するのか• すべては消費者ありき–消費者がいるところに自ら出向く
• ソーシャルメディアもそのひとつ
thank you!
• ご清聴ありがとうございました
• 今日の内容の質問は無償でお答えします
– [email protected]– http://smashmedia.jp/blog/–検索してもOKです
Special thanks to�_boris,and my friends!