駐車待ち時間を短縮する

駐車場ナビゲーション

○孫為華(1

、剣持真弘(2

、柴田直樹(2

、安本慶一(2

、伊藤実(2

(1 大阪大学 サイバーメディアセンター

(2 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科

駐車に多大な時間

� 大型駐車場のどこに車を停めるべきか？

� ショッピングセンター、スポーツ会場、駅、あらゆる駐車場

� 多くの人は人気ゾーンに車を停めたい、そしてはまる

� 出入り口、EV付近

� 駐車待ち時間の増大

� 利用者の不満

� 燃費、排気、etc…

� 駐車ナビが必要

� 駐車の所要時間を短縮

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2

駅付近駐車場

の混雑例

多くの技術で駐車情報を提供

駐車場利用情報表示

A，車両ごとに管理(粒度が小)

� センサ－・フラップ式

� 駐車スペース使用状況をセンサで検知

B，一括管理（粒度が大）

� 入り口ゲート式

� 車両台数をゲートで検知

問題点

� すべての車両に対し同じ情報を提供

� 特定のエリアに殺到し，渋滞を引き起こす

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3

駐車経路案内手法SPARK[1]

� 経路案内

� 駐車場内に複数の通信路側機を設置

� 車両の発する電波により車両位置をリアルタイムに測定、空車スペースへ誘導

� セキュリティ

� 車両盗難検出

� 問題点

� 普及率が100%でなければならない

� ナビゲーションに従わなければならない

� 違反車出る場合、本来そのスペースに案内されていた車両に影響→破たん

� 利己的ドライバー

� 渋滞した駐車場では効果が低下

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4

[1]R.Lu, X.Lin, H.Zhu, X.Shen, “A New VANET-based Smart Parking Scheme for Large

Parking Lots” in Proc. IEEE INFOCOM2009, 19-25 April 2009, pp1413-1421.

既存手法との性格比較

設置・維持

低コスト

負荷分散

ナビゲーション

システム頑健性

破たんしない

早く駐車できる！

車両ごと管理 × × ○ ？

一括管理 ○ × ○ ？

SPARK ○ ○ × ？

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5

必要な手法必要な手法必要な手法必要な手法 ○○○○ ○○○○ ○○○○ ○○○○

なにより、普及率低い状況でも、有効でなければならない！

発表構成

� 研究背景

� 提案手法

� 評価実験

� まとめ

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6

提案手法の概要

目的：駐車待ち時間が最小となる経路をドライバーに提示

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7

• 駐車場内各ゾーンの利用状況を収集

• 結果を車に通知

駐車待ち時間期待値

経路1:2分

経路2:3分経路1

経路2

？

ドライバーに提示

ゾーン1

ゾーン3

ゾーン5

ゾーン2

ゾーン4

駐車場

� 駐車場の構造情報

� 経路、駐車ゾーンの容量

� 車両への情報案内機構

� WiFiなど

� 駐車ゾーン利用状況の収集機構

� 各駐車ゾーン利用状況を収集するサーバ

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8

駐車ゾーン

分岐点

入出場口

店舗入口

車両

� カーナビとWiFi受信機の搭載が望ましい

� サーバから駐車場情報を受信

� 駐車路線の計算と提示

� 自分が位置するゾーンを把握可能

� GPS使えるところはGPS

� 無線LANのAPを用いたフィンガープリンティング

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9

提案手法の流れ

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10

駐車場情報収集ビーコン

位置検出

現在位置

現在位置

駐車場情報の計算

駐車場情報

駐車場情報

経路計算

駐車場情報の計算方法（サーバ側）

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• サーバで駐車場利用情報を計算

▫ ゾーン間の移動時間 : 駐車場の構造情報

▫ ゾーンの駐車確率計算（状況を正確に把握できない場合）

� 過去一定時間, 各ゾーンにおける車両の

駐車数////到達数＝駐車確率

ゾーンC

ゾーンA

ゾーンB

入場口

到達数 8

駐車数 6

駐車確率 = 6/8 = 75%

出発数 2

駐車場情報を見積もる際の設定

� 駐車確率は過去30分のデータで計算

� 渋滞してくると結果に反映される

� 30分内に一台も到達してないゾーンの駐車確率は50%

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12

駐車経路の計算方法（車両側）

� サーバからの駐車場情報を受けて実行

� 入力：各ゾーンまでの移動時間と駐車確率

� 一定範囲内の複数ゾーンを巡回する全経路を探索

� 駐車所要時間期待値の小さい経路をドライバーへ提示

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13

入場口ゾーンA

ゾーンBゾーンD ゾーンC

ゾーンE

各経路の待ち時間期待値の計算方法

� 待ち時間期待値の計算

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ゾーンA ゾーンB ゾーンC

TR1

=2 TR2

=5 TR3

=5

移動時間

TZA

=1 TZB

=1 TZC

=1

ゾーン内移動時間

PA

=0.5 PB

=0.3 PC

=0.2

駐車確率

待ち時間期待値 = 0.5・(2+1) + (1 – 0.5)(0.3・(7+1))

+ (1 – 0.5)(1 – 0.3)(0.2・(12+1)) = 3.61

駐車経路計算のための予備実験

� 計算経路長

� 無限長のルートで計算すると膨大な計算量

� 長さkで打ち切り，その期待値を近似値として利用

� 長さkを予備実験で決定

� 実験結果

� 長さ3以上の経路は待ち

時間に顕著な差はない

� 提示経路の長さkを4とする

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15

提示経路で到来車両をばらける

� 混雑時、同時に入場する車両は提示経路が重複

� 予想駐車時間を大幅に超過する可能性

� 時間期待値の小さな経路ベスト3からランダムに提示

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発表構成

� 研究背景

� 提案手法

� 評価実験

� まとめ

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17

評価実験

実験目的

提案手法を用いた際の駐車待ち時間を従来手法と比較

� 実験シミュレータ

� 駐車場のモデル：イオン奈良登美ケ丘の駐車場

� 用いた駐車データは統計データ

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18

シミュレーション環境

� 駐車スペースや通路にセルを対応さ

せたセルオートマトン

� セルの集合で駐車場を表現

� 提案システム搭載率：10%, 100%

� 駐車場の初期状態：全て空車

� 入構台数はイオンの統計数を利用

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2F2F2F2Fゾーンゾーンゾーンゾーン1111

2F2F2F2Fゾーンゾーンゾーンゾーン2222

2F2F2F2Fゾーンゾーンゾーンゾーン3333

1F1F1F1Fゾーンゾーンゾーンゾーン

4F4F4F4Fゾーンゾーンゾーンゾーン

40404040

30303030

50505050

20202020

50505050

ベンチマーク手法１と２

� ランダム手法

� 行き先をランダムに決定

� 行き先ゾーンが満車の場合，再度行き先をランダムに決定

� 掲示板案内手法

� 入場時，各ゾーンの空車スペースの有無の情報を提示

� 空のゾーンの中で最も人気の高いゾーンを行き先に選択

� 行き先ゾーンが満車の，ランダム手法に切り替える

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20

ベンチマーク手法３

� グリーディー手法

� 50％の車両

�最も人気の高いゾーンに向かい，満車でも４度巡回

�無理なら次の人気ゾーンに向かい，同様の行動

� 残り50％の車両

�ランダム方式を採用

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21

� ֩◌

利己的行動とシステム普及率

� すべての手法において、案内された経路に到達する前に空

きスペースを発見した場合，すぐに駐車

� すべての人は利己的

� 提案手法、異なる搭載率を用いた

� 搭載率10%の実験では、未搭載車両(残り90%)は掲示板案内手法

� 搭載率100%の実験では、全車両は提案手法を用いる

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提案手法 掲示板案内手法

評価実験：入場口毎の入場車両比率

� 均等入場

� 3つの入場口から車両が均等に入場

� 非均等入場

� 入場口毎に到来する車両に偏りが存在

� 1F入場口に全体の1/2

� 2F入場口1、2に1/4ずつの車両が到来

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23

� ◌֥

実験結果：入場車両比率(均等入場)

手法手法手法手法 平均時間平均時間平均時間平均時間((((秒秒秒秒)))) 最大時間最大時間最大時間最大時間((((秒秒秒秒))))

搭載率100% 79.2 216.0

搭載率10%(搭載車) 96.1 219.0

搭載率10%(非搭載車)

124.0 961.0

ランダム手法 121.4 1184.0

掲示板案内手法 109.4 997.0

グリーディー手法 244.1 3964.0

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24

• 提案手法を用いる場合

• 搭載車両は平均・最大両方において短い時間で駐車可能

• 非搭載車両は、平均ではランダム、掲示板方式とほぼ同等な性能

• 最大時間の場合も近い結果

実験結果：入場比率(均等入場)

� ランダム、掲示板手法が提案手法搭載率10%と拮抗

� 提案手法を搭載した車両は大幅に所要時間が短縮

� 提案手法中、未登載車は恩恵を受ける

2013/12/4

25

グリーディーグリーディーグリーディーグリーディー

ランダムランダムランダムランダム

掲示板掲示板掲示板掲示板

提案提案提案提案10%10%10%10%

((((全車両全車両全車両全車両))))

140 170 190 320

փ�

実験結果：入場比率(非均等入場)

手法手法手法手法 平均時間平均時間平均時間平均時間((((秒秒秒秒)))) 最大時間最大時間最大時間最大時間((((秒秒秒秒))))

搭載率100% 100.0 549.0

搭載率10%(搭載車) 109.1 575.0

搭載率10%(非搭載車)

132.3 1193.0

ランダム手法 226.0 1792.0

掲示板案内手法 161.4 1716.0

グリーディー手法 375.4 5834.0

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•提案手法を用いる場合、非搭載車

•平均時間において、それぞれ42%, 18%, 65%改善

•最大時間において、それぞれ34%, 31%, 80%改善

•非搭載車も待ち時間が短縮

実験結果：入場比率(非均等入場)

� ランダム、掲示板手法に比べ提案手法では搭載率があまり高くない

場合でも駐車所要時間を削減可能

� 提案手法は到来車両に偏りが発生する場合、高い性能を発揮

2013/12/4

27

ランダムランダムランダムランダム

掲示板掲示板掲示板掲示板

200 240 360

17%改善

44%改善

提案提案提案提案10%10%10%10%

((((搭載車搭載車搭載車搭載車))))

提案提案提案提案10%10%10%10%

((((全車両全車両全車両全車両))))

グリーディーグリーディーグリーディーグリーディー

禀 ֲ◌

考察(非均等入場)

� ランダム手法： 1Fゾーンの混雑に多くの車

両が巻き込まれた

� 掲示板案内： 目的ゾーンまで距離が長く,

ゾーン間の移動中に目的ゾーンが埋まって

しまい駐車時間が増大

� 提案手法： 最初の目的ゾーンが満車でも、

次のゾーンが指示されているため,

大幅な増大は見られなかった

2013/12/4

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非搭載車両:

搭載車両がわずかでも、場内車両分布をバランスする効果が表れる

その結果、非搭載車両が駐車しやすくなる

禀 ֲ◌

評価実験：駐車場容量と構造

� 駐車場容量と構造を変えて実験

� 入場車両数は容量によってフィッティング

2013/12/4

29

� 1：駐車容量818台

� 2：駐車容量697台

� 3：駐車容量418台

� 4：駐車容量297台

禀 ֲ◌

実験結果：構造、容量変化

� 駐車場の規模が大きくなるに連れて待ち時間も増加

� 提案手法は駐車容量にかかわらず安定した性能を発揮

2013/12/4

30

禀 ֲ◌

考察：構造、容量変化

� グリーディー、ランダム手法

� 入場車両が増加することで，渋滞の規模が拡大したため待ち

時間が増加

� 掲示板手法

� 駐車場が大きくなるにつれて，目的ゾーンまでの移動時間が増

加し，到達時に入場時の状況と異なっているケースが多くなる

ため待ち時間が増加

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まとめ

� 大型駐車場において、車両が入場から空きスペースを見つけ駐

車までの時間を最小化するナビゲーション手法を提案

� 奈良登美ヶ丘イオンモール駐車場データを用いたシミュレーション

� 搭載率が低い時でも、非搭載車両は駐車待ち時間が短縮された

� 今後の課題

� 実用化に向けて登美ヶ丘イオン以外の駐車場マップとデータで実験

� お世話になったイオンにこの論文の送付…

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