地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

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地域に暮らす精神疾患の方の 理解と関わり方 金子周平(鳥取大学)

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この資料は個人的な学習以外の目的では用いないで下さい。 また資料の使用による不利益などの責任は一切負いませんのでご了承ください。

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Page 1: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

金子周平(鳥取大学)

Page 2: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•入院医療中心から地域生活中心へ厚生労働省 平成16年9月「精神保健福祉施策の改革ビジョン」 …国民意識の変革/精神医療体系の再編/地域生活  支援体系の再編/精神保健医療福祉施策の基盤強化 …地域生活中心の方針が出される

厚生労働省 平成21年9月「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」 …同じ方針で継続

Page 3: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•入院医療中心から地域生活中心へ

     「厚生労働省みんなのメンタルヘルス総合サイト」より転載

Page 4: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•入院医療中心から地域生活中心へ厚生労働省 平成23年4月「精神障害者アウトリーチ推進事業の手引き」 都道府県が医療法人などに事業委託

 想定されるチーム構成  精神科医・看護師・精神保健福祉士・ 作業療法士・

  相談支援専門員・臨床心理技術者・ピアサポーター

 ※アウトリーチ…ここでは主に訪問活動のこと        (誘いかけ、働きかけの意味もあり)

Page 5: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•入院医療中心から地域生活中心へ精神障害者アウトリーチ推進事業 平成23年度は15府県24機関(未:鳥取県) 平成24年度は24自治体37機関(未:鳥取県)

今後も…入院期間は短縮し、地域生活中心が進んでいく…アウトリーチ活動を行う医療機関が増える必要がある

Page 6: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•入院医療中心から地域生活中心へ厚生労働省 平成23年12月第10回医療計画の見直し等に関する検討会資料より抜粋…4.手厚い人員体制や退院支援・地域連携の強化など、  必要な時に、入院医療を受けられる体制5.医療機関等が、提供できるサービスの内容や実績等に  ついての情報を、積極的に公開する…略…サービスを  利用しやすい環境を、提供することを目指す

Page 7: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

地域に暮らす精神疾患の方に 私たちができること

Page 8: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•地域に暮らす精神疾患の方

・統合失調症・気分障害・発達障害・認知症・ひきこもり など

Page 9: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•地域に暮らす精神疾患の方にできること

ネットワークで支援するA. 関係機関(医療・福祉)の情報を教えるB. 関係機関につなげるC. 関係者同士でネットワークをつくる

Page 10: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•地域に暮らす精神疾患の方にできること

生活とこころを支援するa. その方にとって安心・安全な距離を保つb. あと一歩の領域を少しずつ援助するc. 今持っている力を最大限活かすd. 受容的・共感的にこころに関わる

Page 11: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•A. 関係機関(医療・福祉)の情報を教える    精神障害の時期ごとの関係機関

関係機関

予防 保健所・精神保健福祉センターなど!保健・福祉の関係機関

通院治療 医療機関、精神科・心療内科の病院、!クリニック、精神保健福祉センターなど

入院治療 精神科病院、救命救急センターなど

回復 精神科病院、在宅医療、訪問看護、デイケア、ハローワーク、地域障害者職業センタ―

Page 12: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•A. 関係機関(医療・福祉)の情報を教える

認知症疾患医療センター整備状況(平成24年2月現在)=40道府県、10指定都市、146カ所

鳥取県 渡辺病院 平成21年~    倉吉病院 平成21年~    養和病院 平成21年~

    南部町国民健康保険西伯病院 平成21年~

Page 13: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•A. 関係機関(医療・福祉)の情報を教える

1.あくまでも情報だけを伝える ※必要な情報「でしたら◯◯病院がありますよ。  △△相談を受け付けていますよ」とだけ伝える

2.情報とともにメリットを伝える ※メリットはあくまでも ”I statement” で伝える。 「私は◯◯がメリットだと思います。△△さんはいかが でしょうか」と相手の考えを尊重して聞く

Page 14: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•B. 関係機関につなげる

1.自分で受診・相談ができるように援助する

2.必要があれば、回数限定で付き添う

3.医師や相談員に注文を付けられるように援助する 病院や相談機関に対する抵抗感や怖さを話してくれる ようにゆっくりと関わる。気持ちをすぐに否定しない 

Page 15: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•B. 関係機関につなげる

4.うまくつながらなかった時のことを考えておく その時の気持ちについて話してもらえるように、 相談ができるように、関係を継続しておく 別の関係機関について話ができるようにしておく

Page 16: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•C. 関係者同士でネットワークをつくる

1.地域の関係機関を把握しておく

2.正式なルートを通してネットワークをつくる 個人情報をしっかりと守る

3.個人のコネクションに頼らない仕組みを作る 人が変わっても持続できるネットワークにする

Page 17: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•a. その方にとって安心・安全な距離を保つ

1.気持ちについて話題にしない 今の気持ちや状態、その理由について話題にすると、 「気持ちに入り込まれて怖い」と感じられる方も多い

2.その方のペースを守る 信頼関係を築く、自然でスムーズな変化を促す 話が進みすぎないように、短時間ですませる

Page 18: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•a. その方にとって安心・安全な距離を保つ

3.常に逃げ道をつくりながら関わる4.肯定も否定もせずに聞く 被害的、否定的になりすぎている時、現実的ではない話 をしているときは、「◯◯と思われたんですね」と あっさりと聞く

Page 19: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•b. あと一歩の領域を少しずつ援助する

1.一般的な通念、理想を押し付けない 「~べき、~なければならない」というニュアンスが 含まれる言い方で伝えない2.その人があと一歩で到達できそうなところをみつける  今日できること、今週できること、8~9割うまくいき そうなところをみつける

Page 20: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•b. あと一歩の領域を少しずつ援助する

3.不安や恐怖を伴う課題には、1ステップずつ進める 例)外出する=「外出することをイメージする、入浴・     洗面する、着替える、靴を履く、外に出る、     玄関を出る」ことを一つ一つゆっくりと

4.不安や恐怖を伴わない課題では、途中までを援助する 例)援助つきで[靴下の準備、つま先にかぶせる、   かかとまで靴下をかぶせる]まで行い、最後に   自分で[靴下を上までまくる:仕上げ]をさせる

Page 21: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•c. 今持っている力を最大限活かす

1.できているところをみつけてフィードバックする  得意なこと、できることを活かした活動を提案する

2.できるコミュニケーションのチャンネルを探す 話し言葉、書き言葉、ジェスチャー・サインなどの 中からつながりやすいものを積極的に使う

3.できることは自分でできる機会を提供する

Page 22: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•d. 受容的・共感的にこころに関わる

1.その人の生き方を尊重する 誰もが今できる精一杯をしていると受容的に捉える その人が自分の力を発揮できるように促す

2.共感的に関わり、表現を促す 本人の感じていることに一歩後からついていくように する。自分が何に困っているか、何をしたいかが分かる ように促す

Page 23: 地域に暮らす精神疾患の方の理解と関わり方

•その他の大切なこと

1.まずはこころに関わろうとせず生活を支える  その人が自分の力を発揮できるように促す

2. 自らのバーンアウト(燃え尽き)を防ぐ 援助者が疲れ果ててしまわないようにする 援助者が我慢を重ねた結果、相手にマイナスの感情を 抱いてしまわないようにする