予防消防を執行する上での行政法について

山崎栄一研究室EIICHI YAMASAKI　 LABORATORY http://www.eiichiyamasaki.com/

予防消防を執行する上での行政法について

大分大学　山崎栄一

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山崎栄一研究室 EIICHI YAMASAKI　 LABORATORY

はじめに―本日の全体的流れ

I. 消防法・消防行政の特徴II. 行政法の特徴　　行政行為と法律行為との比較　 5条命令と取消訴訟・国家賠償

III. 行政手続法　　行政指導　不利益処分に対する手続　事前手続の要否

IV. 行政救済法　　教示義務（不服申立　取消訴訟）　行政不服審査の種類　　

V. 刑事訴訟法等　行政代執行法　VI. 検討会から見た予防消防の現状

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講演会が目指すところのイメージ

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実務上の知識

実務上の知識

実務上の知識

実務上の知識

実務上の知識

行政法の全体像から、予防消防の実務を見つめ直す。たんなる知識の寄せ集

めに過ぎない。点が線になっていな

い。


Ⅰ．消防法・消防行政の特徴

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消防行政の特徴

基本的には規制行政　　生命身体ならびに財産の安全は、「消極目的」に基づく･規制であるので、必要最小限の規制しかできない。

　　漠然とした危険性だけでは規制ができない。そういった危険が現実化し、ショッキングな事故になってはじめて規制の強化が行われる。

　防火対象物の令別表 6項（ロ）の建物は、 275㎡以上の場合スプリンクラー設置が義務づけられているが、2006年 1月に火災があったグループホームの延べ面積が 279㎡であったことによる

「事故の発生」→「類似の施設の総点検」→「規制強化」

真の意味での「予防」という発想はない

常に後手回り→「人柱行政」5


消防法の特徴

憲法

法律

政令規則条例･･

密接に関連しており、

頻繁に改正されている

政令で定める…（第 8条）

総務省令で定める…（第 5条第 3項）

法律―政令―規則　が緻密に連携しあっている法体系　　消防法の体系がわかれば、どんな法令でも読める！！

　　法律建築設備医療など幅広い知識が必要！！･･･　　消防官には「文武両道」が求められている！！　　

市町村条例でこれを定める…

（第 9条）

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消防官のもっているリスク

身体リスク　　消火・救助活動は、一般的に危険な活動　　公務災害に対する補償

法違反リスク1. 間違った行政処分・行政指導等をしてしまう→違法な行政活動

2. 違法な行政活動による賠償責任→国家賠償　民法不法行為

3. 消防・救助活動に伴う刑事責任→業務上過失致死傷　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　建造物損

壊罪住居侵入罪

「医師」なども同様のリスクを抱えてい

る

保険もあり

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Ⅱ．行政法の特徴

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民法と行政法との違いについて

民法の場合

私法に分類法律行為を中心に構成民事訴訟による救済

行政法の場合

公法に分類行政行為を中心に構成行政訴訟・不服申立による救済

市民市民

市民

行政

禁止下命･許可・認可　　　等

行政が一方的に権利義務を確定･

契約等

両者の合意によって権利義務が確定･

対等な立場

優位な立場

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いきなり行政法から始めると挫折する！！

どちらも意思表示が命

モノ・カネ・サービス


行政法の体系

行政行為≒行政処分

消防組織法　地方自治法　公務員法

消防法（施行令施行規則）　･危険物の規制に関する政令（規則）

行政不服審査法　行政事件訴訟法国家補償法

伝統的な行政法学の中心的概念

行政組織法

行政作用法

行政救済法

法律による行政の原理

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行政行為とは

１ •行政庁が、

２ •法令に基づき、

３ •公権力の行使として、一方的に、

４ •具体的な事実に関して、

５ •特定の国民に対し、

６ •直接法的効果を発生させる行為（義務を課したり、権利を与えたりする）

行政庁とは行政処分（許認可　命令　禁止等）を行う権限を有して

いる行政機関（ポスト）を指す

行政庁が誰なのかを常に意識せよ！！組織法作用法救済法全てに関係する用語である！！！･･

１６～どれが欠けても行政行為とはならない＝別の活動様式

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行政処分（行政行為）の特殊な効力

公定力

• 権限のある行政庁・裁判所が取消をしない限り、行政処分の効力が有効なものとして扱われる

不可争力

• 一定の期間を経過すると、国民は不服申立・行政訴訟を提起できなくなる　　　　　（特例：第 5条の 4　第 6条 1項＝ 30日以内　通常は　 60日　 6ヶ月）

自力執行力

• 裁判所を経由せずに、自力で強制執行をすることができる　　　　　　　　　　　　　　　　　　　行政代執行がその一例

• 民事の場合は、自力救済が禁止されているので、裁判所を経由して強制執行することになる

申立や訴訟をしても、代執行等の手続は停止しない

行政のゴリ押し力

これらの効力によって行政が優位に立っている。

その分、行政が仕事を進めやすい。12


予防消防の全体像　違反処理の流れ

消防同意製造所等の許可

使用検査完成検査

防火管理指導保安管理指導

立入検査警告

認定許可の取消し･

代執行（略式）

告発（過料事件の通

知）

命令行政処分

行政処分の取消し

行政上の強制執行

刑事的処罰手続行政指導行政調査

行政手続法

行政手続法行政不服審査法行政事件訴訟法

行政代執行法

刑事訴訟法等

本日は、警告以降の違反処理の手続について

解説を行う。

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5条命令等の発動―危険性と行政裁量

危険性大小

行政裁量の範囲内

違法違法合法

規制権限の不行使（国家賠償法）

過剰な規制権限の行使

（訴訟法不服審査･法）

違反処理基準に基づいた運用がなされる

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規制が違法と判断される場合の法関係

消防署長所有者等

5条命令等

不服申立行政訴訟

命令の取消を求めて訴えている

5条命令を取り消す判決があった場合は、損失を補償しなければならない（第 6条 2

項）国賠法の特例〔無過失責任〕

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規制をしないことが違法と判断される場合の法関係

消防署長等

被害者所有者等

権限の不行使国賠訴訟

権限の不行使に対する国家賠償訴訟

札幌地裁昭和 55・ 3・ 5

国家賠償権限不行使についてはなかなか認められ

ない

民事訴訟

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Ⅲ．行政手続法

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行政手続法の構造

総則―適用除外

申請に対する処分

不利益処分

行政指導

届出

予防消防に関連する部分

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行政手続法の位置づけ　意義

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行政手続（事前的救済）

行政処分不服申立行政訴訟

（事後的救済）

審査基準や意思決定プロセスの明確化聴聞弁明の機会の保障･

恣意的な運用の防止↓

国民の不満を事前に解消する違法不当な行政活動を事前に防止する･


適用除外

行政活動の性質に基づく適用除外（第 3条第 1項）1. 第 11号　試験または検定の結果2. 第 13号　公益（＝安全）を確保するための権限行使3. 第 14号　資料の提出　報告4. 第 15号　不服申立に対する決定採決･

地方公共団体が行う、条例等に基づく処分届出（第･ 3条第 3項）

地方公共団体が行う行政指導（第 3条第 3項）　法律等に基づく処分届出は適･用される！！

法律と条例の違いは何か？

現場で職員が臨機応変に対応する必要

消防法第 3条第 1項の屋外における火災予防等

の措置命令

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行政指導

行政指導とは、行政機関の任務に属する一定の事項について、相手方が任意に協力・履行してくれることを期待して行う活動

あくまでも任意であるので、行政指導に従わなかった者に対して不利益な取扱をしてはいけない

事実行為なので、法的効果（権利―義務の変動）はない

事実行為なので、不服申立・行政訴訟の対象とはならない

地方公共団体の行う行政指導（市町村の消防）には、行政手続法は適用されない

昔から行われている行政手法であるが、法令上は行政手続法（ 1994年）ではじめて規定された

要するに、行政手続法でタテマエを貫

徹させた

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行政指導の特徴行政指導によって、指導ができる範囲

法令によって、強制ができる範囲ソフトな指

導

ハードな指導

①　日本の法文化にフィットしている

②　現行法令の不備を補完できる

あいまいな法的根拠・強制力によって、国民の自由が制限されるという

事態に

行政指導が実質的に強制力を持つ

従うしかない

不利益取扱の暗示空気を読めよ…

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予防消防と行政指導

消防署長所有者等

立入検査結果通知書警告書の交付

　行政手続法の適用は受けないが、実務的に従来から行政手続法第 35条（行政指導の

方式）の要請を満たしている大分市火災予防違反処理規程（第 9条）

〔行政指導の限界〕警察比例の原則→必要最小限

平等の原則→違反の重さと指導の内容信義誠実の原則→間違った指導はしない強制の禁止→執拗すぎる指導はしない

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不利益処分

処分基準の設定公表･（第 12条）

手続（第 13条）

聴聞手続

弁明手続

必要がない場合

不利益処分

理由の提示（第 14条）

法違反

行政庁が、法令に基づき、特定者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、またはその権利を制限する処分（第2条第 4号）

あくまでも努力義務

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不利益処分をする場合の手続

主宰者

当事者行政庁の職員

当事者行政庁

許認可の取消し、資格地位の剥奪と･いった、重大な不利益を国民に与える場合

基本的には、裁判と同じやり方で手続が進められる（口頭主義）

許認可の停止や命令といった、不利益が軽微な場合

基本的には、提出書類をもとに手続が進められる（書面審理主義）

聴聞

弁明

慎重な手続

簡易な手続

これらの手続を行うため書式は準備されているのか？

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聴聞手続を必要とするもの

防火対象物の定期点検報告の特例認定の取消し（第 8条の 2の 3第 6項）

製造所等の許可の取消し（第 12条の 2第 1項）

危険物取扱者免状消防設備士免状の返納命令（法第･ 13条の 2第 5項、第 17条の 7第 2項）

危険物保安統括管理者等の解任命令（法第 13条の 24）

ほかにどんなものがあるのだろうか？

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聴聞の通知（法第 15条第 1項）

① 予定している不利益処分の内容及び根拠法条

② 不利益処分の原因となる事実

③ 聴聞の期日および場所

④ 聴聞に関する事務を所掌（担当）する組織および名称

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弁明手続を必要とするもの

防火対象物の改修等の命令（第 5条第 1項）

防火対象物の使用禁止等の命令（第 5条の 2第 1項）

防火管理業務適正執行命令（第 8条第 4項）

製造所等の使用停止命令（第 12条の 2第 1項・第 2項）

予防規程変更命令（第 14条の 2第 3項）

ほかにどんなものがあるのだろうか？第 5条の 3第 1項は？

使用停止は重大な不利益処分ではないのか？

処理規程とテキストと異なる

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弁明の通知（法第 30条）

① 予定される不利益処分の内容および根拠となる法令の条項

② 不利益処分の原因となる事実

③ 弁明書の提出先および提出期限　　　（口頭による弁明の場合は、その旨および出頭日時と場所）

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聴聞弁明の事前手続が不要のもの（･ 13条 2項）

基本的には、不利益処分の性質に基づいている

公益上、緊急に不利益処分を行う必要があるため、意見陳述のための手続をとることができないとき（第 1号）

資格の不存在や喪失の事実が、客観的な資料によって直接証明されたとき（第 2号）

法令の技術水準が充たされていない事実が、客観的な認定方法によって確認される場合（第 3号）

ただし、不利益処分の理由は提示しないといけない

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Ⅳ．行政救済法

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命令・許可の取消し等と教示不服申立てについての教示（法第 57条）　教示義務の対象＝相手方（書面）　利害関係人（請求）1. 不服申立てをすべき行政庁（市長　消防長　消防署長）2. 不服申立期間　

行政訴訟についての教示（法第 46条）　教示義務の対象＝相手方（書面）1. 取消訴訟の被告適格（国または地方公共団体）2. 取消訴訟の出訴期間

行政庁主義

行政主体主義

違いに着目！！

これらの教示を間違えたり、怠った場合は？

ややこしいので、間違える可能性はある！！

一度、網羅的に整理しておく必要がある

特例に注意！

処理規程第 15条には取消訴訟に関する教示規定がない……

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行政組織法概観

行政主体（国自治体）･

役所消防署

消防職員吏員

国民

法人として、権利―義務の共有主体となる

行政機関

• 行政主体のために行政活動を行う地位にある者　

行政庁• 行政処分（許認可　命令　禁止等）を行う権限を有している行政機関（ポスト）を指す• 行政庁が誰なのかを常に意識せよ！！

補助機関• 行政庁の手足となってはたらく行政機関• 日常的に行政事務を執行している

執行機関• 行政目的を実現するために、一定の実力行使を行い、あるいは強制力（権力）を行使することができる行政機関

行政機関＞行政庁補助機関執行機関･･

消防長・消防署長

大臣・知事・市町村長

行政処分

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行政不服審査の種類

異議申立て審査請求（原則）

昔は再審査請求もあった

国民

国民

処分庁

処分庁

上級行政庁

行政処分

行政処分

上級行政庁がないとき＝市町村長等が処分

上級行政庁があるとき

市町村消防が原則なので、市町村長の上級行政庁は存在しない

市町村長↓

消防長↓

消防署長↓

消防職員

処分庁によって、審査請求先が異なる！！

ややこしい！！

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Ⅴ．刑事訴訟法等　行政代執行法

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告発と過料事件の通知の違い

行政刑罰　（告発）行政上の秩序罰（過料事件）

性格刑罰（行政犯）刑罰ではない

内容懲役、禁固、罰金、拘留、科料（とがりょう）

過料（あやまちりょう）

対象行政上の義務違反（軽微なものを除く）

行政上の軽微な義務違反

条文消防法第 38条以下消防法第 46の 2～ 5

刑法総則適用あり適用なし

科罰手続刑事訴訟法による※例外　即決裁判・通告処分

非訟事件手続法による

告発・通知先捜査機関（検察・警察）地方裁判所

科罰主体裁判所裁判所※条例・規則違反＝地方公共団体の長

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刑事訴訟法第 239条〔告発〕

① 　何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。

② 　官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

必ず告発しなければならないというわけではない。当該違反内容の重大性（危険性）、違反に起因して発生した結果の重大性、悪質性等の可罰性の有無を考慮し、処罰を求めるのが相当であると判断した場合には告発をしなければならない。

限定的義務規定

消防職員が該当する

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過料事件通知には、このような義務は存在しない


行政代執行の仕組み

他の手段によってその履行を確保することが困難その義務の不履行を放置することが著しく公益に反すると認められる

代執行の要件（第 2条）

命令事項を履行しない、履行しても十分でない、履行しても期限までに完了しない場合は、代執行が可能とされている

消防法の特別規定（消防法第 3条第 4項等）

他人が代わって行うことができる「代替的作為義務」に対してのみ可能

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行政代執行のプロセス

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戒告代執行令書による通知

代執行の実施

費用の徴収

代執行のプロセス非常危険切迫の場合は、省略可･〔緊急執行〕（第 3条第 3項）

第 3条第 1項

第 3条第 2項

第 5条


代執行の対象となる代替的作為義務の例

① 屋外物件や危険物の除去命令による除去義務（第 3条第 1項）② 防火対象物における避難障害物件や工作物の除去命令による除去義務（第 5条の 3第 1項）

③ 製造所等における許可品以外等の危険物の除去命令による除去義務（第 11条の 5第 1項第･ 2項）

④ 製造所等内における違法工作物の除去命令による除去義務（第 12条第 2項）

⑤ 無許可の危険物の除去命令による除去義務（第 16条の 6第 1項）

　理論的には、消防用設備等の設置義務も代執行の対象になり得るが、現実的には困難である（設置方法について選択の余地が大きいので）　基本的には、以下のような除去命令については現実的に代執行の対象になり得る

このうち、①　②　⑤が現実性が高い

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Ⅵ．検討会から見た予防消防の現状

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検討会の概要

「先手必勝」的な発想への転換が求められてい

る

群馬県渋川市老人ホーム火災（ 2009年 3月 19

日）

認知症高齢者グループホーム火災（ 2006年 1月

8日）

小規模施設でのさらなる火災

or個人住宅共同住･宅での火災

第1期（2008年度）

第2期（2009年度）

検討会後の予想

先に述べたパターンで話が進んでいる

火災危険性の高い小規模施設に対応した防災対策に関する検討会

• 施行令別表第一（六）の細分化• 防火管理者の選任基準　 30人以上→ 10人以上• スプリンクラー設備　 1000㎡以上→ 275㎡以上（費用助成）• 自動火災報知設備　 300㎡以上→全ての施設• 火災報知設備　 500㎡以上→全ての施設

防火安全教育指導のための住宅用火災警報器の配備･

自力避難困難な者が寝泊まりするなど火災危険性の高い社会福祉施設、簡易宿泊所等の全てにおいて、住警器を全額国費により各地方公共団体に配備し、全施設に設置する

• これらの施設をきちんと把握できるか

• 100㎡で火災なのに十分なのか• 避難困難なのに住警機でよいのか• 設備設置規制＝費用助成を原則

セットにすべきではないのか

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質問事項　災害時における消防（官）の役割について

地域社会の防災力の向上

災害復旧災害復興

消防は、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害を防除し、及びこれらの災害による被害を軽減することを任務とする。（消防組織法第１条）

消防の任務とは…

防災政策のフェイズ

災害準備

災害予防

それぞれの自分で何ができるのだろう

か？能力を生かす場は？

消防の任務から見た限界

消防官としての自分地域の一員としての自分家族の一員としての自分

生活再建地域経済の再興

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参考文献

法学・行政法一般のテキスト1. 関東一『消防官のためのやさしい行政法入門』近代消防社2. 長野秀幸他『行政法がわかった　改訂第 7版』法学書院3. 櫻井敬子他『行政法』弘文堂4. 田島信威『法令入門』法学書院5. 伊藤真『伊藤真の民法入門』日本評論社

予防消防に関するテキスト1. 『まんが事例で学ぶ消防法〔予防編〕』東京法令出版2. 『まんが事例で学ぶ消防法〔予防編Ⅱ〕』東京法令出版3. 関東一『新訂　火災予防違反処理の基礎』近代消防社4. 『消防行政相談事例集』全国消防協会

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ご静聴ありがとうございました

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予防消防を執行する上での行政法について

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