アサヒ・アートスクエアを開く
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一問一答 北川貴好さんへの14の質問
Q1:生年月日/出身地は ? 北:1974年 9月 20日生まれ。大阪府大阪市出身。
Q2:今のお住まいは ? 北:アサヒ・アートスクエア[AAS]から近い墨田区向島です。いつも自転車で通っています。最寄り駅は曳舟駅です。
Q3:ではこのAAS周辺のお勧めスポットは ? 北:AASから北へいったところの、隅田川にかかる桜橋です。見晴らしが良くて、気持ちのいいところです。歩いて行くと、途中に長命寺や、三囲神社など観光スポットもあります。
Q4:子供のときは夢は ? 北:小学生の頃は漫画家。それと、ゲームをつくることに興味があって、MSXで簡単なプログラムを書いてゲームを作ってました。
Q5:では影響を受けたゲームは ? 北:むっちゃマイナーなんだけど『モリコ脅迫事件』。大分にあるマニアックな会社の作品です。それと『スナッチャー』。
Q6:影響を受けた本は ? 北:『アースワークの地平』。浪人中に大阪の中之島図書館で「落語コーナーの隣におもろい本があるで」と友達に勧められて読みました。
Q7:恩師は ? 北:大学 1年の時に出会った土屋公雄先生。ランドアートの流れを汲む彫刻家が建築学科の授業を持っていたのです。在学中、そして卒業後も制作現場をたくさん手伝って色々なことを学びました。サンパウロビエンナーレに連れて行ってもらったことなど、良い経験をたくさん積ませてもらいました。
Q8:初めてつくった作品は ? 北:大学一年の秋、『小平野外展』でつくった《土蝕》。森の中に 1.3m×1.3mの土を空中に吊った作品。その土や落ち葉が地面に落ち、それが地面の土に返るというダイナミックな循環を意識した作品です。
Q9:転機となった作品は ? 北:大学卒業後に住んでたアパートで、実験的に作った《淵から外をみるために》。その直後、プレハブ住宅に小さな穴をびっしり開けた、取手アートプロジェクト2000 の《ウチを開く》。建物に手を加える感覚をつかんだ作品です。
Q10:制作が大変だった作品は ? 北:空き缶をかなり集めて作った作品があったのですが、それを全部洗浄したとき。体力的な大変さというより、劣化したコーヒーの臭いに心が折れそうになりました。
Q11:初めてアサヒ・アートスクエアに来たのはいつ ? 北:曖昧だけど、記憶にあるのは 2002年。トークイベント「ドクメンタ大作戦」を観たとき。じゃんけん大会で勝ち残って景品をもらいました。この場所に運があるんでしょうかね。
Q12:AASの空間で気になることは ? 北:建物がスクエア[正方形]じゃなかったこと。それと、建物内に妙な境界線がたくさんあること。足下をよく見ると、図面上の曲線に合わせて、床の素材を 切り替えてる。でも空間には実は変化がない。そんな所をポジティブに捉えられないかなと思っています。
Q13:「オープン・スクエア・プロジェクト」を知って、最初に思った事は ? 北:一つのアイデア、一つの作品で空間を埋めるのはよそうと思いました。
Q14:準備で気を使うところはどこですか。 北:搬入ですね。現場での設営時間の短縮の為、なるべく事前にアトリエで作り込んでから搬入するのですが、唯一の搬入口であるエレベーターに入るかどうか。対策を考え中です。
*作品の一部はHPでご覧いただけます。http://www.takayoshikitagawa.com/
劇団山の手事情社公演「傾城反魂香」「道成寺」
2011年 6月、新演出で挑み、世界三大演劇祭の一つシビウ国際演劇祭で
「今フェスティバルの最高作品!」と絶賛された「傾城反魂香」。「道成寺」は 2004年の初演以来、演技スタイル《四畳半》の進化とともに変化を遂げ、次のシビウはこの作品で、と意気込んでいます。凱旋・壮行の2本立て。しみじみと味わってください。
日時|「傾城反魂香」12月 1日[木]―12月 4日[日]/「道成寺」12月7日[水]―12月 11日[日] *日程詳細はWEBでご確認ください。
料金|前売 4,500円/当日 5,000円 *平日割引/学割/セット券/ペアチケット
有り 詳細はWEB
構成・演出|安田雅弘出演|山本芳郎/浦 弘毅/倉品淳子/山口笑美/大久保美智子/川村 岳/
岩淵吉能/水寄真弓/斉木和洋ほか予約・問合せ|[email protected] / Tel.03-5760-7044[劇団山の手事情社]
主催|有限会社アップタウンプロダクション・劇団山の手事情社*詳細は http://www.yamanote-j.org/
Asahi Café Night「アイヌ影絵プロジェクトポロ・オイナ~超人アイヌ
ラックル伝~」
日本でインドネシア・バリ島の伝統芸能を基にした活動を展開しているグループ「ウロツテノヤ子」の影絵に特化したユニット「ウロツテノヤ
子バヤンガンズ」、アメリカの影絵演出家 Larry Reedのプロダクション「ShadowLight Productions」、アイヌのミュージシャンOKIとアイヌの伝統歌唱ウポポのグループMAREWREWが、アイヌの民話を題材にし、 アイヌ語、アイヌ音楽、アイヌのデザインなどを使いながらアイヌ文化の結晶のような影絵作品を制作します。伝統文化が伝えてきた偉大な智恵を影絵のイメージ世界を通じて再び現代社会の中に取り戻すためのプロジェクトです。
日時|12月 15日[木]18:00開場/
19:00開演料金|予約 3,500円/当日 4,000円影絵演出|ラリー・リード Larry Reedストーリー原案|OKI構成・脚本|小谷野哲郎影絵デザイン|OKI /川村亘平斎音楽|OKI & MAREWREW影絵パフォーマンス|ウロツテノヤ子バヤ
ンガンズWeb予約|http://www.p3.org/aas/問合せ|P3 art and environment 03-3353-6866主催|アサヒ・カフェナイト実行委員会*詳細は http://www.p3.org/aas/
「第 6期 日本の環境を守る若武者
育成塾 成果発表会」
今年の夏休み、東日本地区の選抜された高校生 28名が神奈川県丹沢山系にて環境に関するフィールドワークとワークショップを行う合宿に参加しました。高校生たちは、環境問題を実際に肌で体験し、環境への取組みについての考えを深め、自分たちが生活する地域における環境課題を改善する活動モデルの立案し、その活動モデルをそれぞれの地元に戻って 8月―12月にかけて地域で実践してきました。本発表会は活動の最後のまとめとし
て、高校生自らが企画・実践した地元での環境への取組み内容や成果について、また、環境への取組みや『若武者育成塾』を経験したことで「気付いたこと」「学んだこと」を発表します。
日時|12月18日[日]9:30開場/ 9:45開演問合せ|アサヒビール株式会社 社会環境部 日本の環境を守る若武者育成塾事務局 03-5608-5195主催|アサヒビール株式会社/公益社団法人日本環境教育フォーラム
―いよいよ展覧会まで残り1ヶ月です。公募で作品プランが選ば
れたのが 7月でした。この4ヶ月間を振り返ってみていかがですか。
北川―参加アーティストという立場に変わり、単に応募プラン
通りに個展の準備をするだけじゃなく、朝食イベントや、前の広
場での映像作品の撮影等、新たな展開がありました。それは、こ
の空間と対話して自由にやっていいという「オープン・スクエア・プロジェクト」の枠組みがあったからだと思います。このプロジェクトをスタートさせた背景を聞いてもいいですか。
―アサヒ・アートスクエア[AAS]には、「アーティストの作品発表だけでなく、創作プロセスを重視した活動をおこなうことで創
造の場となることを目指す」という事業方針があります。どんなプログラムが可能か昨年から運営委員会で議論をしてきました。そ
こで、ユニークなデザインのこの空間を一人[組]のアーティス
にポーンと開放[オープン]し、この空間と一人対峙して作品制
作と発表に取組んでもらったらどうか、となりました。高さ6mの
メインホールは、アーティストにとって取組みがいのあるスケール
感があると思いますし、同時にAASとしてもこのスペースの面白
さを提示する機会になるだろうと。そして継続することで、毎年 1
月に「今年は誰がやるんだろう」「どうなるんだろう」というシリーズならではの楽しみも期待できるのではと話し合いました。
北川―なるほど。この建築は 1989年に建てられたんですよね。
時代をすごく体現していますよね。例えば現在ここに同じ機能の
建物を建てようとしたら、金沢 21世紀美術館のような透明感の
ある、オープンな性格の建築をつくると思うんです。僕がせんだ
いメディアテークで作品をつくった時、あそこはガラス張りで開か
れているから、むしろ「閉じる」ことを意識してガラスの一部を塞ぐ作品を作りました。でもここは外から中が全く見えず、むしろ屋
上のオブジェが象徴的で記号的な側面が強い。そして中に入れ
ば窓は僅かしかなく、外の天気の変化も分からない。そんな建築
を、自分なりの方法で開いてみたいなと思っています。
―実際の展示では、この建築をどう使おうと考えていますか。
北川―メインホールの一枚の大きな床をキャンバスに見立て、
そこに穴というモチーフと幾つかの作品を、結びつけながら展開
します。充実した照明設備が使えることも作品の大きな特徴とな
ります。これまでも照明を明暗させる作品をつくって来ましたが、
今回は専門的な機材を使う事ができます。またメインホール以外
にバックヤードなど幾つか奇妙な空間が潜んでいるので、上手く
導線を設定し、これらの空間も生かして、建物自体を作品に取り
込んでいきたいです。そして普段は閉館している朝の時間帯を特
別にオープンする朝食企画もやります。こちらもたくさんの方にお
越しいただきたいですね。
アサヒ・アートスクエアを開く 北川貴好[美術作家] ◎聞き手|アサヒ・アートスクエア事務局 坂田太郎
きたがわたかよし|1999年武蔵野美術大学建築学科卒業。環境や建物自体に手を加え空間そのものを新しい風景へと変換させていく作品を制作している。これまで、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2003、取手アートプロジェクト2000,2002,2006、旧中工場アートプロジェクト2007、 黄金町バザール 2008,2011、水と土の芸術祭 2010、六甲ミーツ・アート芸術散歩 2010、あいちトリエンナーレ2010、せんだいメディアテーク開館 10 周年事業等に参加し作品を発表している。http://www.takayoshikitagawa.com/
特集INTERVIEW
イベント情報
INFORMATION
[その他のイベント |12月-1月]
1-2:関連企画「朝食風景|OPEN SQUARE MORNING !」 の様子 3-4:映像撮影の為のロケハンの様子。アサヒ・アートスクエア前の広場にて5:照明のレクチャーを受ける(右:北川)6:アサヒ・アートスクエアでの設営テストの様子7:アトリエで制作中の様子
劇団山の手事情社若武者育成塾 丹沢山系での合宿の様子
会期|2012年 1月 14日[土]―2月5日[日]*休館:火曜、1月 29日[日]会場|アサヒ・アートスクエア*時間、料金等の詳細は裏面を参照
アサヒ・アートスクエアを「全面開放」し、創造性豊かなアーティストと創造力を刺激する空間が出会うことで、両者の新たな可能性を提示することを目指すのが「オープン・スクエア・プロジェクト」です。今回はダイナミックなアプローチによって、都市の建築物や、砂丘、山、公園などの屋外環境を新たな「風景」へと変換する作品で注目を集める美術作家 北川貴好の初個展を開催します。北川はプレハブ住宅の外壁、内壁にびっしりと4cm の穴を開けた初期作品《ウチを開く》から一貫して、「穴」をモチーフに、環境と対話するインスタレーション作品を制作してきました。何かを通し、またどこかへ通じている「穴」。その「穴」を開けることで、建物や環境に滞留していた光や水、空気や音などに流れを生み出し、新たな秩序を再構築するのが、北川作品の大きな特徴です。近年は全国各地のアートプロジェクトにも精力的に参加し、活躍の場を広げています。本展で北川は高さ6m、総面積約 260㎡のアサヒ・アートスクエアの空間全体を使って、新作インスタレーションを発表します。一枚の巨大な床に無数の「穴」を展開し、そこに新旧様々な作品を結びつけることで、閉じられた屋内空間を「呼吸する」空間へと変換することを試みます。
「開く」─ 穴をあけることによって、エネルギーを胎動させる。「つなぐ」─ 穴を通して入ってくるもの同士をつなげる。「閉じる」─ 新しい秩序、新たにつながった関係を維持させる。床の上に無数にあけられた穴。床に閉じられたエネルギーが無数の穴を通じて表出する。そのエネルギーの源を想像し、それによって生まれる周辺、つまり環境を作り上げる。いくつかの環境のシーンが、一枚の床の上に生まれ合うとき、一つの風景〈ランドスケープ〉が浮かび上がる。[北川貴好]
○オープン・スクエア・プロジェクトとは2011 年よりスタートしたアーティストサポート事業。公募で選ばれたアーティストが、アサヒ・アートスクエアのユニークな空間を活かした作品制作と発表を行います。創造性豊かなアーティストと、創造力を刺激する空間[=アサヒ・アートスクエア]が出会うことで、それぞれの新たな可能性を提示すること。そしてアーティストの飛躍の機会となることを目指しています。
オープン・スクエア・プロジェクト2011企画展
北川貴好「フロアランドスケープ
開き、つないで、閉じていく」
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