令和 2年 4月 1日 第 574号

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浜 松 情 報

令和 2年 4月 1日 第 574号 浜 松 情 報

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未来へ向け地域産業を活性

浜松鉄工機械工業協同組合　理事長

静岡県機械金属工業協同組合連合会　〈バ長

カツヤマファインテックｍ　取締役会長

勝山宗

一氏

―浜松鉄工機械工業協同組合

の理事長に就任したのはいつ

ですか？

昨年の５月です。杉田哲朗

前理事長からバトンを受けた

のですが、前理事長の代行と

しての仕事も多少はしていま

したし、理事の経験もありま

したので、違和感なく職に就

けました。

―何代目の理事長になるので

すか？

９代目ですね。５代目理事

長である第

一工業の鈴木章司

氏の時から理事長に仕えて組

合の仕事をやらせてもらって

いましたから、組合の内部事

情や課題などは分かっていま

す。就任前には、静岡県機械

金属工業協同組合連合会の会

長に就任しています。

―歴代理事長はそうそうたる

メンバーですね。先行して他

の要職にも就いていたという

事は、満を持して期待の大き

い就任でしたね。

若返りを図るという言葉は

逃げ言葉だと思います。実際

にトップが若返ってもそれ以

外の要職にベテランがいるケ

ースも少なくなく、真の若返

りと言えるのか？

当組合では、７代目の和久

田健司理事長の時代に本格的

な若返りが図られ、杉田さん

の時にそれが更に強化され、

今に至

っています。

―会長はおいくつですか？

６３上成ですノ。

―本業はもちろんですが、組

合の仕事に加え、司会、タレ

ント業などもエネルギッシュ

に活動されていますね。

司会やタレント業は、ほぼ

ボランテ

ィアです

が、自ら

発信する

事の大切

さを感じ

ています

し、地域

が少しで

も盛り上

がるよう

に、楽し

霊子のお

手伝いが

できれば

良いです

ね。

―ご経歴

を教えて下さい。

もともと大橋巨泉さんの９

番目の弟子として、歌手や司

会など芸能活動を行

っていま

した。

「世界まるごとＨＯＷ

マッチ」という番組への出演

がほぼ決ま

った時に、父と母

からの要請で会社に戻る事に

なり、会社を継ぐ事となりま

した。

―異色の経歴ですね。

異色中の異色ですよ。浜松

に戻り、会社に入ってから母

に連れられてスズキ自動車さ

んにご挨拶に伺ったのですが

当時の社長だ

った鈴木修会長

に芸能界からの転身だと伝え

ると、

「３日と持たんよ」と

-8-

令和 2年 4月 1日 第 574号 浜 松 情 報

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冗談を言われました。今でも

会長にお会いすると、その事

は覚えて頂いていて

「当時は

３日と持たないと思っていた

が、よく続いているし、頑張

っているね」と笑

って話をし

て下さいますよ。

―全く違う世界からの転身が

逆に良かったのでしょうか？

会社に入ってからは、ある

意味新鮮でしたし、芸能活動

で培

ったものが役立ちまして

現場に顔を出して社員に声掛

けする上でも明るく接してい

ますし、それは今でも続けて

います。　天バ長と話すのが楽

しみ」と言

ってくれる社員も

いて、ありがたいです。言葉

で盛り上げる事で、良い関係

性が築けています。

―進出先がタイとなった理由

を教えて下さい。

当初は台湾や韓国に進出し

ませんか？という誘いもあり

ました。どちらにも実際に行

き、色々と調べましたが、結

局は生産の余剰枠がどれだけ

大きいか？だと考えました。

台湾にも韓国にも、我々が

生産している日本の自動車メ

ーカーのシートベルトの部品

を作

っている企業がすでにあ

りましたが、タイには、まだ

そういった企業がなかったの

で、当社が入り込む枠があ

っ

たという事が決め手となりま

した。

―進出して四半世紀ほど経つ

訳ですが、現状はいかがです

か？今

、現地には８００人ほど

従業員がいますよ。成長を遂

げる事ができ、ありがたいで

すね。

―その後、インドネシアにも

進出されましたが、こちらへ

の進出も同じような経緯でし

ようか？

同じような感覚ですね。や

はり我々のような中小企業が

海外に進出するリスクは大き

いと思いますが、将来の事を

考えれば、立ち止ま

っている

地域密着の姿勢を貫く

―組合の中での理事長の存在

感というのも大きいのではな

いかと思います。

副理事長をず

つとやらせて

もらいましたが、色々な葛藤

もありました。会員は皆、　一

国

一城の主の集まりですから

まとめる事はなかなか難しい

面があります。その中で少し

ずつ旧態依然とした体制を改

善してきたつもりです。

―理事長に就任されて、どの

ような施策を打ち出していま

すか？

組合の基本姿勢は地域密着

です。そして、色々な業種、

職種の組合員がいます。

「浜

松鉄工機械工業協同組合」と

いう名称からも、製造業を中

心とした会員が多い事は確か

なのですが、そのイメージに

こだわらないようにしたいと

考えています。

我々は、色々な業種や産業

の皆様に対しても、例えば、

海外進出している事例として

組合加盟企業の様子を知りた

いという異業種の方にも門戸

を開きたいと思っています。

そういった

「鍵を外す」事に

よって可能性を広げる事は、

私が芸能界で色々な世界を見

て、経験した事が根底にあり

ます。

―生きた情報を得られ、経験

を積む事ができるのですね。

海外進出については、絵に

描いた餅をただ見ていてもそ

れは意味のない事で、百聞は

一見に如かずだと思うので、

こういう部分は公開して興味

のある方がいらっしやれば受

け入れるつもりです。

―理事長の会社

（カツヤマフ

ァインテック）は平成６年に

初めてタイに進出されました

ね。当時では、非常に早い進

出だったのでは？

プラザ合意後の第２次の進

出タイミングでしたが、中小

企業では静岡県でトップクラ

スの早さでした。海外進出に

関して、いわゆる下請け企業

が大手についていくかどうか

を判断する以前のタイミング

でしたね。

当社は３次下請けではあり

ましたが、全メーカーのシー

トベルトを取り扱えていた事

も大きかったですね。とにか

くコストダウンのためには必

要な判断でした。

浜 松 情 報令和 2年 4月 1日 第 574号

暇はありません。

―このような海外での経験を

組合の中にフィードバックし

ていくという考えはあります

か？当

然あります。私の経験を

若い人達にも話していきたい

ですね。ただ、実際には海外

に進出したくても出られない

企業も多

いと思います。その

決断のき

っかけとなり得るの

は、やはり

「話を聞く事」と

「実際に見る事」だと思いま

す。こう

いった思いから、当

組合では毎年、海外視察を行

っています。

―昨年はどちらに行かれたの

ですか？

ベトナムです。その前がタ

イ、他にもインドネシア、イ

ンドにも行

っていますし、今

年はフィリピ

ンの予定です。

一度視察した後、また改めて

見てもらう事も大切で、その

成長度合いを分か

ってもらえ

るのではないでしょうか。当

社の工場ですら大きく変わ

っ

ています。

当社の工場では、当初工場

の敷地内に大きなサッカー場

を作

ったのですが、これは地

元の従業員確保のためのリク

ルートに大変効果的でした。

しかし、今では工場の規模が

大きくなり、そのサッカー場

はビーチバレーコートほどの

大きさに縮小しました。

つま

り、この数年でそれだけ変化

が大きいという事です。現地

の状況を

一度見てもらえば、

次に見た時に変化がより分か

ってもらえると思いますし、

これは非常に大切な事ではな

いでしょうか。

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時代に沿った組織運営を

―組合としての援助方法とし

て非常に有益ですね。

最終的に進出するかどうか

は経営者の判断になりますが

その判断材料として人から聞

いたり新聞で読むより、はる

かに正確な基準になると思う

のです。そういう経験を組合

員にはさせてあげたいと考え

ます。

―他に力を入れている事は？

情報発信です。情報は待

っ

ていても来ませんじ拾えませ

ん。自ら軍手をはめて現場に

入り、汗を流している組合員

もいますから、そうでつ人の

ためにもどんどん情報は出し

ていくというスタイルです。

今は、新型コロナウイルス

ヘの対策も含めて、情報発信

を積極的に行

っています。ど

の情報が当組合にとって必要

で有益なのかを精査する必要

は大いにあると思いますが、

リーマンショックの時にも助

成金の情報を早めに出す事が

できました。こちらから発信

する確実な情報提供というも

のは続けていきたいです。

―その辺りは組合に加盟する

大きなメリットですね。

当然の責務です。今回のコ

ロナの件も、まずは

「御社の

状況はいかがですか？」と組

合員全員にアンケートをとっ

て、その現状や要望をまとめ

るつもりです。

」ゝういった動

きはコロナだからという訳で

はなく、どのような事にも応

用が利くでしょう。

先日、ある会合で意見を求

められた際、

「この会議を行

い、色々な意見討議をしたと

いう既成事実が欲しいだけで

は困る。我々にと

っては現場

として具体的に何をしてくれ

るか■に繋げないと意味がな

い」と話しました。我々とし

ては、常に現場の声を吸い上

げ、発信したり伝えていかな

ければいけないと強く感じて

います。

例えば、

「働き方改革」と

一口に言っても、それは中小

企業にとって現実的なものな

のかどうか？本質を捉えた議

論を各会でするように心がけ

ています。

―発言力のある理事長で会員

も心強いでしょうね。

当たり前の事を言っている

だけですよ。これも芸能界で

の経験や、母から学んだ部分

が多いのかもしれません。

―後継者問題や人手不足に関

してはどうお考えですか？

深刻ではありますが、人材

派遣会社が当組合の賛助会員

として加わりましたので、確

かな生の情報をもとに施策を

展開していきます。

―賛助会員という制度もある

のですね。

そうですね。遠くは焼津の

企業も賛助会員になってくれ

ました。このように、希望す

る方には積極的に門戸を開い

ていますよ。

―会長の名調子と元気が求心

力となり、組合や地域全体を

明るくしますね。

ありがとうございました。