里山とは何か?

森林総合研究所 伊東宏樹

2015-09-26 第1回「A-WASS循環と共生の森づくりinときがわ」 ときがわ町文化センター

「里山」はいろいろな意味で使われている

里山

1. 薪炭林・農用林として

2. 景観として

3. システムとして

里山

1. 薪炭林・農用林として → 里山林

2. 景観として → 里山景観

3. システムとして → 里山的利用

1. 里山林

安曇野刈敷風景（善光寺名所図会, 1849年）（信州デジくら http://www.i-repository.net/il/meta_pub/G0000307library_02BK0104162789）

里山林

•萌芽林 •低林

•薪炭 •ほだ木 •緑肥

2. 里山景観

モザイク的景観•森林 •萌芽林 •用材林

•草地 •放牧地・秣場 • 採草地・茅場

•農地 •水田 •畑

•ため池・水路

草地 （半自然草地）

撮影 Miya.m / CC-BY-SA-3.0 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cow_%26_Mt_Aso_01.JPG

草地の減少

小椋純一(2012)「森と草原の歴史 」古今書院

年代 面積

1880年ごろ 約900万ha

1900年ごろ 約500万ha

1950年ごろ 約200万ha

2010年ごろ 約39万ha

草地の絶滅危惧種

•植物の絶滅危惧種は、草地性の草本植物が多い。

• 氷期からの生き残りも。

キキョウ絶滅危惧Ⅱ類（VU）

カワラナデシコ埼玉県絶滅危惧Ⅱ類

撮影 Alpsdake / Public Domain https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dianthus_superbus_var._longicalycinus.jpg?uselang=ja

オキナグサ絶滅危惧Ⅱ類（VU）

撮影 Qwert1234 / CC-BY-SA-3.0 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Pulsatilla_cernua_1.JPG

オオヒキヨモギ絶滅危惧Ⅱ類（VU）

クチナシグサ埼玉県準絶滅危惧種

草地性の希少植物の保全のためには明るい環境の維持が必要

3. 里山的利用 （システム）

循環的利用 （持続可能な利用）

保全

過剰利用 （持続可能な利用に失敗）

はげ山 土砂流出

SATOYAMAイニシアティブ

• 国際的な取り組み

• 二次的 自然環境の保全

• 「自然共生社会」の実現

• 生物多様性と人間の福利 のための社会生態学的生産ランドスケープの推進

SATOYAMAイニシアティブの「５つの視点」

1. 環境容量・自然復元力の範囲内での利用 2. 自然資源の循環利用 3. 地域の伝統・文化の評価 4. 多様な主体の参加と協働 5. 地域社会・経済への貢献

http://www.env.go.jp/nature/satoyama/syuhourei/practices.html

これからの里山管理• 放置による問題

• 常緑樹林化

• ゴミ捨て場化

• 病害の発生

• シカの影響

常緑広葉樹林化明るい環境に生育する草本の消滅

松枯れ

ナラ枯れ本州日本海側を中心にコナラ・ミズナラなどが集団枯死

シカの増加

適切な管理

里山管理を始めよう ～持続的な利用のための手帳 ～

独立行政法人 森林総合研究所 関西支所Forestry and Forest Products Research Institute

里山管理を始めよう ～持続的な利用のための手帳～ 森林総合研究所関西支所

• 小面積皆伐と萌芽更新 • 薪利用の提案

https://www.ffpri.affrc.go.jp/fsm/research/pubs/documents/satoyamakanri_201402.pdf