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Page 1: スラム街出身のフィリピン人海外稼ぎ労働者安全な海外就労に対する考察 -ナボタス町サント・ニーョ村 C3 地区を対象に -

スラム街出身のフィリピン人

海外出稼ぎ労働者の安全な海外就労に対する考察

-ナボタス町サント・ニーニョ村C3地区を対象に-

47116769 貝野 綾 2/5 修士論文 最終発表

Page 2: スラム街出身のフィリピン人海外稼ぎ労働者安全な海外就労に対する考察 -ナボタス町サント・ニーョ村 C3 地区を対象に -

Agenda

2

7.結論

4.5.6.調査結果 ナボタス・インタビュー調査 牛久・インタビュー調査

オンライン記事の内容分析

3.既往研究のまとめ

2.目的と方法

1.背景

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1.背景

フィリピンは、海外出稼ぎ先からの巨額の送金で経済を支えている。

2007年にフィリピン人海外出稼ぎ労働者は約800万人おり、その中でも非正規フィリピン人海外労働者は約107万人いると推定されている。

非正規フィリピン人海外労働者には海外労働庁(POEA)からの労働認可が下りていないため、人権が保障されず、渡航先で様々なトラブルに巻き込まれていると言われている(青木, 2009)。

3 背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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4

出稼ぎ労働者の中で赴任先でトラブルの無かった人はどのような人であったかを明らかにする。

【トラブルの定義】過剰労働、人権の問題、また訴訟、事故、逮捕を含むものが一つでも起きた場合、「トラブルに巻き込まれた」として数えている。

方法

A) ナボタス・インタビュー調査

B) 牛久(東日本入国管理センター)・インタビュー調査

C) オンライン記事の内容分析

2.目的と方法

背景 目的と方法

既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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2.目的と方法

5

? ?

インターネット

渡航形態の選択

渡航先で

トラブル

なし

ゴール

赴任国

学歴

渡航前の収入

個人属性

C3地区の出稼ぎ労働者

媒介中心性が高い

近接中心性が高い

情報ネットワーク

Direct Hiring

エージェンシー

出稼ぎに関する

メディアを通じた

情報収集

雑誌、新聞

友人・家族

渡航形態

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3.既往研究のまとめ

6

【フィリピン人出稼ぎ労働者に関する研究】

1. 出稼ぎ労働のメカニズム(De Jong et al.,1983)

2. 国内経済への影響(Manalo I,1992)

3. 労働力輸出政策(山形,1991)

4. 労働者の実態調査 (Vicky C,1999)

5. 出稼ぎ労働者の社会ネットワーク(Fe Caces et al.,1985)

(例:友人や家族といった親しい人を上手く利用して就職先を得た。)

しかし、フィリピン人出稼ぎ労働者のどのような行動が安全な出稼ぎ労働に対して効果的なのかという事についての研究は少ない。

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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4.ナボタス・インタビュー調査

4.1概要

【時期】2011年9~10月・ 2012年5~6月 【研究対象地】ナボタス町 サント・ニーニョ村C3地区 【対象者】出稼ぎに過去に 行ったことがある103人 C3地区の人口は自治会によれば531世帯(約2000人)

15歳以上の労働力人口は178人であり、うち就業者は157名。(太田,2009)

7 背景 目的と方法 既往研究 結果(A)

概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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8

Legal agency

58

Illegal agency 27

Direct Hiring

(渡航国での直接雇用)

15

その他 1

無回答 2

合計 103

【Legal agency】とは

POEA(海外労働庁)から認可が下りたフィリピン国内のエージェンシー

【Illegal agency】とは

POEA(海外労働庁)から認可を得ていないフィリピン国内のエージェンシー。

【Direct Hiring】とは

渡航先で直接仕事を申し込むこと。法律で現地のエージェンシーを利用する事は禁止。

表:渡航形態

4.ナボタス・インタビュー調査

4.1概要:渡航形態

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)

概要

結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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9

表:トラブルの有無 表:トラブルの種類(複数回答可)

4.ナボタス・インタビュー調査

4.1概要:トラブルの有無と種類

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)

概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

トラブルの種類 人数

契約書とは違う仕事を

させられる 35

過剰労働 29

その他 14

差別 12

セクシュアル

ハラスメント 6

visa の失効 4

Total 114

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4.ナボタス・インタビュー調査

4.1概要:渡航形態とトラブルの有無

トラブル

なかった あった Total

Direct Hiringで行っていない

42 46 88

Direct Hiringで行った

15 0 15

Total 57 46 103

Direct Hiringで行く場合、

「現地先でのトラブルは無かった」と答えた人が15人全員だった。

Χ2検定を行い、有意水準1%の確率で帰無仮説

が棄却されたので、対立仮説「Direct Hiringの

選択によってトラブルの有無に差がある」を採択する。

表:Direct Hiringと渡航先のトラブルの有無のクロス表

10

Pearson chi2(1) = 7.5592 Pr = 0.006

Direct Hiringとトラブルの有無に関係が見られる

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4.ナボタス・インタビュー調査

4.1概要:渡航形態とトラブルの有無

11

【Direct Hiringで行った人の共通している事柄】 知人や親戚などに紹介された家で直接雇用されて働いたので、働き先について予め知ることが出来た。

【何故Direct Hiringは安全な渡航チャンネルなのか】 1. 家族や友人から体験談を聞き出せる。

2. 雇用者と直接コンタクトを取ることが出来、労働条件に関して相談、交渉が可能。

(Fehl D, 2008)

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)

概要 結果(A)ネットワー

ク ①概要

ネットワーク分析

定性分析 (b)牛久・インタ

ビュー オンライン記事の内容分析

結論

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4.ナボタス・インタビュー調査

4.2出稼ぎ労働者の渡航前の情報収集

12

渡航前「友達から海外就労に関する情報を得ること」とトラブルの有無とのクロス集計とχ2検定を用いて分析した。

有意水準10%の確率で帰

無仮説「友達と話す頻度と渡航時のトラブルの有無は関係が無い」が棄却された。

トラブル 友達から

情報を貰わなかった

貰った Total

なかった 5 42 47

あった 13 41 54

Total 18 83 101

Pearson chi2(1) = 3.0973 Pr = 0.078

表:友達からの情報収集の有無と

トラブルの有無のクロス表

友達との会話の使用の有無と

トラブルの有無は関係が見られた。

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4.ナボタス・インタビュー調査

4.3情報ネットワーク分析

13

【情報ネットワークの設定】 出稼ぎ労働者に「C3地区で渡航前に

出稼ぎに関する情報を提供して貰った

3人」を挙げてもらう。

点:C3地区に住んでいる人

矢印:出稼ぎに関する情報を与えた

【属性】 緑=出稼ぎに行った事がある103人

赤=家族(渡航歴あり) 青=家族(渡航歴なし) ピンク=友達(渡航歴あり) 黄=友達(渡航歴なし) 橙=隣人(渡航歴あり)

Q.どのような人と繋がれ

ば安全な出稼ぎに繋がるのか?

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)

概要

結果(A)

ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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4.ナボタス・インタビュー調査

4.3情報ネットワーク分析

図:ナボタスサント・ニーニョ村C3地区の海外渡航に関する情報ネットワーク

(n=146)※名前は全て仮名。 14

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(1)ネットワークが密な部分

15

Q.知り合いが多い事と

安全な海外就労は関係しているのか?

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)

概要

結果(A)

ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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4.ナボタス・インタビュー調査

4.3情報ネットワーク分析

16

ネットワークが密なのに何故トラブルの回避に繋がらなかったのか?

契約書と違う仕事をやらされた=赤

その他のトラブル=黄色、

トラブル無し=緑

【インタビュイーの記述により分かった理由】 (1)初めて出稼ぎに行った人同士で繋がっていた

(2)トラブルのあった同じエージェンシーAを使用した

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)

概要

結果(A)

ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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(2)Direct Hiringを使用した人のネットワーク

17

Q.Direct Hiringで行った人はどのような人か?

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18

【共通項】

Direct Hiringで行った人同士知り合いだった。

漁師同士だった。

海外で働けるための必要条件(健康診断等)の情報を共有していた。

4.結果(A)ナボタス・インタビュー調査

4.3情報ネットワーク分析

※◇はillegal agencyを使用した人

(トラブルあり) ○がDirect Hiringを使用した人

(トラブルなし)

共通してDirect Hiringを利用した人(全員トラブルなし)はどのようなネットワークの中にいるのか?

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分析

定性分析 (b)牛久・インタ

ビュー オンライン記事の内容分析

結論

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4.ナボタス・インタビュー調査

4.2情報ネットワーク分析:中心性の計算

19

渡航時のトラブルの有無に対して人との繋がりの強さは

関係があるか。

近接中心性:ある人から他の人まで,平均的にどれくらい近いか (Beauchamp,1965)

Cc(i)= 𝑖以外の点の数

点iとほかの全ての点との距離の総和

他のノードへの最短距離の合計に、自分以外のノードの数を割る。

媒介中心性:ある点がその他の2点を結ぶ最短経路である

度合(佐藤,2006)

CB(i) = 点𝑖を通る経路数の総和点𝑖を除く点の組合せ数

19

相関比(トラブルの有無と近接中心性)

0.102

相関比(トラブルの有無と媒介中心性)

0.091

人との繋がりの強さと安全な海外就労の間には関連性が見られない。

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20

どういう人から情報を提供して貰えると安全な海外就労に繋がるのか

4.ナボタス・インタビュー調査

4.3情報ネットワーク分析:結論

既に出稼ぎに行っている友達

や家族

同僚

安全な出稼ぎ労働

知り合いが多い

初めて出稼ぎに行った人

知り合いが多いことではなく、既に出稼ぎに行っている家族や友人と知り合いだと安全な海外就労に繋がる

(知り合いの質>量)。

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4.ナボタス・インタビュー調査

調査のまとめ

渡航先で

トラブルなし

赴任国

学歴

渡航前の収入

個人属性

C3地区の出稼ぎ労働者

媒介中心性が

高い

近接中心性が

高い

情報ネットワーク 渡航形態

Direct Hiring

メディアを通じた

情報収集

友人からの

情報収集

○ ×

×

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安全な海外就労 Direct Hiring

そんなに単純な問題?

友人との会話

Direct Hiringなら本当に安全な海外就労につながるのか?

Direct Hiringで行き入管に収容された人(Direct Hiringの失敗例)へのインタビュー

東日本入国管理センター【入管】はvisaが切れた外国人労働者を収容する所。(1~2年収容)

1~2年で仮放免申請(不法滞在などで入国管理局に収容され、強制退去処分や在留特別許可などを待つ外国人について身柄の拘束を一時的に解く措置)が下りるまで出られない。

5.牛久・インタビュー調査 5.1概要

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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茨城県牛久市にある東日本入国管理センターに行きました。

23

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5.牛久・インタビュー調査

5.1概要

24

• 日本に就労した人にインタビューを行う。

• 対象:東日本入国管理センターに収容された10人のフィリピン人

正規労働者として働いていたが

もっと日本で働きたくて居残った=4名

初めからtourist visaで来て、

現地で仕事を探した

=6名(Direct Hiring)

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

Page 25: スラム街出身のフィリピン人海外稼ぎ労働者安全な海外就労に対する考察 -ナボタス町サント・ニーョ村 C3 地区を対象に -

5.牛久・インタビュー調査

5.2結論

25

牛久の例:Direct Hiringの失敗例

ナボタスの例:Direct Hiringの成功例(全員トラブルなし)

【失敗の理由】

①渡航前に周囲から日本での就労体験談を多く聞き出せなかった。

②信頼できる者から仕事を紹介して貰えなかった。

【成功の理由】

①フィリピンにいる間もtext mailを通じて渡航先の情報を得ることが出来た

②渡航者の友人、家族が雇用先に仕事を斡旋して貰えるように頼めた。

安全な海外就労にはDirect Hiring+コネクションが必要

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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6.オンライン記事の分析

6.1海外就労のリスクの過小評価の理由

「不法就労(オーバーステイ)ありき」で来るフィリピン人海外労働者はいずれ捕まり、牛久で長期間拘束される。

ただ、「ビザが取れない」、「オーバーステイしたらペナルティが重い」という現実をもう少し渡航前に知るべきだったのではないか

→何故、知ることが出来なかったのか?

【仮説:メディア(記事・広告)の影響】

根拠:牛久でのインタビューで、「フィリピン国内の雑誌や新聞を読み、出稼ぎに行けば大金が稼げると思った」人が全員

→フィリピンのメディアは海外就労に対して好意的な記事ばかり報道しているのではないか?

26 背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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6.オンライン記事の分析

6.2内容分析

27

【方法】海外就労に関する記事の内容分析

【対象】 PHILIPPINE HEADLINE NEWS ONLINE

インタビューで『渡航前の情報収集でよく利用していた』という記述がある。

「OFW」(フィリピン人海外労働者)と検索してヒットした記事183件(計1906文、9029単語)

【使用するソフト】 KH Coder

【分類】①「名詞」「動詞」「形容詞」

②記事の内容の種類分け

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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6.オンライン記事の分析

6.3結果

28 背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概

結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分析

定性分析 (b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

動詞の分析

「海外就労における行動」を示す単語の出現頻度が高い。(例:「行く」「送られた」)

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6.オンライン記事の分析

6.3結果

29

名詞の分析

「首相・海外就労に関する組織」を示す語の出現頻度が高い。

アロヨ前大統領・エストラダ元大統領が労働者を褒めた事についての記事が多い。

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要

結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事の内容分析

結論

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6.オンライン記事の分析

6.3結果

30

形容詞の分析

「否定的」な単語(「negative」や「poor」)が全体の約3%

「肯定的」な単語(「good」等) が全体の約10%

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要

結果(A)ネットワーク

①概要 ネットワーク分

析 定性分析

(b)牛久・インタビュー

オンライン記事内容分析

結論

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6.オンライン記事の分析

6.3結果:記事の種類分け

31

海外就労に対して肯定的な記事(海外就労褒め称える、GNP・送金額増えた)は計51件

海外就労に関する注意喚起やマイナスな情報(病気・死亡、逮捕、仕事減った)を伝える記事を計14件

表:記事の種類

海外就労に関するネガティブな記事よりはポジティブな記事が多い。

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワー

ク ①概要

ネットワーク分析

定性分析 (b)牛久・インタ

ビュー オンライン記事の内容分析

結論

記事の種類 数海外就労の為のサービス設置・税金免除等 58

受入国について 25海外就労褒め称える 29GNP・送金額増えた 22

派遣 7安全な国を知らせる 6

個人の功績 6病気・死亡 5逮捕 5

危険喚起 4帰還した 4

エージェンシーについて 4仕事減った 4

禁止事項について 2無事を知らせる 2

計 183

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32

既に出稼ぎに行っている家族や友人と知り合いだと

安全な海外就労に繋がる。

7.結論

フィリピン人海外労働者

労働者個人のトラブル対策がブラックボックス

Direct

Hiring

友人との

会話

既に出稼ぎに行っている友人や家族

の出稼ぎ先の紹介

(つまりコネ)

安全な

海外就労

と関係

メディアの

影響

そもそも

海外就労のリスク認知が

何故しにくいか?

OFWに関する

肯定的な記事

マイナスな情報を

与えない

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33

フィリピン政府はエージェンシーを通じた公式な移民を

推奨しているが、移民にとってエージェンシーよりは

人的ネットワークが安全な海外就労に対して有効。

エージェンシーがネットワークの役割を果たそうとせずに

労働者に向けて

(1)どのようなネットワークを作成した方が良いか

(例:就労経験がある人と繋がる等)

(2)どのような問題が移民した先で発生するか

(例:中東で働く場合訴訟や逮捕が多い)

についてアドバイスをしたほうが、安全な海外就労に

繋がっていくのではないか。

7.結論

7.2安全な海外就労の為に公的機関がすべき事

背景 目的と方法 既往研究 結果(A)概要 結果(A)ネットワー

ク ①概要

ネットワーク分析

定性分析 (b)牛久・インタ

ビュー オンライン記事の内容分析

結論

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参考文献

青木 秀男「フィリピン(労働力の送出・受け入れについて)」『アジア太平洋レビュー』2009年12月24日、1―23ページ。

太田麻希子「重層する戦略の場としての住民組織マニラ首都圏のスクウォッター集落住民組織における女性の活動事例から」『アジア研究』Vol. 55, No. 3,2009年6月, 79ページ。

佐藤忍「グローバル化で変わる国際労働市場 ドイツ、日本、フィリピン 外国人労働力の新展開」明石書店、2006年

佐藤 恵介「大規模ネットワーク解析・可視化プログラムPajek」北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科、 2006 年11 月7 日

佐藤 忍 『フィリピンからみた外国人労働問題研究の現在』大原社会問題研究所雑誌、No.529(2002年12月)、1―10ページ。

盛山和夫「社会調査法入門」有斐閣ブックス、2004年

Bruce A. Lindquist, Systems and Social. Process of International Movement from the Philippines, Master‘s Thesis, University of Hawaii, 1991.

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Jon Goss, Bruce Lindquist(1995), Conceptualizing International Labor Migration: A Structuration Perspective, in: International Migration Review, Vol.29 No.2, pp.317-351.

Dean Tiburcio Alegado(1992), The Political Economy of International Labor Migration from the Philippines, Ph.D thesis, Political Science, University of Hawaii.

Luthke, M. F., & Cropley, A. J. (1990). Decision-making and adjustment difficulties: A counselling strategy for working with Migrants1. Australian Psychologist, 25(2), 147-164.

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Thank you for listening!

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