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5Gがもたらすビジネスの新たな未来

無限にも見える可能性。しかし、企業は「5G」に何を期待し何に備えなければならないのか？

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5G対応デバイスの初リリースから都市部におけるホットスポット実証実験まで、2019年は「5G」が大きな注目を集めた年でした。これからの10年にとどまらず、その先の未来においても、5Gは消費者、企業、経済、社会にさまざまな変革をもたらすはずです。

5Gは企業経営や競争のあり方に劇的に変化させ、業界の垣根を越え、これまでにない新たなユースケースやビジネスモデルを生み出していくだろうと、世界中の人々も感じていることでしょう。しかし、未来へと続く道には、多くの課題が待ち受けていることも事実です。この競争を勝ち抜いて成功をつかむためにも、あらゆる企業は今、来るべき5G革命に備えなければなりません。

実際のところ、世界の企業は今後5Gに何を期待し、直面する課題をどのようにして克服していくべきなのでしょうか？2019年5G調査をベースに実施したアクセンチュアの最新調査の目的は、まさにこの疑問を解明することにあります。そこで、今回の調査で明らかになった企業の5Gに対する期待、懸念、またその後の実施計画などについて、具体的な数値を交えてお伝えしていきたいと思います。

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大きな期待5Gに対する企業の姿勢

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4年以内に以下の成果を期待している企業の割合

モバイルデバイスを貸与することで、外出先の社員が現場で必要とするサポートを提供する

電話とネットワークを5Gにアップグレードし、社員が重要なモバイルアプリをより快適に使えるようにする

リース回線やWiFiの見直しなど、社員のためにより柔軟性の高いネットワークを構築する

社員のテレワークを可能にする

遠隔拠点や設備を24時間体制で管理・監視できる新たなアプリケーションを開発する

状況の変化にわずか数秒で対応できる新たなコネクテッドテクノロジーを導入する

2年以内 4年以内 2019年調査から増加

67% 19% 17+ 67% 18% 17+

63% 19% 17+64% 18%

61% 20% 20%18+ 61% 20+

最近、多くの経営者が口を揃えて「5Gは市場全体を変えるだけでなく、従来のどのワイヤレス技術の進化をも上回る、重大な影響を市場にもたらすはずだ」と話すのをよく耳にします。アクセンチュアの調査によると、10社中8社（79%）は「5Gは自社のビジネスに大きな影響をもたらす」と考えており、また57%が5Gを「革命」とみなしている一方で、「4Gと変わらない」と考える企業も4分の1未満（24%）と、一定数存在しています。

5Gへ寄せられる期待は、範囲も多岐に及びます。10社中8社（79%）が、5Gを通じて業務の接続性が飛躍的に高まると回答し、78%は新規事業のチャンスが生まれるとしています。生産性向上（77%）、社会全体へのメリット（76%）、新たな業務分野の監視などのオペレーション改善に対しても期待が寄せられています。

また、5Gがもたらす具体的な成果に目を向けてみると、そこにはまさに夢のような未来があふれています。回答者の大半は、こうしたメリットは今後4年で実現すると考えています。

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政府や公共部門は5G導入が遅れており、49%は形を問わず5Gをまだ全く採用していません。一方、医療業界は導入が進んでおり、16%が組織全体で5Gを 活 用 中 と 回 答 し て います。

5Gの導入状況

34%

28%

26%10%

未導入

試験的に導入

わからない

全社規模で導入中

一部の領域で導入中

アーリーアダプターの先行モデル

各方面からの期待に加えて、近い将来にこうした変化が実現する見通しがあるのにもかかわらず、5Gの導入へ向けた企業の動きはまだ本格化しているとは言えません。半数以上の企業（54%）が、5Gの一部機能の検証や部分的配備を行っている一方で、34%は未導入の状況です。それでも、今後数年間でこの数字が急激に変動することも考えられます。

現在のところ、全社規模で5Gを利用していると答えた企業は、全体の10%に過ぎません。しかし、このように回答した企業を見れば分かるように、5Gを「早期導入」した企業（アーリーアダプター）ほど、その潜在的な可能性を高く評価する傾向があります。早期導入組の企業は、未採用の企業の約2倍の割合で、5Gが自社のビジネスに革命的な影響をもたらすと感じているようです。

このように、明るい兆しはすでに見え始めています。とはいえ、どのような新技術にも言えることですが、大規模な導入は容易ではなく、5Gがもたらすチャンスをマネタイズし、具体的なビジネスの収益に転換するには、数々の課題を克服する必要があります。

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課題と懸念

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こうした高い期待にもかかわらず、企業は5Gがもたらす効果にまだ十分な確信を持てずにいます。リアルタイム通信、高速化、大容量化により、今後5年で自社の業界に革命が起きると考えている企業は、現時点で5社中2社に過ぎません。

5Gアプリや技術の導入を阻む多くの障害も指摘されています。もっとも、こうした懸念の多くが2019年から2020年の間で低下していることを踏まえると、知識不足、社内のスキルギャップ、社員の行動の見直し、初期費用など、懸念の要因がさまざまであることがわかります。

昨年比で唯一増大した懸念として挙げられるのは、5Gのセキュリティに対する脅威です。ほとんどの企業はこれを優先課題の1つとしていることから、早急な対応が求められます。

今後3年間において、5Gを用いたアプリケーションおよび技術の導入を阻む障害

セキュリティ上の懸念

初期投資が大きすぎる

社員に対する新たな働き方の浸透

5Gがもたらす可能性のある健康被害

ソフトウェア開発技術者の準備が整っていない

35% 32%

2020年 2019年

31% 36% 26% 29% 26% 24% 28%

5Gを活用する社内スキルが不足

現在の通信パートナー企業が、自社の業界を十分に理解していない

早期導入に踏み切って、失敗するのが不安

5Gの活用法に対する理解が足りない

ユースケースを見る限り、十分な投資効果があると思えない

17%23% 23% 21% 26% 21% 26% 23%18%

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セキュリティ

5Gとセキュリティリスクの関係は複雑です。現時点において、「多くの企業は5Gはビジネスの安全性を高めてくれる」（68%）と考えていますが、一方でユーザーのプライバシー、接続されるデバイスの数、複数のネットワーク、サービスアクセス、サプライチェーンの安全性など、5Gネットワークアーキテクチャには特有のセキュリティ課題が存在します。

このアーキテクチャにおいて、基本的にリスクはネットワーク、インフラ、ユーザー環境に分散されます。最も大きな脅威はデバイスとユーザー（53%）だと考えられていますが、比率として、企業ネットワーク自体をわずかに上回るにすぎません（52%）。他方では、74%が接続性の高いインテリジェントデバイスにより、データ漏洩のリスクが高まると考えています。

個々のデバイス（ユーザー自身も含む）の管理が難しいことは、周知の事実です。ネットワーク攻撃に対応した多くのセキュリティ製品が販売されていますが、何よりも大きなリスクを生み出すのは人間です。それだけに、企業は適正な投資を通じて従業員に十分な教育を行い、明確なポリシーを徹底する必要があります。

企業から見た5Gの最も大きなセキュリティ課題

ユーザーのプライバシー 接続された各種デバイスの台数

同じハードウェアで複数のネットワークを使用することのプレッシャー

アクセスが必要な企業ネットワークの数

困難である 最も困難である

32% 12% 32% 11% 31% 9% 29% 6%

全体的なデバイス台数（種類の違いは含まず）

サービスプロバイダーネットワークへのアクセス

複雑なビジネスエコシステム（サプライヤーと顧客）

サプライチェーンの安全性

41% 19% 34% 13%36% 15%37% 14%

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5G未導入の企業のうち、5Gによって社員の安全性が高まると答えたのは全体の58%に留まっています。しかし、5Gを導入済みの企業では、この比率が81%に上昇します。これをみても、5Gを実際に体験することでセキュリティに対する懸念はある程度解消するものと考えられます。

煩雑さの克服

このように考えると、5Gがもたらす煩雑さやこの課題を克服するために必要な措置をめぐって、企業が頭を悩ませるのも無理はありません。4分の3の企業が、5G導入に伴ってセキュリティに関わる自社のポリシーや手続きを見直す必要があると考えています。

3分の2は、5Gによって従来のネットワークよりもサイバー攻撃に脆弱になり、監視業務の強化やセキュリティ関連業務の増大が生じることを懸念しています。こうした追加業務にはすべて費用がかかることに加え、それ以外にも5Gをめぐる経済的な負担が発生します。

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5Gへの投資回収

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当然ながら、5Gにおける最大の課題の1つは、そこで発生コストです。稼働に伴うコストについては、さまざまな業界で広く議論が交わされてきましたが、5社中4社は5Gのメリットを認めつつも、ITインフラやアプリケーションの管理コストが増大すると考えています。

だからといって、企業は5Gへの投資に価値がないと考えているわけではありません。導入の最大の課題は、それによるイノベーションの創出であると多くの企業が考えており（52%）、投資を確実に回収しなければならないことを踏まえれば、これは当然のことと言えます。それだけにユースケースを確立する際も、5Gへの投資を通じて他社にどれだけの差をつけられるかが重要になるでしょう。

他方では、5Gに対応したデバイスの最適化という問題もあります。これはデバイスのセキュリティへの懸念にも関わるものです。

5Gを活用したイノベーションの創出

5G活用に向けたテクノロジーと組織の統合

5Gを活用した新たなビジネスケースの創出

ネットワークの活用法の正しい理解

5Gに対応したデバイスの最適化 5Gの容量に基づく新たなネットワークの運用

5Gに関連する最も重要な課題

最も難しい課題最も重要な課題

52% 39% 45% 43% 43% 38%

42% 27% 37% 37% 31%35%

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どの課題も、決して乗り越えられないものではありません。専門的な知識を備えたパートナーやアドバイザーからのサポートがあれば、可能なはずです。90%の企業は、「最終的には5Gがもたらすビジネス機会を自ら見つけ出せる」と考えています。それを実現するための秘訣は、チャンスを目に見える成果に変え、目標を達成するには何が必要かを明らかにすることです。

外に目を向ける

では、具体的にどのようにすればよいのでしょうか？その答えの1つが、社外リソースを積極的に活用することです。72%の企業が、5Gを使ったコネクテッドソリューションの未来の可能性を描くためには、社外からのサポートが不可欠だと考えています。

5Gの可能性を引き出すカスタムソリューションを開発するため、大部分の企業は社外に目を向けるでしょう。10社中4社（42%）は、5Gに対応した市販のソリューション活用を予定している一方、43%はパートナーの支援を通じたカスタムソリューションの開発を計画しています。

14%

5G対応アプリケーションの開発方法

パートナーと協力してカスタムソリューションを開発する

市販の5G対応ソリューションを活用する

独自に社内ソリューションを構築する

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この中でパートナー候補として最も多く挙げられたのは、ソフトウェアサービス企業です（44%）。一方で、通信企業などのサービス事業者に関しては、新たな機能開発のために提携する可能性は最も低いという回答でした。通信業界はこの分野のサポートを提供する上で、理想的なポジションにいるにもかかわらず、このような結果が出ています。

さまざまな場所に安全な接続性を提供できる実績を考えると、5Gの誕生は通信事業者がデータを運ぶだけの「ダムタイプ」から、IoTなど5Gエコシステムの旗振り役へと転換する絶好のチャンスをもたらします。安全な高速インフラ構築に関する知識を生かすことで、通信事業者はIoTネットワークの開発・統合に関するコンサルティングで有利な立場に立てるはずです。しかしこの調査が示すように、企業が通 信 事 業 者 の 真 価 を 理 解 するようになるまでには、まだまだ課題が残されているようです。

企業が提携する可能性が高いパートナー

44% 43% 31% 24% 24%ソフトウェアサービス企業

（SI含む）クラウド企業 機器事業者 通信サービス事業者 上記すべて

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5Gの未来に備えて

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世界中の企業が、5Gに無限の可能性を見出していることは明らかです。今後数年のうちに多くの企業が導入に着手し、実用の段階に至ることを心待ちにしています。

とはいえ、5Gを未来に向けた成長とイノベーションの手段とする前段階においては、対処すべき多くの厄介な課題も存在します。たしかにアーリーアダプターは明るい兆しを示してくれてはいますが、こうした障害は5Gを本格的に導入していない企業の前に一層大きく立ちはだかります。

5G導入競争で先頭に立ちたい企業は、多くの決断を迫られます。フィージビリティ、ユースケースの優先順位、新たなビジネスモデル、デバイス戦略など、できるだけコストを抑制しながら、複雑さにも対処していかなければなりません。そして、今後の戦略を導き出す上では、やはり外部の組織とのパートナーシップが欠かせないでしょう。正しい戦略があれば、自社が描く未来の5Gビジョンに向けて十分に準備を整え、実現への道のりを加速できるはずです。

ア ク セ ン チ ュ ア の 5 G ア ク セラ レ ー シ ョ ン サ ー ビ ス と 、 5 G を 活 用 し た 価 値 実 現 の サポ ー ト に つ い て 、 詳 し く は Accenture.com/Accelerate5Gをご覧ください。

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アクセンチュアについて

アクセンチュアは、ストラテジーおよびコンサルティング、インタラクティブ、テクノロジー、オペレーションズの領域で、すべてにデジタルの力を組み込んだ幅広いサービスを提供する世界最大級の総合コンサルティング企業です。世界最大の規模を誇る先端技術とインテリジェント・オペレーションセンターのネットワークに裏打ちされた40を超す業界に向けて、豊富な経験と専門スキルを生かしたサービスを提供しています。アクセンチュアでは、世界120カ国以上のお客様に対して、50万5,000人の社員による継続的なイノベーションによって、お客様のパフォーマンス向上と、永続的な価値創出を支援しています。

アクセンチュアの詳細はwww.accenture.comを、アクセンチュア株式会社の詳細はwww.accenture.com/jpをご覧ください。

調査手法

ビジネスおよびテクノロジー業界の経営者2,623人へのインタビューを通じて、12の業界の企業を対象に、5Gに関する知識、これまでの導入法、5Gの想定される効果をめぐる回答を集めました。2019年に実施した同じ調査に照らして評価を行いました。2020年の調査には、米国、英国、スペイン、ドイツ、フランス、イタリア、日本、シンガポール、アラブ首長国連邦、オーストラリアの回答者が参加しました。