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Born Global 企業 新たなビジネス環境下での中小企業の国際化に向けて高橋 http://www.itbusiness.ca/blog/the-born-global-disruption/20732

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Page 1: 6.12 slide share向け born global company

Born Global企業 - 新たなビジネス環境下での中小企業の国際化に向けて-

高橋 浩

http://www.itbusiness.ca/blog/the-born-global-disruption/20732

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問題意識

• 20年前、創業初期から急速に国際化する企業

が登場してきたとの観察に基づき、マッキンゼーが『Born Global企業』を提唱した。

• 更に2000年代以降、単に国際化急拡大だけで

なく、世界中の企業と連携し、時には大企業とも対抗できる競争力を短期間で築きあげる企業が登場してきた。

既成大企業中心の日本の製造業は、これら新手Born Global企業にどう対抗できるだろうか。

また、日本の中小企業はBorn Global企業戦略に基づいて海外市場をどう拡大できるだろうか。

2

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目次

Ⅰ.“Born Global”コンセプトの歴史

Ⅱ.Born Global企業の分析

Ⅲ.“隠れたチャンピオン”との比較

Ⅳ.日本の状況とBorn Global企業活性化の課題

Ⅴ.これからの取組み

3

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4

著者 背景 結論/結果

(McKinsey & Co., 1993)

Born Global. 「新たな輸出形態

を持つ生産企業」調査対象:オーストラリアの310社

企業の25%が創業後2年以内に集中的に輸出。 平均輸出比率は売上高の75%

(Cavusgil, 1994) Born Global. (McKinsey & Co., 1993)の解釈

スモール イズ ビューティフル。 ステージモデルによる国際化は死んだ。

(McDougall et al., 1994)

International New Ventures(INV). (類似概念の用語)24社のケーススタディ

企業誕生から国際市場向け戦略。 ステージモデルはもはや通用しない。 (米7,英5,ニュージーランド4,独2,(スイス,チェコ,仏,ブラジル、イスラエル、シンガポール)×1=6)

(Knight & Cavusgil, 1996)

Born Global. 既存研究と新聞記事からのまとめ。 企業設立3-6年以内に25%以上の輸出を持つ企業

Born Blobalの存在につながる要因: •世界中のニッチ市場の成長 •生産と通信技術の変化 •国際的ネットワーク数の増加

(Madsen & Servais, 1997)

Born Global. 既存研究と多数のデンマークのケーススタディ 「Born Global」引用件数No.2:459件

古典的なステージモデルは、もし創業者の経験と市場の国際化が考慮されるなら、Born Globalでも有効

(Knight & Cavusgil, 2004) THE 2014 JIBS(Journal of International Business Studies)DECADE AWARD*

Born Global. 米国が調査対象 「Born Global」引用件数No.1:501件

必要とされる能力: ネットワークに参加する能力、組織外部資源を活用する能力、経営資源と競争市場の組合せ能力、ほか

*:1年に一度、十年前に出版された論文から一本最優秀の論文を表彰する賞

Ⅰ.“Born Global”コンセプトの歴史

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Invetech Cochlear Precision Valve

特殊医療実験器具の製造 重度聴覚障害者対応の商品開発

バルブ、プラスチック包装製品

1987年設立

設立5年後の輸出は総売上高の20%以上

輸出は総売上高95%。過去5年間で25%増加

設立5年以内で輸出は総売上高の25%

スイスの多国籍企業ライカとの連携(ライカが海外ディストリビュータの役割)

メルボルン大学に由来。

スイス、ドイツ、米国の共同研究病院と強い繋がり。

顧客/サプライヤとの緊密な関係が輸出成功の要因

5 1993年 オーストラリア

McKinsey & Co“Emerging Exporters”における オーストラリアのサンプル企業例 Australian Manufacturing Council, Melbourne(1993)

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Madsen & Servais“The Internationalization of Born Globals”におけるデンマークのサンプル企業例

International Business Review Vol. 6, No. 6, pp. 561-583, 1997

1. Aabyブレーキ:1990年設立。風車産業/鉱業/クレーン産業向け油圧ブレーキディスク製造。5年後の輸出が総売上高の約60%。輸出活発化はスウェーデン企業買収が奏功。

2. ESX:1992年設立。ネジ金型のニッチ製品生産。輸出は総売上高の80%。創始者はビジネス経済学者で当初から国際化志向。

3. MKエレクトロニクス:1984年設立。MNCがこの機能を外部化したので創業者が会社設立。ローカル関係継承でElectroluxと連携継承。これがスウェーデン、ドイツへの輸出継続で奏功

6 1997年 デンマーク

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S. Tamer Cavusgil ジョージア州立大学教授

G. A. Knight フロリダ州立大学教授

2009年出版

2012年出版

Born Global企業についての長い研究の歴史

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新しいタイプのBorn Global企業の登場

米テスラ・モーターズ

バッテリー、モーター、コントロールシステム以外のほぼ全てを実績のある他社から調達し高い品質の自動車を作り上げる事に成功

2010年 米国シリコンバレー

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Innovation, organizational capabilities, and the born-global firm

イノベーション、組織能力、Born Global企業 Journal of International Business Studies (2004) 35, 124–141

THE 2014 JIBS(Journal of International Business Studies)DECADE AWARD論文の要点

研究の目的 • Born Global企業の客観的手法による分析

• 知識、能力、イノベーション文化の役割を解明

• 国際的成功を生むキーとなる方向性や戦略を明確化

• 仮説を設定

• サンプル企業調査に基づく仮説の検証

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Ⅱ.Born Global企業の分析

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Born Global企業の組織文化

Born Global企業にとって最も重要な組織文化属性とは・・

①国際起業家志向性:ユニークな起業家の力量と見通しによって企業を国際市場へ飛躍させること

②国際マーケティング志向性:海外顧客のために重要なマーケティング要素を介して価値創造を重視した経営の考え方

①、②、2つの基礎能力の所有が特定の組織戦略収集/展開を生み出す高度にイノベーティブな企業を創造する。

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Born Global企業のビジネス戦略 Born Global企業が使用するビジネス戦略とは・・・

1. グローバル技術力:世界のニッチ市場の専門的ニーズに効率的に応える。

2. ユニークな製品開発:特定ニーズを満たすことによって、顧客の忠誠心を創造する。

3. 品質へのフォーカス:製品価値を高めながら、サービスコストで市場シェアと利益上昇を可能にする。

4. 海外ディストリビューター能力の活用:海外市場に存在する固有の課題を海外の仲介業者の力量を活用することによって克服する。

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概念フレームワークと仮説(H1~H5)の設定

組織文化 ビジネス戦略 パフォーマンス

①国際起業家志向性

②国際マーケティング志向性

1.グローバル技術力

2.ユニーな 製品開発

3.品質への焦点化

4.海外ディストリビューターの活用

国際市場でのパフォーマンス

H5

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仮説 H1:グローバル技術力は、①国際起業家志向性、②国際マーケティング志向性の関数である。

H2:ユニークな製品開発は、①国際起業家志向性、②国際マーケティング志向性の関数である。

H3:高品質の焦点化は、①国際起業家志向性、②国際マーケティング志向性の関数である。

H4:海外ディストリビューター能力の活用は、①国際起業家志向性、②国際マーケティング志向性の関数である。

H5:国際市場の優れた性能は、(1)グローバル技術力、(2)ユニークな製品開発、 (3)高品質へのフォーカス、(4)海外ディストリビューター活用の関数である。

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分析方法

• 1980年以降に設立され、総生産の少なくとも25%を輸出している、米国全体で900社の製造業企業をランダムに選択し、質問票を送付

• 応答率約23%。203個の使用可能な質問票を回収

• 回答企業は、廃水処理システム、医療機器、警報システム、コイル状鋼管、コンピュータソフトウェア、捺染ブランケット、油田界面活性剤のような様々な製品の製造業

• これらを統計処理 14

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分析結果

• H1,H2の一部NG残りは全てOK

–平均的企業:従業員190人、総売上高約30億

円、海外売上率41%。

–輸出先は約20カ国、創業2年

以内に海外向け販売を開始。

15

①国際起業家志向性と4)海外ディストリビューターの相関はNG

②国際マーケティング志向性と1)グローバル技術力の相関はNG

2004年 米国

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結論(1) • 若く国際化志向の企業経営者は、国際パフォーマンスを最大化させるため、ユニークで独特な知識を開発している。

• 知識はリソース固有の構造を作り出し企業文化に埋め込まれる組織力を発生させている。

• 情報/通信/生産技術の進歩や物流技術だけで

なく、他の有用なインフラ、グローバル化現象が、若く小さい企業にもグローバル市場に積極参加可能なビジネス環境を発生させている。

• 企業は早期国際化と海外市場成功をサポートしてくれる特定知識ベースの内部組織能力を具備すべく努力しなければならない。

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結論(2):Born Global企業となるために必要とされる内部組織能力

個人レベル、企業レベルのネットワーク化と、それに参加する能力 組織の外部に存在する資源を有効に活用する能力 市場をまたいで経営資源と競争市場を組み合わせる能力 母国市場の規模や文化的特性と海外市場の可能性を捕捉し連携させる能力 起業家や創業チームの起業家的志向性 起業家や創業チームの経歴、経験、知見、特性の蓄積と共有能力

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隠れたチャンピオン

• 世界市場で業種上位3位以内か、またはそ

の企業が位置している大陸でトップ

• 売上高が50億ドル未満

• 一般にほとんど無名

Born Global企業

• 創業時と同時、または2、3年以内の早期

に国際事業を開始したベンチャー企業または中小企業

• 海外での売り上げが少なくとも25%以上

18 Hermann Simon S. Tamer Cavusgil

Ⅲ.“隠れたチャンピオン”との比較

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観賞魚用飼料

犬のリード

ホビー

医学理科学教材

教育

製薬業界向け包装システム

マイクロ電子機器組立システム

電子機器用特殊接着剤

製造業界向け部材

災害で被災した機器、設備復旧サー

ビス

(ディザスターリカバリー)

サービス

世界最大級のリチウム生産企業

製造業界向け資源

製造業界向け各種システム

シガレット製造機

グミのお菓子

食品産業

高圧水洗浄剤

製造業、非製造業双方向け部材

商用食器洗浄システム

風力発電システム

非製造業界向けシステム

ショッピングカート 空港手荷物カート

非製造業界向け製品

B to C市場 製造業B to B市場 非製造業B to B市場

ドイツの“隠れたチャンピオン”企業の例

”隠れたチャンピオン”企業の平均売上高は約400億円、平均従業員数は2,000人位

参考資料

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ドイツの“隠れたチャンピオン”の戦略

主戦略 市場を意識的に狭く定義⇒絞った市場をグローバル化で拡大【“フォーカス&グローバル”戦略】

目標と成果

成長指向の高い目標設定と積極経営⇒選択市場への執拗な拘り【最近10年10%成長。10年間で2.5倍】

イノベーション

技術と市場をバランス良く統合⇒大企業を上回るイノベーション実現【一人当たり特許保有大企業の5倍以上。特許あたりコスト大企業の5分の1】

組織構成戦略

顧客との近さを技術以上に重視⇒顧客コンタクト従業員比率を拡大【従業員の25~50%顧客コンタクト対応(大企業は平均して5~10%)】

従業員モラル

独自職業訓練システムと有能な従業員⇒高い忠誠心と低い離職率【離職率年2.7%(ドイツ平均7.3%)】

Hermann Simon, “Hidden Champions (1): what German companies can teach you about innovation”

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“隠れたチャンピオン”の強さの源

(1) No.1になりうる市場・製品領域を絞り込む

• 営業やサービスの業務効率化の面で、圧倒的なNo.1シェアと品質を目指す。

• 市場をどう定義すればNo.1シェアを目指すことができるかをよくよく考え実践する。

• 顧客へ提供すべき価値は何で、それを提供するためには何が必要かを徹底的に考察する。

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(2) ハードとサービスを組み合わせる

• 物理的な製品(ハード)とサービスやソフトを一体化して顧客の信頼を維持する。

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• サービス自体の質の高さを強みにすることで、顧客ニーズを製品開発に反映することができ、それが後発企業の参入を許さないポイントとできる。

• ソフトウェアとしてのノウハウを製品に反映することで、他社の追随を困難にする。

(3) 外部リソースの活用

• コアとなる技術は徹底して自社開発を行う一方、その他の周辺技術については、積極的に社外の技術を活用する。

• 顧客の課題を自社で解決できなければ、世界のどこにでも出掛けて可能性を探る柔軟性を持つ。

• 課題解決のためには技術を統合する能力こそが重要だと認識し、社外から要素技術を導入することに抵抗を持たない。

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ドイツの“隠れたチャンピオン”の強み ビジネスサービス重視!

製品品質

アドバイス

顧客との密接さ

経済性 定刻の配送

サービス

システム統合性 配送の柔軟性 価格

ドイツ製 特許

流通

広告

ベンダーとの協力

競争パフォーマンス

重要性

ドイツの

“隠れたチャンピオン”

製品専門化 顧客「ニッチ」市場 商品サービス

通常の 多国籍企業

生産ネットワーク ボリューム市場 新製品

ハーマン・サイモン,「グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業」より

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隠れたチャンピオン企業とBorn Global企業の類似点・相違点

類似点 • グローバル・ニッチ市場 • 差別化商品、高品質商品 • 経営パフォーマンス力 • グローバル・マーケティング力 • 経営者(創業者)の資質・意識・経験・リーダーシップ

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相違点 隠れたチャンピオン企業 vs Born Global企業

(比較的大規模だが知名度小)vs(規模・知名度:不問)

(期間・輸出比率:不問) vs (創業後短期間で輸出比率上昇) (平均従業員数2,000人、平均売上高約400億円)vs

(平均従業員190人、平均売上高約30億円、(但し、新型Born Global企業除外))

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企業名 テラモーターズ ジオ・サーチ 日プラ(born again global*)

社標

設立年 2010 年4 月設立 1989 年1 月設立 1969年設立

創業者 徳重 徹 冨 田 洋 敷山哲洋

業務 電動で走るモーターバイクの開発・設計・生産・販売(従業員16 名)

インフラ・セキュリティー・サービス (従業員153名)

アクリルパネル、映像スクリーン、水槽内防水工事 (従業員83名)

国際化 ベトナム、フィリピンに現地法人を設立し、初めからグローバル事業展開

当該サービスをカンボジアの地雷除去に活用など国連とも連携しグローバル展開

海外であれば評価してくれる可能性に賭けた。

世界シェアは7割,納入先は世界50ヵ国

備考 「新興国ではガソリ

ンが高価な上、排ガス対策も急がれており、電動バイク市場は大きく成長して行くと

いう読みが設立のきっかけ」

路面下に発生した空洞、埋設物の位置情報、橋梁などコンクリート構造物内部の劣化個所などを、「スケルカ(透ける化)」技術を用いて探知するビジネス

アクリルは透明度が高く,割れにくいので水槽づくりの素材の可能性大。 1991年に世界市場への進出を決定。

水族館市場は米国がビックマーケット。

*:Born Again Global企業:もともと国内で事業をしていたが急激に方向転換し、海外展開して一気に成長した中小企業

日本の代表的なBorn Global企業(2社)とBorn Again Global企業(1社)

Ⅳ.日本の状況とBorn Global企業活性化の課題

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テラモーターズ

• 事業モデル:既成部品を多く利用した中国での委託生産と安価なシリコン電池を採用する徹底したコストカット

• 「大手メーカー最大の優位はガソリンエンジン技術。しかし多くのエンジニアを抱えているため、電動バイクに力を入れ過ぎると自分の首を絞めかねない根本的ジレンマ」との認識

–従来のガソリンバイクは、大手メーカーの「垂直統合」で生産されているが、電動バイクは、動力がモーターと電池に替わるので、各々の部品メーカーの「水平分業」がしやすくなる。

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電動バイク

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• 2010年の創業から間もなく中国で委託生産を開始。2年目にベトナム、3年目にフィリピンに支社を開設。

• 中国に着目したのは・・

1.電動バイクは免許がいらない。

2.電動バイクはヘルメットがいらない。

3.一部地域ではガソリンバイクが使用禁止に

4.ランニングコストがガソリンバイクの約6 分の1 で安い。

• 資源、柵を持たないからこそ既存ビジネスモデルを壊すことができるという逆転の発想

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ジオ・サーチ

• 「路面下空洞探査システム」の実用化に成功

• 「路面下空洞探査システム」の論文が、国連の初代地雷除去責任者の目に留まり、1992 年11 月に突然の訪問

• プラスチック製対人地雷の探査ができないかという相談

• 1994 年には、スウェーデンで開催された国連支援の「地雷除去専門者会議」に招待

• 1998 年3 月、NPO法人「人道目的の地雷除去支援の会」(JAHDS=ジャッズ)を発足

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• 同社の競争優位性は世界のどこにもないインフラ・セキュリティー・サービスの提供

–路面下探査システムによる空洞・埋設物の位置情報、コンクリート構造物内部の劣化等の調査

• さらに進化させ、埋設管を3 次元で可視化できるシステムを2008 年に実現。2010 年には、時速60kmのスピードで走りながら、コンクリー

ト構造物内部の劣化や損傷個所を精密に「透ける化」できる技術

「スケルカ」を発明

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日プラ*

• 水族館用の大型水槽で世界シェア7割

• アメリカへの市場参入を狙って大手商社に事業協力を依頼したが拒否された。

• 商社の社員から「個人的には御社のアクリル水槽は絶対に売れると考えている」と言われた。

• 世界最大の規模を誇るモントレーベイ水族館の商談を落札。これがキッカケで米国で知名度向上

• 現在、日プラの海外売上げ比率は8割

30 *:Born Again Global企業:もともと国内で事業をしていたが急激に方向転換し、海外展開して一気に成長した中小企業

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• 規格品は用意せず、すべて個別受注で対応

• 原材料の供給については安定化を図るため住友化学から約2割の出資を受ける。

• 一定以上の大きさを超えるものは道路交通法上,公道を使用しての輸送できない。そこで現場でのパネルを接着する方法を考案

• 海外現場での温度管理は日本よりはるかに難しい問題があった。

• 設置現場でのパネル施工用各種イノベーションが日プラを世界企業に押し上げた。

• 水槽の設置工事では6~7名の少人数の多能工チームを現場に送り込んでいる。

• 定年制度がなく,希望する社員は働ける限り雇用する方針

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企業名 セレボ ブイキューブ フィックスターズ

サイバーステップ

ゼットエムピー

社標

設立年 2007年 1998年 2002年 2000年 2001年

創業者 岩佐琢磨 間下 直晃 三木聡 佐藤 類 谷口恒

業種 映像機器 ウェブ会議システム

ソフトウェア開発

オンラインゲーム

自動車ソフトウェア

国際化 海外売上高比率5割以上

世界中の拠点と連携可能

米国空軍研究所で2016台のPS3使用システム構築

韓国、台湾、中国などの運営会社に運営権貸与

インテルと資本提携。コマツ、ソニー出資、共同開発

備考 手のひらサーズのネット映像配信機「ライブシェル」等の製造・販売

従業員330人

ウェブ会議やオンライン・セミナー等のビジュアルコミュニケーション・ツールの開発・販売

従業員112人

マルチコアプロセッサ向けのソフトウェア最適化サービスや開発プラットフォーム

従業員114人

ネットワーク・エンターテインメント・ソフトウェアの開発

従業員50人 GPSがない場

所でも自動走行できる技術を開発。自動車、ヘルスケア、農機、建設・鉱山機械

日本のその他のBorn Global企業(1)

2000年頃~ 日本

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企業名 ミドクラ アキュセラ

社標

設立年 2010年 2002年(2014年マザーズ上場)

創業者 加藤隆哉、ダン・ドミトリウ 窪田良

従業員数 50人(日本人10人) 80人

売上げ高 未公開 未公開

業種 クラウドコンピューティング向けソフトウェアの開発と販売

眼科領域に特化した創薬型バイオベンチャー

国際化 持ち株会社はローザンヌ(スイス)。日本(東京)、バルセロナ(スペイン)、米国(サンフランシスコ)にオフィス。

米国に2ヶ所、日本で1ヶ所のオフィス

備考 自律分散アーキテクチャに基づくネットワーク仮想化プラットフォーム「MidoNet」を提供。サーバーやスト

レージと違い、ネットワークの仮想化は未だほとんど立ち上がっていない。「MidoNet」はこれを解決する仮想ネットワーク基盤の提供を目指す。

さまざまな網膜疾患への応用が期待されている「視覚サイクルモジュレーション(VCM)」技術を保有。その技術

を核に、「世界から失明を撲滅する」とのミッションのもと眼疾患治療薬の探索および開発を行っている。薬剤がない眼疾患である「ドライ型加齢黄斑変性」を中心に。

日本のその他のBorn Global企業(2)

2000年頃~ 日本

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企業名 マニー スミダコーポレーション

社標

設立年 1956年 (現在は東証一部企業) 1950年 (現在は東証一部企業)

創業者 松谷正雄 八幡一郎

従業員数 277名 日本人約600人、連結約2万人

売上げ高 93億円

業種 手術用縫合針、歯科用治療器具 L素子(コイル、トランス、インダクタ)

国際化 ベトナム(96年)、ミャンマー(99年)、ラオス(09年)に生産拠点設置

生産拠点:9割が国外(13カ国)、売り上げの8割が国外。R&D:日本50%、海外50%。英語を共通語

備考 「すべての製品を世界一の品質に」

針金から作る医療機器である「極細治療器」に特化。リーマ・ファイル(歯の神経を削る器具」の開発に結実(世界シェア39%) 創業から40年間、国内で事業をして

いたが、社長が労働集約的作業は国内では難しくなると判断。1996年にベトナムに生産拠点を設立

「ABSコイル、キーレス・エントリー用コイル分野で世界シェア1位」 20年間、国内で事業をしていたが、

早くからグローバル化を目指した先代社長が、3人の息子を海外留学させたほか、1971年に台湾、1972年に韓国、1974年に香港と次々に海外拠点を設置

日本のその他のBorn Again Global企業

1990年頃から 日本

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企業名 テラモーターズ ジオ・サーチ 日プラ(born again global)

社標

グローバル技術力

△ ◎ ◎

ユニーな 製品開発

○ ◎ ◎

品質への焦点化 ○ ○ ◎

海外ディストリビューターの活用

× × ×

国際起業家志向性

◎ ○ × ⇒ ○

国際マーケティング志向性

◎ ○ × ⇒ ○

海外ディストリビューター活用が低調である。 「グローバル技術力」「品質への拘り」は極めて強い。 Born Globalの担い手がかなり限定されている。

日本のBorn Global企業(Born Again Global企業含む)の属性

日本の特徴:

案外、Born Again Global企業路線に改善の余地があるかもしれない。

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Born Global企業創業活性化の課題

• 非常に限定された取組み

–創業者が特別の経験をした人(海外での経験、ベンチャーキャピタルの経験、語学に強い、またそれらの組合せ)に限定されている傾向

• 最初から国際化を狙う意思と属性を保有している人材に根差すことが多い。

• 最大の課題は人材の層を拡大すること。

• これに時間を要し過ぎる懸念もあるので、膨大な基盤を保有する現行中小企業のBorn Again Globalへの取組みも合わせて実施強化が現実的

36

Page 37: 6.12 slide share向け born global company

日本 ボーンアゲイングローバル

1990年頃~

37

国内市場規模

Born Global創業難易度の変化 難易 容易化

北欧 1994年頃~

オーストラリア 1993年頃~

米国 1994年頃~

日本 2000年頃~

米国シリコンバレー 2010年頃~

中国 2010年頃~

困難性高い

困難性低い

容易化拡大

国内市場規模大地域から新たな可能性登場

容易化拡大

国内市場規模小のためインセンティブ大

Ⅴ.これからの取組み

各国のBorn Global企業創業環境の比較(1)

Page 38: 6.12 slide share向け born global company

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国内市場規模

Born Global創業難易度の変化 難易 容易化

日本

北欧・豪州

BGC

BAGC

存在するがメジャーでは無い

存在するがメジャーでは無い

定常的に一定比率存在か

あまり顕在的ではないかも

あまり顕在的ではないかも BAGC BGC

新BGC

米国 米国シリコンバレー・中国

新BGC BGC

定常的に一定比率存在か

あまり顕在的ではないかも

2形態が共存

BGC BAGC

各国のBorn Global企業創業環境の比較(2)

注:BGC(Born Global Company), BAGC(Born Again Global Company)

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新たなビジネス環境とBorn Global企業 • 日本の大企業は「Born Global企業」からの挑戦を受けている。

– スマホで中国シャオミや自動車でテスラ・モーターズなどから

• 「Born Global企業」が登場した頃、「世界中の企業と連携し、大企業と対抗できる競争力を短期間で築きあげていく」企業登場は想定されなかった。

• 最近顕著になったこの傾向の背景には、特定大企業が巨大な黒子となって、無数の新興企業とwin-win関係を構築しようとの意図が働いている。

– スマホ:少数チップメーカー(MediaTekなど)がチップセットと技術供与を提供し、それを受けて新興企業が高性能スマホを容易に開発

• 「新興企業と黒子大企業の組合せ」登場が、「Born Global企業」立上げの敷居を低下させた。

• 今後、類似モデルが他の完成品市場でも登場する可能性がある。

• 日本の大企業が、世界を相手に黒子企業に変身するビジョンと行動力を持てれば問題は無いが、難しいか?(浸食されるのはやむを得ない?)

• 大企業は、経営者意識、企業文化を、①国際起業家志向、②国際マーケティング志向に大きく転換させる必要がある。

• 日本発「Born Global企業」創業を大胆に活性化させる必要がある。 39

Page 40: 6.12 slide share向け born global company

Born Global企業活性化を左右する条件

• 持続的競争優位性を維持できる能力が必要! • 重要なのは・・ ① 単発イノベーションだけでなく、複数イノベーションを組み合わせられるか

② 継続的にイノベーションを起こし続けられるか ③ それらを実施できる組織能力を具備できるか

40

Born Global企業への取組みフレームワーク

Page 41: 6.12 slide share向け born global company

これからの取組み

Born Global企業の活性化!(Born Again Global企業の活性化を含めて)

• 日本の膨大な中小企業の優れた知識ベースの蓄積を国内市場規模縮小に連動させて、ゆでガエル式に矮小化/劣化させないために

新型Born Global企業の活性化!

• 新陳代謝の早い海外発新型ボーングローバル企業による日本大企業浸食の失地を補い、グローバル市場で次ポジション確保のために

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Ⅰ/ (Ⅲ)