66/77kv cv ケーブル用コンパクト型 y分岐接続部の開発 · 66/77kv...

6
97 13 66/77kV CV ケーブル用コンパクト型 Y 分岐接続部の開発 Development of a Compact Type Y-Joint for 66/77kV XLPE Cables コストダ ン, およびマンホール に, 66/77kV コンパクト Y (以 YJ)を した。 YJ ,Ⅰ あるが, YJ し, YJ に対して 400mm300mm100mm1/4 きた。また,ケーブル YJ するこ により った。さらに, あった 600mm 2 した ,対 を確 した。 キーワードY ,マンホール 600mm 2 Summary We have developed the compact type Y-joint for 66/77kV XLPE cables to minimize the cost and space for manholes and to simplify the assembly. Although the new Y-joint is classified in one group for cable sizes 500mm 2 and below, compared to conventional types, it has been outstandingly downsized i.e. by 400mm in length, 300mm in width and 100mm in height, and its wight has been reduced to a fourth. Further more, we have also confirmed that the joint can be applied to up to cable sizes of 600mm 2 . Key wordsY-joint, Simplifying the assembly, Minimizing space for manholes, Applicable up to the cable size of 600mm 2 42 浦  *2 *2 K. Miura S. Katoh *1  *2  システム *1 *1 K. Sakurama A. Adachi 1.まえがき ため, において ,一 ある。これら する 一つ して,マンホール ,ケーブル による に対 きる するこ えられる。 多い 500mm 2 )について, ,コンパクト Y し,また, ,Ⅱ あった 600mm 2 あるこ を確 した。 した YJ ,および につい する。 2.接続部の設計 YJ を以 おり した。 ( マンホール ため, ) ため, * ため, YJ 2.1 構造概要 Fig. 1 YJ を,Fig. 2 YJ す。 較するこ YJ するこ したため, 大きさ めているこ がわかる。これに対 して, 体ケースに一体 したこ にスリムに っている。 Table 1 YJ YJ 較を す。 Table 1 Size comparison of the existing Y-joint and the compact Y-joint 現用 YJ と開発品 YJ の大きさ比較 YJ(一 YJ (%) 296 170 57 666 380 57 1160 750 65 2 370 210 56 (kg) 160 40 25 (mm)

Upload: others

Post on 03-Jul-2020

3 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 66/77kV CV ケーブル用コンパクト型 Y分岐接続部の開発 · 66/77kV CVケーブル用コンパクト型Y分岐接続部の開発 - 43 - Fig. 1 Structure of the compact

三 菱 電 線 工 業 時 報 第97号 平成13年1月

66/77kV CVケーブル用コンパクト型Y分岐接続部の開発Development of a Compact Type Y-Joint for 66/77kV XLPE Cables

要  約

コストダウン,組立作業の簡素化およびマンホールの縮小化を目的に,66/77kV用コンパクト型Y分岐接続部(以下YJ)を開発した。本YJは,Ⅰ型限定ではあるが,現用YJの構造を見直し,現用YJに対して長さで約400mm,幅で 300mm,高さで 100mm,本体重量比では,1/4と大幅に縮小化できた。また,ケーブルと YJ本体との接続部を

挿入型構造とすることにより組立作業も非常に簡単になった。さらに,従来Ⅱ型の分類であった 600mm2対応を検討した結果,対応可能なことを確認した。キーワード: Y分岐接続部,組立作業の簡素化,マンホールの縮小化,600mm2対応

Summary

We have developed the compact type Y-joint for 66/77kV XLPE cables to minimize the cost and space for manholes

and to simplify the assembly.

Although the new Y-joint is classified in one group for cable sizes 500mm2 and below, compared to conventional

types, it has been outstandingly downsized i.e. by 400mm in length, 300mm in width and 100mm in height, and its

wight has been reduced to a fourth.

Further more, we have also confirmed that the joint can be applied to up to cable sizes of 600mm2.

Key words: Y-joint, Simplifying the assembly, Minimizing space for manholes, Applicable up to the cable size of

600mm2

- 42 -

三 浦 浩 二*2   加 藤 真 次*2

K. Miura S. Katoh

*1 尼崎製作所     *2 電力・電線事業部 システム部

桜 間 邦 彦*1   足 立 晃 裕*1

K. Sakurama A. Adachi

1.まえがき

電力需要家への安価な電力提供のため,最近の送変電設備形成においては,一層の効率化,簡素化が必須である。これら

を達成する方法の一つとして,マンホールの縮小化,ケーブル接続作業性の向上による作業時間の短縮化などに対応できる接続部の開発を実施することが考えられる。今回,需要の多い

Ⅰ型(500mm2以下)について,軽量,コンパクトで作業性の良いY分岐接続部の開発を実施し,また,従来は,Ⅱ型の分類であった 600mm2への対応も可能であることを確認した。

以下に開発したYJの構造,設計,および評価結果について報告する。

2.接続部の設計

本 YJの開発目標を以下のとおりとした。

�マンホール寸法の縮小のため,全体寸法の縮小化�取扱性の向上のため,重量軽減

�組立作業性向上のため,YJ本体への接続作業の簡素化

2.1 構造概要

Fig. 1に開発品 YJを,Fig. 2に現用 YJの一例を示す。両図を比較することで,現用YJは,終端接続部などと同

じ絶縁筒を使用することなどを条件としたため,絶縁筒が

かなりの大きさ寸法を占めていることがわかる。これに対して,開発品は,絶縁筒を本体ケースに一体化したことで,非常にスリムになっている。

Table 1に開発品 YJと現用 YJの寸法,重量比較を示す。

Table 1 Size comparison of the existing

Y-joint and the compact Y-joint

現用YJと開発品YJの大きさ比較

現用 YJ(一例)

開発品 YJ

縮小比(%)

高さ

296

170

57

666

380

57

長さ

1160

750

65

2口間

370

210

56

本体重量

(kg)

約 160

約 40

25

寸法 (mm)

Page 2: 66/77kV CV ケーブル用コンパクト型 Y分岐接続部の開発 · 66/77kV CVケーブル用コンパクト型Y分岐接続部の開発 - 43 - Fig. 1 Structure of the compact

66/77kV CVケーブル用コンパクト型 Y分岐接続部の開発

- 43 -

Fig. 1 Structure of the compact Y-joint

66/77kV CVケーブル用縮小形Y分岐接続部(開発品)

210±10

180±10 390±10 180±10

750±30

φ170

170±30

380±30

接地線�接続部本体防水カバー�ケース�絶縁成形物�導体接続子�くさび�

1 2 6 3 7 4 8 5 9 10 13 15 11 14 12 12 16 19 1220117

21 22

181213

12

6

3

7

4

8

5

91011

Oリング�絶縁筒�スクリューキャップ�圧縮装置固定金具�ケーブル保護金具�防食カバー�

13

1514

16171812

接地端子�CVケーブル�分岐絶縁栓用絶縁栓�分岐絶縁栓用保護金具�

2122

1920

接触子�締付け金具�ストッパー�プレモールド絶縁体�プレモールド絶縁体圧縮装置�防水処理部�

Fig. 2 Structure of the existing Y-joint

66kV CVケーブル用Y分岐接続部(現用品の一例)

370±30

296±30

666±30

390±50380±50390±50

1160±50

Oリング�プレモールド絶縁体圧縮装置�絶縁筒�ケーブル保護金具�接続部防水カバー�CVケーブル�

接地線�接続部本体防水カバー�ケース�絶縁成形物�導体接続子(埋込電極)�くさび�

212223

12

6

3

7

4

8

5

910

13

15

11

14

16

1920

1718

接地端子�分岐絶縁栓用絶縁体�分岐絶縁栓用押しパイプ�分岐絶縁栓用蓋�分岐絶縁栓用防水カバー�

12

くさび締付金具�カラー�プレモールド絶縁体�押しパイプ�アダプター�防水処理部�

21 22 23

1 2 63 74 85 9 10 13 1511 14 1619

20

17 18 12

Page 3: 66/77kV CV ケーブル用コンパクト型 Y分岐接続部の開発 · 66/77kV CVケーブル用コンパクト型Y分岐接続部の開発 - 43 - Fig. 1 Structure of the compact

三 菱 電 線 工 業 時 報 第97号 平成13年1月

- 44 -

1600mm2まで対応可能な( Ⅰ型,Ⅱ型共用)現用 YJに対して,600mm2以下の開発品YJの大きさを単純に比較す

ることはできないが,大幅なコンパクト化と重量の軽減が図られている。

2.2 主な改良・開発箇所

2.2.1 絶縁筒の配置と取付け方の改良・開発

絶縁筒の配置,および取付け方を Fig. 3のように変更し

た。これは,従来,YJ本体後方にインサートボルトで固定されていた絶縁筒を本体のプレモールド絶縁体挿入部分の外周上に配置し,スクリューキャップで本体ケースに締

付け固定するようにしたもので,この配置の変更で,長手方向の縮小化が可能になり,さらに,固定方法の改良で,径方向に制約を受けていた本体の縮小化も可能となった。

2.2.2 プレモールド絶縁体圧縮装置の圧縮方法の改良・開発

絶縁筒の配置と取付け方の変更に伴い,プレモールド絶縁体圧縮装置を圧縮するスタッドボルト構造から,Fig. 4

に示すような円筒状の固定金具を絶縁筒端部の埋込金具

に引っかけ固定し,固定金具後方から,ボルトで圧縮装置を圧縮する構造を開発した。これにより,本体と絶縁筒を径方向に縮小化した外径にケーブル保護金具径を納める

ことが可能となった。

2.2.3 導体接続方法の改良・開発

現用YJの本体とのケーブル接続作業は,本体にケーブル

を差込む際にくさびを締付け固定する方法であった。これに対して開発品では,Fig. 5に示すように,ケーブ

ルにあらかじめ,くさびを介して接触子を取付けておき,

本体とケーブルの電気的接続は,接触子に配置したマルチバンドを用い,ケーブルの引留めは,くさび締付金具にロック機構を内蔵し,プレモールド絶縁体を所定の位置に

挿入すれば,ロック機構のロックピンがYJ本体内埋込電極にひっかかり,YJ本体にケーブル部が固定される方法を開発した。

これにより,従来のようにケーブルとYJ本体の固定の際に,プレモールド絶縁体をケーブル後方に逃がして置く必要も,また,くさび締付け治具を本体に挿入し,用いる必

要もなく,大幅な作業性の向上が図れた。Fig. 6に開発品YJ

の構成部品を示す。

2.3 絶縁設計

現用YJでは,絶縁筒の配置,取付け方法から,本体エポキシの絶縁厚を薄くしても,全体の縮小化は望めなかった

が,今回の改良により,エポキシ絶縁厚を見直すことが可能となり,電界解析により,各部の寸法,厚さの最適化を図った。

この結果,現用YJの各部の設計電界に対する耐電圧時の裕度に対して開発品の裕度は,各部間の裕度のばらつきが少なく,より合理的な絶縁設計ができた。

圧縮用ボルト�

プレモールド絶縁体圧縮装置�

絶縁筒�

圧縮装置固定金具�

絶縁筒� プレモールド絶縁体圧縮装置�

スタッドボルト�

押しパイプ�

開発品�

現用品�

Fig. 4 Compression by the premolded rubber

cone compression device

プレモールド絶縁体圧縮装置の圧縮方法

エポキシ絶縁体�

ケース� ケース蓋�

絶縁筒�

アダプター�

ケース�

エポキシ絶縁体�

スクリューキャップ�

絶縁筒�

現用品�

開発品�

Fig. 3 The arrangement of the insulation flange and the

installation method 絶縁筒の配置および取付け方

Page 4: 66/77kV CV ケーブル用コンパクト型 Y分岐接続部の開発 · 66/77kV CVケーブル用コンパクト型Y分岐接続部の開発 - 43 - Fig. 1 Structure of the compact

66/77kV CVケーブル用コンパクト型 Y分岐接続部の開発

- 45 -

Table 2に77kVでの耐電圧時の電界およびワーキング時の電界を示し,Fig. 7に電位分布の一例を示す。

3.性能評価結果

性能評価は,JEC3408に準拠して実施し,また,参考試

験として商用周波電圧破壊試験,雷インパルス電圧破壊試験を行い,66/77kV用接続部として十分な信頼性を有することを確認した。

Table 3に試験項目と試験結果を示す。

Fig. 6 The composition parts of the compact Y-

joint

縮小形Y分岐接続部の構成部品

カラー� プレモールド絶縁体�

くさび締付工具�

くさび締付金具�くさび�

くさび�

接触子� ロックピン� ストッパー�締付金具�

開発品�

現用品�

Fig. 5 How to connect a conductor

導体接続方法

90%�b断面�

埋込電極�

外被ケース�

プレモールド絶縁体�

ケーブル絶縁体�

ケーブル導体�

ストッパー�

エポキシ絶縁体�(1B)�

(4)�

(2)�

(3)�

(1A)�

50%�10%�

90%�

a断面�

埋込電極�

外被ケース�

プレモールド絶縁体�

ケーブル絶縁体�

ケーブル導体�

ストッパー�

エポキシ絶縁体�

(4)�(2)�

(3)�

(1A)�

50%�10%�

Fig. 7 Potential distribution of the compact Y-

joint

縮小形Y分岐接続部の電位分布図

Page 5: 66/77kV CV ケーブル用コンパクト型 Y分岐接続部の開発 · 66/77kV CVケーブル用コンパクト型Y分岐接続部の開発 - 43 - Fig. 1 Structure of the compact

三 菱 電 線 工 業 時 報 第97号 平成13年1月

- 46 -

4.YJの設置例

Fig. 8に開発品の YJの設置概要の一例を示す。従来,YJの設置には,特殊な両受け金物が必要であった

が,本 YJは,本体重量が約 1/4になったことで,片受け金

物での設置が可能となり,設置スペースも大幅に縮小化できている。これにより,布設環境によっては,現行のNJ(直線接続部)収納マンホールにも適用可能と考えられる。

なお,当社では,66kVクラスの YJをこれまでに,東京電力�殿を主に,約 150組程納入し,数多くの実績を有しているが,本YJにおいても,既に,東

京電力�殿の4線路(計7組)納入しており,無事運転されている。

5.む す び

従来のYJに対して軽量・コンパクト化を目標

として開発を行った結果,ほぼ所期の目標を達し,寸法は全体的に約60%以下に,重量は25%にまで軽量化を図ることができた。この結果,YJ

収納マンホールの縮小化と共に,YJ本体の支持も軽量化により簡素化され,更に,YJ本体とケーブルとの接続を挿入方式としたことなどから,

作業性の効率化を図ることができた。本YJは既に実線路に納入され,YJ収納設備の

合理化などに寄与している。

本YJの開発に関して,ご指導,ご協力頂いた電力会社各位殿また関係者の方々に感謝する。

Table 2 Electrical stress calculation results

電界計算結果

課電

種別部 位

エポキシ埋込電極

(高圧側) (1A)

エポキシ絶縁体

(低圧側) (1B)

プレモールド絶縁体

とエポキシ界面(2)

プレモールド絶縁体と

ケーブルコア界面(3)

ストレスコーン立ち

上がり (4)

エポキシ埋込電極

(高圧側) (1A)

エポキシ絶縁体

(低圧側) (1B)

プレモールド絶縁体

とエポキシ界面(2)

プレモールド絶縁体と

ケーブルコア界面(3)

ストレスコーン立ち

上がり (4)

商用周波電圧

雷インパルス

断面

a

b

b

a

b

a

b

a

b

a

b

b

a

b

a

b

a

b

設計電界

A(kV/mm)

25

9

6

26

60

19

15

61

ワーキング電界

B(kV/mm)

4.7

0.5

2.2

1.3

1.2

0.6

0.8

3.8

3.8

38.3

3.9

18.1

10.3

9.1

5.0

6.4

31.8

31.8

耐電圧時電界

C(kV/mm)

14.3

1.5

6.9

3.8

3.5

1.8

2.4

11.9

11.9

52.6

5.3

25.4

14.2

12.6

6.9

8.8

43.7

43.7

裕度

A/C

1.7

2.3

2.5

2.1

1.1

1.3

1.7

1.3

A:実機,モデルより求めた設計電界

B:運転電圧

商用周波電圧(84kV/√3)48.5kV 時の電界

雷インパルス(LIWV)400kV 時の電界

C:耐電圧時

商用周波耐電圧 84kV/√3× K1×K2×K3

= 150kV 時の電界

K1:温度係数 1.2 K2:劣化係数 2.3 K3:裕度 1.1

雷インパルス(LIWV)× K1×K2

= 550kV 時の電界

K1:温度係数 1.25 K2:裕度 1.1

Table 3 Test item and test results

試験項目と試験結果

試験項目

直流耐電圧

- 195kV/1時間

商用周波電圧

150kV/1時間

雷インパルス

± 550kV× 3回

ケーブル遮へい層間絶縁筒

雷インパルス耐電圧

- 50kV× 3回

防食層雷インパルス

耐電圧

- 50kV× 3回

長期課通電

試験電圧:65kV

8時間ON・16時間OFFを 1サイクルとし,導体温度

90°C× 150サイクル,導体温度 105°C× 30サイクル

計 180サイクル実施

残存性能

雷インパルス:± 550kV× 3回

商用周波電圧:90kV/10分

試料NO.

1

�良

2

�良

3

�良

4,5

�良

�良

6,7

�良

�良

Fig. 8 The establishment example of the compact Y-joint

縮小形Y分岐接続部の設置例

610

345 240

210

280

345

280

500

610118

縮小型Y分岐接続部�Y分岐接続部支持金物�ケーブル受金物(1条用)�ケーブル受金物(2条用)�ケーブル受枕�立金物�

12

6

345

12

6

3 4 5

Page 6: 66/77kV CV ケーブル用コンパクト型 Y分岐接続部の開発 · 66/77kV CVケーブル用コンパクト型Y分岐接続部の開発 - 43 - Fig. 1 Structure of the compact

66/77kV CVケーブル用コンパクト型 Y分岐接続部の開発

- 47 -

桜間邦彦(さくらま くにひこ)

尼崎製作所 機器課

ケーブル付属品の設計に従事

三浦浩二(みうら こうじ)

電力・電線事業部 システム部 研究開発グループ

ケーブル付属品の開発・設計に従事

足立晃裕(あだち あきひろ)

尼崎製作所 機器課

ケーブル付属品の設計に従事

加藤真次(かとう しんじ)

電力・電線事業部 システム部 研究開発グループ

ケーブル付属品の開発・設計に従事