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(7) 3 次元形状情報を活用した CIM 活用試行支援業務 大日本コンサルタント株式会社 ICT 統括センター、技術統括部 神原 由紀 氏 - 68 -

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Page 1: (7) 3次元形状情報を活用したCIM活用試行支援業務7).pdf3次元形状情報を活用したCIM活用試行支援業務 櫻井 さくらい 和弘 かずひろ 1・和泉

(7) 3次元形状情報を活用したCIM活用試行支援業務

大日本コンサルタント株式会社 ICT 統括センター、技術統括部 神原 由紀 氏

- 68 -

Page 2: (7) 3次元形状情報を活用したCIM活用試行支援業務7).pdf3次元形状情報を活用したCIM活用試行支援業務 櫻井 さくらい 和弘 かずひろ 1・和泉

3次元形状情報を活用したCIM活用試行支援業務

櫻井さくらい

和弘かずひろ

1・和泉い ず み

繁しげる

2・神原かんばら

由紀ゆ き

2

1大日本コンサルタント(株)ICT統括センター(〒170-0003 東京都豊島区駒込3-23-1)

2大日本コンサルタント(株)技術統括部(〒170-0003 東京都豊島区駒込3-23-1)

能越自動車道七尾氷見道路事業では,平成24年度からCIMを導入した試行事業が実施されてい

る.平成25年度~平成26年度には中波地区の道路土工工事および橋梁工事が行われ,それぞれ

の工事において,3次元CIMモデルや属性情報を活用した建設生産システムの普及活動を目的と

したCIM試行工事の技術支援ならびに効果検証を実施した.

Key Words : CIM,3次元CIMモデル,道路土工工事,橋梁工事

1.CIMの概要

CIM(Construction Information Modeling)は,従

来の2次元図面に代わり,コンピューターが認識可能

な構造物モデル(3次元CIMモデル)を構築し,材料

や部材の仕様などを付与し,設計から施工,維持管

理に至るまでのライフサイクルのあらゆる段階で3

次元CIMモデルを利活用する手法である.完成後の

構造物や付近の様子が3次元的に表示されるため完

成イメージもよく分かり,施工上の注意点などを事

前に確認する事ができる.また,従来の2次元図面

では何枚もの設計図面が必要であり,図面同士の不

整合がしばしば起こるが,CIMでは2次元の断面図や

平面図から一つの3次元モデルを作成するため,不

整合の防止にも効果がある.

CIMを建設分野全般に導入することで,建設生産

プロセスの各段階において3次元CIMモデルを共有・

活用し,さらに発展させ,設計ミスや違算の防止や

最適な設計・施工,維持管理の高度化など,各業務

の効率化・高度化を図ることを目的としている.

図-1 CIMの概要図

2.CIM試行事業の概要

能越自動車道七尾氷見道路事業では,中波地区の

道路土工工事および橋梁工事を対象として,平成24

年度の試行業務で作成した橋梁3次元CIMモデルを元

に,平成25年から平成26年度の2カ年にわたり施工

段階での活用検証を実施した.

平成25年度は,複雑な施工ステップとなる工事用

道路モデル作成を含む土工事を対象としたCIM試行

支援を行い,平成26年度では橋梁工事を対象とした

CIM試行を実施した.

CIM試行支援を行った各対象工事の概要について,

以下に記載する.

図-2 CIM試行対象位置図

CIM試行対象

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(1) 土工事概要

工 事 名:能越道中波道路その3工事

工事種別:道路土工工事

・工事用道路工事(平の山線~上野線)

・橋台施工用パイロット道路工事

・土砂運般路工事

・橋台施工掘削,施工基面切土

・橋脚施工掘削,施工基面切土 工事概要:道路土工56,600m3,法面工

予定工期:2013年11月~2014年3月

図-3 施工フローとパイロット道路平面図

(2) 橋梁工事概要

工 事 名:能越道中波市道路跨道橋工事

工事種別:プレストレスト・コンクリート工事

工事概要:PC方杖ラーメン中空床版橋 L=73m

予定工期:2013年12月~2015年2月

名 称 中波1号跨道橋

道路規格 第3種5級

橋 長 73.00m(20.9m+30.0m+20.9m)

幅 員 6.39m(有効幅員5.00m)

上 部 工 PC方杖ラーメン中空床版橋

下 部 工 逆T式橋台2基(直接基礎)

拱台2基(直接基礎:段差フーチング)

図-4 対象橋梁の側面図と橋梁諸元

3.CIM活用場面の設定とCIM試行支援内容

(1)CIM試行支援の実施体制

CIM試行支援を行うにあたっては,施工業者との

連携や発注者との連絡,確認及び実施項目毎の役割

の明確化が不可欠であり,試行実施前に表-1に示す

役割分担を予め設定しCIM試行支援を行った.

表-1 CIM試行支援実施体制

CIMに関する全体管理

1) 施工計画/三者会議

  工事用道路を追加したCIMモデル

2) 施工計画/工事打合せ

  施工手順の確認

3) 関係者協議/埋設物等の確認

  埋設物の可視化

4) 関係者協議/協議結果の確認

  埋設物等への対応仮設

5) 施工管理/施工数量の算出

  施工ステップ別数量算出

6) 竣工検査/出来形図の確認

  出来高図のCIMモデル反映

7) 納品/後工程への情報提供

  維持管理段階で活用する情報

試行工事の効果検証

CIM講習会

CIMヘルプディスク(職員支援)

CIM普及活動計画作成

実施項目

試行工事受注者A 試行工事受注者B

(PC上下部工) (工事用道路)

大日本コンサルタント オリエンタル白石 三興土木

スケジュール管理 情報提供 情報提供 CIM対象工種選定 全体管理

既存データ変換

工事用道路CIMモデル化(三者会議への出席)

工事用道路設計図(2D)

の提供

既存データ提供

効果の評価-

施工計画CIMモデル化、

施工手順の動画作成施工計画(2D)の提供 施工計画(2D)の提供 効果の評価 -

埋設物等CIMモデル化 - 埋設物等の図面(2D)の提供 効果の評価 -

協議結果CIMモデル化 - 防護仮設図(2D)等の提供 効果の評価

施工ステップ別数量表 施工ステップ情報の提供 - 効果の評価 アドバイス

変更箇所を着色した

CIMモデル化

指摘一覧表、出来形図(2D)、

モデル変更指示書の提供- 効果の評価 検査

情報付与、データ項目

の検討

竣工図(2D)の提供、

EXCEL入力- 効果の評価 アドバイス

効果検証、対策提案 ヒアリング対応 ヒアリング対応 ヒアリング対応 アドバイス

講習会運営 (実施者の具体報告) (実施者の具体報告) (実施者の具体報告) 講習会主催

回答対応 - - - 窓口

計画書作成 - - チェック チェック

富山河川国道 本局CIM技術支援受注者

なお,CIM関連データのやり取りには,インター

ネット経由で複数関係者間での情報共有が可能な,

情報共有システム(ASP)を利用した.

図-5 情報共有システム

(2) CIM導入効果とCIM試行項目の設定

CIM試行支援を実施するにあたり,CIM導入により

施工段階で期待される効果を挙げ,それらを検証す

るためのCIM活用場面と試行項目を設定した.

表-2 CIM導入により想定される効果

1 完成イメージの可視化による工事の手戻り防止

2 施工条件のモデル化による条件誤認の防止

3 任意点計測が可能になることによる施工精度の向上

4 地元説明,関係者協議利用による合意形成の円滑化

5 材料品質管理属性のCIMモデルへの付与による維持

管理段階への施工履歴情報の充実

表-3 CIM活用場面の設定と試行項目(土工事)

CIM活用場面 CIM試行項目

1 施工計画/三者会議 工事用道路のCIMモデル作成

2 施工計画/工事打合せ 施工手順の確認

3 関係者協議/埋設物の確認 用水路切回し計画の確認

4 施工管理/施工数量の算出 施工ステップ別数量算出

表-4 CIM活用場面の設定と試行項目(橋梁工事)

CIM活用場面 CIM試行項目

1 安全管理/新規入場者教育 3次元可視化,施工概要説明

2 設計照査/鉄筋干渉確認 鉄筋干渉照査,不整合排除

3 モデル属性項目の検討 品質管理属性の付与

4 施工計画/施工手順の確認 出来形寸法のCIMモデルへの

反映と施工手順の確認

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(3)CIM試行項目の実施内容

CIM活用場面ごとに設定したCIM試行項目の具体の

支援実施内容を以下に示す.

a) 土工事

・工事用道路のCIMモデル作成

土工事用CIMモデルのベースとなる3次元地形モデ

ルを作成し,施工段階別の3次元土工モデルと工事

用道路のCIMモデルを作成することで,本線切土工

事の完成イメージ可視化や工事手順の確認を行った.

図-6 工事用道路全体モデル

図-7 施工段階別モデル

・用水路切り回し計画の作成

詳細設計の用水路切回し計画図から用水路CIMモ

デルを作成し,用水路が埋設された状況や工事用道

路設置時の用水路の切回し方法を確認した.

図-8 用水路切回しモデル

・施工ステップ別数量の算出

施工ステップ別の3次元土工CIMモデルより,切土

量や盛土量を算出し,施工対象の排出土量の把握を

行った.

表-5 施工ステップ別3次元モデルからの算出土量 比較施工ステップ 切土(m3) 盛土(m3)

STEP1 → STEP2 18,438 1,304

STEP2 → STEP3 5,227 0

STEP3 → STEP4 33,901 3,283

STEP4 → STEP5 2,484 0

STEP5 → STEP6 23,044 0

STEP6 → STEP7,8 78,493 0

STEP7,8 → STEP9 875 0

b) 橋梁工事

・鉄筋干渉照査,不整合排除

H24年度のCIM試行設計業務で作成された橋梁部

CIM モ デ ル に つ い て , CIM モ デ ル ソ フ ト

(Navisworks)の干渉チェック機能により干渉箇所

の抽出を行い,CIMモデルのチェックリストを作成

し,配筋不整合の排除を行った.

図-9 CIMモデルソフトによる干渉チェック

・属性項目の検討とCIMモデルへの属性付与

維持管理段階でのCIMモデル活用を目的とした属

性項目を,施工業者の意見を踏まえて,設計/施工/

維持管理の段階に分けて設定しCIMモデルに付与し

た.また,CIMモデルへの属性情報の登録は,CIMモ

デル各部材ごとのプロパティ画面で登録するのが一

般的であるが,作業が非常に煩雑であるといった課

題があった.今回の試行では,属性付与の作業性向

上となる方法を検討し,Revitの追加機能ツール

(RUTS)を利用し,日ごろ使い慣れているExcelに

よる属性付与の方法を採用した.

表-6 属性項目例(コンクリート/維持管理) 工 程 属性種別 属性名称

維持管理時 橋梁基本情報 橋梁管理番号

点検履歴情報 点検時期

点検業務名

点検業者

点検区分

点検対象部材

損傷種別情報 損傷の種類

損傷程度

損傷状況情報 損傷図

損傷写真

補修・補強履歴情報 補修時期

補修対象部材

補修工法

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図-10 EXCELを用いたCIMモデルへの属性付与

・工事出来形図の反映

工事段階の出来形寸法を設計段階の橋梁CIMモデ

ルに反映する予定であったが,契約変更を伴うよう

な形状変更はなかった.ただし,コンクリート打設

ロット別の品質情報を登録する必要性を勘案し,施

工ロットを反映したモデルの部材分割を行った.

図-11 橋梁部CIMモデル

c)CIM講習会の運営とヘルプデスクの設置

・CIM試行支援の一環として,発注者のCIM習熟度向

上を目的としたCIM講習会を実施した.講習会実施

後はCIMヘルプデスクを設置し,職員からのCIMに関

する質問をメールで受付ける体制を設けた.

4.効果検証 (1) 土工事

a)効果

・3次元土工モデルを用いて工事用道路施工の議論

ができ,施工に関する新たな提案を引き出すことが

できた.また,完成イメージが分かりやすいことか

ら関係者間の合意形成が早く,有効性を確認した.

・3次元土工モデルより算出した工事ステップ別の

切土量や盛土量により,排出土用の車両数の計画に

活用することができた.また,土量算出において発

生する人的ミス(図面との不整合,拾い漏れ等)の

排除や,設計変更があった場合も含めた作業の効率

化が確認された.

b)課題

・情報共有システムからのデータ(50MB)ダウンロー

ドに1時間ほどかかった.CIM実施においては,現場

における通信インフラの整備も考慮する必要がある.

・工事ステップ別の土量を容易に抽出できるが,精

度が粗い3次元地形モデルを用いた場合は,別途,

測量地形の平均断面法による確認が必要である.

・3次元モデルの作りこみは時間と手間がかかるこ

とと,施工進捗に合わせたモデル作成が望ましいこ

とから,工事の各段階における活用目的に応じて,

必要なモデル作成精度をあらかじめ決めておく必要

がある.

(2) 橋梁工事

a)効果

・3次元可視化された橋梁モデルにより,新規入場

者への工事概要説明が行いやすく,2次元図面での

説明に比べて工事手順等の認識が高められたことに

より,安全教育の面で効果が確認された.

・施工段階での「設計図面の漏れのない照査」に対し

て,CIMモデルソフト(Navisworks)による自動干

渉チェックは,留意すべき箇所を即座に判断でき,

有効であった.

・CIMモデルへの属性情報の登録を,日ごろ使い慣

れているEXCELで行うことにより,施工業者の属性

登録の手間を軽減することができた.

b)課題

・自動鉄筋干渉照査では,小さな干渉箇所が多数

あったが,ほとんど組立時の配慮で対応が可能なも

のであった.配筋修正が必要な干渉を見落とさない

ためにも,干渉許容値を予め決めておく必要がある.

・属性情報は,維持管理段階で効果が発揮されると

想定しているが,本試行で行った鉄筋1本1本への属

性付与は作業量が多いばかりでなく,維持管理段階

での活用の面からも必要ないため,属性付与するモ

デルの部材単位について今後検討する必要がある.

5.まとめ

設計段階でのCIM活用に引き続き,施工段階にCIM

を導入し活用した結果,主に,3次元可視化による

打ち合わせ指示の円滑化や新規入場者への安全教育

に効果が得られた.現在,全国で取り組まれている

施工段階のCIM試行は,施工業者自身で実施してい

ることが多いが,モデル作成に苦慮しているのが実

情である.特に,地元施工業者などがCIM試行工事

を行う場合などでは,施工業者の負担軽減の観点か

ら,設計コンサルタントが支援することも視野にお

いた工事発注を行うことで,効果的なCIM導入を行

うことができると考える.

平成24年度にCIM導入の取り組みが開始されて3ヶ

年が経過し,建設産業における生産性向上の実現を

目指してCIMを活用するためには,技術面・運用

面・制度面に対する課題が多く,引き続き現場の視

点で各段階での検証を継続的に行い,導入効果の確

認や課題検討を実施する必要があると考える.

謝辞:本論文を作成するにあたりご協力いただいた

北陸地方整備局にこの場を借りて御礼を申し上げる.

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3次元形状情報を⽤いた施⼯段階でのCIM活⽤試⾏⽀援業務

⼤⽇本コンサルタント株式会社神原 由紀

発表内容

1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM試⾏⽀援内容

2.CIM活⽤場⾯の設定とCIM試⾏⽀援内容3. 効果検証

4. まとめ

1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM試⾏⽀援内容

3. 効果検証

4. まとめ

発表内容・CIMの概要1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

CIM(Construction Information Modeling)公 共 建 設 事 業 の ライフサイクルで 対 象 物 の 3 次 元 モデルを 継 続 的 に 活 ⽤ し建 設 事 業 全 体 の ⽣ 産 性 向 上 を 図 る 取 り 組 み

1

CIMのイメージ図

設計

施⼯

維持管理

設計コンサルタント 3次元CIM作成 数量・コスト算出

<効 果>・設計ミス・⼿戻り削減・数量⾃動算出・構造物イメージ明確化

設計コンサルタント 点検・補修履歴登録 センサーとの連動

<効 果>・施設管理の効率化・リアルタイムの変状確認

施⼯業者 施⼯情報の付与 出来形の反映

<効果>・施⼯計画/管理精度の向上・安全教育の充実

- 73 -

Page 7: (7) 3次元形状情報を活用したCIM活用試行支援業務7).pdf3次元形状情報を活用したCIM活用試行支援業務 櫻井 さくらい 和弘 かずひろ 1・和泉

3次元CAD 3次元CIMイメージ

<幾何形状の集合体>・図⾯の電⼦化・部材としての意味を持たない

<部品・部材の集合体>・部材定義や属性情報を持ちコンピュータが構造物を認識できる

情報の持ち⽅

1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

・CIMモデルとは…

2

線や⾯の集合体

能越⾃動⾞道 富⼭県氷⾒市中波地先

1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

試⾏対象箇所

4

3

・CIM試⾏事業の概要

詳細設計業務 11件

平成24年度

指定⼯事 6件希望⼯事 13件

・CIM試⾏事業の概要

予備・景観検討 2件詳細設計業務 11件

指定⼯事 12件希望⼯事 35件

(指定⼯事)能越道中波道路その3⼯事

(指定⼯事)能越道中波市道跨道橋⼯事

予備・景観検討 6件詳細設計業務 13件

国交省CIM 能越道CIM(設計業務)

4

1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

能越道中波2号橋詳細修正設計他業務

平成25年度 平成26年度国交省CIM試⾏開始

能越道CIM(施⼯⼯事)

・能越道CIM試⾏の⼯事概要

⼯事種別︓道路⼟⼯⼯事 ⼯事概要︓道路⼟⼯(56,600m3)

法⾯⼯、排⽔構造物⼯⼀式 予定⼯期︓平成25年11⽉〜平成26年3⽉

⼯事種別︓プレストレス・コンクリート⼯事 ⼯事概要︓PC⽅杖ラーメン中空床版橋 予定⼯期︓平成25年12⽉〜平成27年2⽉

⼟⼯事 橋梁⼯事

1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

名 称 中波1号跨道橋

道路規格 第3種5級

橋 ⻑ 73.0m(20.9m+30.0m+20.9m)

幅 員 6.39m(有効幅員5.00m)

上 部 ⼯ PC⽅杖ラーメン中空床版橋

下 部 ⼯逆T式橋台2基(直接基礎)拱台2基(直接基礎)

改良⼯事 実施内容

・⼯事⽤道路⼯事(平の⼭線〜上野線)

・⼟砂運搬路⼯事

・橋台施⼯⽤パイロット道路⼯事

・橋台施⼯掘削、施⼯基⾯切⼟

・橋脚施⼯掘削、施⼯基⾯切⼟ 5

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・CIM試⾏⼯事の役割分担と情報共有システム

発注者

北陸地⽅整備局全体管理講習会主催

富⼭河川国道事務所対象⼯種選定試⾏効果の評価

施⼯業者

三興⼟⽊(⼟⼯事) ⼯事⽤道路、埋設物図の提供 施⼯計画の提供

オリエンタル⽩⽯(橋梁⼯事) 3者会議への出席 施⼯計画・出来形図の提供 品質管理情報の提供

CIM試⾏⽀援業者⼤⽇本コンサルタント⼯事対象箇所のCIMモデル化⼟⼯数量算出、属性情報の登録など講習会講師

情報共有システムASP

⼯事実施の情報共有

CIM試⾏⼯事の情報共有

6

1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM試⾏⽀援内容

3. 効果検証

4. まとめ

発表内容

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM⽀援内容

・3次元CIMの作成

3次元CIM作成ツール ハードウエアスペック

7

⼟⼯事CIM

製品名称 主な⽤途Autodesk Civil3D 2015

3次元モデル作成Autodesk AutoCAD 2015

Autodesk Revit 2015

Autodesk Navisworks 2015 モデル確認

Autodesk Infraworks 2015

橋梁⼯事CIM

項⽬ 製品名またはスペック

OS Windows7 Professional (64bit)

CPUXeon E5-1603(2.80GHz,4コア,10キャッシュ)

GPU NVIDIA Quadro 4000 2GB

メモリ 16GB DDR-3 SDRAM

HDD容量 1TB HDD (SATA 7,200rpm)

3次元CIM作成環境

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM⽀援内容

・CIM活⽤場⾯と試⾏項⽬の設定

完成イメージの可視化による ⼯事の⼿戻り防⽌

施⼯条件のモデル化による 課題認識の共有

任意点計測が可能になることによる 施⼯精度の向上

8

地元説明、関係者協議利⽤による 合意形成の円滑化

3次元CIMへの品質管理属性付与による 施⼯履歴情報の充実

施⼯段階で想定されるCIM導⼊効果

CIM活⽤場⾯

施⼯計画/三者会議

施⼯計画/⼯事打合せ

関係者協議/埋設物の確認

施⼯管理/施⼯数量の算出

CIM活⽤場⾯

安全管理/新規⼊場者教育

設計照査/⼲渉確認

モデルの属性項⽬の検討

施⼯計画/施⼯⼿順の確認

⼟⼯事 橋梁⼯事CIM試⾏項⽬

⼯事⽤道路3次元CIM作成

施⼯⼿順の確認

⽤⽔切回し計画の確認

施⼯ステップ別数量算出

CIM試⾏項⽬

3次元可視化,施⼯概要説明

鉄筋⼲渉照査,不整合排除

品質管理属性の付与

3次元CIMへの出来形の反映と施⼯⼿順の確認

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・CIM試⾏項⽬/⼟⼯事

試⾏内容 関係者間協議で⼯事内容や迂回路を3次元⼟⼯モデルで説明

活⽤効果 3次元可視化された⼟⼯モデルにより、⼯事内容・施⼯範囲に関する理解が2次元図⾯に⽐べてかなり良くなった。(複数の2次元図⾯を⽤いた説明では異なるイメージを持つことがあった。)

3次元⼟⼯モデルを⽤いた⼯事⽤道路の議論では、施⼯に関する新たな提案を引き出すことができた。

施⼯計画/⼯事打合せ

9

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM⽀援内容

⼯事⽤道路完成イメージ

・CIM試⾏項⽬/⼟⼯事

試⾏内容 ⽤⽔路切回し計画図から⽤⽔路モデルを作成し,⽤⽔路の埋設状況や⼯事⽤道路設置時の⽤⽔路の切回し⽅法を確認

活⽤効果 道路設計図と⽤⽔路計画図が3次元上で表⽰されるので理解しやすく、⽤⽔路計画について発注者と課題認識の共有を図ることができた。

3次元可視化することで、新たな図⾯作成を⾏うことなく計画変更すべき範囲を確認することができた。

関係者協議/埋設物の確認

10

⽤⽔路切回し

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM⽀援内容

⼟⼯モデルとの合成

⽤⽔路切回し計画図

適⽤範囲の確認

・CIM試⾏項⽬/⼟⼯事

試⾏内容 施⼯計画に従った3次元⼟⼯モデルによる⼟量算出

活⽤効果 施⼯ステップ別の⼟⼯モデルの差分から段階別⼟量を算出し、排出⼟量の⽬安を迅速に把握することができ、排出⼟⽤の⾞両数の計画に活⽤できた。

3次元⼟⼯モデルの地形は平⾯図をもとに作成しているため、測量横断図をもとにした平均断⾯法の算出⼟量と結果が異なる。

施⼯管理/施⼯数量の算出

⽐較施⼯ステップ 切⼟(m3) 盛⼟(m3)STEP1 → STEP2 18,438 1,304STEP2 → STEP3 5,227 0STEP3 → STEP4 33,901 3,283STEP4 → STEP5 2,484 0STEP5 → STEP6 23,044 0

STEP6 → STEP7,8 78,493 0STEP7,8 → STEP9 875 0

11

Excelデータをエクスポート

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM⽀援内容

施⼯ステップ別⼟⼯モデル

施⼯ステップ別⼟量

・CIM試⾏項⽬/橋梁⼯事

試⾏内容 Navisworksの⼲渉チェック機能により、鉄筋とシース及びアンカー箱抜きとの⼲渉チェックと不整合箇所の排除を⾏い、設計照査を実施した。

活⽤効果 鉄筋⼲渉箇所を⾃動的に抽出でき、迅速な設計照査を実施することができた。

鉄筋⼲渉は、ほとんどは現場での組⽴時の配慮により対処が可能なものであった。また、留意すべき箇所については、対応⽅針を視覚的にわかりやすい資料として整理することができた。

設計照査/鉄筋⼲渉確認

12

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM⽀援内容

⼲渉チェックレポート

鉄筋⼲渉箇所

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・CIM試⾏項⽬/橋梁⼯事

試⾏内容 CIMモデルに付与する品質管理情報(現況写真・コンクリート品質管理情報等)を検討し、Excelによる属性登録を実施した。

活⽤効果 施⼯業者と相談し維持管理時に必要となる施⼯情報を設定することができた。

⽇頃使い慣れたExcelを⽤いて属性登録をすることにより、施⼯業者の作業負荷を軽減し、効率的に維持管理情報の⾼度化を実施した。

モデルの属性項⽬の検討/維持管理⽤データの⾼度化

13

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM⽀援内容

現況写真

コンクリート品質管理表

CIMモデルに付与する情報 Excelによる属性登録(RUTS機能)

橋梁部CIMモデル

・CIM試⾏項⽬/その他その他/CIM講習会の運営

試⾏内容 北陸地整の職員を対象にCIM講習会を実施し、国交省CIMの取組みに関する現状を説明しCIMの推進を図った。

活⽤効果 多くの発注者に対してCIMの概要を広く周知しCIMの推進を図ることができた。

CIM試⾏業務に対する職員の理解度が向上し、今後のCIM活⽤に関する発注機関からの要望をくみとることができた。

14

対象︓北陸地整の職員

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM⽀援内容

開催⽇︓2014/2/28(FRI)CIM講習会プログラム--------------------------------------------・国⼟交通省のCIMの取組み・平成24年度のCIM試⾏結果≪測量設計⽀援CIM講習≫・測量設計段階の活⽤場⾯・測量設計段階の対応事項≪施⼯管理⽀援CIM講習≫・施⼯管理段階の活⽤場⾯・施⼯管理段階の対応事項

まとめ、質疑応答

1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM試⾏⽀援内容

2.CIM活⽤場⾯の設定とCIM試⾏⽀援内容3. 効果検証

4. まとめ

発表内容 評価と課題 今後の検討項⽬

● 3次元⼟⼯モデルを関係者間の協議に⽤いることにより合意形成が迅速になった。

● 3次元⼟⼯モデルによる施⼯ステップ別の⼟量算出により、現場での施⼯計画や管理の正確性の向上が確認された。

▲ 精度が荒い3次元地形モデルを使⽤する場合は、別途測量地形による確認が必要となるため、設計段階で測量地形を反映したモデルを作成する必要がある。

▲ 施⼯ステップを考慮したモデルの構築など、3次元モデルの作りこみには時間を要するため、活⽤場⾯や⽬的に応じた3次元モデル作成の精度をあらかじめ決めておく必要がある。

▲ 情報共有システムを利⽤する際の通信インフラが現場事務所では整備されていない。

• 材料メーカーによる仮設材や建設機材の3次元データの提供

• 活⽤⽬的に応じたCIMモデル作成の詳細度(地形の精度やモデル化する部材単位)の検討

• 現場事務所の通信インフラの整備

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3. 効果検証

⼟⼯事

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Page 11: (7) 3次元形状情報を活用したCIM活用試行支援業務7).pdf3次元形状情報を活用したCIM活用試行支援業務 櫻井 さくらい 和弘 かずひろ 1・和泉

評価と課題 今後の検討項⽬

● 橋梁の3次元モデルを⽤いて完成イメージを共有することで、施⼯⼿順などの共通認識が⾼められ、品質や安全⾯での効果がある。

● CIM作成ソフトによる鉄筋等の内部の⾃動⼲渉チェックは、留意すべき箇所を即座に判断でき、漏れのない設計照査を⾏うことができる。

● CIMモデルへの属性登録を、⽇頃使いなれているExcelで⾏うことにより、施⼯業者の登録作業の⼿間を削減することができた。

▲ ⾃動⼲渉チェックで検出される⼲渉のほとんどは、組⽴時の配慮で対応が可能なものであった。

▲ CIMモデルに属性情報を登録する際、部材⼀つ⼀つに登録するとデータ量・作業量ともに膨⼤となる。

• 施⼯現場で回避が可能な⼲渉を設計照査で検出しないための⼲渉チェックフィルター(許容値)の検討

• 品質管理属性を付与するモデルの部材単位の検討

橋梁⼯事

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3. 効果検証

1. CIMの概要とCIM試⾏事業の概要

2. CIM活⽤場⾯の設定とCIM試⾏⽀援内容

3. 効果検証

4. まとめ

発表内容

まとめ• 施⼯段階で3次元モデルを活⽤するためには、精度の⾼い地形

情報をもとに作成した3次元地形が必要であり、設計段階において設計対象箇所の測量結果を⽤いた地形作成が望ましい。

• 維持管理段階では、出来形(竣⼯図)を反映した3次元モデルが必要となるが、設計段階の3次元モデルの修正は膨⼤な⼿間がかかるため、維持管理で問題となる箇所の出来形を3次元モデルに反映するなど、3次元モデルの更新⽅法を検討する必要がある。

• 施⼯段階でのCIM活⽤では、施⼯業者が3次元モデルの編集に苦慮しているのが実情であり、施⼯業者の負担軽減の観点から設計段階から3次元モデルを作成しているコンサルタントが⽀援をすることで効果的なCIMの導⼊を⾏うことができる。

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4. まとめ

ご静聴ありがとうございました。

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