8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果...

15
8.1.2-1 (378) 8.1.2 水環境 1. 水質(水の濁り) (1)調査結果の概要 浮遊物質量及び流れの状況 a. 文献その他の資料調査 文献その他の資料調査による浮遊物質量の状況の結果は、「3.1.2 水環境の状況」に おける「2.水質の状況(1)地表水の状況」のとおりである。 b. 現地調査 (a) 調査地域 対象事業実施区域周囲とした。 (b) 調査地点 対象事業実施区域及びその周囲の 5 地点とした(第 8.1.2.1-1 図)。 (c) 調査期間 調査期間は以下のとおりとした。 春 季:平成 25 5 22 夏 季:平成 25 8 22 日~23 秋 季:平成 25 11 21 冬 季:平成 26 1 21 降雨時:平成 25 6 25 日~26 (d) 調査項目 水の濁り(浮遊物質量(SS)、濁度)及び流量とした。 (e) 調査方法 調査方法は第 8.1.2.1-1 表のとおりである。 第 8.1.2.1-1 表 調査方法 調査項目 調査方法 浮遊物質量 SS水質汚濁に係る環境基準「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和 46 環境庁告示第 59 号)に規定される方法による。 濁 度 JIS K 0101 9 に準拠 流 量 JIS K 0094 に準拠

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Page 1: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2-1

(378)

8.1.2 水環境

1. 水質(水の濁り)

(1)調査結果の概要

① 浮遊物質量及び流れの状況

a. 文献その他の資料調査

文献その他の資料調査による浮遊物質量の状況の結果は、「3.1.2 水環境の状況」に

おける「2.水質の状況(1)地表水の状況」のとおりである。

b. 現地調査

(a) 調査地域

対象事業実施区域周囲とした。

(b) 調査地点

対象事業実施区域及びその周囲の 5 地点とした(第 8.1.2.1-1 図)。

(c) 調査期間

調査期間は以下のとおりとした。

春 季:平成 25 年 5 月 22 日

夏 季:平成 25 年 8 月 22 日~23 日

秋 季:平成 25 年 11 月 21 日

冬 季:平成 26 年 1 月 21 日

降雨時:平成 25 年 6 月 25 日~26 日

(d) 調査項目

水の濁り(浮遊物質量(SS)、濁度)及び流量とした。

(e) 調査方法

調査方法は第 8.1.2.1-1 表のとおりである。

第 8.1.2.1-1 表 調査方法

調査項目 調査方法

浮遊物質量

(SS)

水質汚濁に係る環境基準「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和 46 年

環境庁告示第 59 号)に規定される方法による。

濁 度 JIS K 0101 9 に準拠

流 量 JIS K 0094 に準拠

Page 2: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2

-2

(379)

第 8.1.2.1-1 図 水質・土質の現地調査位置

Page 3: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2-3

(380)

(f) 調査結果

水の濁りに係る水質の調査結果は、第 8.1.2.1-2 表のとおりである。

いずれの調査地点も、「生活環境の保全に関する環境基準」の類型指定がされていな

いが、参考までに A 類型の環境基準値(25mg/L)と比較すると、浮遊物質量は全地点

1mg/L 未満であり、全季節、全地点においてこの基準値を下回っていた。

第 8.1.2.1-2 表 水質の調査結果

項 目 単位

①山出川 ②境川 ③槇川支流

春季 夏季 秋季 冬季 春季 夏季 秋季 冬季 春季 夏季 秋季 冬季

天 気 - 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ

浮遊物質量 mg/L <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 1 <1

濁 度 度 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1

流 量 m3/s 0.375 0.170 0.372 0.325 0.091 0.081 0.098 0.089 0.340 0.226 0.275 0.294

項 目 単位

④篠川 ⑤祓川

春季 夏季 秋季 冬季 春季 夏季 秋季 冬季

天 気 - 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 晴れ

浮遊物質量 mg/L <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1

濁 度 度 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1 <1

流 量 m3/s 0.072 0.031 0.053 0.060 0.332 0.200 0.276 0.212

注:「<」は、報告下限値未満を示す。

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8.1.2-4

(381)

また、降雨時における水の濁りに関する調査結果は第 8.1.2.1-3 表、調査日の降水量

は第 8.1.2.1-4 表のとおりである。

降雨時の浮遊物質量は最大 38mg/L、濁度は最大 28 度であった。

なお、対象事業実施区域近傍の御荘地域気象観測所における調査期間中の降水量は

34.5mm(6 月 25 日 20 時~26 日 13 時)、時間最大降水量 9.0mm であった。

第 8.1.2.1-3 表 水質の調査結果(降雨時)

①山出川 ②境川

調査日 時 刻 浮遊物質量

(mg/L)

濁 度

(度)

流 量

(m3/s) 調査日 時 刻

浮遊物質量

(mg/L)

濁 度

(度)

流 量

(m3/s)

1 回目 6 月 25 日 18:50 <1 <1 0.502 6 月 25 日 17:10 1 1 0.145

2 回目 6 月 26 日 8:30 2 8 0.624 6 月 26 日 8:10 1 3 0.157

3 回目 9:30 25 2 1.294 9:40 9 12 0.274

4 回目 11:00 20 15 2.289 11:10 11 7 0.307

5 回目 12:30 9 6 2.217 12:40 7 2 0.362

6 回目 14:00 5 13 1.679 14:10 4 10 0.375

③槇川支流 ④篠川

調査日 時 刻 浮遊物質量

(mg/L)

濁 度

(度)

流 量

(m3/s) 調査日 時 刻

浮遊物質量

(mg/L)

濁 度

(度)

流 量

(m3/s)

1 回目 6 月 25 日 17:40 1 5 0.552 6 月 25 日 18:00 <1 13 0.051

2 回目 6 月 26 日 8:40 4 4 0.715 6 月 26 日 8:40 10 9 0.184

3 回目 10:15 16 4 1.806 10:20 16 14 0.37

4 回目 11:45 8 7 1.975 11:30 5 13 1.028

5 回目 13:15 5 8 1.814 13:00 3 3 0.843

6 回目 14:45 4 5 1.514 14:30 2 10 0.922

⑤祓川

調査日 時 刻 浮遊物質量

(mg/L)

濁 度

(度)

流 量

(m3/s)

1 回目 6 月 25 日 18:00 <1 <1 0.686

2 回目 6 月 26 日 8:00 <1 <1 0.756

3 回目 9:30 33 15 5.533

4 回目 11:00 38 28 7.162

5 回目 12:30 8 17 6.334

6 回目 14:00 8 2 6.196

注:「<」は、報告下限値未満を示す。

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8.1.2-5

(382)

第 8.1.2.1-4 表 調査日の降水量

観測地点 単位

平成 25 年 6 月 25 日

13 時 14 時 15 時 16 時 17 時 18 時 19 時 20 時 21 時 22 時 23 時 24 時

御荘地域気象観測所 mm 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0 0.0 0.0

観測地点 単位

平成 25 年 6 月 26 日

1 時 2 時 3 時 4 時 5 時 6 時 7 時 8 時 9 時 10 時 11 時 12 時

御荘地域気象観測所 mm 0.0 0.0 0.5 1.5 0.0 0.0 0.5 4.0 9.0 6.0 8.0 4.0

観測地点 単位

平成 25 年 6 月 26 日

13 時 14 時 15 時 16 時 17 時 18 時 19 時 20 時 21 時 22 時 23 時 24 時

御荘地域気象観測所 mm 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

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8.1.2-6

(383)

② 土質の状況

a. 現地調査

(a) 調査地域

対象事業実施区域及びその周囲とした。

(b) 調査地点

対象事業実施区域内の 2 地点とした(第 8.1.2.1-1 図)。

(c) 調査期間

平成 25 年 11 月 26 日(採取日)

(d) 調査方法

調査方法は第 8.1.2.1-5 表のとおりである。

第 8.1.2.1-5 表 調査方法

調査項目 調査方法

土質の状況 JIS M 0201 に準拠(土壌の沈降試験)

注:土壌の沈降試験は、濁水中の浮遊物質量の沈降速度分布を以下に示した方法で測定する。

① 土壌サンプルを用いて初期濃度として調整した濁水を準備する。

② シリンダーに調整した濁水を満たし、良く撹拌した後静置し、この時間を開始時間として、

適当な時間間隔毎に液面より一定の高さ(本試験では 20cm)から試料を採取する。

③ 採取した濁水試料についてそれぞれ浮遊物質量を測定する。

④ 試料を採取した時間毎に沈降速度を算出する。沈降速度(v)と経過時間(t)及び深さ(h:

20cm)は次の関係がある。

t

hv

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8.1.2-7

(384)

(e) 調査結果

対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第 8.1.2.1-6 表及び

第 8.1.2.1-2 図のとおりである。

浮遊物質量は、5 分で初期値の 1%以下に減少している。

第 8.1.2.1-6 表 沈降試験結果

経過時間 分 0 1 2 5 10 30 60 180 360 1,440 2,880

No.1

浮遊物質量 mg/L 3,000 26 26 23 20 16 14 7 3 2 1

残留率(Ct/C0) - 1.000 0.009 0.009 0.008 0.007 0.005 0.005 0.002 0.001 0.001 0.000

沈降速度(v) m/s - 3.3×10-3 1.7×10-3 6.7×10-4 3.3×10-4 1.1×10-4 5.6×10-5 1.9×10-5 9.3×10-6 2.3×10-6 1.2×10-6

No.2

浮遊物質量 mg/L 3,000 20 14 10 7 7 8 2 1 1 1

残留率(Ct/C0) - 1.000 0.007 0.005 0.003 0.002 0.002 0.003 0.001 0.000 0.000 0.000

沈降速度(v) m/s - 3.3×10-3 1.7×10-3 6.7×10-4 3.3×10-4 1.1×10-4 5.6×10-5 1.9×10-5 9.3×10-6 2.3×10-6 1.2×10-6

注:残留率(Ct/C0)は、撹拌した経過時間 0 分の浮遊物質量初期濃度を 1 とした場合の経過時間後の浮遊

物質量の割合を示す。

地点:No.1 地点:No.2

項 目 係数α 係数β

沈降特性係数 0.4129 -0.819

項 目 係数α 係数β

沈降特性係数 0.4078 -1.1524

第 8.1.2.1-2 図 残留率と沈降速度による沈降特性係数

Page 8: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2-8

(385)

(2)予測及び評価の結果

① 工事の実施

a. 造成等の施工による一時的な影響(水の濁り)

(a) 環境保全措置

造成等の施工に伴う水の濁りの影響を低減するため、以下の環境保全措置を講じる。

・ 周辺の地形を考慮し、可能な限り伐採及び土地造成面積を小さくする。

・ 造成工事に当たっては、沈砂池工事を先行し、開発による流出水増加に対処し、

降雨時における土砂の流出による濁水の発生を防止する。

・ 適切な場所に土砂流出防止柵を設置する。

・ 定期的に沈砂池内の土砂の除去を行うことで、一定の容量を維持する。

・ 排水量が少ないほど短い距離で土壌に浸透させることが可能であることから、

沈砂池等の設備を可能な限り多く配置し、排水を分散させる。

・ 沈砂池排水は近接する林地土壌に排水し、土壌浸透処理する。

※排水場所の選定にあたっての留意事項は以下のとおりである。

【※排水場所の選定に当たっての留意事項】

・ 表土が下層植生や落葉落枝に覆われる等、土壌浸透能の大きい林地を選び、傾

斜が急な林地は避ける。

・ 沈砂池排水を広範囲の林地土壌と接触させ、土壌浸透能力を確実に活用できる

よう、土壌浸透対策工(第 8.1.2.1-3 図)等の施工を行う。

・ 重要な動植物の生育・生息場所にも配慮して排水場所を選定する。

【平面図】

第 8.1.2.1-3 図 土壌浸透対策工のイメージ図

斜面方向

注:① 沈砂池

② 水の勢いを抑え分散するためのたたき、木の枝等を使用する。

③ たたきからの水を一時止めるための木材、伐採木を使用。水を止めるため土壌に 1/3 程度埋める。

④ 上記③で止めきれなかった水を幅広く土壌に浸透するための木材、土壌に 1/3 程度埋める。

⑤ 上記③で浸透できなかった水を止めるための木材

⑥ 上記までに止めきれなかった水の量は少量のため、残量は土壌の自然浸透を活用する。

Page 9: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2-9

(386)

(b) 予 測

ア. 予測地域

対象事業実施区域及びその周囲とした。

イ. 予測地点

対象事業実施区域内において設置する沈砂池の排水口とした。

ウ. 予測対象時期

造成等の施工による浮遊物質量に係る環境影響が最大となる時期とした。

エ. 予測手法

予測の手順は、第 8.1.2.1-4 図のとおりである。

まず、①造成工事が行われる場所を含む降雨の集水域を設定する。次に、②沈砂

池に流入する濁水発生量を求め、③沈砂池の条件を計算式に組み込み、土壌サンプ

ルの沈降試験結果から得られた沈降特性係数等のパラメータを設定し、④沈砂池の

排水口での濁水中の浮遊物質量を算出する。次に、⑤沈砂池排水を近接した林の土

壌に、第 8.1.2.1-3 図に示したような方法で浸透させ、排水が土壌表面を伝って河川

まで達しないことを既存資料により定性的に予測する。

第 8.1.2.1-4 図 水質予測の手順

①降雨の集水域及び

降雨条件の設定

②濁水発生量

⑤既存資料より、沈砂池排水が土壌に浸透し河川まで達しないことを定性的に予測

③沈砂池条件の設定

④沈砂池排水口の排水量及び排水中の浮遊物質量

沈降試験結果

Page 10: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2-10

(387)

(ア) 沈砂池排水口の排水量及び排水中の浮遊物質量予測(第 8.1.2.1-4 図の①~④)

ⅰ. 濁水の沈砂池流入流量(沈砂池排水量も同様)

濁水の沈砂池流入流量の算出は以下の式を用いた。

Q0=a・Rf・f/(1000・3600)

[記 号]

Q0 :濁水の沈砂池流入流量(m3/s)

a :濁水発生部分の面積(m2)

Rf :時間雨量(mm/h)

f :流出係数

fについては、「都市計画法に基づく開発許可制度の手引き」(愛媛県、平成 27 年)

より開発区域(こう配の急な山地)0.6 とした。

ⅱ. 水面積負荷

理想的沈砂池を仮定し、粒子の沈降速度として、沈砂池の除去率を求めるための

指標である水面積負荷を次式から算出した。この水面積負荷より沈降速度の大きい

粒子は全て沈砂池で除去(沈殿)、沈降速度の小さい粒子は一部沈砂池から流出す

ることになる。

水面積負荷=Q0/A=v

[記 号]

Q0 :沈砂池流入流量(m3/s)

A :沈砂池面積(m2)

v :粒子の沈降速度(m/s)

ⅲ. 水面積負荷と除去の関係

水面積負荷と除去の関係を把握するため、現地で採取した土壌サンプルを用いて

沈降試験を行った(第 8.1.2.1-6 表及び第 8.1.2.1-2 図参照)。

Ⅳ. 沈砂池排水口の濁水中の浮遊物質量

沈降試験結果から最小二乗法により、v と Ct/C0 との関係を一次回帰すると次の

式が導かれる。

log(Ct/C0)=α・log v+β

Ct/C0=vα・10β

Ct=vα・10β・C0=(Q0/A)α・10β・C0

[記 号]

v :粒子の沈降速度(m/s)

C0 :沈砂池流入濃度(初期の浮遊物質量)(mg/L)

Ct :予測濃度(t 時間経過後の浮遊物質量)(mg/L)

α、β :沈降特性係数(第 8.1.2.1-2 図の沈降速度が遅いものの値を用いた。

Page 11: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2-11

(388)

(α=0.4129、β=-0.819))

Q0 :沈砂池流入流量(m3/s)

A :沈砂池面積(m2)

(イ) 沈砂池排水の土壌浸透に関する定性的予測(第 8.1.2.1-4 図の⑤)

定性的な予測として沈砂池排水の土壌浸透に必要な距離について、Trimble & Sartz

(1957)が提唱した「重要水源地における林道と水流の間の距離」を基に推定する。

推定に当たっては、林地の傾斜と濁水到達距離の関係は、第 8.1.2.1-5 図を使用す

る。なお、当図は岐阜県森林研究所が複数の調査機関での調査結果を基に作成した

ものであり、土壌浸透処理対策が実施されていない状況での結果である。

「森林作業道からの濁水流出を防ぐために-林地の濁水流出防止効果-」

(岐阜県森林研究所、平成 25 年)より作成

第 8.1.2.1-5 図 林地の傾斜と濁水到達距離の関係

(ウ) 予測条件(沈砂池排水口の排水量及び排水中の浮遊物質量予測(第 8.1.2.1-4 図

の①~④)のみ)

ⅰ. 発生濁水の浮遊物質量

沈砂池に流入する発生濁水中の浮遊物質量は、「新訂版 ダム建設工事における濁

水処理」((財)日本ダム協会、平成 12 年)の 1,000~3,000mg/L を参考に、中央値

を用いて開発区域 2,000mg/L とした。

ⅱ. 集水域と沈砂池

集水域(開発区域)及び沈砂池の面積は、第 8.1.2.1-7 表のとおりである。

Page 12: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2-12

(389)

第 8.1.2.1-7 表 集水域及び沈砂池の面積

対象風力発電機等 集水域面積(ha) 沈砂池面積(m2)

1 号機 0.17 11

2 号機 0.37 23

3 号機 0.32 20

4 号機 0.38 24

5 号機 0.16 10

6 号機 0.31 20

7 号機 0.20 13

8 号機 0.25 16

9 号機 0.15 10

10 号機 0.23 15

変電所 0.12 8

管理事務所 0.25 16

ⅲ. 降雨条件

降雨条件は、やや強い雨である 10mm/h と、宇和島市、愛南町の大雨、洪水注意

報の基準を参考に 30mm/h とした。

なお、対象事業実施区域近傍の気象観測所である御荘地域気象観測所の 1 時間雨

量の階級時間数(2013 年~2015 年)は、第 8.1.2.1-8 表のとおりである。

第 8.1.2.1-8 表 1 時間雨量の階級時間数(御荘地域気象観測所) (単位:時間、斜字:%)

1 時間雨量 2013 年 2014 年 2015 年 備 考

0.5mm 以上 649 810 871

10mm 以上~20mm 未満:やや強い雨

20mm 以上~30mm 未満:強い雨

30mm 以上~50mm 未満:激しい雨

50mm 以上~80mm 未満:非常に激しい雨

80mm 以上:猛烈な雨

3.5mm 以上 126(19.4) 177(21.9) 207(23.8)

10mm 以上 23(3.5) 42(5.2) 33(3.8)

20mm 以上 10(1.5) 5(0.6) 5(0.6)

30mm 以上 4(0.6) 3(0.4) 2(0.2)

50mm 以上 0(0) 0(0) 0(0)

80mm 以上 0(0) 0(0) 0(0)

オ. 予測結果

(ア) 沈砂池排水口の排水量及び排水中の浮遊物質量予測

沈砂池排出口の排水量及び浮遊物質量の予測結果は、第 8.1.2.1-9 表のとおりであ

る。

Page 13: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2-13

(390)

沈砂池排水の排水量は、降雨条件 10mm/h で最大 0.0062(m3/s)、降雨条件 30mm/h

で最大 0.0190(m3/s)と予測する。

沈砂池排水の浮遊物質量は、降雨条件 10mm/h で 10mg/L、降雨条件 30mm/h で

16mg/L と予測する。

第 8.1.2.1-9 表 沈砂池排水口における排水量及び浮遊物質量の予測結果

対象風力

発電機等

排水量(m3/s) 浮遊物質量(mg/L)

降雨条件

10mm/h

降雨条件

30mm/h

降雨条件

10mm/h

降雨条件

30mm/h

1 号機 0.0028 0.0085 10 16

2 号機 0.0062 0.0185 10 16

3 号機 0.0053 0.0160 10 16

4 号機 0.0063 0.0190 10 16

5 号機 0.0027 0.0080 10 16

6 号機 0.0052 0.0155 10 16

7 号機 0.0033 0.0100 10 16

8 号機 0.0042 0.0125 10 16

9 号機 0.0025 0.0075 10 16

10 号機 0.0038 0.0115 10 16

変電所 0.0020 0.0060 10 16

管理事務所 0.0042 0.0125 10 16

Page 14: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2-14

(391)

(イ) 沈砂池排水の土壌浸透に関する定性的予測

第 8.1.2.1-5 図を基に実施した各沈砂池排水の到達距離の推定結果は、

第 8.1.2.1-10 表のとおりである。

沈砂池排水口から河川までの距離に比べ、濁水到達推定距離は短いため、沈砂池

排水口からの排水は、林地土壌に浸透し河川まで到達しないものと推定する。

第 8.1.2.1-10 表 濁水到達推定結果

対象風力

発電機等

沈砂池排水

放流流域名

沈砂池排水口から

河川までの

平均斜度(度)

沈砂池排水口から

河川までの

斜面長(m)

排水口からの

濁水到達

推定距離(m)

1 号機 山手川 29 880 84

2 号機 山手川 26 1,000 77

3 号機 山手川 21 1,000 64

10 号機

変電所

管理事務所

注:排水口からの濁水到達推定距離(m)は、文献より算出した値である。

第8.1.2.1-3図に示した沈砂池排水の土壌浸透対策を実施した場合、濁水到達推定距離は更に短縮

されると推定する。

(c) 評価の結果

ア. 環境影響の回避、低減に係る評価

予測評価において、造成等の施工に伴う水の濁りの影響を低減するために設定し

た環境保全措置は、以下のとおりである。

・ 周辺の地形を考慮し、可能な限り伐採及び土地造成面積を小さくする。

・ 造成工事に当たっては、沈砂池工事を先行し、開発による流出水増加に対処し、

降雨時における土砂の流出による濁水の発生を防止する。

・ 適切な場所に土砂流出防止柵を設置する。

・ 定期的に沈砂池内の土砂の除去を行うことで、一定の容量を維持する。

・ 排水量が少ないほど短い距離で土壌に浸透させることが可能であることから、

沈砂池等の設備を可能な限り多く配置し、排水を分散させる。

・ 沈砂池排水は近接する林地土壌に排水し、土壌浸透処理する。

※排水場所の選定にあたっての留意事項は以下のとおりである。

【排水場所の選定に当たっての留意事項】

・ 表土が下層植生や落葉落枝に覆われる等、土壌浸透能の大きい林地を選び、傾

斜が急な林地は避ける。

・ 沈砂池排水を広範囲の林地土壌と接触させ、土壌浸透能力を確実に活用できる

よう、土壌浸透対策工(第 8.1.2.1-3 図)等の施工を行う。

Page 15: 8.1.2.1-1 表...8.1.2-7 (384) (e) 調査結果 対象事業実施区域及びその周囲における土壌の沈降試験結果は第8.1.2.1-6表及び 第8.1.2.1-2図のとおりである。

8.1.2-15

(392)

・ 重要な動植物の生育・生息場所にも配慮して排水場所を選定する。

これらの措置を講じることにより、造成等の施工による一時的な影響に伴う水の

濁りに関する環境影響が周辺の水環境に及ぼす影響は小さいものと考えられること

から、実行可能な範囲内で影響の低減が図られているものと評価する。