米国経済制裁緩和の動きと日本企業への影響

伊藤嘉秀yoshihide.ito@morganlewis.com

2015年10月28日

経済制裁とは

国際機関（主として国連安保理）や国の対外政策などの実施 や安全保障等の確保のためにとられる各種経済活動の禁止

又は制限措置。

政策執行のための重要な手段。政治的メッセージ発信の重要な手段でもある。

執行にあたっては、行政府の裁量権が大きい。

情勢の展開により常に変化し、突然導入される場合もある。

一旦導入されると解除・終了まで時間を要する。

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経済制裁の手段

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対外政策の目的や脅かされている安全保障上の問題によって、様々な経済制裁の手段がある。

主要な経済制裁の手段には、以下が含まれる。

取引禁止特定の国の政府との取引禁止・制限特定の団体、個人との取引禁止･制限取引禁止の中には、資産凍結等も含まれる。

輸出入禁止特定の国等からの産品や役務の輸入禁止特定の国、団体、個人への輸出・再輸出禁止

なぜ、米国の経済制裁に注意しなければならないのか

直接米国に関係しないと思われる日本の会社や、第三国の子会社の取引等が、米国の制裁の対象となり、米国の罰則等が適用されることがある。[域外適用]。

厳しい罰則(罰金)が適用されるリスクあり。

場合によっては、米国の市場が閉ざされるリスクがある。

米ドルの決済ができなくなるリスクもある。

保険が適用されなくなる場合がある。

米国の州レベルでの政府調達、公共事業等から排除されるリスクもある。

イラン、ミャンマー(ビルマ)、キューバに対する制裁は、緩和や解除の傾向がみられるが、 米国は依然として制裁の基本的枠組みを維持。

今後の国際情勢の展開によっては、再び制裁が強化されるリスクも排除されない。

米国の法令に従っていても、風評被害を受けるリスクあり。

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米国の経済制裁の全体像

連邦法に基づく制裁

大統領行政命令に基づく制裁

州法に基づく制裁

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連邦レベルでの制裁

連邦レベルでの経済制裁の特徴は、一般に、

U.S. personによる、 特定の対象国・政府との取引、 特定の活動に関連する取引、 特定の法人等の団体・個人との取引、または、 それらの｢権益(interests)｣が関連する取引、

を禁止乃至は制限しようとするもの。[一次制裁: Primary Sanctions]

ただし、U.S. person に該当しない者(団体・個人)による上記の取引も、場合によっては米国の制裁措置の対象となる場合もある。[二次制裁: Secondary Sanctions]

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連邦レベルでの制裁： U.S. Person

米国籍の個人（場所を問わない）

米国永住権を有する個人（場所を問わない）

米国内の個人、団体、その他の組織（国籍を問わない）

米国の法令に従って設立された法人（その外国の支店、事務所等を含む。一部の制裁規則では、米国法人の米国外の子会社も含まれる。）

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連邦レベルでの制裁（続き）

包括的制裁プログラム

キューバ

イラン

シリア

スーダン

限定的制裁プログラム

(ウクライナ関連) ロシア

ビルマ(ミャンマー) 北朝鮮

南スーダン

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連邦レベルでの制裁（続き）

特定の活動・行為に対する制裁

テロリズム、大量破壊兵器(WMD)拡散、違法薬物取引、

国際犯罪組織、ソマリア沖海賊行為、IT技術を利用した人権侵害、経済制裁回避行為等。

日本の反社会勢力(暴力団)関係者も含まれる。(2011年7月24日大統領行政命令13581号は、国際犯罪組織としてYakuza, Boryokudan, Gokudoを特定。)

コンピュータ、コンピュータネットワーク、インフラ部門等への不正行為、対するサイバー攻撃及び、資金、経済資源、営業秘密、個人情報、金融情報等のサイバー手段等による不正入手等(2015年4月1日大統領行政命令13694号)

特定の(旧)政権関係者に対する制裁

バルカン半島諸国、ベラルーシ、象牙海岸、コンゴ民主共和国、Charles Taylor元リベリア政権、イラク、レバノン、リビア、イエメン、ジンバブエ

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イラン制裁

最も包括的な制裁: 原則としてU.S. person及び米国外のU.S. Personにより「所有」又は、「支配」されている者が関与するイランとのあらゆる取引を禁止

イラン原産の産品及びサービスの米国への輸入禁止(例外は、情報資料等)

イランへの(直接・間接)輸出の禁止(例外は、農産品、医薬品・医療機器、旅行、宗教活動、報道活動、人道活動、家族・親戚への送金等)

米国外の取引であっても、U.S. personが関与している場合は、原則禁止

米国外の会社(法人)であっても、U.S. personに所有又は支配されている法人は、U.S. personと同様にイラン関連の取引に関与することが原則禁止

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イラン制裁： 例外として認められている取引

U.S. person による取引であっても、以下を含む一部の特定の取引については、例外的にイランとの取引が認められている。

新聞、雑誌、本、ＣＤ、ビデオ等の一般に市販されている情報資料(Informational Material)のイラン向け輸出が許可されている(但し、ソフトウェア、技術情報等は不可。)

食糧、医薬品、医療機器等の対イラン輸出は許可されている(General License)

上記の取引に必要な金融サービスの提供を許可されている

非商用の私的な送金も許可されている(但し、第三国の金融機関経由)

イラン国内の民主化、人権活動、学究活動、文化交流活動も許可される(但し、事前許可制)

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イラン制裁： 二次制裁

米国外のU.S. personではない者が関与するイラン関連取引等への制裁適用[Secondary Sanctions]

一般的注意事項

取引等にU.S. personが一切関与しておらず、かつ、米国原産の産品等が一切含まれていない場合は、米国の法令の対象外

但し、国連の制裁、EUの制裁、関連国内法(日本では、外為法等)による輸出規制、金融取引規制等に要注意

米国連邦政府や州政府等の調達手続き参加に悪影響を及ぼすリスクあり(特にエネルギー資源関連の取引)

州政府等の投資禁止法令等により悪影響を受けるリスクあり

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イラン制裁： 二次制裁（続き）

米国外のU.S. personではない者が関与するイラン関連の取引等[Secondary Sanctions](続き)

特定の取引は、米国の法令で禁止されているか、又は、米国による制裁措置の対象となり得る

米国原産の産品のイラン向け(再)輸出

米国原産の産品を組み込んだ外国製品(例えば、米国製のパーツ等を含む日本製品)のイラン向け輸出

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イラン制裁： 二次制裁（続き）

米国外のU.S. personではない者によるイラン関連の取引[Secondary Sanctions](続き)

以下の条件を全て満たせば、一般に米当局による事前許可は不要

EAR99に該当する米国産品

外国製の製品に組み込まれたもので米国原産の産品の価額が外国原産の価額の10%に満たないもの

イランの石油、石油化学産業向けのものではないこと

イランの軍関連組織向けのものではないこと

大量破壊兵器の製造、開発等のために用いられるものではないこと

U.S. Personが関与していないこと

SDNが関与していないこと

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イラン制裁： 2010年以降強化された二次制裁

2010年以降の一連の法令により、米国外のU.S. personでない者によるものであっても、イランの以下を含む産業分野や活動に関連する取引等は、米国の制裁措置の対象となり得る。

(a) エネルギー分野(石油、ガス等の天然資源に関連する分野)

(b) 石油化学分野

(c) 港湾及び海運、造船関連分野

(d) 保険、再保険、保険･再保険引き受け業務分野

(e) 貴金属、特定金属、その他の工業原料分野

(f) 自動車(関連部品等)分野

(g) 人権侵害に寄与する行為・取引

(次ページに続く)

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イラン制裁： 2010年以降強化された二次制裁（続き）

(h) イランの政府機関又は特定のイラン人(個人)、イラン法人・団体等(SDNリストに掲載されている者及びその者に所有若しくは支配されている者も含む)が関与するもの

(i) 金融サービス(上記の産業分野の取引に関連するもの、イランの金融機関が関与するもの、イランの通貨が関与するもの等)

(j) 大量破壊兵器(WMD、核、生物、化学兵器等)若しくはその運搬手段(ミサイル等)の拡散に関連するもの

(k) テロ活動に関連するもの

(l) 米国の制裁措置を回避するためのもの(U.S. personの便益となるために代行等する

ものを含む)

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イラン制裁： 2010年以降強化された二次制裁（続き）

米証券取引委員会(SEC)への開示・報告義務

• Iran Threat Reduction and Syria Human Rights of 2012, Sec. 219

• Securities Exchange Act(証券取引法)のSec. 13(a)でSECへの報告書提出が義務付けられている者に適用

• “Issuers” or “any affiliates of issuers”

• イラン又はイラン政府が関与する、 “Transactions and dealings”– イランの石油部門

– 大量破壊兵器の開発

– イランの人権侵害に寄与する移転・譲渡

– イラン革命防衛隊

– イランの公的債務、他

• イラン関連通報(Iran Notice)

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イラン制裁： 緩和に向けての動きJPOA

最近の動き

2013年11月24日 Joint Plan of Action(JPOA)

(a) イランの原油販売をさらに減少させるための措置はとらない。現在のイラン原油の購買者が現時点での平均原油輸入量を維持することを認める。このための外国からのイランへの支払いを認め、また、原油輸入に関連する保険・運輸サービスに対する米国とEUの制裁措置も一時的に停止(suspend)する。

(b) イランの石油化学製品及び関連サービスの輸出及び金その他の貴金属の取り引き等に対する米・EUの制裁の執行停止。

(c) イランの自動車産業に対する米国の制裁の停止。

(d) イラン民間航空機の安全確保に必要な航空機関連部品やサービスの提供等の許可。

(e) 米国は、核関連の新たな制裁措置をとらない。

(f) イラン石油により得た収入を活用し、イラン国内の人道的必要(食料、農産品、医薬品、医療機器等)に対応するための貿易を可能にする制度を設ける。

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イラン制裁： JCPOA以降の経緯及び今後の見通し

1. 2015年7月14日E3/EU+3(英、仏、独、EU、米、ロシア、中国) 及びイランは、核問題に関する合意内容をJoint Comprehensive Plan of Action (JCPOA)(共同包括行動計画)として公表。

http://www.eeas.europa.eu/statements-eeas/docs/iran_agreement/iran_joint-comprehensive-plan-of-action_en.pdf

2. 国連安保理によるJCPOAの承認(2015年7月20日)

国連安全保障理事会がJCPOAの合意内容を承認。安保理決議2231。http://www.un.org/en/sc/inc/pages/pdf/pow/RES2231E.pdf

3. 米連邦議会による審査期間の終了(2015年9月17日)

4. Adoption Day (2015年10月18日)JCPOA参加国は、コミットした内容の実施に向け準備を開始。

(次ページに続く)

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イラン制裁： JCPOA以降の経緯及び今後の見通し（続き）

5. Implementation Day (早くとも2015年末から2016年上旬ごろか?)

JCPOAでは、イランが、JCPOAで約束した核関連の諸段階の具体的措置を実施したかどうかIAEAが査察をし、その検証結果を公表し、同時に、国連、米国、EUは、JCPOAで規定された制裁停止・終了のための措置を実施し始める日をImplementation Dayとする旨規定している。

6. Transition Day (2023年10月ごろ)

JCPOAでは、Adoption Dayから8年後、又は、IAEA事務局長の報告書(イランが核活動を平和目的に限定していることの確認)の提出日のいずれか早い日を、Transition Dayとする旨規定。米国及びEUは、Transition Dayに、追加的な制裁緩和・解除措置を実施する予定。

7. UNSCR Termination Day (2025年10月18日）

JCPOAでは、Adoption Dayから10年後をUNSCR Termination Day(国連安保理[制裁]終了日)とする旨規定。イラン側が核に関するコミットを実施している限り、UNSCR Termination Dayには 国連の対イラン核関連の制裁を全面的に終了させ、また、 EUの対イラン制裁措置も全面的に終了させる。米国は、核関連ではない理由に基づく対イラン制裁については、なんらコミットしていない。

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イラン制裁： JCPOAで米国がコミットしている制裁停止・終了の分野

米国政府は、JCPOAでイラン側が核関連のコミットを実施することを前提条件に、以下の分野

に関する対イラン制裁措置の適用を停止(cease to apply)し、その後終了(terminate)または

実効的に終了させるための修正(modify to effectuate the termination of)を行う旨表明。

(a) 金融、銀行業務に対する制裁

(b) 保険関連業務に対する制裁

(c) エネルギー、石油化学部門に対する制裁

(d) 海運、造船、港湾部門に対する制裁

(e) 金(きん)、その他の貴金属に対する制裁

(f) ソフトウエア及び特定金属の取引に対する制裁

(g) 自動車部門に対する制裁

(h) SDN Listに掲載されている特定の個人、団体に対する制裁

(i) 米国の民間用旅客機等のイラン向け輸出等

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イラン制裁： 今後の注意点

基本的に制裁緩和は、Secondary Sanctionsが中心となる。

U.S. personは引き続きイランとの取引が原則禁止される。

Implementation Day までは、新たな制裁緩和はなく、現状維持。

イラン側がJCPOAのコミットを実行しなければ、制裁復活、強化の可能性あり。

米政府は、既存のイラン制裁法令の執行を厳格に行っていく旨表明。

州の制裁法は依然として当面継続の見込み。

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ビルマ（ミャンマー）制裁

現在の制裁の枠組み

1997年5月20日 ビルマに関する「国家緊急事態｣の宣言(以降、1年ごとに同宣言は更新)

現時点での法令上の制裁措置

(a) U.S. personによるビルマへの新規投資の禁止

(b) U.S. personによるビルマへの金融サービス輸出の禁止

(c) U.S. personによるビルマ原産の産品の米国への輸入禁止

(d) U.S. personの「特定の者」との取引禁止、「特定の者」の資産凍結

「特定の者」とは、

ビルマの旧軍政権の幹部、軍関係者

ビルマ国内の民主化運動を抑圧した指導者

人権侵害や汚職、麻薬取引等に関与した者

上記の者により所有又は実効的に支配されている者

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ビルマ（ミャンマー）制裁（続き）

最近の制裁緩和の動き

2012年7月 以下の措置の緩和方針を表明(a) ビルマへの新規投資の禁止及び(b) 金融サービスの輸出禁止

但し、U.S. personによる対ビルマ新規投資等については、米国務省に報告義務あり

2012年11月 以下の措置の緩和方針を表明(c) ビルマ産品の米国への輸入禁止

2015年4月23日 Win Aung氏、Dagon International Ltd.およびDagon Timber LimitedをSDN Listから削除

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ビルマ（ミャンマー）制裁（続き）

2015年5月15日 米大統領はビルマにつき｢国家緊急事態｣の宣言。

引き続き、少なくともあと1年間は、上記の法令上の対ビルマ制裁の基本的枠組みは維持する旨公表。

これにより、U.S. personによる「特定の者」との取引禁止。また、米国の管轄権に服す「特定の者」の資産凍結は継続。

2015年11月8日 ミャンマー総選挙

Thein Sein大統領の政界引退？

Shwe Mann下院議長(元軍幹部No.3)？Aung San Suu Kyi？憲法改正？

少数民族、Rohingya等の扱い

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ビルマ（ミャンマー）制裁（続き）

要注意事項

SDN 等「特定の者」及びその実効的支配下にある者との取引、ジョイントベンチャー

米国現地法人又はU.S. personの関与

金融機関等の警戒による影響

米国内の人権団体等の動向

米ドルの使用

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キューバ制裁： 背景及び最近の動き

現在でも有効な、最も歴史の長い米国の制裁(1958年3月以降継続)

オバマ政権以降、緩和に向けての動きあり。

2014年12月17日 オバマ大統領は、米国の対キューバ政策の転換を表明

2015年1月16日 米財務省(OFAC)および米商務省(BIS)は、対キューバ制裁関連規則の改正を行い、渡航制限や輸出入規制の限定的緩和を実施。

2015年7月1日 米政府は大使館の相互開設等を含むキューバとの国交回復を公表

2015年9月21日 OFAC及び BISは、対キューバ制裁緩和のため、関連規則を追加的に改正

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キューバ制裁： 規制の基本的枠組み

キューバ制裁法令執行当局および関連規則

財務省(OFAC)

キューバ資産管理規則(CACR)の執行

基本的に、｢米国の管轄権に服する者(Person Subject to the Jurisdiction of the U.S.)｣の活動、取引、および、キューバ政府、キューバ国民の資産にかかわる禁止・規制内容を規定

米国へのキューバ原産、キューバ経由の産品の輸入禁止を規定

商務省(BIS)

基本的に、輸出管理規則の対象となる産品の対キューバ向け輸出、再輸出を規制

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キューバ制裁： 規制の基本的枠組み（続き）

｢米国の管轄権に服する者(Person Subject to the Jurisdiction of the U.S.)｣

米国籍もしくは永住権を有する個人、

米国の居住者、実際に米国内に居る者、

米国の法令により設立された法人その他の団体等、

米国の法令により設立された法人その他の団体により、所有若しくは支配されている（外国の）法人その他の団体。

通常のU.S. personの範囲よりも対象が広い

たとえば、在米の子会社の中南米の駐在員事務所や、中南米に有する子会社等も、CACRの規則が適用される。

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キューバ制裁： 特に留意すべき点

「米国の管轄権に服す者」が留意すべき諸点

CACRの原則禁止の枠組みに留意。

CACRで一般許可されている取引であれば、渡航を含め、それに直接付随する取引も、一般に許可。

渡航が一般に許可される場合でも、渡航目的の枠外での活動は不許可。

輸出関連の取引については、CACRで、一般許可の対象となる範疇内の産品の輸出が、一般に許可。その他は、依然として、個別許可を得なければ、輸出は不可。

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キューバ制裁： 特に留意すべき点（続き）

米国の管轄権に服さない者が留意すべき諸点

米国原産の産品のキューバ向け輸出・再輸出

米国の防衛産品が含まれている(米国外で製造された)産品のキューバ向け輸出

米国(EAR)により輸出規制の対象となっている産品を10％以上含む産品のキューバ向け輸出

第三国にある子会社、関連会社等の、キューバ関連取引

米国の管轄に服する者が権益を有している可能性のある資産等にかかわる取引

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最近の法執行の例

2015年3月12日 Commerzbank AG、約2億6千万ドルの和解金イラン、スーダン、WMD、ビルマ、キューバ

2015年3月25日 PayPal, Inc.、約766万ドルの和解金WMD、イラン、キューバ、国際テロ、スーダン

2015年8月27日 USB AG、約170万ドルの和解金国際テロ

2015年10月20日 Credit Agricole Corporate and Investment Bank、3億3千4百万ドルの和解金スーダン、キューバ、ビルマ、イラン

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日本企業として特に注意すべき側面

日本を起点とするビジネスでも制裁の対象とならないかチェック体制を確立

在米の子会社、支店、営業所等の活動

各種契約に「制裁対策条項」を含めておく

M&Aの際のリスク

米ドル使用

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リスク軽減のための防止策

企業のビジネス倫理規定の確立、社内徹底、社外発信

普段からのコンプライアンス体制の確立

契約を通じての防止策

M&Aの際のDue Diligence

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違反の疑いのある取引が発覚した場合

迅速な調査

自発開示(voluntary disclosure)

当局による調査への協力

ダメージコントロールのための迅速な対外発信

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