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Ⅵ 実践事例(高等学校の取組)

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Ⅵ 実践事例(高等学校の取組)

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宮崎南高等学校 実践報告

実践タイトル OBを活用したインターンシップ “おじゃまします先輩”

学科 普通科・フロンティア科 学年 2年 人数 54名

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・他者の個性を理解する力 ・他者に働きかける力 ・コミュニケーション能力 ・プレゼンテーションスキル

・自己への肯定的理解 ・自己の将来設計に基づく進路決定

・前向きに考える力

・課題発見能力 ・解決に向けた実行力 ・困難克服のスキル ・情報の理解

・分析力、考察力 ・将来設計立案 ・学ぶこと、働くことの意義や役割の理解

活動のポイント

1 対象学年等 (1) 将来の職業的なビジョンがあると思われる2年生の希望者を対象に実施する。 (2) 生徒が将来就きたいと考えている職業について、より具体的な理解を深めるよう工夫し

たインターンシップの実現を目指す。 2 実施上の留意点

(1) 南高校同窓会「鵬会」の協力を得て、先輩から後輩に対し仕事をする上での大変さや、苦しみ、喜び、そしてやり甲斐を伝えてもらう。

(2) この経験が、その後の学習成果に結びつくことを念頭におきながら、企画・実施する。 (3) インターンシップ実施後に学年集会などで報告会を行い、他生徒と情報を共有するとと

もにプレゼンテーション能力を高める。

役 割 分 担 等

1 インターンシップにおける役割分担 ・キャリア教育推進室を中心に企画、運営を行う。 ・推進室部会での協議を受け、運営委員会での承認を得る。 ・校内回覧で情報を共有する。 ・当該学年会へ協力を依頼し、職員会議で周知徹底を図る。

年 間 の 流 れ

H25年の10月、11月、12月に鵬会理事会において同窓会からの理解と協力の呼びかけ H26年 ・4月 PTA総会時に保護者向けに説明会を開催 ・5月 インターンシップ受け入れ依頼文書を各企業へ発送 ・7月 生徒希望著調査を配布 ・7月14日(月)希望者集会の開催 ・7月17日(木)~7月31日(木)各企業との打合せ会 ・8月 前半:8月4日~6日、後半:8月18日~20日 インターンシップ実施 ・9月 9日(火)2年学年集会において宮崎空港ビル、宮崎市役所、宮崎日日新聞社、藤元総合病院、宮崎市消

防局でのインターンシップに関するプレゼンテーションの実施(7分×5程度)

当 日 の 様 子

薬剤師の様子 新聞記者の様子 消防士の様子

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協力していただいた企業 ・宮崎観光ホテル ・株式会社九南 ・株式会社岡崎組 ・株式会社久保田オートパーツ ・宮崎中央青果株式会社 ・戸田整形外科医院 ・株式会社宮崎南印刷 ・宮崎空港ビル株式会社 ・株式会社増田工務店 ・吉原建設株式会社 ・宮崎ガス株式会社 ・株式会社ホテルマリックス ・宮崎日日新聞社 ・宮崎紙工印刷 ・宮崎県教育委員会 ・フェニックスリゾート株式会社 ・藤元総合病院 ・株式会社くちき ・宮崎中央法律事務所 ・宮崎市消防局 ・宮崎市役所 ※下線は実際に生徒がお世話になった企業

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ 自分のあまり興味のない分野にも目を向け、視野を広げていきたいと思った。 ○ 職場の人と話すことで、今まで自分に無かった考えが出てきたと思う。 ○ 不思議に思ったり、疑問に思ったことを、専門の方と話すことでさらに深く知ることができた。 ○ 3日間で、仕事の大変さと、楽しさを味わえた。職場の方と親しくなれたことが大きい。 ○ 原稿作成・取材などを通して要点を話し、決められた字数でまとめることの難しさを知ることができた。 ○ 企業内の仕組みやこれから進学した後での事をいろいろ考えさせられた。 ○ 最初はすべてが初体験で戸惑うこともたくさんあり、迷惑をかけてしまうことも多かったが、一つ一つのことが

とてもやり甲斐のあるものだった。 ○ このインターンシップで、改めて薬剤師の仕事はいいなと感じ、ますますこの仕事に就きたいという気持ちが大

きくなった。 ○ 活動の全てがとても貴重で、市役所の方々には感謝で一杯である。 ○ 僕は最初消防士になりたいと思っていましたが、インターンシップを終えて、どのような仕事や訓練をしている

のかを知り、また実際に体験させていただいて、大変だなという気持ちと毎日訓練をしている姿に素晴らしさを感じ、より一層消防士になりたいという気持ちが強まりました。お忙しい中不安で緊張していた僕たちに優しく丁寧に接してもらい、感謝の気持ちで一杯です。

取 組 の 成 果

○ 希望者ということで、生徒が意欲的に取り組む姿勢が各企業にいい印象を与えることができた。来年度も引受けたいという有り難い言葉をいただいている。

○ 生徒が家庭と学校とのつながりに加え、この体験を通して社会との接点を持つことで、自己の進路をより間近に、そして真剣に向き合う契機となったと信じている。

○ 今回お世話になった企業は南高校のOBということもあり、厳しく、温かい指導を生徒は受けることができた。 ○ 今回のインターンシップを通して、生温い態度を改めて欲しいという保護者の願いから参加した生徒もいた。保

護者からの期待も大きいことを痛感した。 ○ OBの企業にご協力いただくことで、多方面からの指導を得ることができた。今後は実施時期や期間を配慮すれ

ば、次回は是非協力したいという企業もあり、生徒のニーズに応えることもさらにできるのではないかと考えている。

○ 実際に現場に行って初めて、自分の思い描いていた仕事内容と違うと感じた生徒もいた。ただ、感想文から読み 取れることは、生徒は柔軟に3日間を乗り切ったという事実であり、仕事は辛いことも当然あることを知る機会になった。与えられた場所で懸命に努力し、そこで自分の居場所を見つけ出す貴重な体験となった。

今 後 の 課 題

1 更なるインターンシップの充実に向けての手立て (1) 今回は当該学年(2学年)に負担をかけないように、できるだけ推進室を中心に準備するよう心掛けた。そ

の結果、職員全員で取組んだという実感が伝わらない。次年度に向けて、この点を改善する。 (2) 職員から1年生と2年生の両学年に経験させたい旨の意見がある。その要望に応えるために来年度は学年を

広げるべきか検討する。 (3) インターンシップに関するプレゼンテーションをさらに充実させる方法を考える。 (4) この経験を踏まえた後、実際に学習意欲の向上にどう繋がっているか今後検証する。 (5) ドリカム講座(ようこそ先輩)、インターンシップ(おじゃまします先輩)の流れに加え、日頃の授業でどう

キャリア教育を実施していくかを検討したい。 2 OBとの接続

(1) 今年は多くのOBの方々の協力を得て実現した。率直に意見を出し合い、今回のインターンシップを検証していくことで協力体制をより強固なものにしていく。

(2) 今回時期的に協力したいができないと回答された頂いた企業に対し、学校行事との調整をすることで、次年度協力を頂けるよう一層の努力をしていきたい。

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妻高等学校 実践報告

実践タイトル インターンシップ

学科 普通科 学年 2年 人数 118名

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリアプランニング

能力

・他者の個性を理解する力 ・他者に働きかける力 ・コミュニケーションスキル ・チームワーク

・自己の役割を理解する力 ・前向きに考える力 ・忍耐力 ・主体的な行動力

・本質を理解する力 ・課題を発見し、評価・改善する力

・実行力

・学ぶこと、働くことの意義や役割を理解する力

・将来設計する力

活動のポイント

1 職業・事業所のリサーチ (1) 将来就きたい職業を考え、体験する職種を選択する。 2 具体的課題設定 (1) 事業所毎に高校生の視点で自己の役割を考える。 3 仕事の実際を知ること (1) 実際の仕事を通して、学ぶこと・働くことの意義や役割を理解する。 4 成果と課題のまとめ (1) インターンシップの経験を通して学んだこと・理解したことをまとめ職業観を育成する。

(2) まとめ・発表をすることで表現力の育成を図る。

係 分 担 等

1 インターンシップにおける係分担 (1) 担任、副担任 ・・・生徒希望調査・自己紹介書作成・クラス発表 (2) 各事業所担当者・・・受け入れ事業所の選定・依頼事前打ち合わせ・当日巡回指導・お礼 (学年団全員) (3) 学年団 ・・・事前指導・全体発表

年 間 計 画 等

(1) 生徒希望調査 (2) 受け入れ事業所の選定・依頼 (3) 担当者と事業所打ち合わせ

①「インターンシップの受け入れについて(依頼)」 ②「インターンシップに関する確認書」 ③「詳細打ち合わせ票」 ④「作業プラン」の作成依頼 ⑤「日誌」のコメント依頼 ⑥「評価票」の記入依頼 (4) 「自己紹介書」の作成 (5) 事前指導(全体) (6) 生徒と事業所顔合わせ・打ち合わせ (7) 最終指導(全体・個別) (8) インターンシップ当日巡回指導(3日間) (9) 礼状・自己評価票・感想文作成

(10) 各事業所へお礼・評価表回収 (11) クラス発表・全体発表

当 日 の 様 子

当日の様子 当日の様子 当日の様子 全体発表の様子(昨年度)

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生 徒 の 意 見 や 反 応

1 生徒の感想 ○ 私がこのインターンシップを通して学んだことは、私たちの生活には木がつきものということです。木は何にで

もなれます。大昔から僕たちは、木と生きているんだなあと思いました。木の成長を妨げる下草を実際に除草し、また、潮の害から畑などを守る保守林のことなど、とてもたくさんのことを学びました。あのような山中に行って、とても熱いのにきびきびと作業しているのはすごいと思いました.お忙しい中、たくさんの貴重な体験をさせてくださり、ありがとうございました。

○ 私は、インターンシップ初日、とても緊張していました。他の生徒もそうだったと思います。でも親切に仕事を教えてくださる店長や従業員の皆さんのおかげで楽しく作業させていただくことができました。とても感謝しています。今回のインターンシップで学んだことは、買う立場、売る立場共に感謝を忘れてはいけないと言うことです。自分たちが何気なく手に取っている商品は、その店の従業員が苦労して並べた商品だということです。これから買い物をするときは、買う立場の僕も感謝して買い物をしたいと思います。今回学んだことを、これからの進路や人生に活かしていきたいです。

2 生徒アンケートより (1) インターンシップ中に作業内容や作業の方法について意見を述べましたか?(提言力)

①意見を述べることができた。 54% ②意見を述べることができなかった。 46% (2) インターンシップを通して、就職(仕事)に対する考え方に変化はありましたか。(職業観)

①あった。 69% ②なかった。 31% (3) インターンシップが今後の学校生活に影響を与えると思いますか。

①取り組みたい教科・科目ができた。 15% ②取り組みたいことができた。 42% ③具体的には思いつかない。 43%

(4) インターンシップを終えて、今の気持ちはどうですか。 ①満足している。 94% ②満足していない。 6%

(5) 実習中最もよかったことは? ①いろいろな方とコミュニケーションがとれた。 ②日に日に作業が早くなった。 ③命の大切さを学べた。

(6) 実習中苦しかったこと、いやだったことは? ①何をしたらいいか分からないことがあった。 ②挨拶が小さくて注意された。 ③コミュニケーションがうまくとれなかった。

(7) どんなことを学びましたか。 ①働くことの楽しさ、喜び、苦しさ、大変さ ②誰かのために働くことの喜び ③親に対する感謝の気持ち ④勉強の大切さ ⑤挨拶、返事の重要性

取 組 の 成 果

(1) 西都市の事業所で実施することで他の地域から来ている生徒たちも地元を知ることができた。 (2) 働くことの楽しさ、喜び、苦しさ、大変さ、やりがいを知ることができた。 (3) 社会に出て必要なこと(挨拶、周りを見る力、人間関係など)を知ることができた。 (4) 学校生活の中で身につけていかなければならないこと(挨拶、学力など)を再認識することができた。

今 後 の 課 題

1 地域との更なる連携 (1) 生徒が希望する業種でのインターンシップを実施できるよう、商工会議所などと連携し協力していただける

事業所をさらに増やしていきたい。 2 生徒の事前準備の徹底 (1) 挨拶など、日頃の学校生活の中での指導を徹底していきたい。 (2) 礼法指導を普段から行うことが大切である。

3 職員間の共通理解 (1) 普段の授業以外の負担が増えるため、インターンシップの意義を職員全体で共通理解し、取り組める組織作

りが必要である。

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日向高等学校 実践報告

実践タイトル 「生き方」を学ぶ ~日向市キャリア教育支援センターとの連携~

学科 フロンティア科 学年 全学年 人数 116名

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・他者の個性を理解する力 ・コミュニケーション力

・前向きに考える力 ・自己を動機付ける力

・課題を発見し、評価・改善をする力

・「学び」の意義を理解する力 ・自身の将来を設計する力

活動のポイント

1 多くの社会人による講話 (1) 地元には、世界最先端の技術を持った企業や高い志を持って活躍している方がたくさんい

る。その方々から話を聞き、その生き方や考えに触れることにより、生徒自身が「将来をどう生きていくのか」を考える機会にする。

2 日向市キャリア教育支援センターとの連携 (1) 日向市キャリア教育支援センターには、「企業との連携」の観点から、講演や企業訪問等

をコーディネートしてもらう。また、同センターが実施している「よのなか教室」から、定期的に講師を紹介してもらい、講演会等を実施する。

(2) 本校開設4年目のフロンティア科の「探究活動」全体像について、支援センター長の水永正憲氏を交えて協議していく。水永氏には週1回来校してもらい、講演会等の打合せや長期的視点による学科の在り方などについて、ミーティングを実施する。 【日向市キャリア教育支援センターHP (http://hyuga-career.jp/)】

3 生徒参加型の講演会 (1) 12月17日の講演会は生徒(3名)が自身の将来について語り、メディキットの中島会長

からアドバイスを頂く形式で実施した。また、キャリア教育支援センターの水永氏がコーディネーターとして加わり、講演会全体を対話形式で実施した。

組 織 や 係 分 担 等

企画・運営 日向市キャリア教育支援センター(センター長:水永正憲氏) 日向高校フロンティア科

年 間 計 画

1 フロンティア科講演会 計画 (1) メディキット株式会社 代表取締役会長 中島弘明 氏

テーマ『未知を拓き、未知を拓く』 ① 6月19日:「夢を描く~学ぶことの意義~」 ② 9月11日:「世界に学ぶ~アメリカに学んだこと~」 ③ 12月17日:「これからをどう生きていくのか」を語るフォーラム

(2) 東京農工大学客員教授、NPO法人「体験型科学教育研究所」副代表理事 瀬田重敏 氏 7月29日:「高校生のみなさんに考えていただきたいこと」

(3) 医療法人向洋会 協和病院 麻酔科 山口亜紀子 氏 9月25日:「女医の話を聞いてみる?」~眠らせちゃうかも~

(4) 日本大学 生物資源科学部教授 塚本勝巳 氏 (世界的なウナギ博士) 10月17日:「ウナギ博士の航海日誌」 *小・高連携の企画の一環として、財光寺小学校5年生160名が講演会に参加

当 日 の 様 子

講演の様子(1回の講演会は、講師紹介 5分、講演 60分、質疑応答・お礼 25分の 90 分を目安にしている)

講義中の生徒の様子 生徒の質問の様子

12/17:「これからをどう生きていくのか」を語るフォーラム

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【事前の準備】コーディネーターの水永氏と代表生徒による打合せを2回実施した。

① 将来の夢は何か? ②その夢を叶えるために必要なことは? ③中島会長に何を質問するか?

【当日の流れ】

1 メディキット会社紹介DVD視聴 2 中島会長が語る「カテーテル開発物語、

事業展開の経緯、経営信条など」 3 生徒が語る「夢や将来の生き方について」 4 高校生へのメッセージ

事 後 指 導

1 感想文 (1) 生徒はメモをとりながら講演を聞く。その内容を整理す

るためにも感想文という形で記録させる。 (2) 生徒の感想文は20名ほどを講師に送付し、お礼を兼ね

る。 2 生徒の活動のファイリング

(1) 講演会の際は、A4版横の「講演会シート」を配布する。 左半分がメモ欄、右半分が所感となっている。 講演会後に担任がすべてに目を通し、生徒に返却する。

(2) 講演会だけでなく、フロンティア科独自の学習会や大学 のオープンキャンパス報告書など特殊な活動に関するも のは、すべてファイリングしている。

生 徒 の 意 見 や 反 応

○【6/19 中島会長へ】「まずは目標を設定し、それを達成するための行動力が必要で、その元になるのは情熱である」という言葉が特に印象に残っています。まずは一つ一つの成功体験を積み重ねられるように努力していきます。

○【7/29 瀬田先生へ】今回の環境の話から、日向の環境について考えさせられました。また、「他の分野から学ぶ」ことにより、広い視野や素養を身に付けていきたいと思います。

○【9/11 中島会長へ】カテーテルを通して、その技術が患者だけでなく医療従事者にも配慮されていることに感動しました。「自分のために働くことが、会社のためになる」という言葉が印象に残っています。

○【9/25 山口先生へ】学校の授業や課題に真面目に取り組むことが主な勉強法だと分かり、日々の高校生活を意欲的に生活していきたいと思います。

○【10/17 塚本先生へ】科学的裏付けのある仮説からウナギの産卵地点を特定する過程にとても感動しました。私も将来、熱中できることに出会えるよう見聞を広げていきたいです。

○【12/17 フォーラム】代表の生徒が、自分の将来に対して前向きで強い刺激を受けました。

取 組 の 成 果

1 生徒の変容 (1) 講演に関して、前向きな姿勢で臨み、疑問点は積極的に質問をするようになった。 (2) 生徒が語る場を設けることにより、聞き手側も自分自身について真剣に考えるようになった。

2 教員の意識 (1) 講演を聞くことは、教師にとっても知見を開くとともに、教育を考える上で大変勉強になった。 (2) 長年企業で活躍された方(水永氏は元旭化成延岡支社長)から、企業の視点で学校の教育活動にアドバイス

を頂けるのは、教員にとって新鮮であった。普段なら、事務的な内容に終始しがちな学科会が広い視点からフロンティア科の在り方を意識した会議に変わりつつある。

今 後 の 課 題

○ 講演会自体は、どうしても単発の行事になってしまう。実際に企業や職場に見学・訪問するような活動にもつながるような取組をしていく必要がある。

○ 生徒が受け身にならないような講演会の工夫が必要である。 ○ 本活動は、1学年に1クラス設置したフロンティア科を中心に取り組んでいる。この活動を整理し、普通科を含

めた学校全体の活動に還元することを考えていきたい。

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宮崎西高等学校 実践報告

YUME講座実践タイトル

普通科 理数科 810名学科 ・ 学年 人数1・2年

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 自己理解・ キャリア社会形成能力 自己管理能力 プランニング能力

課題対応能力

・他者の個性を理解する力 ・自己の動機付け ・情報の理解・選択・処理力・ ・適切な勤労観や職業観・コミュニケーション能力 ・学習意欲 活用能力 ・自ら将来設計する能力

・主体的行動

1 目的(1) 本校の保護者や卒業生に、職業選択の過程、やりがいや厳しさ、実社会で要求される能力やマナー等について率直に語ってもらうことで、自分の人生を真剣に考え、将来の進路目標に関わる情報を得る機会として活用する。活動のポイント

2 保護者との連携(1) 本校PTAの父親委員が企画・運営の中心となって、本校の保護者に広く呼びかけて講師を募り企画・運営する。

組 織 や 係 分 担 等

1 父親委員会(1) 企画・運営全般(平成26年6月4日第1回企画運営会議、6月16日第2回企画運営会議)(2) 係分担(受付・講師誘導・駐車場・印刷・撮影・講師案内・広報取材・講師接待・マスコミ対応)講師の募集(3)

2 進路支援部(1) 父親委員会のサポート(2) 講師依頼文書・御礼文・アンケート等の作成、アンケートの集計(3) 受講講座の決定

3 渉外厚生部(1) 父親委員会と進路支援部のつなぎ役

年 間 計 画 等

1 計画(1) 事前調査① 35業種38講座の中から、希望する講座を選択(2) YUME講座① 本年度は、7月5日土曜日に土曜講座として実施(3) 事後アンケート① 受講の満足度や学習意欲の高まり等についての質問② 所感文を記入

当 日 の 様 子

講座「土木関係」の様子 講座「保健師」の様子 受付…父親委員会の様子

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タイムスケジュールと講座名

1 日程(平成26年7月5日土曜日)(1) 生徒登校 7:50(2) 土曜講座 8:00~ 9:00(3) 準備・移動 9:10~ 9:50(4) 職業講座(Ⅰ (講師紹介・質疑含む) 9:50~10:40)(5) 休憩・移動 10:40~10:50(6) 職業講座(Ⅱ (講師紹介・質疑含む) 10:50~11:40)(7) 父親委員によるホームルーム 11:40~11:50(8) 自分の教室に移動 11:50~12:00(9) 所感文記入(自分の教室で) 12:00~12:10( ) 所感文回収・終了 12:1010

2 講座名法律関係(検察官)、公認会計士・税理士、国家公務員、地方公務員、警察官、自衛官(航空含)、接客・サービス、金融(銀

行)、会社経営、保育士、小学校教師、中学校教師、大学教師、研究職、マスコミ(放送)、マスコミ(新聞、建設(建築士)、コンピュータ、エンジニア、栄養士、看護師、保健師、薬剤師、作業療法士、理学療法士、心理カウンセラー、社会福祉、医師、獣医師、音楽、航空(航空全般)、環境調査、農業経営、歯科医師、その他(電力・土木)

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ 私は成績が悪いので医師になるという夢を諦めようとしていました。しかし、今回、強い意志があれば医師になれると聞いて、これから勉強を頑張ろうと思いました。○ 私は医師と獣医師のどちらにするか迷っていました。しかし、獣医師の先生のお話を聞いているうちに、獣医師の方が自分に合っているなと思うようになりました。卒業後の進路がたくさんあるのも魅力的で、講座受けてよかったと思っています。○ 県職員の組織、職種、試験の内容等について、様々な資料を使って説明してくださったので、地方公務員になるた

。 。めにどうすればいいのかということがよくわかりました 公務員試験のコピーもいただけてとてもうれしかったです○ 一級建築士の方の作品を見て、とても感動しました。私も将来、このような建物を設計したいと強く思いました。また、設計の仕方やデザインをした後の流れなど詳しく知ることができてよかったです。テレビ局の技術部長のお話の中で 「営業力=放送力」という言葉が最も印象に残りました。アナウンサー等、華や○ 、かに見えるテレビ局ですが 、それが成り立つのも営業の方がいてこそなのだと分かりました。、会社経営の理念で、特に「社員を大切に考える。苦しくても社員は切らない 」という点に大変感銘を受けました。○ 。大勢を率いる人には、大勢を惹きつける意志の強さと固い理念というものが必要なのだと感じました。税理士という職業は堅苦しいイメージがありましたが、今日の講座でイメージがよいものに変わりました。私は公○認会計士を目指していましたが、お話を聞いて税理士になってもいいかなと思うようになりました。

取 組 の 成 果

1 アンケートの結果(講座Ⅰ・講座Ⅱ合わせた集計、全項目4段階評価)(1) 1年生は、どの項目も大変高い数値を示している。① 「受講の満足度」は、満足とやや満足を合わせて91% 「進路選択の参考になったか」は、大いにとやや、を合わせて89% 「進路に関する意識は高まったか」は、高まったとやや高まったを合わせて88% 「学、 、習意欲は高まったか」は、高まったとやや高まったを合わせて89%となっている。

(2) 2年生は、1年生に比べどの項目も数値がやや低くなっているが、それでも全体的には良好と言える。① 「受講の満足度」は、満足とやや満足を合わせて89% 「進路選択の参考になったか」は、大いにとやや、参考になったを合わせて85% 「進路に関する意識は高まったか」は、高まったとやや高まったを合わせ、て84% 「学習意欲は高まったか」は、高まったとやや高まったを合わせて86%となっている。、

今 後 の 課 題

1 日頃の学習活動との接続(1) YUME講座で学んだ内容を更に深める学習機会を設定する。(2) YUME講座で学んだコミュニケーション能力やマナー、職業観を意識した授業を展開する。

2 1年次のインターンシップとの接続(1) 8月を中心に実施しているインターンシップとの接続を考え、YUME講座の実施時期を早める。(2) YUME講座で受講した業種と同じ業種のインターンシップに取り組ませる。

3 生徒の要望に更に細かく丁寧に応えるための手立て(1) 生徒の要望に細かく丁寧に答えるべく、業種・講座数を増やす。

現状に応えるために、医歯薬系の講座数を増やす。(2) 医師薬系の希望が多い(3) 事前調査では、ただ単に希望講座を選ばせるだけではなく、講座の中で聞いてみたいこと、相談してみたいこと等についても調査する。

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高鍋高等学校 実践報告

実践タイトル 第31回 地域学習

学科 普通科・生活情報科 学年 1年 人数 270名

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・コミュニケーションスキル ・他者に働きかける力

・自己の役割理解能力 ・自己の動機付け

・情報の理解・選択・処理能力

・課題発見能力 ・本質理解の力

・学ぶこと、働くことの意義や役割を理解する力

・将来設計能力

活動のポイント

1 目的 (1) 「地域学習」は、高鍋の豊かな環境を再認識し、この地に生きる人々の歴史・文化・政

治・経済・社会などさまざまな姿を学習し、自らの前途を切り拓こうとする心を養う。 (2) 地域の歴史・文化・経済を学ぶ中で、地域の課題、自己の課題を発見する。 (3) 自己の課題から、学ぶことの意義や学ぶべき内容を理解する。 2 企画運営 (1)企画・運営は、地歴・公民科の教諭全員で取り組む。

(2)実施学年と形態 1年生全員を対象とする。3班に分け、1班1日、計3日間で実施する。

学校行事の一環である。 3 学習内容

(1)宮崎平野(北部)の自然 (2)人々の暮らし (3)孤児の父―石井十次 (4)高鍋城と城下町 (5)地場産業と文化

係 分 担 等

1 地歴公民科 (1)計画・立案・各種手配 (2)事前指導(資料の見方、歴史的背景):見学にあたっての注意点の説明。DVDによる事前学習。 (3)当日の説明 2 1 年学年団 (1)クラス引率

年 間 計 画 等

1 事前指導は、地歴・公民の教諭が授業の中で担当しているクラスを指導する (1)地域学習のしおり

①地歴・公民科が作成した『地域学習のしおり』を使って、訪問先の概要、文化的な背景、個人の略歴などを学習させる。

②見晴らしのよい高台から、本校の位置と周りの自然環境を確認させる。 (2)実施日

実施日 クラス 人数

平成25年12月10日(火) 101(A)、106(B) 43名、30名

平成25年12月11日(水) 103(A)、105(A)、107(B) 31名、30名、41名

平成25年12月12日(木) 102(A)、104(B) 40名、30名

当 日 の 日 程

(A班) 学校出発 →黒木本店(酒造) →西都原古墳群(昼食) →西都原考古博物館

10:50 11:00~11:50 12:20~13:10 13:10~14:00

→石井記念友愛社・資料館 →高鍋城址・資料館 →帰校

14:20~15:20 15:40~16:30 16:40

(B班) 学校出発 →高鍋城址・資料館(昼食) →石井記念友愛社・資料館

10:50 11:00~12:35 12:55~13:45

→西都原古墳群 → 西都原考古博物館 →黒木本店(酒造) →帰校

14:05~14:20 14:20~15:10 15:40~16:30 16:40

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1 株式会社 黒木本店 2 西都原古墳群 『百年の孤独』で知られる黒木本店で焼酎の製造 西都原古墳群の説明を受け見学し、古代の人々の

過程や地場産品が商品化されるまでを学ぶ。 生活に思いを馳せ歴史を学ぶことの意味を考える。 3 石井記念友愛社・資料館 4 高鍋城址・資料館 「孤児の父 石井十次」の偉業を館長さんから伺 歴史資料館では高鍋城の城下町として拓けた高鍋町 い、福祉の心、福祉の原点を理解する。 のルーツを学習し、ここでの自己の役割を理解する。

生 徒 の 意 見 や 反 応

1 生徒アンケート結果 ①郷土への関心や理解は深まったか

非常に深まった(50.6%) やや深まった(48.5%) 変わらない(0.9%) ②見学地の中で最も印象に残った場所

黒木本店 西都原古墳群 西都原考古博物館 石井記念友愛社 高鍋城址・資料館 (30.3%) (14.1%) (42.7%) (11.6%) (1.2%) ③地域学習に対する自分の取り組み

まじめに取り組んだ(50.4%) 普通(45.0%) もう少しまじめに取り組むべき(4.6%) 2 生徒の感想 ○ 今日の地域学習で、自分の町でもたくさん知らないことがあることを知りました。 ○ 初めて焼酎を造っているところを見ました。お酒のできる過程を生で見ることができて良かった。 ○ 古墳の鍵穴の形にすごく感動しました。 ○ 今日はとても充実した一日でした。自分の住んでいる地域の知らなかったことも知ることが出来て良かった。

取 組 の 成 果

○ 生徒の反応にあるように、地域のさまざまな場所を訪れることで、郷土への関心を高めることができた。 ○ 実際に使用された建物の中で、話を聞くことで、先人の偉業への臨場感が増した。それは、今後の職業選び

の一つの手がかりとなると思われる。 ○ 地元の企業への関心が高めることができた。 ○ 一日かけて地域の文化を学ぶことは意義のあることだと考えられる。

今 後 の 課 題

1 日程 (1) 伝統ある地域学習(平成25年度が31回)をさらに充実させるのか、精選してコンパクトにするのか。 (2) 学校行事が多すぎるという声もあるなか、どのような形で継続していくべきか。

2 キャリア教育の立場から (1) 企業・大学等視察見学との棲み分けをより明確にしたい。 (2) 明倫の時間(総合的な学習の時間)を利用した事前指導も考えるべきではないか。→平成26年度は明倫の時

間(総合的な学習の時間)にて全体指導を行う。 (3)小学校や中学校で行ってきたことをもう少し生かせる方法はないか。連携という点で課題が残る。

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高鍋高等学校 実践報告

実践タイトル 企業・大学等視察 ~職業や大学について学ぶ~

学科 普通科・生活情報科 学年 1年 人数 272名

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力

・コミュニケーションスキル ・リーダーシップ ・チームワーク ・他者に働きかける力 ・他者の個性を理解する能力

・自己の動機付け ・自己の役割理解能力 ・主体的行動力

・情報の理解・選択・処理能力

・課題発見能力

・学ぶこと・働くことの意義や役割の理解能力

・多様性の理解能力 ・将来設計能力

活動のポイント

1 目的 (1) 企業・大学・研究所等「働いている現場」「研究する現場」を見学、体験し、社会の本物

に触れさせる。 (2) 将来の生き方の見通しを持つことの重要性と、学ぶことの意味・今なすべきことの意義

を理解させる。 2 企業・大学等視察コース

(1) コース設定に関しては以下のようなコンセプトを設け、生徒に提示する。

コース 人数 コンセプト 訪問先

Aコース 35 日本の農業基地・宮崎の 食と農を支える仕事

宮崎県農業試験場→宮崎県農業大学校→JAフーズ宮崎

Bコース 39 新エネルギーを開発する仕事

宮崎大学工学部→ソーラーフロンティア(株)→工業技術センター

Cコース 40 環境保全・食の安全を守る 研究と宮崎ブランドづくり

宮崎衛生・環境研究所→宮崎大学農学部→JA宮崎経済連農産物総合検査センター

Dコース 40 高齢社会・福祉の仕事を 支える仕事

介護福祉施設皇寿園→宮崎県立看護大学→宮崎県立子ども療育センター・県立みなみのかぜ支援学校他

Eコース 37 日常生活の社会や経済を 支える仕事

宮崎銀行→宮崎産業経営大学 →宮崎観光ホテル

Fコース 41 地域行政と報道関係の仕事

宮崎県警察学校→宮崎公立大学 →テレビ宮崎(UMK)

Gコース 39 生活産業に関する仕事 アラタナ(株)→南九州大学

→米良電機産業(株)

年間計画・事前指導・事後指導

1 年間計画(職業について学ぶ) 月 日 曜日 内 容 担当

6 13 金 ワークノート「職業いろいろ発見」を使って職業についてより深く調べる 学 年

6 20 金 企業・大学等視察調べ学習:昨年の報告を見てコースの希望をとる 学 年

6 27 金 各クラスで進路についての活動 副担任

7 11 金 職業インタビューの説明と準備 副担任

9 12 金 職業インタビューのクラスでの発表会 副担任

9 26 金 企業・大学等視察事前指導:コース別に質問事項などを検討する① 副担任

10 3 金 企業・大学等視察事前指導:コース別に質問事項などを検討する② 副担任

10 17 金 礼法指導:外部講師を迎えて 学 年

10 21 火 企業・大学等視察(本時) 学 年

10 24 金 アンケート・お礼状の作成 副担任

11 7 金 コースごとのまとめ 副担任

11 21 金 全体報告会 学 年

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2 事前指導:明倫の時間(総合的な学習の時間) (1) 企業視察のための調べ学習をする。【1時間】(昨年の報告を利用して県内企業について調べる。)

(2) ワークノートを使い様々な職業があることを理解する。【1時間】 (3) コース決定後企業について調べ、それぞれ具体的な質問等をとりまとめる。【2時間】 (4) 訪問先での礼儀、作法について学ぶ。【1時間】(外部講師による講義)

3 事後指導:明倫の時間(総合的な学習の時間) (1) アンケートに答える。お礼状を作成する。【1時間】 (2) 見たり聞いたりしてきたことをまとめ、全体の場で報告する。【2時間】

組 織 や 係 分 担 等

1 キャリア教育委員会 (1) コース設定とコース責任者(副担任)の決定 (2) 訪問先の開拓・折衝・決定 (3) 生徒のコース決定、責任者の統括

2 1 学年 (1) 担当者(副担任)による事前・事後指導 (2) 訪問先との調整・打ち合わせ・最後のアンケート集約

当 日 の 様 子

Aコース(農業試験場) (農業大学校) Bコース(宮崎大学工学部)(工業技術センター)

Cコース(JA食品開発所)(宮崎大学農学部) Dコース(県立看護大) (みなみのかぜ特別支援学校)

Eコース(宮崎銀行) (宮崎観光ホテル) Fコース(警察学校) (テレビ宮崎)

Gコース((株)アラタナ) (南九州大学) コースのまとめ(掲示板) 全体報告会のようす

日程の一例(Aコース)

高鍋高校8:45出発→宮崎県総合農業試験場9:30~10:30→宮崎県農業大学校(昼食・視察)

11:30~13:00→JAフーズ(西都)13:45~14:45→高鍋高校着15:30

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生 徒 の 意 見 や 反 応

1 アンケート結果 (1)仕事のやりがい・面白さを感じることができたか・・・平均93.1%の生徒が「大いに感じた」「感じた」

と答えた。人数の関係で第2希望、第3希望にまわった生徒はやや不満だったようだが、ほとんどの生徒が仕事や学業に興味を持ったようだ。

(2)今回の企画をどのように思うか・・・「良かった」が88.7%で、意義のある行事となっている。 2 生徒の感想 ○ 大学や企業を知る事ができた。 ○ 訪問先の方々の対応が大変丁寧で、ありがたかった。 ○ 3Dプリンターを見ることができ、非常に興味深かった。 ○ 他県の企業も見てみたい。 ○ 自分の行きたいコースに行きたかった。(人数調整をしたので、第 1 希望でないところに行った生徒も多かっ

た。) ○ 特別支援学校を訪問して、自分の夢への思いが更に強くなった。 ○ 時間が足りず、伺いたいことがあったのだが叶わなかった。もう少し時間にゆとりが欲しい。 ○ スポーツに関する仕事も見てみたかった。

取 組 の 成 果

1 3 年間を見通して (1) 1年生では、宮崎県内の企業や大学を視察して、働くこと、学ぶことについて知る。2年生では経済の中心地東京で、実

際の企業や大学を訪れ、見聞を広げる。3年生では自分で、大学や企業に出向いていって受験をし、そこで暮らすための準備をしたり、就職試験を受けて、社会人となるための手順をふんだりする。このように3年間で自分のライフプランを考えることが出来るように育てる、という本校のキャリア教育の流れが、形となってきたところである。

(2) 具体的な成果と検証は、この後やっていくが、少なくともこの行事の目的である「企業や研究機関に興味を持つ」という点は達成できた。

2 運営面から (1) 県内の各大学、各企業とのパイプができた。

今 後 の 課 題

1 修学旅行の研修との連携 (1) 2年生の修学旅行でどのくらい生かすことができるか。どのように発展させるか。

(2) 今回は訪問までのお膳立てを、すべて職員がやっているので、自立性・自主性の養成という点で物足りない。生徒の活動をどう増やすかが課題。平成27年度は班活動にして、計画から企業へのアポイントも生徒にさせてはどうかと検討している。

2 日常的な活動とのつながり (1) 情報収集能力、自己管理能力を高めるような活動を、日常的にさせたい。 (2) 興味を持った事柄を、学習の意欲へつなげる手立てを確立したい。

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小林高等学校 実践報告

実践タイトル 総合的な時間の学習「大学・学部・学科研究Ⅰ」

~気をつけよう! 学部・学科研究の落とし穴~

学年 1年 教科 総合学習 科目 進路研究 単元 学部・学科研究

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・変化の激しい今日の大学改編の中で、既存のシステムに適応する力

・自ら新たな進路を創造・構築していく力

・自己の能力と適性を客観的に把握する力

・自己の将来設計に基づいて進路を決定する力

・情報の理解・選択・処理する力

・課題発見能力 ・計画立案、実行力

・学ぶことの意義、多様性の理解する力

・将来設計、進路選択等の力

活動のポイント

1 学部・学科を選択するにあたり

(1) 自分が希望する学部・学科を選択させる。 【キャリアプランニング能力】

(2) 自分が希望する大学・学部・学科が本当に自分の学びたいことが行われているかどうか

を確認させる。 【自己理解・自己管理能力】

(3) 学部・学科の名前だけで判断することは気をつけないといけないことを知る。

【課題対応能力】

(4) 提示された大学・学部・学科の名前だけでのイメージと実際にどのようなことを学ぶか

を調べたときの違いに気づく。 【課題対応能力】

指 導 計 画

及び

事 前 指 導 等

1 進路プラニングノートの活用

(1) 学部・学科を調べる際に必要な資料の準備

① 進路資料(蛍雪時代増刊号,各大学のパンフレット等)を参考に学部・学科について事

前に調べさせる。

② 当日は,パソコン室またはタブレットを使用することを知らせる。

(2) 調べたい学部・学科を事前に見つけさせる。

① はじめはこちらから大学・学部・学科を紹介し、それについて調べることを伝える。

② 次に、興味ある大学、気になる学部学科について調べることを伝える。

ア 進路資料(蛍雪時代増刊号,各大学のパンフレット等)を参考にさせる。

イ 学部・学科について事前に調べさせる。

2 学部、学科研究

(1) 「キミにフィットする学部はこれだ」

(2) 「適正学部診断テスト」

(3) 「気をつけよう!学部・学科研究の落とし穴」〈今回の授業〉

・似た名前の学部・学科だから学べる内容が同じではない

・学部・学科の名前だけで学べる内容を想像してはだめ!

・将来の職業や資格は、学部・学科と無関係ではない

・研究スタイルを知らないと、進学後に後悔することも・・・!

(4) 「学部・学科を研究しよう」

・これから興味のある学部、学科を2つ、大学を2つあげ、それについて研究してみ

よう

・今あなたが興味を感じる学部学科は何ですか

(5) 「自分さがしの旅」

・高校卒業は人生の分岐点

・働くことの意味

・大学・短大を知ろう

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当 日 の 展 開

時 間

(分) 学習活動と内容 手 順 留 意 点

導 入

(10)

○大学・学部・学科の名前だけでは何を学ぶところなのかが判断できないことを具体的にみていく。

①山口大学工学部感性デザイン工学科 山口大学工学部社会建設工学科 大分大学工学部福祉環境工学科

これらの学科は何を学ぶことができるかを考えさせる。

②大学・学部・学科名だけを紹介し、どのようなイメージでとらえたかを指名発表させる。

●何も調べさせずに名前だけでのイメージをつかませる。

展 開

(30)

○大学のホームページを見て、実際に調べてみる。(タブレットを使用)

○大学案内,受験雑

誌等個人で用意しているものがあれば そ れ も 活 用 する。

①ブレットを利用して、山口大学、大分大学のホームページを開き、それぞれの学部・学科について調べさせる。

②プリントの項目にしたがって、何を学ぶ学科な

のか書き出させる。 ③北九州市立大学外国語学部英米学科、宮崎

公立大学人文学部国際文化学科について調べさせる。

④さらに時間があれば、自分が気になる(興味あ

る)大学・学部・学科についても調べさせる。

●山口大学工学部 感性デザイン工学科⇒建築工学科、社会建設工学科⇒土木工学科であることを確認させる。

●大分大学工学部福祉環境工学科 ⇒建築コースとメカトロニクスコースの2つのコースがあることを確認させる。

●北九州市立大学外国語学部英米学科⇒英語をスムーズに操る能力と、英語圏の文化や習慣を学ぶことを確認させる。

●宮崎公立大学人文学部国際文化学科⇒言語文化・メディアコミュニケーション・国際政治経済の3専攻があることを確認させる。

まとめ

(10)

○学部・学科は名前だけでは判断できな い こ とを 理 解 する。

①進路志望については、単なる表面的な知識や判断では大きなミスにつながることを認識させる。

②今回は学部・学科について確認したが、それ以外のことについてもしっかり調べないといけないことを認識させる。

●学部・学科の名前だけで学べる内容を想像してはだめだということを認識させる。

●学部・学科名だけでなく,何を学ぶことができるか、入試情報等についてもしっかり調べないといけないことを認識させる。

大学・学部・学科紹介の様子 調べ学習(タブレット使用)の様子

事 後 指 導

○ 今後実際に学部・学科を調べるときには、名前を見ただけでは判断できないような学部・学科や名前を見るかぎ

りでは興味を引くような学部・学科についてはしっかりと調べさせる。

○ 調べた学部・学科から特に紹介したいものについて発表をさせ、全体にも伝えていく。

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取 組 の 成 果

1 学部・学科名だけで判断するだけでは志望と一致しないことがあることに気づかせることができた。

(1) 大学・学部・学科だけで志望大学を判断できそうでも、改めて調べる必要性を認識させることができた。

(2) 慎重に調べないと志望大学を誤ることも考えられることに気づかせることができた。

2 学部・学科名だけで判断できないようなところを調べてみようという意識づけになった。

(1) 調べてみたい学部・学科として九州大学21世紀プログラム、長崎大学多文化社会学部等の名前があがった。

3 この学習をきっかけに同じ大学の他学部や他学科を調べる生徒も見られた。

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ 名前だけでは分からないと気づいた。自主的にしっかりと調べたいと思う。 ○ 学科の名前とイメージで全然違うことがわかった。 ○ 学科の名前だけでその学部がどんなところなのか自分で勝手に判断していたが、調べてみると違っていた。だか

ら自分でしっかり調べた上で学部等を決めていこうと思った。 ○ 慎重に調べた上で大学、学部、学科を選んでいきたい。 ○ 学部名や学科名にだまされていた。思っていた内容とは全く違っていたものもあり驚いた。自分の行きたい大

学・学部があるので、もっと詳しく調べる必要があると思った。 ○ 学部・学科名だけを見て最初に考えたのとホームページで調べた内容とは全然違った。 ○ 学科の名前だけでその学部がどんなところなのか自分で勝手に判断していたが、調べてみると違っていた。だか

ら自分でしっかり調べた上で学部等を決めていこうと思った。 ○ 自分がイメージしている以上に、その学科を出てからの就職先はいろいろあることがわかった。 ○ どういうところにどんな情報がのっているのかがわかってよかった。自分の進路に関して知りたいことをたくさ

ん調べていきたい。 ○ 1つの学科の名前からは想像できない進路があることがわかった。 ○ 法学部から建設業など意外なところに就職できることが分かった。 ○ 工学部を卒業してからの進路で一番多かったのが大学院に進学することだったことに少し驚いた。また、その理

由が高度化する技術に対応するためだということがわかった。 ○ 自分の行きたい進路に適した学科を十分に認識しきれていないことがよく分かった。さらに調べる必要性を感じ

た。

今 後 の 課 題

1 大学を調べるにあたって(ホームページの見方について) (1) 大学のサイトはわかるものの、そこからどのカテゴリーを開けばよいかがわからない生徒がいた。同様に学

校案内パンフレットを活用した生徒がごくわずかいたが、そちらの方がスムーズに調べられていた。このことは教師側としても周知が必要だと感じた。

(2) 余力のある生徒で入試科目まで調べた生徒もいたが、入試配点等の一覧を読み取れない生徒が多数であった。 急ぐ必要はないが、いろいろな資料を利用して資料の見方についての指導の必要性を感じた。

2 興味のある大学・学部・学科について (1) 将来の夢や目標が決まっている生徒とそうでない生徒の取り組みに大きな違いが見られる。

① 志望等がある程度決まっている生徒は,指示している以上のことまで調べるが、そうでない生徒はこちらの指示がないと、何を調べればよいかもわからないという場面も見られた。

② 意識の高い生徒はいくつかの大学等まで調べようという姿勢も見られたが、そうでない生徒は指示した一つのことを調べるので精一杯であった。

(2) 「どのようなことを研究するところか」「講義や授業内容全体像」については1年生のうちに調べておくことは必要だと思うが、具体的内容について調べたり、理解したりするのはまだ厳しい状況である。

3 合格を目指すために (1) 大学・学部・学科研究をもとに、これから入試科目等も調べながら、志望校決定に向けてこれから何をすべ

きかを考える方向へ導いていく必要がある。 (2) 現在の学力を把握して、学力向上へ向けての指導と本人の意欲を高めていく必要がある。

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日南高等学校 実践報告

実践タイトル 教科で行うキャリア教育 国語科

~ビブリオバトル(知的書評合戦)をやってみよう・決勝~

学年 2年 教科 国語 科目 現代文 単元 ビブリオバトル

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・

社会形成能力

自己理解・

自己管理能力 課題対応能力

キャリア

プランニング能力

・相手の意見を聴いて自分の

考えを正確に伝えることが

できる力 【会話力】 ・他者と協働して物事に取り

組む力 【チーム力】

・自分自身の可能性を前向き

にとらえ、より成長するた

めに自ら進んで学ぼうとす

る力 【向上力】

・課題を発見・分析し、適切

な計画を立ててその課題を

処理し、解決することがで

きる力 【課題解決力】

・自らが果たすべき立場や役

割との関連を踏まえて選択

し、行動・改善する力

【見通す力】

活動のポイント

1 本を通して自分や他者を知り、読書に親しむ姿勢を育てる (1) 生徒自らが本を選んだり読んだりする過程で自己を知るとともに、効果的な発表ができるよ

うに内容を組み立てる力を養う。 【自己理解・自己管理能力】

(2) 他の生徒の発表を聞いて、積極的に相手の良い点を見つけることにより、他者への理解を深

めたり、伝え合う力を高めたりする。 【人間関係形成・社会形成能力】

事前指導

1 バトルの流れを理解し、当日に備える (1) ビブリオバトルのルールを説明し、紹介する本を用意しておくよう指導する。(予選の1ヶ月前) (2) クラス全体を8班に分け、リハーサルとして「私の好きなものバトル」を行う。 (3) ビブリオバトル予選を行い、決勝進出者8名を決定する。

使用教科書 「現代文B」(教育出版) 当 日 の 展 開

時 間

(分) 学習活動と内容 手 順 留 意 点

導 入

(3)

○本時の流れを確認

する。

○バトルの準備をす

る。

①決勝進出者8名(バトラー)を紹介する。

②感想・投票用紙を配布し、使い方を説明する。

●前時の予選との流れの違い

を説明する。(バトラーの発

表時間・ディスカッション時間

の短縮、感想カードを書くタ

イミングの変更など)

展 開

(44)

○ビブリオバトル

(決勝戦)

①バトラー1名につき3分、本の紹介をさせる。

その他の生徒(39名)は感想カードを記入させる。

②1名終わるごとに、その他のバトラー(7名)とディス

カッションを1分行わせる。

③①~②を8回繰り返す。

④40名全員で、「どの本が最も読みたくなったか」を

基準に、1名のバトラーを選び投票させる。

⑤開票し、「グランドチャンピオン」1名を決定する。

●バトラーが発表しやすいよう

な雰囲気を作る。(発表中は

静粛を保つなど)

●指導者はタイムキーパーとし

て時間を管理し、バトルが円

滑に進むよう配慮する。

まとめ

(3) ○本時のまとめ

①チャンプ本の紹介者を表彰し、感想を聞く。

②感想カードを回収し、後で各バトラーへ配布する。

③次時の予告をする。

●本日紹介されて興味を持っ

た本をぜひ読んでみることを

勧める。

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予選の様子

決勝の様子

表彰式の様子

事 後 指 導

1 自ら読書に親しみ、人生に生かす姿勢を育てるために (1) 日々の授業においても、読書の意義や楽しさについて考えを深める機会を作る。

2 要約する力を育てるために (1) 話し言葉・書き言葉を問わず、「一定の条件の下で人に何かを伝える」という機会を設け、論理の立て方や言葉の

選び方を習得させる。(進学・就職先でのレポート作成やプレゼンテーション力向上に役立てたい。)

取 組 の 成 果

1 聞く力・話す力の育成 (1) 感想の中に「班員が一生懸命聞いてくれるので、こちらもよりよく話そうという気持ちになった」という内容の

ものが複数見られた。確かにリハーサル時には3分でも時間を持て余していた生徒達が、翌日の予選では話し足り

ない様子であった。またビブリオバトルには、即興での生き生きとした語りを重視することから「フリップや原稿、 パワーポイント等は使用せず、紹介する本だけを持つ」というルールがあるが、このことによって相手を見て発表

する状況となり、どの班も和気あいあいとした雰囲気で盛り上がっていた。 2 多様な価値観に触れる機会 (1) 発表を聞いた相手から必ず何らかの感想をもらうので、自分の気付かなかった視点や価値観に触れることができた。

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ 自分が今まで読んだことのない本、ジャンルに挑戦したくなった。 ○ 本の世界の広さを感じ、もっと読書したいと思うようになった。 ○ 今回紹介された本を早速借りた。 ・紹介した本を「貸してほしい」と言われて嬉しかった。 ○ 自分が今読んでいる本を要約して友達に勧めるなど、今後コミュニケーションが広がりそうだ。 ○ 「シリーズもの」「ミステリー」など、ジャンルを限定したビブリオバトルをしてみるのも面白いと思う。 ○ 予選では5分だった発表時間が決勝では3分に縮小されたが、やはり5分は保障してほしい。

今 後 の 課 題

1 チャンプ本の評価基準の確認と伝える力の育成 (1) 「一番読みたくなった本」を1冊選んで投票するのがルールだが、生徒の感想カードによると、単に発表が個性的

だったとか上手かったという理由で決めているものが多かった。また発表する側も内容のほとんどを解説してしま

う例が目立った。評価基準をしっかり確認し、たとえば、「その先が気になる」というところで紹介を止めるとい

った余韻を持たせる発表の仕方などについて指導することで、伝える力の育成に取り組みたい。

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日南高等学校 実践報告

実践タイトル 教科で行うキャリア教育 地理歴史科

学年 2年 教科 地理歴史科 科目 日本史 B 単元 琉球と蝦夷ヶ島

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力 人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができる力 【会話力】

・他者と協働して物事に取り組む力 【チーム力】

・自分自身の可能性を前向きにとらえ、より成長するために自ら進んで学ぼうとする力 【向上力】

・課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力 【課題解決力】

・自らが果たすべき立場や役割との関連を踏まえて選択し、行動・改善する力

【見通す力】

活動のポイント

1 14~16世紀半ばの東アジアの国際関係・交易形態を理解する (1) 琉球と蝦夷ヶ島を辺境としてではなく、独自の歴史的役割を持つ地域として捉える。 (2) 琉球の位置が持つ意味合い、蝦夷ヶ島におけるアイヌと和人の関係性に着目する。

2 前時と本時で学習した内容をグループで話し合い、まとめ、発表する (1) 学習した内容をまとめる作業を通して、情報を適切に活用する力を身に付ける。

【課題対応能力】(2) 意見交換を通して、自分とは異なる考えに気づき、自己の意見を深める。

【自己理解・自己管理能力】 (3) グループ活動を通して、他者との望ましい人間関係を構築する力を身に付ける。

【人間関係形成・社会形成能力】

事 前 指 導

1 東アジアとの交易について学習する (1) 14世紀の東アジアの政治的変動に着目し、交易形態の変化を考察させる。 (2) 政権の安定性と倭寇出現の関係性、朝貢貿易の展開について理解させる。

2 グループをつくり、役割を決める (1) グループ編成・役割決めなどを通して、自分の役割・立場を意識させ、責任を持たせる。

使 用 教 科 書 『詳説 日本史B』(山川出版社)

当 日 の 展 開

時間

(分) 学習活動と内容 手 順 留 意 点

導 入

(10)

○前時の復習 ・倭寇の活動 ・日明・日朝関係

◯本時のねらい

①授業プリントを配布し、改めて前時の学習内容(倭寇、日明・日朝関係の特徴等)を、発問を交えて簡潔に説明する。

②本時のポイント(中世の琉球王国・蝦夷ヶ島の学習、グループによる中世東アジアの国際関係図の作成)を説明する。

●中世と現在の東アジア諸国間の関係の相違点を考察させる。

●グループ活動の際に注意する点(意見をしっかり述べる、他人の意見を尊重する、話しやすい雰囲気をみんなで作る)を示す。

展 開

(30)

○本時の学習 ・中世の琉球王国 ・中世の蝦夷ヶ島 ○グループ活動 ・自分の意見を相手に的確に伝える。

・他者の意見を受け 入れ考えを深める。

・作業に協力する。 ○グループ発表 ・他者の意見を受け入れ考えを深める。

①琉球王国の成立、琉球王国の地理的な位置と中継貿易、蝦夷ヶ島での和人とアイヌとの関係性、蠣崎(松前)氏の発展を解説し、授業プリントにまとめさせる。

②前時と本時で学習した知識をもとに各国・各地域の関係を考察させ、プリントに14~16世紀の東アジア世界の関係図を書き込ませる。

③②をもとに意見交換させ、グループごとに模造紙とマジックで関係図を作成させる。

④発表内容を、グループでまとめさせる。 ⑤各グループの代表者に発表させる。

●琉球王国、蝦夷ヶ島は孤立した島ではなく、他の国・地域と関わりながら独自の展開をしていた点に着目させる。

●関係図は、相手に効果的に理解させることを意識して作成するように指示する。

●机間巡視し、意欲的な意見交換とグレープ活動を促す。

●発表時間内で効果的な発表になるようにグループ内で内容を精選し、重点化するように指示する。

●発表者は大きな声で分かりやすく説明するように促す。

まとめ

(10)

○感想のまとめ ・自己理解を深める。 ○授業者によるまとめ

①座席を元の位置に戻し、プリントに本時の学習内容、グループ活動、発表内容への自己評価と感想を記入させ、提出させる。

②生徒の自己評価をもとに、グループ活動の意義をまとめ、説明する。

●自己評価と感想は、気付いたこと、疑問点、改善点などを率直に記入するように促す。

●自己評価をもとに、キャリア教育の視点に触れる。

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グループ活動の様子 グループ活動の様子 発表の様子

事 後 指 導

1 情報を適切に活用する力を身につけるために (1) 獲得した情報を他者に的確にわかりやすく伝えるために、情報を文字だけでなく、図やグラフに変換する訓

練ができる場を設定する。 2 意見交換を通して、自己の考えを深めるために (1) 定期的にグループ学習を取り入れ、意見交換の中から、自分の考えを発展させる。

3 他者との望ましい人間関係を構築するために (1) 話し合いの場を設定し、自分と他者の考えの中に、それぞれの課題と可能性を発見させ、お互いを前向きに捉

える視点を養っていく。

取 組 の 成 果

1 自己の意見を伝え、まとめることで、理解を深める。 (1) グループで意見交換やまとめの作業をすることによって、自分が気づけなかったことに気づき、自分とは異

なる視点のおもしろさを知ることができ、内容を深く理解することができた。 2 自分の役割・立場を意識し、責任を持つ

(1) 自分たちの班の考えをクラス全体に分かりやすく伝えなければいけないという責任・自覚のもとで意見交換をすることで、充実したグループ学習になった。

(2) 発表者以外のメンバーは、発表者がきちんと発表できるように、発表者に配慮した図の構成・作成をすることで、班のメンバーとして役割を果たすことができた。

生 徒 の 意 見 や 反 応

◯ グループの雰囲気は悪くなかったが、もっと積極的に話し合いができればよかったと思う。 ◯ お互いに話し合いながら作業をすることで、内容を深く理解することができた。 ◯ みんなで意見を出し合って、時間内に終わらせようとすると、自然と内容が頭に入ってくるような感じがした。 ◯ 1人だけの理解では不十分なところもあるので、グループ活動は大切だと思った。 ◯ 人それぞれの意見があったが、異なる意見をまとめていく作業ができてよかった。 ◯ グループ活動で意見を出しあったり、他の班の発表を聞くことで、自分が気づいていないことを知ることができた。 ◯ 同じ情報を扱っているのに、班によって描いた図が違っているのがおもしろかった。 ◯ 地図をかいている班や、シンプルな図にしている班があったが、どれも分かりやすかった。 ◯ 班によって図の書き方、まとめ方が様々で、見ていておもしろかった。 ◯ 国どうしのつながりや、貿易の仕組みは、図にすることでわかりやすくなった。 ◯ 発表するときには、分かりやすく、大きな声で伝えることを意識した。 ◯ 発表のときに、もう少し情報を盛り込んで伝えることができればよかったと思う。 ◯ ちゃんと発表するために、内容はしっかり理解しておくべきだった。

今 後 の 課 題

1 意見交換を通して、広い視野と寛容な姿勢を育てる (1) グループ学習を通して、自分と他者の考えの違いを知るだけでなく、なぜ異なる考えが生まれるのかを思考

することで、価値観や歴史観が異なる他の民族・国家・社会への理解を深めさせたい。 (2) 考えが異なる相手と向き合う方法・技術、さらにその相手と前向きな人間関係を形成する方法・技術を、グ

ループ学習や討論会などを通して身につけさせたい。

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日南高等学校 実践報告

実践タイトル 教科で行うキャリア教育 数学科

学年 2年 教科 数学 科目 数学Ⅱ 単元 微分法と積分法

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができる力 【会話力】

・他者と協働して物事に取り組む力 【チーム力】

・自分自身の可能性を前向きにとらえ、より成長するために自ら進んで学ぼうとする力 【向上力】

・課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力 【課題解決力】

・自らが果たすべき立場や役割との関連を踏まえて選択し、行動・改善する力

【見通す力】

活動のポイント

1 4次関数のグラフの概形を予想する (1) 1次~3次関数のグラフの概形を基に、どのような形になるかグループで話し合う。 (2) グラフをかくために必要なものは何か、推測する力を養う。

2 グループで問題に取り組み、発表する (1) 4次関数のグラフに関して、知識や経験から解法を推測して問題に取り組む。

【課題対応能力】 (2) グループ活動を通して、仲間と協力して問題に取り組み、集団の中で自らの役割を意識

し、責任を持って行動できる力を養う。 【人間関係形成・社会形成能力】

事 前 指 導

1 3次関数のグラフのかき方について正しく理解させる (1) 導関数の符号が元の式の増減の判断基準となることを理解させる。 (2) 3次関数のグラフは必ず x 軸と交わるということが、3次方程式の実数解が少なくとも

1つはあるということを理解させる。 2 板書は丁寧に論理的に、見るだけで相手に伝わるような書き方をさせる

使 用 教 科 書 『新編 数学Ⅱ』(数研出版)

当 日 の 展 開

時 間

(分) 学習活動と内容 手 順 留 意 点

導 入

(10)

○前時の復習 微分の計算 極値の求め方 増減表 3次関数のグラフ

①小テストを実施し、微分の計算、極値の求め方、増減表、グラフがかけるか確認する。

②3次関数のグラフをかくための流れを、発問を交えて簡潔に解説する。

●時間がかかりすぎないようにする。 ●展開で行う4次関数のグラフ作成

の際に必要となる微分の計算法 や増減表の記入の確認をする。

展 開

(35)

○本時の学習 4次関数のグラフの概形 4次関数の実数解の個数

○グループ活動 仲間と協力して正解を導く。 グループ内での自ら の 役 割 を 選 択し、行動する。

○グループ発表 自 分 の 意 見 を 相手に論理的に伝える。

①1次関数、2次関数、3次関数のグラフから4次関数のグラフの概形を予想させる。

②4次関数のグラフをかくためにはどうすればよいか発問しながら気付かせる。

③6種類の異なるパターンの問題の書かれたプリントを配布し、班ごとに取り組ませる。

④各班で解いた問題を板書させる。 ⑤それぞれのグラフを比較して、何故概形が異な

るのかその理由を考えさせ、発表させる。 ⑥導関数(3次式)の実数解の個数によってグラ

フの形が変わることを説明する。

●問題によって難易度が違うので、 机間指導でヒントを与えていく。

●板書は見るだけで論理的に相手

に伝わるような表現でかかせる。

まとめ

(5)

○まとめ 4次関数のグラフの 概 形 の 特 徴 を捉える。 解の個数に関しての理解を深める。

①座席を元の位置に戻し、プリントに本時のまとめを記入させる。

②グラフの形と解の個数の関係性を説明する。 ③次時の予告をする。

●時間次第では解の個数との関係 性は省略する。

●質問の時間をとる。

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板書している様子 班で話し合い活動の様子 各班の代表の板書の様子

事 後 指 導

1 自ら考え、集団の中で発言する力を育てるために (1) 日々の授業においても、グループ活動等で他者と協力して考えを深める機会を設定する。

2 自ら課題を発見・分析し、処理する力を育てるために (1) 疑問を持って他者に頼る前にまず自分で考える力や論理的に他人に説明する力を習得させる。 (2) グループごとの小さな集団で練習させ、クラス全体等の大きな集団での発言も出来るようにさせる。

取 組 の 成 果

1 聞く力・話す力の育成 (1) 班活動を通して、自分の意見を周りにどう伝えたらきちんと伝わるのかを考えるようになった。 (2) 他者と話し合う事によって、一人で考えるときよりも意欲的に問題に取り組めるようになった。

2 予想をたてる力・計画的に進めていく力の育成 (1) いきなり解き始めるのではなく予想をすることで、方針を立てる力の育成につながった。 (2) 班内でも分担をしたり、協力して計算ミスの見直しを行うなど、計画的に問題に取り組んでいた。

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ 難しかったけど、班全員で協力して解けたので楽しかった。

○ 形の予想は当たったけれど、いざ解いてみると難しかった。

○ 班活動の方が 1 人で考えるより分かり易かった。

○ グラフが 1 つじゃなくて色んな形があって面白かった。

○ 難しかったが、話し合って問題を解くことができた。

○ 一人一人の意見をしっかり聞いたり、自分の意見をきちんと言ったりすることができた。

○ 色んな意見が出て、普段ならすぐ諦めてしまうけど、頑張れた。

○ 微分を 2 回してみようと意見が出て面白かった。数Ⅲにつながるって聞いて嬉しかった。

○ 班活動はなかなかいいと思います。分からないことも共有できて良かった。

○ 想像が出来ないグラフの形が出てきて難しかったが、とても楽しい授業だった。

○ 互いに協力して答えを出すことが出来た。このような授業をまたしてほしい。

○ 予想していたグラフの形よりも違った形がたくさん出てきてとても面白かった。

今 後 の 課 題

1 論理的に説明する力をつける (1) グループで難問を解くという授業形式を今後も取り入れていき、相手に分かるように説明するためにはまず

自分が論理的にきちんと理解していることが大事だと気付かせたい。

(2) 社会に出てからは今よりも一層、他人に説明する力が要求されるので、数学を通して論理的思考力や説明能

力を高めさせたい。

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日南高等学校 実践報告

実践タイトル 教科で行うキャリア教育 理科 ~運動量の保存~

学年 2年 教科 理科 科目 物理 単元 運動量の保存

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力

・相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができる力 【会話力】

・他者と協働して物事に取り組む力 【チーム力】

・自分自身の可能性を前向きにとらえ、より成長するために自ら進んで学ぼうとする力 【向上力】

・課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力 【課題解決力】

・自らが果たすべき立場や役割との関連を踏まえて選択し、行動・改善する力

【見通す力】

活動のポイント

1 運動量保存則を用いて問題を解けるようになる (1) 物体の運動の状態について、公式を使うことで計算して求めることができることを知る。 (2) 身近な現象の場合において、公式にどのように当てはめて考えていくかを自ら判断し、

計算する力を養う。 【課題対応能力】 2 既存の式から新しい関係式を作り出す

(1) 今までに習った式を分析・考察して新しい関係を導き出す力を養う。 【課題対応能力】

事 前 指 導

1 運動量と力積の意味について学習する。 (1) 言葉の定義について学び、具体的な意味を考えさせる。 2 運動量と力積の間に成りたつ関係について理解する。 (1) 2つの用語に関連があることを理解させ、つなげて考えさせる。

使 用 教 科 書 数研出版「物理」

当 日 の 展 開

時 間

(分) 学習活動と内容 手 順 留 意 点

導 入

(10 分)

○前時の内容を復習する。

○新しい法則について理解する。

①小テストを行い、本時の授業で利用する公式・考え方を再確認させる。

②本時の授業内容(運動量保存則)について、動画を使って身近な現象と絡めて紹介する。

●回収して生徒の理解度を把握し、次回以降の指導に役立てる。

●動画を利用して生徒の興味を引く。

展 開

(37 分)

○前時の内容から新しい法則へと繋げる。

○数式からその意味を理解する。

○法則を利用した問

題が解けるようになる。

①前時の授業内容(運動量と力積の関係)についてヒントを出しながら発問していき、式を変形させる。

②変形した式を細かく見ていき、その意味を考え

る。新しくできた式(運動量保存則)が公式として使われることを意識させる。

③運動量保存則が成立することを宇宙空間における運動の様子を写した動画や演示実験を交えて納得させる。

④具体的な例題や演習問題を示し、運動量保存則を用いた問題を解かせる。

●生徒に前時との繋がりを意識させる。

●細かくヒントを出し、自分の力で次の手順に進められるように手助けする。

●数式が現象を表していることを納得させる。

●説明後、近くの人と話し合いをさ

せて理解を深める。 ●机間指導を行い、悩んでいる生徒

にはヒントを出す。

まとめ

(3 分)

○本時に学んだ内容を再確認する。

○次回以降の授業との関連について確認する。

①本時のまとめを行い、学習した内容を再確認する。

②次時の予告をする。

●本時と次時の繋がりを説明する。

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授業風景 実験動画 課題への取組

事 後 指 導

1 自ら考えて予測し、仮説を立てる力を育てるために

(1) 日々の授業においても、現象に対しての「なぜ?」を考える機会を作る。

2 自ら課題を発見し、課題対応能力をのばすために

(1) 身近な現象と物理の関わりについて学ぶ機会を作る。

取 組 の 成 果

1 身の周りの運動への興味・関心 (1) 演示実験や、身近では実験が不可能な宇宙空間における運動の様子を動画で見ることにより、運動の本質への関心

が高まった。

2 考える力の育成 (1) 実験を観察する前に、あらかじめ予想を立てて望んだことで、論理的に考える訓練ができ、考える力の育成につながっ

た。

生 徒 の 意 見 や 反 応

〈生徒の感想〉 ○ 難しかったけど、運動量保存の法則の式の導出で理解できて、考える楽しみが味わえた。 ○ 式の形が美しいと感じたが、数字を考えながら解いてみると、難しかった。 ○ いろいろな運動量の保存の例があって、面白かった。 ○ 難しかったが、隣どうしで、話し合って問題を解くことができた。 ○ いろんな考えがでて、普段ならすぐ諦めてしまうけど、頑張れた。 ○ 互いに協力して答えを出すことが出来た。 〈生徒の反応〉 ○ 演示実験や若田光一さんの宇宙での授業の映像については興味深く考えながら見ていた。 ○ 映像途中での若田さんの質問に対して真剣に予想を立て、考えていた。 ○ 前の時間の確認テストなどは積極的に取り組んでいた。

今 後 の 課 題

1 素材の収集 (1) ITを取り入れる上で、授業の趣旨にうまくマッチした素材を多く集めたい。また、動画を見せるだけでは

なく、その他の活用の方法の研究を、やっていきたい。 (2) 1時間に対する授業の内容や具体的に映像や実験を見る時間、まとめの部分として問題に取り組む時間など、

バランスを考えながら、授業を工夫していかなければならない。 (3) 法則の導出での途中計算を、生徒にどの程度行わせ、教師がどの程度主導権を持って1時間の授業に望むか、

今後研究していかなければならない。 (4) 生徒の発表の機会をもっと取り入れる工夫をしていきたい。

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日南高等学校 実践報告

実践タイトル 教科で行うキャリア教育 芸術科 ~倣書をしよう 蘭亭序を参考に~

学年 1 教科 芸術 科目 書道Ⅰ 単元 行書の学習

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができる力 【会話力】

・他者と協働して物事に取り組む力 【チーム力】

・自分自身の可能性を前向きにとらえ、より成長するために自ら進んで学ぼうとする力 【向上力】

・課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力 【課題解決力】

・自らが果たすべき立場や役割との関連を踏まえて選択し、行動・改善する力

【見通す力】

活動のポイント

1 行書の学習を通して日常生活において効率よい文字表記が可能になる。 (1) 行書の古典が持つ表現技法に関心を持ち、主体的に書写能力の向上に取り組むことがで

きるようになる。 (2) 行書の古典が持つ伝統的な美を感受し、字形の構成や全体の構成を工夫できるようにな

る。

2 作品鑑賞や自己評価を行うことで自己理解・他者理解を図る (1) 言語活動を通して、自己の作品を解説、評価することができるようになる。

【人間関係形成・社会形成能力】【自己理解・自己管理能力】

事 前 指 導

1 分析的に観察する能力を養う (1) 楷書と行書の図版を観察し、それぞれの特徴を見つけ出させる。

2 行書の古典を臨書し、感性を養う (1) 蘭亭序を臨書し、行書の用筆や運筆を理解させる。

3 倣書の目的を理解する(倣書…古人の書風をもって書をかくこと。) (1) 倣書を行う目的を理解し、倣書の対象となる古典の特徴を観察、分析させる。 (2) 語句を決定し、字調べを行わせる。

使 用 教 科 書 光村図書 書Ⅰ

当 日 の 展 開

時 間

(分) 学習活動と内容 手 順 留 意 点

導 入

(7)

○前回までの学習内

容を確認する。

①行書の特徴及び蘭亭序について復習を行い、

本時は蘭亭序を参考にした倣書を学ぶことを

伝え、制作カードを確認させる。

●行書の特徴を再確認し、王羲之の

名前を覚えておくよう、伝える。

展 開

(41)

○前回の反省を生か

して練習する。

○他の作品を鑑賞

する。

○目標を立てる。

○再度練習する。

①自分の意図する表現が出来ているか反省を行

い、制作カードに記入させる。

②紙面に対する文字の大きさや余白に注意して

練習させる。

③作成途中の作品について、自分のねらいや工

夫した点を、周囲の生徒に対して発表させ、話

し合わせる。

④話し合いや作品の鑑賞を通して、自分の作品

に生かせそうな点を考えさせ、作成カードに目

標を記入させる。

⑤線の太細、運筆の緩急等を工夫しながら書か

せる。

●墨の量や筆脈、紙面に対する文

字の大きさに注意することができ

ているか確認する。(机間指導)

●前後・左右の生徒にねらいや工夫

した点を自分の言葉で伝えるよう

に指導する。

●発表をしっかり聞くよう促す。

●改善点をアドバイスする。

まとめ

(2)

○次時の予告 ①次時に向けて、ポイントを確認する。 ●話を聞くよう促す。

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自己添削の様子 作品鑑賞の様子 批評会の様子(事後指導)

事 後 指 導

1 自ら課題を発見し、生かす力を養うために

(1) 日々の授業を通して自らの作品から課題を見つけ、反省を生かした作品制作に取り組ませる。

2 集団の中で活動し、発言する力を養うために

(1) 集団で鑑賞を行い自己の感性に合う作品を見つけ出し、その作品の良い点を見つけさせる。

(2) 作品の良い点を全体で発表させることで、集団の中で発言する力を養う。(相互批評会)

取 組 の 成 果

1 自己理解・他者理解

(1) 鑑賞活動を通して友人の作品の良いところを見つけ相互批評を行うことで、自分では気付かなかった長所を

理解し、他者の作品制作における考えを理解することができた。

2 鑑賞する力・話す力の育成

(1) 鑑賞活動を通して作品を分析的に見て、気付いた点を発表することで集団の中で発言する力を養うことがで

きた。

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ 友人の作品を参考にして、伸びやかに書くことができてよかった。 ○ 友人の作品を鑑賞して書くことで、自分の作品に足りない部分を理解することが出来たと思います。 ○ 人前で話すのは緊張した。 ○ 友人からアドバイスをもらうことができてよかった。 ○ 鑑賞会は自分の作品をいろいろな人に見られて恥ずかしいけれど、友人の作品を鑑賞することができて楽しかっ

た。 ○ 批評会では自分の作品のいいところを教えてもらえてうれしかった。

今 後 の 課 題

1 分析的な鑑賞力と表現力の向上

「分析的な鑑賞力の向上=表現力の向上」となるのが理想であるが経験値の差などから、鑑賞力の向上と

表現力の向上が比例していない者もいる。表現力の向上のみが理想ではないが、根気強く分析的鑑賞力を養

うことが双方の力の向上に繋がると考えている。

2 多様な表現の理解 今回、倣書の学習ではある古典に的を絞り作品制作を行った。その古典の特徴や優れている点を理解し制

作することで、ある一つの表現を身に付けることができた。今後の学習では多様な表現の古典を学習し、自

分の感性を広げ、表現する方法を身につけたい。

3 鑑賞活動の充実

日常的に鑑賞活動を行うことで、更に自己理解・他者理解を深めたい。

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日南高等学校 実践報告

実践タイトル 教科で行うキャリア教育 英語科

~Travel Agents 外国に日本の観光地を紹介しよう~

学年 1 年 教科 外国語 科目 英語表現Ⅰ 単元 Travel Agents

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができる力 【会話力】

・他者と協働して物事に取り組む力 【チーム力】

・自分自身の可能性を前向きにとらえ、より成長するために自ら進んで学ぼうとする力 【向上力】

・課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力 【課題解決力】

・自らが果たすべき立場や役割との関連を踏まえて選択し、行動・改善する力

【見通す力】

活動のポイント

1 英語を使って自分の考えを表現する

(1) 自らテーマを選び、それについて英語で文章を書く。 【自己理解・自己管理能力】

(2) 人前で英語を使い、相手に伝える。 【人間関係形成・社会形成能力】

2 他教科との連携授業 (1) 情報の授業と連携し、Power Point の学習を担当してもらう。

事 前 指 導

1 英語を「使う」ことを意識する

(1) 卒業後にも使える英語を身に付けるための活動であることを伝える。 (2) 英語を話すことが目的ではなく、英語を使って何かをすることが大事であることを意識

づける。 2 情報化社会に対応した能力を養う (1) PC(Power Point)などの情報機器を使い、時代に必要とされる知識・技術を身につける。

使 用 教 科 書 自主教材

当 日 の 展 開

時 間

(分) 学習活動と内容 手 順 留 意 点

導 入

(15)

○プレゼンテーショ

ン準備

〔全て英語で行う〕 ①プロジェクターを使い、今回の活動は卒業後も

英語を使えるために行っていることを説明する。

②発表する際の注意をする。声量、映像、態度、

面白さ等に気を付けさせ、評価することを伝える。

③生徒同士で口頭発表部分のリハーサルをさせ

る。

●自己満足にならないように、相手

に理解してもらうことをこころがける。

●伝える工夫として、身振りやクラス

に問いかけるなど紹介する。 ●Read and Look Up(原稿を確認→

聞き手を見て発話)の手法で発表するよう指導する。

展 開

(30)

○プレゼンテーション発表

①自分の説明する内容に共感してもらうように、各自2分の持ち時間で旅行代理店の営業になったつもりでアピールさせる。2人の掛け合いなども意識させる。

●Power Point の使い方にも留意させる。

まとめ

(5)

○ALT にプレゼンテーションの感想を述べてもらう。

○良い点、反省点を

確認してまとめる。

①発表が終わった生徒には反省点を明確にさせ、これから発表する生徒には気を付ける点を確認させる。

②ALT にプレゼンテーションについて感想を述

べてもらう。その際、改善点を明確にし、現状で満足しないようにさせる。

③自己評価をさせ、もっと分りやすい表現のため

にどうすれば良いか考えさせる。

●発表を行って終わりではなく、この活動を通して何を得ることができるのか、目的を明確にする。

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Power Point 作成の様子

英文原稿作成の様子

プレゼンテーションの様子

事 後 指 導

1 さらに質の高いプレゼンテーションを行うために (1) 3学期にもまたパフォーマンステストを行うことを伝え、今回より質を高めるよう努力させる。

(2) 反省点をしっかり自覚させ、各々が英文を読むことだけにとらわれず、聴衆を満足させるものを作り上げるように心がけさせる。

(3) Power Point の内容に関して、自己満足にならないように、見る人を意識させる。

2 手段としての英語を意識するために (1) 英語をあくまでも相手に伝えるための手段として位置づけさせるために、内容の指導は積極的に行わなかっ

た。目的意識が高いと英文作成も自ずとできることを確認させ、次回は語彙や文構造が難しい文章に取り組ませる。

取 組 の 成 果

1 人前で英語を話す経験

(1) 英語を人前で話す機会が少ない中、自分で作った英文をある程度の時間話す経験を積むことができた。

(2) パートナーと目標を設定し、その目標に向けて互いにサポートしながら達成できた。【会話力】【チーム力】

2 英文を作る機会

(1) 英作文問題は指定されたことを英訳しなければならないが、この活動で自分の言いたいことを英語で表現し

ようとすることによって、自分たちが掲げた課題を解決するために試行錯誤する能力を養えた。【問題解決力】

3 他教科との協力の可能性

(1) 多角的に取り組ませることによって、生徒は「何のために学習しているのか」を明確にすることができた。

今回のように「情報科」と協力し合うことによって、「英語科」はパソコンを利用して聴衆に自分の考えを視

覚的に表現することができるようになり、「情報科」は授業で扱ったソフトを実践に役立てることができた。

現在、「家庭科」や「芸術科」と協力して授業を展開することが可能ではないかと考えている。

生 徒 の 意 見 や 反 応

長い英文を書くことを苦にしたり、取り組もうとしない生徒が出てくるが、そういった生徒はおらず、どうに

か自分たちの力だけで形にしたいという姿が見て取れた。こちらがゴールとしている英語を話すことの「目的」

から「手段」へという仕掛けの第一段階には達してくれた。プレゼンテーションもクラスメイトの発表なので、

どうにかして英語を聴こうとしていた様子であったし、授業に真剣に取り組んでいた。 今 後 の 課 題

1 英文・プレゼンテーション・伝え合う力・Power Point の質の向上

(1) 授業の達成度としては及第点をあげられるが、レベルとしてはまだまだ低く、原稿から目を離せなかったり、

声が全く聞こえなかったり、独りよがりの発表であったりする者もいた。全体的に意識を高め、さらに卒業

後を見据えた指導をしていきたい。

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都城農業高等学校 実践報告

実践タイトル キャリア教育とインターンシップの在り方 ~地域の力を活かして~

学科 食品科学科 学年 2年 人数 40名

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力

・人と人のつながりや人と社会とのつながりが大切であることに気づく力

・実際の職業を体験し足りない力を知る事で、高校生として何をすべきかを考える力

・あらゆる場面での失敗を通して、課題に対応していく力

・今の自分と将来の自分との間に足りないものを見つけるための力

活動のポイント

1 専門性の深化 【キャリアプランニング能力】 (1) 専門性の深化と生徒の職業観・勤労観の醸成を図る。

2 社会人としての心構え 【人間関係形成・社会形成能力】 (1) 職場での規律・マナーの大切さを知る。 (2) 社会人として必要なエチケット等について学ぶ。 (3) 企業の日程、服務規定を遵守する。

3 事故等の対応について (1) 安全に関する事前指導を徹底する。事故等の対応は、学校の保険を用いる。

年 間 計 画 等

時期 活 動 内 容

計画の流れ (事前指導 及び 事後指導等)

6月~7月 夏休み (7月下旬 ~8月初旬) (終了後)

希望の企業・店舗等のアンケート実施 対象企業に依頼文書発送(引受け回答書も同封) 研修先の選考 生徒実習先の決定 保護者への説明・文書発送(参加承諾書) 企業への文書発送(生徒名の通知・あいさつ) 事前指導①

生徒による、企業へのあいさつ(打合せ) 事前指導② 自己理解を深め、勤労感をもたせ社会性を身につけさせることを目的とした事前指導を行う。

インターシップの実施・日誌記入(3 日間) 巡回指導、生徒評価アンケート回収 3日間ともに、家庭から職場に各自が直接出勤して体験学習を行い、帰

宅する。勤務時間は事業所により異なるが、8時間程度を原則とした。生徒は、日誌に活動内容や感想等を記録するようにした。

日誌確認・提出 生徒評価アンケートの回収 企業への御礼文書発送 御礼の挨拶訪問 インターンシップを終えて、日誌のまとめを行い、振り返りを行う。お世話になった職場の方に感謝の意を表し、お礼状を書き、送付する。体験したことを発表し、体験を共有することにより、自分の体験をより深く振り返る

受入先 (過去 5 年間)

食品製造関連企業・菓子製造販売店等 祝古屋、霧島酒造(株)、菓子工房クルール、紙ひこうき、協同商事(JA 都城直売所 ATOM)、 ぎょうざの丸岡、グレンツェン都城店、Sakura、ショパン郡元店、早鈴店、 寿司虎、中村食肉(株)、マ・パティスリーピユール、南日本酪農協同(株)、 都城くみあい食品㈱、ミルクハウス、ミロワール南香

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当 日 の 様 子

パン屋での実習 和菓子店での実習 食品製造会社での実習

農業科・畜産科・ライフデザイン科・農業土木科生徒のインターシップ先

生 徒 の 意 見 や 反 応

(1) インターンシップ最終日で作業も集中してできました。衛生面の大切さ、作る楽しさ、仕事の大変さが少しは分かった気がします。

(2) 今日は洋菓子担当でした。ロールケーキにフルーツを詰める作業は、とても楽しくできました。栗の皮を剥ぎ、中の実を取る作業は、ひたすら同じだったので疲れました。

(3) 10分前行動!!手洗いは丁寧に、卵を触ったらすぐに手を洗う。プロの技は、すごくて、とても勉強になった。

(4) 立ち作業と鉄板洗いは、正直疲れました。でも、楽しみながら作業ができて、良かったと思います。今回の経験で、何か考え方が変わったように思います。しっかり進路を考えます。

企業からのアンケート評価

全体評価 A:81% B:19% C:0% D:0%( A > B > C > D ) (1) 大変ハキハキしていて、良かったと思います。短い期間でしたが、しっかり行動できた。 (2) 話を聞く姿勢も良く、まじめに取り組んでいました。今回の経験を生かして、頑張って欲しいです。学生時代

に企業訪問をすることで、将来の進路決定につながり、良い経験だと思う。 (3) 働くことに対し、意識レベルが低い気がする。ただ、私の後輩達は可愛いです。 (4) 普段の仕事、新人教育方法を見つめ直す良い機会でした。

取 組 の 成 果

○ インターンシップを経験することにより、生徒は未来の社会人として成長する良いきっかけになっていると思う。 ○ 実際に地域社会へ出て働くという体験は、将来の自分の姿を見つめる良い機会になっている。 ○ 企業の考えや姿勢が生徒・教師にも伝わり、進路指導の参考になる。 ○ 学校の授業では実践できないことを体験できる。そして、生徒自身が働く事の大変さと意義を知ることができる。 ○ 全体的に生徒の取り組み態度等については、概ね高い評価をいただいている。 ○ 職場で色々な世代の人との触れあいを通して、コミュ二ケーション能力を高めることが出来た。

今 後 の 課 題

(1) 生徒の要望に応えられるような新しい研修先を開拓する為にも、日頃からの地元企業やお店との信頼関係の構築が重要であると思う。

(2) 進路意識を高め、生徒のニーズにあったインターシップの実施に努めていきたい。 (3) インターンシップをより充実したものにするために、事前に事業者の方と十分な打ち合わせを持つことや、生

徒の活動状況や健康面等の連絡・調整する時間の確保が今後も課題としてあげられる。

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延岡商業高等学校 実践報告

実践タイトル 2学年で実施する進路決定までの模擬体験

~3学年に行う校内選考を2学年に実施することで進路決定について考える~

学科 全学科 学年 2年 人数 200名

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力

・他者の個性を理解する力 ・他者に働きかける力

・自己の役割を理解する力 ・前向きに考える力

・情報の理解、選択、処理する力

・課題発見、評価・改善する力

・学ぶことや働くことの意義や役割を理解する力

・将来を設計する力

活動のポイント

1 卒業時の進路について考える機会を持つ (1) 進路選択に際し、保護者や教職員、先輩や同級生の話を聞くとともに、相手に自分の考

えを伝え、意思疎通を図りながらよりよい選択ができるように行動する。 【人間関係形成・社会形成能力】

(2) 自分の選択が適性や能力に合っているか、また興味関心が持てるものであるか考える。 【自己理解・自己管理能力】

(3) 進路指導室や図書館の資料、インターネット等を利用し進路に関する様々な情報を集め、取捨選択し、自分に足りないものやこれからすべきことについて考える。【課題対応能力】

(4) 進学や就職がゴールではなく、卒業後の長期的な人生設計について考える。 【キャリアプランニング能力】

組 織 や 係 分 担 等

1 進路指導部 (1) 求人票等の準備および各クラスへ配布 (2) 生徒への進路ガイダンス(資料や求人票の見方、進路指導室の利用の仕方、進路選考会についてなど) (3) 進路選考会資料の作成

2 2学年 (1) 成績処理および入力作業 (2) 進路選考会資料の作成

活 動 計 画

1 事前準備(2学期) (1) 生徒へのガイダンス(1時間)

① 進路選考会の目的、資料や求人票の見方、進路指導室の利用の仕方などについて2年生全体に説明する。 (2) 進路申込書を提出するまでの流れ(ガイダンス後、約3週間) ① クラスに配付された求人票や進学に関する資料(指定校一覧表など)を参考に、分からないことは進路指導

室等を利用するなどして、各自進路について調べる。

求人票を見ている様子 受験報告書を見ている様子 学校や企業の資料を見ている様子

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② 保護者に相談し、家庭で進路について話し合う時間を設ける。 ③ 担任や教職員と面談する。 ④ 進路申込書の記入方法(押印)、提出期限など文書としての重要性を意識させる。 ⑤ 進路指導部(もしくは2学年)の担当者は担任から必要なデータを集め、可能な限り実際の進路選考会議

の基準で選考会議資料を作成する。 2 模擬進路選考会 (1) 進路主事、2学年主任、担任出席で会議を行う(1時間)

3 事後指導 (1) 生徒へ模擬進路選考会結果の通知(1時間)

① 模擬進路選考会の結果が記載された個票を配付する。 ② 結果について担任と個人面談を行い、今後の対策について考える。 ③ 3学期に再度「模擬選考会」を行うことを伝える。

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ いろいろな職種や仕事内容について調べることで視野が広がった。 ○ 求人票の見方が分かった。 ○ 自分の実力が学年の中でどれくらいの位置にあるか分かった。 ○ 就職しか考えていなかったが、進学するメリットについても考えるようになった。 ○ 進路について具体的に保護者と話をする機会が増えた。 ○ 進学するために必要な費用や奨学金について調べることができた。

取 組 の 成 果

1 指導者(職員) (1) 生徒や保護者の進路希望について把握できた。 (2) 学年全体の進路傾向が確認できた。 2 生徒 (1) 進路意識の向上を図ることができた。 (2) 卒業後の進路や職業・産業の動向について、多面的・多角的に情報を集める生徒が増えた。 (3) 就業等の社会参加や上級学校での学習等に関する探索的・試行的な体験に取り組む生徒が増えた。 (4) 将来設計や進路計画の見直し、再検討を行う生徒が見られた。

今 後 の 課 題

1 指導者(職員) (1) 時期と内容の検証を重ねる。 (2) 進路意識を高めるため、2学期と3学期の2回実施した方がよい。 (3) 事前、事後指導の充実を図る。

2 生徒 (1) 自己の能力や適性を理解し、今後取り組むべき学習や活動について考える。 (2) 進路希望の実現を目指して、問題の解決方法について考える。 (3) 資格取得の意欲を高める。

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都農高等学校 実践報告

実践タイトル セルフプロデュース・インターンシップ

学科 総合学科 学年 2年 人数 80名

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力 人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・良好な人間関係を築くためのコミュニケーション能力

・職業人として他者と協力・協働していく力

・実践において主体的に考え判断・行動できる力

・地域や産業界との交流を通じた自己管理能力

・生徒が自ら課題を設定し、主体的に課題を探求し解決できる能力

・自分の興味・関心を将来と結びつけて学習する力

・働く事の意味や役割を理解する力

活動のポイント

1 インターンシップ先の選定や受入依頼などを自分で行う

(1) 自分が選定した事業所でインターンシップを行うことにより、自己の職業適性や将来設

計について考える機会とする。 【キャリアプランニング能力】

(2) インターンシップを通して、主体的な職業選択の能力や職業意識を高める。

【キャリアプランニング能力】

(3) インターンシップを通して、職業人としてのマナーや勤労の大切さを学び、地域産業に

関する認識を深める。 【人間形成・社会形成能力】

組 織 や 係 分 担 等

1 総合学科推進課が主管となって実施 (1) 総合学科推進課が主管となり年間計画や企画・立案を行う。 (2) 事業所への依頼文書や評価表、アンケート送付、礼状送付等についても総合学科推進課で一括して担当する。

2 学年団の役割 (1) 事業所の本校職員の担当決めは学年団で行い、インターンシップ中の事業所への巡回指導については学年の

担当者(正副担任)が行う。

3 進路指導部と連携 (1) インターンシップに伴う外部講師招聘については、人選から依頼・連絡などについては進路指導部と連携し

行う。また、町の産業振興課とも連携をはかり人選や依頼をお願いした。

事 前 指 導 と 年 間 計 画 等

1 インターンシップのオリエンテーション(2単位) (1) 総合的な学習の時間の説明、クリアファイルの整理の仕方 (2) インターンシップの説明、事業所の下調べ

2 事業所決定(2単位) (1) 希望する事業所を複数候補挙げ、第2希望まで事業所を決定する。

3 マナー講習会の実施(2単位) (1) プレゼンテーションを使って講習を行い、実際に動きの中で行う。 (2) 進路指導部と連携し、外部講師を招聘してマナー講習の講義をしてもらう。

4 自己紹介書の作成(2単位) (1) なぜその事業所でしたいのか、自分の将来の目標とどう関わるのか考えさせ作成させる。

5 電話のかけ方の練習および事業所へのアポイントメント(4単位) (1) 電話のかけ方のワークシート記入・・・外部講師を招聘し電話のかけ方について講義をしてもらう。 (2) 生徒同士でお互いに模擬の電話のかけ方練習をする。 (3) 実際に事業所へ電話しインターンシップの依頼および事前打ち合わせの日程の確認・調整を行う。

6 事前指導(2単位) (1) あいさつや言葉遣い、マナー指導を行う。

7 セルフプロデュース・インターンシップの実施(4日間) (1) 1学期期末定期テスト終了後、翌週の 4日間で実施する。 (2) 担当の職員はこの期間中に最低2回は巡回指導を行う。 (3) 事業所の定休日等で学校登校の生徒は、別プログラムを作成し対応。

8 報告書および礼状作成(2単位) (1)実習を振り返り、ワープロソフトで実習の報告書を作成する。手書きによる礼状の作成をする。

9 プレゼンを作成(6単位) (1) インターンシップまでの経緯を振り返り、プレゼンソフトを使って一人5~6分程度でまとめる。 (2) プレゼン発表用原稿の作成をする。

10 プレゼンソフトでの発表(4単位) (1) クラスで各一人ずつ作成したプレゼンの発表を行う。発表後、クラスの代表者を2名程度選出する。 (2) クラスの代表者が学年全体の前で発表を行い、学年代表者を選出する。 (3) 学年代表者は、学習成果発表会において全校生徒の前で成果発表を行う。

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主 な 実 践 活 動 1 実施日 (1) 1学期期末考査後の翌週に、4日間で実施 (2) 各事業所によって勤務時間はそれぞれであるが、基本的に午前8時~午後5時の間で事業所には依頼する

① 生徒はインターンシップ先の指定された時間に出勤する ② 定休日等で実習できない日は学校に登校し別プログラムに取り組む ③ 遅刻、欠勤等など突発的な事態が発生した場合は、担当者および事業所に連絡を入れる

当 日 の 様 子

各事業所においてのインターンシップ 生 徒 の 意 見 や 反 応

【生徒の意見・感想】 ○ 希望して選んだ事業所であったが、思っていた仕事内容と違った。今後の進路にとても参考になった。 ○ 最初は簡単そうだと思っていたが、ずっと考えて行動しなければならず大変だった。 ○ 休憩も思うようになくきつかった。仕事をすることの厳しさを改めて感じた。 ○ 仕事を丁寧に行うことに神経を使った。 ○ 初めてのことばかりで大変だったが、興味のある仕事だったので楽しかった。 ○ コミュニケーションを取ることに苦労した。自分としてはうまくコミュニケーションが取れたと思う。 ○ 楽な仕事なんてないと感じた。簡単に考えていたのでギャップが大きかった。

取 組 の 成 果

1 アンケート結果より (1) 体験して良かったという意見が93%であり、実習について満足度の高い生徒が多数を占めた。 (2) 自分の進路の方向が明確になり、将来への思いがますます強くなった。これから具体的に将来の目標(仕事・

夢)について考えようと思った生徒が合わせて85%いた。 (3) 生徒自身にとっては、勤労観や職業観などを肌で感じることができ、非常に有意義な体験になっているよう

に感じる。 (4) 仕事や社会の厳しさ、お金を稼ぐことの大変さ、時間を守ることの大切さなど多くの面で重要であると感じ

たと回答している反面、これまでの自分の甘さや不十分さ、学校で勉強することの大切さについては強く感じていない生徒の割合が多かった。

2 その後の高校生活の変化 (1) インターンシップを体験後、将来の目標(進路)について真剣に考えるようになり日々の学校生活での態度

に変化が見えてきた生徒がいる。 (2) あいさつやコミュニケーション能力が向上し以前に比べ、生徒達の変化が見られてきた。

今 後 の 課 題

1 セルフプロデュースの目的が達成されない (1) 自分で実習先を選び自分でアポイントメントを取り実習を行うことを前提としているが、選定した実習先から

断られることが多々あり、本当に自分の実習したい所で実習ができない生徒がいる。 (2) 自分の希望する実習先にいけないことでモチベーションが低下し、意味を感じなくなる生徒がいる。 (3) 自分の将来の進路について真剣に考えず安易に実習先を選び、本来の目的を達成できない生徒がいる。

2 事前指導の重要性 (1) 事前指導については徹底を図るのは当然であるが、指導方法についても工夫をする必要性がある。 ① あいさつや礼法指導を徹底していたにもかかわらず、企業からの評価が非常に厳しいものがあった。 ② 積極性が足りない、おとなしくコミュニケーションが取れない、声が小さいなど厳しい意見が多かった。 ③ 外部講師の招聘などの手立てを行い礼法指導や電話のかけ方などの講習を行ったが、生徒へ十分に浸透しな

かった。内容や実施時期の検討が必要である。

3 キャリア教育のつながり (1) 1年次より「産業社会と人間」や、農業体験インターンシップなどのキャリア教育を通して2年次のセルフ

プロデュース・インターンシップにつなげているが、生徒も教師側も行事としてのとらえ方が強く、発達段階に応じた実践としてのつながりを感じられない。結果として、実習した事業所からの評価も低かった。

(2) 行事としてのキャリア教育ではなく、教育活動全般を通してのキャリア教育の充実を図ることが急務であり、日々のキャリア教育の実践の場としてのインターンシップになるよう見直しを図る必要がある。

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延岡工業高等学校 実践報告

実践タイトル 労働法規を学習してブラック企業に立ち向かえ

~ 総合的な学習の時間を使って2学年全クラスで労働法クイズに挑戦 ~ 科目 総合的な学習 学年 2年 単元 進路指導

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力

・職場の同僚との協力・協同関

係の形成能力

・働く上でのトラブルがあった

場合、自らの仕事の正当な

評価とシステム上の問題を

区別する力

・より良い職場環境を求めて

原因を追及し自ら及び同僚

とすべき解決策を立案し実

行する能力

・より良い職場環境を求めて

原因を追及し自ら及び同僚

とすべき解決策を立案し実

行する能力

活動のポイント

1 働くことの本質、意味や役割について理解する 【人間関係形成・社会形成能力】 (1) 労働者は働くことなしに生活はできないことを自覚させる。特に自分の親のことを考えさせる。 (2) 一方で人が働くことで得る生きがいや素晴らしさがあることも知らせる。

2 生き生きと働くことを阻害する課題があること、それをどのように解決するかを学ぶ 【課題対応能力】 (1) 時間労働など無理な働かせ方をして労働者を使いつぶすブラック企業の存在を知る。

(2) 労働者を守る労働法制があるが、あまり周知されていない現実とブラック企業に騙される現実を知

る。 (3) クイズを通して労働現場での具体的なトラブルの事例と法規からみた違法性を具体的に学習す

る。 (4) 労働のトラブルに直面した際にどのように課題解決するかを考えさせる。

事 前 指 導

1 労働問題とはどのようなものか理解させる (1) ブラック企業の実態を報道した番組の一部をみせておく。

(2) 過労死、うつ病、パワハラ、年次休暇、サービス残業など専門的な労働用語について事前に触れる

機会を設ける。

(3) サービス残業の実態や年休の取りやすさなどについて自分の保護者から聞き取りをして身近な問

題として感じさせる。

使 用 教 科 書 知って役立つ労働法(厚生労働省ホームページより)

当日の展開(主な実践活動)

時間

(分) 学習活動と内容 手順 留 意 点

導 入

(5分)

○内容確認 ①「ブラック企業」を知っているか挙手し、具体的

に発表させる。

②社会人として労働法についてしっかり理解する

必要があることを説明する。

●自由に発言させ、緊張をほぐし、ス

ムーズな導入を図る。

展 開

(40 分)

○労働法の理解の必要

○労働法クイズ配布

○クイズの解答および

法的な根拠の学習

①トラブルを解決するには、まず最初に労働

法の知識が不可欠であることを説明する。

②10分程度で気軽に○×つけさせる。

③1つ1つのクイズについてその法的な根拠

とケースについて説明を聞く。法律の条文

に直接触れさせる。

④「労基署が役に立たない例」など、法律の

運用しだいでは法律が意味をなさない事実

も説明する。

●あまり深く考える必要はないこと、

条件によっては正解が変わること

を告げる。

●日本は法治国家であること、憲法

や法律は国民がきちんと運用しな

いと効力を発しないことを理解させ

る。

●1つ1つ丁寧に説明する。現実

社会では法律がきちんと運用され

ていない(守られていない)こと、守

らせることが労働者に課せられた

課題であることを学習させる。

まとめ

(5分)

○本時のまとめ ○挨拶

①本時の内容を振り返る。社会人であることは身

に降りかかったトラブルを解決できることだと説

明する。

②挨拶

●問題解決には法律の知識だけでは不十分であり、労働組合や仲間の協力など人のつながりと協力がなければ実現困難なことを強調する。

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当 日 の 様 子

授 業 の 様 子

事 後 指 導 〇 今回使った部分は主に労働基準法、労働契約法を中心に出題したものの、労働法制には、労働組合法をはじめ労働関係調

整法や男女雇用機会均等法や最低賃金法など多くの法律があることも教えた。これらの法律は基本的に弱い立場の労働者を保護しており、これらの法律を武器に労働者の権利や命を守ることを学ばせた。

〇 官公庁のパンフ等では①労使対等の視点が強すぎること②悪法だろうが現行法制を前提としていること③紛争解決を個別的にしか捉えていないことなど限界があることも伝えた。さらに現在の国際競争激化と規制緩和の流れの中で、ホワイトカラーイグゼンプション(残業代ゼロ)、解雇特区など労働基準法を改悪する流れがあることも教えた。

取 組 の 成 果

1 働く上で課題に多く直面すること学んだ (1) ブラック企業の存在を知り、働く上で命の危険さえある現実を理解させた。 (2) その現実について自分の保護者も含め、決して他人事でないことを知った。 2 労働問題の課題解決方法を学んだ (1) 課題解決には労働法が大きな力になること、知っておかねばならないことを学んだ。 (2) 労働者として力をもつために、法律の知識だけでなく国語や数学等基本的な学力もなければ話にならないことを知った。 (3) 課題解決するには、労働者一人の力では足りず、労働組合など他の仲間と連携しなければならないことを知った。

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ アンケート1 労働法がよくわかった:84 だいたいわかった:138 わからなかった:6 無回答:9

○ アンケート2 知識は必要:223 必要でない:1 わからない:3 無回答:11

○ クイズの平均正答数 9.6問/14問

<以下は生徒の感想>

○ 今回問題形式で分かりやすかった。知らないことを理解できて良かった。

○ 働くにはいろんな知識が必要だと思った。労働時間やお金のことについて知ることができた。

○ 労働時間が8時間を超える場合には60分の休憩を与えないといけないことを初めて知りました。法律のことはあ

まり知らなかったけど今回の授業でもう少し学びたいと思いました。

○ 残業代が25%増しだと知り、なんかすごいと思いましたが、%がよく分からないので勉強して損しないようにし

たいです。

○ 着替えている所から労働時間に入ることを初めて知りました。いろいろ知った上で楽しくまじめに働ける大人にな

りたい。

○ ドラマとかで「明日からこなくていい」のシーンがあるけどあれはできないんだなあと思いました。

○ 労働法を知らないと会社が違法なことをしても気づかないと思った。今日勉強したことを忘れない。

○ 有給休暇や社会保険や残業代などお金について知っておかないといけないことを知らないから、企業を選ぶときに

気をつけないといけない。

○ POSSEのような中間の位置にある組織というのは心強い存在でもっと広まったらいいと思う。そうすれば労働

問題に立ち向かう人を増やすことができて、社会として解決へ進むことができるんじゃないかと思う。

○ 労働組合の立ち上げ方が知りたい。

○ 有給休暇は権利だということを知れたので、就職したら有効に使っていきたい。

○ どれだけ残業してもお金が払われなかったり、勝手に仕事を辞めさせられたりということになりたくないので、自

分から労働法について調べたり、学んだりすることはとても大事なことだと知ることができた。

○ 身の回りで×のつくことを聞いたことがある気がしました。先日残業のことを家で話したのでとても身近に感じま

した。

今 後 の 課 題

1 自ら学ぶ力をつける (1) 今野晴彦氏の主催するNPO法人POSSEのHPなどから具体的な労働問題の事例を学ばせたり、より幅広く労働問題を

考える機会を自らもつようにさせる。 (2) 生徒に教える主体である教員も、労働法規等に関する知見を深め、より説得力をもって指導できるようにする。

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(労働法規の学習)労働法クイズの資料下記の問いに対して正しいと思うものには○、誤っていると思うものには×を付けてくださいQ1 アルバイトで時給800円と言われたが口約束だけで働いている。Q2 単純作業の場合、時給は会社で勝手に決めてよい。

。Q3 1日に8時間を超えて働いた残業代は、ふだんの時給の1割増しで支払われる。Q4 作業前の着替えや作業後の職場の掃除の時間の分は労働時間に入らない

Q5 うちの会社の勤務時間は8時間あるが、昼休みは30分しかない。Q6 仕事が遅い人は残業しても残業代はもらえない。Q7 会社は残業代を支払いさえすれば何時間でも労働者を働かせることができる。Q8 働き過ぎで体を崩した場合、自己責任であり、会社に責任はない。Q9 働き始めて5ヶ月になるが、有給休暇は1日ももらえない。

有給休暇を取るには、届け出が必要であり、電話だけでは許されない。Q10忙しくてとれなかった有給休暇を翌年に繰り越すことはできる。Q11会社が中小企業の場合、社会保険(年金や健康保険)に加入させなくてもよい。Q12会社からいきなり「明日からもう来なくていい」と言われ、従わなければならない。Q13転職したくて会社に辞めたいといったら途中退職の罰金を請求された。Q14

解答Q1:アルバイトで時給800円と言われたが、口約束だけで働いている。

労働契約を結ぶときには、使用者が労働者に労働条件をきちんと明示することを義務としていまA:×す。さらに、特に重要な次の6項目(①労働契約期間、②更新の決まり、③仕事内容と場所、④労働時間や休み、⑤賃金、⑥退職・解雇の決まり)については、口約束だけではなく、きちんと書面を交付しなければいけません。(労働基準法第15条)これら以外の労働契約の内容についても、労働者と使用者はできる限り書面で確認する必要があると定められています。(労働契約法第4条)

Q2:単純作業の場合、時給は会社で勝手にきめてよい。

賃金は、労働者の生活の柱となるものですから、景気や求人の状況によって賃金が低くなりすぎA:×て、働いても生活の維持が困難となるということは、防止しなければいけません。 そこで、「最低賃金法」によって、使用者が支払わなければならない賃金の最低限度額が定められています。最低賃金は、都道府県ごとに決まっていて、例えば宮崎県では、時給653円です。(H25年9月)この最低賃金は、労働者の大事な権利ですから、たとえ労働者が同意したとしても、それより低い賃金での契約は認められません。もし、みなさんが頼まれて時給500円で働くことに同意してしまったとしても、その約束は法律によって無効となり、最低賃金額と同額の約束をしたものとみなされます。したがって、最低賃金との差額×働いた時間分を後から請求することができます。

Q3:1日に8時間を超えて働いた残業代は、ふだんの時給の1割増しで支払われる。8時間を超えた分の労働時間(残業時間)の給料は25%増しで支払われなければなりません。残A:×業代なしで働くことを「サービス残業」といって違法です。週に1回の法定休日 通常日曜日 は35%( )増しです。さらに残業で深夜労働(午後10時から午前5時まで)になった場合は、残業分の割増賃金と合わせて、通常の50%増しの給料が支払われます。もちろんアルバイトでも支払われます。

Q4:作業を始める前の着替えや、作業を終えた後の職場の掃除の時間の分は労働時間に入らない。どちらも支払われるべきです。着替えも掃除も労働時間。また、職場に来るように指示された時からA:×実際に仕事を始めるまでの「ただ待っている時間」に対しても会社は給料を支払われなければいけません。基本的に会社に指示されたり拘束されたりしている時間はすべて労働時間となります。そしてその時間はすべて給料に換算されなければ違法なのです。

Q5:うちの会社は昼休みが30分しかない。使用者は1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少A:×なくとも60分の休憩を勤務時間の途中で与えなければいけません。(労働基準法34条) 休憩時間は労働者が自由に利用できるものでなければならないので、休憩中でも電話や来客の対応をするように指示されていれば、それは休憩時間ではなく労働時間とみなされます。

Q6:仕事が遅い人は残業しても残業代はもらえない。どんな理由だろうと残業代を支払わないのは違法です。働いた分の給料は、正社員であれアルバA:×イトであれ、必ず支払われなければなりません。例えば「この仕事が終わるまで」と会社が指示したら、その仕事が終わるまでにかかった時間すべてに給料が支払われます。また、会社は基本的に、契約時間内に仕事が終わらないことを働く人のせいにはできません。ですから、「仕事が遅い」ことを理由に会社が残業代を支払わないことも基本的にはできません。

Q7:会社は残業代を支払いさえすれば何時間でも労働者を働かせることができる。行政は月45時間、週15時間を超える時間外労働を規制しています。厚生労働省は2001年12月A:×に脳・心臓疾患の労災認定基準(いわゆる過労死認定基準)を改正し、2002年2月に「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置等」を出しました。これは事業者に対し時間外

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労働を月45時間以下と求めるものです。また、労使間で36協定の締結(労働基準法第36条による労働者と使用者の間の約束)をする場合も月45時間の基準を厳守するよう求めています。また、現在過労死ラインは月80時間とされています。これを超えて働くと心と体が壊れます。

Q8:働き過ぎで体を壊した場合、自己責任であり、会社に責任はない。労働者の健康被害は会社側の責任になります。使用者には「労働者の心身の健康を損なわないよA:×うに注意する」義務があります。(労働契約法第5条)つまり、職場環境が過度に健康に負担をかけたりした場合、それは使用者(つまり会社)の責任となるのです。それというのも、働くことは常に健康被害の危険性を伴いますが、その危険は会社が指揮命令するもとで生じるものです。だから労働によって健康被害が生じた場合、その責任は使用者にあるのです。

Q9:働き始めて5ヶ月になるが、有給休暇は1日ももらえない。有給休暇とは、所定の休日以外に仕事を休んでも賃金が全額支払われる制度のことです。有給休A:○暇は労働者の権利ですからありますが条件があります。有給休暇の取得要件は、6ヶ月継続して働き、全労働日の8割以上出勤することです。(労基法第39条)さらに、1週間に30時間以上あるいは、週定労働日に5日以上(1日当たりの労働時間の長さは関係なく)働けば、有給休暇(最低で年に10日)が取得できます。また、労基法第35条では、使用者が労働者に対して毎週少なくとも1回の休日(または4週に4日)を認めることを義務づけています。その目的は、労働者が1日を単位として労働から解放されることで、労働者に対して休息や疲労回復、家庭・社会生活に要する時間を保証するというものです。

Q10:有給休暇を取るには、届け出が必要であり、電話だけでは許されない。口頭で伝えるだけで十分です。有給休暇を取得するためには、労働者はその旨を口頭で使用者A:×に伝えるだけで十分です。取得理由も問われず、特別に公共機関に申請することや書類を作成することなどは必要とされていません。

Q11:忙しくてとれなかった有給休暇を翌年に繰り越すことはできる。消化できなかった有給休暇は、翌年度にとることができます。有給休暇の時効は、付与日から起算A:○して2年間であり、翌年度もとることができます。

Q12:会社が中小企業の場合、社会保険(年金や健康保険)に加入させなくてもよい。中小企業でも加入させなければいけません。労働者を社会保険(健康保険・厚生年金保険)へ加A:×入させる義務を負っているのは、労働者を1人でも雇っている会社(法人)です。よって、大企業か中小企業かどうかは関係ありません。そしてもちろん、赤字であるかどうかなど、その企業の経営状態によって加入させないということは認められません。また、社会保険料は、月給及びボーナス額の1000分の82を事業主と被保険者が折半して負担します。注意して欲しいのは、ここでいう「健康保険」が「国民健康保険」とは全く違うものだということです。健康保険に加入すると、病気などで休業し賃金が得られなかったときでも国から賃金補償(傷病手当金)が得られます。国民健康保険にはそのような制度はありません。

Q13:会社からいきなり「明日からもう来なくていい」と言われら、従わなければならない。解雇するにはその30日前に予告する必要があります。原則として会社は少なくとも30日前に解雇A:×の予告をするか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を労働者に支払う必要があります。これはアルバイトでも同じです。判例ではアルバイトでも、長い間契約を更新して働いてきた人に対しては、正社員と同じように働く権利を認めています。法律では、使用者が労働者を解雇する場合は、客観的、合理的な理由があり、社会通念上相当とされるものでない限り、解雇することはできないとされているのです。(労基法第18条)また、たとえ解雇するにしても次のような条件が必要とされています。1 人員削減の必要性 2 解雇の回避努力 3 被解雇者選定の合理性 4 解雇手続きの妥当. . . .性です。これらの条件から外れている解雇は、法律上無効と考えることができ、立場の弱い労働者は法律で保護されています。また、労基法第19条では、業務上負傷したり、疾病にかかって療養を余儀なくされた労働者に対し、会社がその休業期間及びその後30日間に解雇を宣告することを禁じています。このことは産前産後の女性に関しても同様です。

Q14: 転職したくて会社に辞めたいといったら途中退職の罰金を請求された。正社員などあらかじめ契約期間が定められていないときは、労働者は少なくとも2週間前までに退A:×職届を提出すれば法律上はいつでも辞めることができます。アルバイトで契約期間の定めがあるときは、やむを得ない事情があれば途中で退職することはできます。新しい会社に転職したくなったときに、途中で辞めるとペナルティとして罰金を取られるという条件があっては辞められないので、労働法では、労働者が不当に会社に拘束されることのないように、違約金を支払わせることを禁じています。(労働基準法第16条)また、社員旅行費など福利目的であろうと給料の一定額を毎月強制的に貯金させることも禁止しています。(労働基準法第18条)また、辞めさせないように労働者にお金を前貸しし、毎月の給料から一方的に天引きする形で返済させること(労働基準法第17条)も禁止されています。

※もっと深く知りたい場合は、インターネットや書籍、ホームページなどで調べてみましょう。

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延岡商業高等学校 実践報告

実践タイトル 授業で行うキャリア教育 商業科

ビジネスマナー模擬演習 ~ビジネスの諸活動を円滑に行うために~

学年 1年 教科 商業 科目 ビジネス基礎 単元 ビジネスとコミュニケーション

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力

・他者に働きかける力 ・コミュニケーション・スキル ・チームワーク

・自己の役割を理解する力 ・主体的な行動力

・本質を理解する力 ・課題を発見し、評価・改善

する力

・働くことの意義や役割を理解する力

活動のポイント

1 ビネスマナーを身につける(接客の場面を想定した演習) (1) ビジネスの場面に応じた言葉の使い方、話の聞き方、話し方、表情など基礎的なコミュニ

ケーションの方法を学習し、協力して演習に取り組む。 【人間関係形成・社会形成能力】 (2) 演習時に自らの目標を設定し、主体的に活動する中で、専門的な能力を身につけることの

重要性について理解する。 【自己理解・自己管理能力】 (3) 演習の相互評価や自己評価をすることで、入手した情報を見極め、自ら設定した課題や目

標を主体的に探求し、課題の解決を図る。 【課題対応能力】 (4) 自分の卒業後の進路をイメージし、進学する者もいずれは就職しビジネスの場面に遭遇す

ることを踏まえ、商業の学習と職業の関連について考える。 【キャリアプランニング能力】

事 前 指 導

1 ビジネスとコミュニケーション (1) コミュニケーションの必要性について学ぶ。 (2) 基礎演習

① あいさつ・言葉遣いについて学習し、演習を行う。 ② 電話応対について学習し、演習を行う。

使 用 教 科 書 ビジネス基礎(実教出版)

当 日 の 展 開

時間

(分) 学習活動と内容 手 順 留 意 点

導 入

(5)

○これまでの学習の確認

①これまでの演習を振り返り、ビジネスの場面に応じたマナーにはどのようなものがあるか、あいさつ・言葉遣い・電話の応対について確認させる。

●これまでに学習した内容を振り返り、確認させる。

●ビジネスの場面に応じたあいさつ、ことばづかいなど基礎的なコミュニケーションの方法について確認させる。

展 開

(35)

○本時の課題の確認

○接客場面における適切な言葉を選択する。

○場面に応じた言葉や、表情、礼の角度について考察する。

○ロールプレイング 「来客の応対」

①本時の接客用語について説明し、実社会をイメージさせ緊張感を持たせる。

②「来客の応対」についての流れを説明する。

受付→案内→名刺交換→湯茶接待 ③ロールプレイングの手順を説明する。 ④グループ内でペアを作り、「来客の応対」に

ついて演習させる。

●接客の場面におけるコミュニケーションは、言葉、表情、態度がそれぞれ総合的に作用することを確認させる。

●場面に応じて使われる言葉のイメージ及び表情や態度等から、相手にどのように伝わるのか、相手の立場に立って考察させる。

●具体的な例を用いて、言葉の強弱や硬軟、表情、態度等によって相手に与える印象が異なることを確認させる。

●相互に演習することにより、相手の立場に立って行動することの大切さに気付かせる。

まとめ

(10)

○学習のまとめ

①グループ内で相互評価を行い、気付いたことをまとめさせる。

②自己評価。

●繰り返し行うことで上達することから「経験」(実践)することの大切さに気付かせる。

●グループ活動により、他者を理解するとともにより深く自己を理解し、確認させる。

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ロールプレイングの様子

「受付」の様子 「名刺交換」の様子 「湯茶接待」の様子

事 後 指 導

1 ビジネスの場面と日常の体験を関連付ける (1) これまでの演習を振り返り、日常生活にどのように活かしていくか考えさせる。 (2) 次年度のインターンシップや卒業後の進路選択、資格取得など次の目標を立てさせる。

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ ビジネスの場面独特の言葉遣いがあることを知った。 ○ 普段の生活で間違った日本語を使っていることに気付いた。 ○ 演習を重ねていくことで、段々に恥ずかしさはなくなってきている。声も前よりは出るようになった。 ○ 自分が笑うと、相手も笑顔になって雰囲気が良くなることが分かった。 ○ 自分では気づいていなかった欠点を指摘され少しショックだったが、良い点も聞けたので自信がついた。

取 組 の 成 果

1 基礎的・基本的な知識・技能 (1) 人間関係形成・社会形成能力 ① ビジネスの場面におけるマナーについて理解できた。 (2) 自己理解・自己管理能力 ① ビジネスマナーを習得するためには繰り返し「経験」(実践)していくことが大切だと理解できた。 (3) 課題対応能力 ① これまでの演習における反省点を踏まえ、改善を図り、さらに次の演習に対する目標を立てることができた。 (4) キャリアプランニング能力

① 自分が社会人となった場合を想定し、今後の進路について考えることができた。

今 後 の 課 題

1 指導者(職員) (1) 教科担同士の連携 ① どのクラスでも同じ演習ができるよう、指導資料やワークシートを統一化する。 (2) 担任との連携 ① 進路指導に役立てる。 (3) 進路指導部・2学年との連携 ① 次年度のインターンシップに繋がる指導を考える。 2 生徒 (1) 授業で学んだことを学校生活に活かせるようにする。 (2) 早い段階(1 年生)から進路について具体的に考えるようにする。 (3) 資格取得(秘書検定など)の意欲に繋げる。

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都城農業高等学校 実践報告

実践タイトル 授業で行うキャリア教育 農業科

食品科学科におけるキャリア教育と食育(大豆栽培から豆腐作りまで)

学年 2年 教科 農業 科目 食品製造 単元 大豆の加工

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・「分かる・できる」を体得し、自他の個性を理解する力

・自己を理解し、主体的に行動することを身につける力

・学ぶことの大切さを理解し、課題を処理し解決する能力を育てる力

・学ぶこと働くことの大切さを理解し、主体的に判断する能力を育てる力

活動のポイント

1 農業系高校生が、小学生に対して食育授業を行う (1) 「食」と「農」の大切さについて理解し、それを小学生に伝えることで、コミュニ

ケーションスキルを高める。 【人間関係形成・社会形成能力】 (2) 生徒自らが「先生」として教えることで、製造方法や技術、食品衛生面について幅

広く学習し、専門性の深化を図る。 【自己理解・自己管理能力】 (3) 自ら設定した課題を解決する能力を育む。 【課題対応能力】 (4) 職業観・勤労観の醸成を図り、高校生として今やるべきことに取り組むことで、将

来のスペシャリストとしてどうあるべきか考える。 【キャリアプランニング能力】

事 前 指 導

1 大豆の播種と栽培・収穫 (1) 農業科3年生が、祝吉小5年生に本校圃場で播種の指導を行う

2 5年生の4教室で、出前授業を行う (1) 授業内容:大豆の栄養成分・タンパク質の凝固(実験)等

使 用 教 科 書 食品製造(実教出版)

当 日 の 展 開

時間

(分) 学習活動と内容 高校生が指導する手順 留 意 点

導 入

(20)

○ 前時の復習 <栄養素、加工等> ○本時の目的 ○製造工程と豆腐製

①気持ちよくあいさつし和やかな雰囲気づくりに努める。

②前時の復習 ③本時の目的を説明し理解させる。 ④製造工程と豆腐製造のポイントを説明する。

●小学生の緊張を解き、学ぶための

準備を整える。 ●小学生に発表を促し、 ヒントを与

えながら答えを導く。

展 開

(60)

○ 木綿豆腐の製造 ①豆乳・凝固剤・

お湯の計量 ②凝固状態の観

察 ③盛り込み ④成型 ⑤切り分ける ⑥試食 ○寄せ豆腐の製造 ①凝固 ②試食

①豆乳を加温し、凝固剤を添加する。 ②凝固の状態を観察させる。

豆乳が75℃になったら、 凝固剤を添加し、十分攪拌して静置する。

③凝固物を壊し、豆腐湯をすくい取らせる。各テーブルの鍋の凝固物を集め、1つの型枠に入れさせる。

④重石をさせる。(約20分間放置) ⑤水槽の所に集合し、水槽内で木綿豆腐を取り

出し、適切な大きさに切らせる。 ⑥各自の班のテーブルに戻り、木綿豆腐を試食

させる。 ①中央に集まり、寄せ豆腐の製造の説明を聞き、

実際を見学させる。 ②各自の班のテーブルに戻り、寄せ豆腐を試食

させる。

●小学生と生徒が班毎に集まり、一緒に製造準備をする。

●豆腐湯(上澄み液)が 全体に広

がるように凝固剤を調節する。 ●成型時(生徒2名)は重石を徐々

に重くする。 ●危険のないように、必ず補佐をす

る。 ●試食の準備 (皿、 醤油、薬味等) ●寄せ豆腐づくりを2名の生徒が行

う。 ●空き時間で、小学生と一緒に後片

付ける。

まとめ

(10)

○後片付 ○本時のまとめ

あいさつ

①後片付けを行わせる。 ②終わりのあいさつを行う。

●交通安全に留意し、帰校する様に 呼びかける。

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事 後 指 導

1 実施後の生徒感想から (1) 豆腐作りについて教える立場の自分たちの方が、「食」の大切さについて再認識し、卒業後の進路について考

える良い機会となった。 (2) 手作り豆腐交流は、小学生やその保護者にとっても良いものであることが分かった。都城農業高校食品科学

科の伝統として今後も継続した方が良いと思う。

取 組 の 成 果

1 5年生のアンケートから (1) 「大豆の収穫や豆腐作りが楽しかったです。」 (2) 「温かい豆腐を食べたのは、初めてだったので美味しかったです。」 (3) 「豆腐の作り方を詳しく教えてくれたので、よくわかりました。

2 小学生保護者の感想から (1) 「普段、農業や食品作りに参加する機会のない子供達にとって、素晴らしい体験だと思います。ありがとう

ございました。」 (2) 「食べ物が当たり前のように手に入る世の中で、食品が出来るまでの工程や原料を知る事で食育ができ、こ

れからも続けて欲しいと思います。」 (3) 「種から育てた大豆、添加物も入っていない手作りの豆腐をいただけて、最高の贅沢!!と思いました。」

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ 私は、出前授業に最初行かせてもらって、教えることの難しさと楽しさを知りました。1組の授業ではとても静かなクラスだったけど、真面目に説明を聞いてくれてとてもいい子たちでした。だけど、時間内に終わらなくて、最後まで詳しく教えてあげられませんでした。3組では、とてもにぎやかで、発表に積極的な子たちでした。このクラスでは、ぎりぎり最後まで教えてあげることができたのでよかったです。この出前授業では、失敗したところもあったけど小学生に大豆のことを教えてあげられたと思うので良かったです。

○ 今回の豆腐作りの実習ができたのは、大豆を作っていただいた農業科の皆さんや、道具や豆乳の準備をしてくれた先生方のおかげだと思います。このような豆腐作りを経験したことで、自分やクラス全員が成長できたと思います。小学生との豆腐作り交流楽しかったです。

今 後 の 課 題

〇 小学生に教えるという体験や今回の交流学習の評価を行うことは、より深く食への感謝の気持ちを育て、学習への意欲を高め、キャリア教育の推進につながると感じます。生徒それぞれが、自分にふさわしい進路選択をし、幸せな人生をおくれるように、今後も望ましい職業観・勤労感の形成の為にも更なるスキルアップを目指します。

農業科圃場での大豆播種 祝吉小教室での出前授業 豆腐作り交流授業・説明

豆腐作り交流授業・盛り込みと切り分けの様子 食品科学科2年生

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都農高等学校 実践報告

実践タイトル 授業で行うキャリア教育 総合学科

~学校設定科目として設置したインターンシップ(就業体験)から学ぶもの~

学科 総合学科 学年 3年 人数 7名

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力 人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力

・コミュニケーション能力を

高め、大人との良好な人

間関係を築く能力

・他者の個性を理解し、他

者に働きかける力

・実践において主体的に考え

判断・行動できる力

・地域や産業界との交流を通

じた自己管理能力

・生徒が自ら課題を設定し、

主体的に課題を探求し解

決できる能力

・自己の希望の職種で長期に

わたり実践を行う事で、専門

的な知識を身につける。

・社会人としての心構えを学

び、働くことの意義を理解す

る力

活動のポイント

1 年間を通して定期的に取り組むインターンシップ(職業体験) (1) 将来の進路に関係した職業で就業体験をすることで、明確な進路意識を芽生えさせる。

【キャリアプランニング能力】

(2) 希望する職業で就業体験をすることで、主体的に職業選択をする能力が育成される。

【キャリアプランニング能力】

(3) 長期間にわたる就業体験を行うことで、責任ある行動をとる必要性を自覚し、社会人とし

てふさわしい態度・能力を身につけることができる。 【人間関係形成・社会形成能力】

(4) 異世代との交流により、生徒個々のコミュニケーション能力の向上と豊かな人間性の伸長

が期待できる。(目指すべき社会人・職業人像が明確になる) 【人間関係形成・社会形成能力】

(5) 実際に希望する職業を体験することで、ミスマッチを防ぐことができる。 【キャリアプランニング能力】

組 織 や 係 分 担 等

1 総合学科推進課が主管となって実施 (1) 総合学科推進課が主管となり年間計画や企画・立案を行う。

(2) 生徒の事前指導から事業所への依頼文書や評価表、アンケート送付、礼状送付等についても総合学科推進課で

一括して担当。

(3) 事業所の担当者についても、総合学科推進課の職員で担当する。

2 学年団との連携 (1) 就業体験は、2時間の課題研究と併せて1日間(終日)の実施であるため、2時間については学級担任と連

携を取り出欠等について把握する。

事 前 指 導 と 年 間 計 画 等

1 事前指導および準備(前年度) (1) 生徒への意思確認・・・各クラスの担任が面談 → 総合学科推進課で集約

(2) 担当職員の決定 ・・・総合学科推進課で担当(生徒との面談や指導・実習依頼等)

(3) 放課後を使って事前指導開始

(4) 希望実習先の決定

① 実習先へ担当職員が連絡を取り、依頼をする。

ア 電話ではなかなか伝わりにくいので直接事業所に出向いて説明を行う。

イ 年間指導計画(案)を持参して説明をする。

(5) 受入不可能と返事があった場合は、第2希望、第3希望とあたっていく。

(6) 実習先が決まったら、生徒に電話をかけさせる。

(7) 放課後や休みの日を利用して、実習先に挨拶に行かせる。

2 年間計画 (1) 4月・・・ガイダンスの実施

① 実習する上での注意や心構え、マナー指導、自己紹介書の作成、電話のかけ方の練習、実習日誌の書き方

② 新年度の新しい担当者で再度、実習先に挨拶と年間指導計画を持参する。

(2) 5月~11月・・・就業体験

① 毎週金曜日の終日、実習先において就業体験を実施する。

(3) 12月・・・プレゼンテーションソフトを使って実習内容や成果と課題まとめる。

① 作成したプレゼンを、就業体験のメンバー内で発表する。相互評価を行い代表者を選出する。

② 学習成果発表会において、代表者が成果発表を行う。

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当 日 の 展 開

1 実施要項 (1) 課題研究2単位と、就業体験4単位を連続して合計6時間連続として時間割に組み込み実施する。 (2) 毎週金曜日に実施し、生徒は学校に登校せず実習先に出勤し終日、就業体験の実習を行う。 (3) 4月から11月までの期間で就業体験を行う。(今年度は17日間の実習を行った)

① 担当の職員が、実習日に全ての実習先を巡回指導し生徒の実習状況の確認を行う。 ② 遅刻、欠勤等など突発的な事態が発生した場合は、生徒は担当者および実習先に連絡を入れる。

(4) 生徒は毎回、実習日誌をつけ翌週に担当者に提出する。

保育園での実習

生 徒 の 意 見 や 反 応

○ 最初は、緊張していて思うように動けなかったが、実習を重ねるにつれて仕事の内容も把握できてきた。職員の方や園児たちとも打ち解けていく中で充実した実習が送れるようになっていった。

○ 短期集中型の実習ではなく年間を通して実習することで、仕事の1年間の流れが分かったことや行事等にも参加することが出来て良かった。

○ 実際に希望の職業を長い期間に渡り体験してみて、改めて自分が希望している職業の大変さを感じた。同時にやりがいと楽しさも感じることができたことで、今まで以上になりたい気持ちが強くなった。

○ 当初は実習した職種に就職することを希望していたが、実習を重ねていく中で高度な教育を学び国家資格を取得したいと考えるようになり、進学に進路変更した。この体験が大きな転機になった。

○ 実習した生徒全員から聞かれたのは、「就業体験を選んで本当に良かった」という意見であった。

取 組 の 成 果

1 進路選択の大きな要因になった (1) 今年度の就業体験の実習生は7名であるが、内5名が体験を行った職種への就職や進学の進路を選択した。

このことは長期にわたっての実習体験がもたらした成果であると言える。 (2) 逆に体験した職種への進路を選択しなかった生徒については、この体験を通して自分の夢(理想)と現実の

違いをしっかりと認識することができた結果であり、決してマイナス要因になった訳ではない。

2 社会人として心構えや働く事の意義を学べた (1) 社会人としての態度や能力を身に付けることができ、コミュニケーション能力も向上した。 (2) 日々の実習の中で、主体的に行動する習慣が身につき何事に対しても能動的に変化していった。

今 後 の 課 題

1 事前指導と事前説明の徹底 (1) この科目を選択する生徒については2年次終了までの出欠状況や生活態度において条件を付けているが、毎

年、若干名ではあるが遅刻や欠席をして実習先に迷惑をかけてしまう生徒がいる。条件の見直しや事前の面談等の内容について検討する必要がある。更に、事前指導の徹底と実習中の指導のあり方を図る必要がある。

2 実習先の巡回指導の限界 (1) 毎年、変わることではあるが実習場所が広範囲にわたっており、毎回の巡回指導に限界を感じる。今年度に

関して言えば、日向市3名、都農町2名、木城町1名、高鍋町1名であり2名の担当者で巡回している。選択人数が増えたり、場所がさらに広範囲になった時には何らかの手立てを講じる必要がある。

老人ホームでの実習 大型スーパーでの実習 リハビリ病院での実習

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延岡青朋高等学校 定時制課程 実践報告

実践タイトル 定時制課程における職場体験

学科 普通科、商業科 学年 主に2年次 人数 平成26年度 2名

基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力

人間関係形成・ 社会形成能力

自己理解・ 自己管理能力

課題対応能力 キャリア

プランニング能力 ・さまざまな世代の人と意志疎通をする力

・規律・礼儀・言葉遣い等の社会生活を営む力

・自分の適性を理解する力 ・成功体験による、自己を肯定し前向きに生きる力

・自分の不十分であった点を考え、改善する力

・「働くこと」の意義や役割を理解する力

・自己の職業適性や将来について考える力

活動のポイント

1 職場体験の取扱い (1) 学校設定科目「インターンシップ」として前期に1単位与える。

(2) 職場体験説明会を3回(3時間)、事前指導(4時間)、職場体験(8時間×3日間)、事後指導(4時間)、合計35時間を行う事で1単位としている。

2 対象生徒 (1) 原則として2~3年次の生徒で就労体験(35時間以上)のない生徒。

(2) 2年次で参加する生徒が多いが、生徒の状況や保護者の意見等を参考にして職場体験委員会で話し合い、3年次に行う生徒もいる。3年次に転編入した生徒は3年次に行う。

3 実施時期 (1) 夏休みの3日間(平成 26 年度は 7/23~7/25)

一部の生徒が対象であり、対象者が複数の学年になる事もあるため夏休みに行う。 4 アルバイトの促進 (1) 全校集会等で、アルバイトの経験のない生徒は夏休みに職場体験がある事を伝えている。 (2) 1年次の2月頃に、次年度の職場体験対象者の集会を行い、アルバイトを促している。

組 織 や 係 分 担 等

職場体験委員会の構成員と業務 1 構成員 (1) 副校長、進路指導主事、教務主任、進路指導部係、職場体験対象生徒の担任、副担任 2 業 務 (1) 第1回職場体験委員会

職場体験についての概略説明、実施要項・日程等の検討。第1回職場体験説明会の内容の検討。対象生徒の確認と情報交換、担任との打ち合わせ。

(2) 第2回職場体験委員会 第2回職場体験説明会の内容の検討。各生徒の担当者・体験先事業所の決定。対象生徒の確認と情報交換、

担任との打ち合わせ。 (3) 第3回職場体験委員会

事前・事後指導の内容の検討。巡回記録簿の説明。各事業所へ文書(依頼文・事前確認事項)の説明。 各担当者が文書をもって事業所を訪問し、職場体験の内容や注意点の確認を行う。 (4) 職場体験期間

① 各生徒の担当者が1日1回事業所を訪問(3日間)する。 ② 進路指導部が各事業所に1回訪問し、写真撮影を行う。

(5) 第4回職場体験委員会(職場体験後) 生徒の個別評価、感想等の確認。来年度へ向けての反省と課題の話し合い。

事 前 指 導

1 第1回職場体験説明会(5月中旬) (1) 職場体験の目的・日程等の説明。職場体験の希望事業所調査。

2 第2回職場体験説明会(5月下旬) (1) 職場体験先・担当教員の発表。容儀指導についての予告。保険についての説明。今後の日程の説明。 3 第3回職場体験説明会(7月) (1) 事前指導、事後指導の内容の確認。容儀の確認。 4 事前指導(職場体験前日) (1) 学校長の話。実施要項による概略説明・確認。 (2) DVD学習と確認テスト。 事前アンケートの実施。 (3) 職場体験実習日誌の説明。容儀指導。 (4) 生徒が担当職員とともに実習先を訪問(現地集合)、最終打ち合わせ。

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職場体験の様子(過去3年間の内容から抜粋)

1 小売店での活動 ○活動内容

商品仕分け,補充,品出し,倉

庫整理,清掃,パック作業など

商品の陳列の様子

2 清掃業者での活動 ○活動内容

浄化槽点検,ごみ収集,ビル管

理の補助など

側溝の清掃の様子

3 保育園での活動 ○活動内容

見学,環境整備,保育実習(絵本

の読み聞かせ)など

昼寝指導の様子

事 後 指 導

1 事後指導 (1) 学校長の講話。職場体験実習日誌の完成、提出。 (2) 事後アンケートの実施。職場体験報告書の記入、提出。

(3) 事業所へのお礼文の作成。

生徒の意見や反応(過去2年間の内容から抜粋)

○ パック詰めや商品の前出し、品出しなど、一見簡単そうな仕事も、とても大変なんだと体感しました。特にあいさつは、とても重要だということが分かりました。

○ 3日目はゴミの収集をしました。最初は仕事が遅かったですが、やっていくうちに仕事の流れが速くなってきてすごく楽しかったです。この3日間を通して、きつかったですがとてもやりがいがあり、すごく楽しかったです。

○ お客さんに商品の場所を聞かれて最初は対応できなくて罪悪感でいっぱいになったけど、最後では少しだけちゃんと対応できてお客さんに「ありがとう」を言ってもらえて、思い切りガッツポーズをしてしまった。

○ 「これがもしバイトだったら、1万5千円だよ」と店長に言われてショックでした。半そでだったので日焼けしました。もっといろんなことをしてみたいです。

取組の成果(過去2年間の内容から抜粋)

1 働くことの厳しさ・楽しさ・やりがいを生徒が感じることができた。 (1) 生徒の感想の中に、「一見簡単そうな仕事もとても大変だった。」、「最初は仕事が遅かったですが、やってい

くうちに仕事の流れが速くなってきてすごく楽しかった。」などの記述があった。実際に体験して分かったことや、仕事の充実感を感じることができたようである。

2 社会におけるマナー・礼儀・挨拶の重要性を学ぶことができた。 (1) 事業所からの評価票に、「髪の長さが気になったので注意したら、髪を後ろで束ねてきた」、「声が小さいので

大きな声での挨拶をお願いした」との記述があり、生徒は社会で必要な事を実体験として学ぶことができた。 3 社会と接するよい機会となった。

(1) 職場体験の対象者がアルバイトを35時間していない生徒であるため、職場体験自体がアルバイトを始めるきっかけとなっている。職場体験を行った生徒の中には、自信をつけてアルバイトを始めた生徒もいれば、自信が持てずアルバイトを始められなかった生徒もいるのが実態である。

今 後 の 課 題

1 対象者について (1) 本年度2名、昨年度5名と少なかった。(3年前は16名)本校には様々な生徒がおり一人一人に丁寧な指導

を行っている。教員数を考えると生徒20名程度が限界である。アルバイトを促進し、来年度も10名以下の生徒数で行いたい。

(2) 職場体験の対象者には不登校傾向の生徒など様々な生徒がいるので、職場体験委員会での十分な審議と打ち合わせが必要である。

2 指導内容について (1) 本年度はなかったが、以前は遅刻などをする生徒がいたので、今後も生徒一人一人に丁寧な指導を行ってい

くことが大切である。

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宮崎南高等学校 【キャリア教育】全体像学校を取り巻く状況・課題 生徒の状況・課題校訓;誠実・創意・気魄

○創立 年目。本県の高校生急増と高 ○素直で明るく 「あいさつ」が良い。53 本校の教育目標 、校再編の方針に基づき、普通科・家 本県の教育基本方針と本校の校訓に基づき、本校の ○積極的に学校行事や部活動に参加す政科を持つ全日制高等学校として新 教育目標として下記の つを定める。 る生徒が比較的多い。3設。これまで、県内有数の進学校と ①本校生としての誇りを持ち、自ら学び、自分を高め、 ○多くの生徒は、落ち着いた態度で授して実績を残すとともに、多くの有 何事にも挑戦する生徒の育成 業を受けている。

。為な人材を輩出。 ②自らの能力・個性を最大限に伸長させる姿勢を備え ●自発的学習習慣が身についていない○現在、普通科に加えてフロンティア た、人間的に幅のある生徒の育成 ●進路について明確な目的が無く、進科が新設され、以前の文科総合科の ③目標の実現に向けて諦めず努力し、ひいては社会の発 路決定を先送りする傾向がある。伝統を継承しつつも新たな体制を築 展に貢献できる生徒の育成 ●将来への展望や志向の希薄化きつつある。 職員の状況・課題求める生徒像●合同選抜廃止、全県通学区撤廃後の ○生徒の自己実現のため生活指導、学【自ら学び、自分を高め、何事にも挑戦】変遷への対応 (自由競争の時代) ~「ありたい自分・なりたい自分」 習指導、進路指導に尽力している。。●進学校としての特色づくり 「今日の自分より明日の自分」を求めて~ ○「温かく 「分かりやすく 「粘り強」 」●学力向上のための創意工夫 「ありたい自分 「なりたい自分」を誠実に追 く」を指導の基本方針として掲げ、(誠実) 」

地域や保護者の状況 い求め、自ら主体的に学び続ける 「われわれは、プロである」という○「進学校」という地域・保護者の認 意識のもと日々の教育活動に当たっ識と期待がある。 「今日の自分より明日の自分」と高みを求め、 ている。(創意)○多くの保護者は、本校の教育体制に 自ら創意工夫し自分を高める ●授業力のさらなる向上理解を示し、協力的である。 ●教育活動全般に対するプロ教師とし○同窓会やPTAに、学校と協力して 自己の未来を切り拓くため、自ら何事も気魄を てのさらなるスキルアップ(気魄)成果を上げようとする気運がある。 込めて挑戦する ●組織力のさらなる発揮

キャリア教育の全体目標【生徒一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てる】

創立52年目を迎える本校は、これまで日本及び世界で活躍する人材を数多く輩出してきた。本校に対するこれら先哲の期待は非常に大きいものがあり、地域や保護者の期待と合わせて、下記の4つの能力を備えた人材の育成が求められている。本校の教育活動をこの つの能力の育4

生徒一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てる。成に分類し、組織的・体系的な指導により、人間関係形成・社会形成能力 自己理解・自己管理能力 課題対応能力 キャリアプランニング能力

・自己と他者の理解及び他者受容 ・自己への肯定的理解と主体的行 ・課題発見能力 ・多面的、多角的情報収集力・コミュニケーションスキルと 動力 ・進路実現のための課題把握 ・分析力、考察力プレゼンテーションスキル ・自己の能力と適性の客観的把握 ・解決に向けた実行力 ・将来設計立案

、・自分の役割の認識と協調性 ・自己の将来設計に基づく進路決 ・困難克服のスキル ・ライフステージに応じた個人的・社会への積極的参画 定 ・計画的遂行力 社会的な役割や責任

各学年の努力目標第1学年[信頼] 第2学年[出藍] 第3学年[飛翔]

・ルールやマナーを守らせ、規律ある生活態度 ・中核学年としての意識を育成する。 ・端正な服装、規律ある生活態度を身につけさ(自己管理能力) (自己理解・自己管理能力) (自己理解・自己管理能力)を身につけさせる せる。 。

・学ぶことの意義を認識させ授業や家庭学習に ・端正な服装、規律ある生活態度を身につけさ ・相手の意見や立場を尊重する思いやりのある課題対応能力 (自己理解・自己管理能力) (人間関係形成能力)積極的に取り組む姿勢を培う せる 心を育む。 。 。( )

・自尊感情及び他者尊重の精神を育てる。 ・相手の意見や立場を尊重する思いやりのある ・授業を中心として、基礎基本の定着を図り、(人間関係形成能力) (人間関係形成能力) (課題対応能力)心を育む 応用力をつけさせる。 。・自己の能力や適性を考えさせる啓発的指導を ・授業を大切にし、基礎基本を徹底させると共 ・自分の進路目標を明確にし、進路を実現させ行い、進路目標を明確にさせる。 に応用力を育成する る )。 。(課題対応能力) ( 能力キャリアプランニング

・適切で継続的な進路指導により、進路目標を(自己理解・ 能力)キャリアプランニング・社会的・職業的自立に向けたキャリア教育を 明確にさせる )。( 能力キャリアプランニングとおして 在り方生き方を考える生徒を育てる ・部活動や委員会活動と学習の両立を図る。、 。(社会形成・ 能力 社会形成・課題対応能力)キャリアプランニング ) (

教育活動を通して身につけさせたい能力と指導内容教科活動 教科外活動

人間関係 国 ・文章や言葉を正しく理解し、自分の考えや意見を的確な言 ・ や などの行事「 )新入生オリエンテーション(FORM 」 「遠足」形成・社 葉で表現し、相手に対して分かりやすく正確に伝える力を身 を通して、新しい環境にいち早く適応し、望ましい人間関係構築の会形成能 につける。 きっかけをつくる。力 英 ・英文や英会話表現を正しく理解し、自分の意見を英語で的 ・ を通して多様な他者の考えや立「人権教育」や「WISH教育」

確に伝える力を身につけるとともに異文化についての理解を 場を理解し、相手を尊重する態度を育成する深める。 ・ を通して、活動目標を共有し、「部活動」や「各種委員会活動」

地 ・日本と世界の歴史、及び地理的環境を知り、国際的な視野 互いに支え合いわかり合える友人を得る。歴 から物事を捉え、世界のなかの日本の在り方を考え、世界と ・ などへ「 )」、 」、四校定期戦(野球 「長距離走大会 「クラスマッチ」

。日本が抱える問題解決に積極的に関わる意志と力を身につけ の参加や応援を通して帰属意識を高め自分の役割を積極的に果たする。 ・ を通して、自分の役割を果たしつつ、「 )鵬祭(文化祭・体育祭 」

公 ・社会や経済のしくみを知り、自分の果たすべき役割を認識 他者と協力・協働して行事に積極的に参画する。また、組織として民 するとともに、他者の価値観や個性を理解・尊重し、自分と 動く場合に生じる課題や人間関係の諸問題に対して、創意工夫しての差異を認めつつ受容する姿勢を培う。 解決していく能力を培う。

「 」 「 、 」自己理解 国 ・物事を多面的・客観的に捉える能力を育成するなかで、自 ・ を通して多くの書物に触れたり朝読書 修学旅行 海外研修、・自己管 地 分が「できること 「したいこと」や「価値観 「生き甲斐」 などの体験を通して、知識や思考の幅を広げ、自己の価値観を形成」 」理能力 公 「やり甲斐」などについて主体的に考え、理想とする人格を し、自己を生かせる生き方を現実的に考える。

形成する。 ・ などを通して、自己を律し、心身「体育祭」や「長距離走大会」、 。芸 ・様々な作品に触れることにより、豊かな感性を身につけ、 の健康管理に努めるとともに 積極的に挑戦する気力と体力を培う

自己や他者に対する洞察力を深める。 ・ を通「 ) 」、総合的な学習(図南タイム 」や「LHR {進路講演会」家 ・食と運動を関連づけて理解し、自己の心身の健康の維持増 して、職業についての総合的、現実的な理解に基づいて将来を設計体 進に役立てる能力を身につける。 し、自己実現のための進路計画を立案する。

課題対応 数 ・複雑な事象を整理するとともに、物事を論理的に考え、効 ・ での討議・審議を通して、学級や学校「LHR」や「生徒総会」能力 率的に解決する能力を身につける。また、国内のみならず、 の課題を共有し、自分の役割を認識するとともに、協力して課題解

国際的な視点に立ち、国際社会や世界経済の動向など、数値 決に向けて働きかける能力を培う。的思考能力を養う。 ・ を通して、プレゼ「 )総合的な学習(図南タイム 」や「総合科学」

理 ・探究活動や実験実習を通して、観察力・分析力・考察力を ンテーション能力やコミュニケーション能力を高め、周囲の理解を身につけるとともに、課題を発見し、自ら工夫して解決に当 得る方法を学ぶとともに、周囲と協調して課題に対応する能力を培たる能力を培う。 う。

体 ・課題解決に要求される体力と気力を培う ・ を通して、理想「 )鵬祭(文化祭・体育祭 」や「各種委員会活動」情 ・IT機器を適切に使用し、目的に応じた効率的な情報収集 と現実との葛藤を体験し、また、課題発見及び解決の経験をするな能力を身につけ、課題に対して、適切な計画を立て処理でき かで、様々な困難を克服するスキルを身につける。る能力を培う。

キャリア 地 ・歴史を学び、現代社会の変遷に対して適応していく能力を ・日常の を通して 「働くこと」を担う意「清掃活動や美化活動」 、プランニ 公 高めるとともに、よりよい「在り方」や「生き方」を追求し 義を理解し、社会のなかで自分の果たすべき様々な立場や役割を担ング能力 ていく能力を高め、確かな人生観のもと、高校卒業後の進路 う「喜び」を体感する。

「 、 」「 」について決定する。 ・ 宮崎大学 南九州大学との高大連携事業 オープンキャンパス体 ・生涯スポーツの意義を理解し、心身ともに健康的な一生を を通して、自己の興味関心の幅を拡げ、自分を活かすことのできる送る基盤とするとともに、仕事を円滑に遂行するための運動 進路について幅広い視点から捉える。

1年次の文理選択 「2年次の類型選択 「3年次の進路選択」機能的スキルを身につける。 ・「 」 」家 ・男女共同参画や社会福祉の充実がもたらす恩恵について理 を通して、自己実現を図るための判断力・決断力を培う。解するとともに、その維持発展に積極的に貢献する気概とラ ・ などを通し「 )、職業講演会(鵬ドリカム講座 「テーマ別講演会」イフステージに応じた個人的・社会的役割や責任を果たす意 て、職業についての理解を深め、社会人・職業人としての自己実現志を身につける。 を図る。

情 ・卒業後の進路や職業・産業の動向について、多面的・多角的に情報を集め検討することができる能力を培う。

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・基礎学力の定着・学習指導法の改善・授業評価の充実・進路指導の充実・学力を補完する事項の充実 (読書 小論文 各種検定 資格取得等)

・キャリア教育「さいと学」 の充実・基本的な生活習慣の確立・福祉科の充実・発展・部活動の活性化・師弟同行の推進

キャリア教育の全体目標

目指す学校像地域に根ざし地域から信頼されるために、目指す学校像を次の3点とする。

①生徒一人一人を大切にし、寄り添って、その潜在能力を引き出す学校②生徒の学力、体力を向上させ、豊かな人間性を育む学校

③生徒、保護者、地域社会、時代のニーズに応えられる学校

重点目標

「未見の我」を求めて、①志を立て、実現に向けて努力を重ねる生徒 ②確かな学力を身につけた生徒 ③思いやりのある生徒、場に応じた行動ができる生徒 ④課題発見、探求、考察、提言のできる生徒、の育成を目指す。

重点目標の評価項目

進路の実現 学校の特色 学校の社会性 生命の安全

①学力の向上(進路の実現) ②妻高ブランドの確立(学校の特色)

人間関係形成社会形成能力

自己理解自己管理能力

課題対応能力

キャリアプランニング能力

・基本的な生活習慣及び規範意識の 確立・学習習慣の確立と基礎学力の充実・進路意識の高揚と進路目標の早期 設定

教育活動を通して身に付けさせたい能力・指導内容基礎的・汎用的能力

・自己の役割の理解・前向きに考える力・自己の動機付け・忍耐力・ストレスマネジメント・主体的行動

・情報の理解 選択 処理等・本質の理解  ・原因の追究・課題発見   ・計画立案・実行力    ・評価 改善

学級における自己の役割を理解し、主体的に考え行動できる能力を育成する。

現代社会の現状を理解し、解決策を考慮することにより、自らの課題を発見し解決する能力を育成する。

生徒一人一人の進路に関わる課題について、面談・LHR等を通して解決を図り、将来の目標を実現できる能力を育成する。

・学ぶこと 働くことの意義や役割 の理解・多様性の理解  ・将来設計・選択      ・行動 改善

教科指導

・言語に対する関心、理解 の深化、言語活動の充実・「わかる」授業の実践・自己肯定感、充実感を感 じられる指導の実践

・適切な教材や題材の利用・自己の能力や適性の理解・職業選択に必要な知識・技 能習得能力の育成

進路指導部

キャリア教育を実践するための基盤(各分掌)教務部 年間指導計画、学習習慣の確立と学力の向上 生徒指導部 基本的な生活習慣の確立、リーダーの育成

各学年における重点目標

学校行事・その他の特別活動

バーチャル市役所生徒フィールドワーク事業所訪問生徒発表プレゼンテーション進路ガイダンスマナー講習会課題研究オープンキャンパス参加保護者・地域講師の進路講演会

インターンシップ修学旅行における企業・大学訪問

対外模試大学出前講座小論文・面接指導進路別学習会面接指導集会就職希望生集会進路講演会小論文講演会地域行事への参加

「弁当の日」の設定(自立)

キャリア教育推進教員 学校全体のキャリア教育の調整、推進。

情報広報部 情報提供、広報活動の充実 事務部 キャリア教育に関する予算確保と執行

総学、LHRの体系指導、進学就職指導充実 環境保健部 豊かな心身の育成及びその環境作り

図書部 読書活動を通した生徒の意識啓発 渉外部 保護者・地域との連携、地域との交流促進

・基礎的な知識、技能の習得・思考力、判断力、表現力 その他の能力の育成・主体的な学習態度の養成・課題対応能力の育成

・果たすべき役割の認識・将来の生き方を考え行動 する態度、能力の育成・学習計画の立案・実践の記録

平成26年度 宮崎県立妻高等学校 キャリア教育全体計画

③地域・保護者との連携(学校の社会性) ④保健・環境の充実(生命の安全)

・地域との交流の促進・受験生の確保(中学生)・HPなど広報活動の充実・PTA活動の充実

・命を大切にする教育の推進・環境美化・環境整備の充実・毎日の清掃の徹底・健康安全教育の推進・防災教育の充実

・他者の個性を理解する力・他者に働きかける力・コミュニケーションスキル・チームワーク・リーダーシップ

各能力における要素 学級活動

学級の自己の役割を果たし、コミュニケーションスキルを育てることにより、自己存在感を持ち、他者と協力する姿勢を育成する。

・当たり前のことを当たり前にできる 生徒の育成・中堅学年として妻高の中核を担いう る生徒の育成・進路実現を目指して主体的に行動で きる生徒の育成

・一人一人の進路目標の早期決定・目標実現に向けて個に応じた指導の 徹底・遅刻・欠席・提出物などの指導によ る社会性の確立

1学年 2学年 3学年

立志主体性の重視

友愛思いやりと慈しみ

創造新たなものの創出

「校訓」

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日向高校生に「燁(かがやき)」を!「燁(かがやき)の像」:両手を中空に大きく広げ、視線ははるか日向灘を、かがやかしい未来を見据えている。      ~豊かな心とたくましい体の象徴として、また卒業生が21世紀を力強く生き抜くことを願って~

          2.自己を知り、目標に向かって学び続けよう。          3.喜びと成就感の味わえる高校生活を送ろう。

・社会問題と並行して知識習得する ・人権学習と絡めて人間関係構築能力を養う ・礼法・作法指導を行う

・意見の根拠を示す ・意見の多様性を引き出し認め合う ・常時の声かけ指導を続ける

・人間関係形成の大切さを学ぶ ・ピア・サポート活動をする   (自己存在感の育成)

・生物としてのヒトを理解させる ・自分と他者の良さを意見交換する ・問題が生じたとき生徒のみで話し合う

・国語を通して日本人の歩みを学ぶ ・生活環境を良くする取組をする ・客観的に物事を見たり聞いたりする

・人生について人間について考える ・社会について深く考えるきっかけを作る ・集団行動の中でグループ作りをする

・諸問題考察から人類の共生について考える ・深く考えたことを共有する場を作る ・「みんなちがってみんないい」価値観を育む

・講演会や研修会に積極的に参加する

・どんな人になりたいか問い続ける ・自分が何をしたいのかを深く考える ・自己肯定感を高める

・自分で考えて学習する ・プロ(ある道)の生き方を想定する   (野外活動・市の事業への参加など)

・豊かに生きるとはどういうことかを考える ・個別面談を充実させる ・何かを工夫して実践してみる

・思想家の考え方を比較・検討する ・職業や受験校について調べる ・勉強の後に何が待っているのかを考える

・歴史を通して現代社会の流れに関心を持つ ・部の現状把握と分析、練習選択と検証を行う

・長文を読み自分の立場で考え発表する ・自分の長所と短所を知る

・丁寧に書く力・集中力・忍耐力を身につける ・面接・小論文指導を行う

・進路行事を契機に決意したことを文章にする

・グループで調べ学習・発表・まとめる ・職業人インタビュー・発表を行う ・清掃時間に+αを探して行動する力

・社会問題に関するディベートをする ・学ぶ楽しさ・できる喜びを感じる体験をする ・練習メニューを自分たちで考える

・持久走で最後まで走り抜く ・清掃美化活動を行う ・部活動において基礎・基本を徹底する

・英語を通して世界を知る ・委員会活動をしっかりする ・必要とされる存在になれるようにする

・教えすぎずに教え合い・学び合う ・意見を交わす言語活動を行う ・個々に応じた指導法でかみ砕いて説明する

・情報活用能力を高める ・文化祭の準備で話し合いや発表をする

・教科と社会生活との関係を伝える ・情報収集・整理・プレゼンテーションを行う ・成長を待つ時間的余裕を教師が持つ

・インターンシップに参加する

・調理実習で役割を果たすことの大切を実感する

【2年】自己啓発

教育活動を通して身につけさせたい能力 ・ 指導内容 (例)3つの姿勢 各教科・科目

 自己を知り、目標に向かって学び続けよう

HR・総合的な学習の時間 学校行事・部活動・その他

 生命尊重を基盤とした責任ある言動をとろう

・環境問題・国際理解について考え意見を発表する

・労働の在り方や余暇を通して自分の将来のビジョンを持つ

・学級活動で目標設定・実行・評価の練習をする

・自分の進学や就職について真剣にイメージする・自分の役割を知り、やり遂げる。

地域や保護者の願い

【3年】自己実現

【4領域8領域】人間関係形成能力(自他の理解能力・コミュニケーション能力)/情報活用能力(情報収集・探索能力・職業理解能

力)将来設計能力(役割把握・認識能力・計画実行能力)/意思決定能力(選択能力・課題解決能力)

  【基礎的・汎用的能力】 「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」

①最高学年として学校を統率し、「受験は団体戦」を意識して支え合いながら人間力を磨く。          ②情報収集をして社会状況を把握し、多くの主張に触れながら自分の考えや意見を構築する。           ③苦手科目を克服しながら、受験に対応可能なバランスの良い学力を養う。

平成26年度日向高校キャリア教育全体計画

生徒の実態・課題

▲自主性・思考力・学習意欲・語彙力 自己肯定感・探求心・貪欲さ・危機感

学校を取り巻く状況・課題

「地域の子どもは地域で育てる」という期待を背負っているが唯一の進学校であるため競争意識や刺激に乏しい。

校訓

日向キャリアの柱

・教科と社会生活との関係を伝える ・分野は違っても社会において大切な事は同じであることを知る

志望進路達成地域に貢献できる人材育成

「剛健・信愛・創造」

「変わる・伸びる・実現する」求められる教師像

率先垂範師弟同行

◎素直・礼儀正しさ・純粋さ・優しさ 

 喜びと成就感の味わえる高校生活を送ろう

キャリア教育で身につけさせたい能力 「4領域8能力」+「基礎的・汎用的能力」

              『身につけよう3つの姿勢』          1.生命尊重を基盤とした責任ある言動をとろう。

①自己と他者の違いを認識し、学級活動や部活動・行事を通して有効な人間関係を築く。②学習と部活動を両立する生活習慣と国数英を中心に学習する習慣をつくる。③職業夢講座や講演、出前講座などを通して学ぶこと・働くことの意義を理解する。

【1年】自己理解

キャリア教育の全体目標 一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達(社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程)を促す。

①学校の要の存在であることを意識して活動し、体験を通して自己肯定感を高める。②進路実現に向けた課題を理解し、学習活動や特別活動を通して勤労観・職業観を育成する。③大学研究やオープンキャンパス参加を通して、情報収集をし、進路目標を定めて将来設計を立てる。

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平成26年度 宮 崎 西 高 等 学 校・宮 崎 西 高 等 学 校 附 属 中 学 校

キ ャ リ ア 教 育 全 体 計 画

日本国憲法 1 から求められていること第 二 次 宮 崎 県 教 育 振 興 基 本 計 画 国民教育基本法 スローガン 「未来を切り拓く 心豊かでたくましい 宮崎の人づくり」 「生きる力 「生き抜く力」」学校教育法 目指す県民像 1.夢や希望を抱き、生涯にわたって自己実現を目指す人 2 から求められていること県民学習指導要領 2.ふるさとを愛し、地域や社会の発展に主体的に参画する人 「高い進路実績」

3.グローバルな視野をもって活動する人 3 から求められていること宮崎県教育基本方針 生徒・保護者施策の目標Ⅲ 「自立した社会人・職業人を育む教育の推進」 「生き生きとした高校生活」宮崎県人権教育方針

項目3 「キャリア教育・職業教育の推進」 「進路実現」

地域・保護者の願い 学 校 経 営 方 針 生 徒 の 実 態 と 課 題今年度 周年を迎 宮崎県教育基本方針および宮崎県人権教育基本方針に基づき個性の伸長 ほとんどの生徒が大学等に進学し40える本校に対しては に努め、知・徳・体の調和のとれた、郷土・国家・国際社会の発展に貢献 ているが、将来の職業や生き方につ、普通科とともに、理 できる、主体性、先見性、実践力のある、誠実にして敬愛の精神に富む創 いての意識は希薄なまま進学する生数科につながる中高 造性豊かな人材を育成する。 徒も多い。生徒の気質は、誠実で純一貫校として、高い 朴である。職業を含む自らの将来を進路実績と、郷土や 展望させ、生涯にわたる学びのスタ目 指 す 学 校 像日本を牽引する人材 (1)逞しく生き抜く力を育てる学校 ート地点において進学する意義を明の育成が期待されて (2)進学と文化・スポーツ活動の両面でともに高い実績を上げる学校 確にすることで、学習意欲の向上をいる。 (3)実社会において活躍する逸材を輩出する学校 図りたい。

《 生 徒 に 身 に 付 け さ せ た い 能 力 》知 力 忍 耐 力規 範 意 識 人間関係力

生 命 力

キ ャ リ ア 教 育 の 目 標生涯にわたる在り方・生き方について、生徒の自覚を促し、学習意欲の向上につながる西校ならではの系統的なキャリア教育を推進する

基 礎 的・汎 用 的 能 力人間関係形成・社会形成能力 自己理解・自己管理能力 課題対応能力 キャリアプランニング能力A B C D

多様な他者の考えや立場を理解し、 社会との相互関係を保ちつつ 仕事をする上での様々 「働くこと」の意義を理解し、自ら、相手の意見を聴いて自分の考えを正確 今後の自分自身の可能性を含め な課題を発見・分析し、 が果たすべき役割を踏まえて「働くこに伝えることができるとともに、自分 た肯定的な自己理解に基づき主 適切な計画を立ててその と」を位置付け、多様な生き方に関すの置かれている状況を受け止め、役割 体的に行動すると同時に、自ら 課題を処理し、解決する る様々な情報を適切に取捨選択・活用を果たしつつ他者と協力・協働して社 の思考や感情を律し、かつ、今 ことができる力。 しながら、自ら主体的に判断してキャ会に参画し、今後の社会を積極的に形 後の成長のために進んで学ぼう リアを形成していく力。成することができる力。 とする力。 ☆情報の理解・選択・処 ☆適切な勤労観や職業観☆他者の個性を理解する力 ☆自己の役割の理解 理力・活用能力 ☆自ら将来設計する能力

、 、☆コミュニケーション能力 ☆自己の動機付け ☆忍耐力 ☆原因の追及 課題発見☆チームワーク・リーダシップ ☆主体的行動 ☆学習意欲 計画立案、実行力

学年 学年求 め る 生 徒 の 能 力主 な 指 導 内 容・学 校 行 事

学校全体で行うもの 中・高別に行うもの 中高の各学年で行うもの○集団の一員としての役割を

中 理解し果たそうとする A A ・宿泊体験学習 中(むかばき)1 ○将来に対する夢やあこがれ A ・中体連への参加 B ・特活「学級と自分の役割」 1

を抱く ・学級開き ・中学百人一首大会 C ・特活「職業調べ」・役員選出 D ・特活「働く意義」

○社会の一員としての自覚が ・立会演説会中 芽ばえるとともに社会や大 ・遠足 B A ・ディベートに挑戦(学年レクリェーション)2 人を客観的にとらえる ・四校定期戦 ・心の健康講話 B ・特活「社会に生きる一員として」 中○将来への夢を達成する上で ・球技大会 D ・特活「将来をデザイン」 2

(事前・事後学習)の現実の問題を解決しよう ・朝陽祭文化の部 C ・職場体験学習とする ・合唱コンクール ・中学各種委員会 ・修学旅行(京都大学での研修)○社会の一員としての義務と ・朝陽祭体育の部 ・中学生徒集会

中 責任を理解する ・全校応援披露 ・中学生徒総会 A ・綾体験学習3 ○将来設計を達成するための ・種子島屋久島研修 中

困難を理解し、それを克服 B ・理数科へのオリエンテーション 3しようとする B C ・特活「学習の進め方の確認」

・交通安全教室 D ・特活「将来を見通した進路」○学習活動を通して自己の能 ・希望教育相談

(西高 講座)高 力適性を理解する ・健康講話 A C ・キャリア教育講座Ⅰ YUME1 ○様々な情報を収集し進路選 ・ ・部活動紹介 ・キャリア教育講座Ⅱ 高中学オープンスクール ( )学部学科研究・講演会

択の幅を広げる ・WYSH学習 ・高校総体への参加 D ・インターンシップ 1(事前・事後学習)・統一LHR人権教育 ・オープンキャンパス参加( 「 」)人間基礎教育を基盤とする 性に関する教育

・薬物乱用教室 B○学習活動を通して勤労観・ ・芸術鑑賞教室 ・ライフスキル

高 職業観を育成する ・高校オープンスクール A ・修学旅行(国内・国外)2 ○自己の職業的な能力適性を C D ・キャリア教育講座Ⅰ 高

理解し、将設計を図る C ・生徒議会各種委員会 (西高 講座) 2YUME○進路実現に向けた課題を理 ・入学式 ・LHRクラス討議 ・キャリア教育講座Ⅱ解し、検討する ・SMS ・進路講演会 (学部学科研究・講演会)

D ・オープンキャンパス参加(スクールマナーズセミナー)○自己の能力適性を的確に判 ・青島太平洋マラソン

高 断し、卒業後の進路につい (ボランティア活動) A ・面接コミュニケーション3 て具体的な目標と課題を定 D ・実習生の話を聞く会 B ・消費者セミナー 高

め実行に移す ・学校図書紹介 ・合格体験発表会 D ・志望理由書作成 3○理想と現実の葛藤を通して ・小論文に挑戦困難を克服するスキルを身 A・理数科課題研究 ・選択制講座制課外に付ける C・理数科講演会

・東大訪問

キ ャ リ ア 教 育 推 進 と 校 内 組 織◆広報・キャリア教育推進部(各校務分掌・各学年・各教科と連携したキャリア教育全体計画作成、校内外への自校キャリア教育を発信)○教務部(キャリア教育の視点を踏まえた教育課程編成) ○進路支援部(講演会の計画運営、適切な進路相談・指導)○生徒支援部(体験等を通した生徒の規範意識の醸成) ○渉外厚生部(キャリア教育の視点を踏まえたPTAとの連携)○研究部(キャリア教育の視点を踏まえた授業研究) ○図書部(キャリア教育の視点を踏まえた読書活動の推進)○環境保健部(豊かな心を育むための学校環境づくり) ○教育相談部(自己理解・他者理解のための教育相談の実施)○各学年主任 ○理数科(理数科ならではの講演会・課題研究の実施)(キャリア教育の視点を踏まえた学年運営や学活・HR計画)☆各教科代表者(キャリア教育の視点を踏まえた教科指導の研究)

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平成26年度宮崎県立高鍋高等学校キャリア教育全体計画生徒の実態・保護者の願い関連する教育法規等 学校経営目標

○素直で明るく、積極的に部○教育基本法、学校教育法 【伝統的教育理念】

活動に参加する。落ち着いた文武両道 師弟同行 身心學道 真善美 集中・機敏・奉仕態度で授業を進めることが出○学習指導要領

来る反面、生徒の自立的学習【教育目標】

意欲や習慣が身についていな○中央教育審議会答申 伝統的教育理念を根幹に据え、知を学び、徳を学び、心身

い生徒は少なくない。「今後のキャリア教育・職 の鍛練に努め、社会に貢献する生徒の育成を目指す教育を

○進路について目的意識を明業教育の在り方について」 推進することにより、保護者や地域の信頼・期待・ニーズ

確に持てず進路決定を先送り「一人一人の社会的・職業 等に応えられる学校を構築する。

する傾向がある。的自立に向けて」 【重点目標】

○狭い地域の中で自分に満足1 知的行動人の育成(学力向上・進路実現)し、十分社会との関わりをも○宮崎県総合計画 ・キャリア教育の充実等ちながら自己を高めることを「 」未来みやざき創造プラン 2 豊かな心の醸成(基本的生活習慣の確立)意識できないところがある。・基本的生活習慣の確立等○保護者は、学校教育に協力

○第二次宮崎県教育振興基3 心身の鍛練(文武両道の推進)

的であるが、教育情報が少な本計画

・部活動の活性化、食育と健康安全教育の推進等く、学校に期待するものが大

「未来を切り拓くこころ豊4 保護者や地域に信頼される学校

きい。かでたくましい宮崎の人

・中高連携の推進等づくり」

めざす生徒像① 志を立て、その実現に向けて、深淵を持って努力する生徒② 困難にくじけない、気概のある生徒③ 挨拶を励行し、規律を守る、素直で、さわやかな生徒④ 自分に対する自信と誇り、他人に対する思いやりを持った生徒

キャリア教育でめざす生徒像、 、 、自己を正しく知り 自らの人生に見通しを立て よりよい自己実現のために自らの意志と責任で進路を選択し

努力する生徒

キャリア教育の指導目標① 自己理解と自己決定

地域の自然や環境・伝統・文化、経済・産業に関する様々な活動を通して、社会の中で生きる意義を理解するととともに、自分が「できること 「したいこと 「自己の果たす役割」などの自己理解に努め、主体的に考」 」え、行動する力を育む。

② 情報活用と課題解決自らの将来を真剣に考え、将来の職業選択を視野に進路に関する情報を適切に取捨・選択し、直面する課題

を解決する能力を育む。③ 将来の設計と進路決定

将来の人生設計に基づいた職業観・勤労観を確立するとともに、学ぶ意欲を高め、自己の意志と責任において進路を決定する。

第1学年目標 第2学年目標 第3学年目標自己理解 自己啓発 自己実現

1.多様な選択肢の中から自らの意志と1.クラス活動や部活動に積極的に参 1.中堅学年として様々な活動を通し

責任で自分の適性・能力に合った進路画し、新しい環境に適応するととも て他者の価値観や個性を理解し、自

を決定する。に 自己の果たす役割について考え 分との差異を見つめつつ受容する。、 、

2.進路希望を実現するための諸条件や行動する。 2.職業や学問の探索・研究活動を通

課題を理解し、実現に向けて目標達成2.自己理解に努め、自分が「できる して 話し合いや発表能力を高める、 。

のために努力する。こと 「したいこと」について考察す 3.体験的学習活動等を通して様々な」

3.これまで収集した自分の進路に必要るとともに、集団の中で果たす役割 価値観を学ぶとともに自らの勤労

、 、について理解し、行動する。 観、職業観について価値観の形成を

な情報を整理し 具体的な目標を立て現実を視野に実現のための方法につい

3.体験活動を通して将来の望ましい 図る。

て考える。職業観・勤労観について考察する。 4.企業や大学を訪問し、企業や大学

4.職業生活における権利・義務や責任4.進路希望を実現するための諸条件 の果たす役割を理解する。

及び職業に就く手続き・方法等についや課題を発見・分析し、課題解決の 5.自分の適性や能力を的確に判断し

て理解する。ための適切な計画を立案する。 自己実現のためのライフプランを作成す

5.学校から社会への移行するためのマ5.多様な生き方に関する様々な情報 るとともに、高校卒業後の進路につ

ナーやコミュニケーション能力を身にを取捨選択し、暫定的な将来設計を いて暫定的に決定する。

つける。立案し、学ぶこと.働くことの意義を理解する。

総合的な学習の時間 LHR 学校行事 各教科・科目目標〉〈目標〉 〈目標〉 〈目標〉 〈各教科・科目で学習と現在及び将来の生活を結びつけて自己を見つめさせ、 ホームルーム活 望ましい集団活

学ぶ意義を理解させ、学ぶ意欲を高めさせる。また、身に自らの将来に夢と目標 動を通して学校生 動を通して,心身つけた知識や技術等を相互に関連づけ、学習や生活においをもち、主体的に進路 活に適応するとと の調和と調和のとて生かし,それらを総合的に活用する。実現に向かって邁進す もにホームルーム れた発達と個性の〈各科目の関連の例〉る意欲を喚起させる。 内の組織づくりと 伸長を図り,集団人間形成・社会形成能力の育成自主的な活動、様 や社会の一員とし(コミュニケーション能力の向上)〈活動〉 々な課題への対応 てよりよい生活を(話すこと・聞くこと、書くこと・読むこと)・進路適性検査 と健全な生活態度 築こうとする自主 国語(情報ネットワークとコミュニケーション・情報化・職業インタビュー を身につける。 的、実践的な態度 情報の進展と社会への影響)・進路ガイダンス等 を育てるととも

自己理解・自己管理能力の育成・企業・大学訪問 に,人間としての(社会における自他の役割の理解)・修学旅行キャリア研修 在り方、生き方に

(環境問題、資源エネルギー問題、経済の発展と国・インターンシップ ついて自覚を深 地歴民生活の変化,生活圏の諸課題の考察)・ライフプラン作成・路設計 め、自己を活かす(消費生活と生涯を見通した経済計画、ライフスタ・小論文講座 能力を養う。 家庭イルと環境、共生社会における家庭と地域)・ビジネスマナー講習会

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小林高等学校キャリア教育の全体構想

(キャリア教育の定義) (社会的・職業的な自立に向けて必要な能力) (宮崎県のキャリア教育の目標) (宮崎県のキャリア教育の方針) (本校の教育目標)

(本校のキャリア教育目標)

各学年のキャリア教育の目標 第1学年 第2学年 第3学年

① 新しい環境に適応するとともに

他者との望ましい人間関係を構

築する。 ② 学習活動を通じて、自己の能力適

性を理解する。 ③ 様々な情報を収集し、進路選択の

幅を広げる。

① 他者と価値観や個性を肯定的に認

め受容する。 ② 学習活動を通じて勤労観・職業観を

育成する。 ③ 自己の職業的な能力特性を理解し、

将来設計を図る。 ④ 進路実現に向けた課題を把握し、解

決策を検討する。

① 自己の能力適性を判断し、卒業後の進

路について具体的な目標と課題を定

め、実行に移す。 ② 理想と現実の葛藤を通して困難を克

服するスキルを身につける。

本校の具体的取り組み ・「私の学習ノート」「進路達成ノート」 ・「進路プランニングノート」 ・「進路面談」「希望調査」「進路だより」 ・「職場体験学習」の実施 ・職業講話の実施 ・進路講演会の実施 ・支援学校との交流

・「私の学習ノート」「進路達成ノート」 ・「進路プランニングノート」 ・「進路面談」「希望調査」「進路だより」 ・進路講演会の実施 ・オープンキャンパスや大学説明会への参加 ・大学出前講座の実施 ・支援学校との交流

・「私の学習ノート」「進路達成ノート」 ・「進路プランニングノート」 ・「進路面談」「希望調査」「進路だより」 ・進路講演会の実施 ・オープンキャンパスや大学説明会への参加 ・支援学校との交流

「 自立した社会人・職業人の育成 」

① 小・中・高等学校等の『 縦 』の連携を図りながら、発達の段階に応じたキャリア教育をすすめる。 ② 学校と家庭・地域社会・企業等との幅広い『 横 』の連携を図りながらキャリア教育をすすめる。 ③ 宮崎県の産業、地域性に配慮し、宮崎県独自の課題やニーズに対応したキャリア教育をすすめる

○ 「立志鍛錬」の校訓のもと、知・徳・体の調和のとれた人材の育成を目指す教育を推進する。 ○ 西諸県地区の教育拠点校としての役割を認識し、生徒・保護者及び地域住民の期待やニーズに応え、信頼される学校づ

くりを目指す。

① 生徒たちが将来の在り方・生き方を考え自己の進路目標を目指し、主体的に学校の活動に取り組むキャリア教育の

充実を図る。➡自己理解・自己受容、勤労観・職業観の確立 ② 生徒1人1人が卒業後の社会に強い意識を持ち、学びと将来のビジョンをリンクさせて学習意欲を高めることがで

きる教育を推進する。➡将来設計の立案、進路の現実の吟味・試行的な参加 ③ 校内での推進体制の整備をすすめ、小中校との「縦」の連携はもちろんのこと、家庭や地域社会・企業との「横」

の連携を図りながら総合的・系統的なキャリア教育を推進する。 ④ 受験指導や受験勉強もキャリア教育の一環として位置付け、生徒一人一人の課題対応能力(課題発見、計画立案、

実行力)や自己管理能力(忍耐力・ストレスマネジメント)を育てる。

一人一人の社会的・職業的な自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して

キャリア発達(社会の中で自分の役割を果たしながら自分らしい生き方を実現していく過程)を促す教育

① 人間関係形成・社会的形成能力 ➡ コミュニケーションスキル、リーダーシップ、チームワークなど ② 自己理解・自己管理能力 ➡ ストレスマネジメント、忍耐力など ③ 課題対応能力 ➡ 情報理解、課題発見、計画立案、実行力、評価・改善など ④ キャリアプランニング能力 ➡ 学ぶこと、働くことの意義や役割の理解、将来設計など

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H26 目 標 項 目 内 容 各教科での

キャリア

教育の目標

【国語】 「人が、生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだして

いく連なりや積み重ね」において、重要な役割を果たす総合的な言語能力を身に付けさせる。具体的に

は以下の3点を掲げる。 1 漢字の知識や語句の意味、古典文法や漢文句法など、基礎的事項を確実に習得させる。 2 論理的に文章をとらえることにより、客観的な読解力を育てる。 3 自分の意見を文章にして、根拠を明確に挙げ、論理的に説明できる力を育てる。 【地歴・公民】 1 諸地域世界の成り立ちとその特徴、また国際社会と我国との関わりを過去から現在・未来へと見通

す力を養う。 2 変化を続ける国際社会に主体的に生き、直面する様々な課題に柔軟に対応できる生徒を育成する。 3 自己の生き方を主体的に考察し、資料や情報を活用する能力を身に付け、自己の考えを適切に表現

できる生徒を育成する。 【数学・情報】 1 数学的な活動を通して、客観的なデータに基づく判断を行い、議論し、多様な考えを深めさせる。

2 基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、それらを活用する態度を育成する。 【理科】 1 自己の役割を理解し、自ら主体的に実験・観察に取り組む能力を育成する。 2 課題に対して探究的に活動し、科学的・論理的に分析し、真理を見いだそうとする能力を育成する。 3 科学技術の発展と人間生活との関わりについて認識を深め、科学的に考察しようとする能力を育て

る。 【保健体育】 1 実生活、実社会の中などで卒業後においても、継続的なスポーツライフを営む能力を育成する。 2 現在及び将来の生活において、健康の保持増進のための実践力を育成する。 3 現在及び将来の生活を健康で活力に満ちた明るく豊かなものにする態度を育てる。 【芸術】 1 卒業しても芸術に興味を持ち、愛好する心情や感性を育てる。 2 鑑賞教育を通して、鑑賞する能力を伸ばし、自ら芸術作品に触れようとする態度を育てる。 3 身に付けた技術や表現を生かして実生活に創造的な世界を作り出すことに目を向けさせる。 【英語】 1 教科書の内容を通して様々な生き方に触れることで、進路選択の幅を広げさせる。 2 教科書で扱う内容を通して自ら異なった価値観を受容し、幅広い進路選択ができるようにする。 【家庭】 1 結婚や家族、子どもの発達や高齢者の生活等の学習を通して、ライフステージとそれぞれの発達課

題を踏まえたライフプランを考える力を育てる。 2 実験・実習を通して、生活を考える力や実践力を身につけさせる。 3 ホームプロジェクトや学校家庭クラブ活動を通して、地域や社会の一員としての役割について考え、

課題解決能力や意思決定能力を身につけさせる。

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平成 26 年度 宮崎県立日南高等学校 キャリア教育全体計画

1 宮崎県立日南高等学校教育目標

宮崎県教育基本方針並びに宮崎県人権「教育」基本方針・教育施策及び「第二次宮崎県教育振興基本計

画」に基づき、確かな学力を基盤とした感動と感性の教育を通して、地域社会はもとより国家社会の発展

に寄与する有為な人材の育成に努める。

2 キャリア教育の全体目標

生徒一人ひとりの自己実現や社会的・職業的自立に向け必要な基盤となる能力や態度を育成し、自らの

進路を主体的に選択し、達成するために3ヵ年かけた組織的・系統的指導を行う。

3 キャリア教育で育成する具体的な能力や態度

① 自身の進路選択を適切に責任持って行うことのできる自己理解・情報収集・情報処理・課題設定・計画

実行の能力

② コミュニケーション能力やリーダーシップ能力、社会規範、マナーなど、社会人として求められる基礎

的な資質と能力

③ 自らが果たすべき立場や役割との関連を踏まえて「働くこと」の意義を理解するなどの、広い意味で

の職業観・勤労観

④ 職業人として、また、上級学校進学後に必要最低限な学力

4 各校務分掌のキャリア教育目標

教 務 部 生徒指導部 進路指導部 図書渉外部 環境保健部

社会的・職業的に自

立するために必要な

基盤となる能力や態

度を育成する。

職員・保護者・地域と

連携し、生徒の心身の

健全育成に図るととも

に、普段の学校生活や

各種行事を通して帰属

意識の高揚につとめ

る。

生徒が進路を主体的に

選択し、目標実現に向

けて課題を見つけて行

動できるように、適宜

情報を流すとともに、

分野別教養講座などの

体験的活動をとおして

職業意識・進路意識の

高揚を図る。

職員・保護者・地域の

方々と協力して、学校

での教育活動全般を充

実させていき、それらが

生徒達の活力や、帰属

意識の高揚につなが

り、自信と誇りをもっ

て社会に貢献していく

ための基礎力を育成す

る。

職員、生徒、保護者、

地域と連携して、環境

美化、奉仕、ピア・サ

ポート活動、避難訓練

に取り組むことで、挨

拶、マナー、コミュニ

ケーション能力、公共

の精神等の人間関係形

成能力・社会形成能力

を身につける。

5 各学年のキャリア教育目標

第 一 学 年 第 二 学 年 第 三 学 年

1 本校生徒として新しい環境に適

応させる。

2 学習活動等を通して、自己の特

性を認識させる。

3 進路学習等を通して、自己の職

業観について考察させる。

1 いろいろな経験を積ませること。

2 自分の特性を知るようにさせるこ

と。

3 適正にあった進路選択ができるよ

うにさせること。

1 進路実現のための基礎的・応用

的な学力の習得

2 社会人となるための基礎的・応

用的な常識の修得

3 地域社会に貢献できる視点を備

えた人材の育成

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6 各教科のキャリア教育目標

国 語 科 地歴公民科 数 学 科 理 科 保健体育科

1 充実した言語活

動を行い、各教科

等の学習の基本と

なる国語力や、社

会人として生きる

ために必要とされ

る国語能力の基礎

を身に付ける。

2 互いの立場や考

えを尊重しながら、

言語を通して円滑

な相互伝達、相互

理解を進める力を

養う。

1 様々な社会的現

象を歴史的過程と

地域的特色から考

察し、理解する力を

身につけるととも

に、社会の変化に自

ら対応する能力や、

課題を設定し追究・

解決していく力を養

う。

2 広い視野に立っ

て、現代社会につい

て主体的に考察さ

せ、理解を深めさせ

るとともに、人間と

しての在り方につい

ての自覚を育て、平

和 で 民 主 的 な 国

家・社会の有為な形

成者として必要な資

質を養う。

1 自ら課題を見い

だし、解決するため

の構想を立て、考

察・処理し、その過

程を振り返って得

られた結果の意義

を考えたり、それを

発展させたりする

こと。

2 学習した内容を

生活と関連付け、

具体的な事象の考

察に活用すること。

3 自らの考えを数

学的に表現し根拠

を明らかにして説

明したり、議論した

りすること。

1 実験や観察、さ

らにさまざまな問題

に取り組むことに

よって探求する能力

や態度、問題解決の

方法を意識させ、科

学の原理や法則を理

解する力を育成する。

2 新しい知識や情

報の真偽を科学的に

判断する能力や、筋

道を立てて理解する

態度を育み、環境に

対する意識を持って、

一人一人が安全で健

康な生活を過ごすた

めに、自然と人間の調

和がとれた生き方が

できる力を育成する

1 保健体育の授業

を通じて、「公正、

協力、責任、参画」

などに対する意欲

を高め、生涯にわ

たって豊かなス

ポーツライフを継

続する資質や能力

を育てる。

2 健康・安全につ

いて総合的に理解

することを通して、

健康の保持増進の

ための実践力を育

てる。

芸術科(音楽) 芸術科(美術) 音楽科(書道) 英 語 科 家 庭 科

1 授業や学校行事

での音楽活動を通

して、生涯にわたり

音楽文化に親しみ

音楽を愛好する心

情を育てる。

1 美術の幅広い創

造活動を通して美

的体験を豊かにし、

渉外にわたり美術を

愛好する心情を育

て、情報化・国際化

時代における人間と

しての在り方生き方

を追求し、社会的変

化に適応していく態

度と能力を養う。

2 感性を高め、自然

や都市環境と造形

のかかわり、美術文

化の歴史や伝統に

ついて関心や理解を

深め美術文化の発

展と創造に寄与す

る態度を育てる。

1 芸術の幅広い表

現活動や鑑賞活動

を通して、思考・判

断し表現する能力

を育成し、各種能

力の向上に結びつ

ける。

2 書道の創造的な

諸活動を通して、

生涯にわたり書を

愛好する心情を育

てるとともに、感性

を高め、個性豊か

な表現と鑑賞の能

力を伸ばし、書の伝

統と文化について

の理解を深める。

1 外国語である英

語を習得し、かつコ

ミュニケーション

の手段として活用

できるように指導

していくことで、国

際的な幅広い視野

を身につけるとと

もに、職業選択の

幅をさらに広げ、日

本のみならず、国際

社会においても活

躍できる人材を育

成する。

1 ライフプランを

展望する力、生涯

を見通して生活を

考える力や生活の

実践力を身に付け

ることで、社会の

一員として自己の

在り方や生き方に

ついて意思決定で

きる能力を育成す

る。

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キャリア教育全体計画 都城農業高等学校

教育目標

校 訓 ① 真理を求め、正義を愛し、教養豊かな人となる。 ② 個人の尊厳を重んじ、自らを信ずると共に他を敬愛する人となる。 ③ 勤労と責任を重んじ、たくましい実践力をもつ人となる。

校訓の実現を目指し、自主自律の精神で人格の形成を図り、知・徳・体の調和のとれた人材を育成する。

学校経営基本方針 1.「学びの心」と「生き抜く力」を高める学習及び実習指導を通して、生徒の進路実現を図る。 2.部活動、農業クラブ活動、生徒会活動等の諸活動を通して、都農魂(トノウダマシイ)の具現化を図る。 3.「信頼の土壌なくして、教育の成果なし」の信念のもと、家庭や地域に信頼される学校づくりを行う。 4.評価制度の活用と職員研修の充実を行い、学校力と教師力の向上を図る。

キャリア教育の全体目標 望ましい勤労観、職業観を育成し、自ら主体的に考え行動する事によって、将来に対する目的意識をもち、様々な課題を計画を立てて 解決することができる生徒を育てる。

キャリア教育で身に付けさせたい能力「基礎的・汎用的能力」

人間関係形成・社会形成能力 自己理解・自己管理能力 課題対応能力 キャリアプランニング能力

他者の個性を理解する力 他者に働きかける力 コミュニケーションスキル チームワーク リーダーシップなど

自己の役割の理解 前向きに考える力 自己の動機付けや忍耐力 ストレスマネジメント 主体的な行動など

情報の理解・選択・処理能力 本質の理解 原因の究明、課題の発見 計画立案、実行力 評価・改善など

学ぶこと・働くことの意義や役割の理解 多様性の理解 将来設計 選択・行動と改善など

各学科における重点目標

農業科 畜産科 ライフデザイン科 食品科学科 農業土木科

農業経営者の育成 大学、農大等への進学 関連産業への就職

畜産経営者の育成 大学、農大等への進学 関連産業への就職

ヒューマンサービス技術者の育成 医療福祉系大学等への進学 関連産業への就職

食品関連産業技術者の育成 大学等への進学 関連産業への就職

農業土木技術者の育成 大学、専門学校等への進学 関連産業への就職

各学年における重点目標

1 学年 2学年 3学年

基本的生活習慣を確立する。 基礎学力の定着を図る。

規範意識の高揚を図る。 進路目標を明確にする。

将来のビジョンをもち、その実現を目指して努力する。 最高学年としての自覚と後輩の模範となる行動をとる。

教育活動を通して身につけさせたい能力・指導内容

基礎的・汎用的能力 教科指導 学級活動 学校行事・その他の特別活動

人間関係形成 社会形成能力

基礎学力を定着させ、資格取得等を通して「わかる・できる」を体得させながら自他の個性を理解させる。

各係を理解し役割を果たし他者と協力・協働できるようなコミュニケーション・スキルを育て、リーダーを育成する。

○キャリア教育に基づいたインターシップ の運営と改善(2学年) ○修学旅行での規範意識の確立と行程の検 討(1,2学年)) ○それぞれの部活動で目標設定 ○清掃活動の充実 ○朝読書の充実 ○計画的、効果的な課外の実施 ○保護者との連携 ○ボランティアや地域と連携した活動 ○産学連携の実施や外部講師招聘講座の開 設等

自己理解 自己管理能力

現代社会と関連させた教材や題材を基に自己を理解させ、主体的に行動することを身につけさせる。

自分自身のクラスでの役割を理解しながら自信を持って主体的に考え行動できる能力を育てる。

課題解決能力 学ぶことの大切さを理解させ、適切な学習計画を立てさせるとともに課題を処理し解決する力を育てる。

社会の現状を学級活動を通して理解させ、自らの課題も発見・改善させるための能力を身につけさせる。

キャリアプラ ンニング能力

学ぶこと働くことの大切さを理解させ、主体的に判断させる能力を育てる。

教育相談週間や担任面談を通して働くことの意義を理解させ、進路実現できる能力を育てる。

具体的実践

○各教科を通した各学年の年間指導計 画の検討と作成 ○授業改善の取り組み ○職員研修の充実

○各学年の年間を通したLHR計画を検 討作成する。 ○キャリア教育を意識した学級運営を模 索する。

キャリア教育を実践するための基盤(各分掌))

教務情報部:年間指導計画の調整、基礎学力向上にむけた指導力向上 生徒指導部:社会性、リーダー性の育成

進路指導部:インターンシップ・ガイダンスの充実 保健体育部:基本的な生活習慣の確立

環境整備部:豊かな心を育むための環境づくり 図書視聴覚部:読書活動の推進

渉外厚生部:保護者・地域との連携 教育相談部:相談活動の充実

事務部:予算の確保と円滑な執行 キャリア教育推進委員会:全体のコーディネイト

『都農の教育』の強力な推進力となるもの 1.学校組織マネジメントの活用 2.教職員の協働性・同僚性の確立 3.家庭、地域社会との連携・協働の推進

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平成26年度 宮崎県立延岡商業高等学校 キャリア教育全体計画 学校教育目標

「志は高く 身は低く!」 宮崎県教育基本方針および宮崎県人権教育基本方針に基づき、個性の伸長に努め、知・徳・体の調和のとれた、主体性・先見性・創造性・実践力のある人格の完成を目指し、郷

土・国家・国際社会の発展に貢献できる、質実剛健にして堅忍持久・勤労愛好の精神に富む人材を育成する。 ◎めざす学校像 『生徒一人ひとりを鍛え、育てる学校』 ◎めざす教師像 『生徒に厳しく、温かく寄り添える教師』 ◎めざす生徒像 ○心豊かで逞しく、実践力のある生徒 ○地域社会、産業界で貢献できる資質を備えた生徒 ◎『延商の教育』の重点化 「生きる力」を育むことを教育の基本として 「頭」を鍛え、伸ばす ○学力の向上[指導力(授業力)の向上、基礎学力の定着] ○専門教育の充実と資格取得の推進 → 進路の実現(進路保障) 「心」を鍛え、育てる ○規範意識の確立『時を守り、礼を正し、場を清める』 ○スクールリーダーの育成 ○心の教育の充実 「体」を鍛え、伸ばす ○健康教育・安全教育の充実 ○部活動等の活性化

◎『延商の教育』を達成するための制度の充実 『チーム延商』の確立

1 学校組織マネジメント(PDCA)の活用 2 教職員の協働性(同僚性)の確立 3 家庭、地域との連携・協働の推進

「栄光は君に 挑戦せよ 延商生」

キャリア教育の全体目標

一人ひとりのキャリア発達を支援し、学ぶことや働くこと、生きることの尊さを実感させ、学ぶ意欲を向上させる。また、将来の社会的・職業的自立の基盤となる資質・能力・

態度を育てるとともに、望ましい勤労観・職業観を育てる。 人 間 関 係 形 成 ・ 社 会 形 成 能 力 自 己 理 解 ・ 自 己 管 理 能 力 課 題 対 応 能 力 キ ャ リ ア プ ラ ン ニ ン グ 能 力 他者の個性を理解する力、他者に働きかけ

る力、コミュニケーション・スキル、チー

ムワーク、リーダーシップなど

自己の役割の理解、前向きに考える力、

自己の動機付けや忍耐力、ストレスマネ

ジメント、主体的な行動力など

情報の理解・選択・処理、本質の理解、

原因の追及、課題発見、計画立案、実行

力、評価・改善など

学ぶこと・働くことの意義や役割の理解、

多様性の理解、将来設計、選択・行動と改

善など

各学年における重点目標

1学年 2学年 3学年 自己を含めたすべての人を大事にして、好ましい人間関

係を築かせる。 インターンシップを通して働くことと学ぶことの意義

や役割を理解、進路意識の高揚を図る。 「なりたい自分への飛躍」を目標に、課題を克服する力、

進路実現に向けて努力し続ける力、協調性・主体性・リ

ーダー性の育成を図る。

教育活動を通して身につけさせたい能力・指導内容

基礎的・汎用的能力 教科指導 学級活動・総合的な学習の時間 学校行事・その他の特別活動

人間関係形成・社会形成能力

授業を通して基礎学力を定着させ、様々

な考え方や意見を持つ他者の個性を理

解させる。

集団生活を通して他者を理解し、協力

する態度や能力、コミュニケーション

能力を育成する。

○インターンシップ ○文化祭での販売実習 ○外部講師による講演会 ○進路体験発表会(先輩の話から学ぶ) ○卒業生から学ぶ会 ○キャリアガイダンス(進路説明会) ○課題研究発表会 ○キャリアカウンセリング ○正社員を目指す取組み ○県外企業訪問報告会 ○「プレ選考会(模擬進路選考会)」の実施 ○ロータリークラブとの連携事業 ○スクールライフアンケート ○面接・接遇指導、ワークショップ ○キャリア養成講座(クレジット、年金、保険など) ○ハローワーク講習会(労働法など) ○進路内定者集会

自 己 理 解 ・ 自 己 管 理 能 力

適切な教材等を基に自己の能力や役割

を理解させる。 自分の役割と責任を理解し、工夫と改

善を図りながら集団の中で主体的に

行動する能力を育成する。

課 題 対 応 能 力

学ぶことの大切さを理解させ、課題を処

理し解決する力を育てる。 情報収集のスキルを高め、それを取

捨・選択・処理し、自己の課題を発見・

処理する能力を育成する。

キ ャ リ ア プ ラ ン ニ ン グ 能 力

学ぶことや働くことの大切さを理解さ

せる。 学級活動全体を通して、学ぶことや働

くこと意義を理解させ自分の進路に

ついて考える力を育成する。

キャリア教育実践の組織(校務分掌)

教 務 部 年間指導計画の作成(3年次教育課程)と調整(1、2年次教育課程)をす

る。 渉外厚生部 学校での教育活動が充実する学習環境をつくるために、家庭、地域と

の連絡調整を行う。 生徒指導部 品格があり、何事にもリーダーシップのとれる生徒を育成する。 教育相談部 人権教育の推進と相談活動の充実を図る。

進路指導部 推進リーダーのもと本校の教育活動をキャリア教育の視点から整理し

実践することで生徒の「生きる力」を育成する。 事 務 部 年間指導計画を正確に把握し、予算の確保と計画的な執行を行う。

保健環境部 基本的な生活習慣の確立と環境整備を図る。 キャリア教育推進委員会 キャリア教育全体のコーディネートを図る。 図書・広報部 進路学習の充実を図る資料等を揃え活用を促す。

キャリア教育実践の組織(教科)

国 語 科 言語活動を通して伝え合う力を身につけさせる。

地歴公民科 主権者としての政治参加の重要性や裁判員としての司法参加の意義、

自らの労働や生活につながるものとしての経済社会についての学習の

充実を図る。

数 学 科 測量や社会調査で得られたデータを教材に入れる事で、数学が実生活

に有用であることを理解させ、数学を学習する意義を感じさせる。 理 科 自然災害の知識、科学進歩の弊害を学ばせ、自然との共生ができる人

材の育成を図る。

保健体育科 集団行動を通して、職業人としてのマナー・態度を身につけさせる。 芸 術 科 発表や楽曲を互いに批評し合う中で、様々な他者の価値観を認め他者

と協働していく力を育ませる。

英 語 科 「コミュニケーション能力の育成」言語とその文化的背景を学ぶこと

により、互いの考えを尊重しながら伝え合う力やコミュニケーション

を図ろうとする態度を養う。 家 庭 科

家族・家庭と社会との関わりについて理解させるとともに、生活に必

要な知識と技術を習得させ,男女が協力して主体的に家庭や地域の生

活を創造する能力と実践的な態度を育てる。

商 業 科 現代社会における商業の社会的役割や意義を理解し、商業教育への興

味・関心を深めると同時に、地域社会の発展を図る創造的な能力と実

践的な態度を育てる。

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校 訓<三庭の訓>

誇りの庭 学びの庭 創造の庭

環境教育の推進 ○つ つねにその場を美しく! 進路意識の向上 ○の の び の び と 学 ぼ う !

心身の健康増進 ○こ 心 を 整 え 挨 拶 を !

規範意識の向上 ○う 内でも外でも時間厳守!

<行動目標>

平成26年度 都農高等学校 キャリア教育 全体計画

生 徒 の明 るく元 気 な声 がとび か う学 校 保護者にとって安心・安全で信頼される学校 卒業生や地域の人がのぞいてみたくなる学校

目指す学校像 ~生徒と教職員が

夢や希望を語り合う学校~

キャリア教育の全体像:学校の教育活動全体を通して、社会人として必要な基礎的・基本的能力を身につける。

育成すべき能力や態度(基礎的・汎用的能力)

人間関係形成・社会形成能力 自己理解・自己管理能力 課題対応能力 キャリアプランニング能力 ・他者を理解し、よりよい人 間関係を構築する能力

・コミニケーション能力を高 め、他者と協力して物事に あたる姿勢

・自己を知り、自己肯定感を 高める能力

・社会の中で生きる明確な目的

意識

・課題を自ら見つけ、解決し ていく能力

・学校の学習と社会とを関連

づけ学び続ける能力

・望ましい勤労観や職業観 ・主体的に自己の進路を選

択・決定できる能力

自分自身に誇りを持ち、努力を惜しまずに学び

続ける姿勢を身につけ、充実した学校生活や進

路を自ら創つ

造く

りだしていける生徒

目指す生徒像~自らの夢を持ち、

実現する力を持つ生徒~

「一人一人の夢づくり」 基礎学力養成

1年次 夢を見つける 学トレ(学び直しのトレーニング)

早朝自学により学習習慣を身につける

チューターによるきめ細かい指導

基礎力養成テスト

長期休業中の基礎力養成ドリルへ取り組み

学期始めの実力テストにて定着を図る。

・自己を知り、自己肯定感を高める。 ・様々な職業や上級学校について、調べ学習や

見学、インターンシップ等によって理解する。 ・進路に応じた系列選択、科目選択を行う。

2年次 夢を確かめる

・他者を理解し、望ましい人間関係を構築する 力を養う。

・セルフプロデュースインターンシップを通し て働くことの意義を理解し、社会人として ふさわしい態度を身につける。

3年次 夢へと踏み出す サクセス

進路実現のための

基礎力養成

・社会人としてふさわしい在り方・生き方に ついて理解し、自らの適性や能力に応じた 進路選択ができる。

・課題研究や就業体験を通して、自らの進路 目標に応じた課題設定を行い、適切な計画を 立ててその課題を解決する能力を身に付け る。

国・数・英 生徒の実態に合っ

たきめの細かい指

導により、基礎学力

を定着させる 生徒指導課 規範意識の向上 服装容儀・挨拶 予防的生徒指導

保健相談課 心身の安定

自己肯定感の向上 コミュニケーション能力育成

環境整美課 環境美化・清掃の 推進により、美し

い心を育成する

図書課 朝読書の推進 図書に触れ豊かな 心を育成

各系列 生徒のニーズに合

った専門教養・技術

あるいは幅の広い

教養を身につけさ

せる

進路指導課 進路意識の高揚 希望進路に適した

基礎力の育成

教務課 生徒の学力に応じ

た学習指導・支援 キャリア実現を目指し

たカリキュラム編成

渉外厚生課 保護者との連携 地域の教育力を キャリア教育に生かす

総合学科推進課 キャリア教育全般 に係わる企画・調 整を行う

その他の教科 各教科科目の特性

を活かし社会人・ 職業人として必要 な資質を養う

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[延岡工業高等学校]

校訓

立志

勉励

■各学年をとおして(目標):生きていくことの意味を考えさせ、自らの将来のキャリア形成を自ら考えさせ、選択させる。

■各教科・学科をとおして(目標):学ぶ意義や価値を学ばせ、また勤労観・職業観を確立させることにより、幅広い視野から将来を考えさせる。

■学校行事等をとおして(目標):全体的な体験活動を通して、自己の役割を考えたりコミュニケーション力を育成する。

キャリア教育全体計画

【人間関係社会形成能力】

第1学年

新しい環境に適応するとともに、多様性を認め合う仲間づくりを築き、他者との好ましい人間関係を育成する。

教育内容と方法(各学年・各教科学科・学校行事等)

第3学年

他者の価値観や個性を理解し、自分との差異を見つめつつ受容する。

【キャリアプランニング能力】

「働くこと」の意義を理解し,自らが果たすべき様々な立場や役割との関連を踏まえて「働くこと」を位置付け、多様な生き方に関する様々な情報を適切に取捨選択・活用しながら、自ら主体的に判断してキャリアを形成していく。(学ぶこと・働くことの意義や役割の理解、多様性の理解、将来設計、選択・行動と改善など)

キャリア教育の目標

○ 全ての部活動を活性化させることで、学校生活を更に豊かで充実したものにするとともに、主体的に 健康で安全な生活などが実践できる生徒を育成する。

創造

 生徒は、倍率の高い入試をかいくぐって入学してきている分、学習能力は高く、部活動など生徒の自主的活動も盛んである。 一方稚拙な生徒もおり軽率な問題行動を起こすケースがある。 進路として、就職の割合が大きい実態である。

 工業拠点都市だけあってものづくり企業は多く、生徒の専門性を生かせる職種が多い。企業からは即戦力となる優秀な人材を輩出して欲しいという強い要望があり、街づくりの担い手としても期待されている。保護者からは充実した進路保障が求められてい

自分が「できること」「意義を感じること」「したいこと」について、社会との相互関係を保ちつつ、今後の自分自身の可能性を含めた肯定的な理解に基づき主体的に行動すると同時に、自らの思考や感情を律し、かつ、今後の成長のために進んで学ぼうとする。(自己の役割理解、前向きに考える力、自己の動機付けや忍耐力、ストレスマネジメント、主体的な行動力など)

【キャリアプランニング能力】

キャリアガイダンスを充実させることにより、将来設計を立案し、今後取り組むべき目的意識を持って生活させる。

普通教科

【自己理解・自己管理能力】

【課題対応能力】

新たな環境の中で自らの役割を自覚させるともに、これまでを振り返りながら、自己理解を深め、自己目標を立てさせる。

自分の進路選択に必要となる様々な情報を収集し、夢実現に向けて計画立案する。

インターンシップに取組むなど、勤労観・職業観の価値観形成を行うと共に、進路決定の準備学年として自発的進路選択の能力を養う。

専門教科

進路指導部と担任・学科とが連携して、個に応じたきめ細かな進路指導を行い、キャリア形成を積ませていく。

【課題対応能力】

【キャリアプランニング能力】

具体的な課題を設定して、課題の本質を理解し、その課題を解決できたり、対象を客観的に観察し、いろいろな資料・事実のみに基づいて判断する力を養う。

社会の仕組みを考えることで、社会の一員であることを自覚する。また社会の多様性の理解や社会に貢献する態度を育成する。

【人間関係社会形成能力】

【自己理解・自己管理能力】

特に言語活動に力点を置きながら、基礎的及び実践的コミュニケーション能力を育成する。

学問が社会で役に立っており、また様々な仕事が存在し人々が支え合っていることを理解し、人間としてのあり方、生き方について自ら正しく判断できる能力・態度を養う。

【キャリアプランニング能力】

【自己理解・自己管理能力】

【課題対応能力】

【人間関係社会形成能力】

勤労の尊さや想像することの喜びを体得する。

生徒の実態 地域や保護者の状況学校教育目標○ キャリア教育を更に推進し充実させることで、夢や希望を抱き、生涯にわたって自己実現 を目指そうとする生徒を育成する。

○ 基礎・基本をしっかり身につけさせるとともに専門性の深化を図るなど確かな学力が身についた生徒を育成する。

【課題対応能力】

仕事をする上での様々な課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる。(情報の理解・選択・処理,本質の理解、原因の追求、課題発見、計画立案、実行力、評価・改善など)

部活動総合的な学習の時間

社会人として役立つ挨拶、マナー、コミュニケーション力等や他者を受け入れ、思いを伝える方法が身につく。

社会での役割を担う自信と希望を持たせる。自己の感情をコントロールしながら、自己の枠割を担わせる。

生徒個々人に、将来の進路を考えさせ、決定に向けて具体的に実践させる。

学ぶことや働くことの意義や役割を理解させ、自己の将来を見据えた自立的な行動ができる。

学校行事

遠足、向洋祭、体育大会などをとおして、他者と向き合い、協力・協働できる。

自主活動を活性化して、学校やクラスでの役割を理解し、責任感や連帯感が涵養できる。

地域や学校の状況に触れ、自らの課題に置き換えることができ改善することができる。

勤勉、責任感、ルールやマナーを学んだり、異年齢とのふれあいを通じ礼儀やコミュニケーション能力が身につく。

今まで気づかなかった自己特性や長所を見いだして、自己理解の深化につながったり自己管理能力が身につく。

外部教育資源である地域に関する情報を収集し、具体的に連携することで、課題対応力などが身につく。

活動を通して、リーダー性を育んだりコミュニケーション能力及び人間関係の確立を育む。

心身を鍛え自らに自信を持ち、健全な生活態度や規律ある習慣が確立する。

多様な仲間と集団生活を共にすることで生じる諸問題を解決し、乗り越えることができ

地域連携のための計画を立てるなど、キャリアプランニング能力が身につくと共に、社会奉仕の精神が育成できる。

地域との連携

実習などの体験的な学習を通して多様な他者の個性を理解するともに、協力・共同していく力(チームワーク)を育成する。

専門的な学習と産業や職業との関連を知ることをとおして、自らの役割を理解し、主体的に行動していく力を育成する。また、社会人講話やインターンシップなどの啓発的な体験を通じて、自己の適性等を知

「課題研究」の学習などをとおして、様々な課題を発見・分析し、適切な計画を立てその課題を解決することができる力を育成する。

将来の社会生活・職業生活に必要となる力を理解するとともに、卒業後も継続して卒業資格の取得などに取り組む態度を育成する。

部活動を通して、主体的な進路決定や将来設計に寄与する。

一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てる。

第2学年

集団行動などを通して規律ある生活習慣を身につけさせたり、相互理解を深める。ソーシャルスキルトレーニングなどに取り組む。

進路希望を実現するための諸条件や課題を理解し、検討したり、適性検査、自己診断調査等に取り組む。

体験的な学習をとおして、働く際に必要となるより実践的な知識や資格などの理解を深めて、積極的に習得していこうとする。

さらに成長できるよう勉学に励むなど、今後の進路実現のために主体的に取り組んでいく。

自分の将来を見据えることで、課題に立ち向かい解決していく能力、つまり社会で生きていく力を身につける。

育成したい能力

多様な他者の考えや立場を理解し相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができるとともに、自分の置かれている状況を受け止め、役割を果たしつつ他者と協力・協働して社会に参画し、今後の社会を積極的に形成することができる。(他者の個性を理解する力、他者に働きかける力、コミュニケーション・スキル,チームワーク、 リーダーシップなど)

【人間関係社会形成能力】 【自己理解・自己管理能力】

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延岡青朋高等学校(定時制)

キャリア教育全体計画

国 語

地理歴史

公 民

数 学

理 科

保健体育

芸 術

英 語

家 庭

情 報

商 業

総合的な学習の時間 特別活動

地域との協力連携

 ビジネスマナー,職場体験,スーツの着こなし方,地元企業の講演会,進路体験発表会,はまゆう園訪問,ハローワーク職員の 面談 など

体力の向上や健康の保持増進を図る資質や能力を育成し、生涯を通じて活力ある生き方ができる能力を高める。

芸術を通して個々の能力を伸ばし社会生活を豊かにする能力を身につける。

社会や世界に目を向け、他者に関心を持って積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成する。

・自らの進路について情報を収集し検討する。

・自分の進路を決定し、実現のために取り組むべき課題を考

え、実行する。

・HR活動,学校行事,生徒会活動を通じて、集団でのマナー

 を身につけ、集団における自分の役割を果たす。

・講演会、職場体験などを通じて、自分の将来について具体

 的に考え、その目標に向かって行動する。

・自分自身を見つめ自分の適性を判断する。

豊かな社会人としての基礎を築くとともに生活文化を伝承し、自立して生きる力を身につけさせる。

情報化社会に生きていくうえでの基本的な活用方法・知識・技術を習得させ、社会人としての力を高める。

ビジネスの理解をとおして社会や職業を知り、それらに関わる自立心を養う。

各単元の学習を通して、基礎的な計算能力の定着を図る。

自然科学の日常生活との関わりを学習させ、科学技術の有効な活用法を理解させる。

・基本的な生活習慣を身につける。

・自分を高める努力の大切さを学ぶ。

 (アルバイト、資格取得、ボランティア等)

 準備する。

・将来にむけて、いま自分に必要な課題を

 見つけ、実行する。

 自己アピールできるようにする。

・自己肯定感を養い、面接などでしっかりと

教科の目標

国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高める。

国際社会および日本の成り立ちと課題を学び、現実社会における自己の生き方あり方を考えさえる。

現代社会の仕組みと諸課題を学び、現実社会における自己の生き方あり方を考えさせる。

 ていくのかを考え、卒業年次に向けて

・単位修得率の向上

・問題の原因を考え、解決する力 ・目標実現にむけて行動する力

学年の目標

1年次 卒業学年(昼間部3年次,夜間部4年次)昼間部2年次,夜間部2,3年次

・卒業を最終目標とするのではなく、卒業

 後を見据え、高校生活を充実させる。

・進路を決定し、必要な知識や身だしなみ、

 マナーなどを身につける。

・見通しをもって計画し、実行する力・互いに尊重し集団で行動する力

・自分の適性を判断し、将来どのように生き

・集団生活におけるマナー ・基本的生活習慣

 ・コミュニケーション能力の育成

 ・集団生活や社会生活におけるマナーの育成

・自己肯定感

・自己を表現する力

キャリア教育で育成すべき力 (基礎的・汎用的能力)

人間関係形成・社会形成能力 自己理解・自己管理能力

・忍耐力

・学ぶ事や働くことの意義の理解

・将来への目標を立てる力

・他者を思いやる心 ・基礎学力

・調べたい事の情報を収集する力

目指す生徒像

 ・卒業後の将来について考え、進路実現のために行動する力の育成

課題対応能力 キャリアプランニング能力

校   訓

自主自立 友愛協調 規律責任

本年度の重点目標

1基礎学力の確実な定着    2 社会性の育成    3進路指導の充実    4危機管理の確立

 ・一人ひとりの個性を認めながら、集団や社会生活でのマナーや規律等を遵守できる生徒

 ・思いやりのある優しい生徒

 ・内外の厳しい環境の中にあってもたくましく「生き抜く力」を身に付けた生徒

キャリア教育指導目標

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宮崎県キャリア教育実践事例集作成委員一覧

宮崎県キャリア教育実践事例集作成委員名簿

No 学 校 名 職 名 氏 名

1 宮崎市立学園木花台小学校 指導教諭 吉 國 恭 子

2 日南市立吾田東小学校 主幹教諭 佐 藤 泰 信

3 西都市立妻北小学校 指導教諭 鮫 島 良 樹

4 都城市立夏尾小学校 教 諭 田 爪 隆 敏

5 三股町立梶山小学校 教 諭 武 本 良 重

6 高千穂町立高千穂小学校 指導教諭 橋 本 香 織

7 日南市立細田中学校 指導教諭 宮 永 恵 吾

8 小林市立三松中学校 指導教諭 中 山 新 吾

9 延岡市立北方学園中学校 指導教諭 佐 保 博 光

10 日向市立岩脇中学校 教 諭 松 下 浩 司

11 美郷町立南郷中学校 教 諭 石 井 謙 三

12 五ヶ瀬町立鞍岡中学校 教 諭 串 間 敬 一

13 県立日向高等学校 教 諭 甲 斐 史 彦

14 県立高鍋高等学校 教 諭 坂 本 育 子

15 県立妻高等学校 教 諭 髙 山 ひとみ

16 県立宮崎西高等学校 教 諭 上ノ薗 一 也

17 県立宮崎南高等学校 主幹教諭 末 吉 昭 夫

18 県立日南高等学校 教 諭 重 山 智 博

19 県立小林高等学校 教 諭 緒 方 賢 一

20 県立延岡商業高等学校 教 諭 柳 田 奈央美

21 県立延岡工業高等学校 教 諭 松 元 史 年

22 県立都農高等学校 主幹教諭 小 玉 和 清

23 県立都城農業高等学校 教 諭 堂 領 洋

24 県立延岡青朋高等学校 教 諭 宇都宮 正 翁

(学校名、職名は平成27年3月末日現在)