ウ ォ ノ ソ ボの森の物語

インドネシアの森林違法伐採

A Tale from the Wonosobo Woods：

Illegal Logging in Indonesia

花 崎 泰 堆

埼玉大学紀要 教養学部 第3日巻 第1号 2002

別 冊

ウォノソポの森の物語

インドネシアの森林違法伐採

花 崎 泰 雄

1．森が消える て地表から消え去ってLまうような危険にはま

だ直面Lていない」と診断していた。1990年代

にはいって，森林破壊が急激に進んだのだ。

「赤道にかけられたエメラルドの肯師り」と

形零されたインドネシアの島々の熱帯林は破滅

的な勢いで消滅している。グローバル・フォレ

スト・ウォッチはインドネシ7の現状を概略次

のように報告Lている。

丁万平方キロから17万平方キロの熱苫雨林

が，毎年．世界から消えている。これは毎分引

から50のサッカー上割こ相当する面積の熱帯林が

地球上から消滅Lているということ意味する，

と森林保護NGOであるグローバル・フォレス

ト・ウォッチは常吉している。

危‡割こ瀕した森林をどう荒廃から守り，その

持続可青巨な経富・管理をどう確立するかという

問苛が，1990年代に入ってから国連地球環境開

発会議や先進国首脳会読で，重要な議題として

とりあげられるようになった。

2000年に沖縄で開かれた先進国首脳会読では

森林消滅の大きな理由仁ト一つである遵法伐採の

問題がとりあげられた。これを受けて，世界有

数の木材輸入国である日本では，全国木村組合

連合会が林野庁．外務省切後屈で「森林の遵法

伐採巷考える」セミナーを2002年3月，横浜で

開催した。

このセミナーで，インドネシ7から参加した

7ブス・プルノモ世界野生生物基金インドネシ

7代表は「インドネシアは遵法伐採危機のまっ

ただ中にある」と説明L，「インドネシアでの

遵法伐採に資金を提供しているごろつき投資家

に対する国際的な監視」巷訴えた。

フィリップ・ハーストほ19gO年に出版した著

書屈慮血血爬古土月フ〟血で，インドネシアの熱帯

林について，森拝聴埴は極地的に遷んでおり，

放置はできないが，「インドネシ7の森がすべ

一85－

①1950年ごろインドネシアには1偉6，2DO

万ヘクタールの森林があったが，その後

の50年間で9．朗0万ヘクタールに減っ

た。40パーセントの森が消えたわけであ

る。

〔塾 さらに，森林の消滅は加速している。

19日0年代の鹿柿哨戒率は年間平均100万

ヘクタールだったが，1990年代前半には

それが1TO万ヘクタールに上昇し，199丁

年以降は200万ヘクタールに連Lてい

る。

③ このままの勢いで森林伐採が進めば，

2005年にはスラウユシから，2010年には

カリマンタンから，低地熱帯雨林が消え

てLまうと予測されている。

〔蓼 インドネシアの森林消滅はスハルト時代

の政治的筒放と結びついている。政治資

金捻出や個人的な利益のために，国内の

半数におよぶ森林の伐採権がスハルト元

大統領の親族やクローニーの企業に与え

られた。現在なお，大手10社だけで許可