大電流ac-mig溶 接法の開発 - j-stage
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溶 接 学 会 論 文 集 第10巻(1992)第1号83
大電流AC-MIG溶 接法の開発AC-MIG溶 接技術 の開発(第1報)
都 島 貞雄,藤 田 治男,岩 見 博志
High-Current AC-MIG Welding Process
Development of AC-MIG Welding Process (Report 1)
by Sadao Tsushima, Haruo Fujita and Hiroshi Iwami
To prevent weld defects likely to occur in DC-MIG welding and to avoid arc-instability due to elec
tromagnetic blow in DC-MIG welding, an AC-MIG welding has been developed which uses high voltage
pulse from a pulse generator sympathized with industrial frequency.This process enables to avoid the weld-defects caused by lower arc pressure exerting on the molten
pool. Furthermore, this process can provide weld metal of a low oxygen content with high toughness.
Key Words: AC-MIG, Pulse, High-Current, arc pressure, low oxygen, high toughness, form of weld
pool, lack of fusion
1.緒 言
溶接継手へ の低温靱性の要求か ら大入熱 サブマージアーク溶接法に代わって,マ ルチプール方式 により,能 率
を低下 させず に高品質で且 つ低入熱化 が可能 な多パス直
流MIG溶 接法が検討 されている.し か し高電流域 では
その強いアー ク力の影響か ら,多 層溶接 に望 まし くない
フィンガー状 の溶 け込みを生 じやすい ことと,と くに高
速溶接ではビー ド内部に融合不良欠陥が発生 しやすいこ
とか ら2),使用で きる溶接条件 にも制約 がある.ま た,大
電流 による従来 の直流MIG溶 接 にお いて高能率化 のた
めに多電極溶接する場合,ア ー クは同相電流 による磁気
ブローを受 けやす くアークの安定性 に問題 を生ずる場合
がある.
これ らの問題点 を解決する一方法 として,MIG溶 接 の
交流化(AC-MIG)が あ る.し か しなが ら,MIG溶 接 の
交流化 は技術 的に困難な問題があった.一 般的にシール
ドガス雰 囲気では,手 溶接(SMAW)や サ ブマージアー
ク溶接(SAW)の ようにフラックスに由来 しアー ク放電
を助 けるアー ク安定剤が無 いため,数 百V以 上の高 い再
点 弧尖頭 電圧 を超 え る溶 接電 源電 圧 が必 要 とされ る
が,安 全上 や電力効率 などの問題のた めこの ような溶
接電源を用い ることはで きない.SMAWやSAW溶 接
電源ではその無負荷電圧 が約80Vと 低 いため,交 流ガ
スシール ドアークの ワイヤ極性 反転時 に再点弧 ミスを生
じアーク切れおよび ワイヤステ ィッキングのため溶接作
業 を持続 できな くな る.従 って,こ の再点弧特性 を補償
する手段 が必要で あ り4),アー ク安定剤 を含 むフラック
ス入 りワイヤを用いる方法5}や特殊なアー ク安定成 分 を
添加 したソリッドワイヤを用いてアー クを持続 させ る方
法 が報告されているが,い ずれ も特殊な ワイヤ を用い
るものであり,そ の使 用範囲 も限定 され る.ま た,細 径
の ソリッ ドワイヤを使用 し電気 的手段 によりアークを持
続 させる方法ηも報告されてい る.こ の方法 は溶接電流
が低 くまた電気回路 の詳細 が不明であったが,本 研究 に
は相 当参考 になった.
本 法 は,実 用化が容易な ように通常 の太径の ソリッド
ワイヤを用い,SAWやSMAWに 用 いる汎用の垂 下特
性交流溶接電源に新規の試作パルス発生装置を付加 して
交流MIGア ー クを安定 に持続 させ る方法 を検討す るこ
とに よって開発 した大電 流交流MIG(AC-MIG)溶 接
法 であ る.本法によれば,通 常使用 され るステンレス鋼
や低合金鋼 を含 めてあ らゆる成分系 あるい は線径の ソリ
ッドワイヤで も可能であ り,か つ工業的に用いられてい
る通常 の交 流SAW電 源 および溶 接制御装置 が利用 で
きる等 の利点がある.本 報で は,上 述の ソリッドワイヤ
AC-MIG溶 接法 の原理,AC-MIG溶 接法におけるアー
ク力,溶 接欠陥の発生,高 速性,溶 接金属 の低酸素特性
および高靱性材質特性 等の基本的特徴 について,従 来
の直流MIG(DC-MIG)と 比較 しなが ら検討 した結果 を
報告す る.
2.実 験 方 法
2.1AC-MIG溶 接実験装置
AC-MIG溶 接 には,汎 用の1000A交 流SAW溶 接機
に試作パルス発生装置 を付加 した装置 と水冷式二重 シー
ル ド型 トーチを使用 した.装 置の構成 をFig.1に,シ ー
ル ドカバーを装着 した トーチの外観 をFig.2に 示す.比
較的低入熱 または高速溶接時で二重 シール ド型 トー チの
みで溶融プールが保護 できるときはシール ドカバーを省
略 した.
Fig. 1 Components of AC-MIG Welding Appa-ratus.
*原 稿受付 平成3年6月13日 昭和58年9月 溶 接法 研究委 員会 で
発表**正 員 新 日本 製鐵(株)
,鉄 鋼 研 究 所,接 合研 究部Member,
Joining Steel Research Lab., Nippon Steel Corp.
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84研 究論文 都島他:大 電流AC-MIG溶 接
Fig. 2 Torch and Shield-Cover for High-
Current AC MIG Welding Process.
ワ イ ヤ極性 反転 時 の 再 点弧 を容 易 に行 わ せ る ため に 印
加 ず る パ ル ス は次 の よ うに し て与 え られ る.す な わ ち
AC溶 接 電 源 か ら取 り出 した商 用交 流200Vを パ ル ス発
生装置 に内 蔵 され て い る昇 圧 トラ ン スで 約300Vと し,
バ ル ス発生 用 コ ンデ ンサ に電 荷 が蓄 積 され る.こ の コ ン
デンサ は交 流 溶 接電 源 の2次 コ イル 等 と共 に 後 述 のL-
C- R回 路 を構 成 し,こ のL-C-R回 路 を サ イ リ ス タで オン
・オ フ させ る こ とに よ り約400Vの パ ル ス を発 生 させる
.パ ル ス電 圧 とパ ル ス幅 に つ い て は第2報 に詳 述 す る.
パルス発 生 は ワ イヤ極 性 反転 直 後 として い る.す なわ ち
ワイヤ(+)側 と(―)側 の そ れ ぞ れ に交 流 ア ー ク電 圧 が ゼ
ロ点を横 切 った 直後 に予 め 設定 した基 準電 圧(約10V)
に達した瞬 間 に 同極 性 の パ ル スを発 生 させ て い る.Fig.
3に パ ル ス発 生装 置回 路 の 概 要 を示 す.
2.2AC-MIG溶 接 現 象 の 観 測
アー クお よび プ ー ル の観 察 に は高 速 度 カ メラ を用 い,
溶接電 流 ・電 圧,再 点 弧 パ ル ス電 流 ・電 圧 の 計測 に は電
磁オ シ ロ グ ラ フお よ び シ ン ク ロス コ ー プ を使 用 した.
2.3ア ークカの測定
AC-MIGア ー クのアークカ を従来の直 流(DC)MIG
アー クと比較 しなが ら測定 した.Fig.4に アー ク力測定
法の原理 を示す.ビ ー ドオンプレー ト溶接前に試験片重
量 を天秤でバ ランスさせ,所 定 のMIG溶 接条件で溶接
を行 なった ときの荷重 の経時変化 を レコー ダで記録す
る.Fig.4の グラフに見 られるように,溶 接開始時 にはアー ク点弧の反力が大 きく出 るが,溶 接が定常状態 になる
とこの荷重 はほぼ直線 的に増加する.こ れは,MIG溶 接
金属の溶着速度が一定であるか らアーク力が一定値 であ
ることを示 してい る.MIGア ー ク消弧後荷重は定値 に減
少す る.こ のよ うに してMIGア ー ク溶接終了直前 の最
大荷重値 と消弧後の定値 の差 を求めるこ とによってアー
ク力 を測定 することがで きる.
Fig. 4 Measurement of arc force.
Fig. 3 Circuit of pulse generator.
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溶 接 学 会 論 文 集 第10巻(1992)第1号85
2.4溶 融池の後退 と融合不良欠陥の測定
溶融池の後退距離 は,Fig..5に 示すよ うにワイヤ中心
か ら溶融 池前面 が母 材表面 に達す るまでの長 さ と定 義
し,溶 融池の高速度写真か ら求 めた.
また融合不良欠陥 については,Fig.6に 示す ように母
板表面 を研削加工 してか ら磁粉探傷法に より欠陥長 さを
測定 し,総 欠陥長 さの溶接長に対 する割合 として融合不
良欠陥発生率を求 めた.
2.5溶 接金属の材質試験
溶接金属の酸素量試験 は,Si.・Mn系 の4mmφ ソ リッ
ドワイヤとSM41B鋼 板 を用いた ビー ドオンプ レー ト溶
接によ り実施 した.そ のAC-MIGお よび比較 のための
DC-MIG溶 接条件 をTable 1に 示す.
Fig. 5 Bird eye View of Weld Pool and Moving
Back of Molten Pool in the Longitudinal Section of Pool and Bead.
Fig. 6 Measurement of Lack of Fusion Percent-
age by Magnetic Particle Inspection.
Table 1 AC-MIG and DC-MIG Welding Condi-
tion.
Table 2 AC-MIG Welding Condition.
Fig. 7 Groove Shape and Location of Weld
Metal Specimen.
溶 接 金 属 の切 欠 き靱性 はTable 2のAC-MIG溶 接 条
件 に よ る 溶 接 金 属 か らFig.7に 示 す 要 領 で試 験 片 を探
取 し,試 験 を行 っ た.
3.実 験 結 果 お よ び 考 察
3.1AC-MIGア ー クの 安定 性
ソ リッ ドワ イ ヤAC-MIGア ー ク の高 速 度 写 真 の実 例
をFig.8に,そ の溶 接 電 流,電 圧,印 加 パ ル ス電圧 波形
をFig.9に 示 す.Fig.8,9か ら,ア ー ク電 圧 に同 期 させ
た 印加 パ ル スに よ りワ イヤ極 性 反 転 時 の再 点 弧 が 容 易 に
行 われ,安 定 なAC・MIGア ー クが持 続 して い る こ とが
分 か る.こ の よ うに して 汎用 の交 流SAW溶 接 電 源 に パ
ル ス発 生 装 置 を付 加 す る こ とに よ り太 径 ソ リ ッ ドワイ ヤ
使 用 のAC-MIG溶 接 が 実 施 で きる.4mmφ ワ イヤ,800
Aに お け るAC-MIG溶 接 ビー ドの断 面 の マ クロ写 真 を
Fig. 8 Typical Arc Shape in High-Current AC MIG Welding Process by High-Speed Photography of 3500 Frames/s.
Fig. 9 A change in welding current, voltage and
injected pulse in High-Current AC MIG Welding.
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86研 究論文 都島他:大 電 流ACMIG溶 接
DCMIGの そ れ と比 較 してFig.10に 示 す.本 研 究 で は
実 用 条件 をDC-MIGと 対 比 す る ため,AC-MIGの 溶 接
宙 流 は実 効 値 を用 い て検 討 した.DC-MIGで はフ ィンガ
ー 状 の溶 込 み 形状 とな り融 合 不 良欠 陥 が 生 じ易 い の に対し
,AC-MIG溶 接 で は溶 込 み 先端 が 丸 み を帯 び て お り欠
陥 防止 に有 利 で あ る.
3.2AC-MIGア ー クの ア ー ク カ
4 mmφ ワイ ヤ と5%CO2-Arシ ー ル ドガ スに よ り溶
接電 流 を変 化 させ てAC-MIGと 従 来DC-MIGの ア ーリカ を測 定 した結 果 をFig
.11に 示 す.ア ー クカ は,AC,
inと も溶 接 電 流 の2乗 に ほぼ 比 例 して増 加 す るが,AC
の方 が 約30%も 低 い.こ れ はFig.8に 示 した様 に,ACア
ー クではワイヤ(-)極 性の半波で アー クが這 い上 りアー
ク長が伸びる ことによりアー クカが低下すると考えられ
る.ア ー ク力が低 いことは前述 の丸みを帯 びたボウル
状 の溶込み形状 にす る効果 があ り,AC-MIG溶 接の基本
的特徴である低欠陥発生率 の主因 といえる.
3.3AC-MIG溶 接 における溶融池の後退 と融合不良
欠陥
溶融池の後退距離 と溶接速度お よびシール ドガス組成
との関係 をFig.12に 示す.ま た,AC-MIGと 従来Dc
- MIGと を比較 した融 合不良 欠陥発生 率 をFig.13に 示
し,シ ール ドガス組成 と融合不良 を発生 しない速 度限界
の関係 をFig.14に 示 す.
高速 度撮 影 によ る溶融池 の観 察か らFig.5に 示 した
ようにアー ク下 のガウジング面 に発生する局部凝 固壁 の
発生があ り,こ れが後続する溶融池によって再溶融 され
ずに残 ることも考 えられる.
溶融池の後退 は,ア ー ク力が増大する大電流ほ どまた
溶融池の先行 を抑 える高速 ほど大 きくなる.Fib.12か ら
AC-MIGよ りアーク力の大 きい従来DC-MIGに おいて
よ り後退 し,Arシ ール ドガ ス中のCO2%の 減少 は溶融
池 の後退 に著 しい影響 を及ぼす こ とが分 か る.こ れ は
CO2%を 減少 させ るとアー クがス プレー化 す ること と
関係が あると思われ る.後 述 の溶接金属 の低酸素化 によ
る靭性向上 にCO2%の 減少が必 要であ るが,そ のために
はアー ク力が小 さ く溶融 金属の後退 が少な いAC-MIG
が融合不良欠陥の発生を防止 するのに有利 であ るとも考
えられ たので以下の検討を行 なった.
Fig.13はFig.fiに 示 した試験 要領の磁粉探傷 法 によ
り求 めた融 合不良欠陥発生 率 と溶接速度 の関係 を示す.
溶接速度 を増大 させ ると欠陥が発生するが,DC-MIGに
比べAC-MIGの 方が高速溶接 が可能 となるこ とを示 し
ている.し かしなが ら,Fig.12とFig.14か ら融合不良の
発生 しない限界速 度におけ る溶融池 の後退距 離 をAC
- MIGとDC-MIGで 比較す ると前者では11~12mm,後
者では7~8mmと なるので,AC-MIG溶 接で融合不良
が発生 しに くい理 由として溶融池の後退 が小 さ くなるた
Fig. 10 Comparison of weld bead shapes in AC-MIG and DC-MIG welding.
Fig. 11 Arc force in AC MIG and DC-MIG welding.
Fig. 12 Moving Back of Molten Pool in High-Current AC-MIG and DC-MIG welding with respect to Welding Speed and Shielding Gas Composition.
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溶 接 学 会 論 文 集 第10巻(1992)第1号8r
Fig. 13 Relation between Lack of Fusion Per-
centage and Welding Speed in High-Current AC-MIG and DC-MIG Weld-ing.
Fig. 14 Maximum welding speed without caus-ing lack of fusion in AC-MIG and DC-
MIG Welding.
Fig. 15 Oxygen Content in High-Current AC-
MIG and DC-MIG Weld Metals.
Fig. 16 Relation between Oxygen Content and
Notch Toughness of High-Current AC-MIG Weld Metal of Ti-B system.
めだ け で はな い.後 述 す る よ うに溶 接 金 属 の低酸 素 化 に
よ る靱 性 向上 にCO2%の 減 少 が 必 要 で あ る.Fig.14か
ら無 欠 陥 の溶 接速 度 限 界 が大 き く,低CO2%シ ー ル ドガ
ス組成 で欠 陥 を生 じ難 いAC-MIGが 有 利 で あ る.
3.4溶 接 金属 の 材質 試 験 結 果
3.4.1溶 接金 属 の酸 素 量
Table 1に 示 す 条件 のAC-MIGな らび にDC-MIG溶
接 で シー ル ドガ ス 中 のCO2比 率 を変 え た ビ ー ドオ ンプ
レー ト溶 接 で の 溶接 金 属 の酸 素 量 をFig.15に 示す,AC
-MIG溶 接金 属 の酸 素 量 はDC-MIGよ り若 干低 く,両 者
ともCO2比 率 の平 方 根 に ほ ぼ比 例 す る.AC-MIG溶 接
金 属 の酸 素 量 は次 の実 験 式(1)で 与 え られ る.
log〔O〕ppm=0.47 log CO2%+1.76… … …(1)
(n=31,r=0.97)
融 合不 良欠 陥 防止 条 件 を考 慮 す る とAC-MIGはDC-
MIGよ り格 段 に低 酸 素 化 が 可 能 で あ る.Fig.14,15か
ら,た とえば 溶 接速 度80cm/minの 場 合,AC-MIGで は
5%CO,で 無 欠 陥 溶接 が 可 能 で あ り,溶 接 金 属 酸 素量 を
ほ ぼ120ppmと す る こ とが で きる.一 方,DC-MIGは20
%CO2で 酸素 量 は300ppm止 ま りで あ る.
3,4.2溶 接 金属 の 低 酸 素化 に よ る靱 性 向上 効 果
500な い し600MPa級 低合 金 鋼 の溶 接金 属 の靱 性 向上
につ い て の多 くの研 究 が な され てお りミ クロ組 織 の微 細
化 と低 酸 素 化 が 重 視 され て い る.通 常 のSi-Mn系 溶 接
金属 で は250ppmま で は低酸素化 に よ り靱性 向上 効果
がみ られるが,さ らに低酸 素化す ると組織が粗大化し靱
性が低下す る.一 方,含Ti系 溶接金属では250ppm以 下
の低酸素域で もTi酸 化物 に よる粒 内変態核生成効果 が
期待 で き,針 状 で細粒 のフェライ ト組織が得 られ る.
Table 2に 示す溶接条件 による溶接金属靱性の試験結果
はFig.16に 示 した ように,酸 素量120ppm程 度 までほ
ぼ直線 的にシャル ピー試験遷移温度 は低下 し,低 酸 素化
するほ ど靱性向上効果があった.
VTrs(℃)=0.32〔O〕ppm-137・・・・・・(2)
(n=12,r=0.93)
4.結 論
(1)汎 用 の垂下特性交流溶接電源 を用いたパルス印加
方式 によ り安定 したソ リッ ドワイヤAC-MIG溶 接 が可
能 となる.
(2)従 来DC-MIGに 見 られ るフ ィンガー状溶 け込 み
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88研 究論文 都島他:AC-MIGパ ルス発生
と は異 な り,AC-MIGで は低 ア ー ク力 特性 に よ りボ ウル
状 溶 け込 み とな る の で,融 合不 良 欠 陥 が 減 少 し高 速 溶 接
が可 能 とな り,多 層 盛 り溶 接 の欠 陥 防 止 に有利 で あ る.
(3)融 合 不 良 欠 陥 防 止 特 性 の 優 れ たAC-MIGで は
DC-MIGに 比 べ て格 段 に溶 接 金 属 の低 酸 素 化 が 可 能 で
あ る.
(4)含Ti系AC-MIG溶 接 金 属 で は酸 素 量120ppm
程 度 まで 高 靱性 が 得 られ る.
参 考 文 献
1)田 中ほか:大 電流MIG溶 接法と改良型アル ミキルド鋼のLPG
船への適用,日 本鋼管技報,(1979),7月,1~15.
2)上 垣 ほか:MIG溶 接の融 合不良発生現 象,本 会講 概,No.
26(1980),148.
3)安 藤,溶 接アーク現象,産 報,1976年,p.129~135.
4) W. Lucas et al.: Why not AC MIG-welding, Welding Inst.
Research Bull., 16(3), 1975, 63•`67.
5)中 西 ほか:交 流MIG溶 接法 の開発,住 友金 属No.2,26~39.
6) Kazuo Agusa et al.: Stabilization of Pure-Argon-Shielded
Metal-Arc by Rare Earth Addition to Electrode Wires, IIW
Doc. X II B-287-80, IIW Doc. X II E-56-80.
7) W. Lucas et al.: Alternating current MIG-Welding,
Advances in Welding Processes FOURTH INTER
NATIONAL CONFERENCE, 9-11 May 1978, 117•`126.
8)都 島 ほか:大 電 流AC-MIG溶 接 法,溶 接 学 会溶 接 アー ク物理
研 究委 員会第81回 資料(1985).
9)都 島 ほか:交 流MIG溶 接 にお け る溶接 金属 の 酸素 と靱 性,本
会 講概,No.29(1981)156.
10)安 藤,溶 接 アー ク現象,産 報,1976年,p.200 .
11)安 藤,溶 接 アー ク現象,産 報,1976年,p.198.
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