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参考資料

(1)共通の基本配慮事項

基本方針

各施設共通の整備指針

施設別の整備指針

運用方法

基本的事項

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参考資料

(1)共通の基本配慮事項

基本方針

各施設共通の整備指針

施設別の整備指針

運用方法

基本的事項

● 目 次 ●

1 基本的事項 ……………………………………………… 1

(1)目的 …………………………………………………… 1

(2)位置づけ ……………………………………………… 1

(3)対象施設 ……………………………………………… 2

(4)対象者 ………………………………………………… 2

(5)活用時期 ……………………………………………… 2

2 基本目標・基本方針 …………………………………… 3

(1)七尾市景観計画の基本目標・基本方針……………… 3

(2)公共事業の景観形成のコンセプト・基本方針 …… 5

(3)地域特性の把握 ……………………………………… 6

3 各施設共通の整備指針 ………………………………… 17

(1)共通の基本配慮事項 ………………………………… 17

(2)共通要素の整備指針 ………………………………… 21

①法面 ②擁壁 ③護岸 ④防護柵 ⑤舗装

⑥標識及び公共広告物 ⑦無電柱化 ⑧照明施設 ⑨緑化

4 施設別の整備指針 ……………………………………… 32

(1)道路 …………………………………………………… 32

(2)橋梁 …………………………………………………… 38

(3)河川・水路 …………………………………………… 41

(4)ダム …………………………………………………… 47

(5)砂防・治山 …………………………………………… 50

(6)港湾・漁港 …………………………………………… 52

(7)海岸 …………………………………………………… 55

(8)公園・緑地……………………………………………… 60

(9)公共建築物 …………………………………………… 63

(10)農地整備 ……………………………………………… 69

(11)森林整備 ……………………………………………… 73

(12)上下水道 ……………………………………………… 75

(13)自然公園 ……………………………………………… 77

(14)面的整備事業…………………………………………… 80

5 運用方法 ………………………………………………… 82

(1)運用の流れ …………………………………………… 82

(2)記入シート …………………………………………… 85

参考資料 ………………………………………………… 97

■七尾市景観条例(抜粋)…………………………………97

■七尾市公共事業景観形成指針 …………………………99

■国・県の景観形成ガイドライン・指針等 ……………102

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● ガイドラインの使い方 ●

ガイドラインは、大きく下記の3つで構成している。

基本的事項・基本方針 整備指針(共通・施設別) 運用方法

ガイドラインの位置づけや公共

施設整備にあたっての基本的な

考え方、地域特性を読み解くた

めのヒントなどを示している。

公共施設をデザインする際に配

慮すべき事項などを図や事例写

真を使って、具体的に示してい

る。

ガイドラインを適切に運用して

いくため、チェックシートの運

用方法などを掲載している。

整備指針は項目ごとに、共通要素は「指針」「配慮事項」、施設別は「基本的考え方」「指針」「配

慮事項」で構成している。

「指針」は「公共事業景観形成指針」の本文を記載しており、該当する要素や施設が含まれる

場合は、この指針に適合して事業を行うものとする。

「基本的考え方」は、指針設定の背景や景観形成の方向性を示している。

「配慮事項」は、指針の内容を具体化するための配慮例を示しているものであり、事業によっ

て、該当する項目について景観デザインの参考にするとともに、それぞれの事情にあった適切な

方法で良好な景観形成に努めるものとする。

こんなときは・・・ 七尾市公共事業景観形成ガイドライン

どんなときに使うか知りたいとき 1 基本的事項…………………… 1

景観形成の考え方を知りたいとき 2 基本目標・基本方針 ……… 3

七尾市の地域特性を知りたいとき

地域特性の捉え方や手法例を知りたいとき

具体的なデザイン手法を知りたいとき 3 各施設共通の整備指針 …… 17

4 施設別の整備指針 ………… 32 設計・施工等において、ガイドラインを どのように使うか知りたいとき

5 運用方法 …………………… 82

「七尾市公共事業景観形成指針」の全文を見たいとき 参考資料 …………………… 97

国・県の景観形成ガイドラインを知りたいとき

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1

基本的事項

1 基本的事項

(1)目的

本ガイドラインは、公共事業等による良好な景観の保全・創出を図るための目指すべき方

針や整備指針等を定めることにより、景観に配慮した良質な公共施設整備を促進し、美しい

七尾の景観の創出に寄与することを目的とする。

(2)位置づけ

◆七尾市では、本市独自の景観施策を総合的かつ強力に推進し、美しい七尾の景観を保全・

創出して次世代に継承していくため、「七尾市景観条例」を制定し、平成 20年 6月 26日に

公布した。

◆その中で、『公共事業景観形成指針』を定め、市は、指針に適合して公共事業を実施するこ

ととしている。

◆本ガイドラインは、『公共事業景観形成指針』を分かりやすくとりまとめたものであり、市

は、本ガイドラインを参考にして公共事業を実施するものとする。

七尾市景観条例の制定

平成 20 年 6月 26日公布、平成 21年 1月 1日施行

景観法の制定(H17全面施行)

条例に基づく「公共事業景観形成指針」の解説書として

『七尾市公共事業景観形成ガイドライン』を策定

市が先導的に公共事業による良好な景観の創出を図る

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2

基本的事項

(3)対象施設

◆七尾市内における下記の施設整備を対象とする。

①道路 ②橋梁 ③河川・水路 ④ダム ⑤砂防・治山 ⑥港湾・漁港 ⑦海岸

⑧公園・緑地 ⑨公共建築物 ⑩農地整備 ⑪森林整備 ⑫上下水道 ⑬自然公園

⑭面的整備事業

◆また、公共性の高い民間施設(面的整備、再開発ビル、バス停、駅、公園内の売店など)

についても、本ガイドラインに配慮することを推奨する。

※適用除外

・法令等の定めにより、本ガイドラインに基づく景観上の配慮が講じられない場合や、災害等の復旧

のために必要な応急措置として行う事業には、本ガイドラインの適用を除外することができる。

・なお、上記の場合においても、できる限り景観に配慮して事業を実施するよう努めるものとする。

(4)対象者

七 尾 市 指針に適合するようガイドラインを参考にして公共事業を実施する。

施行者(国、県等) 指針及びガイドラインに配慮して公共事業を実施する。

(必要に応じて、市は助言又は要請を行う)

設計者・施工者等 公共事業等に関わる際は、指針に適合するようガイドラインを参考に

して事業を実施する。

民 間 企 業 公共性の高い民間施設が、まちの景観を構成する重要な要素であるこ

とを認識して、新築や増築・修繕などの際には、ガイドラインを参考

にして景観に配慮する。

(5)活用時期

◆景観に配慮した公共施設整備を進めるにあたり、

指針を拠り所として、「計画・設計」から「施工」、

「維持管理」、「増築・修繕」などの各段階におい

てその整合性を確認し、ガイドラインを活用して、

常に良好な景観形成がなされるよう心がけるも

のとする。

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3

基本方針

2 基本目標・基本方針

(1)七尾市景観計画の基本目標

「七尾市景観計画」では、基本目標を、以下のように定めている。

七尾市には、古来より山地、河川、港などの豊かな自然に恵まれ、これらを活用した農林漁業

が営まれてきた。里山からの栄養豊かな土壌が川を流れ、海に流れ出て実りある農産物やカキを

はじめとする豊かな水産資源をもたらすなど、豊かな自然が連携しあいながら今日の七尾市をつ

くり、魅力ある景観を形成している。

七尾市の景観づくりには、こうした長い歴史を通して受け継がれてきた自然や歴史、文化との

連携を重視しながら、魅力ある景観資源の適切な維持・保全を基本として、新しい世代に確実に

受け継いでいくことが重要である。

また、七尾の魅力ある景観づくりは、そこに暮らす人々が七尾の美しさに愛着や誇り、快適性

を感じるとともに、その素晴らしさについて、子供たちや七尾を訪れる人々に伝えてこそ、意義

のあるものとなる。このため、市民が主体となって、景観づくりを行政とあいたずさえながら、

自然の恵みと生活とが密接に関わる中で育まれた魅力ある景観を繋げていくことが重要である。

このように、市民主体による景観づくりを進める中で、地域の魅力増進が図られるとともに、

七尾の景観への愛着と誇りが醸成され、市内外の様々な人との景観を通じた交流の促進による、

七尾市のさらなる発展を目標とする。

(2)七尾市景観計画の基本方針

「七尾市景観計画」では、市全域において、良好な景観を保全・創出し、後世に伝えると

ともに、地域の活性化につなげていくための基本的な方針を、以下のように定めている。

1)市民が中心となって景観を守ります

市民一人一人が景観に対する意識を高めるとともに、身近な環境を見つめ直し、積極的

に景観づくりに取り組むことで、七尾市の景観を守っていきます。その第一歩として、景

観教育などを推進していきます。

2)美しい七尾の自然景観を守ります

自然保全のための規制・誘導を行うとともに、市民一人一人が自然の大切さに理解を深

めていくことで、青く美しい海や川、山地・丘陵・田園からなる緑の大地など、七尾をと

りまく豊かな自然を守ります。

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4

(1)共通の基本配慮事項

基本方針

3)風土・伝統・文化が息づく七尾市固有の景観を守ります

季節の移り変わり、行事や慣習などを通して風土・伝統・文化を再確認することで、そ

れらが息づく自然や歴史景観、また、それらと調和したまち・集落景観など七尾市固有の

景観を守っていきます。

また、地域の気候風土、伝統文化が息づく個性と魅力ある景観の保全・継承のため、景

観資源の保全と併せ、景観を形づくる市民の生活習慣や産業の保護・育成を図ります。

4)地域の調和を生み出す景観を育てます

地域住民に景観づくりへの積極的な参加を呼びかけ、また、地域ごとの景観資源を磨く

ことで、七尾西・南湾を包み込むように形成された市域の調和と各地域の個性を育てます。

また、和倉温泉は、日本有数の観光地の一つとして一体的な景観を育てます。

5)地域をつなぐ連続性のある景観を育てます

道路沿道、海岸線、河川などの線的な景観づくりに取り組むことで、市域に点在する景

観資源を結び、連続して楽しめる景観を育てます。

6)時代にふさわしい魅力的な都市・温泉地景観を創ります

「国府」、「城下町」、「港町」という各時代の七尾独特の歴史・文化を受け継ぐとともに、

時代の変化を的確に捉え、今日にふさわしい魅力的な都市・温泉地景観を創ります。

7)七尾の魅力ある景観づくりの体制を創ります

景観づくりを円滑に推進していくために、景観に携わる人と人を結ぶとともに、情報を

共有できる体制を創ります。

8)景観を阻害する要因を除きます

七尾の魅力ある良好な景観を守るために、それらを阻害する要因を取り除きます。

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5

基本方針

(2)公共事業の景観形成のコンセプト・基本方針

公共事業の実施にあたっては、「七尾市景観計画」における基本目標・基本方針を遵守する

とともに、公共事業における景観形成のコンセプトと基本方針を以下のように定める。

≪コンセプト≫

山並みや海岸線などの豊かな自然景観や、人々の生活

の営みが息づく里山や田園、伝統的な街並みなどの七尾

の美しい景観、そうした風土に培われた文化など、その

施設の立地環境に調和し、さらに地域の景観を先導し、

県民や地域住民に愛着を持たれるよう、景観に配慮した

良質な公共施設整備を行うことにより、七尾の景観を守

り、育て、また新たな景観を創出することを目指す。

≪基本方針≫

立地環境に調和する施設づくり

整備する施設の立地環境やその景観特性を把握して、周辺の景観との連

続性や一体性、視点場からの見え方などを考慮し、地域環境に調和するよ

う努める。

また、地産地消を基本として、地域の材料や工法、地域資源を活用した

デザインの採用などにより、立地する地域の個性を活かした施設づくりに

努める。

地域を先導する魅力ある施設づくり

公共施設は多種多様で大規模なものが多く、地域の景観への影響が大き

いことから、地域の景観の骨格や拠点として、色彩の考慮や機能美の活用、

洗練されたデザインの採用など、地域を先導する景観となるよう工夫し、

周辺景観の質の向上を誘導する。

市民に愛着を持たれる施設づくり

機能性や安全性を確保するとともに、整備後の利用(くらし・イベント・

祭り等)を十分考慮し、地域住民の意見の反映やユニバーサルデザインの

採用など、地域住民が愛着を持って、持続的に活用や維持管理をするよう

な施設となるよう努める。

七尾の美しい風土に調和する公共施設 ~立地環境・先導・愛着の3つを大切にした施設づくり~

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6

(1)共通の基本配慮事項

基本方針

(3)地域特性の把握

①地域特性の捉え方

七尾の美しい景観に調和し、さらに地域の景観を先導し、市民や地域住民に愛着を持たれ

るような公共事業を実施するためには、まず地域の景観特性を把握することが必要である。

景観特性を考えるには、計画地周辺地域の「自然」、「歴史・生活文化」から景観特性や景

観要素、周辺景観への影響等を読み解き、それらを保全するのか、調和させるのか、もしく

は活用するのかといった方向性を確認して、公共事業の景観デザインに活かしていく。

【歴史・生活文化要素】

…地域の歴史・史実(地名の由来、まちの成り立ち)、歴

史的建造物(伝統的家屋、神社仏閣等)、史跡、遺跡、

地域の素材、伝統的な工法、産業、特産物、風物詩、伝

統行事、イベント、風習 など

【自然要素】

…気候、地形(海、山、川、渓谷、湖、池等)、植生(樹

林、並木等)、土地利用(農地、森林等)、眺望景観(近

景、中景、遠景) など

地域特性の把握

方向性の確認(保全、調和、活用等)

公共事業をデザイン

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7

基本方針

②七尾市の地域特性

【自然的特性】

1)気候

七尾市は、日本海に突き出た能登半島の中央部に位置し、北は穴水町、西は志賀町、南

は中能登町、富山県氷見市と接している。日本海の影響を強く受けるため、冬の雪と季節

風、夏の湿潤多雨とフェーン現象による高温という気候上の特徴がある。降雪量は加賀地

方より少なめである。夏は海風が涼しく、台風の影響は割と少ない。

このことは、各地域のしっかりとした家屋の構造や、平入り形式の町家の発達、雪吊り

など四季の変化を彩る象徴的な景観を生み出しているほか、季節風に伴う潮騒や四季折々

の草花の香り、渡り鳥の飛来等もまた景観に影響を与える要素となっている。

一本杉通りの伝統的町家 竹垣の里(万行町)

雪から樹木を守る雪吊り 冬の七尾湾

大津潟に飛来する渡り鳥

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8

(1)共通の基本配慮事項

基本方針

別所岳から七尾湾を望む 勝尾崎(能登島鰀目町) 屏風崎(能登島半浦町)

城山のスカイライン 能登・立山シーサイドライン 七尾湾

<地勢図>

出典:「新版 石川の動植物」p4 の図に加

2)地形

七尾市は、能登半島のほぼ中央に位置してお

り、北部から能登丘陵、邑知潟低地帯、石道・

宝達山地からなり、城山(380.7m)、伊掛山

(252.2m)と連なって崎山半島となり、富山湾

と七尾湾を区切っている。内浦は穏やかな湾入

地形のため波が比較的穏やかで、繊細な自然美

を誇る海岸線が見られる。また、西南の丘陵が

湾の西に伸びた石崎屏風崎が自然の防波堤とな

り、天然の良好の南湾「七尾湾」をつくってい

る。さらに、七尾城跡、別所岳、和倉温泉、能

登島、七尾湾沿岸部が能登半島国定公園に指定

されている。平成23年に世界農業遺産に認定

された「能登の里山里海」が広がっている。

海辺の低地には市街地が展開し、主要河川が

七尾湾に注いでいる。各地には赤浦潟や大津潟、

奥原潟などの湖沼があり、多彩な地形が変化に

富んだ自然景観を形成している。

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9

基本方針

3)植生

七尾市は、能登半島のほぼ中央にあり、標高 0mの海辺から 380mの城山までの垂直的

な広がりを持つ。さらに、対馬暖流と冬期の季節風等の影響により、寒暖両系の豊かな植

生が見られる。

また、能登地方は丘陵性で古い時代から林業など人の活動により自然が改変されてきた。

七尾市の植生の特徴として、アカマツ・コナラ域が他の地域に比較して範囲が広いこと

があげられ、主に石動山地の地域に、自然度の高いブナ林が分布している。

<能登地方の植生>

出典:「新版 石川の動植物」p17 の図に加筆

地 区 調 査 名 植    生

御祓 巨樹・巨木林 小丸山公園常緑広葉樹林、クマノミズキ、ソメイヨシノ、ヤブツバキ

徳田 巨樹・巨木林 飯川のヒヨドリサクラ、飯川のケヤキ、スギ、スダジイ、タブノキ、タラヨウ

矢田郷 巨樹・巨木林 アカマツ、イヌシデ、エノキ、ケヤキ、スギ、タブノキ、モチノキ

東湊 巨樹・巨木林 イチョウ、クロマツ、ケヤキ、スギ、タブノキ

西湊 巨樹・巨木林 イチョウ、スギ、ケヤキ、タブノキ、龍門寺のラカンマキ

石崎・和倉 巨樹・巨木林 イチョウ、ケヤキ、スダジイ、タブノキ

南大呑 巨樹・巨木林 スギ(阿良加志比古神社)、イチョウ、ケヤキ、スダジイ、タブノキ、ヤブツバキ

北大呑 巨樹・巨木林 伊影山神社のイチョウ、エノキ、クロマツ、スダジイ、タブノキ、ヤマザクラ

崎山 巨樹・巨木林椿林寺常緑広葉樹林(法広寺)、観音島海浜植物群落イチョウ、サイカチ、タブノキ

高階 巨樹・巨木林 タブノキ、スダジイ

特定植物群落 赤倉神社のカゴノキを含むモミ林

巨樹・巨木林イチョウ、イヌマキ、ケヤキ、カゴノキ、スギ、スダジイ、タブノキ桂香園タラヨウを含む古木郡

特定植物群落 唐島のタブ林

巨樹・巨木林 イチョウ、エノキ、大杉、カツラ、ケヤキ、スギ、小牧のスダジイ、タブノキ、ユズリハ

能登島 巨樹・巨木林 イチョウ、ケヤキ、スダジイ、出村家のタブノキ

資料:特定植物群落調査、石川の巨樹・巨木林(石川県巨樹の会)

中島

田鶴浜

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10

(1)共通の基本配慮事項

基本方針

<参考:石川の自然植生を構成する地域別基幹樹種リスト>

奥能登 口能登・加賀中央部 南加賀

常緑広葉樹

(高木・亜高木)

タブノキ、ヤブニッケイ、

ヤブツバキ、シロダモ、ス

ダジイ、アカガシ、ウラジ

ロガシ、モチノキ、シュロ、

シキミ、ヒサカキ

タブノキ、スダジイ、ウラ

ジロガシ、アカガシ、ヤブ

ツバキ、シロダモ、モチノ

キ、ヒサカキ

タブノキ、ヤブツバキ、ヤ

ブニッケイ、シロダモ、モ

チノキ、ウラジロガシ、ス

ダジイ、ツクバネガシ

夏緑広葉樹

(高木・亜高木)

ケヤキ、エゾイタヤ、シナ

ノキ、アカシデ、イヌシデ、

コシアブラ、アズキナシ、

カシワ、エノキ、ヤマトア

オダモ、ヤマザクラ、フジ、

ブナ、ミズナラ、ハウチワ

カエデ、コハウチワカエ

デ、ヤマボウシ

ケヤキ、コシアブラ、ヤマ

モミジ、クマノミズキ、ア

カシデ、ケンポナシ、エゴ

ノキ、キタコブシ、ウワミ

ズザクラ、キブシ、ブナ、

イヌシデ、コハウチワカエ

デ、アオハダ、ウラジロノ

キ、エノキ

ケヤキ、アカシデ、ヤマモ

ミジ、コシアブラ、タカノ

ツメ、ナツツバキ、アカイ

タヤ、ミズキ、クマシデ、

ケンポナシ、エゴノキ、キ

タコブシ、ウワミズザク

ラ、キブシ、ヤマボウシ、

エノキ、コハウチワカエ

デ、リョウブ、ウラジロノ

常緑広葉樹

(低木)

ヒメアオキ、カラタチバ

ナ、ムラサキシキブ、カク

レミノ、ヤツデ

ヒメアオキ、ヤツデ、ヤブ

ツバキ、ヒサカキ、シロダ

モ、ハイイヌツゲ、ユキツ

バキ

ヒメアオキ、ヤツデ、マサ

キ、ヒサカキ、ネズミモチ

夏緑広葉樹

(低木)

ムラサキシキブ、オオバク

ロモジ、ユキグニミツバツ

ツジ、ホツツジ

ムラサキシキブ、ユキグニ

ミツバツツジ、オオバクロ

モジ

ムラサキシキブ、ユキグニ

ミツバツツジ、ホツツジ、

ウスギヨウラク、ヒョウガ

ミズキ、マユミ、コマユミ、

マルバマンサク、オオバク

ロモジ

針葉樹(高木) モミ モミ モミ

針葉樹(低木) 該当なし チャボガヤ、ハイイヌガヤ チャボガヤ、ハイイヌガヤ

草本層(低木を

含む)

イノデ、ベニシダ、ヤブコ

ウジ、ツルシキミ、ヤブラ

ン、オオイワカガミ、オク

ノカンスゲ、タガネソウ、

(ギョウジャニンニク)

ヤブコウジ、ジャノヒゲ、

キチジョウソウ、ベニシ

ダ、テイカカズラ、シャガ、

ミヤマフユイチゴ、ツルア

リドウシ、ニシノホンモン

ジスゲ、ミヤマカンスゲ、

タガネソウ

ベニシダ、ヤブラン、ヤブ

コウジ、ジャノヒゲ、イノ

デ、テイカカズラ、ツルア

リドウシ、ホソバカナワラ

ビ、ツルシキミ、タガネソ

ウ、ニシノホンモンジス

ゲ、ミヤマカンスゲ

基幹樹種以外で

植栽に選定され

るべき主な樹種

クサギ、アカメガシワ、クロマツ、アカマツ、タニウツギ、ミヤマカワラハンノキ、

ヤマハンノキ(ケヤマハンノキを含む)、クリ

出典:「石川の植栽樹種 100 選」(社団法人石川の森づくり推進協会発行)

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11

基本方針

自然的特性の捉え方

◆地域の植生や環境条件を把握する

日当たりや土壌条件などを調べて、目的と地域に応じた樹種・品種を選択し、花や緑

陰をつくる樹木の配置、親水空間の整備など、四季折々の季節感のある景観を演出する

よう検討する。

◆生態系を保全する

多様な生物が生息する自然環境の保全は、公共施設整備において十分配慮すべきこと

であり、地域の自然環境を把握し、保全・調和を検討する。

◆冬季の状態を想定する

景観面に配慮した雪処理の検討や、積雪時の見え方、広葉樹の落葉後の景観を想定し

て計画する。

◆眺望景観を把握する

計画地周辺の地形を把握して、平地からの仰瞰景観や山手からの俯瞰景観など、様々

な視点場からの見え方を考慮し、周囲とのバランスに配慮して計画する。また、計画す

る施設からの近景・中景・遠景を把握し、施設からの眺望を活かした施設づくりを検討

する。

◎自然的特性を捉える手法例

・文献資料や古い写真を収集する(植生、地形の変化、水辺や緑地の変遷など)

・地元関係者や専門家へヒアリングする

・計画地周辺(狭域、中域、広域)の自然的特性(地形、植生、自然資源、土壌環境など)

をマップ上に整理する

・現地でフィールドワークを行う

・CG等でシミュレーションを行う

<俯瞰景観と仰瞰景観> <施設からの見え方>

<周囲からの見え方>

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12

(1)共通の基本配慮事項

基本方針

【歴史・生活文化的特性】

1)歴史

◎江戸期以前

縄文時代では貝塚が発見された「三引遺跡」や「赤浦

遺跡」、古墳時代初頭の大型建物群跡「史跡 万行遺跡」、

大陸と能登の交流を語る「史跡 須曽蝦夷穴古墳」、北陸

最大級の石室「院内勅使塚古墳」、古代能登国を代表す

る「史跡 能登国分寺跡」など数多くの歴史的・文化的

景観資源が点在している。戦国大名として活躍した能登

畠山氏は170年間にわたって能登を統治した。その居

城「七尾城跡」は、戦国期の城郭と城下町が共存する大

変貴重な遺跡で、日本100名城に選ばれている。天正

5 年に越後の上杉謙信によって攻略されるまで、京風の

文化漂う城下町が栄え、この時代に画聖「長谷川等伯」

が誕生した。

◎江戸期

天正 9 年(1581)、前田利家は畠山氏の七尾城を能登

一国の拠点として小丸山城に移した。中心部を流れる御

祓川を挟んで東側に職人街、西側に商人街が配置され、

商工業都市として城下町(七尾町)が整備された。前田

利家が奥能登地域からの七尾城の防御を目的に、浄土真

宗を除く各宗派の寺院(山の寺)を防御陣地として小丸

山城下に移転配置し、東側(郡町)に浄土真宗派の寺院

を集めた。前田利家によって築かれた城下町はそのまま

残り、港町・商工業都市として発展を続けた。これによ

り、風格ある伝統町家が歴史的町並みを形成し、古都独

特の情緒溢れる雰囲気を生み出している。

また、天然の良港「七尾港」は大阪と蝦夷地を結ぶ日

本海航路に就航した廻船である北前船の寄港地として、

日本海交易による港町文化が栄え、能登街道の要衝とし

て賑わっていた。

◎明治・大正期以後

明治に二度の大火に見舞われたが、歴史的・文化的景

観資源が戦災を逃れ、現在に受け継がれてきている。

国登録文化財が並ぶ一本杉通りをはじめ七尾城史資

料館、懐古館、明治の館など、明治・大正の時代を経た

建築物や、街道沿いの町家が現在も残り、良好な街並み

景観を形成している。

能登国分寺公園

懐古館(旧飯田家母屋)

小丸山城址公園

七尾城史資料館

山の寺(妙観院)

七尾城本丸跡

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13

基本方針

2)地場産材

市内には、豊かな自然を背景に、木材や石材などの地場産材がある。七尾城の石垣に見

られるように、地場産材の活用により、地域固有の景観を形成してきた。

また、地場で採れる自然素材を活用して、筵、縄など作られてきた。そうした地場産材

の活用は、地場産業の活性化にもつながる。さらに近年は、能登で産出される珪藻土の建

材としての活用も進められている。

<参考:地場産材例>

分類 名称 産地 概要

スギ 県内各地 生産量は県内で最も多い。材質は、木目が通直で、肌目はやや粗く、淡紅色をした心材は造作材や建具材などに好んで用いられる。主体は柱など構造用材として多く用いられ、小径材はログハウスなどの建築資材のほか、防風垣や植木の支柱など、使用は広範囲にわたる。

アテ

(能登ヒバ)

輪島市、穴水町

能登地域で産出される特有の木材で、「県木」に指定されている。材質は、緻密で粘り強く、光沢があって特有の香気がある。優美な淡黄白色で、優れた耐朽性と強度がある。主として建築用構造材に用いられるほか、内壁材や外壁材、家具材、工芸品にも用いられる。

戸室石 金沢市

戸室山

花崗岩で、青と赤系の色を持ち、金沢城の石垣や兼六園にある雁行橋などにも使われている。

滝ヶ原石 小松市

滝ヶ原町

白色の凝灰岩で、石塀や石積みなどに使われ、金沢城の外濠に護岸用石材として用いられている。

日華石 小松市

観音下町

黄色が強く、明るい感じの凝灰岩で、住宅の石塀として県内で多く使われている。

滝石 羽咋市

柴垣海岸

庭石として全国的に有名な花崗岩。黄白色の鉄錆色で、表面は亀裂模様、海水中のものは赤みを帯びている。

珪藻土 珠洲市、七尾市、輪島市

27億トンと国内最大の珪藻土が埋蔵し、他産地と比較して相当量の粘土を含むため、成形しやすい特性を活かして断熱レンガ、七輪、土壌改良材、輪島塗「地の粉」等に使用されている。近年は、吸放湿特性を活かして内壁や外壁、床下材などへの活用も進められている。

品 和

加賀二俣和紙(コウゾ)

金沢市

二俣町

平安時代から和紙が漉かれていたと言われ、文禄元年(1592)以来、二俣は献上紙漉き場として加賀藩の庇護を受け、加賀奉書など高級な公用紙が漉かれていた。自家採取と国内の原料で生産し、現在は、箔打ち紙や、工芸、表具用の紙を漉いている。

加賀雁皮紙(ガンピ)

川北町

中島

天明4年(1784)には、敦賀から製法を学び、雁皮紙が漉き始められ、当初は西陣織の金糸、銀糸の芯紙として使用されたが、現在は、金箔の箔打ち紙等に使用されている。

能登仁行和紙(コウゾ、スギなど)

輪島市

三井町仁行

輪島市仁行では、古くから付近のコウゾを使って紙漉きが行われ、現在は、ササやスギ皮、海藻などを漉き込んだ独特の和紙が漉かれている。

小松表(イ草)

小松市 イ草の表皮が他の産地より強靱で丈夫なため、暖房具の使用による痛みが少ないところから、主に、畳の床暖房に使用されている。

小松瓦 小松市、加賀市

小松市産の粘土を主要な原材料とする瓦。耐圧、耐塩害、耐凍害に強く、劣化しにくい。防災機能を備えた防災瓦や洋風化に対応できる新商品の開発等も進められている。

珪藻土 杉

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14

(1)共通の基本配慮事項

基本方針

3)伝統的工法

建築や土木、造園の技術は、土地の気候風土によって異なる。七尾市内において、合掌

組入母屋造りの茅葺屋根、商店街で見られる切妻造りの町家、能登島の黒瓦の屋根並みな

ど、各地域で伝統的な建築様式や伝統技術、工法が培われ、地域固有の景観を形成してい

る。

合掌組入母屋造りの茅葺屋根 黒瓦で統一された集落 伝統的町家

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15

基本方針

4)生活文化

真宗王国の伝統は、人々の生活やコミュニティはもちろん、住居のありようにも大きな

影響を与えている。また、前田家は文化の庇護者としても名高く、全国からもたらされた

文化が七尾独自の伝統文化や工芸まで発展、成熟を遂げている。さらに、江戸時代中期以

降に活躍した北前船により、海上での商業活動を通して人、モノ、文化を運びこまれた。

これらの文化的な蓄積が、様々な祭りや風習など、七尾の人々の生活に深く溶け込み、

現在の景観に取り入れられている。

また、七尾仏壇、田鶴浜建具など七尾市の多彩な工芸技術の活用などにより、七尾の個

性を出した景観づくりも見られる。

能登島向田の火祭り 熊甲二十日祭の枠旗行事

七尾城跡

和ろうそく

青柏祭の曳山行事 気多の鵜祭の習俗 七尾まだら

田鶴浜建具

石崎奉燈祭

七尾仏壇

万行遺跡 懐古館(旧飯田家)

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(1)共通の基本配慮事項

基本方針

歴史・生活文化的特性の捉え方

◆歴史的資源を見つける

古い建物や土木構造物、古木などの歴史的資源を発見し、まちの歴史を伝える拠点と

しての空間整備に活かすよう検討する。

◆地域の歴史をひも解く

計画地周辺の歴史や由来、史実などを調べ、空間整備に活かすよう検討する。

◆地域の素材を活かす

素材の経年の変化(エイジング)を考慮して、地域の地場産材を活用し、味わいのあ

る景観づくりを演出できるよう検討する。

◆地域の固有の技を見つける

地域の伝統的な工法・技術の活用や再現をすることで、地域の歴史を継承できるよう

検討する。

◆文化的要素をイメージ化する

地域の工芸技術や特産物などの形、色彩、イメージなどをバランスよく景観デザイン

に活かすよう検討する(ただし、直喩的な表現は、デザインの質を落とす場合もあるた

め、吟味する必要がある)。

◆地域の行事や風習を活かす

地域の行事や風習を把握し、その開催を妨げることのないよう配慮して整備するとと

もに、一層引き立たせるような景観デザインを検討し、地域の伝統を継承できるように

する。

◆周辺環境に注目する

計画地周辺の産業や文化、それらが持つイメージなどを空間整備に活かせるよう検討

する。

◎歴史・生活文化的特性を捉える手法例

・文献資料や古い写真、古地図を収集する(町の成り立ち、町名の由来、土地利用の変遷、

暮らしぶり、生活文化等)

・博物館、美術館、図書館等で調べる

・地元関係者や専門家へヒアリングする

・文化財、古木を調べる

・地元の学校の校歌にキーワードがないか調べる

・資源マップを作成する

・地域の行事に参加する

・現地でフィールドワークを行う(人の流れ、暮らしぶりなど)

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各施設共通の整備指針

3 各施設共通の整備指針

(1)共通の基本配慮事項

公共事業の景観形成のコンセプト・基本方針を踏まえ、各種公共事業において、共通して配慮すべき基本的な事項を以下のように定める。

①自然環境を活かし、調和を図る

②歴史や生活文化の蓄積を活用する

③視点場からの見え方に配慮する

④地域における公共施設の機能や役割を考慮する

⑤色彩や形態を考慮する

⑥ヒューマンスケールを取り入れる

⑦事業者間の調整を図る

⑧維持管理面を考慮する

⑨工事中の景観に配慮する

<視点>

七尾の美しい風土に調和する公共施設

~立地環境・先導・愛着の3つを大切にした施設づくり~

≪コンセプト≫

≪基本配慮事項≫

≪基本方針≫

施設を取り

巻く環境

施設本体

事業実施

17

◆立地環境に

調和する施設づくり

◆地域を先導する 魅力ある施設づくり

◆市民に愛着を 持たれる施設づくり

公共事業の景観形成で 大切にしたい3つのL

立地 環境

愛着 先導

Location

Harmony

Love Lead

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各施設共通の整備指針

≪基本配慮事項≫

①自然環境を活かし、調和を図る

・事業地の周辺環境や背景となる自然環境とのバランスに配慮して施設づくりを行う。

・海から山岳地までの変化に富んだ地形を活かし、地形の改変は最小限にとどめる。

・多様な生物が生息する自然環境を保全、創出する。

・広葉樹や草花の植栽、水辺空間の活用等により、四季折々の魅力が感じられる景観を創

出し、潤いある地域環境の創造を先導する。

・緑化を推進することにより、環境負荷の軽減を図る。

・エコ・リサイクル製品や省エネ型の設備・構造を採用する

など、環境にやさしい施設づくりを目指す。

②歴史や生活文化の蓄積を活用する

・地域の歴史的変遷、文化等を把握し、景観づくりに活かす。

・地域の将来動向などから地域の変化を予測する。

・地域の個性を表現する資源(景観資源、地場産材、工法・技術等)を活かす。ただし、

過剰な演出とならないよう配慮する。

・地域住民の郷土への愛着、生活感覚等を尊重し、人々に親しまれる景観とする。

・歴史文化遺産などの地域の景観資源を保全・活用し、文化の創造、観光の推進を図る。

・建築物などの既存ストックを効果的に活用する。

③視点場からの見え方に配慮する

・視点場と対象施設、その他の視対象(山並み、

景勝地、ランドマーク等)との関係を考慮し、

眺望景観を阻害しないようにする。

・近景・中景・遠景、俯瞰景観や仰瞰景観など、

様々な視点場からの見え方に配慮する。

・公共事業が率先して眺望景観に配慮した施設

づくりを行うことにより、民間施設への啓

発・波及を促進し、眺望景観の保全を図る。

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各施設共通の整備指針

④地域における公共施設の機能や役割を考慮する

・施設の機能や役割、立地条件や利用特性を把握し、効果的な施設となるよう計画する。

・施設の本来の役割に加え、賑わい創出や地域活性化に資する施設を目指す。

・施設の機能や役割等から、景観上、その施設が「図(主役)」と「地(脇役)」のいずれ

であるかを判断する。「図」の場合は周辺に調和しつつ、地域を先導する景観デザインと

し、「地」の場合は周辺との調和に重点を置いてデザインする。

・計画段階から地域住民の意見を取り入れる場を設けるなど、市民ニーズの把握に努める。

※「図」と「地」…物の見え方に関する基本的概念の一つ。「図」とは、全体の中で浮かび上がって見える部分を指し、「地」とは、その背景として知覚される部分を指す。

⑤色彩や形態を考慮する

・色彩は、景観に与える影響が大きいため、周囲からの見え方に十分配慮する。

・高彩度を避け、周辺環境(山間部、市街地等)と色彩や色調を合わせるなど、周囲の景

観特性に調和するよう工夫する。

・素材や方角、時間帯などにより、色の見え方が変化することを考慮する。

・ベースカラーやアクセントカラーなどの配色、使用面積を工夫する。

・建築物や構造物等の形態は、その施設が「図(主役)」と「地(脇役)」のいずれである

かによって、周辺との調和や先導性の演出のバランスを考慮してデザインする。

※色彩は、七尾市景観計画における数値基準を参考にする(本ガイドライン p84参照)。

⑥ヒューマンスケールを取り入れる

・休憩施設や親水空間の整備、植栽等による潤いの演出、歩行空間の確保、バリアフリー

など、利用者の利便性や快適性、スケール感、動線、目線を考慮し、安全・安心に利用

できる人にやさしい施設となるようデザインする。

・大規模な建築物や構造物等の計画にあたっては、周辺の街並みとの調和を図るとともに、

デザインの工夫、緑化など、ヒューマンスケールを取り入れる。

※ヒューマンスケール…人間の感覚や動きに適合した、適切な空間の規模や物の大きさ。

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各施設共通の整備指針

⑦事業者間の調整を図る

・事業者や事業時期の違いによって、隣接する同種の施設とデザインの不調和を招かない

よう、組織間の連携を推進し、関連計画や周辺の事業を調べ、必要に応じて事業者間の

調整を図る。

・道路と公共建築物など、隣接する施設はできる限り事業相互で連携し、エリアとして一

体的に地域の景観を先導するような景観形成に努める。

⑧維持管理面を考慮する

・エイジング(材料の経年変化、樹木の成長等)や維持管理のしやすさ、ライフサイクル

コスト、気候風土等を考慮し、長寿命化に対応した施設整備を行う。

・施設の劣化により良好な景観が損なわれないよう、計画的・効率的な維持管理を行う。

・市民参加を推進し、地域住民が施設の活用や維持管理を行えるよう支援する。また、計

画段階から地域住民等の意見を取り入れる場を設け、維持管理に参画できる仕組みをつ

くるなど、官民の協働と役割分担による公共施設の管理・運用を目指す。

※ライフサイクルコスト…設計・建設・運営維持・修繕・解体まで、トータルでかかる費用(生涯費用)。

⑨工事中の景観に配慮する

・工事用看板、バリケード等は、デザインや色について周辺との調和に配慮するとともに、市

民へのわかりやすい情報提供に努める。

・長期間の工事の際は、仮囲いの設置などにより、現場の繁雑さを感じさせないよう工夫する。

・仮囲いは、周辺の景観との調和に配慮してすっきりとしたデザインとし、通行者に圧迫感を

感じさせないよう、できる限り敷地境界から後退させて設置し、緑化に努める。

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各施設共通の整備指針

(2)共通要素の整備指針

各種公共事業における共通要素の整備指針を以下のように定める。

①法面

現況の地形に応じた構造及び形態とし、圧迫感を軽減させるよう努める。また、法面

の覆工については、緑化による修景など周辺景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●大規模な法面の場合には、法面の勾配はでき

る限り緩やかにとるなど、原地形になじませ

るよう努める。

●その地域の自然環境に配慮して、在来種等に

よる植生を施すなど、周辺状況になじませる

よう努める。

現地形になじませるよう、緩やかな盛土勾配

を形成(のと里山海道/七尾市中島町土川)

法面を緑化し、周辺景観との調和に配慮

(国道 249号藤橋バイパス/七尾市国分町)

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各施設共通の整備指針

②擁壁

自然素材の利用等、意匠、色彩及び素材について工夫を行い、周辺景観との調和に努

める。

≪配慮事項≫

●つる植物等による擁壁前面の植栽や、擁壁の表面

処理等により周辺景観との調和を図り、圧迫感及

び違和感の軽減に努める。

●特に景観に配慮すべき地域では、自然石・地場産

素材の活用、植栽との併用等による周辺の環境と

調和した形態及び素材に配慮する。

擁壁前面に植栽し、周辺景観との調和に

配慮(山側環状/金沢市)

盛土部はテールアルメ擁壁を階段施工

し、小段部へ植栽

(一般県道芝原石引町線/金沢市)

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各施設共通の整備指針

③護岸

生物の生息・繁殖環境と多様な景観の保全・創出に配慮した適切な工法の採用に努め

る。

≪配慮事項≫

●自然環境に応じて、生物の生息に配慮した構造と

するなど、生態系の保護に努める。

●自然とのふれあいができるような親水空間の創

出に努める。

●自然素材や環境保全型ブロックの活用、景観に配

慮した人工的な表面処理等により、周辺景観に調

和した意匠・形態になるよう努める。

環境保全型ブロックを採用し、周辺環境と

の調和に配慮(坂井川/七尾市白馬町)

●埋立護岸については、周辺景観に圧迫感や違和感

を与えないよう、形態をコンパクトにするなど配

慮する。

自然環境(瀬・淵など)を活かした河川

整備(御祓川/七尾市北藤橋~馬出町)

水際部にわんどや階段を整備し、水生生

物、親水性に配慮(犀川/金沢市)

※わんど…川のよどみ(死水域)

天然石の活用により、周辺景観との調和

に配慮(能登島海岸/七尾市能登島野崎

町)

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各施設共通の整備指針

④防護柵

防護柵としての機能を確保しつつ、意匠、色彩及び素材の工夫により、周辺景観との

調和に努める。

≪配慮事項≫

●周辺環境との調和に配慮し、意匠はできる限り

シンプルなものとする。

●歩道用の転落防止柵は縦桟を基本とする。

縦桟の転落防止柵

●色彩は国土交通省道路局監修の「景観に配慮し

た防護柵のガイドライン」により、ダークブラ

ウン、グレーベージュ、ダークグレーの基本3

色及びオフホワイトとし、材質は鋼製を基本と

する。

特に景観上の配慮が必要な地域については別

途検討する。ただし、汎用性が高く、点検・補

修が容易な構造を持つ材料を使用するなど、維

持管理について十分に考慮する。

●近接して設置される他の施設との調和に努め

る。

●中心市街地や観光地周辺では、人との親和性に

配慮する。

●カーブが連続するなど、視線誘導が必要な箇所

については、景観を阻害しないよう配慮して、

反射シート等の設置を行う。

遊歩道に転落防止柵を設置

(七尾マリンパーク/七尾市府中町)

景観に配慮してダークブラウンのガードレ

ールを採用

(市道崎山5号線/七尾市鵜浦町)

事例写真

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各施設共通の整備指針

⑤舗装

舗装としての性能及び安全で快適な走行性と歩行性を確保するとともに、視点位置に

よっては景観に大きく影響を与えるため、周辺景観に調和するような素材、色調の採用

に努める。

≪配慮事項≫

●車道舗装の色は、アスファルト舗装の場合は黒

色を基本とし、彩色する場合は低彩度の自然色

を採用して、ドライバーの運転環境と周辺環境

に配慮する。

●歩道舗装は、歩道舗装を彩色する場合は低彩度

のものとする。

●自転車道や公園・緑地歩道、都市広場等の舗装

に彩色する場合は、自然色に近いものとし、素

材は維持管理がしやすいものとする。

●中心市街地や歴史的街並みにおける事業など、

地域特性を考慮する場合は、周辺環境に調和し

た意匠、形態となるよう素材、色調に配慮する。

(ただし、走行性を損なうような素材の使用は避

け、過剰な演出とならないよう配慮する。)

市道和倉 80号線(七尾市和倉町)

<舗装材例>

ブロック舗装 脱色アスファルト舗装 カラー舗装

ブロック舗装

(和倉温泉/七尾市和倉町)

温泉街の街並みを引き立てる舗装

(和倉温泉/七尾市和倉町)

歩道部の型押しコンクリートとカラー舗装

(市道和倉 2号線/七尾市和倉町)

地場産材 廃材リサイクル景観品 石張り舗装

木材チップを利用した舗装

(希望の丘公園/七尾市万行町)

ガラス廃材を利用した平板ブロック

(市役所前/七尾市袖ケ江町)

歴史的街並みに合わせた石畳

(一本杉通り/七尾市一本杉町)

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各施設共通の整備指針

⑥標識及び公共広告物

道路標識としての安全で利便性の高い機能を確保しつつ、設置数は最小限とし、表示

すべき情報や掲示内容の整理整合、適切な場所への設置に努める。

また、良質なデザインや環境への配慮により、地域の良好な景観や環境づくりに資す

る広告物の設置に努める。

≪配慮事項≫

◎標識

●できる限り形態、意匠、高さを統一し、共架等に

より集約化に努める。

●近接して設置される他の道路付属施設との調和

に努める。

△ ○

道路標識等はできる限り共架にすることが望ましい

●特に景観上の配慮が必要な地域や道路では、視点

と視対象を意識した配置とし、標識柱及び標識板

の裏面を落ち着いた色彩とするなど、周辺景観と

の調和に努める。

◎公共広告物

●過剰な広告や周辺景観から浮き立つ広告を避け、

地域を特徴づけるデザインや素材などを用い、良

好な景観形成に努める。

標識の情報量を必要最小限とし、分かり

やすく配慮(小丸山大通り/七尾市小島

町)

周辺景観と調和するよう標識の裏面を

茶色に塗装(国道 249 号 藤橋バイパス

/七尾市国分町)

周辺環境に調和するよう木目調の枠を

使用した案内板(和倉温泉/七尾市和倉

町)

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各施設共通の整備指針

●基本的に控えめな表現を心がけ、その上で、マー

クやロゴ、素材など様々な要素を吟味し、見やす

さ、分かりやすさなどすべての利用者に配慮し

て、良質かつ普遍的なデザインとなるよう工夫す

る。

●自然素材の持つ風合いや質感などの特色を活か

し、地域景観との調和、景観のアクセントとなる

よう努める。

●サインを集合化し、すっきりとしたサイン表示を

行うことにより、地域景観への配慮、省資源化に

努める。

△ ○

サインはできる限り集合化させることが望ましい

●環境配慮型素材やリサイクル製品を使用するな

ど、再資源化や省資源化に努める。

シンプルなデザイン(七尾市袖ケ江町)

広告が建築物と調和(なかじま猿田彦温

泉「いやしの湯」/七尾市中島町小牧)

木材と瓦を案内看板に使用(小丸山城址

公園/七尾市馬出町)

温泉街のドライバー向け旅館案内サイ

ンを集合化(和倉温泉/七尾市石崎町)

石川県エコ・リサイクル製品を活用した市章

モチーフの屋上緑化(七尾市役所中庭)

※詳細は、「いしかわエコサインガイドライン」を参照のこと。

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各施設共通の整備指針

⑦無電柱化

歴史的・文化的地区や商店街・温泉街地区、空港や駅、玄関口となる幹線道路沿線な

ど、特に景観上の配慮が必要な場所では、無電柱化することにより美しい街並みの形成

に努める。

≪配慮事項≫

●電柱や電線類は、景観を阻害するばかりでなく、

通行の妨げともなり、地震・台風時には倒壊によ

り甚大な被害を引き起こす可能性もあることか

ら、特に景観上の配慮が必要な場所から、順次、

無電柱化を進める。

●地上機器の設置スペースの確保や家屋の連担状

況、町割り、事業費、工事期間、沿道住民の合意

形成など、対象地の実情に合わせて、適切な整備

手法を選定する。

<整備手法>

<無電柱化の効果>

◆良好な景観の創出

市街地の街並みづくり

歴史的な街並みづくり

観光地の景観づくり など

◆安全・安心な道づくり

通行の妨げとなっている電柱

の撤去

◆防災対策

地震・台風への備え

画像出典:国土交通省 道路局

●軒下配線方式 軒下配線

壁面配線

軒下配線のイメージ(整備後)

●地中化方式 単管路方式

トラフ・FA方式

●裏配線方式 裏側道路配線

背割配線

脇道配線

裏配線のイメージ(整備前) 裏配線のイメージ(整備後)

表通りを 無電柱化

地中化のイメージ(整備前) 地中化のイメージ(整備後)

引込配線

軒下配線

裏通りに配線

表通りに配線

電線類を道路の地下に収容し 電線・電柱を無くす

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各施設共通の整備指針

●地上機器の設置にあたっては、設置者と協議の

上、周辺景観に調和した意匠、色彩を採用するよ

う努める。また、小公園等の公共空間への集約や

民地への設置等も検討するとともに、木製カバー

や植栽で囲うなど、街並み景観の向上に努める。

沿道に用地を取得し集中配置

(駅前別院通り商店街/金沢市)

●地上機器の設置が難しい箇所については、設置者

と協議の上、柱状式なども採用できるよう努め

る。

●無電柱化に合わせ、道路空間の整備や沿道空間の

修景整備の誘導を図ることにより、街並み全体の

景観向上に努める。

整備前

景観阻害を和らげるため緑化

(都市計画道路 湯元和倉温泉駅線/七

尾市和倉町)

柱状式の地上機器を採用

(里見町/金沢市)

電線類の地中化により、街並み景観が向

上し、歩行者が増加(都市計画道路 湯

元和倉温泉駅線/七尾市和倉町)

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各施設共通の整備指針

⑧照明施設

周辺景観との調和を図るとともに、地域の状況に応じた照明方法の工夫や、地域特性

を活かした意匠及び色彩となるよう努める。

≪配慮事項≫

●器具及びポールの形態・意匠・色彩等は、地域特

性を踏まえた上で、できる限りシンプルかつ統一

感のあるものとする。

●近接して設置される他の施設(防護柵、標識柱等)

との調和に努める。

●周辺施設との位置関係を考慮し、乱雑にならない

よう集約して配置する。ただし、適切な輝度を確

保する。

光の届く範囲を考慮して、照明の配置を設定する

●汎用性が高く、点検・補修が容易な構造を持つ材

料を使用するなど、維持管理について十分考慮す

る。

●周辺環境や夜間景観を考慮し、ライトアップ等、

必要に応じ地域の個性演出について検討する。

以前設置されていたガス灯をイメージし

て再現された照明灯(市道和倉2号線/

七尾市和倉町)

国指定重要無形民俗文化財「お熊甲祭」

の深紅の枠旗を形どった照明灯(道の駅

ポケットパークなかじまロマン峠休憩所

/七尾市中島町中島)

桜の開花時期に合わせてライトアップ

(小丸山城址公園/七尾市馬出町)

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31

各施設共通の整備指針

⑨緑化

緑化の目的を明確にし、地域の自然や文化の特性に配慮したうえで、周辺景観に調和

した適正な樹種の選択、配植デザイン、管理計画の策定・実施等に努める。

≪配慮事項≫

●緑化の目的を明確にする。

●計画に先立っては、自然(気象等)、土壌、周辺

の既存植生、地域の文化など、対象地の状況を把

握する。

●目的と対象地の状況に応じた適正な樹種の選択、

配植デザイン(連続、リズム、整形、不整形等)

を行う。

(特に、自然環境の保全が必要な区域の周辺では、

本来の植生に影響を及ぼす恐れがないよう、在来

種の使用に努める。)

●地域の景観特性を発揮するため、既存植生の保

全・活用に努める。

●四季の移ろいによる変化、生長による変化など、

時間的な景観変化の演出等に努める。

●樹木等の生長を見越した植栽計画の立案、管理の

実施に努める。

植栽による遮蔽で人工物の景観を緩和

連続性のある街路樹

表情が豊かな公園の樹木

整然と並ぶ街路樹(アメリカフウ)(国

道 249 号 藤橋バイパス/七尾市藤橋

町)

<目的例>

・環境の維持、改善(気温や日照の緩和など)

・防災(延焼防止、防風、法面保護、治山など)

・修景(視線誘導、街並みのアクセント、人工物の景観

緩和など)

・健康・レクリエーション(散策、休息、運動、自然学

習など)

・生物の生息環境保全など

(景観や施設の機能上、緑化しないという選択もあり得

る。)

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32

(1)道路

施設別の整備指針

4 施設別の整備指針

各種公共事業における施設別の整備指針を以下のように定める。

(1)道路

道路は、人々の往来や物流のための重要な役割を果たしている公共空間であり、その

沿道には、山並み、田園、街並みなど多種多様な景観が広がっている。

これからの道路には、安全性や機能性はもとより、快適性や美観性などの質的充実が

求められていることは勿論、街並み修景整備による賑わい創出が強く求められており、

人や環境に優しく配慮し、美しい景観を守り育て、知的情緒が感じられるなど、感性あ

ふれる個性的な道路づくりが重要となってきている。

さらに、海や山、田園などの美しい自然や歴史的街並みなど、それぞれの地域特性を

踏まえ、周辺景観との調和に配慮しながら、新しい県土景観の創造に努める。

①路線の選定

周辺環境を十分考慮し、山や海等の風景を活用するとともに、自然の保全や調和に努

める。

≪配慮事項≫

●できる限り自然地形の改変を抑え、周辺の景観を

大きく損なわないよう配慮する。

眺望の見通しなどに配慮することが望ましい

●歴史的街並み、建造物などのすぐれた景観資源の

保全に努める。

自然地形に配慮した道路線形を選定

(一般国道 470 号 能越自動車道 七尾

氷見道路/七尾市東浜町~黒崎町)

旧街道沿いの樹齢 700 年の大欅(ケヤ

キ)と歴史的町並み

(市指定記念物 /七尾市飯川町)

≪基本的考え方≫

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33

(1)道路

施設別の整備指針

②トンネル

坑口部は、周辺の地形になじむ構造及び形態とし、周辺景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●坑口部周辺地形の改変を最小限に抑え、自然・植

生の復元が可能な形式・工法や坑口位置の選定に

努める。

△ ○

坑口部周辺を植生するなど、地形になじませるようにする

ことが望ましい

●坑口部壁面は、意匠・色彩及び素材等について工

夫を行い、周辺環境との調和や圧迫感の軽減に努

める。

周辺環境にそぐわないデザインは避ける

●トンネル内部は、閉鎖感や暗さ、視環境の単調さ

をやわらげる舗装や内装、照明の工夫などに努め

る。

坑門は圧迫感を抑えるためシルクハッ

ト型を採用し、坑口周辺を植生

(南加賀道路/加賀市)

坑口のコンクリート壁の型枠に化粧型

枠を使用して周辺景観に配慮

(珠洲道路晴見隧道/珠洲市)

トンネル内を明るくするために内装板

を設置し、照明も違和感のない蛍光ラン

プを使用してトンネル内の景観に配慮

(山側環状崎浦涌波トンネル/金沢市)

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34

(1)道路

施設別の整備指針

③道路緑化

周辺環境を勘案し、できる限り緑豊かな道路景観となるよう努める。

≪配慮事項≫

●樹木の選定にあたっては、地域の気候、風土、植

生、維持管理のしやすさを考慮し、個性ある道路

景観とするよう努める。

●街路樹はできる限り自然樹形を保たせ、緑豊かな

道路景観となるよう努める。

△ ○

自然樹形を保つように剪定することが望ましい

●既存の樹林や樹木等はできる限り保全し、必要に

応じて樹木を移植するなどして活用するよう努

める。

●沿道には、できる限り植樹を施し、中央分離帯や

交通島についても交通安全上支障のない範囲で

緑化に努める。

●歩道部は、快適な歩行空間とするため、樹種の選

定や樹木の配置を工夫して、積極的に緑化に努め

る。

積極的な緑化と適正な維持管理に努める

沿道に鮮やかな花を植栽し温泉観光客

を歓迎(都市計画道路 湯元和倉温泉駅

線/七尾市和倉町)

防護柵を緑化(和倉温泉湯っ足りパーク

/七尾市和倉町)

交通島へ植樹

(七尾駅前/七尾市御祓町)

歩道への植栽により潤いを演出

(都市計画道路 湯元和倉温泉駅線/七

尾市和倉町)

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35

(1)道路

施設別の整備指針

④道路占用物

配置、形態、意匠及び色彩について規制、誘導を図るとともに、できる限り整理統合

し、周辺景観を阻害しないよう努める。

≪配慮事項≫

●電線等の建柱位置については、歩行者の妨げとな

らないよう配慮する。中心市街地、歴史的な街並

み、温泉観光地、景勝地等、特に景観上の配慮が

必要な地域では、無電柱化に努める。

●ベンチ、彫刻、ゴミ箱、電話ボックス等のストリ

ートファニチャーは、その配置、形態、意匠及び

色彩が周辺景観に調和するよう努める。

●歴史的な街並み、温泉観光地、景勝地等、特に景

観上の配慮が必要な地域では、自動販売機におい

ても、設置業者の協力を得て周辺景観に配慮した

ものとするよう努める。

安心して歩けるよう無電柱化を実施

(都市計画道路 湯元和倉温泉駅線/七

尾市和倉町)

電話ボックスに「田鶴浜建具」の組子を

施し景観に配慮(主要地方道七尾輪島線

/七尾市田鶴浜町)

自動販売機を景観に配慮して修景

(都市計画道路 湯元和倉温泉駅線/七

尾市和倉町)

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(1)道路

施設別の整備指針

⑤道路休憩施設

運転者や歩行者に安らぎを与える空間とするため、周辺の景観と調和し、眺望が良く、

安全で快適な場所となるよう努める。

≪配慮事項≫

●眺望景観を考慮して、視点場となるような位置

選定に努める。

●周辺環境と調和した緑化を行うよう努める。

●地域の独自の自然・歴史・文化などを考慮し、

施設等の形態、意匠及び色彩に配慮する。

眺望に配慮して停車場を整備

(国道 160号/七尾市庵町)

道の駅 能登食祭市場に隣接した施設

に、七尾港開港 100 周年記念モニュメン

ト「錨」を設置

(七尾マリンパーク/七尾市府中町)

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(1)道路

施設別の整備指針

⑥沿道街並みの修景

景観上の配慮が必要な街路整備を行う際には、街路空間の修景と合わせて、沿道の街

並み修景を行うよう誘導に努める。

≪配慮事項≫

●街路事業に合わせて、住民が主体となって「地区

計画」や「街づくり協定」「景観協定」を策定し、

ルールに基づいて沿道も含めた整備区間全体の

景観整備を行うよう、誘導に努める。

整備前

整備後

「七尾市和倉地区景観協定」によりにぎ

わい再生の重点地区として店舗の連続

性を確保し、落ち着いた温泉情緒が感じ

られる景観を形成(市道和倉80号線/

七尾市和倉町)

七尾市和倉地区景観協定書

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(2)橋梁

施設別の整備指針

(2)橋梁

橋梁は、歴史や文化を背景にした地域のシンボルとして、また、地域を結ぶ人々の交

流点として親しまれてきている。

橋梁は山並みや街並みを背景にした水に浮かぶ風景として、それ自体が優れた景観と

なりうるものである。そのため、特に景観に配慮すべき地域においては、計画段階で現

況の景観を保全するか、新たな景観を創出するかを検討し、経済性や安全性及び快適性

に加え、周辺の自然や街並みとの調和を図りながら、色彩などを工夫し、それぞれの地

域にふさわしい美しさや個性のある橋梁景観の形成に努める。

①橋梁本体

主要な眺望点からの眺望に配慮するとともに、特に景観に配慮すべき地域においては、

橋梁の構造、形態、意匠及び色彩は、周辺景観との調和や地域の特性に配慮する。

≪配慮事項≫

●橋梁形式の選定にあたっては、各形式の特徴と支

間割などのプロポーションを検討し、周辺景観と

の調和に努める。

●設計においては、機能的・構造的必然性を重視し、

過度な装飾を避けたシンプルなデザインとする。

△ ○

周辺環境と調和したデザイン・色彩とすることが望ましい

優美な斜張橋を整備(中能登農道橋:通

称ツインブリッジのと/七尾市中島町)

背景の山並みに配慮し、内海の穏やかな

海を表現する曲線美をデザインしたラ

ーメン橋(能登島大橋 主要地方道七尾

能登島公園線/七尾市石崎町~能登島

半浦町)

≪基本的考え方≫

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(2)橋梁

施設別の整備指針

●地形の改変、既存植生の損傷を最小限とするよ

う、施工方法を含めて検討する。

海域中央部の特別保護区「猿島」を保護

するように配慮して架橋(中能登農道橋

/七尾市中島町長浦~能登島通町)

②橋梁付属物(高欄、照明施設、舗装、排水施設等)

主要な眺望点からの眺望に配慮するとともに、特に景観に配慮すべき地域においては、

橋梁本体とバランスのとれた形態、意匠及び色彩とし、周辺景観との調和や地域の特性

に配慮する。

≪配慮事項≫

●橋梁付属物の形態、意匠、素材及び色彩は、遠

景と橋上等からの近景の両面から橋梁本体と

の調和に配慮するとともに、周辺の自然や街並

みとの調和にも努める。

△ ○

自己主張が強いデザインモチーフは避けることが望ま

しい

遠景の山並み、近景の河川周辺が橋梁本体と

調和するよう配慮

(上町橋/七尾市中島町上町)

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(2)橋梁

施設別の整備指針

③高架橋・歩道橋

特に景観に配慮すべき地域においては、沿道住民や歩行者等に与える圧迫感をやわら

げるよう配慮するとともに、周辺景観との調和や地域の特性に配慮する。

≪配慮事項≫

●市街地や景勝地などで特に景観に配慮すべき地

域では、橋桁・橋脚等に曲線処理を施したり、ス

リムに見えるようデザインを工夫したりするな

ど、周囲に与える圧迫感や威圧感をやわらげるよ

うに努める。

●排水管、電線管などの付属物は、目立たないよう

に工夫し、橋梁本体との調和に努める。

隣接する建物や背景に調和するよう配

慮(あいあい橋/七尾市御祓町~神明

町)

付属物は必要最小限に抑え、背景の山並

みに配慮(城山高架橋 能越自動車道/

七尾市古屋敷町)

橋梁の構造をシンプルにし、海の景色を

阻害しないよう配慮(東浜橋 能越自動

車道/七尾市花園町)

日本最初のプレストレスト・コンクリー

ト橋を歩道橋として活用

(希望の丘公園/七尾市万行町)

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(3)河川・水路

施設別の整備指針

(3)河川・水路

河川や水路は、古くから地域の住民と深い関わりを持ち、治水や利水の面から生活、

農業及び文化に大きな影響を与えてきた。

また、河川・水路は生物の生息の場としても重要であるとともに、上流、中流及び下

流といった流れの位置や周囲の地形などにより、それぞれの流域の特性に応じて優れた

景観を見せている。

河川・水路の整備では、自然環境、景観、歴史、文化との調和にも配慮しながら、う

るおいと親しみのある緑豊かな親水空間となるよう、良好な景観の形成に努める。

①河川全般

「多自然川づくり」をすべての川づくりの基本とした整備に努める。

≪配慮事項≫

●河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮ら

しや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来

有している生物の生息・繁殖環境及び多様な河川

景観を保全・創出する。

*「多自然川づくり基本指針(国土交通省 H18.10)」

自然環境(瀬・淵など)に配慮して整備

(河原田川/輪島市)

中州や対岸まで渡れる飛石等の設置に

より、水辺と遊び、学習できるよう整備

(伏見川・高橋川/金沢市)

自然とのふれあいの場になるよう、自然

石張護岸の緑のアメニティ空間を整備

(御祓川/七尾市北藤橋町~馬出町)

≪基本的考え方≫

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(3)河川・水路

施設別の整備指針

②堤防

近景や遠景との調和を考慮しながら、できる限り自然に近い形態となるよう配慮する

とともに、管理上支障がない範囲で親水性の向上に努める。

≪配慮事項≫

●自然素材等の活用により、自然生態系保全と親水

性の向上に努める。

●瀬と淵、わんど、河畔林等が現存する良好な環境

資源をできる限り保全する。

※わんど…川のよどみ(死水域)

●植栽や緑化にあたっては、周辺の植生に配慮し、

在来種の採用に努める。

●維持管理が容易になるよう整備・工夫に努める。

(水際まで降りられる階段など)

●坂路や階段の配置によって、単調になりがちな景

観に変化を与えるよう工夫する。

河川堤の緑化、階段護岸や飛石等の設置

により、レクリエーションの場を創出

(伏見川・高橋川/金沢市)

河畔林、瀬・淵を活かして河川を整備

(河原田川/輪島市)

水際まで降りられる階段を整備

(大谷川/かほく市)

部分的に階段護岸を整備し、親水性を確

保するとともに、単調な景観に変化を与

えるよう工夫(御祓川/七尾市府中町)

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(3)河川・水路

施設別の整備指針

③護岸

生物の生息・繁殖環境と多様な景観の保全・創出に配慮した適切な工法の採用に努め

る。

≪配慮事項≫

●自然環境に応じて、生物の生息に配慮した構造と

するなど、生態系の保護に努める。

●自然とのふれあいができるような親水空間の創

出に努める。

●自然素材や環境保全型ブロックの活用等によ、周

辺景観に調和した意匠・形態になるよう努める。

整備前(老朽化したコンクリート護岸)

●河川護岸の天端は、極力コンクリートが出ないよ

うに工夫する。

生態系に配慮して木工沈床を設置

(梯川/小松市)

既設石積み護岸の景観を保全するため、

根固めにより補強(大聖寺川/加賀市)

紅露石を布積みにして護岸を整備

(御祓川/七尾市桧物町)

水際部に植物の繁茂を促し天端コンク

リートが目立たないよう工夫

(鷹合川/七尾市国分町)

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(3)河川・水路

施設別の整備指針

④高水敷

管理上支障がない範囲で、うるおいと親しみのある水辺空間の創出に努める。

≪配慮事項≫

●周辺景観との調和に配慮して、遊歩道等の整備に

より親水性の向上に努める。

高水敷の遊歩道

●できる限りの緑地化により、緑豊かな空間の確保

に努める。

●公園や広場としての利用に供するなど、水辺空間

の提供に努める。

高水敷が緑地公園として整備され、レク

リエーション等、多くの人々が利用

(犀川/金沢市)

高水敷を花壇として利用し、近隣住民の

ふれあいの場として整備

(浅野川/金沢市)

水辺に向かって休憩できる空間を整備

(御祓川/七尾市府中町~生駒町)

健康で潤いあるまちづくりを図るため

水辺公園を整備

(熊木川/七尾市中島町上町)

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(3)河川・水路

施設別の整備指針

⑤水路

地域用水機能を確保するとともに、歴史的景観の保全、親水性を確保しつつ、周辺景

観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●自然素材等の活用により、自然生態系保全と親水

性を確保する。

水路に自然石を使用して自然との一体

性に配慮

(平成の名水百選 藤瀬霊水公園/七

尾市中島町藤瀬)

●維持管理が容易になるよう管理階段の設置やカ

バープランツの植栽など整備・工夫に努める。

※カバープランツ…日本語では地被植物または被覆植物。

地表を覆うように生育する植物の総称で、茎や枝を横に

伸ばして地面や壁面などを低く薄く覆うため、土壌の乾

燥や土の流出、雑草を防ぐ効果がある。

開花期間の長いヒメイワダレソ

ウを選定

周辺景観に配慮した石積み護岸や用水

沿いの親水空間を整備

(鞍月用水/金沢市)

水路底へ降りられるような階段を整備

(御祓川/七尾市府中町)

防草効果のあるカバープランツを植栽

し、維持管理の軽減と景観向上に貢献

(大慶寺用水/白山市)

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(3)河川・水路

施設別の整備指針

⑥水門・樋門・頭首工及び排水機場等

位置、形態、意匠、色彩及び素材に配慮し、周辺の水辺景観を阻害しないよう努める。

≪配慮事項≫

●地域の歴史、文化、周辺景観との調和に努める。

周辺景観と調和したデザイン・色彩が望ましい

●県産材や自然素材等の活用により、生態系保全と

親水性確保に努める。

●放流箇所などは、流水による造形などを考慮した

意匠・構造とするよう努める。

●周辺景観から突出する構造となる場合、景観への

影響を最小限にとどめるよう施設周辺の植栽な

どに努める。

水門などの構造物は植栽などにより周辺景観との調和に配慮

既存の堰を補修・補強することにより、

昔からの景観を保存(大聖寺川/加賀市)

水生生物等が遡上しやすいよう魚道勾配

を緩く改良整備

(熊木川/七尾市中島町上畠)

景観に配慮して突出しない構造を採用

(安原川/金沢市)

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(4)ダム

施設別の整備指針

(4)ダム

ダムは、治水、利水をはじめとして、広く流域の住民の生活や財産の保護保全に資す

る重要な構造物である。

ダムは自然の中の大規模な人工構造物として、地域の自然環境に影響を与えることも

あるため、現存する自然環境を最大限に保全するように努める。また、ダムサイト及び

貯水池が新しい景観の創出に極めて重要な役割を果たしていることから、地域のランド

マークとして、人との触れ合いを考慮した展望施設、休憩施設、遊歩道などの設置につ

いて配慮し、人々にうるおいとやすらぎを与える場所として整備に努める。

①堤体

形態及び意匠は、周辺の自然との一体感を有した景観づくりに努める。

≪配慮事項≫

●境界部の納まりや、空間の連続・分節のバランス

に配慮し、巨大な人工構造物が周辺景観に違和感

を与えないよう努める。

●視点場からの堤体の見え方に配慮する。

堤体下からの眺望(多根ダム/七尾市多根町)

●流域の地域特性を意識したデザインや地域産材

の活用に努める。

周辺環境や地形に配慮した曲線のV字

形洪水吐(多根ダム/七尾市多根町)

堤体上からの眺望

(多根ダム/七尾市多根町)

堤頂道路置き石に地場産材の戸室石を

利用(医王ダム/金沢市)

≪基本的考え方≫

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(4)ダム

施設別の整備指針

②ダム本体周辺構造物(管理事務所、繋船設備、取水設備等)

形態及び意匠などを工夫し、ダム本体及び周辺景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●管理棟、取水設備等は、意匠・素材・色彩を自

然に調和したものとするよう努める。

●流域の地域特性を意識したデザインとなるよ

う努める。

取水設備はダム湖の水面の色に近似した色

彩を使用して景観に配慮

(多根ダム/七尾市多根町)

周辺環境に調和するよう配慮した吊り橋

(多根ダム/七尾市多根町)

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49

(4)ダム

施設別の整備指針

③ダムサイト及び貯水池周辺

自然環境の保全・復元と周辺の自然景観の四季や経年の変化に配慮する。また、展望

施設、遊歩道等は視点場を意識した整備とするよう努める。

≪配慮事項≫

●ダムサイト及び貯水池周辺の整備は、四季の変

化・経年変化を考慮したものとする。

●掘削面の緑化にあたっては、郷土種を原則とし、

自然の遷移に委ねた自然環境の復元を行うこと

により、周辺景観との調和に努める。

●展望施設、遊歩道等は、堤体景観を美しく見せる

よう、視点場を意識した整備に努める。

ダムサイト周辺に広場を整備

(多根ダム/七尾市多根町)

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(5)砂防・治山

施設別の整備指針

(5)砂防・治山

砂防・治山設備は、土砂災害から住民の生命・財産を守り、安全で安心して生活でき

る国土基盤を創設するものであるが、周辺景観に影響を及ぼす恐れもある。そのため、

施設整備にあたっては、国土保全の観点から防災機能を確保した上で、できる限り周辺

景観に調和した工法を取り入れ、地域の個性を尊重しつつ良好な景観の保全及び形成に

努める。

また、林地は人々が身近な自然とのふれあいを求める場であるとともに、生物の生息

の場であるため、施設設置にあたっては、できる限り自然に近い形態となるよう配慮し、

うるおいと親しみのある緑豊かな森林空間としての整備に努める。

①えん堤工・谷止工・流路工・護岸工

形態及び意匠の工夫や自然素材の活用などにより、周辺景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●周辺景観を阻害しない位置や形式、施設規模、施

設と背景のバランスを検討し、機能美として安定

性・安心感を表現する。

●周辺環境に調和する工種の選定や地形改変を抑

えた施工法を検討する。

●渓流の空間とそれを囲む渓畔林空間とを物理

的・視覚的に分断しないように配慮する。

●できる限り階段式護岸、渓畔林、標識等の整備を

進め、親水空間や森林とのふれあいの場を整備す

る。

●時間の経過とともに周辺景観に馴染んでいく形

式、材料を選定する。

現地の自然石を取り入れて護岸を整備

(永光寺川/羽咋市)

親水性を配慮した階段護岸を整備し、児

童の環境学習活動などにも利用

(永光寺川/羽咋市)

≪基本的考え方≫

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51

(5)砂防・治山

施設別の整備指針

②法枠工・擁壁工・補強土工

施設の機能美を確保するとともに、その形態及び意匠の工夫や自然素材の活用などに

より、周辺景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●周辺景観を阻害しない位置や形式、施設規模、施

設と背景のバランスを検討し、機能美として安定

性・安心感を表現する。

整備前

●周辺環境に調和する工種の選定や地形改変を抑

えた施工法を検討する。

●森林空間を物理的・視覚的に分断しないように配

慮する。

●できる限り植生、歩道、標識、安全柵等の整備を

進め、森林とのふれあいができるようにする。

●法面の緑化、在来種の利用など、周辺景観に馴染

んでいく形式、材料を選定する。

植生基材吹付工による緑化

隣接する中学校との景観の調和に配慮

し、連続繊維補強土工により自生立木を

残存(清水地区山腹/輪島市)

補強盛土工により整備し、環境との調和、

生態系の保全に配慮

(のと里山海道/七尾市中島町横田)

名勝地不動滝に隣接する山腹面を既存樹

木を残してロープ連結型法枠により復旧

(井田地区山腹/中能登町)

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52

(6)港湾・漁港

施設別の整備指針

(6)港湾・漁港

港は、古くから海上交通や流通及び漁業の拠点として、地域の玄関口の役割を担って

きた。港のたたずまいは、それ自体が情緒ある景観を形成しており、地域の住民はもと

より、訪れる人々の心をなごませるものとなっている。

港湾・漁港の整備にあたっては、それぞれの港の持つ個性や情緒を尊重し、できる限

り水に親しむことのできる構造とするとともに、緑化などを行い、親しみとうるおいの

ある空間づくりや港全体の快適性の向上、景観形成に努める。

①港湾・漁港施設(防波堤、岸壁、護岸等)

安全性や機能性を確保しながら、自然公園などの観光地及びその付近については、う

るおいと親しみのある空間づくりを行い、港の景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●防波堤、岸壁などの構造物は、周辺景観に圧迫感

や違和感を与えないように、形態をコンパクトに

したり、構造物の表面処理や材料などに配慮す

る。

●釣り護岸を整備するなど、親水性の確保に努め

る。

釣り護岸による親水性の確保

防波堤に自然石を使用し、周辺の景観や

島との調和に配慮(三室漁港海岸/七尾

市三室町)

釣り客を考慮し、手摺りなどを工夫して

護岸を整備(大野護岸/金沢市)

周囲の景観に調和した曲線階段ブロッ

クを設置(ねやフィッシングパーク/七

尾市能登島閨町)

≪基本的考え方≫

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(6)港湾・漁港

施設別の整備指針

②港内建築物等

建築物は、その形態、意匠及び色彩を工夫し、港の景観との調和に努める。工作物は、

安全性・機能性を確保できる範囲で、港の景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●建築物については、地域の特性を踏まえたデザイ

ンとする。

●港からの眺め、水域からの眺めに配慮する。

港や水上からの眺めを確保する

ヨットの帆をイメージして管理棟の外壁

をデザイン(七尾市和倉温泉運動公園ヨ

ットハーバー/七尾市石崎町)

港町の風景に溶け込むよう建物の高さを

抑え、青系の色彩とし、周囲には植栽を

整備(七尾マリンパーク/七尾市府中町)

湾内遊覧船の発着場所として、また周辺

の緑地はイベント広場として活用(和倉

港・わくわくプラザ/七尾市和倉町)

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54

(6)港湾・漁港

施設別の整備指針

③港内緑化

港湾及び漁港区域内の余裕地には、緑化を図り、地域のふれあいの場として、港地域

にうるおいと親しみをもたらすよう努める。

≪配慮事項≫

●港の景観を活かした臨海部の緑化を図る。

港の景観を活かした潤いある空間の創出

●地域住民が集い、賑わいの創出につながる公園・

広場を設ける。

●地域のふれあいの場とするため、港を望む視点場

の整備に努める。

港を望む視点場の確保

外周護岸の上部コンクリート表面に自

然石を張り付け、イベント広場や親水空

間を整備(七尾マリンパーク/七尾市府

中町)

地域住民や観光客等が集う公園を整備

(能登島マリンパーク海族公園/七尾

市佐波町)

港を望む場を整備(七尾港/七尾市府中

町)

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55

(7)海岸

施設別の整備指針

(7)海岸

海岸は、古くから漁業をはじめとする生活活動の場として生活に深い関わりを持ち、

今日では海洋レクリエーションの場として、人々が雄大な自然とのふれあいを求めるこ

とのできる場ともなっている。

また、海岸は生物の生息の場としても重要であり、海岸保全施設の築造にあたっては、

できる限り自然に近い形態となるよう配慮するとともに、うるおいと親しみのある緑豊

かな親水空間としての整備に努める。

①堤防・護岸

形態及び意匠の工夫や自然素材の活用などにより、周辺景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●巨大な人工構造物の存在が海岸景観に圧迫感や

違和感を与えないよう、天然石を用いた緩傾斜護

岸などにより、護岸前面の海岸と背後の自然との

一体性に配慮する。

●階段式護岸等の整備では、周辺景観に配慮する。

天然石を用いた緩傾斜護岸により水域と

陸域の一体性に配慮(向田漁港/七尾市

能登島向田町)

周囲の景観に調和した曲線の階段式傾斜

護岸(庵海水浴場/七尾市庵町)

≪基本的考え方≫

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56

(7)海岸

施設別の整備指針

②海浜

自然海浜は、できる限り保全に努め、人工海浜を整備する場合は、周辺の自然景観と

の調和に努める。

≪配慮事項≫

●自然の営力が生み出す微地形の変化や植生の変

化等を尊重する。

●海浜地形の傾斜や微地形の起伏等による高低差

が生む景観的効果を活かす。

●人工海浜を整備する場合は、海岸と背後の自然地

や土地利用との連続性の確保、調和に努める。

●突堤は、自然素材を用いるなど、自然景観との調

和に努める。

全国で唯一車が走行できる千里浜海岸

の貴重な砂浜を保全(押水羽咋海岸/羽

咋市、宝達志水町)

高低差を活かし、後浜に水平線を眺望で

きる視点場として水叩き工(ボードウォ

ーク)を整備(富来漁港海岸/志賀町)

海水浴利用や背後の道の駅との連携を

図った整備を実施(庵海岸/七尾市庵

町)

自然石を用いた突堤を整備

(庵海岸/七尾市庵町)

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(7)海岸

施設別の整備指針

③離岸堤

水平線への見通しを阻害しないよう工夫する。

≪配慮事項≫

●防災機能を確保しつつ、天端高を極力抑えるなど

の配慮を行う。

眺望に配慮し、天端高は極力抑える

整備前

●離岸堤で整備を行うことにより、水平線への眺望

が阻害される場合は、陸側の視点場の調整によっ

て、見通しを確保するなどの配慮を行う。

後浜の嵩上げにより視点の高さを確保する

人工リーフを採用することにより、水平

線の見通しを阻害しないように配慮

(七塚海岸/かほく市)

人工リーフの設置により、白砂青松の砂

浜が復活し、レジャー拠点として利用

(宝立正院海岸/珠洲市)

後浜を嵩上げして視点場を整備

(小舞子海岸/能美市)

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(7)海岸

施設別の整備指針

④海岸緑化

海岸林や緑地、植栽は、その多様な機能、景観的な演出効果に配慮しつつ、適切な樹

種、緑量、密度の選択に努める。

≪配慮事項≫

●海浜と背後の都市との緩衝機能に配慮する。

海浜と建物等との間への植栽により緩衝

●海岸固有の景観体験を踏まえた海岸林(松林)の

配置に努める。

●緑地等により人工的要素(道路、駐車場、宅地等)

の遮蔽に努める。

●地域の植生に即した植栽樹種を選択する。

△ ○

地域に即した樹種を選択

海浜と高速道路の間に松林を植樹

(松任 CCZ/白山市)

松林の植栽により、リゾートエリアの景

観を演出(能登島マリンパーク海族公園

/七尾市能登島佐波町)

道路と海岸の間に緑地を設置

(庵海岸/七尾市庵町)

道路沿道に海岸景観を演出する松林を

植樹(七尾西湾周回道路/七尾市白浜

町)

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(7)海岸

施設別の整備指針

⑤その他施設(消波工、管理道路等)

形態、意匠及び色彩は、背後地、堤防、海岸等の周辺環境・景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●周辺環境や景観との調和を図るため、意匠・素

材・形状・色彩などに配慮する。

●消波工は、周辺の景観に配慮し、位置や積み方を

工夫する。

●隣り合う施設相互のデザインの連続性に配慮す

る。

隣接する施設ではデザインの不連続を避ける

周辺環境への収まりに配慮して背後地

の建築物(シャワー・トイレ施設)を整

備(庵海岸/七尾市庵町)

護岸前面に消波工を整然と設置(能登島

海岸/七尾市能登島祖母ケ浦町)

護岸に隣接する橋や防護柵が周辺環境

に調和するよう配慮(渡月橋/七尾市和

倉町)

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(8)公園・緑地

施設別の整備指針

(8)公園・緑地

公園緑地は、市街地の中心部から自然地域に至るまで様々な地域に設置されるととも

に、その種類や設置目的も多岐にわたる。

それぞれの特性に応じた魅力的な景観形成に努めるとともに、公園緑地が存する地域

と一体的な景観形成に資する配慮が必要である。

また、樹木などの自然物を構成要素として多用することから、四季の移り変わりや生

長による景観の変化への配慮や、維持管理への配慮も重要となる。

①公園・緑地全般

立地、設置目的、利用形態、施設内容などの特性に応じ、利用と景観との調和に努め

る。また、地域の歴史や生活文化を活かし、個性的な景観形成に努める。

≪配慮事項≫

●既存植生の活用や、地域の山並みなどの主要景観

要素を借景としてとりこむなどにより、立地の景

観特性に応じた景観形成に努める。

●周辺の河川や道路など、関連する事業との連携を

図り、境界部の処理などにおいて、景観の一体

性・連続性を確保する。

△ ○

周辺の関連事業に合わせて樹種を選択

●歴史的資源(城跡・古墳・歴史的建造物等)の保

全・活用を目的とする場合は、その史実性や歴史

的建造物等の見え方に配慮する。

●自然環境の保全を目的とする場合には、その区域

等を明確にし、周囲との連続性に配慮する。

●その他、立地特性や設置目的などに応じた景観形

成に努める。

見晴台から山並み(城山)を望む

(小丸山城址公園/七尾市馬出町)

史実に即して整備

(能登国分寺公園/七尾市国分町)

海との調和に配慮して整備

(七尾マリンパーク/七尾市府中町)

≪基本的考え方≫

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(8)公園・緑地

施設別の整備指針

②植栽・緑化

目的に応じた樹種の選択、配植デザインを行うとともに、四季の移ろいや樹木、草花

等の生長による景観の変化などを考慮し、将来にわたって良好な景観が保全・向上され

るよう計画的な維持管理に努める。

≪配慮事項≫

●植栽にあたっては、立地や気候条件、周辺の既存

植生、四季の演出、将来の生長などを考慮のうえ、

目的に沿った樹種の選定、配植デザインに努め、

見え方、見せ方の工夫を行う。

●季節感や将来の生長を見込んだ植栽を行い、良好

な景観形成を図るための適正な維持管理に努め

る。

生長を見込んで植栽

駐車場内通路の桜並木

(石川県庁/金沢市鞍月)

公園内の桜が春を演出

(小丸山城址公園/七尾市馬出町)

季節の彩りを添える花壇を整備(七尾マ

リンパーク遊歩道/七尾市府中町)

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(8)公園・緑地

施設別の整備指針

③公園施設

設置目的・機能と景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●建築物等の高さは、眺望するスカイラインの連続

性等に配慮する。

●外観デザイン、色彩等は、周囲の景観との調和に

配慮するとともに、修景植栽等により、周囲との

一体性や連続性の演出を図る。

施設のデザインや色彩を調和させる

●自然素材の活用により、周辺景観との調和を図る

とともに、地場産品等の使用に努め、地域の個性

を演出する。

●緑豊かな地内では、環境に配慮し、生息する生物

に優しい「自然と共生する」施設づくりに努める。

海への見通し、景観との調和に配慮

(七尾マリンパーク/七尾市府中町)

能登ヒバの集成材や杉材でつくられたダ

イヤモンド型の橋(希望の丘公園わくわ

くブリッジ/七尾市万行町)

周辺の景観に馴染むよう木製デッキを整

備(別所岳SA展望台 別所岳スカイデ

ッキ 能登ゆめてらす/七尾市中島町別

所)

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(9)公共建築物

施設別の整備指針

(9)公共建築物

公共建築物には、庁舎をはじめ、学校、文化施設や集会施設、公営住宅、処理施設な

ど様々な施設があり、これらは地域住民の生活と密接な関わりを持ち、多くの人々に利

用されている。

これらの公共建築物の整備にあたっては、開放的で親しみやすい施設にすることはも

とより、地域の気候、風土、歴史、文化などの特性に配慮した質の高い建築物を目指す

とともに、これらの多くが地域の景観形成において重要な役割を果たしていることを認

識し、地域の景観形成において先導的な役割を果たすよう努める。

①配置

敷地内の建築物の配置計画は、景観や周囲の快適性等に大きく影響するため、構想段

階から十分検討する。

≪配慮事項≫

●既存の優れた自然景観や歴史的景観への眺望を

活用した配置計画とし、借景等も併せて検討す

る。

●自然地形の活用、敷地改変の最小化に配慮する。

大きく地形を改変する場合は、発生する法面の安

全はもとより、植生の復旧に努める。

●周囲の建築物や街並みとの配置の連続性やバラ

ンスに配慮する。

●中高層建築物では、周囲への威圧感の低減、快適

性の確保のため、セットバックした配置に努め、

施設用途に応じてオープンスペースの創出を図

る。

オープンスペースを確保

自然景観との調和に配慮した勾配屋根

(湖畔公園コロサ ふれあいセンター山

びこ荘/七尾市多根町)

海を望む高台に立地(石川県能登島ガラ

ス美術館/七尾市能登島向田町)

セットバックし、威圧感を低減(七尾市

役所庁舎/七尾市袖ケ江町)

≪基本的考え方≫

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(9)公共建築物

施設別の整備指針

②形態・意匠

施設用途や立地状況を踏まえ、周辺景観になじませるか、あるいはランドマークとし

てシンボル性のある建物とするかなど、形態・意匠について十分検討する。

≪配慮事項≫

ランドマーク的な建築物については、この指針によらず別途個別に検討するものとする。

特にランドマーク等にする理由のないものについては、次の事項に配慮する。

●周辺の建築物等の壁面線や屋根形状等の連

続性に配慮し、スカイライン等を周辺景観と

調和させる。

△ ○

スカイラインとの調和に配慮

●建築群として形態・意匠の調和を図り、建物

相互のバランスに配慮する。

●自然的又は歴史的特性を有する地域では、建

物の形態・意匠に地域特性を活かすよう工夫

する(建築様式や工法の継承)。

緩やかな勾配の大屋根とし、背景の山並みに調

和するよう配慮(七尾サンライフプラザ/七尾

市本府中町)

背景の海に配慮した色彩、意匠(のとじま臨海

公園水族館/七尾市能登島曲町)

日本古来の伝統文化である武道をイメージし

た意匠とし屋根は日本瓦を使用(七尾市能登島

武道館立野/七尾市能登島向田町)

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(9)公共建築物

施設別の整備指針

③色彩・照明

施設用途や立地状況を踏まえ、色相・色調を周辺建物と統一的なものとするか、これ

らを対比させて賑わいを創出させるかなどについて、十分検討する。

≪配慮事項≫

賑わいの創出を目的とする建築物については、この指針によらず別途個別に検討するもの

とする。

特に賑わいを創出する必要のないものについては、次の事項に配慮する。

●屋根・外壁は落ち着きのある色彩を基調とし、周

辺に対する違和感や圧迫感を抑えたものとする。

●同じ色相・色調でも素材による質感、光のあたり

方による見え方や、雨に濡れた時の変化などにも

十分配慮する。

●アクセントカラーは、面積を抑えたものとし、そ

の位置について十分な検討を行う。

△ ○

アクセントカラーの面積は抑え目に

●照明デザイン(対象建物、光源の選定・配置)は、

周辺の夜間景観に十分配慮する。

山車(でか山)をモチーフとしたファサ

ード、七尾湾の水平線をイメージしたフ

ラットルーフ(七尾市立小丸山小学校/

七尾市小島町)

七尾産木材や和倉珪藻土など地場産材

の活用、田鶴浜建具を使用(七尾市立小

丸山小学校/七尾市小島町)

昔のガス灯をイメージしたデザイン

(渡月橋/七尾市和倉町)

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(9)公共建築物

施設別の整備指針

④素材・材料

耐久性や耐候性を十分考慮しながら、周辺景観を形成している素材・材料や、地域特

性を表現する素材・材料の活用に努める。

≪配慮事項≫

●地場産材や地域の特産品の活用により、地域イメ

ージの演出に努める。

●時間が経過した後のことを考慮し、素材・材料を

吟味する。

・エイジング材とアンチエイジング材の組み合わせ

に注意する。

・汚れ分解触媒(酸化チタン)配合の建材・塗装の

使用も検討する。

・海岸地域の塩害や強風、山間地の風雪や凍結に対

する耐候性、耐久性には特に注意する。

地元の素材である珪藻土、能登ヒバ、木

製建具を使用(七尾市和倉温泉観光交流

センター/七尾市和倉町)

七尾の伝統的町家の特徴を考慮し、日本

瓦葺き、白漆喰の外壁を使用(七尾市中

心市街地観光交流センター

/七尾市馬出町)

<素材の経年変化例>

・銅(ピカピカ)→酸化銅(茶色)→緑青

※近年は緑青が発生しにくい

・木材

外部:白木→部分脱色・汚れ→脱色(灰色)

内部:白木→飴色等

※経年により色の変化は樹種により異なる

※塗装の場合は塗料の特性により経年変化

が異なる。

遊歩道のデッキ部分に親水施設を併設

(七尾マリンパーク/七尾市府中町)

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(9)公共建築物

施設別の整備指針

⑤敷地内緑化

敷地内はできる限り緑化を図り、その際には季節感やゆとりが感じられる空間の演出

に努める。

≪配慮事項≫

●敷地内の景観的に優れた樹木などはできる限り

存置し、保全・活用を図る。

重要な樹木は、場合によっては移植して保全する

●既存植生と調和した樹種の選択により、周辺の自

然景観になじませる。

●花や紅葉など四季折々の季節感の演出に努める。

●屋上緑化や壁面緑化の採用を検討する。

※直接視野に入るため、雑然とならないようなメンテナン

スも考慮

緑化部分のデザイン性にも配慮する

堂形のシイノキを含めたファサードを

残しながら改修・増築を実施

(旧石川県庁舎/金沢市)

敷地内を緑化し、潤いのある景観を演出

(石川県庁舎/金沢市)

庁舎中庭に屋上緑化し、市章を玉砂利で

標示(七尾市役所/七尾市袖ケ江町)

緑のカーテンで壁面を緑化

(七尾市役所/七尾市袖ケ江町)

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(9)公共建築物

施設別の整備指針

⑥その他(付属施設、ゴミ置き場、駐車場、設備機器類)

建物に付属する施設等についても、配置、形態、色彩等に十分配慮する。

≪配慮事項≫

●形態や色彩は、周囲に溶け込むよう配慮し、

配置についても周辺からの視線に配慮する。

●配置等の配慮が十分に行えない場合は、カバ

ーの設置や植栽等による目隠しを行うなど、

周辺景観への配慮について検討する。

温泉街の雰囲気を象徴する「和」のデザイン

(七尾市和倉温泉観光交流センター 足湯施

設/七尾市和倉町)

駐車場の周囲に生垣を設置

(県道和倉・和倉停車場線/七尾市和倉町)

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(10)農地整備

施設別の整備指針

(10)農地整備

農地整備は、食料の安定供給や農業生産性の向上を主目的として、ほ場整備や農業用

水路改修など農業と農村の基盤などを幅広く整備するものであり、農家がその費用の一

部を負担し、工事後には営農活動や維持管理を行う特徴がある。また、それらの農地や

施設は、国土の保全や多様な生態系の維持など多面的な機能を有し、地域農家や地域住

民に深く関わり、地域の特徴ある農村景観を形成するなど重要な役割を果たしてきた。

農地整備にあたっては、地域関係者の意向を踏まえつつ、豊かな自然と農業、伝統文

化を守り後世へ伝えていくため、秩序ある土地利用の誘導と計画的な整備に加え、農地・

里山などの維持保全、地域の特徴ある農村景観の保全、創出への配慮が重要である。

①農地整備全般

良好な田園風景が継続的に保たれるよう、整備にあたっては景観との調和に配慮する。

≪配慮事項≫

●地域の営農状況を踏まえつつ、良好な景観が保た

れるよう、農地整備計画の策定に努める。

●生態系が保全されるよう、整備にあたって配慮・

工夫する。

●農地整備にあたっては、地域住民の意見を聞くと

ともに、地域保全活動への住民参加を含めた協働

体制の構築に努める。

●伝統的な農村文化と景観を保全できるよう努め

る。

茅葺き屋根の葺き替え技術を伝承(合鹿

庵/能登町)

遊休農用地に菜の花を植えて景観形成

(七尾市中島町中島)

はさ干しを伝承(七尾市殿町)

≪基本的考え方≫

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(10)農地整備

施設別の整備指針

②区画形状

生産性の高い機能的な形状の創出を目的としつつ、地域の特徴的な景観要素をできる

限り保全・活用した区画形状とするよう努める。

≪配慮事項≫

●現況地形を活かしつつ機能的な区画形状とする。

機能的な形状となるよう区画を変更

●景観の優れた棚田や段々畑などの原風景を活か

す区画形状に配慮するとともに、地域景観に馴染

むよう農道、水路の配置に努める。

●特色のある樹林、防風林、はさかけ林などのラン

ドマークとなる資源や周辺景観との調和を図り、

良好な景観要素を残すよう工夫する。

●集団転作などによる良好な景観形成が可能とな

る整備に努める。

整然とほ場整備された棚田

(水田/七尾市矢田町大門)

樹林地の緑に囲まれた棚田景観を保全

するため、現況地形を活かした区画形状

によりほ場を整備(七尾市多根町)

事業区域に隣接する名木(高照寺の倒

杉)保存のため、小区画は個人営農者に

換地するなどの配慮を実施(珠洲市)

大麦など集団転作が可能となるよう水

田を汎用化(小松市)

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(10)農地整備

施設別の整備指針

③水路・ため池

周辺地域の自然景観や生態系などに配慮する。

≪配慮事項≫

●自然素材などの活用により、自然生態系保全や親

水性に配慮する。

階段護岸や木製デッキを設置し、親水性

を向上(大池/中能登町)

●維持管理が容易になるよう、小段の設置や法面勾

配を緩くするなど、整備の工夫に努める。

周辺景観に配慮した防護柵を設置し、従

前より堤体法面を緩く整備

(大谷地池/津幡町)

県産の間伐材の木製法枠工で、栗石の隙

間から植生が期待(調整池/小松市)

赤浦潟の水質・環境改善のために植生浮

島を設置(赤浦潟/七尾市赤浦町)

用水路を復断面により整備

(中島用水/白山市)

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72

(10)農地整備

施設別の整備指針

④その他施設(用排水機場、貯水槽、共同利用施設等)

位置、意匠、色彩及び素材の工夫により、周辺景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●建物等は、農村風景に馴染むような瓦屋根や県産

木材などの地域材料の使用に努める。

●周辺景観から突出する大型構造物を建設する場

合、周辺への植栽などにより、景観への影響を最

小限にとどめるよう努める。

周辺の農村風景に馴染むよう用水機場

上屋に瓦屋根を使用(七尾市白浜町)

周辺景観に配慮してワイン工場を整備

(穴水町)

集水井の蓋を緑にし、防護柵を擬木にし

て周囲の景観との調和に配慮(輪島市)

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73

(11)森林整備

施設別の整備指針

(11)森林整備

林道は、森林の適正な整備及び保全を図り、効率的かつ安定的な林業経営を確立する

ために必要不可欠な施設となっている。

また、山村地域の交通路として地域住民の通行や物資の運搬、森林へのアクセス確保

など山村地域の振興や生活環境の改善等に大きな役割を果たしており、林道整備にあた

っては利便性、安全性を確保するとともに、周辺景観や自然環境に配慮した整備に努め

る。

①林道

山麓部からの眺望に留意し、景観の変容を抑制するとともに、森林や動植物等を保全

し自然環境に配慮する。

≪配慮事項≫

●道路線形は、できる限り法面、擁壁を回避・縮小

化するよう計画する。

△ ○

地形の改変は最小限に抑えて線形を決める

●法面工は、山麓部からの眺望に十分配慮するとと

もに、地域の自然が法面に回復する可能性が高く

なるような緑化を行う。

地形に沿った線形により、自然の改変を

抑制(林道舘大谷線/能美市)

在来種により緑化を図り、周辺景観との

調和に配慮(林道犀鶴線/白山市)

≪基本的考え方≫

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(11)森林整備

施設別の整備指針

●擁壁工は、形態及び意匠の工夫や自然素材を活用

するなど、自然景観との調和に努める。

●林道整備により適正な森林整備及び保全を図り、

自然環境に配慮する。

△ ○

林道の整備により適正に森林を保全する

補強土壁工を採用して壁面を緑化し、間

伐材により意匠を工夫

(林道切狭線/輪島市)

林道開設により適正な森林整備が実施

(林道火宮谷内線/珠洲市)

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(12)上下水道

施設別の整備指針

(12)上下水道

浄水場や下水処理場は、広大な敷地及び大規模な施設を必要とすることから、周辺住

民の居住環境に影響を与えないための対策が求められる。

したがって、施設の整備にあたっては、周辺景観との調和を図り、緑と水に親しめる

空間の創出に努める。また、ポンプ場を住宅地に設置する場合には、周辺民家との調和

に努める。

①浄水場・下水処理場

施設機能を保ちつつ、周辺景観との調和を図り、地域住民に親しまれる環境づくりに

努める。

≪配慮事項≫

●敷地内には、芝張り、植栽等修景施設を設置し、

内部的景観だけでなく、特に外部からの景観に配

慮する。

●門扉、フェンスの形状及び材質は、景観的な異質

感、圧迫感を少なくするよう努める。

整備前(濁水が流れ悪臭が漂う)

旧国鉄貨物駅の跡地を利用、煉瓦倉庫を

イメージし暖か味のある外壁を採用

(七尾市中央水質管理センター/七尾

市矢田新町)

芝生や植栽、護岸、フェンス等の整備に

より、桜を観賞できる町民の憩いの場に

再生(八反田川都市下水路/津幡町)

≪基本的考え方≫

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76

(12)上下水道

施設別の整備指針

●施設の高さ、配置、色彩等について十分に考慮し、

周囲の景観との調和やプラント的イメージの緩

和に努める。

●下水道処理水を活用したせせらぎ水路など、都市

内の憩いの空間づくりに努める。

瓦葺きの勾配屋根で、周辺の環境と調和

するよう色彩に配慮(東部クリーンセン

ター/七尾市能登島野崎町)

下水道処理水をせせらぎ水に利用

(白山市総合運動公園/白山市)

②ポンプ場

周辺景観との調和に努める。

≪配慮事項≫

●住宅地においては、建築物を周辺の民家と違和感

のない外観とし、吸排気口や配管が目立たないよ

うに工夫するなど、周辺との調和に努める。

瓦葺きの勾配屋根で、周辺の環境と調和

するよう色彩に配慮

(河内浄水場/七尾市中島町河内)

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(13)自然公園

施設別の整備指針

(13)自然公園

自然公園は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることを

目的に、区域を定めて指定される地域性の公園である。

そのため、施設整備にあたっては、優れた自然景観の保全と調和、及び環境への影響

に十分配慮しながら、公園計画に基づき、適正な利用が図られるよう行うものとする。

①造成等

地形や植生等に配慮した造成計画、施設配置となるよう努める。

≪配慮事項≫

●生物の保全に配慮する。

●必要な機能を盛り込みつつ、大規模な切土、盛土

を生じさせないなど、地形の改変をできる限り抑

えるよう努める。

●緑化を行う場合は、自生種を使用するなど、自然

景観との調和、環境への影響に配慮する。

なだらかな尾根状の斜面に沿って園路

を整備(市ノ瀬園地/白山市)

≪基本的考え方≫

段差地形をそのまま活かして、テントサイトを配置(市ノ瀬野営場/白山市)

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(13)自然公園

施設別の整備指針

②公園内建築物等

できる限り勾配屋根とするなど、屋根、壁面の色彩、形態が自然との調和を乱さない

よう努める。

≪配慮事項≫

●主要展望地からの展望に著しい妨げとならない

よう配慮する。

主要眺望地からの展望の妨げになる範囲は避ける

●山稜線を分断するなど、眺望に著しい支障を与え

ないよう配慮する。

△ ○

屋根形状が山稜線を分断しないよう配慮

●蛍光色や原色等、自然の色合いと不調和をきたす

色彩は、原則使用しない。

白山国立公園に位置するため、山並みに

配慮して勾配屋根を採用

(市ノ瀬ビジターセンター/白山市)

自然石と木材を併用したロッジ風デザ

インが山麓の景観に調和

(市ノ瀬ビジターセンター/白山市)

室堂平の広大な眺望を阻害しないよう

緩やかな勾配屋根とし、外壁、屋根の色

彩が自然景観と調和

(室堂ビジターセンター/白山市)

開放的な構造と柔らかな色合いで、周囲

に違和感なく溶けこむよう整備

(医王山覗き休憩舎/金沢市)

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(13)自然公園

施設別の整備指針

③歩道・園路等

自然環境の保全に十分配慮しながら、交通量や機能(登山道、遊歩道、自然観察園路

等)に応じた規模・構造とするよう努める。

≪配慮事項≫

●線形の決定にあたっては、生物の保全に配慮す

る。

●構造物を設置する場合は、周辺景観との調和に十

分配慮する。

●耐久性や強度を踏まえながら、木材や自然石等の

自然素材を使用するよう努める。

自然の景観を損なわず、散策や自然観察

を容易にするよう、等高線に沿った緩や

かな線形で整備

(岩屋俣園地/白山市)

水分条件の変化や、登山者の踏圧による

植生破壊を防止するため、木道工法を採

用(加賀禅定道/白山市)

石張り舗装とすることで、周囲と調和し

ながらも、歩道の安全性と耐久性を向上

(お池巡りコース/白山市)

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(14)面的整備事業

施設別の整備指針

(14)面的整備事業

土地区画整理事業や市街地再開発事業などの面的整備事業は、地域づくり、街づくり

のモデル的な役割を担っており、周辺地域への事業の波及効果も大きく、地域の景観形

成の上で重要な位置を占めている。

面的整備事業を進めるにあたっては、うるおいと安らぎのある地域・街づくりに配慮

するとともに、地域の気候、風土、歴史、文化などの特性に根ざした魅力ある景観の形

成を図るものとする。

①地区全体の景観形成

道路、公園、河川等の連続性や一体性に配慮した施設づくりに努めるとともに、街並

みについては、地区計画や街づくり協定などを策定することにより、整備地区全体が良

好な居住環境を有するよう誘導に努める。

≪配慮事項≫

●面的整備に合わせて策定することが求められる

地区計画や街づくり協定を基本として、整備地区

全体の景観整備を行うよう努める。

※土地区画整理事業や市街地再開発事業は、道路、

橋梁、河川等の要素を総合的に含むことから、整

備にあたっては、それらの整備指針に準ずるもの

とする。

地区計画や緑地協定により街並みを統

一し、上質な道路空間を整備

(内灘北部地区土地区画整理事業/内

灘町)

都市計画道路の沿道にシンボルとなる

街路樹を植栽し、電線類を地中化

(内灘北部地区土地区画整理事業/内

灘町)

≪基本的考え方≫

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(14)面的整備事業

施設別の整備指針

●事業施行者は、関係権利者から街づくりに対する

意見を聴取し、それを基本とする「街づくりに関

する基本コンセプト」を設定することで、地区全

体が調和した上質な景観空間を創出するよう努

める。

●地区全体の緑化を誘導し、緑あふれる景観の形成

に努める。

風をテーマに公園をデザイン(内灘北部地

区土地区画整理事業/内灘町)

公園の法面に桜の苗木を植樹(万行地区土

地区画整理事業/七尾市万行町)

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82

5 運用方法

5 運用方法

(1)運用の流れ

実際の運用にあたっては、「計画・設計」から「施工」、「維持管理」、「増築・修繕」などの

各段階において、本ガイドラインに示す基本方針や各整備方針等を踏まえた上で、下記の流

れに沿って、景観に配慮した公共事業を実施する。

○設計(計画)時に、「七尾市公共事業景観形成指針チェックシート」を記入し、指針

への適合状況を確認する。

○工事発注時に、実施設計時の「七尾市公共事業景観形成指針チェックシート」を確

認する。

○当該工事の内容を選択し「七尾市公共事業景観形成指針チェックシート」を記入す

る。

○維持管理を行う際に、施工時の「七尾市公共事業景観形成指針チェックシート」で

配慮内容を再確認するよう努める。

○増築・修繕の計画時に、施工時の「七尾市公共事業景観形成指針チェックシート」

を再確認するよう努める。

⇒①に戻る

※上記の運用方法は、市施行事業について表したものであり、その他の施行者(国・県等)の場合は

任意とする。

③維持管

理段階

④増築・修繕段階

②施工

段階

①計画・設計段階

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運用方法

<協議対象事業判定フロー>

<協議対象となる事業規模一覧表>

事業の種類 事業の規模 備 考

(1)道路(国道、県道、

市道、農道、街路) ・計画延長0.5km以上

(2)橋梁 ・すべての橋梁(添架物含む)

※ボックスカルバートは除く

(3)河川・水路 ・計画区間0.5km以上

(4)ダム ・すべての事業

(5)砂防・治山 ・砂防ダム:高さ15m以上

・急傾斜地:高さ30m以上

・山腹工事:計画区域面積1ha以上

(6)港湾・漁港 ・計画施設用地面積1ha以上

(7)海岸 ・計画延長0.5km以上

(8)公園・緑地 ・1ha以上

(9)公共建築物 ・建築面積500㎡超

・高さ13m超

(10)農地整備 ・ほ場整備:事業採択区域面積10ha以上

・用排水路:事業採択延長1km以上

・ため池:満水面積0.5ha以上

(11)森林整備(林道) ・計画延長1km以上

(12)上下水道 ・建築面積500㎡超

(13)自然公園 ・計画区域面積1ha以上

(14)面的整備事業 ・計画区域面積1ha以上

新規事業

道路、橋梁、河川・水路

チェックシートの作成

(基本配慮事項、共通要素整備指針

施設別整備指針のチェック)

協議

協議対象となる事業

か?(下記一覧表参照)

Yes No

チェックシートを作成する必要はない

が、指針に適合するようガイドラインを

参考にして公共事業を実施する。

協議対象事業 協議対象としない事業

災害復旧事業

適用除外

外観が変更となる修繕若しくは色彩

の変更があるか?

No Yes

修繕・維持管理事業

左記以外

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5 運用方法

<景観に関する地区指定等>

根拠法等 景観に関する地区指定等

景観法

いしかわ景観総合条例 □景観形成重要エリア □特別エリア

景観法

七尾市景観条例

□景観計画区域(一般) □特別地域

□景観協定区域

都市計画法 □風致地区 □地区計画区域

自然公園法

ふるさと石川の環境を守り育てる条例 □自然公園(国定公園、県立自然公園)

文化財保護法 □伝統的建造物群保存地区

□その他( )

※参考1)七尾市景計画における届出の対象とすべき行為の規模

行為の種類 景観計画区域

(一般)※市内全域 特別地域

建築物の新築、増築等 建築面積>500 ㎡又

は 高さ>13m

建築面積>200㎡

又は 高さ>10m

工作物の新設、増築等 高さ>13m 高さ>10m

開発行為等 行為面積>5,000㎡ 行為面積>1,500㎡

※参考2)七尾市景観計画における配慮すべき色彩の数値基準(JIS Z 8721による)

うち屋根部分

1以下4以下 2以下 6以下 4以下 4以下彩 度

(鮮やかさ)6以下 6以下

2.6R~5YR0.1R~2.5R

5.1YR~10YRその他 全色相

明 度(明るさ)

8.5以下 3~8.5 3~8.5 3~8.5 3~7 3~7 3~7 5以下

色 相(色合い)

全色相 0.1R~5Y 5.1Y~10Y その他

属 性景観計画区 域 内

特別地域内

(1)のと里山海道沿線  能越自動車道沿線

(2)のと里海エリア

外  観

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運用方法

(2)記入シート

七尾市公共事業景観形成指針チェックシート

平成 年 月 日作成

所 属 担当者名

工 事 名

(事 業 名 )

工 事 箇 所

(事業箇所)

工 期

(事業期間) 平成 年 月 ~ 平成 年 月

対象地の景

観に関する

地区指定等

景 観 法 □景観形成重要エリア □特別エリア

□景観計画区域(一般) □特別地域 □景観協定区域

都市計画法 □風致地区 □地区計画区域

自然公園法 □自然公園(国定公園、県立自然公園)

□その他( ) □無し

工 事 費

(事 業 費 ) 千円

工事(事業)

に含む要素

□ ①法面 □ ②擁壁 □ ③護岸 □ ④防護柵 □ ⑤舗装

□ ⑥標識及び公共広告物 □ ⑦無電柱化 □ ⑧照明施設 □ ⑨緑化

施設の種類

□ ①道路 □ ②橋梁 □ ③河川・水路 □ ④ダム

□ ⑤砂防・治山 □ ⑥港湾・漁港 □ ⑦海岸 □ ⑧公園・緑地

□ ⑨公共建築物 □ ⑩農地整備 □ ⑪森林整備 □ ⑫上下水道

□ ⑬自然公園 □ ⑭面的整備事業

工事中の景

観配慮内容

■基本配慮事項チェックリスト

共通の基本配慮事項 配慮内容

□ ①自然環境を活かし、調和を図る

□ ②歴史や生活文化の蓄積を活用する

□ ③視点場からの見え方に配慮する

□ ④地域における公共施設の機能や役割を考慮する

□ ⑤色彩や形態を考慮する

※色彩は、七尾市景観計画における数値基準を参考にする

□ ⑥ヒューマンスケールを取り入れる

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5 運用方法

■基本配慮事項チェックリスト(つづき)

共通の基本配慮事項 配慮内容

□ ⑦事業者間の調整を図る

□ ⑧維持管理面を考慮する

□ ⑨工事中の景観に配慮する

■共通要素の整備指針チェックリスト

①法面 指針 現況の地形に応じた構造及び形態とし、圧迫感を軽減させるよう努める。また、法

面の覆工については、緑化による修景など周辺景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 法面の勾配はできる限り緩やかにとるなど、原地形になじませるよう努める。

□ 在来種等による植生を施すなど、周辺状況になじませるよう努める。

配慮

内容

②擁壁 指針 自然素材の利用など、意匠、色彩及び素材について工夫を行い、周辺景観との調和

に努める。

配慮

事項

□ 植栽や擁壁の表面処理等により、圧迫感及び違和感の軽減に努める。

□ 自然石・地場産材、植栽の併用等、周辺環境と調和した形態及び素材に配慮する。

配慮

内容

③護岸 指針 生物の生息・繁殖環境と多様な景観の保全・創出に配慮した適切な工法の採用に努

める。

配慮

事項

□ 生物の生息に配慮した構造とするなど、生態系の保護に努める。

□ 自然とのふれあいができるような親水空間の創出に努める。

□ 自然素材や環境保全型ブロックの活用、景観に配慮した人工的な表面処理等によ

り、周辺景観に調和した意匠・形態になるよう努める。

□ 埋立護岸については、周辺景観に圧迫感や違和感を与えないよう配慮する。

配慮

内容

④防護柵 指針 防護柵としての機能を確保しつつ、意匠、色彩及び素材の工夫により、周辺景観と

の調和に努める。

配慮

事項

□ 意匠はできる限りシンプルなものとする。

□ 歩道用の転落防止柵は縦桟を基本とする。

□ 色彩はダークブラウン、グレーベージュ、ダークグレー、オフホワイトを基本と

する。

□ 材質は鋼製を基本とする。

□ 近接して設置される他の施設との調和に努める。

□ 中心市街地や観光地周辺では、人との親和性に配慮する。

□ 視線誘導が必要な箇所では、景観を阻害しないよう配慮して、反射シート等の設

置を行う。

配慮

内容

⑤舗装 指針 舗装としての性能及び安全で快適な走行性と歩行性を確保するとともに、視点位置

によっては景観に大きく影響を与えるため、周辺景観に調和するような素材、色調の

採用に努める。

配慮

事項

□ 彩色する場合は低彩度や自然色に近いものとする。

□ 周辺環境に調和した意匠、形態となるよう素材、色調に配慮する。

配慮

内容

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87

運用方法

標識及

び公共広

告物

指針 道路標識としての安全で利便性の高い機能を確保しつつ、設置数は最小限とし、表

示すべき情報や掲示内容の整理整合、適切な場所への設置に努める。

また、良質なデザインや環境への配慮により、地域の良好な景観や環境づくりに資

する広告物の設置に努める。

配慮

事項

◎標識

□ できる限り形態、意匠、高さを統一し、共架等により集約化に努める。

□ 近接して設置される他の道路付属施設との調和に努める。

□ 視点と視対象を意識した配置とし、標識柱及び標識板の裏面を落ち着いた色彩と

するなど、周辺景観との調和に努める。

◎公共広告物

□ 地域を特徴づけるデザインや素材などを用い、良好な景観形成に努める。

□ 見やすさ、分かりやすさなどすべての利用者に配慮して、良質かつ普遍的なデザ

インとなるよう工夫する。

□ 自然素材の特色を活かし、地域景観との調和、景観のアクセントとなるよう努め

る。

□ サインを集合化し、地域景観への配慮、省資源化に努める。

□ 再資源化や省資源化に努める。

配慮

内容

⑦無電柱

指針 歴史的・文化的地区や商店街・温泉街地区、空港や駅、玄関口となる幹線道路沿線

など、特に景観上の配慮が必要な場所では、無電柱化することにより美しい街並みの

形成に努める。

配慮

事項

□ 対象地の実情に合わせて、適切な整備手法を選定する。

□ 地上機器は、周辺景観に調和した意匠、色彩の採用、公共空間への集約や民地へ

の設置、木製カバーや植栽で囲うなど、街並み景観の向上に努める。

□ 地上機器の設置が難しい箇所については、柱状式なども採用できるよう努める。

□ 無電柱化に合わせ、街並み全体の景観向上に努める。

配慮

内容

⑧照明施

指針 周辺景観との調和を図るとともに、地域の状況に応じた照明方法の工夫や、地域特

性を活かした意匠及び色彩となるよう努める。

配慮

事項

□ 地域特性を踏まえた上で、できる限りシンプルかつ統一感のあるものとする。

□ 近接して設置される他の施設(防護柵、標識柱等)との調和に努める。

□ 周辺施設との位置関係を考慮し、乱雑にならないよう集約して配置する。

□ 維持管理について十分考慮する。

□ ライトアップ等、必要に応じ地域の個性演出について検討する。

配慮

内容

⑨緑化 指針 緑化の目的を明確にし、地域の自然や文化の特性に配慮したうえで、周辺景観に調

和した適正な樹種の選択、配植デザイン、管理計画の策定・実施等に努める。

配慮

事項

□ 緑化の目的を明確にする。

□ 自然、土壌、周辺の既存植生、地域の文化など、対象地の状況を把握する。

□ 目的と対象地の状況に応じた適正な樹種の選択、配植デザインを行う。

□ 既存植生の保全・活用に努める。

□ 四季の移ろいや生長など、時間的な景観変化の演出等に努める。

□ 樹木等の生長を見越した植栽計画の立案、管理に努める。

配慮

内容

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88

5 運用方法

■施設別の整備指針チェックリスト

(1)道路

項目 指針・配慮事項

□①路線の

選定

指針 周辺環境を十分考慮し、山や海等の風景を活用するとともに、自然の保全や調和に

努める。

配慮

事項

□ できる限り自然地形の改変を抑え、周辺の景観を大きく損なわないよう配慮す

る。

□ 歴史的街並み、建造物などのすぐれた景観資源の保全に努める。

配慮

内容

□②トンネ

指針 坑口部は、周辺の地形になじむ構造及び形態とし、周辺景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 自然・植生の復元が可能な形式・工法や坑口位置の選定に努める。

□ 坑口部壁面は、周辺環境との調和や圧迫感の軽減に努める。

□ 閉鎖感や暗さ、視環境の単調さをやわらげる舗装や内装、照明の工夫などに努め

る。

配慮

内容

□③道路緑

指針 周辺環境を勘案し、できる限り緑豊かな道路景観となるよう努める。

配慮

事項

□ 樹木の選定は、地域の気候などを考慮し、個性ある道路景観とするよう努める。

□ 街路樹はできる限り自然樹形を保たせ、緑豊かな道路景観となるよう努める。

□ 既存の樹林や樹木等はできる限り保全するよう努める。

□ 沿道には、できる限り植樹を施し、中央分離帯や交通島についても緑化に努める。

□ 歩道部は、樹種の選定や樹木の配置を工夫して、積極的に緑化に努める。

配慮

内容

□④道路占

用物

指針 配置、形態、意匠及び色彩について規制、誘導を図るとともに、できる限り整理統

合し、周辺景観を阻害しないよう努める。

配慮

事項

□ 電線等の建柱位置については、歩行者の妨げとならないよう配慮する。

□ ストリートファニチャーは、周辺景観に調和するよう努める。

□ 自動販売機も、周辺景観に配慮したものとするよう努める。

配慮

内容

□⑤道路休

憩施設

指針 運転者や歩行者に安らぎを与える空間とするため、周辺の景観と調和し、眺望が良

く、安全で快適な場所となるよう努める。

配慮

事項

□ 眺望景観を考慮して、視点場となるような位置の選定に努める。

□ 周辺環境と調和した緑化を行うよう努める。

□ 地域独自の自然・歴史などを考慮し、施設等の形態、意匠及び色彩に配慮する。

配慮

内容

□⑥沿道街

並みの修景

指針 景観上の配慮が必要な街路整備を行う際には、街路空間の修景と合わせて、沿道の

街並み修景を行うよう誘導に努める。

配慮

事項

□ ルールに基づいて沿道も含めた整備区間全体の景観整備を行うよう、誘導に努め

る。

配慮

内容

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89

運用方法

(2)橋梁

項目 指針・配慮事項

□①橋梁本

指針 主要な眺望点からの眺望に配慮するとともに、特別地域においては、橋梁の構造、

形態、意匠及び色彩は、周辺景観との調和や地域の特性に配慮する。

配慮

事項

□ 橋梁形式の選定にあたっては、周辺景観との調和に努める。

□ 過度な装飾を避けたシンプルなデザインとする。

□ 地形の改変、既存植生の損傷を最小限とするよう、施工方法を含めて検討する。

配慮

内容

□②橋梁付

属物(高欄、

照明施設、

舗装、排水

施設等)

指針 主要な眺望点からの眺望に配慮するとともに、特別地域においては、橋梁本体とバ

ランスのとれた形態、意匠及び色彩とし、周辺景観との調和や地域の特性に配慮する。

配慮

事項

□ 遠景と近景両面から橋梁本体との調和、周辺の自然や街並みとの調和に努める。

配慮

内容

□高架橋・

歩道橋

指針 特別地域においては、沿道住民や歩行者等に与える圧迫感をやわらげるよう配慮す

るとともに、周辺景観との調和や地域の特性に配慮する。

配慮

事項

□ 周囲に与える圧迫感や威圧感をやわらげるよう努める。

□ 排水管、電線管などの付属物は、目立たないように工夫し、橋梁本体との調和に

努める。

配慮

内容

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90

5 運用方法

(3)河川・水路

項目 指針・配慮事項

□①河川全

指針 「多自然川づくり」をすべての川づくりの基本とした整備に努める。

配慮

事項

□ 河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配

慮し、河川が本来有している生物の生息・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・

創出する。

配慮

内容

□②堤防 指針 近景や遠景との調和を考慮しながら、できる限り自然に近い形態となるよう配慮す

るとともに、管理上支障がない範囲で親水性の向上に努める。

配慮

事項

□ 自然素材等の活用により、自然生態系保全と親水性の向上に努める。

□ 瀬と淵、わんど、河畔林等が現存する良好な環境資源をできる限り保全する。

□ 植栽や緑化にあたっては、周辺の植生に配慮し、在来種の採用に努める。

□ 維持管理が容易になるよう整備・工夫に努める。

□ 坂路や階段の配置により、単調になりがちな景観に変化を与えるよう工夫する。

配慮

内容

□③護岸 指針 生物の生息・繁殖環境と多様な景観の保全・創出に配慮した適切な工法の採用に努

める。

配慮

事項

□ 生物の生息に配慮した構造とするなど、生態系の保護に努める。

□ 自然とのふれあいができるような親水空間の創出に努める。

□ 自然素材や環境保全型ブロックの活用等により、周辺景観に調和した意匠・形態

になるよう努める。

□ 河川護岸の天端は、極力コンクリートが出ないように工夫する。

配慮

内容

□④高水敷 指針 管理上支障がない範囲で、うるおいと親しみのある水辺空間の創出に努める。

配慮

事項

□ 周辺環境との調和に配慮して、遊歩道等の整備により親水性の向上に努める。

□ できる限りの緑地化により、緑豊かな空間の確保に努める。

□ 公園や広場としての利用に供するなど、水辺空間の提供に努める。

配慮

内容

□⑤水路 指針 地域用水機能を確保するとともに、歴史的景観の保全、親水性を確保しつつ、周辺

景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 自然素材等の活用により、自然生態系保全と親水性を確保する。

□ 維持管理が容易になるよう整備・工夫に努める。

配慮

内容

□⑥水門・

樋門・頭首

工及び排水

機場等

指針 位置、形態、意匠、色彩及び素材に配慮し、周辺の水辺景観を阻害しないよう努め

る。

配慮

事項

□ 地域の歴史、文化、周辺景観との調和に努める。

□ 県産材や自然素材等の活用により、生態系保全と親水性確保に努める。

□ 放流箇所などは、流水による造形などを考慮した意匠・構造とするよう努める。

□ 景観への影響を最小限にとどめるよう施設周辺の植栽などに努める。

配慮

内容

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91

運用方法

(4)ダム

項目 指針・配慮事項

□①堤体 指針 形態及び意匠は、周辺の自然との一体感を有した景観づくりに努める。

配慮

事項

□ 巨大な人工構造物が周辺景観に違和感を与えないよう努める。

□ 視点場からの堤体の見え方に配慮する。

□ 流域の地域特性を意識したデザインや地域産材の活用に努める。

配慮

内容

□②ダム本

体周辺構造

物(管理事

務所、繋船

設備、取水

設備等)

指針 形態及び意匠などを工夫し、ダム本体及び周辺景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 管理棟、取水設備等は、意匠・素材・色彩を自然に調和したものとするよう努め

る。

□ 流域の地域特性を意識したデザインとなるよう努める。

配慮

内容

□③ダムサ

イト及び貯

水池周辺

指針 自然環境の保全・復元と周辺の自然景観の四季や経年の変化に配慮する。また、展

望施設、遊歩道等は視点場を意識した整備とするよう努める。

配慮

事項

□ 四季の変化・経年変化を考慮したものとする。

□ 掘削面の緑化は、郷土種を原則とし、周辺景観との調和に努める。

□ 展望施設、遊歩道等は、堤体景観を美しく見せるよう、視点場を意識した整備に

努める。

配慮

内容

(5)砂防・治山

項目 指針・配慮事項

□①えん堤

工・谷止工

・流路工・

護岸工

指針 形態及び意匠の工夫や自然素材の活用などにより、周辺景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 周辺景観を阻害しない位置や形式、施設規模、施設と背景のバランスを検討する。

□ 周辺環境に調和する工種の選定や地形改変を抑えた施工法を検討する。

□ 渓流とそれを囲む渓畔林空間とを物理的・視覚的に分断しないよう配慮する。

□ 階段式護岸、渓畔林、標識等により親水空間や森林とのふれあいの場を整備する。

□ 時間の経過とともに周辺景観に馴染んでいく形式、材料を選定する。

配慮

内容

□②法枠工

・擁壁工・

補強土工

指針 施設の機能美を確保するとともに、その形態及び意匠の工夫や自然素材の活用など

により、周辺景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 周辺景観を阻害しない位置や形式、施設規模、施設と背景のバランスを検討する。

□ 周辺環境に調和する工種の選定や地形改変を抑えた施工法を検討する。

□ 森林空間を物理的・視覚的に分断しないよう配慮する。

□ 植生、歩道、標識、安全柵等により森林とのふれあいができるようにする。

□ 法面の緑化、在来種の利用など、周辺景観に馴染んでいく形式、材料を選定する。

配慮

内容

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92

5 運用方法

(6)港湾・漁港

項目 指針・配慮事項

□①港湾・

漁港施設

(防波堤、

岸壁、護岸

等)

指針 安全性や機能性を確保しながら、自然公園などの観光地及びその付近については、

うるおいと親しみのある空間づくりを行い、港の景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 形態をコンパクトにしたり、構造物の表面処理や材料などに配慮する。

□ 釣り護岸を整備するなど、親水性の確保に努める。

配慮

内容

□②港内建

築物等

指針 建築物は、その形態、意匠及び色彩を工夫し、港の景観との調和に努める。工作物

は、安全性・機能性を確保できる範囲で、港の景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 建築物については、地域の特性を踏まえたデザインとする。

□ 港からの眺め、水域からの眺めに配慮する。

配慮

内容

□③港内緑

指針 港湾及び漁港区域内の余裕地には、緑化を図り、地域のふれあいの場として、港地

域にうるおいと親しみをもたらすよう努める。

配慮

事項

□ 港の景観を活かした臨海部の緑化を図る。

□ 地域住民が集い、賑わいの創出につながる公園・広場を設ける。

□ 地域のふれあいの場とするため、港を望む視点場の整備に努める。

配慮

内容

(7)海岸

項目 指針・配慮事項

□①堤防・

護岸

指針 形態及び意匠の工夫や自然素材の活用などにより、周辺景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 護岸前面の海岸と背後の自然との一体性に配慮する。

□ 階段式護岸等の整備では、周辺景観に配慮する。

配慮

内容

□②海浜 指針 自然海浜は、できる限り保全に努め、人工海浜を整備する場合は、周辺の自然景観

との調和に努める。

配慮

事項

□ 自然の営力が生み出す微地形の変化や植生の変化等を尊重する。

□ 海浜地形の傾斜や微地形の起伏等による高低差が生む景観的効果を活かす。

□ 人工海浜は、海岸と背後の自然地や土地利用との連続性の確保、調和に努める。

□ 突堤は、自然素材を用いるなど、自然景観との調和に努める。

配慮

内容

□③離岸堤 指針 水平線への見通しを阻害しないよう工夫する。

配慮

事項

□ 防災機能を確保しつつ、天端高を極力抑えるなどの配慮を行う。

□ 陸側の視点場の調整によって、見通しを確保するなどの配慮を行う。

配慮

内容

□④海岸緑

指針 海岸林や緑地、植栽は、その多様な機能、景観的な演出効果に配慮しつつ、適切な

樹種、緑量、密度の選択に努める。

配慮

事項

□ 海浜と背後の都市との緩衝機能に配慮する。

□ 海岸固有の景観体験を踏まえた海岸林(松林)の配置に努める。

□ 緑地等により人工的要素(道路、駐車場、宅地等)の遮蔽に努める。

□ 地域の植生に即した植栽樹種を選択する。

配慮

内容

□⑤その他

施設(消波

工、管理道

路等)

指針 形態、意匠及び色彩は、背後地、堤防、海岸等の周辺環境・景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 周辺環境や景観との調和を図るため、意匠・素材・形状・色彩などに配慮する。

□ 消波工は、周辺の景観に配慮し、位置や積み方を工夫する。

□ 隣り合う施設相互のデザインの連続性に配慮する。

配慮

内容

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93

運用方法

(8)公園・緑地

項目 指針・配慮事項

□①公園・

緑地全般

指針 立地、設置目的、利用形態、施設内容などの特性に応じ、利用と景観との調和に努

める。また、地域の歴史や生活文化を活かし、個性的な景観形成に努める。

配慮

事項

□ 既存植生や借景の活用など、立地の景観特性に応じた景観形成に努める。

□ 関連する事業との連携を図り、境界部の処理などにおいて、景観の一体性・連続

性を確保する。

□ 歴史的資源の保全・活用は、史実性や歴史的建造物等の見え方に配慮する。

□ 自然環境の保全は、その区域等を明確にし、周囲との連続性に配慮する。

□ その他、立地特性や設置目的などに応じた景観形成に努める。

配慮

内容

□②植栽・

緑化

指針 目的に応じた樹種の選択、配植デザインを行うとともに、四季の移ろいや樹木、草

花等の生長による景観の変化などを考慮し、将来にわたって良好な景観が保全・向上

されるよう計画的な維持管理に努める。

配慮

事項

□ 目的に沿った樹種の選定、配植デザインに努め、見え方、見せ方を工夫する。

□ 季節感や将来の生長を見込んだ植栽を行い、適正な維持管理に努める。

配慮

内容

□③公園施

指針 設置目的・機能と景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 建築物等の高さは、眺望するスカイラインの連続性等に配慮する。

□ 外観デザイン、色彩等は、周囲の景観との調和に配慮するとともに、修景植栽等

により、周囲との一体性や連続性の演出を図る。

□ 自然素材の活用により、周辺環境との調和を図るとともに、地場産品等の使用に

努め、地域の個性を演出する。

□ 環境に配慮し、生息する生物に優しい「自然と共生する」施設づくりに努める。

配慮

内容

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94

5 運用方法

(9)公共建築物

項目 指針・配慮事項

□①配置 指針 敷地内の建築物の配置計画は、景観や周囲の快適性等に大きく影響するため、構想

段階から十分検討する。

配慮

事項

□ 眺望を活用した配置計画とし、借景等も併せて検討する。

□ 自然地形の活用、敷地改変の最小化に配慮する。

□ 周囲の建築物や街並みとの配置の連続性やバランスに配慮する。

□ セットバックした配置に努め、オープンスペースの創出を図る。

配慮

内容

□②形態・

意匠

指針 施設用途や立地状況を踏まえ、周辺景観になじませるか、あるいはランドマークと

してシンボル性のある建物とするかなど、形態・意匠について十分検討する。

配慮

事項

□ 周辺の建築物等の壁面線や屋根形状等の連続性に配慮する。

□ 建築群として形態・意匠の調和を図り、建物相互のバランスに配慮する。

□ 建物の形態・意匠に地域特性を活かすよう工夫する。

配慮

内容

□③色彩・

照明

指針 施設用途や立地状況を踏まえ、色相・色調を周辺建物と統一的なものとするか、こ

れらを対比させて賑わいを創出させるかなどについて、十分検討する。

配慮

事項

□ 屋根・外壁は落ち着きのある色彩を基調とする。

□ 素材による質感、光のあたり方による見え方や、雨に濡れた時の変化などにも十

分配慮する。

□ アクセントカラーは、面積を抑えたものとし、位置について十分な検討を行う。

□ 照明デザインは、周辺の夜間景観に十分配慮する。

配慮

内容

□④素材・

材料

指針 耐久性や耐候性を十分考慮しながら、周辺景観を形成している素材・材料や、地域

特性を表現する素材・材料の活用に努める。

配慮

事項

□ 地場産材や地域の特産品の活用により、地域イメージの演出に努める。

□ 時間が経過した後のことを考慮し、素材・材料を吟味する。

配慮

内容

□⑤敷地内

緑化

指針 敷地内はできる限り緑化を図り、その際には季節感やゆとりが感じられる空間の演

出に努める。

配慮

事項

□ 敷地内の景観的に優れた樹木などはできる限り存置し、保全・活用を図る。

□ 既存植生と調和した樹種の選択により、周辺の自然景観になじませる。

□ 花や紅葉など四季折々の季節感の演出に努める。

□ 屋上緑化や壁面緑化の採用を検討する。

配慮

内容

□⑥その他

(付属施設、

ゴミ置き場、

駐車場、設備

機器類)

指針 建物に付属する施設等についても、配置、形態、色彩等に十分配慮する。

配慮

事項

□ 形態や色彩は、周囲に溶け込むよう配慮し、配置は周囲からの視線に配慮する。

□ カバーの設置や植栽等による目隠しなど、周辺景観への配慮について検討する。

配慮

内容

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95

運用方法

(10)農地整備

項目 指針・配慮事項

□①農地整

備全般

指針 良好な田園風景が継続的に保たれるよう、整備にあたっては景観との調和に配慮す

る。

配慮

事項

□ 地域の営農状況を踏まえつつ、良好な景観が保たれるよう、農地整備計画の策定

に努める。

□ 生態系が保全されるよう、整備にあたって配慮・工夫する。

□ 地域住民の意見を聞くとともに、地域保全活動への住民参加を含めた協働体制の

構築に努める。

□ 伝統的な農村文化と景観を保全できるよう努める。

配慮

内容

□②区画形

指針 生産性の高い機能的な形状の創出を目的としつつ、地域の特徴的な景観要素をでき

る限り保全・活用した区画形状とするよう努める。

配慮

事項

□ 現況地形を活かしつつ機能的な区画形状とする。

□ 原風景を活かす区画形状に配慮するとともに、地域景観に馴染むよう農道、水路

の配置に努める。

□ ランドマークとなる資源や周辺景観との調和を図り、良好な景観要素を残すよう

工夫する。

□ 集団転作などによる良好な景観形成が可能となる整備に努める。

配慮

内容

□③水路・

ため池

指針 周辺地域の自然景観や生態系などに配慮する。

配慮

事項

□ 自然素材などの活用により、自然生態系保全や親水性に配慮する。

□ 維持管理が容易になるよう、整備の工夫に努める。

配慮

内容

□④その他

施設(用排水

機場、貯水槽

、共同利用施

設等)

指針 位置、意匠、色彩及び素材の工夫により、周辺景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 建物等は、瓦屋根や県産木材などの地域材料の使用に努める。

□ 大型構造物は、植栽などにより、景観への影響を最小限にとどめるよう努める。

配慮

内容

(11)森林整備

項目 指針・配慮事項

□①林道 指針 山麓部からの眺望に留意し、景観の変容を抑制するとともに、森林や動植物等を保

全し自然環境に配慮する。

配慮

事項

□ 道路線形は、できる限り法面、擁壁を回避・縮小化するよう計画する。

□ 法面工は、山麓部からの眺望に十分配慮するとともに、地域の自然が法面に回復

する可能性が高くなるような緑化を行う。

□ 擁壁工は、自然景観との調和に努める。

□ 林道整備により適正な森林整備及び保全を図り、自然環境に配慮する。

配慮

内容

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96

5 運用方法

(12)上下水道

項目 指針・配慮事項

□①浄水場

・下水処理

指針 施設機能を保ちつつ、周辺景観との調和を図り、地域住民に親しまれる環境づくり

に努める。

配慮

事項

□ 敷地内には、芝張り、植栽等修景施設を設置し、特に外部からの景観に配慮する。

□ 門扉、フェンスの形状及び材質は、異質感、圧迫感を少なくするよう努める。

□ 周囲の景観との調和やプラント的イメージの緩和に努める。

□ 下水道処理水を活用したせせらぎ水路など、都市内の憩いの空間づくりに努め

る。

配慮

内容

□②ポンプ

指針 周辺景観との調和に努める。

配慮

事項

□ 住宅地においては、建築物を周辺の民家と違和感のない外観とし、周辺との調和

に努める。

配慮

内容

(13)自然公園

項目 指針・配慮事項

□①造成等 指針 地形や植生等に配慮した造成計画、施設配置となるよう努める。

配慮

事項

□ 生物の保全に配慮する。

□ 地形の改変をできる限り抑えるよう努める。

□ 緑化は、自生種を使用するなど、自然景観との調和、環境への影響に配慮する。

配慮

内容

□②公園内

建築物等

指針 できる限り勾配屋根とするなど、屋根、壁面の色彩、形態が自然との調和を乱さな

いよう努める。

配慮

事項

□ 主要展望地からの展望に著しい妨げとならないよう配慮する。

□ 山稜線を分断するなど、眺望に著しい支障を与えないよう配慮する。

□ 蛍光色や原色等、自然の色合いと不調和をきたす色彩は、原則使用しない。

配慮

内容

□③歩道・

園路等

指針 自然環境の保全に十分配慮しながら、交通量や機能(登山道、遊歩道、自然観察園

路等)に応じた規模・構造とするよう努める。

配慮

事項

□ 線形の決定にあたっては、生物の保全に配慮する。

□ 構造物を設置する場合は、周辺景観との調和に十分配慮する。

□ 耐久性や強度を踏まえながら、木材や自然石等の自然素材を使用するよう努め

る。

配慮

内容

(14)面的整備事業

項目 指針・配慮事項

□①地区全

体の景観形

指針 道路、公園、河川等の連続性や一体性に配慮した施設づくりに努めるとともに、街

並みについては、地区計画や街づくり協定などを策定することにより、整備地区全体

が良好な居住環境を有するよう誘導に努める。

配慮

事項

□ 地区計画や街づくり協定を基本として、整備地区全体の景観整備を行うよう努め

る。

□ 関係権利者から意見を聴取し、「街づくりに関する基本コンセプト」を設定する

ことで、地区全体が調和した上質な景観空間を創出するよう努める。

□ 地区全体の緑化を誘導し、緑あふれる景観の形成に努める。

配慮

内容

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97

参考資料

参考資料

■七尾市景観条例

(平成二十年七尾市条例第二十九号)

平成二十年六月二十六日公布

※前文、第一章、第二章、第三章第一節、第四章第

三十一条を抜粋

前文

七尾市には、古来より山、河川、港などの豊かな

自然に恵まれ、これらを活用した農林漁業が営まれ

てきた。里山の栄養豊かな土壌が川を流れ、海に流

れ出すことによって、実りある農産物やカキをはじ

めとする豊富な水産資源をもたらすなど、豊かな自

然が連携しあいながら今日の七尾市をつくり、魅力

ある景観を形成している。

七尾市の景観づくりには、こうした長い歴史を通

して受け継がれてきた自然や歴史、文化との連携を

重視しながら、魅力ある景観資源の適切な維持・保

全を基本として、新しい世代に確実に受け継いでい

くことが重要である。

また、七尾の魅力ある景観づくりは、そこに暮ら

す人々が七尾の美しさに愛着や誇り、快適性を感じ

るとともに、その素晴らしさについて、子供たちや

七尾を訪れる人々に伝えてこそ、意義のあるものと

なる。このため、市民が主体となって、景観づくり

を行政とあいたずさえながら、自然の恵みと生活と

が密接に関わる中で育まれた魅力ある景観を繋げて

いくことが重要となってくる。

このように、市民主体による景観づくりを進める

中で、地域の魅力増進が図られるとともに、七尾の

景観への愛着と誇りが醸成され、市内外の様々な人

との景観を通じた交流の促進による、七尾市のさら

なる発展を目標とし、これらを次世代に継承するた

め、この条例を制定する。

第一章 総則

第一節 通則

(目的)

第一条 この条例は、景観法(平成 16 年法律第 110

号)の規定に基づく必要な施策を行うことにより、

本市の風土と歴史の中で形成された、個性的で優

れた景観を市民共有の財産として保全・創造しな

がら未来へ継承するとともに、心豊かで潤いのあ

る市民生活に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語

の意義は、当該各号に定めるところによる。

1 景観 人を取り巻く自然と人の営みによる歴

史と文化の蓄積からなる視覚的な環境の総体を

いう。

2 建築物 建築基準法(昭和 25年法律第 201号)

第 2 条第 1 号に規定する建築物をいう。

3 工作物 煙突その他の規則で定める工作物を

いう。

4 眺望景観 山並み、海岸その他の視対象の視

点場からの景観をいう。

5 視対象 視点場から眺めることができる対象

物で、山並み、海岸その他の優れた眺望景観の

要素となるものをいう。

6 視点場 公園、河川、道路その他の公共性の

高い場所であって、眺望景観を享受することが

できるものをいう。

7 広告物 屋外広告物法(昭和 24 年法律第 189

号)第 2 条第 1 項に規定する屋外広告物をいう。

第二節 基本理念等

(基本理念)

第三条 良好な景観又は眺望景観(以下「良好な景観

等」という。)は、美しく風格のある本市の形成と

潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠である

ことにかんがみ、市民共通の財産として、現在及

び将来の市民がその恵沢を享受できるよう、その

整備及び保全を図り、継承されなければならない。

2 良好な景観等は、地域の自然、歴史、文化等と

人々の生活、経済活動等との調和により形成され

るものであることにかんがみ、適正な制限の下に

これらが調和した土地利用がなされること等を通

じて、その整備及び保全が図られなければならな

い。

3 良好な景観等は、地域の固有の特性と密接に関

連するものであることにかんがみ、地域住民の意

向を踏まえ、それぞれの地域の個性及び特色の伸

長に資するよう、その多様な形成が図られなけれ

ばならない。

4 良好な景観等は、観光その他の地域間の交流の

促進に大きな役割を担うものであることにかんが

み、地域の活性化に資するよう、市、市民及び事

業者により、その形成に向けて一体的な取組がな

されなければならない。

5 良好な景観等の形成は、現にある良好な景観等

を保全することのみならず、新たに良好な景観等

を創出し、又は活用することを含むものであるこ

とを旨として、行われなければならない。

(市の責務)

第四条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理

念」という。)にのっとり、国及び県との適切な役

割分担を踏まえて、地域の自然的社会的諸条件に

応じた総合的、計画的かつ広域的な施策を策定し、

及び実施する責務を有する。

2 市は、本市の良好な景観等の形成において、市

民及び事業者の主体的な取組に配慮しつつ、先導

的な役割を担うものとする。

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98

参考資料

3 市は、市民及び事業者と連携し、本市の良好な

景観等の形成を総合的かつ効果的に推進するとと

もに、市民及び事業者に対し必要な支援を行うも

のとする。

(市民の責務)

第五条 市民は、基本理念にのっとり、本市の良好

な景観等の形成に関する取組の主役として、良好

な景観等の形成の重要性を認識し、理解を深め、

自らその実践を図るとともに、市が実施する良好

な景観等の形成に関する施策に協力するよう努め

るものとする。

(事業者の責務)

第六条 事業者は、基本理念にのっとり、建築物の

建築、工作物の建設、広告物の表示その他土地の

利用等の事業活動に関し、本市の良好な景観等の

形成の重要性を認識し、自ら良好な景観等の形成

を図るとともに、市が実施する良好な景観等の形

成に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(適用上の注意)

第七条 この条例の適用に当たっては、その目的を

逸脱して市民の権利を不当に制限することがあっ

てはならない。

第三節 施策の基本的な考え方

(本市全域の良好な景観等の保全等)

第八条 市は、建築物の建築、工作物の建設その他

の行為について、景観形成に関する必要な事項を

定めることにより、本市全域にわたる良好な景観

等の保全及び創出を図るものとする。

(公共事業の実施による良好な景観等への誘導)

第九条 市は、公共施設の建設その他の公共事業(以

下「公共事業」という。)に係る良好な景観等の形

成のための指針を定め、当該指針に基づき公共事

業を実施することにより、本市の良好な景観等の

形成を誘導するよう努めるものとする。

(普及啓発等)

第十条 市は、市民及び事業者に対し、本市の良好

な景観等の形成に対する理解を深め、良好な景観

等の形成に関する活動への参画を促進するため、

普及啓発、支援及び顕彰の取組を行うものとする。

(施策の推進体制)

第十一条 市は、市民及び事業者が本市の良好な景

観等の形成に対する理解を深め、市民、事業者及

び市が相互に有機的な連携を図ることができるよ

う必要な措置を講ずるものとする。

(国等に対する協力要請)

第十二条 市は必要があると認めるときは、国、他

の地方公共団体その他の公共団体に対し、良好な

景観等の形成について、協力を要請するものとす

る。

第二章 景観基本計画の策定等

(景観基本計画)

第十三条 市は、本市全域の良好な景観等の形成に

関する基本的かつ総合的な計画(以下「景観基本計

画」という。)を策定し、本市の景観施策の基本方

針を明らかにするものとする。

2 景観基本計画には、次に掲げる事項を定めるも

のとする。

(1)市の景観形成に関する基本方針

(2)市の景観形成を促進するための施策に関する

事項

(3)その他良好な景観等の形成に関し必要な事項

(景観基本計画の策定手続)

第十四条 市長は、景観基本計画を策定しようとす

るときは、あらかじめ、第 40 条第 1 項の七尾市

景観審議会(以下「景観審議会」という。)の意見

を聴かなければならない。

2 前項の規定は、景観基本計画(規則で定める軽微

な変更を除く。)の変更について準用する。

第三章 景観計画

第一節 景観計画の策定等

(景観計画)

第十五条 市は、景観基本計画を推進するため、景

観法第 8 条第 1 項に規定する景観計画(以下「景観

計画」という。)を定めるものとする。

2 市長は、景観法第 8 条第 2 項第 1 号の景観計画

の区域(以下「景観計画区域」という。)内におい

て、特に良好な景観の形成を推進するため、特別

地域及び景観重点地区を定めることができる。

3 景観重点地区とは、当該地区の個性又は特色を

生かした独自の基準を定めることにより、特に良

好な景観の形成を積極的に図る必要がある地区

(以下「景観重点地区」という。)をいう。

4 特別地域とは、景観計画区域内において、建築

物及び工作物等の形態意匠等が景観に及ぼす影響

が特に大きいと認める地域(以下「特別地域」とい

う。)をいう。

(景観計画の策定手続等)

第十六条 市長は、景観計画を定めようとするとき、

変更(規則で定める軽微な変更を除く。)しようと

するとき、又は廃止しようとするときは、景観法

第 9 条の規定によるほか、あらかじめ、景観審議

会の意見を聴かなければならない。

2 景観法第 11 条第 2 項に規定する景観計画の策

定又は変更を提案することのできる団体は、第 39

条に定める景観協議会(以下「景観協議会」とい

う。)とする。

第四章 公共事業による景観の形成

(公共事業景観形成指針)

第三十一条 市長は、景観形成のための公共事業(国

の機関、地方公共団体又は規則で定める公共的団

体が施行する土木建築に関する事業に限る。以下

同じ。)に係る指針(以下「公共事業景観形成指針」

という。)を定めるものとする。

2 市長は、公共事業景観形成指針を定めようとす

るときは、あらかじめ、景観審議会の意見を聴か

なければならない。

3 前項の規定は、公共事業景観形成指針の変更に

ついて準用する。

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99

参考資料

■七尾市公共事業景観形成指針

1.基本的事項

(1)目的

七尾市公共事業景観形成指針(以下「指針」とい

う。)は、公共事業等による良好な景観の保全・創出

を図るための目指すべき方針や整備指針などを定め

ることにより、景観に配慮した良質な公共施設整備

を促進し、美しい七尾の景観の創出に寄与すること

を目的とする。

(2)位置づけ

指針は、七尾市景観条例(平成二十年七尾市条例

第二十九号)第三十一条における「公共事業景観形

成指針」とする。

(3)対象施設

七尾市内における下記の施設整備を対象とする。

①道路 ②橋梁 ③河川・水路 ④ダム ⑤砂

防・治山 ⑥港湾・漁港 ⑦海岸 ⑧公園・緑地 ⑨

公共建築物 ⑩農地整備 ⑪森林整備 ⑫上下水道

⑬自然公園 ⑭面的整備事業

また、公共性の高い民間施設についても、指針に

配慮することを推奨する。

ただし、法令などの定めにより、指針に基づく景

観上の配慮が講じられない場合や、災害等の復旧の

ために必要な応急措置として行う事業には、指針の

適用を除外することができる。

なお、上記の場合においても、できる限り景観に

配慮して事業を実施するよう努めるものとする。

(4)対象者

市は、指針に適合して公共事業を実施する。

市以外の公共事業の施行者は、指針に配慮して公

共事業を実施する。また、必要に応じて、市は助言

又は要請を行う。

設計者・施工者等は、公共事業等に関わる際は、

指針に適合するよう事業を実施する。

民間企業は、公共性の高い民間施設が、まちの景

観を構成する重要な要素であることを認識して、新

築や増築・修繕などの際には、指針を参考として景

観に配慮する。

(5)活用時期

景観に配慮した公共施設整備を進めるにあたり、

指針を拠り所として、「計画・設計」から「施工」、

「維持管理」、「増築・修繕」などの各段階において

その適合性を確認し、常に良好な景観形成がなされ

るよう心がけるものとする。

2.基本方針

公共事業の実施にあたっては、「七尾市景観計画」

における基本目標及び基本方針を遵守するとともに、

公共事業における景観形成のコンセプトと基本方針

を以下のように定める。

(コンセプト)

七尾の美しい風土に調和する公共施設~立地環

境・先導・愛着の3つを大切にした施設づくり~

(基本方針)

①立地環境に調和する施設づくり

②地域を先導する魅力ある施設づくり

③市民に愛着を持たれる施設づくり

3.各施設共通の整備指針

(1)共通の基本配慮事項

各種公共事業において、共通して配慮すべき基本

的な事項を以下のように定める。

①自然環境を活かし、調和を図る

②歴史や生活文化の蓄積を活用する

③視点場からの見え方に配慮する

④地域における公共施設の機能や役割を考慮する

⑤色彩や形態を考慮する

⑥ヒューマンスケールを取り入れる

⑦事業者間の調整を図る

⑧維持管理面を考慮する

⑨工事中の景観に配慮する

(2)共通要素の整備指針

各各種公共事業における共通要素の整備指針を以

下のように定める。

①法面

現況の地形に応じた構造及び形態とし、圧迫感

を軽減させるよう努める。また、法面の覆工につ

いては、緑化による修景など周辺景観との調和に

努める。

②擁壁

自然素材の利用など、意匠、色彩及び素材につ

いて工夫を行い、周辺景観との調和に努める。

③護岸

生物の生息・繁殖環境と多様な景観の保全・創

出に配慮した適切な工法の採用に努める。

④防護柵

防護柵としての機能を確保しつつ、意匠、色彩

及び素材の工夫により、周辺景観と調和に努める。

⑤舗装

舗装としての性能及び安全で快適な走行性と歩

行性を確保するとともに、視点位置によっては景

観に大きく影響を与えるため、周辺景観に調和す

るような素材、色調の採用に努める。

⑥標識及び公共広告物

道路標識としての安全で利便性の高い機能を確

保しつつ、設置数は最小限とし、表示すべき情報

や掲示内容の整理整合、適切な場所への設置に努

める。また、良質なデザインや環境への配慮によ

り、地域の良好な景観や環境づくりに資する広告

物の設置に努める。

⑦無電柱化

歴史的・文化的地区や商店街・温泉街、駅、玄

関口となる幹線道路沿線など、特に景観上の配慮

が必要な場所では、無電柱化することにより美し

いまち並みの形成に努める。

⑧照明施設

周辺景観との調和を図るとともに、地域の状況

に応じた照明方法の工夫や、地域特性を活かした

意匠及び色彩となるよう努める。

⑨緑化

緑化の目的を明確にし、地域の自然や文化の特

性に配慮したうえで、周辺景観に調和した適正な

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100

参考資料

樹種の選択、配植デザイン、管理計画の策定・実

施などに努める。

4.施設別の整備指針

各種公共事業における施設別の整備指針を以下の

ように定める。

(1)道路

①路線の選定

周辺環境を十分考慮し、山や海等の風景を活用

するとともに、自然の保全や調和に努める。

②トンネル

坑口部は、周辺の地形になじむ構造及び形態と

し、周辺景観との調和に努める。

③道路緑化

周辺環境を勘案し、できる限り緑豊かな道路景

観となるよう努める。

④道路占用物

配置、形態、意匠及び色彩について規制、誘導

を図るとともに、できる限り整理統合し、周辺景

観を阻害しないよう努める。

⑤道路休憩施設

運転者や歩行者に安らぎを与える空間とするた

め、周辺の景観と調和し、眺望が良く、安全で快

適な場所となるよう努める。

⑥沿道まち並みの修景

景観上の配慮が必要な街路整備を行う際には、

道路空間の修景と合わせて、沿道のまち並み修景

を行うよう誘導に努める。

(2)橋梁

①橋梁本体道路デザイン指針

主要な眺望点からの眺望に配慮するとともに、

特別地域においては、橋梁の構造、形態、意匠及

び色彩は、周辺景観との調和や地域の特性に配慮

する。

②橋梁付属物(高欄、照明施設、舗装、排水施設

等)

主要な眺望点からの眺望に配慮するとともに、

特別地域においては、橋梁本体とバランスのとれ

た形態、意匠及び色彩とし、周辺景観との調和や

地域の特性に配慮する。

③高架橋・歩道橋

特別地域においては、沿道住民や歩行者等に与

える圧迫感をやわらげるよう配慮するとともに、

周辺景観との調和や地域の特性に配慮する。

(3)河川・水路

①河川全般

「多自然川づくり」をすべての川づくりの基本

とした整備に努める。

②堤防

近景や遠景との調和を考慮しながら、できる限

り自然に近い形態となるよう配慮するとともに、

管理上支障がない範囲で親水性の向上に努める。

③護岸

生物の生息・繁殖環境と多様な景観の保全・創

出に配慮した適切な工法の採用に努める。

④高水敷

管理上支障がない範囲で、うるおいと親しみの

ある水辺空間の創出に努める。

⑤水路

地域用水機能を確保するとともに、歴史的景観

の保全、親水性を確保しつつ、周辺景観との調和

に努める。

⑥水門・樋門・頭首工及び排水機場等

位置、形態、意匠、色彩及び素材に配慮し、周

辺の水辺景観を阻害しないよう努める。

(4)ダム

①堤体

形態及び意匠は、周辺の自然との一体感を有し

た景観づくりに努める。

②ダム本体周辺構造物(管理事務所、繋船設備、

取水設備等)

形態及び意匠などを工夫し、ダム本体及び周辺

景観との調和に努める。

③ダムサイト及び貯水池周辺

自然環境の保全・復元と周辺の自然景観の四季

や経年の変化に配慮する。また、展望施設、遊歩

道等は視点場を意識した整備とするよう努める。

(5)砂防・治山

①えん堤工・谷止工・流路工・護岸工

形態及び意匠の工夫や自然素材の活用などによ

り、周辺景観との調和に努める。

②法枠工・擁壁工・補強土工

施設の機能美を確保するとともに、その形態及

び意匠の工夫や自然素材の活用等により、周辺景

観との調和に努める。

(6)港湾・漁港

①港湾・漁港施設(防波堤、岸壁、護岸等)

安全性や機能性を確保しながら、自然公園等の

観光地及びその付近については、うるおいと親し

みのある空間づくりを行い、港の景観との調和に

努める。

②港内建築物等

建築物は、その形態、意匠及び色彩を工夫し、

港の景観との調和に努める。工作物は、安全性・

機能性を確保できる範囲で、港の景観との調和に

努める。

③港内緑化

港湾及び漁港区域内の余裕地には、緑化を図り、

地域のふれあいの場として、港地域にうるおいと

親しみをもたらすよう努める。

(7)海岸

①堤防・護岸

形態及び意匠の工夫や自然素材の活用などによ

り、周辺景観との調和に努める。

②海浜

自然海浜は、できる限り保全に努め、人工海浜

を整備する場合は、周辺の自然景観との調和に努

める。

③離岸堤

水平線への見通しを阻害しないよう工夫する。

④海岸緑化

海岸林や緑地、植栽は、その多様な機能、景観

的な演出効果に配慮しつつ、適切な樹種、緑量、

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101

参考資料

密度の選択に努める。

⑤その他施設(消波工、管理道路等)

形態、意匠及び色彩は、背後地、堤防、海岸等

の周辺環境・景観との調和に努める。

(8)公園・緑地

①公園・緑地全般

立地、設置目的、利用形態、施設内容などの特

性に応じ、利用と景観との調和に努める。また、

地域の歴史や生活文化を活かし、個性的な景観形

成に努める。

②植栽・緑化

目的に応じた樹種の選択、配植デザインを行う

とともに、四季の移ろいや樹木、草花等の生長に

よる景観の変化などを考慮し、将来にわたって良

好な景観が保全・向上されるよう計画的な維持管

理に努める。

③公園施設

設置目的・機能と景観との調和に努める。

(9)公共建築物

①配置

敷地内の建築物の配置計画は、景観や周囲の快

適性等に大きく影響するため、構想段階から十分

検討する。

②形態・意匠

施設用途や立地状況を踏まえ、周辺景観になじ

ませるか、あるいはランドマークとしてシンボル

性のある建物とするかなど、形態・意匠について

十分検討する。

③色彩・照明

施設用途や立地状況を踏まえ、色相・色調を周

辺建物と統一的なものとするか、これらを対比さ

せて賑わいを創出させるかなどについて、十分検

討する。

④素材・材料

耐久性や耐候性を十分考慮しながら、周辺景観

を形成している素材・材料や、地域特性を表現す

る素材・材料の活用に努める。

⑤敷地内緑化

敷地内はできる限り緑化を図り、その際には季

節感やゆとりが感じられる空間の演出に努める。

⑥その他(付属施設、ゴミ置き場、駐車場、設備

機器類)

建物に付属する施設等についても、配置、形態、

色彩等に十分配慮する。

(10)農地整備

①農地整備全般

良好な田園風景が継続的に保たれるよう、整備

にあたっては景観との調和に配慮する。

②区画形状

生産性の高い機能的な形状の創出を目的としつ

つ、地域の特徴的な景観要素をできる限り保全・

活用した区画形状とするよう努める。

③水路・ため池

周辺地域の自然景観や生態系などに配慮する。

④その他施設(用排水機場、貯水槽、共同利用施

設等)

位置、意匠、色彩及び素材の工夫により、周辺

景観との調和に努める。

(11)森林整備

①林道

山麓部からの眺望に留意し、景観の変容を抑制

するとともに、森林や動植物等を保全し自然環境

に配慮する。

(12)上下水道

①浄水場・下水処理場

施設機能を保ちつつ、周辺景観との調和を図り、

地域住民に親しまれる環境づくりに努める。

②ポンプ場

周辺景観との調和に努める。

(13)自然公園

①造成等

地形や植生等に配慮した造成計画、施設配置と

なるよう努める。

②公園内建築物等

できる限り勾配屋根とするなど、屋根、壁面の

色彩、形態が自然との調和を乱さないよう努める。

③歩道・園路等

自然環境の保全に十分配慮しながら、交通量や

機能(登山道、遊歩道、自然観察園路等)に応じ

た規模・構造とするよう努める。

(14)面的整備事業

①地区全体の景観形成

道路、公園、河川等の連続性や一体性に配慮し

た施設づくりに努めるとともに、街並みについて

は、地区計画や街づくり協定などを策定すること

により、整備地区全体が良好な居住環境を有する

よう誘導に努める。

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102

参考資料

■国・県の景観形成ガイドライン・指針等

施設 分野

名称 策定省庁 策定年月

全般 美しい国づくり政策大綱 国土交通省 2003.7

国土交通省所管公共事業における景観検

討の基本方針(案)

国土交通省 2007.4

(改定 2009.4)

景観重要公共施設の手引き(案) 国土交通省都市・地域整備局都市

計画課景観室

2007.9

石川県公共事業景観形成ガイドライン 石川県土木部景観形成推進室 2009.3

道路 道路デザイン指針 国土交通省道路局 2005.3

景観に配慮した防護柵の整備ガイドライ

景観に配慮した防護柵推進検討

委員会(国土交通省道路局)

2004.3

河川 河川景観ガイドライン「河川景観の形成

と保全の考え方」

国土交通省河川局 2006.10

砂防 砂防関係事業における景観形成ガイドラ

イン

国土交通省砂防部 2007.2

港湾 港湾景観形成ガイドライン 国土交通省港湾局 2005.3

航路標識整備事業景観形成ガイドライン 海上保安庁交通部 2004.3

海岸 海岸景観形成ガイドライン 国土交通省河川局港湾局、農林水

産省農村振興局水産庁

2006.1

都市

施設

景観形成ガイドライン「都市整備に関す

る事業」

国土交通省都市・地域整備局 2011.6

建築物 住宅・建築物等整備事業に係る景観形成

ガイドライン

国土交通省住宅局 2005.3

官庁営繕事業における景観形成ガイドラ

イン

国土交通省官庁営繕部 2004.5

(更新 2012.3)

農林 美の里づくりガイドライン 農林水産省農村振興局 2004.9

農業農村整備事業における景観配慮の手

引き

農林水産省農村振興局 2006.5

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七尾市公共事業景観形成ガイドライン

発行年月 平成 29年(2017年)4月

発 行 七 尾 市

〒926-8611

石川県七尾市袖ケ江町イ部 25番地

七尾市 建設部 都市建築課

TEL 0767-53-8469 FAX 0767-52-9288

E-mail [email protected]

URL http://www.city.nanao.lg.jp/

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