特殊要素モデルLecture 8　長期と短期

長期と短期๏長期：生産要素は産業間を移動可

‣産業間で生産要素価格が一致‣一般生産要素

๏短期：生産要素は産業間を移動不可‣産業間で生産要素価格は不一致‣特殊生産要素

特殊要素モデル✓モデルの設定

• 製品：XM （工業品），XA （農産品）• XM 向け生産要素：K（資本），LM (労働)

• XA 向け生産要素：T（土地），LA (労働)

‣ K，Tは特殊要素（移動不可）‣ Lは一般生産要素（移動可）

生産関数と生産要素配分• 生産関数

• XM = f(K,LM)

• XA = g(T,LA)

• MPLM=労働の限界生産性(M)=∂f/∂LM

• MPLA= 労働の限界生産性(A)=∂f/∂LA

• PMMPLM=w=PAMPLA（＝VMPLM）• 生産要素配分

• L= LM + LA

0

0

XM’

XM

• XM = f(K,LM)

• XM’ = f(K’,LM)

LM(労働量)

工業製品の生産量

MPLM’

MPLM

工業品の労働の限界生産性

資本K’の場合の労働の限界生産性②(K’>K)

資本Kの場合の労働の限界生産性①

LM(労働量)

=w/PM

賃金と労働者配分

OM

VMPLM

工業品の労働の限界生産物価値

L0 L’

w w

VMPLA

w w

OA

A

農産品の労働の限界生産物価値

国内均衡賃金水準：w

資本の増加• 何らかの要因で資本量が増加(K→K’)

• 労働量は同じ水準(LM)

• 生産量拡大（ XM→XM’）• 労働生産性の上昇（資本・労働比率改善）

✓①から②へ上昇• 均衡において労働量増加

財価格の変化

OM

VMPLM’=PM’MPLM

VMPLM =PM’MPLM

工業品の労働の限界生産物価値

L0 L’

w

VMPLA

w w

w’w’

OA

A

農産品の労働の限界生産物価値w

工業品価格上昇→PM <PM’

CB

D

D’E

1.財価格の変化

•工業品価格上昇：PM <PM’

• 工業品の労働の限界生産物価値上昇• 労働者が工業品産業に流入(ΔL=L’-L0)

• 工業品の労働の限界生産物価値下落• 両産業で労働の限界生産物価値(賃金)が一致

contd.• 工業品部門

• 労働者の所得は OMLOAwからOML’Cw’へ増加• 資本の所得はDAwからD’cw’へ増加

• 農産品部門• 労働減少により土地集約度上昇し、土地の限界生産性低下（土地レンタル低下）

• 農産品価格は低下していないので、土地の名目価格が低下

• L0ACL’分だけ所得減少• 土地所有者の所得EAwからECw’へ減少• 労働者の所得はOALOAw OAL’Cw’へ減少？

財価格の変化２

OM

VMPLM’=PM’MPLM

VMPLM =PM’MPLM

工業品の労働の限界生産物価値

L0 L’

w

VMPLA

w w

w’w’

OA

A

農産品の労働の限界生産物価値w

工業品価格上昇→PM <PM’

CB

D

D’E

要素価格への影響❖「ある財の価格の上昇は、その財の生産に特殊的な生産要素の価格を上昇させ、他方の財の生産に特殊的な生産要素の価格を低下させる」

➡S=S定理との違い

2.生産要素量の変化“生産要素量の変化の生産量への影響”‣「土地の拡大」ケース

(1)農産品部門➡農産品生産の土地集約度（土地・労働比率）の上昇➡農産品生産の労働の限界生産性上昇

VMPLA→VMPLA’

➡土地の限界生産性の低下➡財価格は変化しない場合，労働の限界生産性上昇により 農産品部門 の賃金の上昇

➡労働者流入➡よって，農産品生産の増加，工業品生産の減少

(1)特殊要素の増加

OM

工業品の労働の限界生産物価値

L’ 　L0

w

D VMPLA’

w w

w’w’

OA

農産品の労働の限界生産物価値

w

E’

E

VMPLA

VMPLM

A2

A1

contd.(2)工業品部門➡労働者減少➡資本・労働比率上昇➡労働の限界生産性上昇，資本の限界生産性低下

“結果”

➡両部門において特殊要素の限界生産性は低下し、共通要素の限界生産性は上昇する。

➡均衡点: A1からA2，➡農産品部門の生産増加，工業部門の生産減少

生産量への影響“ある特殊要素量が増加すると、その特殊要素を利用する部門の生産量が増加し、その特殊要素を利用しない部門の生産量は減少する”

(2)共通生産要素の増加

OM

工業品の労働の限界生産物価値

　L0

w

D

ww

w’w’

OA

農産品の労働の限界生産物価値

w

E

VMPLM

A

C

E’

L’

VMPLA

VMPLA’

OA’

労働の増加→労働の限界生産性低下　　　　　　　　特殊要素の限界生産性上昇