④プレゼン資料(alca) 島根大 小俣 · 2016.10.6. 本技術の背景 ......
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マテリアルインフォマティクスによる触媒開発
教授 小俣光司
島根大学大学院 総合理工学研究科 物質化学領域
2016.10.6
本技術の背景
▶ 本技術▶ 情報技術を駆使して触媒性能の推定モデルを作成する
▶ プロジェクト達成のための触媒開発▶ 短納期▶ 仕様の頻繁な変更 (高活性→+耐水性→+耐熱性 etc.)▶ 人的制約
▶ 計算機パワー▶ オープンソース
従来の触媒開発技術とその問題点
▶ 数多くの工業触媒が実用化されている▶ 基礎研究の積み上げ▶ 絨毯爆撃▶ コンビナトリアルケミストリー
▶ 問題点▶ 開発期間▶ 開発コスト
新技術の特徴・従来技術との比較
▶ 新技術の特徴▶ 少ない実験数から推定モデルを作成する▶ 実験計画法・多項式モデルよりも有効▶ 非線形現象にも適用可▶ モデルのパラメータに,元素物性を含めることも可能
▶ 従来技術との比較▶ 適用範囲が広い▶ 短期間での開発▶ 開発コスト低減
想定される用途
▶ 製造プロセスに多数のパラメーターが係る機能性材料の製造▶ 重要なパラメータの特定▶ 製造パラメータ最適化による機能性材料の機能向上▶ 材料の機能向上のための添加物探索
実用化に向けた課題
▶ 元素物性が単純なものに限定されていたので, 現在, 第一原理計算により, 元素-水素結合, 元素-酸素結合, 元素-炭素結合エネルギーを決定しており, 推定精度がさらに向上すると期待している
▶ パラメータ数が増えた時の計算機リソースの不足に備えて,ビッグデータを扱うパッケージについて検討中
本技術の導入に向けて
▶ 学習環境の整備YouTube 大学院にて, 基礎的なコンセプトと簡単な応用
例を講義した際の動画を YouTubeに用意社会人学び直しコース
島根大学大学院総合理工学研究科のノンディグリープログラム. 90時間の受講で修了認定. 本技術を学べるコースを準備
企業へのおすすめ
▶ 課題を抱えている研究者本人が, 本研究のような数理モデルに取り組むのが最善
▶ 社会人学び直しコースなどで基礎概念の習得▶ 単純なモデルから有効性を確認し, 複雑なモデル作成へ進むのが良いのではないか
産学連携の経歴
2010年 本技術に関連して A社, B社より委任経理2011年–2012年 NEDO「希少金属代替材料開発プロジェクト:高次
構造制御による酸化セリウム機能向上技術および代替材料技術を活用したセリウム使用量低減技術開発」に本技術による触媒開発で参加
2012年–2015年 本技術に関連して C社より委任経理2013年–2015年 JPEC共同研究「先導的適応技術調査:重質油水素
化精製触媒技術の開発」に本技術による触媒開発2013年–現在 JST ALCA事業「内部凝縮型反応システムによる
メタノール製造プロセスの高効率化」に採択(本技術による触媒開発がキーポイント)
非線形回帰モデル
▶ 多次元の非線形現象は, ありふれたものではあるが, 我々の認知能力には限界がある
▶ Ni系多成分電極への添加物と電池出力の関係を扱った論文を再解析 J. Alloys Compounds, 486(2009)559
(図は Fe, Sn一定時の, Alと Co濃度の効果)
Co
Al
p
0.0 0.5 1.0 1.5
140
150
160
170
180
Co
pred
ictio
n
Al=0.18
Al=1.2
▶ 前提条件が異なると Co量の効果は真反対
Blind Boys
▶ 非線形回帰モデル=象を丸ごと表現するモデル
固体触媒の非線形モデルを作り始めたきっかけ
▶ メタノール合成用銅-亜鉛系触媒の組成を最適化して高活性化を目指した
▶ 組成と活性の関係が線形であることは稀▶ 単独の組成で表現できることも稀▶ 複数の入力値と出力との非線形な関係を定量化するにはどうするか
▶ 多項式を使う応答曲面法はあまり有効ではなかった▶ 人工ニューラルネットワーク (ANN), ラジアル基底関数ネットワーク (RBFN), サポートベクターマシーン (SVM), ガウシアンプロセス回帰 (GPR)を使って非線形回帰
▶ これらで, 組成と性能の非線形関係は定量化できた
単純元素物性→ (材料物性)→性能▶ 非線形回帰モデルを使って, 元素物性値で性能を表現
新しい添加物の探索法▶ 電気陰性度, イオン半径, 融点, 熱電導度, 蒸発熱, 原子量, 密度などと性能の関係を非線形関数で重回帰
主成分分析
▶ 相関がある変数を入力に使うのはまずい▶ 変数の間の相関をチェック
▶ 主成分=ばらつきの大きい方向への合成変数▶ 第一主成分=”原子間の相互作用”とも言うべきパラメータが大部分の情報を持っている
k-meansクラスタリング
▶ 少ない実験数で広範囲の物性値をカバーする試み
▶ 5主成分を元に 7グループに再編し, 各グループから代表を1∼2, トータルで 8元素を選び添加(Na, Cs, Mg+Mn, Pr, W, Pd, Zn)
回帰モデル
▶ 5主成分→ 未調整モデル →推定性能 ←−→ 実験値 まず 8組の実験値を用いてパラメータを調整
▶ 5主成分→ 調整済モデル →推定性能 = 実験値 8組のデータでは推定が実験と一致する この推定能力が一般化できるかどうかは,8 組の選び方にかかっている
▶ 性能未知元素の 5主成分→ 調整済モデル →添加材料の推定性能
新しい添加物の探索例
(いくつか紹介させていただきます)
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