―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・...

15
23 中級日本語読解教材の書き換えにおける一考察 ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・井手友里子・土居美有紀 要  旨 本稿では、書き下ろしの中級読解教材の書き換えについて、1)リーダビリティ 公式と日本語教師を対象とした調査から難易度と内容・構成面を検証した結果を報 告する。また、2)その結果から読解教材を書き換える上で考慮すべき点について 述べる。難易度に関してはリーダビリティ公式と教師の評価は一致し、書き換えた 教材が簡単になったと評価された。一方、リーダビリティ公式では測れない内容・ 構成についての教師評価は高評価のものと低評価のものにわかれた。その理由は、 評価対象のテキストタイプに紹介文と意見文という違いがあり、書き換えの際、そ の違いが文章構成への意識の向け方に影響を与えたためと推測される。 書き換えの際は、同一の語彙や表現が繰り返されていないか、短い文が連続して いないか、文章全体がまとまっているかに留意する必要があること、そして意見文 をわかりやすく書き換えるためには、中心文を短く簡潔にし、具体的な例や説明を 提示するといいことが示唆された。 キーワード:中級日本語読解教材、書き換え、リーダビリティスコア、難易度、内 容・構成 1.はじめに 南山大学外国人留学生別科では、初級の教科書として「げんきⅠ / Ⅱ」(The Japan Times)を使用しているが、筆者らはそれに続く中級レベルの学習者を対象とした日本語 読解教材を現在、作成中である。本読解教材は初級終了時から上級入口までの中級レベル の学習者を対象としている。中級レベルでは、初級と比べると漢字語が増え、文構造も複 雑になり、学習者にとって読解が負担になるケースがある。そこで、本教材では徐々に難 易度を上げながら上級につながる読解力をつけることを目標としている。全 12 課のうち 1 課から 6 課は書き下ろし、7 課から 10 課は生教材の書き換え、11 課と 12 課は生教材を使用 し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ クとして選んだ。 2013 年の秋学期から試用を重ねているが、トピックに興味を持つ学習者は多かったも

Upload: others

Post on 07-Jan-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

23

中級日本語読解教材の書き換えにおける一考察―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に―

安井朱美・井手友里子・土居美有紀

要  旨

 本稿では、書き下ろしの中級読解教材の書き換えについて、1)リーダビリティ公式と日本語教師を対象とした調査から難易度と内容・構成面を検証した結果を報告する。また、2)その結果から読解教材を書き換える上で考慮すべき点について述べる。難易度に関してはリーダビリティ公式と教師の評価は一致し、書き換えた教材が簡単になったと評価された。一方、リーダビリティ公式では測れない内容・構成についての教師評価は高評価のものと低評価のものにわかれた。その理由は、評価対象のテキストタイプに紹介文と意見文という違いがあり、書き換えの際、その違いが文章構成への意識の向け方に影響を与えたためと推測される。 書き換えの際は、同一の語彙や表現が繰り返されていないか、短い文が連続していないか、文章全体がまとまっているかに留意する必要があること、そして意見文をわかりやすく書き換えるためには、中心文を短く簡潔にし、具体的な例や説明を提示するといいことが示唆された。

キーワード:中級日本語読解教材、書き換え、リーダビリティスコア、難易度、内容・構成

1.はじめに

 南山大学外国人留学生別科では、初級の教科書として「げんきⅠ /Ⅱ」(The Japan

Times)を使用しているが、筆者らはそれに続く中級レベルの学習者を対象とした日本語

読解教材を現在、作成中である。本読解教材は初級終了時から上級入口までの中級レベル

の学習者を対象としている。中級レベルでは、初級と比べると漢字語が増え、文構造も複

雑になり、学習者にとって読解が負担になるケースがある。そこで、本教材では徐々に難

易度を上げながら上級につながる読解力をつけることを目標としている。全12課のうち1

課から6課は書き下ろし、7課から10課は生教材の書き換え、11課と12課は生教材を使用

し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

クとして選んだ。

 2013年の秋学期から試用を重ねているが、トピックに興味を持つ学習者は多かったも

Page 2: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

24

国際教育センター紀要 第15号

のの本教材が難しいと感じていた学習者もいたため、今回、簡単に書き換える作業を行っ

た。その際、書き換えた教材が本当に簡単になっているのか、また、文章の質が保たれて

いるのか、客観的な評価を得るためにリーダビリティ公式(後述)を用いた調査と日本語

教師を対象とした調査を行うことにした。本稿では、リーダビリティスコアと日本語教師

の評価を基に、読解教材作成の際に文章を書き換える上で考慮すべき点を報告する。

2.先行研究

 日本語におけるリーダビリティの研究は、英語のリーダビリティ研究の影響を受け、母

語話者、特に小中学生を対象に行われてきた。「リーダビリティ公式」とは、ある文章が

どれくらい読みやすいか公式を用いて数値化したものであり、文の長さ、高頻度語彙の割

合などが判定に用いられる。

 日本語母語話者、特に小学生が対象となっているものに「日本語リーダビリティー測定

公式」1)がある。これは柴崎他(2008)が開発しWeb上で公開しているもので、テキスト

が小学1年から中学3年までのどの学年レベルに近いかを文章中の平仮名の割合や一文の

平均述語数、文字数、文節数などから予測する。一方、日本語学習者向けに広く使われて

いるものに1999年に公開された川村・北村(2012)の「リーディング・チュウ太」が挙

げられる。これは日本語学習者のための日本語読解支援システムとして広く活用されてい

るもので、組み込まれている語彙チェッカーが旧日本語能力試験の出題基準に準拠し、文

章の語彙レベルを判定する。現在Web上で公開されている「チュウ太のレベルチェッ

カー」2)では、語彙レベルだけでなく文の長さ、語彙親密度なども判定の要素となる。また、

その他に2013年に公開された「日本語文章難易度判別システムalpha版」3)がある。これ

は「読解教育支援を目的とする文章難易度判別システムの開発」プロジェクトとしてWeb

上で公開されている開発中のもので、文の平均的な長さ、動詞、助詞、漢語、和語の含有

率を用いて文章単位で測定する。

 荒川(1999)は、日本人の英語学習者を対象とした調査を行い、読み教材の難易に影響

を与える要素として「文の平均の長さ(一文あたりの平均語数)」と「3000語の頻出語(基

本語)リストに含まれない語が文章全体に占める割合」を挙げている。また、日本人母語

話者を対象に日本語テキストの読みやすさの調査を行った柴崎・玉岡(2010)が指摘して

いる要素は、「長さ」「漢字や平仮名の割合」「和語と漢語の割合」「文法構造」の4つである。

一方、日本語学習者を対象としたものに川村(2011)や李(2011)などがある。川村(2011)

は、文の難易度を決定する最大の要因は「語彙」であり、特に初級の学習者にとっては構

文の複雑さや主格・目的格の省略が難易度を高める傾向があるとしている。また、李(2011)

は、読解テキストのレベルの差を特徴づけるものとして「文字数」と「漢字数」を挙げて

Page 3: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

25

中級日本語読解教材の書き換えにおける一考察

いる。

 ただ、リーダビリティ公式により算出されたリーダビリティスコアが必ずしも文章の難

易度を正確に示しているというわけではない。リーダビリティ公式には限界もある上、公

式には含まれない要素もあるからだ。例えば、三浦他(1994)は「数量化のできない要素

(語彙の概念や抽象度といった変数にできない要因)」や「読者側の要因(題材に対する読

者の興味や先行知識など)」を挙げている。他にも李(2011)が指摘するように、一文が

長ければ基本語が多い4級語彙が当然出現しやすくなり難易度の数値に影響する。さらに

「話題としての難しさ」「文章の結束性の問題」も当然ながら文章の難しさに強く影響する

ものであると考えられると述べている。

3.調査の概要

3.1.調査の背景と目的

 本調査の目的は、試用した読解教材原文とその書き換え教材において、1)リーダビリ

ティ公式を用いた調査と日本語教師を対象とした調査から難易度の客観的な評価を得、2)

内容・構成の質について教師を対象とした調査から検証することである。難易度だけでな

く、内容・構成も教材作成の際に重要な要素であるが、これはリーダビリティ公式では測

れないものであるため、2)に関しては教師を対象とした調査を基に検証した。さらに、

結果の考察から導き出された書き換えの際に考慮すべき点を報告する。

3.2.調査資料

 作成中の読解教材全12課中で書き下ろし教材の最初の課である1課と最後の6課を調査

対象とした。1課のテキストタイプは「人物紹介文」、6課は「意見文」であった。原文(最

初に書き下ろしたもの)をVersion A(以下、Ver. A)とし、それを簡単に書き換えたもの

をVersion B(以下、Ver. B)とする。既に各課で取り扱う文法や漢字を決定していたとい

う制約があったため、Ver. BはVer. Aに出てくる文法や漢字を生かして書き換えた。Ver. B

作成にあたり、寒川(2012)4)で述べられているストラテジーを用いた。寒川(2012)は

教科書執筆者が文章を読みやすくするために「単純化(削除、文字表記、語彙、文法など)」、

「明示化(意味的、統語的、結束性の明示化など)」、「標準化(時制や文体の統一、方言な

どの特殊な文体の標準化など)」の三つのストラテジーを用いていると報告している。

Ver. Aはもともと日本語教材として書き下ろされたもので、方言などの特殊な文体を含ん

でおらず、標準化の必要がないため、今回の書き換え作業では、「単純化」と「明示化」

のストラテジーを用いた。表1にその例を示す。

Page 4: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

26

国際教育センター紀要 第15号

表1 寒川(2012)が報告したストラテジーを用いた書き換え例

ストラテジー 例 本文中の下線

単純化

削除

意味上、付随的な情報の削除子どもが英語に興味を持ち始め、自分の意志で習いたいと言うまで→子どもが自分の意志で習いたいと言うまで(本文⑪)

6課:⑨、⑪

語彙 低頻度内容語の書き換え中途半端→不十分(本文⑦) 6課:⑦

文法 口語的な文型や固い口調から初級文型へ外国語である英語→外国語の英語(本文⑥) 6課:⑥

統語

長い文、複文の分解どちらも正しく使えなくなってしまったり、会話で英語と日本語が混ざってしまったりしてしまうことがある。→どちらも正しく使えなくなってしまう。会話で英語と日本語が混ざってしまったりしてしまうことさえある。(本文⑧)

1課:①、④6課:⑤、⑧

明示化

意味的な明示化

より具体的な表現の使用とても厳しくなって→スタッフにとても厳しくなる(本文②)

1課:②6課:⑩、⑫

統語的な明示化

省略されていた主語の挿入言うとおりに→自分が言うとおりに(本文③) 1課:③

資料1 書き下ろし教材(1課)の原文Ver. Aとその書き換えVer. B

1課Ver. A(抜粋)               1課Ver. B(抜粋)

Page 5: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

27

中級日本語読解教材の書き換えにおける一考察

3.3.調査手順

3.3.1.リーダビリティ公式

 原文のVer. Aと書き換えたVer. Bをリーダビリティ公式にかけ、Ver. Bが簡単になって

いるかを見た。今回は、主に語彙や統語の単純化のストラテジーを用いて書き換えたため、

語彙と文の長さが判定の要素となっている「チュウ太のレベルチェッカー」(以下、チュ

ウ太β版)と「日本語文章難易度判別システムalpha版」(以下、jR)の2つのリーダビリティ

公式を用いた。

 チュウ太β版は「一文あたりの平均単語数」と「旧日本語能力試験出題基準の1級から

4級までの各級の単語が文章全体の総語数に占める割合」で難易度を判定するシステムで

ある。初級・中級・上級の各レベルの教科書および専門書と白書28種類を基準として、

日本語能力試験のN1(上級)、N2(中級後半、または中上級)、N3(中級前半)、N4(初

級後半)、N5(初級前半)に当たる5段階にN1よりさらに上である超級のN0を加えた6

資料2 書き下ろし教材(6課)の原文Ver. Aとその書き換えVer. B

6課Ver. A(抜粋)               6課Ver. B(抜粋)

Page 6: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

28

国際教育センター紀要 第15号

段階でレベル判定する(川村他2013)。レベルの数値は、小数点第一位まで表示され、例

えば、「2.0」も「2.9」もN2レベルであるが、「2.0」であればN1に近く、「2.9」であれば

N3に近いと推測される。

 jRは「読解教育支援を目的とする文章難易度判別システムの開発」プロジェクトとして、

インターネット上で公開されており、文の平均的な長さ、動詞、助詞、漢語、和語の含有

率を用いて文章単位で測定する。日本語の教科書データ900個×1000文字のテキストファ

イルと「現代日本語書き言葉均衡コーパス」を基準テキストとして、初級前半(5.5―6.4)、

初級後半(4.5―5.4)、中級前半(3.5―4.4)、中級後半(2.5―3.4)、上級前半(1.5―2.4)、上

級後半(0.5―1.4)の6段階のレベルに分けて判定する2)。以下は数値によるレベル分けの

抜粋である。

表2 jRの難易度のレベル分け(ウェブサイトより一部抜粋)2)

レベル リーダビリティ値 レベル感

上級・前半 1.5―2.4専門的な文章に関してもほぼ理解できる。文芸作品などに見られる複雑な構造についても理解できる。

中級・後半 2.5―3.4やや専門的な文章でも大まかな内容理解ができ、日常生活レベルの文章理解においてはほぼ不自由がなく遂行できる。

中級・前半 3.5―4.4比較的平易な文章に対する理解力があり、ある程度まとまった文章でも内容が把握できる。

初級・後半 4.5―5.4基本的な語彙や文法項目について理解できる。テ形による基本的な複文なども理解できる。

3.3.2.日本語教師による評価

 Ver. AとVer. Bの難易度について、リーダビリティ公式の判定と同様の評価が日本語教

師からも得られるかを調べるために、教授歴が10年以上の教師6名に難易度を評価しても

らった。「一文の長さ /複雑さ」と「語彙」を評価項目として挙げ、中級前半レベルの読解

教材として適切であれば「ちょうどいい」の5、「簡単すぎる」場合は1、「難しすぎる」

場合は9をスケールにつけてもらった(資料3参照のこと)。

 また、難易度だけでなく、リーダビリティ公式では測れない内容・構成も評価してもらっ

た。内容・構成については評価項目として「文と文のつながり」「段落間のつながり」「全

体としてのまとまり」を挙げ、「とてもよい」を5、「普通」を3、「よくない」を1として

5段階評価をしてもらった。そして、最後にコメントや気がついた点(例:わかりにくい

と感じたところ)等、自由記述を求めた。

Page 7: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

29

中級日本語読解教材の書き換えにおける一考察

資料3 日本語教師を対象とした調査用紙(一部抜粋)

1.読み物の難易度について1)一文の長さ /複雑さ

Version A簡単すぎる ちょうどいい 難しすぎる

    1  −  3  −  5  − 7  − 9

Version B簡単すぎる ちょうどいい 難しすぎる

    1  −  3  −  5  − 7  − 9

2.読み物の内容・構成1)文と文のつながり

Version Aよくない   普通 とてもよい

    1  −  2  −  3  − 4  − 5

Version Bよくない 普通 とてもよい

    1  −  2  −  3  − 4  − 5

4.調査結果

4.1.難易度

4.1.1.リーダビリティ公式

 難易度を数値で見ることができるチュウ太β版、jRにVer. AとVer. Bをかけて判定した

ところ、表3と表4のような結果になった。表はスコアが大きくなればなるほど簡単になっ

ていることを表している。どちらのリーダビリティ公式でもVer. BはVer. Aより「より易

しくなった」と判定されている。

表3 チュウ太β版による難易度分析

1課 6課

Ver. A Ver. B Ver. A Ver. B

スコア 3 3.1 2.5 2.9

レベル N3(中級) N3(中級) N2(中上級) N2(中上級)

一文の長さの平均 42.8 31.3 43.8 32.8

総数 420 403 806 702

語彙総数 362 350 723 620

Page 8: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

30

国際教育センター紀要 第15号

表4 jR alpha版による難易度分析

1課 6課

Ver. A Ver. B Ver. A Ver. B

スコア 3.76 3.96 2.63 3.16

レベル 中級・前半 中級・前半 中級・後半 中級・後半

総文数 18 23 31 36

総文字数 699 692 1363 1186

一文の平均語数 24.39 18.52 27.52 20.72

4.1.2.日本語教師による難易度評価

 教師による難易度評価の結果を表5に示す。T1~T6は教師を指す。この調査において

も1課、6課ともにVer. Bのほうが簡単であり、且つ中級前半レベルに合致していると評

価される割合が高かった。この結果はリーダビリティスコアと合致し、教師はリーダビリ

ティスコアが高いものを「簡単」と評価することがわかった。

表5 日本語教師による難易度評価の結果

一文の長さ /複雑さ 語彙

Ver. A Ver. B Ver. A Ver. B

1課

T1 1 3 3 5

T2 3 5 3 5

T3 3 5 3 5

T4 4 5 4 5

T5 5 5 4 5

T6 5 7 7 7

6課

T1 1 3 3 5

T2 2 4 2 5

T3 3 5 3 5

T4 5 6 5 6

T5 4 5 4 5

T6 4 5 5 6

4.2.内容・構成の評価

 リーダビリティでは測れない内容・構成に関しては、教師による評価で検証を行った。

その結果を表6に示す。これに関しては、1課と6課で違いが見られた。6課は評価が同じ、

またはVer. Bのほうが評価がいいことから、書き換えても内容・構成の質が変わらない、

または書き換え後によくなった「成功例」だと言える。一方、1課を見ると、Ver. Aより

Page 9: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

31

中級日本語読解教材の書き換えにおける一考察

Ver. Bの評価が悪い項目が目立つ(表6のハイライト部分参照)。つまり、書き換えたこと

で、内容・構成の質が悪くなった「失敗例」だと言えるだろう。

表6 日本語教師による内容・構成評価の結果

文と文のつながり 段落間のつながり 全体としてのまとまり

Ver. A Ver. B Ver. A Ver. B Ver. A Ver. B

1課

T1 5 5 4 5 5 5

T2 3 5 3 5 3 5

T3 4 3 4 2 3.5 3

T4 3 3 3 3 3 3

T5 4 3 4 3 4 3

T6 4 2 4 4 4 4

6課

T1 3 5 4 4 5 5

T2 3 5 3 3 3 3

T3 2 4 3 3 3 3

T4 5 5 無回答 無回答 5 5

T5 4.5 4.5 無回答 無回答 4.5 4.5

T6 4.5 4.5 3 3 4.5 4.5

5.考察

5.1.失敗の要因

 1課のVer. Bは、簡単に書き換えることを意識しすぎたため、自然さやまとまりが失わ

れ、内容・構成の質が悪くなった例と言える。Ver. AとVer. Bを比較、分析した結果と教

師による評価の際に得られたコメントから、どのような点が内容・構成の質が低下した要

因となったのかを探る。

(1)同一の語彙や表現の繰り返し

 本教材の1課のように初級終了直後を想定している場合、語彙の制約が特に厳しいため、

既習の単語や表現を繰り返し使用しがちである。これが、内容・構成の評価が低かった最

大の要因だと推測される。以下は評価の際に指摘された例である。

Ver. A 「宮崎監督は、髪もひげも白くて黒いめがねをかけている優しそうなおじいさんだ。

子どもが好きで、いつも子どもが楽しめる映画を作るようにしている。」

Ver. B 「宮崎監督は、黒いめがねをかけている優しそうなおじいさんだ。髪もひげも白くて、

いつもエプロンをしている。子どもが好きで、いつも子どもが楽しめる映画を作る

ようにしているそうだ。監督は「恥ずかしいものは作りたくない」といつも考えて

Page 10: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

32

国際教育センター紀要 第15号

いる。」

 Ver. Aの一文目は長く複雑であるため、二文に分けることにした。名詞修飾部の一部「髪

もひげも白い」を取り出して文を作ろうとしたが、「髪もひげも白い」だけでは不自然な

ため、Ver. Bでは「いつもエプロンをしている」を付け加えた文を作った。しかし、直後

を見ると、Ver. Aと同じ「いつも子どもが……」が続いている。さらに後を見ると、具体

的な説明として加えた「『恥ずかしいものは作りたくない』といつも考えている」と、三

つめの「いつも」が出ている。これは明らかに不自然であり、文の流れを妨げてしまって

いると言えよう。

(2)短い文の連続

 寒川(2012)でも報告されているように、語彙や構文の単純化は最も頻繁に使われる書

き換えのストラテジーである。しかし、文を単純化することにより、文と文のつながりが

悪くなり、自然さが失われる場合もある。以下は、その一例である。

Ver. A 「そんな監督が映画を作るときにはとても厳しくなって、言うとおりに描けるまで

スタッフに何度も絵を描かせるそうだ。」

Ver. B 「だから、映画を作るときには、スタッフにとても厳しくなる。例えば、スタッフ

が描いた絵を必ずチェックする。一つの映画で16万枚の絵を一人で見る。そして、

自分が言うとおりに描けるまでスタッフに何度も描かせる。」

 Ver. Bは単純化により一文が短くなっているが、「厳しくなる」「チェックする」「見る」

「描かせる」のように同じような文末の短い文が続き、不自然で文の流れが悪い。重文や

複文を避けるために前置きの「が」や理由を示す「ので」を使わなかったことが、文の結

束性や自然さを失い、評価を下げた要因の一つと考えられる。

(3)文章全体のまとまりの欠如

 使用頻度が低い語彙や複雑な文の削除を多く行うと文章全体が短くなり、中級読解教材

としてはふさわしくないものになってしまう。そのため、新たな文や情報を加えなければ

ならないが、そうすることで全体のまとまりを失う場合がある。1課がその例である。以

下はVer. AとVer. Bの各段落の内容をまとめたものである。

Ver. A 第一段落:宮崎駿の一般的な情報

第二段落:宮崎駿の人物紹介(外見、厳しさのエピソード)

第三段落:宮崎駿の作品が世界的に愛される理由

Ver. B 第一段落:宮崎駿の一般的な情報

Page 11: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

33

中級日本語読解教材の書き換えにおける一考察

第二段落:宮崎駿の人物紹介(外見、厳しさのエピソード)

第三段落:厳しさと絵の美しさの関係

 Ver. Aでは第一段落から第三段落まで、「宮崎駿」をトピックとした段落になっている。

一方、Ver. Bを見ると、第一、第二段落のトピックは「宮崎駿」だが、第三段落に書かれ

ているのは「厳しさと絵の美しさの関係」であり、全体のトピック「宮崎駿」から外れて

いる。すなわち、「人物紹介文」というテキストタイプとしてまとまっていないと言える。

Ver. Bがこのような段落構成になった経緯は以下の通りである。まず、名詞修飾、複文、

使役形、受身形など複雑な文が集中するVer. Aの第三段落を全面的に削除し、新たに書き

換えることに決めた。それと同時に、Ver. Aの第二段落にある「XのはYからだ」という

構文の構造が初級を終了したばかりの学習者には難しいと思われた。そのため、その文を

「YからX」の構造に書き換えたが、その結果、文と文のつながりが悪くなった。そこで、

段落を変え、書き換えた文「YからX」を中心に新しい第三段落を構成したが、Ver. Bでは、

各段落の役割がはっきりせず、全体としてのまとまりが失われたと推測される。

5.2.成功の要因

 6課は書き換えても内容・構成の質が変わらない、または書き換え後に質がよくなった

と教師を対象とした調査で評価された。Ver. AとVer. Bを比較し分析した結果から、内容・

構成においてどのような点が改善されているのかを検証する。

(1)中心文の簡潔さ(二文に分けた例)

 意見を述べる文章において理由を複数挙げる場合、理由について書かれた中心文が簡潔

なほうがわかりやすい。西村(2006)は、論理的でわかりやすい文章を書く法則の一つに

「ワンセンテンス・ワンメッセージ」を挙げている。つまり、中心文を二文に分けること

で「ワンセンテンス・ワンメッセージ」が実現され、主張が明確になると言えよう。以下

にその例を示す。

Ver. A 「まず、母語である日本語でもまだきちんと考えたり表現したりすることができな

い年齢のときに、外国語である英語を学び始めると日本語の発達に影響する。日本

語が中途半端なまま英語の勉強を始めると、どちらも正しく使えなくなってしまっ

たり、会話で英語と日本語が混ざってしまったりすることがある。」

Ver. B 「まず、母語の日本語の発達に影響する。日本語でもきちんと考えたり表現したり

することがまだ十分にできないときに、外国語の英語を学び始めるのは問題だ。日

本語が不十分なまま英語の勉強を始めると、どちらも正しく使えなくなってしまう。

会話で英語と日本語が混じってしまうことさえある。」

Page 12: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

34

国際教育センター紀要 第15号

 Ver. Aは一文が長い。「母語である~年齢のときに」までの従属節が長いため、中心文

のメッセージである二重下線部分「日本語の発達に影響する」までかなり離れてしまって

いる。一方で、Ver. Bでは、中心文を「母語の日本語の発達に影響する」のみにし、後か

ら説明を別の文で加えるという形にして、一文を二文に分けた。その結果、理由の中心文

が「ワンセンテンス・ワンメッセージ」で明確となり、内容・構成の質が向上したと言え

る。

(2)具体的説明の使用

 論理的な文章の支持文は伝えたいことを例などで補足する役割がある。西村(2006)は

支持文で用いられる例は複雑なものより経験談などのわかりやすく親しみやすいものが適

しており、また、全体の論理構成を妨害しない程度に単純なものがよいと述べている。こ

こでも、支持文で挙げられた経験談がより身近で具体的になったため、わかりやすくなっ

た例が見られた。

Ver. A 「英語が使われている国で数年間過ごし自然に英語を習得した日本人の子どもが日

本に帰国した後、その英語力をキープするのに苦労しているという話をよく聞く。」

Ver. B 「7歳のときにアメリカから帰ってきた友人は、大学生になった頃には自然な英語

がほとんど話せなくなっていた。」

 Ver. Aにおいては、「英語が使われている国」「数年間」など、具体的ではない表現が使

われているが、Ver. Bでは「アメリカ」「7歳」など具体的な場所や年齢が挙げられている。

理由の支持文が具体的になったことで事例が想像しやすく、メッセージが伝わりやすい文

章になり、内容・構成の高評価につながったと推測できる。

5.3.失敗と成功を分けた要因

 1課より6課のほうが内容・構成で評価がよかった要因を分析すると、そのテキストタ

イプの違いが影響していると考えられる。1課の人物紹介文は論の展開の自由度が比較的

高く全体の構成を意識しにくいため、構成よりも文単位の書き換えに重点が置かれる結果

になってしまった。一方、6課の意見文は論の展開に定型パターンがあり、全体の構成が

意識しやすいため、書き換えの際、構成への影響が少なかった。その結果、1課よりも6

課の内容・構成が高く評価されたと考えられる。

6.書き換えの際の留意点

 以上、書き換えの際は、同一の語彙や表現が繰り返されていないか、短い文が連続して

Page 13: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

35

中級日本語読解教材の書き換えにおける一考察

いないか、文章全体がまとまっているかに留意する必要があること、そして意見文をわか

りやすく書き換えるためには、中心文を短く簡潔にし、具体的な例や説明を提示するとい

いことが示唆された。

 語彙や文の難易度については、リーダビリティ公式でも教師による評価も一致しVer. B

がVer. Aより簡単になったという結果が得られた。語彙や文の単純化などにより、読解教

材を学習者に合った難易度に書き換えることは比較的容易であり、書き換えたものの難易

度をリーダビリティスコアで客観的に確認することも可能である。したがって、難易度は

調整しやすく、簡単にするという目的で書き換える場合、注意が向けられやすい。

 一方、一文を超えたテキスト的機能の内容・構成は意識しにくいことがうかがえる。実

際、教師評価でも内容・構成については1課ではVer. Bのほうが評価が低くなってしまっ

た。このことから、一文を超えた単位は書き換えの際に見落とされやすいと言える。した

がって連続する文の結束性や文章の一貫性など、一文以上の単位にも書き換えの際は留意

すべきだろう。

6.まとめと今後の課題

 本稿では、読解教材原文とその書き換え教材を比較し、難易度はリーダビリティ公式を

用いた調査と日本語教師を対象とした調査から、また内容・構成の質は教師を対象とした

調査で検証し、その結果から書き換えの際留意すべき点を考察してきた。その結果、難易

度に関しては、リーダビリティスコアと教師の評価は一致し、書き換えたもののほうが簡

単だと評価された。しかし、リーダビリティの数値では測れない内容構成に関しては、難

易度は下がっても、文章の自然さやまとまりが損なわれてしまう可能性があることが示唆

された。

 今回はリーダビリティスコアと日本語教師へのアンケートを基に読解教材の難易度や内

容・構成についての評価を行ったが、今後は学習者を対象とし、実際の理解度や読みやす

さ・読みにくさの要因を調べていきたい。また、リーダビリティには含まれない読解教材

に対する学習者の興味や背景知識の有無がどれほど評価に影響するかも検証する必要があ

るだろう。

(注)

1) 日本語リーダビリティー測定公式 http: //readability.nagaokaut.ac.jp/

2) チュウ太のレベルチェッカー http: //basil.is.konan-u.ac.jp/chuta/level/

3) 日本語文章難易度判別システムalpha版 http: //jreadability.net/

4) 寒川(2012)は中級読解教科書に掲載された文章とその原文(日本語母語話者用)を比較し、

Page 14: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

36

国際教育センター紀要 第15号

その相違を分析することで、教科書執筆者が文章を読みやすくするためにどのようなストラテジーを用い、テキスト内のどの要素を言い換えたか考察している。

参考文献

(1)荒川ゆり(1999)「読み教材の難易に影響を与える要素についての一考察」『東京工芸大学工学部紀要 人文・社会編』22(2),pp. 27―31

(2)石黒圭(2011)「文章理解における一貫性の把握について」『一橋大学国際教育センター紀要』2,pp. 3―11

(3)内田聖也,北村達也,川村よし子(2011)「文章難易度に寄与する構文の自動検出システムの開発」『日本語教育学会春季大会予稿集』pp. 289―290

(4)川村よし子,前田ジョイス,保原麗,川村ヒサオ(2011)「文章の難易度判定システム構築のための基礎調査」『ヨーロッパ日本語教育』15号,pp. 171―178.

(5)川村よし子,北村達也(2012)「やさしい日本語への書き換えリストの作成とその評価」『日本語教育学会秋季大会予稿集』pp. 123―128

(6)川村よし子,北村達也(2013)「日本語学習者のための文章の難易度判定システムの構築と運用実験」『Journal CAJLE』Vol. 14

(7)クリスティーナ・フメリャク・寒川(2012)「日本語学習者にとって読みやすい文章について―日本語教科書における書き換えの分析から―」『第2回コーパス日本語学ワークショップ予稿集 JCL Workshop2012_2_34』pp. 285―290

(8)クリスティーナ・フメリャク・寒川(2012)「日本語教科書コーパスの構築と分析―日本語学習者のためのリーダビリティー測定に向けて―」『日本語教育方法研究会誌』vol. 19 No. 2,pp. 4―5

(9)柴崎秀子(2009)「日本語リーダビリティ公式の構築と測定ツールの開発」『特定領域研究「日本語コーパス」平成20年度公開ワークショップ研究成果報告会予稿集』pp. 155―160

(10)柴崎秀子(2010)「日本語能力試験を土台にした文章の難易尺度の構築」『日本語教育学会春季大会予稿集』pp. 211―215

(11)柴崎秀子,玉岡賀津雄(2010)「国語教科書を基にした小・中学校の文章難易度学年判定式の構築」『日本教育工学会論文誌』33号4号,pp. 449―458

(12)柴崎秀子,玉岡(2011)「大規模テストの読解問題作成過程へのコーパス利用の可能性」『日本語教育』148号,pp. 1―15

(13)柴田大介,村田進,北村達也,川村よし子(2013)「単語難易度判定機能を有するエディタの開発」『日本語教育方法研究会誌』20(1),pp. 70―71

(14)西村克己(2006)「論理的な文章の書き方が面白いほど身につく本」中経出版(15)三浦省五ほか(1994)「リーディング」『英語教育』第43巻 7号 大修館書店 pp. 65―93

(16)水嶋博志,内田聖也,北村達也,川村よし子(2011)「学習者にとって難解な構文の自動検出」『日本語教育方法研究会誌』18(1),pp. 64―65

(17)李在鎬(2011)「大規模テストの読解問題作成過程へのコーパス利用の可能性」『日本語教育』148号,pp. 1―15

Page 15: ―リーダビリティスコアと日本語教師の評価を基に― 安井朱美・ …office.nanzan-u.ac.jp/ncia/about-cia/item/pdf_15/kenkyu_02.pdf · し、また、学習者が楽しんで読めるようにクールとされる日本のものや文化を主なトピッ

37

中級日本語読解教材の書き換えにおける一考察

A Study on Rewriting Japanese Reading Materials for Intermediate Learners

―Based on the Readability Score and Evaluation of Japanese Teachers―

Akemi YASUI, Yuriko IDE, Miyuki DOI

Abstract

  This study examines Japanese reading materials which are newly written for

intermediate learners in terms of difficulty level and quality in content and organization.

The examined materials are two readings which have two different versions; one is the

original version and the other is the one which is rewritten so as to make the difficulty

fit to the intermediate level. The difficulty level is examined by using readability

assessment tools and teachers’ evaluation and the result shows that readability tools and

Japanese teachers both judge the rewritten version more readable than the original

version in the two readings. The quality in content and organization is also examined

based on teacher s’ evaluation. As a result, in one reading but not in the other, rewritten

version was evaluated worse than the original one. Those results show that more

attention should be paid to content and organization when rewriting reading materials.

It should be kept in mind that rewriting might cause repetition of the same word,

consecution of short sentences and loss of organization, and that the effective ways to

make argument essays more readable in difficulty level and organization are to shorten

the topic sentence and to give more concrete examples as supporting sentences.

KeyWords:reading materials for intermediate level, rewriting, readability score,

difficulty level, content and organization