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BUSRAMA No.177 52 2019年10月18日から23日まで,ベルギーの首都ブリュッセルでバ スワールドが開催された。バス業界では世界最大のイベントという 定評を得ているこの催しは,ベルギー西部の都市コルトライクで隔 年開催を続けてきたが,回を追うごとに出展者の数が増え,展示面 積不足がクローズアップしていた。主催者にとっても発祥の地を離 れることは苦渋の選択だったようだが,より広いブリュッセルの展 示会場EXPOを得たことで,床面積と出展者数,来場者数のすべて で先回を上回り,大成功のうちに幕を閉じた。 今回の会場となったブリュッセルEXPOは1935年のワールドフェ ア開催を機に建設されたという重厚な建物だが,その後の拡張を経 て現在は11万5,000㎡,12の展示ホールから構成されるベルギー最大 の展示場である。その中でバスワールドは 9 つのホール,7 万9,000 ㎡を占有した。先回のコルトライクEXPOの展示面積が 5 万㎡だっ たから,先回は参加できなかった多くの出展者を迎えることが可能 になった。その数,511。先回より135事業者増加した。その出展企 業は37カ国に及ぶが,国別では上位からトルコ,ドイツ,中国がト ップ 3 ということからも,このイベントにかける出展者の期待がう かがえる。トルコがヨーロッパにおけるバス産業の重要な位置にあ ると同時に,いつの間にか中国のバスが世界のトップランナーに加 わっていることを気付かせてくれる。来場者数は先回の118カ国 3 万 7,274人から143カ国 3 万9,798人に増加し,一段と国際的なイベント になった。出展されたバスは屋内の310台に加えて,屋外には試乗用 で42台が待機。ほかにブリュッセル国際空港と会場間シャトルバス として地元の交通事業者がバンホールの 3 車体連節バス・エクスキ シティ 1 台も用意した。 ヨーロッパで活躍するシティバスの台数の主力は依然としてディ ーゼル車だが,展示されたシティバスのトレンドは圧倒的に電気バ スや燃料電池バスで,関連機器用品もシティバスの電動化を見据え た製品が目立った。また完全自動運転を行う車両やプロジェクトは 中国企業からも紹介された。日本からはシートメーカーの天龍工業 が常連になったが,国産バスメーカーの出展は皆無であり,世界の バス業界との大きなギャップを感じざるを得なかった。しかし日本 のバス事業者の見学は着実に増えており,トヨタ自動車の燃料電池 技術を搭載した欧州製のシティバスが登場するなど,これまでにな い新しい兆しも感じさせた。ここではバスワールドに出展された各 社の最新型バスを通じて,世界のバスの技術動向を展望してみよう。 Amazing! busworld@Brussels 世界のバスはこんなにバスワールド2019 ブリュッセルの会場から 前編・シティバス Busworld which is renowned as the largest bus show in the world was held from October 18 to 23. This was the first show that was held in Brussels as it had been pointed out that there was not enough space at Kortrijk. Compared to the last show, the floor space in- creased from 50,000to 79,000, attracting 511 exhibitors from 37 countries. Countries with most exhibitors were Turkey, Germany, and China in that order. It makes us realize that Turkey plays an important role in manufacturing of European buses, while China has become one of the top runners of buses of the world. Along with 310 units of buses that were put on exhibit indoors, additional 42 units were available for test rides outside. Vehi- cles put on exhibit met the expectations of the visitors, with many being electric buses, fuel cell buses, and autonomous vehicles. The attendance increased to 39,798 people from 143 countries, so the show was a resounding success with stronger international flavor.

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BUSRAMA No.17752

 2019年10月18日から23日まで,ベルギーの首都ブリュッセルでバスワールドが開催された。バス業界では世界最大のイベントという定評を得ているこの催しは,ベルギー西部の都市コルトライクで隔年開催を続けてきたが,回を追うごとに出展者の数が増え,展示面積不足がクローズアップしていた。主催者にとっても発祥の地を離れることは苦渋の選択だったようだが,より広いブリュッセルの展示会場EXPOを得たことで,床面積と出展者数,来場者数のすべてで先回を上回り,大成功のうちに幕を閉じた。 今回の会場となったブリュッセルEXPOは1935年のワールドフェア開催を機に建設されたという重厚な建物だが,その後の拡張を経て現在は11万5,000㎡,12の展示ホールから構成されるベルギー最大の展示場である。その中でバスワールドは 9つのホール,7万9,000㎡を占有した。先回のコルトライクEXPOの展示面積が 5万㎡だったから,先回は参加できなかった多くの出展者を迎えることが可能になった。その数,511。先回より135事業者増加した。その出展企業は37カ国に及ぶが,国別では上位からトルコ,ドイツ,中国がトップ 3ということからも,このイベントにかける出展者の期待がうかがえる。トルコがヨーロッパにおけるバス産業の重要な位置にあ

ると同時に,いつの間にか中国のバスが世界のトップランナーに加わっていることを気付かせてくれる。来場者数は先回の118カ国 3万7,274人から143カ国 3万9,798人に増加し,一段と国際的なイベントになった。出展されたバスは屋内の310台に加えて,屋外には試乗用で42台が待機。ほかにブリュッセル国際空港と会場間シャトルバスとして地元の交通事業者がバンホールの 3車体連節バス・エクスキシティ 1台も用意した。 ヨーロッパで活躍するシティバスの台数の主力は依然としてディーゼル車だが,展示されたシティバスのトレンドは圧倒的に電気バスや燃料電池バスで,関連機器用品もシティバスの電動化を見据えた製品が目立った。また完全自動運転を行う車両やプロジェクトは中国企業からも紹介された。日本からはシートメーカーの天龍工業が常連になったが,国産バスメーカーの出展は皆無であり,世界のバス業界との大きなギャップを感じざるを得なかった。しかし日本のバス事業者の見学は着実に増えており,トヨタ自動車の燃料電池技術を搭載した欧州製のシティバスが登場するなど,これまでにない新しい兆しも感じさせた。ここではバスワールドに出展された各社の最新型バスを通じて,世界のバスの技術動向を展望してみよう。

Amazing!busworld@Brussels

世界のバスは,こんなに熱いバスワールド2019 ブリュッセルの会場から前編・シティバス

Busworld which is renowned as the largest bus show in the world was held from October 18 to 23. This was the first show that was held in Brussels as it had been pointed out that there was not enough space at Kortrijk. Compared to the last show, the floor space in-creased from 50,000㎡ to 79,000㎡, attracting 511 exhibitors from 37 countries. Countries with most exhibitors were Turkey, Germany, and China in that order. It makes us realize that Turkey plays an important role in manufacturing of European buses, while China has become one of the top runners of buses of the world. Along with 310 units of buses that were put on exhibit indoors, additional 42 units were available for test rides outside. Vehi-cles put on exhibit met the expectations of the visitors, with many being electric buses, fuel cell buses, and autonomous vehicles. The attendance increased to 39,798 people from 143 countries, so the show was a resounding success with stronger international flavor.

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ベルギーの首都ブリュッセルは,ビールやグルメ,世界で最も美しい広場として知られるグランプラス⑤などが有名だが,開催場所のEXPO③は1958年の万博開催時に建てられたアトミウム①にも近い.会場内②(MAN)⑧(EBUSCO)⑨(バンホール)では,軽快なリズムと掛け声,LEDのコスチュームがベルギーで注目を集めるMoz Drums④が雰囲気を盛り上げる一方,コルトライクの会場でも賑やかなパレードを繰り広げてきた伝統の“ 3 人だけのブラスバンド”⑦も健在だった.会場とブリュッセル国際空港の間には地元の交通事業者LIJNが導入したバンホールエクスキシティが無料のシャトルバスとして起用された⑥

Moz Drums https://www.mozdrums.com/

⑥⑧

⑦①

②③

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 今回のバスワールドで注目すべきシティバスの 1 台がこれ。EBUSCOはオランダの電気バスメーカーで2010年に発表した2.0はヨーロッパ各地で実証試験を繰り返し,2.0および改良を加えた2.2が営業車として稼働を始めている。3.0はこれまでの電気バスの運行に関わる顧客の意見を反映して実現した車両で,全長12m,乗車定員100人を確保しつつ, 1 充電当たり走行を500㎞にした。その秘密は既存モデルの2.2に比較して33%の軽量化を果たしたカーボンスペースフレームの軽量ボデーにある。また自社製のLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーはすべて床下に収納し,フルフラット

な床面を実現した。後輪のインホイールモーター(ZF製)には超広幅シングルタイヤ(ブリヂストンM788 385/55R22.5)を組み合わせて通路幅も拡大している。展示車両は軽量化のためにリヤウインドーも透明の樹脂製で,現行のEUのレギュレーションには適合していないが認可を交渉中だそうだ。EBUSCOが採用するバッテリーはセル容量3.2V105Ah,現行市販車の2.2では362kWh(オプションで475kWh)を搭載し, 1 充電当たりの走行距離は300㎞(450㎞)。寿命は 8 年間保証し,使用済バッテリーはオフグリッドシステムとしての二次使用やリサイクルの研究を進めている。

バスワールド2019

スポットライト①

EBUSCO 3.0

バッテリーは床下搭載で,最後列もご覧のようにすっきりしている.後輪間通路幅は超広幅シングルタイヤの採用で広々.だが価格は高そうだ.下は市販車の2.2で,ボデーはステンレス製

One of the city buses that attracted the most attention at this Busworld was the Ebusco 3.0. Utilizing the carbon space frame, the weight has been decreased by 33% com-pared to the 2.2 production model. The batteries are all lo-cated under the floor. The rear tires are single tires, with the passenger capacity of 100. The vehicle can be operated up to 500km per charger.

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 鉄道車両メーカーALSTOMがバス市場参入を企図して開発したAPTISは2017年のバスワールドにプロトタイプが登場したが,それから 2 年,量産モデルが姿を見せた。全長12mの 4 隅に大径シングルタイヤを装着し,4WSで機動性を持たせた基本的なレイアウトを踏襲しつつ,ステアリング切れ角を40度に増やして機動性を確保。加えて15%の軽量化を果たして事業者のニーズに応える車に仕上がったという。前後のパネルが変更になるとともに,オーバーハングの形状がリファインされたのも機動性向上に貢献している様子だ。既にフランス国内の各都市から受注しており,ストラスブールの12

台を皮切りにグルノーブル,ラロシェ,トゥーロンなど,合計35台に納車が決まっているが,最大のテンダーはパリの電気バス化の動きで,最初の 3 車種150台のうち50台の入札に成功,さらに200台を超える受注にも期待がかかる。 鉄道車両メーカーの参入は既存のバスメーカーにとっては脅威なのか,はた迷惑なのかはわからないが,ディーゼルバスの固定観念にとらわれないレイアウトは注目に値する。特に運転席でない後端は広々したガラスに囲まれてリヤラウンジと呼ばれており,街を眺めるには最高だ。ボデー形状も機動性を重視してリファインされた。

バスワールド2019

スポットライト②

APTIS

プロトタイプから数えて 5 代目という量産型のAPTISはヨーロッパの鉄道車両メーカーがバス市場に参入する最初の例である.元はバスメーカーのバンホールが,台車を履けばトラムにも使えるエクスキシティが口火を切った挑戦ではあったが,エクスキシティはまだトラムには採用されていないから,ALSTOMが一足先の勝者になるのかもしれない.展示車両はそのままストラスブールに納入される車両だそうだ

Put on exhibit was the production model of Alstom Aptis which made its debut at the 2017 Busworld. It is said that the vehicle will start operations at Stras-bourg after the Busworld. Along with delivering 12 units to the city, the vehicles are also to be delivered to Grenoble and Toulon as well. Their biggest order is for 50 units by Paris, and were emphasizing that the number will continue to grow.

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 シティバスの量産車にも話題が多い。スカニアはシティワイドのネクストジェネレーションを発表した。ディーゼル車ではエンジン搭載方法を改良し,ボデーを一新して軽量化,乗車定員は100人を確保した。アイドルストップシステムの採用も燃費向上に貢献し,コネクティビティによる整備システムの効率化も訴求する。展示したのはパンタグラフによる急速充電のディスプレイを見せる電気バス・シティワイドBEV。低重心を配慮してバッテリーは 4 つをルーフ上, 4 つをリヤオーバーハングに分散配置する。電気走行の距離は80~150㎞を想定しており,車庫内での緩速充電と急速充電を組

み合わせてシティバスに求められる性能を確保する。設計はスカニア自身という。ちなみにディーゼルのシティワイド ネクストジェネレーションもフルフラットのLFと前中扉間ノンステップのLE(Low Entry)が設定され,エンジンレイアウトの改良により後部窓が大型化した。またLFはリヤオーバーハングに 3 席増やすことで定員100人にも対応できる(電気バスの場合は95人)。ボデーは窓面積の拡大により明るい車内を実現したほか,ホイールベース間には腰板部に窓設置を選べるようになった。インテリアのカラーリング,運転席の機能性向上も2019年モデルの特徴になる。

バスワールド2019

スポットライト③

スカニアシティワイド

BEV

スカニアシティワイド ネクストジェネレーションはボデーが一新された.腰板部に窓を設けるのは,最近ではイベコがオリジナルだが,各社に採用され普及しそうだ

Scania introduced the next generation Citywide. The diesel model has become lighter with revised engine installation and completely new body. Pas-senger capacity is 100. As well as utilizing the idling stop system, they appealed the efficiency of the connectivity maintenance system. Model put on exhibit was the Citywide BEV electric bus. The vehicle is projected to be operated 80 to 150km per charge. Combination of slow and quick charging will be undertaken at the Depot. Electrical system was designed by Scania.

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 ボルボは長距離旅行用の9700シリーズの車種追加(後述)など多くの車両を展示したが,世界初公開は7900の電気連節バス。7900の電気バスの単車に追加設定されたもので,容量396kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。駆動モーターは 2 ×200kW, 2 速トランスミッションを組み合わせる。最大トルクは3,100N・m,最大定員

(=150人)状態で20度の勾配から発進できる動力性能を持つという。頭上の給電装置からパンタグラフが降りてくるOppチャージのディスプレイだが,Combo2/CCS緩速充電も行う。ボルボの緩速充電はフロントパネルから行い,側面からの外部給電はオプションである。

全長は18mと 2 車体連節バスで認められる最長の18.7mが用意されている。7900はボルボのシティバスの“一枚看板”だが,既に純ディーゼルバスは生産しておらず,ディーゼルハイブリッド,電気ハイブリッド,電気バスがシリーズ化されていて,今回の電気連節バスでマトリックスが完成したものと思われる。それぞれディーゼルバスに比較してエネルギー消費は△40%,△60%,そして電気バスは△80%を謳う。ディーゼルハイブリッドは搭載エンジンをユーロⅥにし,排出ガスゼロゾーンでは20㎞/hまでだった電気走行を50㎞/hまで可能にするなど改良も進めている。

バスワールド2019

スポットライト④

ボルボバス 7900連節バス

近年のボルボのシティバスはボデーを共有してコンポーネントはハイブリッド,電気,燃料電池と多彩に用意して都市の選択に委ねている.今回の連節バスの追加設定で,電気バスの展開は完成した

Volvo Bus which is in the process of shedding city buses solely powered by diesel introduced the new electric articulated bus. It is considered that their line-up of diesel-hybrid, electric hybrid, and electric buses has been completed. 7900 electric articulated bus is equipped with 396kWh battery, along with the motor output of 2x200kW. It is said that it can start on a steep 20 degree hill with the maximum 150 passengers on board.

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  6 月開催のUITPで予告されたとおり,ポルトガルのカエターノが燃料電池バスを初出展した。カエターノはトヨタ自動車がヨーロッパ進出をする際,小型バスコースターのボデー架装を担当した時からの間柄。コースターが好評を得たことから,現在カエターノは英国の都市間用大型バスでも大きな市場を獲得している。同社は三井物産の資本を得て電気バスシャーシーの製造を始めたが(本誌№166参照),今回はトヨタ自動車のSORAの技術を生かした電気バスを完成,2020年から欧州市場で販売を目指す。会場内の大型シティバスは全長12mの左ハンドル車が多い中,全長10.7mの右ハンドル

車は目立つ存在。日本人の目には見慣れたサイズで親近感が持てる。ただしレイアウトはヨーロッパ生まれだけに,前輪タイヤハウスの後ろには後ろ向きの座席があり,後輪間通路部もステップがないフルフラットバスに仕上げられている。イギリス市場向けの想定価格はSORAよりかなり安いようで,中扉以降は床面が高い日本国内製よりポルトガルから完成車を輸入する方がバス利用者にとってはメリットが大きいのではないだろうか。ブースには併せてロンドンのAbellioに納入が決まった電気バス,ヨーロッパ大陸向けの12m電気シティバス・シティゴールドも展示された。

バスワールド2019

スポットライト⑤

カエターノ 燃料電池バス

As was previously announced at UITP which was held in June, Caetano put on exhibit the fuel cell bus for the first time. Based on Toyota Motor’s Sora fuel cell bus, the “short wheelbase bus with right hand drive” may seem familiar to the Japa-nese. Layout of the interior is the European stan-dard low floor. The price of the vehicle is competi-tive compared to the European fuel cell buses. Considering the layout of the interior, we have ex-pectations for the import of completed vehicles if the price is much lower than the Sora.

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 バスワールドの会場では回を重ねるごとに存在感を増しているのが中国のバスメーカーで,展示面積も展示台数も増やしている。事実,中国製バスのヨーロッパ進出は急ピッチで,特に独自にノウハウを積んだ電気バスのヨーロッパの諸都市に向けた売り込みは積極的。写真のシティバスU12は,バスワールドではデザインラベルというタイトルを得た電気バスのニューフェイス。かつての中国製のイメージを完全に払しょくする斬新かつ個性的なスタイルで,外寸や軸重もEU基準。空調性能は冷房が 3 万8,000 kcal/h,暖房は 3 万6,000kcal/hというが,肝心の電気バスの性能は公開していない。

 CRRCは自ら世界最大の鉄道車両サプライヤーを謳い,グループ会社のCRRCエレクトリックビークルは全長 6 m~18mの電気バス,燃料電池バスを開発,ラインアップしている。電気車両の生産は年間 3 万台,ドライブトレーンは 5 万セット,輸出先は世界104カ国を数えるという。ヨーロッパ市場には2016年にオーストリアのグラーツへのスーパーキャパシタを搭載する連節トロリーバスの輸出を皮切りに,2017年にはローマに小型バスを納入するなど実績を拡大中。写真は12m車で,ベラルーシやフランスに販路を持つ。ボデーはハンガリーの名門・イカルスで,既に資本提携関係を締結しているそうだ。左は併せて展示された 7 m級の電気バス。

バスワールド2019

スポットライト⑥

ユートンU12

バスワールド2019

スポットライト⑦

CRRC

Making their presence stronger with each Busworld are the buses manufactured in China. It can be said that it reflects their actively exporting buses to Eu-rope, Yutong exhibited many new models at their wide space. U12 is the electric bus with unique but attractive styling. Details of both exterior and interior are enough to erase the image of the older vehicles manufactured in China.

CRRC which claims to be the largest manufacturer of railroad cars in the world exported electric buses to Austria in 2016, and is steadily expanding their market. The 12m vehicle has bodies manufactured by Ikarus, the renowned Hungarian manufacturer. Small-size electric bus with the overall length of 7m was introduced for the first time.

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 ヨーロッパにおけるシティバスのベストセラー,メルセデス・ベンツのシターロの電気バスで,ドイツ国内をはじめ,各都市で販売実績を上げているメルセデス・ベンツの電気化では戦略車種である。独自のフロントマスクが特徴だ。ドイツのAKASOLとの共同開発で,同社の電池や制御技術,充電施設はソラリスやVDL,ADLの電気バスなどにも採用されている。いわばヨーロッパの交通事業者に信頼される電気バスに仕上げられている。屋根上のリチウムイオンバッテリーの容量は330kWh,出力125kWの電動ハブモーター 2 基を駆動し, 1 充電当たり走行距離はおよそ200㎞である。

 MANは昨年フルモデルチェンジしたライオンズシティの電気バスに加えて,全長18.75mの連節バスを出展した。EUでは 2 車体連節バスの全長は19m未満に制限されており,連節バスは車名も19を名乗る。こちらは電気バスではなくエフィシエンシィハイブリッド車で,バッテリーより軽量のスーパーキャパシタ(電圧48V)で始動,一定距離からディーゼルエンジンが始動することで16%の燃費削減と環境保全に寄与する。駆動用エンジンは最高出力265kW/1,600rpm,排気量 9ℓのD1556LOH型を後部に片寄せして搭載する。従来のディーゼル車よりも 4 席多く,定員は164人。

バスワールド2019

スポットライト⑧

メルセデス・ベンツ eシターロ

バスワールド2019

スポットライト⑨

MAN エフィシエンシィ ハイブリッド19

Delivery of the electric buses of Mercedes Benz Citaro, the best selling city bus in Europe, is Industry expanding mainly in Germany. Electric bus system including the battery are being manufactured by AKASOL.

The new model of MAN Lion’s City was introduced in 2018, with the number of vari-ants increasing. Put on exhibit were the electric bus with the overall length of 12m as well as the 18m long hybrid bus. The ve-hicles are equipped with ultra-capacitors which are lighter than the batteries.

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 1996年にネオプラン・ポーランドとして誕生,独立してスタートしたバスメーカー・ソラリスは,2018年に創始者オルシェフスキ家の経営を離れスペインの鉄道車両メーカーCAFグループに組み込まれた。バスワールド2019には全長18mの電気連節バス・ウルビノ18e(写真左),ウルビノ12ハイドロジェン(燃料電池バス),全長24mの 3 車体連節トロリーノ24(写真上)と, 3 台の“排出ガスゼロ”のバスを並べた。通常のシティバスよりスラントした“メトロフェイス”を持つトロリーノ24はポーランド初の 3 車体連節バスなのだそうだ。会場内の撮影では納まりきらないので広報写真でご紹介する。

 国内のバス用シートのトップメーカー・天龍工業は航空機や鉄道車両でも豊富な実績を持ち,海外のシートメーカーとも提携関係を持つ。バスワールドには2015年以来,連続 3 回の出展になる。今回は対応するスタッフを前後で 2 チームにして,できるだけ多くのメンバーが現地を訪ねられるように配慮したとか。日本の事業者向けの特注品や試作品を中心に展示した。読者にはおなじみの製品もあるが,会場の見学者には珍しく映るようで,座り心地を試していた。国内のバス市場も一部,輸入車の登場でようやくグローバル化の兆しが感じられるようになってきたが,最近登場した中国製の電気バスやこれから登場する輸入バスにも天龍工業製のシートが取り付けられている。

バスワールド2019

スポットライト⑩

ソラリス  トロリーノ24

バスワールド2019

スポットライト⑪

天龍工業

Being their first Bus world since becoming a member of the CAF of Spain, Solaris put on ex-hibit 3 units of zero emission buses. Trollino 24 which is the first bi-articulated bus of Poland, received a slant, metro face.

With exhibits of Japanese company being relatively few at the Busworld, Tenryu Indus-tries which enjoys the top share of the domes-tic bus seat market put on an exhibit for the third time. They also have experience with seats for railroad cars and aircrafts.