平成12年度 行政監査実施要領(案) -...
Post on 27-Feb-2021
0 Views
Preview:
TRANSCRIPT
平 成 24 年 度
行 政 監 査 報 告 書
~債権管理について~
大 和 市 監 査 委 員
- 1 -
第1 監査の概要
1 監査の種類
地方自治法第199条第2項の規定に基づく事務の執行についての監査
2 監査の対象期間
平成23年4月1日から平成24年5月31日
3 監査の期間
平成24年12月3日から平成25年2月25日
4 監査の対象事務
対象事務 「債権管理について」
対象部局 平成23年度決算において税外収入未済額のある部かい
(国庫支出金及び県支出金並びに病院事業会計分を除く)
【自治体債権の分類】
自治体債権の種類は多岐にわたるが、その発生原因により「公債権」「私債権」と
いう一定の定義で分類され、適用される時効が異なる。さらに「公債権」は、回収に
おける根拠規定により「強制徴収公債権」「非強制徴収公債権」に分類することがで
きる(下図参照)。
公債権
公法上の原因に基づいて発生する債権
(例)処分
債権とは
「金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利」
地方自治法第240条第1項
私債権
私法上の原因に基づいて発生する債権
(例)契約
強制徴収公債権
地方税の滞納処分(強制徴収)することができる債権
地方自治法第231条の3
非強制徴収公債権
地方税の滞納処分(強制徴収)することができず
民事執行法による強制執行が必要な債権
地方自治法第231条の3
- 2 -
5 監査の目的
長引く景気低迷の影響等、本市の財政を取り巻く状況は引き続き厳しく、健全な
財政運営を行う上で収入確保は大変重要な課題となっている。そのような中、(表1)
に示すように過去3年間の今回の監査対象債権の収入未済額の推移は年々増加傾向
にあり、平成23年度決算において、一般会計で 2億 3,563万 3,658円、特別会計
合計で1億1,781万3,593円、合計で 3億 5,344万7,251円もの税外収入未済額が
発生している。収入未済額の解消は、財源確保のみならず、負担の公平性確保の点
からも厳正な対応が求められるところである。
そこで、これらにかかる債権管理事務について、合規性及び効率性といった視点
から調査し、適正な債権管理とさらなる財源確保に資することを主眼とする。
【収入未済額の推移】 (表1)
平成21年度 平成22年度 平成23年度
一般会計 174,268,208円 186,895,149円 235,633,658円
特別会計 116,871,473円 118,690,462円 117,813,593円
合 計 291,139,681円 305,585,611円 353,447,251円
6 監査の方法
以下の着眼点に基づき、提出書類を審査するとともに関係職員から説明を受ける
などの方法で実施する。
7 主な着眼点
(1) 対象債権の状況について
(2) 発生時の手続きについて
・ 債権回収を見据えた手続きを行っているか
(3) 日常管理について
・ 債権管理台帳は適切に作成されているか
・ 債権管理台帳は納付状況や管理状況等把握できるよう適切に記載・管理
されているか
(4) 回収について
① 督促及び催告について
・ 時期及び手続きは適正か
② 納付相談等について
・ 時期及び手続きは適正か
③ 滞納処分等について
・ 財産調査の時期及び手続きは適正か
・ 差押えの時期及び手続きは適正か
- 3 -
・ 交付要求の時期及び手続きは適正か
・ 換価及び配当の時期及び手続きは適正か
④ 強制執行等について
・ 担保権の実行の時期及び手続きは適正か
・ 強制執行の時期及び手続きは適正か
・ 訴訟等の時期及び手続きは適正か
(5) 保全について
① 履行期限の繰上げについて
・ 時期及び手続きは適正か
② 債権の申出等について
・ 債権の申出の時期及び手続きは適正か
・ 担保提供の請求の時期及び手続きは適正か
・ 仮差押え等の保全処分の時期及び手続きは適正か
・ 保全処分以外の保全措置の時期及び手続きは適正か
(6) 停止について
① 徴収停止について
・ 徴収停止の適用要件を満たしているか
・ 時期及び手続きは適正か
② 履行延期の特約について
・ 履行延期の特約の適用要件を満たしているか
・ 時期及び手続きは適正か
(7) 消滅について
① 債務免除について
・ 債務免除の適用要件を満たしているか
・ 時期及び手続きは適正か
② 債権放棄について
・ 時期及び手続きは適正か
③ 不納欠損について
・ 不納欠損の適用要件を満たしているか
・ 時期及び手続きは適正か
(8) 今後の課題
- 4 -
第2 監査の結果 監査の結果は、調定及び収入状況等、財務事務処理上はおおむね適正であると認
められたが、「今後の課題」及び「まとめ」として後述する事項については十分留意
し、事務処理等の適正な執行を図り、より一層の債権確保に努められたい。
1 対象債権の状況について
対象債権の平成23年度決算における状況は次のとおりである。 (表2)
①平成23年度 新たに発生した債権の総件数・総額 39,505 件
4,536,993,411 円
②①のうち収納された債権の総件数・総額 38,763 件
収納率:97.3 % 4,412,521,251 円
③平成23年度 滞納繰越債権の累積件数・累積額 3,457 件
319,103,016 円
④③のうち収納された債権の総件数・総額
456 件
収納率:11.1 % 35,517,081 円
⑤平成23年度 不納欠損件数・額
543 件
54,610,844 円
本市における収入未済額のある税外収入金の状況(国庫支出金及び県支出金並びに
病院事業会計分を除く)として、監査対象部かいから提出された調査票による集計結
果は上記(表2)のとおりであった。内訳としては、(表3)のとおり6部13課の2
6債権で収入未済額が発生していた。
事業数では、健康福祉部で10債権、こども部で7債権と多く、この2部で全体の
65.4%を占めており、続いて街づくり計画部で3債権、市民経済部・環境農政部・都
市施設部で各2債権となっている。
収入未済額を部別に見てみると、健康福祉部で272,343,245円と全体の77.1%を占
めており、続いてこども部で27,544,640円、街づくり計画部で26,981,900円、市民
経済部で26,301,099円、都市施設部で264,927円、環境農政部で11,440円の順とな
っている。
収入未済額を債権別に見てみると、生活保護費過払額返還金及び徴収金が
178,613,303円と全体の50.5%を占めており、続いて介護保険料が91,162,894円、後
期高齢者医療保険料が24,486,610円、市営住宅使用料24,181,200円、保育所入所者
負担金が23,666,100円の順となっている。
滞納繰越となった債権の収納率は、11.1%と極端に低く、発生債権については納期
内に納付されなかった場合、滞納繰越としないよう早期回収に向けた様々な対応を図
り、滞納繰越としない努力が必要である。
- 5 -
【平成23年度末 収入未済額保有債権一覧表】 (表3)
部かい名 債権管理課 債権名 収入未済額 (円)
市民経済部
保険年金課① 後期高齢者医療保険料 24,486,610
保険年金課② 資格喪失後の診療に係る返還金
(不当利得過年度分) 1,814,489
小計 2債権 26,301,099
環境農政部
生活環境保全課 路上喫煙過料 4,000
みどり公園課 公園使用料 7,440
小計 2債権 11,440
健康福祉部
健康づくり推進課 地域医療センター使用料 220,840
介護保険課① 介護保険料(第1号被保険者) 91,162,894
介護保険課② 介護報酬返還金 330,000
高齢福祉課① 高齢者世話付住宅生活援助員派
遣事業負担金 19,600
高齢福祉課② 有料ホームヘルパー・ライフサポ
ーター派遣費用徴収金 122,100
高齢福祉課③ 老人保護措置費負担金 1,251,408
障がい福祉課① 障害者福祉手当返還金 586,000
障がい福祉課② 知的障害者入所負担金 19,100
障がい福祉課③ 通所訓練費返還金 18,000
生活援護課 生活保護法第63条返還金・第78
条徴収金・滞納繰越金 178,613,303
小計 10債権 272,343,245
こども部
こども総務課① 母子福祉資金緊急貸付金 215,000
こども総務課② 子ども手当過払額返還金(児童手
当分含む) 230,000
こども総務課③ 児童扶養手当 327,040
こども総務課④ ひとり親家庭等家賃助成 118,000
保育家庭課① 保育料(保育所入所者負担金) 23,666,100
保育家庭課② 保育所給食費債権 253,500
こども・青少年課 放課後児童クラブ保護者負担金 2,735,000
小計 7債権 27,544,640
街づくり計画部
街づくり総務課① 市営住宅使用料 24,181,200
街づくり総務課② 市営住宅駐車場使用料 2,630,700
街づくり総務課③ 市営住宅修繕負担金 170,000
小計 3債権 26,981,900
都市施設部
土木管理課① 道路占用工事路面復旧負担金 9,278
土木管理課② 道路占用料 255,649
小計 2債権 264,927
合 計 26債権 353,447,251
- 6 -
2 発生時の手続きについて
◆債権回収を見据えた手続きを行っているか
地方公共団体の歳入を収入しようとするときは、地方自治法第231条で「これ
を調定し、納入義務者に対して納入の通知をしなければならない。」と規定されてい
るが、今回の調査対象債権においては、当初、債権の発生原因が生じたときに、納
入通知及び納付書を発送しており、調定行為も負担金、使用料及び手数料、諸収入
など各費目でおおむね適正に実施されていた。ただし、一部の調定行為において、
調定時期がずれていたり、収入があったときに同時に調定計上をしている債権があ
った。
督促及び催告については、実施はしているものの根拠規定を知らずに実施してい
る部署が多く見受けられた。この点については、「4 回収について」で後述する。
3 日常管理について(全債権)
◆債権管理台帳は適切に作成されているか
◆債権管理台帳は納付状況や管理状況等把握できるよう適切に記載・管理されてい
るか
件数 種別 件数 備考
台帳を作成している 25債権 紙台帳 7債権
電子台帳 18債権
台帳を作成していない 1債権 対象債権1件のた
め決裁文書で管理
債権管理台帳は、「作成している」が25債権で紙台帳7債権、電子台帳18債権
となっており、電子化がある程度進んでいるものと思われる。しかし、台帳に記載
されている内容はまちまちで、必要最小限の情報を掲載していないものもあり、規
則やマニュアルなどにより統一化することが望まれる。
過払額返還金については、現年度予算に戻入するものもあること、また、対象債
権が数件のものは、そこまでの管理の必要性を感じていないのか決裁文書により管
理しているものもあった。
しかし、大和市予算決算会計規則第53条の4で「債権管理者は、債権管理台帳
を作成し、債権の発生、消滅等の状況を把握する。」と規定されていることからも、
債権管理台帳は作成すべきと考える。
4 回収について
(1)督促及び催告について(全債権)
◆時期及び手続きは適正か
督促 実施している 25債権
実施していない 1債権
- 7 -
催告 実施している 25債権 電話 11債権
訪問 7債権
書面 21債権
その他 6債権
実施していない 1債権
督促については、25債権は実施している。1債権は未実施ということであるが、
未実施については、督促は当初の納付期限後20日以内に実施ということであり、
その後債権が発生していないため、平成23年度中に督促は実施していないという
内容であった。ただし、実施時期及び納付期限については、まちまちの取扱いをし
ていた。これは、大和市諸収入金に対する督促及び延滞金徴収条例第2条及び大和
市予算決算会計規則第53条の5の規定を知らずに、前任者からの引継ぎにより漠
然と事務処理を行っていることによるものである。督促は、地方自治法第231条
の3及び地方自治法施行令第171条で規定されているように、滞納処分及び強制
執行の前提条件となっており、必ず実施しておかなければならない行為である。
催告については、25債権で何らかの方法で実施しているが、実施時期及び実施
方法・回数はまちまちであった。また1債権は未実施ということであるが、未実施
については、現在、分納誓約中であり催告は実施していないという内容であった。
実施方法については、書面によるものが21債権と最も多く、続いて電話による
ものが11債権、訪問が7債権、その他が6債権の順であった。催告は、法的な効
力はないが、自主納付を促す行為として必要な行為であり、なるべく早期に償還を
求め、納付相談や分割納付を実施するため、必要に応じて年間数回は行うべきと考
える。
(2)納付相談等について(全債権)
◆時期及び手続きは適正か
実施している 25債権
実施していない 1債権
納付相談等については、25債権で実施しているが、内容的には積極的に連絡を
取り納付相談・分納誓約を実施している債権や、相手方から連絡があって初めて応
じる債権とさまざまな対応となっている。また、実施していない1債権については、
額が少額であり、徴収事務委託をしていることから現段階では実施していないとの
ことであった。
積極的に納付相談を実施し、少しでも納付あるいは分納誓約を取り付けるなど、
未納額の減少に向けて早期の取組みが必要と考える。
- 8 -
(3)滞納処分等について(強制徴収公債権)
時期、手続きとも全て知っている なし
時期、手続きともおおむね知っている 1債権
時期は分からないが、手続きは全て知っている なし
時期は分からないが、手続きはおおむね知っている なし
時期、手続きともほとんど知らない 6債権
◆財産調査の時期及び手続きは適正か
実施している 1債権
実施していない 6債権
◆差押えの時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 7債権
◆交付要求の時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 7債権
◆換価及び配当の時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 7債権
滞納処分等については、強制徴収公債権と回答した7債権のうち1債権で滞納処
分の「時期、手続きともおおむね知っている」と回答し、財産調査を実施していた
が、他の6債権では「時期、手続きともほとんど知らない」となっており、実態と
して何も手を付けていない状況である。
※滞納処分とは、地方自治法第231条の3第3項で定められており、地方公共
団体の歳入につき督促による納付期限までに納付がない場合、地方税の滞納処
分の例により処分できるものである。
※交付要求とは、滞納者の財産につき強制的に換価の手続きがなされた場合、裁
判所等に対し債権の申立てをし、配当を請求することである。
※換価とは、差押えた財産を公売により処分し、それにより得られた換価代金を
債権に充てるための行為のことである。
(4)強制執行等について(非強制徴収公債権・私債権)
時期、手続きとも全て知っている なし
時期、手続きともおおむね知っている 8債権
時期は分からないが、手続きは全て知っている なし
時期は分からないが、手続きはおおむね知っている 1債権
時期、手続きともほとんど知らない 10債権
- 9 -
◆担保権の実行の時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
◆強制執行の時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
◆訴訟等の時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
強制執行等については、非強制徴収公債権及び私債権と回答した19債権のうち
「時期、手続きともおおむね知っている」は8債権で、「時期は分からないが、手続
きはおおむね知っている」は1債権、「時期、手続きともほとんど知らない」は10
債権であり、全ての事業で何も手を付けられていない状況である。
※強制執行等とは、地方自治法施行令第171条の2で定められており、納付交
渉がうまくいかなかったり、債務者が納付について誠意を示さず、納付交渉
にも応じない場合に採る行為で、「担保権の実行」「強制執行手続」「訴訟手続
による履行の請求」がある。
※担保権の実行とは、担保物件の競売による換価代金から債権に充てる手続きで
あり、不動産所在地を管轄する地方裁判所に申立てをする。
※強制執行手続とは、裁判所の力を借りて、強制的に債権の内容を実現する手続
きである。
※訴訟手続による履行の請求とは、①支払督促:債権者の一方的な申立てに基づ
き書類審査だけで簡易裁判所の書記官が支払督促を発する ②訴訟:簡易裁
判所か地方裁判所に訴えを提起する訴訟 ③少額訴訟:少額の金銭請求につい
て、審理手続きを簡易化して迅速な裁判を実現する手続き などがある。
5 保全について(非強制徴収公債権・私債権)
(1)履行期限の繰上げについて
◆時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
履行期限の繰上げについては、非強制徴収公債権及び私債権と回答した19債
権のうち全ての事業で何も手を付けられていない状況である。
※履行期限の繰上げとは、地方自治法施行令第171条の3で定められており、
信用不安が生じた場合、期限の利益を喪失させて残金を一括請求できるように
することである。
- 10 -
(2)債権の申出等について
◆債権の申出の時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
◆担保提供の請求の時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
◆仮差押え等の保全処分の時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
◆保全処分以外の保全措置の時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
債権の申出等については、非強制徴収公債権及び私債権と回答した19債権の
うち全ての事業で何も手を付けられていない状況である。
※債権の申出とは、地方自治法施行令第171条の4第1項で定められており、
債務者が支払不能の事態に陥った場合、他の債権者が先んじて強制執行の手続
きを採ったり、債務者が破産を申立てた場合、裁判所等に対し債権の申立てを
し配当を請求することである。
※担保提供の請求・仮差押え等の保全処分とは、地方自治法施行令第171条の
4第2項で定められており、債権を保全するために必要であれば債務者に担保
の請求又は仮差押え等の処分をすることである。
※保全処分以外の保全措置とは、保証人の変更、債権者代位権の行使、詐害行為
取消し権の行使、時効中断措置等がある。
6 停止について(非強制徴収公債権・私債権)
(1)徴収停止について
◆徴収停止の適用要件を満たしているか
◆時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
徴収停止については、非強制徴収公債権及び私債権と回答した19債権のうち
全ての事業で何も手を付けられていない状況である。
※徴収停止とは、地方自治法施行令第171条の5で定められており、債務者が
行方不明であったり、事業を止めてしまった場合、また金額が少額で訴訟の手
段を採ることが経済的合理性に欠けるときは、当該債権の保全及び取立てをし
ないことである。
- 11 -
(2)履行延期の特約について
◆履行延期の特約の適用要件を満たしているか
◆時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
履行延期の特約については、非強制徴収公債権及び私債権と回答した19債権
のうち全ての事業で何も手を付けられていない状況である。
※履行延期の特約とは、地方自治法施行令第171条の6で定められており、一
定の要件を満たす場合、滞納金を分納したり、各回の償還金を減額する場合に
は、本来の履行期限を変更することである。
7 消滅について
(1)債務免除について(非強制徴収公債権・私債権)
◆債務免除の適用要件を満たしているか
◆時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
債務免除については、非強制徴収公債権及び私債権と回答した19債権のうち
全ての事業で何も手を付けられていない状況である。
※債務免除とは、地方自治法施行令第171条の7で定められており、債務者が
無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした債権につ
いて当初の履行期限から10年を経過した後、なお、同様の状態が続いていて、
弁済する見込みがないと認められるときは当該債権を免除することである。
(2)債権放棄について(非強制徴収公債権・私債権)
◆時期及び手続きは適正か
実施している なし
実施していない 19債権
債権放棄については、非強制徴収公債権及び私債権と回答した19債権のうち
全ての事業で何も手を付けられていない状況である。
※債権放棄とは、地方自治法第96条第1項第10号で規定されており、債権者
の一方的な通知により債務を消滅させることであり、債権を放棄するときは、
議会の議決が必要であるが、条例に特別の定めがある場合には議会の議決は不
要である。ただし、報告は必要とされている。
- 12 -
(3)不納欠損について(全債権)
◆不納欠損の適用要件を満たしているか
◆時期及び手続きは適正か
実施している 6債権
実施していない 20債権
不納欠損については、26債権中、6債権で実施しており、20債権で実施し
ていないとの回答があった。実施している6債権は、後期高齢者医療保険料、不
当利得過年度返還金(国保)、介護保険料、知的障害者入所負担金、生活保護費過
払額返還金及び徴収金、保育所入所者負担金であり、不当利得過年度返還金(国
保)を除いては、強制徴収公債権、非強制徴収公債権として管理されており、根
拠法令もしっかりと示されていた。
私債権については、消滅時効を迎えたとしても、時効の援用がなければ不納欠
損処分はできないことから不納欠損の処理をするに当たっては、慎重に債権の種
類を確認し、根拠法令を明確にした上で実施されたい。
※不納欠損とは、既に調定されている歳入が徴収し得なくなったことを表示する
決算上の取扱いである。
8 今後の課題
(1)日常管理については、各課対応がまちまちではあるが、管理はされていた。
しかし、債権管理については、大和市予算決算会計規則に若干の規定はあるも
のの、周知が不十分であることや内容的に十分といえないことも、徹底を困難に
している要因と思われる。
(2)回収に向けた方策として、督促、催告、納付相談など実施してはいるが、積極的
な対応がされていない状況である。
また、滞納処分や強制執行について、調査票において半数以上が「時期、手続き
ともほとんど知らない」と回答しているように、担当職員の知識不足から何も手を
付けられていない状況である。
(3)債権管理担当の課題を挙げてもらったところ、最も多かったのは、「債権管理の
ノウハウの不足」で20債権、続いて「債権管理に精通する人材不足」17債権、
「マニュアル等の整備不足」16債権、「職員数の不足」13債権、「職員の専門知
識の不足」10債権と多くの回答(複数回答可)があった。
この結果が示すとおり、債権管理についての専門的な知識の不足及び滞納整理に
対応する職員数の不足が今後の課題として提起されている。
- 13 -
ま と め
債権管理については、各自治体とも苦慮している状況であり、近年は債権管理条
例を制定し、統一理解の下、債権の発生から債権の放棄まで対応する自治体が増え
てきている。
本市では、平成22年度から23年度にわたり開催された公金徴収一元化検討委
員会(事務局:政策部財政課・行政改革推進課)において、当時の状況を調査した
中で、滞納債権の効果的かつ効率的な徴収体制や徴収一元化の実施方法などの検討
がなされた。平成24年3月2日の結果報告は、債権管理、財産調査、差押・換価
等について、収納課の協力を得ながら債権主管課が実施するというものであったが、
状況はその後も変わっておらず、進展は見られていない。
財源確保や公平性を担保するためにも、今後の債権管理事務にあっては、まずは
早急に対応できる対策として、次の3点の実施を要望する。
① 債権管理マニュアルの作成
統一的な債権管理が行えるよう、債権の発生から消滅に至るプロセスとそれ
ぞれの段階で講ずるべき措置などを詳細かつ分かりやすく定めた債権管理マニ
ュアルを作成する必要がある。
② 職員の意識改革
債権回収の鉄則である未納債権への早期着手、早期回収を徹底し、滞納繰越
としないよう債権主管課全体で努力する姿勢が重要である。
また、債権を抱える部署を対象とする全庁的な債権管理研修を実施し、債権
管理に精通した人材の育成とともに、管理監督者を含めた関係職員の意識改革
を図る必要がある。
③ 庁内協働体制の強化
既存の公金徴収一元化検討委員会や大和市市税等収納率向上対策本部を活性
化し、あるいはそれに代わる組織を立ち上げ、全体調整など庁内の協働体制を
強化し、責任の明確化と実行性を担保する必要がある。
また、今後の対策としては、例えば、すでに「債権の管理に関する条例」を施行
している団体の実施状況・実績等を把握した上で、本市における条例制定の是非等、
様々な検討を行い、順次体制を整えながら、効率性、有効性を十分に勘案して、継
続した取組みを要望するものである。
top related