16-01 (page 1)エンタープライズ分野をコアコンピタンスに...

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●魅力ある企業として従業員から選ばれる会社

を目指す

2002年までに世界のIT市場は6,300億ドル、米国市場は2,740億ドル規模に達するものと予測されている。このIT産業に対して、お客様はビジネス上の課題を解決するソリューションを求めている。ソリューション実現のためには、ハードウェア、ソフトウェア、OS、ミドルウェア、パッケージの統合が不可欠であり、これらを統合化するソリューション・ビジネスが今後のIT産業の中核となるであろう。米国のIT産業は、明らかにハードウェア時代

を超越した。パソコンはその典型だがハードウェアの“ハコ物”化が進んでいる一方で、ソフトウェア、ミドルウェア、サービスは成長を続けているからである。しかし、サービス・ビジネスは“人”に依存すること大である。今後のIT産業で成長するには、いかに優秀な人材を魅きつけ、確保するかが鍵となる。したがって、当社は、魅力ある企業として「従業員から選ばれる魅力ある企業」になろうとしているのである。●エンタープライズ分野をコアコンピタンスに

当社はエンタープライズ・サーバ技術とその関連分野での伝統と強みがビジネス基盤であると認識している。そのためコアコンピタンスであるミッション・クリティカルな大量トランザクション処理技術の向上には一層注力する。エンタープライズ・コンピューティングに必須となるも

のは拡張性、可用性、管理可能性、相互運用性の諸技術であり、これに最近ではインターネット対応技術も重視されている。エンタープライズ・コンピューティングを実現するものが、HMP(ヘテロジニアス・マルチプロセシング)をベースとしたClear Pathと呼ばれるコンセプトである。これはAシリーズ、2200シリーズとWindowsNT、UNIXとを統合した単一のシステム稼働環境を実現し、データとアプリケーションのシームレスな共有、シングル・ユーザ・インタフェースとシステム管理を実現するものである。次世代のClear PathではCMP(セルラー・マルチプロセッシング)をベースとしてさらなるパフォーマンス、信頼性、管理可能性の向上を実現するものである。●オープン・エンタープライズ・サーバ分野の

リーダーを目指す

当社は、最高の費用対効果と拡張性に優れたサーバを提供することで、オープンなエンタープライズ・サーバにおけるリーダーになることを目指している。なぜなら、NTハードウェア市場は年率30%以上、NTソフトウェアは37%の成長率を示しており、NTサービスはほぼ40%の伸び率を示し、当社にとって重要な市場チャンスであると認識しているからである。ユーザ企業もNTベースのアプリケーション開発を求めている。当社は2001年までに、NTが採用されるミッション・クリティカルなアプリケーションの比率は3倍に増え、ミッション・クリテ

ィカル業務全体の40%を占めると予測している。調査企業の75%は、1998年末までにミッション・クリティカルなアプリケーションにNT導入を開始すると回答している。こうした市場の声に応えることが当社の責務である。この他当社は、成長著しいと目されるシステ

ム・インテグレーション、アウトソーシング、メンテナンス・サービスなどの分野にも注力していく考えである。●2003年への企業ビジョン

今後5年間の当社のビジョンを要約すれば次の5点である。①時代の変革に即応したソリューション・ビジネスにおいてインフォメーション・サービス・ビジネス/テクノロジー企業への転換を完了する

②ソリューションとエンタープライズ技術分野に経営資源を集中する

③ユーザ企業のグローバル化のニーズに対応するためワールドワイドなビジネス基盤を強化する

④お客様のビジネス上の問題解決に役立つソリューションやサービス、技術をより効果的に提供するため戦略的な提携を強化する

⑤着実な財務戦略の展開とビジネスの成長を目指した投資を継続するこれによって世界的な高い信頼性と、強いグ

ローバル・ブランドを築いていくことになるものと確信している。

米国のIT産業とユニシスの戦略ユニシス・コーポレーション会長、社長兼CEO ローレンス A.ワインバック氏

◆日本ユニシスのホームページ=http://www.unisys.co.jp/users/unisys news/index.html(ユニシス・ニュース全文を公開)

1999No.454 2

主な記事

◆ユーザ事例*韓国 華銀行-CRMSによる「マーケティング戦略支援システム」を構築 (6面)

*伊予銀行-「データベース・マーケティング・システム」で戦略的営業推進を展開 (8面)

*am/pmジャパン-情報活用基盤を整備-新情報系シ

ステムの構築を推進 (9面)*全日空-国内旅客系システムの基盤を強化-「ITASCA3822」に更改 (16面)

◆ IT最前線*分散オブジェクト技術が拓く新しい企業情報システム (10面)

*WindowsNTのハイアベイラビリティ・ソリューション (11面)

*TEAMprocessを活用した業務改革の進め方 (12面)*システム効率管理ツール「TeamQuest Baseline」

(13面)*デコンストラクションで勝負に勝つ (14面)

◆News From Unisys*PCサーバ「AQUANTA」シリーズのラインナップ一新/*Web対応グループウェア「Ex-Web」販売開始/*ISO9000対応文書管理システム「ISOLaw」販売開始/*CAE分野でアルテアエンジニアリングと開発提携 (15面)

特集:金融機関のリテール戦略を支援する「CRMS21」

2

ビッグバンの開始以降、日本における金融業界の動きを欧米のそれと比較してみると極めて対照的な姿が浮き上がってくる。アメリカのシティとトラベラーズグループの合併やドイツ銀行によるバンカーズトラストの買収、アメリカにおける大手地銀の相次ぐ合従連衡やユーロ導入を受けたヨーロッパにおける金融コングロマリット化のさらなる進行の兆しなど、欧米の金融業界ではそれぞれ、域内・域外いずれにおいても寡占化の方向でのさらなる拡大均衡に向けた動きが顕著である。これに対し、日本の金融業界をみると、相次ぐ海外撤退、大手外資系金融機関による日本市場への参入急拡大など、海外から国内に向けた縮小均衡の動きが猛烈な勢いで起こっている。こうした金融業界挙げての国内回帰の現象の中で、最近の新しい動きをみると、銀行の投信窓販開始、デビットカードの利用開始、テレホン・バンキングの導入など、圧倒的にリテール金融を巡るものとなっている。このことは、海外から戦線縮小を余儀なくされた日本の多くの金融機関にとって、国内リテール業務が生命線となっていることの表われである。裏返していえば、もはや後がないところまで日本の金融機関はきているともいえる。しかしながら、こうした動きが強まったのは、ここ半年余りであり、それまで長年企業金融を収益の中核に据えてきた日本の金融機関が、リテール業務において十分な戦略的備えと展望を持ちあわせているとは見られない。実際、テレホン・バンキングやインストア・ブランチの展開、外資系投信やデビットカードの導入など、いずれも欧米産のチャネルと商品の性急な導入の裏で、顧客と商品、チャネルを整合的に結び付けた戦略があるのか、既存のチャネルや商品への影響も含め新規投資の採算が十分に練られているのか、疑問である。

リテール金融の展開に当たっては、いずれの金融機関もデータベース・マーケティングを標榜し、ここにきて俄かにIT(情報技術)の重要性に目を向け始めている。しかしながら、これまでの動きを見る限り、データベース・マーケティングの導入が本当にリテール業務の収益向上に繋がるのかについての明確な絵、すなわち本稿の主題でもあるリテール・マーケティング戦略が十分に描けているようには見えない。むしろ、こうした戦略的に曖昧な状態の中で、データベース・マーケティングの構築に見切り発車し、このためシステムの構築自体が自己目的化している例は少なくないであろう。リテール・マーケティング戦略の構築に当たっては、まず顧客分析が必要である。ここで顧客分析というと、すぐに既存顧客の属性、それも一時点における所得や家族構成、保険・年金などの属性分析が頭に浮かぶかもしれない。しかし、ここではむしろ「自社としてどういう個人顧客を収益源とするのか」、すなわち自社の顧客像を明確に定めることの

方が先決であり、重要である。その上で、既存顧客をセグメントし、収益をもたらす顧客とそうでない顧客の間で商品、チャネルなどの差別化を図ることによって、初めて有効な顧客別のマーケティング戦略を構築することが可能となる。いうまでもなく、すべての個人顧客が金融機関に対して収益機会をもたらすわけではない。したがって、自社の経営ビジョンや個人金融マーケットの将来展望と、自社の実際の資源に照らした自社の強み、弱みを踏まえて、顧客ターゲットを定めることが不可欠であり、こうした顧客の絞り込み自体が戦略構築の第一歩にほかならない。

もっとも、ターゲットに該当する顧客は固定化されているわけではない。給与所得の増減や相続などによって顧客が自社にもたらす潜在的な収益性は時間とともに変化していく。その変化は、すべて金融取引(資産運用やローン商品の購入など)を通じて現れる。したがって、取引データを通じて変化を把握・分析し、顧客マーケティング方法を変えていくことが必要となる。これは、取引という顧客の行動を通じた、いわば動態的な属性分析である。店舗、テレホン・バンキング、インターネットなどのチャネルは、取引実行の手段のみならず取引データを集計する窓口でもある。そこで、チャネルの構築について考えてみる。チャネルは、もとより顧客が利便性(時間の節約など)と取引コストのいずれを重視するかによって選択するものである。しかし、チャネルには、①金融商品の供給手段としての機能のほか、先に見たように②顧客情報の動態的把握、さらに③顧客に対する金融などの情報提供、という情報の収集・発信(データベース・マーケティングの媒体)としての機能もある。とりわけ、情報機能の面においては、インターネットなどのデジタル・チャネルは大量データのタイムリーな収集・分析・発信に威力を発揮する。この機能に着目すると、金融機関の側が、金利や金融情報などの差別化によって顧客を自ら意図したチャネルへ誘導し、これによって自社にとって効率的かつ有効なマーケティングを展開し、取引・収益機会の拡大に繋げていくことが可能となる。したがって、チャネルの構築に当たっては、コス

ト効率のみならず、こうしたマーケティング戦略の視点からも十分な検討を行うことが重要である。

今、日本の金融機関が店舗の次のチャネルとしてこぞって導入しているテレホン・バンキングは、ビッグバンの本家イギリスでは、ほぼ10年前に導入されている。そして、イギリスでは昨年秋、大手生保によるインターネット専用の銀行子会社が誕生している。また、一部大手行は、イギリスの衛星放送、日本の総合電器メーカーと組んで双方向テレビの活用に取り組んでいる。こうした流れは、ITや通信技術の発展の流れと軌を一にしているが、一方で金融機関の側からのコンピュータや通信技術革新への主体的な対応も垣間見られる。また、デビットカードの導入や電子マネーへの取り組みも同様の流れの中で生じている。こうした技術発展のプロセスに対応したイギリスの金融機関のチャネルや決済手段の革新に比べると、日本の場合、このわずか1年余りの間に電話やインターネットを通じた金融サービスの提供、電子マネーの実験、デビットカードの導入など技術革新の取り込みが活発化している。確かに、技術革新の伝播のスピードはそれ自体加速度的であり、業界の競争状況を一挙に変える可能性を持っているだけに、技術革新へのタイムリーな対応は重要である。しかし、ホールセール業務に比べれば、つい最近まで商品規制や店舗規制、参入規制の下で長年停滞していた日本のリテール業務は、まだ戦略的には成熟しているとはいえない。こうした状況の下、いずれの技術対応もシステム構築という、まとまった額の投資を伴うだけに、一歩技術の選択、システムの選択が不適切であると、命取りになりかねない。日本の金融機関経営においては、技術革新の取り込みと併行して戦略面での成熟化を図ることが急務である。この意味で、まさに「ITと戦略とは一体不可分」であり、ITに基づくシステム構築は、システム部門の専管領域ではなく、経営や戦略企画部門の中において検討・推進されなければならない。

最後に、リテール・マーケティング戦略を構成するもう1つの要素、金融商品について触れておきたい。規制緩和に伴って個々の金融機関が扱える金融商品は、預金、貸出、有価証券、投信、保険と多岐にわたってくる。どのような商品を扱うかは極めて戦略的な課題である。顧客が望む商品の選択も、チャネルを媒体とした顧客情報の収集が前提である。マーケティング戦略が有効であるためには、すべての顧客に、すべてのチャネルで、同じ商品が提供されるのではなく、一定の切り口でセグメントされた顧客に、チャネルによって必ずしも同一とは限らない商品が提供されることが重要である。そして、こうした戦略に裏付けられたITシステムのみがデータベース・マーケティング上の真に有効なツールとなり得るのである。

1999年2月1日第454号

UN

リテール業務の戦略的備えが急務

顧客の絞り込みが戦略構築の第一歩

コスト効率、マーケティング戦略に則したチャネル構築を

ITに基づくシステム構築が不可欠

顧客、チャネルごとに最適な商品提供を

金融商品の供給�

―CD、ATM�―テレホン・バンキング�―インターネット�―双方向TV

・リモート・チャネル�・フィジカル・チャネル(店舗)

顧客情報の動態的把握�

金融などの情報発信�

チャネル�

相互作用�

相互作用�

顧客� 金融機関�

リテール・マーケティング戦略におけるチャネルの機能

リテール・マーケティング戦略はどう構築されるべきかフューチャーフィナンシャルストラテジー株式会社

代表取締役社長 富樫直記氏

金融機関のリテール戦略を支援する「CRMS21」特 集��

3

金融ビッグバンが本格化していく中で、日本の大手金融機関は一斉にリテール業務の強化へ乗り出している。また、流通業界などの他業態も物販小売りで培ったマーケティング・ノウハウや顧客情報の充実を武器に金融サービス分野に参入することも予想される。一方、地域金融機関は、従来から地域密着型の営業体制をベースに元々の強みであるリテール・マーケットをカバーしてきたが、このリテールのエリアに国内外の大手金融機関、他業態からこぞって参入するため、厳しい競合となることが予想される。特に新規参入者は、得意分野、得意商品に絞ってピンポイントで攻めてくるため、気づかないうちに顧客の流出が起こる危険性をはらんでいる。こうした競合激化に対し、従来型の総合サービスは武器にならない。既存顧客の維持に向けて、顧客満足度を維持しつつ、収益性を上げるための「仕組み」を作らなくてはならない。

コスト削減のみを狙った店舗の統廃合や、リモート・チャネルとしてのテレホン・バンキングなどの対応、あるいは新商品として投信などの品揃えをしても、そこに明確な自社独自の戦略がなければ逆にコスト増を招いただけに終わる危険性もある。 (図1)

このリテール戦略の策定に当たっては、どの顧客に、どの商品/サービスを、どのチャネルで提供し、それをどう顧客に伝え誘導するかという「顧客」「商品」「チャネル」「マーケティング」の4つの戦略構成要素を論理的に結びつけることが重要となる。特に、「顧客」は、リテール戦略要素の要であり、自社にとって収益をもたらす顧客を見極め、いかにしてその顧客に満足を与え、取引を継続、深耕していくかに注力する必要がある。

この顧客を押さえる「仕組み」の構築において、ITの活用が重要なキーとなってくる。IT活用の巧拙は重要な経営課題であり、金融機関変革の起爆剤となる可能性がある。金融機関は顧客情報として、過去からの取引データや属性データなど、すでに大量の「データ」は保有している。重要なのは、その「データ」を価値を生む「情報」にどう転換させるかということである。そこで情報の意味合いを以下の4つの観点から考

えてみたい。①データの質と量

「どんなデータが必要か」「どんなデータが重要か」という観点が必要である。また、集めたデータを何のための情報にするのか、目的を明確にすることが必要である。情報は受け取る相手によってその価値が異なる。自社にとっては何が必要な情報なのか分かっていないと、やみくもにデータを大量に集め、高価なシミュレーション・ツールを使って分析しても、何も結果に結びつかないことになりかねない。②データの信頼性

データが本当に正しいか、鮮度はどうか、更新、追加のサイクルはうまく機能しているかという観点も必要となる。ある顧客の静的な属性を把握しただけでは不十分で、購買行動などの動態的データも必要である。人の好み、行動は時間とともに変化していくからである。データは蓄積された瞬間から陳腐化が始まる。行動を把握、予測し、検証する仕組みを前提とした常にリアルタイム更新を考慮したシステムの仕掛けが必要となる。またデータは勝手に増殖していくため時間がたつと類似したデータを大量に蓄積していくことになりかねない。データの全体量を増やさずにデータの質を高めていくことが必要であり、ロジカル・データモデルが必須となる理由がここにある。③収集の仕組み

データをどうやって、どこからとるかということである。デリバリ・チャネルにしても一方通行型のものもあれば、テレホン・バンキングやインターネット・バンキングなど双方向性が高く、戦略的なデータ収集チャネルもある。また、投資信託、商品ファンドなど外部提携商品を提供したりアウトソーシングする場合も増えているが、この場合、顧客データを把握することすら難しくなっていることに注意する必要がある。④データの寿命

データをいつまでとっておくかということも考慮すべき点の1つである。例えば、解約された口座のデータは解約理由とともに不要なのだろうか。解約データの中にも顧客維持のための貴重な情報が含まれている可能性がある。すなわち情報の使用目的が明確になっていないと、必要なデータを捨ててしまったり、無用なデータを蓄積していくといったちぐはぐな結果になってしまう。

さらに以上の「データ」を「情報」に転換させ、戦略を構築し活用していくためには、判断するための尺度が必要となる。どの顧客が収益性が高いのか、どのチャネルにどのくらいのコストがかかっているのかを把握することが必要となってくる。既存の金融機関は店舗を中心として、すでに複数のチャネルを保有しており、マルチチャネルで顧客に商品サービスを提供している。この場合、チャネルが多くなるごとに顧客の利便性が向上するため、絶対的なトランザクション量は増加してし

まうことになる。顧客満足度を維持しつつ、よりコストの安いチャネルに誘導していくことが必要な理由はここにある。このためには、課題発見、仮説生成、データ収集、仮説検証、実践、評価のマーケティング・サイクルを行いながら、より成功確率の高い顧客マーケティング・アプローチを見つけ出していくことが重要となる。

統合データベース・マーケティング・システムが構築できても、それは始まりに過ぎずゴールではない。地道なデータの収集とそのデータを価値ある情報に転換させ、商品提供し、顧客満足度を高めていく継続的なマーケティングの実践が不可欠である。アーンスト・アンド・ヤング・コンサルティングの実施した企業アンケートによれば、すべてのチャネルから顧客に対し首尾一貫した応答をすることは保証できないと多くの企業が答えており、理由として一番多いのは統合データ・ウェアハウスがないためとの結果が出ている。金融機関はコスト削減のために店舗チャネルからテレホン・バンキングやPCベースのチャネルに転換すべくシステム投資を行ってきている。しかし以上のような理由で、戦略なきチャネル増加はかえって全デリバリ・コストを押し上げる原因になってしまう。したがって、収益を極大化するために必要なITシステムとは、既存顧客の行動を把握し、顧客リレーションを構築するための3つの観点、Retention(顧客維持)、Related Sales(重ね売り)、Referral(顧客紹介)を実現するものでなければならない。今後の金融ビッグバンの大変革時代において、既存顧客をいかに押さえるかが成功のキーであることを述べてきたが、そのためには「顧客」とのリレーションシップに主眼を置いた統合データ・ウェアハウスの構築が必要不可欠なものとなってくる。 (図2)

日本ユニシスはこうした情報システムの課題に応えるため、統合ロジカル・データモデルを中核としたCRM(カストマ・リレーションシップ・マネジメント)ソリューション「CRMS21」の提供を通じ、日本の金融機関の勝ち残りに貢献していきたいと考えている。

ユニシス・ニュース

1999年2月1日第454号

UN

競合激化するリテール・マーケット

収益性向上を目指したリテール戦略の策定を

情報技術で価値を生む「情報」の創出を

顧客満足度・収益性で適切なチャネル選択を

顧客とのリレーションシップに基づく統合データ・ウェアハウス構築が不可欠

チャネル�コスト�削減要請�

コールセンター�テレホン�バンキング�

データベース�マーケティング�情報�

リストラ�人員削減� コスト減�

コスト増�

コスト増�顧客流出�

店舗統廃合�

儲かるリテールの仕組みをどう構築するかデータを情報に転換させる情報システムが必須に

日本ユニシス株式会社LOBマーケティング部金融マーケティング室担当課長 田辺 明

●顧客データ(マーケティングに必要な情報)を整理・統合できる仕組み�

●どのチャネルからも顧客情報を取り出せる仕組み(チャネル統合)

●マーケティング・サイクル(仮説・検証・実行)を実行する仕組み�

●売れる仕組み作り(マーケティング・ノウハウ)

AP

AP

AP

AP

ロジカル・データモデル�

行動用�データベース�

分析用�データベース�

統合データ・ウェアハウス�CRMS21

図2 新たな「儲かる仕組み」の構築に向けて

図1 システム投資の課題

4

社会面、経済面において現在は大変革の時代といわれている。個人・法人を問わず顧客が求める価値の多様化とそれに伴う顧客行動の多様化が社会的、経済的な側面にさまざまな変化をもたらしている。「価値の多様化」は、言われてすでに久しい言葉だが、金融ビジネスにもこの波が確実に押し寄せている。ビジネスの定説が収益に寄与しない局面が多くなっている。従来の伝統的・横並び的なビジネス・プロセスの実行だけでは生き残りが難しくなっている。つまり勘と経験と度胸をベースに一生懸命業務を遂行することは必要条件ではあっても十分条件ではありえない時代になったということである。換言すれば定説型ビジネスから仮説検証型ビジネスへの転換が今まさに求められているといえる。金融機関に収益をもたらすのは商品ではなく顧客である。顧客は金融機関の都合でなく顧客の都合で金融機関と取引を開始したり終了したりする。折りしも金融ビッグバンによって商品とサービスの自由化が進展し、顧客争奪の競合激化は必至の状況になっている。顧客との継続的なリレーションをベースに優良顧客を維持し収益顧客に育て、また一方では収益基盤拡大に向けて新規顧客を獲得することが、ますます重要になっている。これはビジネスの原点回帰を意味する。商品(口座)にフォーカスした現行業務に加えて顧客にフォーカスしたビジネス・プロセスの確立が重要な経営課題となっている。顧客をよく知り、従来のリアクティブからプロアクティブな顧客対応が可能になれば金融機関は顧客との間にWIN-WINの関係を築くことができ強固な顧客ベースを構築することができる。CRMS21(Customer Relationship Management

System)は顧客にフォーカスした統合型マーケティング支援システムである。現状分析・仮説設定・キャンペーン設定・顧客コンタクト・応答分析といったマーケティング・サイクル全般を支援するミッション・クリティカル・データ・ウェアハウスである。

CRMS21は金融機関のCRM(Customer RelationshipManagement:顧客リレーション管理)の実践をトータルにサポートするように設計されている。CRMのビジネス目的は以下の点にある。①顧客維持のプログラムと実行②顧客グローアップのプログラムと実行③新規顧客獲得プログラムと実行④顧客単位に収益が上がるコスト構造への変革(1)顧客統合論理データモデル (図1)

従来、各金融機関における商品(口座)処理の仕組みは、ほぼシステム化されているが、このような顧客処理の仕組みは部分的であり体系化されていないのが現状である。例えば顧客に商品を販売する場合、最適な顧客は誰か/ 最適な商品は何か/ 最適な販売時期はいつか/ 最適な販売チャネルは何か/ 顧客の収益性、信用度はいくらか / 顧客の生涯価値(LTV)はいくらか / 最適なレート・手数料はいくらか / 競合金融機関の販売戦略は何か / 最適なセールス・トークは何か/ 最適な販売担当者は誰か/ 最適なセールス追跡方法は何か/ 最適な担当者業績評価方法は何か、などの要素を明確にする必要がある。実際にはこれらの個別の要素は、さらに要素間で関連を持っている。このような顧客処理の問題を解決するためには顧客処理に関わる管理すべき対象とその関連を明確に識別することが重要である。従来型の部分的、部門的なシステム形態では、その一部が解決されるに過ぎない。CRMS21では顧客に関連するすべての要素を抽出し、それらの相互の関連性を保持し、これを体系化・統合化した顧客統合論理データモデルをその中核に位置付けている。従来型の論理データモデルは一般的にボトムアップ・アプローチ(正規化手法)で作成されることが多く、現行業務の整理が主目的だった。しかし、トータル・マーケティング支援システムのような今後の戦略的システム構築の場合には、このアプローチは有効ではない。CRMS21ではIE(インフォメーション・エンジニアリング)の実践的方法論であるRPLC(リレーショナル・プロジェクト・ライフサイクル・プログラム)をベースにしたミドル・アウト・ア

プローチにより統合的な顧客論理データモデルを構築している。(2)マーケティングとセールス・プロセスのシームレ

スな連携

マーケティングはセールス・プロセスに先行する工程に位置付けられるが、仮説検証型のビジネス・プロセスではセールス上のさまざまな顧客コンタクト情報をマーケティング・プロセスにタイムリーにフィードバックすることが重要になる。これを可能にするためには意思決定支援機能と顧客コンタクト支援機能がシームレスに同期連携する仕組みが必要である。(3)マルチチャネル間のデータ統合

顧客と金融機関とのアクセス・チャネルは従来の営業店(ATMを含む)だけでなく、コールセンター、インターネットなどダイレクト・チャネルが比率を増し重要な顧客コンタクト手段となりつつある。このようなダイレクト・チャネルでの営業形態では顧客の取引相手は営業店ではなく金融機関ということになる。顧客とのコンタクト情報がすべてのチャネルで共有できる仕組みが重要になる。(4)全店ベースでの顧客統合、世帯(法人)名寄せ

CRM実践のための必要条件は顧客の実体を正確に知ることである。顧客満足度は、金融機関が顧客の実体を知っていると感じた時に高まる。また、すべてのチャネルでの顧客コンタクトを可能とするためには全店ベースでの顧客統合・世帯(法人)名寄せ機能は必須となる。CRMS21では名寄せに関して従来の法的な世帯だけでなく、マーケティングの観点で金融行動の意思決定をともにするグループを名寄せする機能を有する。(5)ビジネスルールの設定

従来マーケティング、セールスなどの非勘定系のプロセスは明確な業務遂行のルールがなく、勘と経験と度胸に依存しがちだった。顧客サービスの向上、迅速なマーケティング・サイクルの回転、公正な業績評価などをする上で金融機関と顧客の間の新たな視点の導入が必要になる。CRMS21ではこれをビジネスルールとして定義している。CRMS21のビジネスルールは顧客管理、セールス、マーケティング、採算管理、信用リスク管理のエリアが対象範囲である。

1999年2月1日第454号

金融機関のリテール戦略を支援する「CRMS21」�特

 集��

金融機関向けトータル・ソリューション「CRMS 21」日本ユニシス株式会社

金融EPS営業本部市場開発営業部部長 塩崎敏彦

CRMS21の設計思想顧客にフォーカスした統合型マーケティング支援システム-CRMS21

営業店� ATM テレホン�バンキング�

電子�メール�

コスト�

利用目標�

利用実績�

デリバリ�チャネル�

トランザクション�

取引サマリー�

採算モデル�

口座�サービス�

口座�

商品�

プロモーション�

予想収益�

収益実績�

セールス�目標�

セールス�実績�

担当者�

エリア�

部門�

銀行�

銀行持株会社�

セールス�リード�

顧客�サービス�

顧客�

顧客�グループ�

個人顧客�

法人顧客�

コンタクト情報�

リスク�レベル�

採算モデル�

マーケット�セグメント�

マーケット�セクター��

世帯�

金融�資産�

金融�負債�

金融�資産�

金融�負債�

One fact in one place and One fact to all user

統合論理データベース�

デリバリ�システム�

業務系�システム�

フロント・システム�

バック・システム�

顧客リレーション実行支援機能�

*顧客コンタクト支援�*営業活動支援�*‥‥‥‥‥‥‥‥�

意思決定分析支援機能�*マーケティング分析�*採算分析�*リスク分析�*業績分析�*‥‥‥‥‥‥‥‥�

データマート�目的別業務実行支援�

*‥‥‥‥‥‥‥‥�*‥‥‥‥‥‥‥‥�

*情報交換支援�*全店名寄せ支援�*データ品質管理支援�*データベース構築支援�*データマート生成支援�*データ品質管理支援�*自動スケジュール支援�*‥‥‥‥‥‥‥‥�

共通支援機能�

オペレーショナル�顧客データベース�

統 合�顧客データベース�

メタデータ�リポジトリ�

図1 顧客統合論理データモデル(抜粋) 図2 データ・ウェアハウス・ソリューション論理アーキテクチャのイメージ

5

CRMS21の顧客統合論理データモデルの骨組みはこのビジネスルールをベースに組み立てられている。(6)高度な分析機能

一般的にデータの統計解析やデータマイニングによる分析では母集団の平均的な傾向値が分析されるが、CRMS21では加えて個別の明細データまでドリルダウンできるように設計されている。このことにより顧客分析段階でOne to Oneの対応が可能となり、母集団のさらなる洗練化が可能になる。(7)プラットフォーム・フリー、データベース・フリー

CRMS21は特定のハードウェア、データベースに依存しないオープン環境で稼働するクライアント/サーバ・システムである。このことにより業界標準のハードウェア、データベースの選択が可能になり、投資の効率化、業界標準ソフトの採用などが実現される。(8)システムの段階的拡張性

小さく産んで大きく育てる。これは現実には容易なことではない。勘定系のような業務系のシステムと異なり、顧客系のシステムは金融機関が置かれている状況に応じて段階的にシステムを拡張することが現実的である。初期に構築するデータベースが将来に向けた基本構造を保持していないと拡張段階で多大なシステム変更を伴う。システムの柔軟性・拡張性がなく、いき詰まっている顧客系のシステム事例が数多く見られる。CRMSでは顧客管理のコアビジネス・ビューを中核として段階的にシステムの拡張が可能な考慮が払われている。 (図2)

CRMS21として以下のものが提供される。①LDM(Logical Data Model)=CRMS21の中核となる顧客統合論理データモデル

②CRS(Customer Repository System)=データ・ウェアハウスの構築・保守、リポジトリ管理、フロント・バックの情報交換を行う。

③CRM(Customer Relationship Management)=データ・ウェアハウスに蓄積された顧客関連情報の基本的なメンテナンス、検索・表示および外部システムとの連携を行う。

④SDS(Sales Development System)=一線の営業、およびその管理者をサポートし、顧客コンタクトに必要な顧客・商品情報を提供するとともに活動実績を捕捉する。

⑤MKS(Marketing Information System)、CampaignAdvisor=マーケティング、商品開発、営業担当の各層にマーケット主導の販売戦略立案、およびマーケティング活動全般を支援する。

⑥PMS(Profitability Measurement System)(日本化計画中)=商品採算、顧客採算について総合的な視点に立った採算管理を行う。

⑦RMS(Risk Management System)(日本化計画中)=顧客のリスク・エクスポージャの算出と信用リスクに関わる情報を保持する。

⑧EPM(Enterprise Performance Measurement)(日本化計画中)=CRMS21の各APの分析データをもとに経営層および管理者向けの多次元業績分析を行う。

⑨ビジネスルール=マーケティングからセールスに

わたる広範囲な業務を遂行する上で必要となる管理対象とその関係を定義したもの。

⑩ビジネス・ビュー=マーケティングからセールスにわたる広範囲な業務を遂行する上で必要となるデータベースへのアクセスの視点を定義したもの。16個のビジネス・ビューからなる。

⑪マーケティング・ビジネス・フロー=マーケティングからセールスにわたる業務内容とそのプロセスを定義したもの。

従来マーケティング分野のシステム化においては、広範なインタビューを通じてコンセンサスを得ながら新しいビジネスの目的と価値を定義するコンサルタント指向のアプローチを模索した。しかし多大な時間を要する反面、経営トップの五感に訴えるものでない場合が多く、また新しいビジネスを支える情報システム基盤要件が明確にならないという問題に直面した。結果的にとりあえず現行のデータを集め、各種ツールを当てはめる技術指向アプローチになっていた。CRMS21のビジネス・ディスカバリー・アプローチは統合的アプローチとビジネス指向アプローチを採用している。CRMS21は次の標準的な導入工程を用意している。①ビジネス・アセスメント工程

金融機関のCRMに関わる業務機能を現状認識し、効果的なCRMを実践するために何をすべきかを明らかにする。方法:CRMS21の各種ドキュメントに基づくコンサルテーションを実施する。②ビジネス要件定義工程

ビジネス・アセスメントで案出された解決案を達成するための具体的なビジネス要件を定義する。方法:CRMS21の各種ドキュメントに基づくコンサルテーションを実施する。③次期情報基盤全体構想策定工程

CRMS21と現行システムを含む金融機関全体の情

報システム・フレームワークを策定する。CRMS21ではこの工程は重要な工程と位置付けている。方法:現行システムとCRMS21それぞれのシステム基盤をベースに整合性のある全体システム・イメージを描く。④導入フェーズ・

プラン策定工程

次期情報基盤全体構想を段階的に構築するためのフェーズ・プランを

策定する。方法:システム化優先順位の決定、CRMS21の対応するビジネス・ビューとAPモジュールの決定、導入計画の作成などを行う。⑤CRMS21導入工程

導入フェーズ・プランで策定された範囲のCRMS21モジュールを導入する。方法:CRMS21導入手順に則る。⑥CRMS21の戦略的活用工程

導入されたCRMS21情報システム基盤を用いて戦略的なCRMを実践する。方法:CRMS21として提供される各種ドキュメント、テンプレートに基づたコンサルテーションを実施する。 (図3)

最近、各金融機関で顧客情報システム構築、MCIF構築、コールセンター・システム構築の機運が高まっている。顧客をよく知り、それをベースにビジネスを遂行することは商売の原点回帰を意味するが、これを実行することは一朝一夕にできるものではない。例えば、顧客情報をよりよく知ろうとすれば、顧客と金融機関の間に強固な信頼関係が必要になる。また、顧客からのクレームや要望に対しては顧客がどのチャネルからアクセスしようとも均質な対応が求められる。顧客を中心に見据えたビジネスを遂行するためには、従来の商品中心の組織体制から顧客中心の組織体制への変換も重要な課題となってくる。CRMの実現には統合的な観点に立った顧客情報の充実と業務の仕組みの変革がともに重要になる。CRMS21は従来型の単なるMCIFシステムではなく、マーケティングからセールスにわたる、顧客を中心にした広範囲な業務をサポートする統合型MCIFシステムである。顧客サービスの原点に立ちかえって、新たな視点で顧客情報システムを構築する時にCRMS21は必ず金融機関のお役に立てるものと確信している。

ユニシス・ニュース

1999年2月1日第454号

UN

CRMS21の商品構成CRMS21導入アプローチ

顧客を中心に見据えたビジネスを支援

CRMS(Customer Relationship Management System) ビジネス・ソリューション�

データ・ウェアハウス�エクゼクティブ�レガシーデータ抽出�データマート生成�

データクオリティ�マネージャ�

データ品質チェック�

スケジュール�マネージャ�

プロセス・コントロール�

CRS�顧客リポジトリ管理�

システム�

CRM�リレーションシップ�

管理��

SDS�セールス開発システム�

MKS�マーケティング情報�

システム�

顧客統合論理�データモデル�

OCR(Operational �Customer Repository)

CIW(Customer Information� Warehouse)

フロント�DSS

バックエンド�DSS

インフォメーション�エクスチェンジ�

PMS�採算管理システム�

RMS�リスク管理システム�

EPM�銀行�

パフォーマンス・システム�

経営層�

リテール�部門�

ホールセール�部門�

マーケティング�部門�

商品・チャネル�管理部門�

データマイニング�

ModelMAX�IDIS

多次元解析�

Oracle Express

統計解析�

SAS

地図情報�

MAPInfo

非定型検索�

GQL �Business Object

�当システムではビルディング・ブロックの考え方を取り入れており、階段的な導入が可能�

コールセンター�

インバウンド�

アウト・

バウンド� デリバリ・

チャネル�

インター�

ネット�

DM・�

ファックス�

渉外�

支店・

テラー�

その他�

図3 ミッション・クリティカル・データ・ウェアハウス「CRMS21」

6 1999年2月1日第454号

韓国華(はな)銀行は、1991年に短期投資会社が母体となって設立された新しい銀行である。設立後間もない金融機関であるにもかかわらず、急速な業績伸長を達成し、総資産312億ドル、職員数3,200名に成長し韓国内で7位にランクされるほどになっている。同行では、95年に“ニュービジネスとサービスを創出できるセールス&マーケティング部門の競争力強化”を狙いに、顧客リレーションシップ管理の実現、高収益性の確保、リスク管理部門のシステム化など戦略的分野のシステム化に取り組んできた。まず、業務領域分析を行い、次のようなシステム要件を掲げた。*マーケット・ビジネスの変化に対応して顧客リレーションシップ管理の強化とデータベース・マーケティング、ターゲット・マーケティング機能の実現*顧客リレーションシップ管理の強化による差別化されたマーケティング戦略の展開*統合された全行的なデータ・ウェアハウスの構築による多様な分析と予測機能の実現*国際化、開放化に対応できる先進的マーケティング・ビジネスの導入上記のような要件を満たすベンダ数社のパッケージの中から、マーケティング部門に特化された統合ソリューションとしての高い実績に加え、韓国UNISYS社の国内金融システム構築経験とサポート体制を評価し、CRMSを導入し、マーケティング戦略支援システム「SIS」(Strategic Information System)の開発に着手した。97年4月から業務分析、システム設計、プログラミングを経て、98年5月に業務単位でのテストおよび総合テストを完了し、運用を開始した。開発期間は約14カ月、約40~60名の工数で、通常の開発コストの30%に抑えることができたという。

SISの中核となるのがCRMSの統合ロジカル・データモデルに基づくデータ・ウェアハウスである。顧客データベースであるCIW(Customer InformationWarehouse)には97年1月以降の約60万件の顧客データおよび約560万件の口座データなどを格納している。これらのデータは、各部門のDSS業務専用データベースOCR(Operational Customer Repository)、

OLAP(分析用データベース)に取り込まれ、それぞれ必要に応じて顧客データの検索、分析に適用されるこれらのデータベースをもとに、マーケティング管理、原価管理、与信管理、顧客管理、セールス開発に必要なデータを抽出・分析が可能となっている。

(図参照)

こうした仕組みによって、次のような点を可能にしている。*マーケティング管理(顧客リレーション管理/セー

ルス&マーケティング管理)

・統合された顧客の情報をもとに多様な分析機能を駆使して迅速、正確な意思決定情報を提供

・マスマーケティングからターゲット・マーケティングが可能な環境の提供

・全行的なマーケティング/キャンペーン方式を標準化・統一化して重複を回避

・顧客取引メーン化により顧客維持と取引の深化*与信管理

・個人信用評価、リスク・プレミアムレート、リスク・エクスポージャの算出結果、担保/保証人などのデータをもとに総合的な与信管理を実現

・与信構造分析、与信ポートフォリオ管理、資産健全性管理、貸損率分析などを通じて、与信資産運用の現状に対して多角的な分析

*マネジメント&コントロール(収益/コスト管理)

・口座、顧客、商品、組織別の原価管理による収益

管理の徹底と店別、職務、業務別のジョブ分析・商品別、サービス・チャネル別、トラザクション、デリバリ・チャネル別の収益分析・原価および収益中心の営業マインドの強化*データ・ウェアハウス

・データ分析、検索時にさまざまなツールを活用した情報管理、ダイナミック分析、報告書作成、情報提供・OLAP業務専用データベースとDSS業務専用データベースの分離によるクエリ・パフォーマンスの効率性増大

*システム基盤

・基盤環境にオープンなUNIXシステムを採用・大量データのロード/アンロード用並列処理ツールの採用・OLTP、DSSなどの採用と効率的なトランザクション処理を可能にするシステム構成

華銀行ではCRMSを活用したSISの構築による効果、特徴として次の点を挙げている。①顧客の取引実績、取引行動形態、収益/原価、与信リスクなど、顧客および市場に関するすべての情報を多様に加工、分析できる全行的な統合データ・ウェアハウスを構築できた。②顧客への最適な商品、サービス、金利の提供、顧客との関係強化とロイヤリティの向上によって収益増大を図れる仕組みを実現できた。③システム構築に投資した費用を短期間(構築後2~3年以内)に回収できるマーケティング戦略支援システムを構築できた。具体的な効果例は下表のとおり。なお、CRMSは、華銀行の他、米銀のファストシカゴ-NBDをはじめ、メリーランド銀行やカナダのバンクオブモントリオールなど、世界各国で稼働実績を持っている。 UN

Enterprise Marketing Analysys & Planning本部/Center

CMS�(信用管理)

MKS�(マーケティング管理)

Marketing�Department/Centers

Call Centers�Centralized�Customer Service

PMS�(受益管理)

COST�(原価管理)

OLAP�(データ分析)

CRM�(顧客管理)

SDS�(セールス開発)

BMS�(営業店管理)

営業店�

MKS�(マーケティング管理)

Branch Marketing Analysis & Planning

OLAP�(データ分析) Right on�

Target

Right on�Target

・Data Extract�・External Marketing Data

OCR

Operational �Customer�Repository Information �

Exchange

CIW

Customer�Information �Warehouse

OLAP�(分析用DB)

Intranet�(Web)Data Warehouse

Logical Data Model-CRS

Marketing�Information

Branch Platform�Sales Development

Relationship Mgmt�Private Banking

CRMSでセールス&マーケティング部門の競争力強化を図る

迅速・的確なマーケティング情報で収益増に寄与

データ・ウェアハウスを核に多様な分析機能を提供

金融機関のリテール戦略を支援する「CRMS21」�特

 集��

韓国華銀行CRMSによる「マーケティング戦略支援システム」を構築

マーケティング戦略支援システム概要図

◇マーケティング・主要収益源であるVIP顧客の拡大、およびターゲット・カスタマへの展開による預金量/収益の増大・多次元分析による商品開発、商品企画、金利、マーケット/セールス戦略のタイムリーな立案と意思決定支援・顧客取引のメイン化による顧客維持と顧客数の拡大◇与信管理・与信管理業務量の約30%を節減・リスク・プレミアムレート管理を通じての収益増大(信用与信の年平残0.3%)・対外報告書作成業務量を削減し、作成期間を4~10日を1~2日に短縮

◇マネジメント管理・原価分析を店別、職員別業務にも適用し業務の効率化を実現・最適なデリバリ・チャネル・ミックス戦略を展開しサービスコストを低減・動産・不動産など物的資源の効率的再配置による資本/経費予算の節減・本支店利子率の管理と価格(利子など)設定の改善による収益増大・低マージン資金を高マージン資金で転換し、資金および収益性構造を改善◇データ分析・各部門ごとの処理を全行統合管理することで業務量を約80%節減

・勘定系オンライン、バッチによる各種還元資料業務量を約80%節減・OLAPによる多次元分析の実現およびプログラム開発/保守維持の業務量を節減し、80%以上の生産性向上を実現・多様なデータ分析(OLAP)とデータマイニング環境の構築により、ビジネスニーズの変化にタイムリーに対応◇システム基盤・オープン・システムの採用によるサードベンダの多様な最新技術の活用機会の増大・CRMSの採用で初年度導入費用を当初予想より約12億ウォン(1億2,000万円)節減

マーケティング戦略支援システムの効果例

7

ユニシス・ニュース

1999年2月1日第454号

今までの営業店や渉外などのチャネルには、コストや効率、物理的な距離、リソースの確保に問題点と限界がある。そこで、この問題を解決するための重要な役割を担うのがコールセンターである。商品やサービスの差別化がますます困難となってきている今日、せっかく獲得した顧客が「サービスが悪いため」離れていく現実を直視し、顧客との永続的関係作りを目的とした、顧客リレーション維持、強化が経営上の重要な戦略的命題となってきている。これを実現するのがOne to Oneサービスであり、「個客」別最適サービスを提供するインターネットをも取り込んだマルチメディア対応コールセンターであるが、それを具現化するのが「カストマ・インタラクション・センター」である。

日本ユニシスは、米国通信最大手、MCIWorldCom社の25年にわたる自社コールセンターとアウトソーシング・センター運営のノウハウ蓄積に基づいた、最新のコールセンター・コンサルティングの提供を開始した。これは、コールセンターのシステム構築のみならず、コール・プロセス、要員教育、運営管理、施設などコールセンター運営要件の全側面でのコンサルティングを提供するもの。戦略的武器としてのカストマ・インタラクション・センター運営を目指す場合、コストを上げずにサービスを強化するという相反する命題を実現するには、顕在化している問題を解決するとともに潜在的改善の余地を見出し、その改善策を実施する日本ユニシスのコンサルティングが、サービス強化、ひいては顧客満足度向上という

競争力強化と差別化への近道を提供する。

コールセンターを「カストマ・インタラクション・センター」のレベルに近づけるためにコンサルティングが必要かどうか、自社コールセンターの状況を振り返っていただきたい。もし放棄呼率(電話が繋がらず顧客が諦めてしまう率)が高かったり、エージェントの離職率が高かったり、忙しいエージェントと暇なエージェントが見受けられたり、顧客の問い合わせに対し通話で返答が完結していなかったり、という状況があれば、今一度運営の基本に立ち返り、コールセンター運営目標KPI(Key Performance Indicator)とのギャップを分析し、サービス・レベルの目標設定値を見直し、再度コール量/仕事量の予測を修正し、人員配置とスケジュールを再設定し、目標達成基準、評価尺度をオープンにし、徹底する必要があるはず。これをお客様企業自身でできればよいが、もし無理ならば私ども日本ユニシスのQMC(QualityManagement Consulting)コンサルタントの出番である。まず、1週間をかけてお客様企業のコールセンターでインタビューや調査分析を行い、具体的な改善実施策を提案する。また、その際に予想改善効果と対投資効果を明示し、それを十分に検討、納得いただいた上で、改善策を一緒に十数週間かけて実施し、目に見える効果を出す。これが日本ユニシスのコンサルティングである。提案だけを提出するのでなく、実現に向けての個々のプログラムの設計、実施までをお客様企業と一緒に行い、確実なノウハウ移転ができることになる。単なるコンサルティングでなく、インプリメンテーションを行うわけである。

顧客との接点として従来の電話と同等か、それ以上にWebホームページや電子メールが、顧客の好むチャネルとして好感される予感がある。また、このチャネルはサービスの向上とコスト低減の点からも重要なチャネルとなりつつある。これからのコールセンターは顧客とのやり取りに、電話やFAX、手紙でも、またWebホームページや電子メールなどイン

ターネット経由でも、顧客が自由にチャネルを選択できるものでなければならない。“One to Oneサービス”の考え方は、どのようなアクセス・チャネルでも等しく「個客」の期待以上のサービスを提供できることであり、家庭へのインターネットの普及が爆発的に進んだ折には、現状

の電話応対のレベル以上のサービスが、インターネットを通じてでもできないといけない時代となることを意味している。カストマ・インタラクションにいかにインターネットが役立つかという新しい機能を2例紹介する。(1)クリックアンドコネクト(Click'n Connect)

マルチメディアPCを利用している顧客が、Click'n Connect機能を組み込んだWebホームページにアクセスし画面上の指定されたボタンをクリックすると、センターのライブのオペレータと対話ができるという最新の技術。オペレータは顧客と同じ画面を見ることができるほか、顧客のPCに「この商品はいかが」と画面をリモート・アクセスすることもできる。顧客の自宅の電話線1本でインターネットと音声電話の両方を可能にする画期的なもので、インターネット対応のセンターには是非欲しい新機能。(2)電子メール・マネジメント・システム (Automated

E-mail Routing & Management System)

電子メールの応答に自動化をもたらす新技術で、コールセンターでの電子メール処理では、コストと最適サービス提供のためには必須となるもので、基本的には3つの機能からなる。①「電子メール頂戴しました。○○までに回答します」などと受領メッセージを自動返信②電子メール文中の単語を基にデータベースに照会し、自動的に回答を作成し送信③自動回答ができない難物の電子メールのみ、適合スキルを持ったオペレータに転送以上2例は今年、注目される新技術であり、システム・インテグレータとして日本ユニシスは、これら先進技術のコールセンターへの提供を図るとともに、インターネット対応のコンサルティングはもとよりWebページ作成ツールやセキュリティ、データベース、CTIなど、インターネットによるカストマ・インタラクション・センター構築に必要な統合的サービス提供する。

◇戦略的チャネルとしてのカストマ・インタラクション・センターでの「個客」サービスの提供に向け、日本ユニシスはワールドクラスの経験と実績を持ったコンサルティングと、総合的なシステム・インテグレーション、サービスを提供する。

“コールセンター”運営の最適化のために

よりよい「個客」との関係作りのために

コンサルティングが必要か?

インターネット時代に備えるために

電話�I VR

部門 5

部門 1

部門 2

部門 3

部門 4

全社一元�個客�

データベース�

75

75

48

48

郵便�FAX

10

2

Web�電子�メール�

15

50

75%現利用シェア�

48% 18カ月後の予測�

すべての�アクセス�

One to One�フィルター�

MCIWorld Com予測による�

CRMS実現のためのワールドクラスのコールセンター運営日本ユニシス株式会社

ソフトウェア事業企画部MCIプロジェクト 島田秀夫

図2 One to Oneサービスを実現するカストマ・インタラクション・センター概念図

UN

図1 コールセンター・コンサルティングのメニュー

*品質管理コンサルティング

(Quality Management Consulting)

センター運営やプロセスに焦点をあて、明確な達成目標に向かっての高効率のサービス提供を支援

*施設構築コンサルティング

(Facility Planning Consulting)

地域、立地から建物、部屋、什器の選定など、施設のみでなく働きやすい環境作りを支援

*人材開発コンサルティング

(Workforce Development Consulting)

採用、研修、志気向上、サービス品質管理など、人的リソースの開発、維持を支援

*技術評価コンサルティング

(Technology Assessment Consulting)

ACD、IVR、CTIやデータベースなど、インターネットを含む最適な技術的ソリューション選定導入支援

*統合化/新設コンサルティング

(Consolidation and Growth Management Consulting)

立地や災害対策など種々要素を勘案し、既設センターの統合/分散、新規構築を全般支援

8

同行営業企画部課長代理曽我部和正氏は、「銀行は顧客情報を大量に保持しているが、それらを一元化し、さまざまな切り口から検索・分析することにより、自行や地域の特性に合った商品開発、営業推進策、店舗戦略を展開していくことが喫緊の課題となってきた。つまり、お客様1人ひとりの情報を分析して、何を求めているかを把握・予測し、生きたマーケティング活動に結びつけることが必須となってきた」と語る。このため、同行では、①競争力のある商品の企画開発、推進施策の企画立案および効果確認を行う、②高コストを要するリテール・マーケットに対して効率的で満足度の高いローコスト・オペレーションを実施する、この2点を当面の狙いにデータベース・マーケティング・システムを構築することになった。

本システムを活用するのは、営業施策・商品開発を立案する営業企画部、支店をサポートする営業推進部、店舗戦略を立案する総合企画部、ダイレクト・マーケティングを担当するネット

ワーク事業室の4部室。新システム導入に当たり、この4部室が中心となって、データベースのあり方や利用方法など徹底的に協議した。その際、超並列サーバでの構築と、ユニシス提案のUNIX機をベースとする情報系構築基盤システム「BRaMS」での構築かの選択が問題となったが、TCO削減やサーポート力、使いやすさの観点から「BRaMS」が採用された。つまり、「BRaMS」の持つ次の機能が高く評価された。①勘定系・情報系システムで発生したデータを蓄積して核となる顧客情報データベースを容易に構築できる②マーケティングの視点となる「顧客」の詳細データや管理基準となる店・地区・担当者などの管理計数も時系列に保有することで、効果的なデータベース・マーケティングの展開が図れる

新システムは、データベース・サーバ「US1000U」とPCクライアント「Aquantaシリーズ」5台からなるC/Sシステムで、図のような仕組みとなっている。採用ソフトウェアは表のとおり。今回はリテール・マーケティング強化を主眼としているため、個人顧客および個人事業主を対象に顧客データベース(MCIF)化を図った。具体的には、勘定系・情報系システムの既存データベースの中から顧客の属性情報や取引履歴などのデータを世帯単位、銀行単位で全店名寄せし一元化した。さらに、外部情報の地図データやコールセンターを運営しているダイレクト・マーケティング・センターでの顧客との対応履歴なども取り込み、最大25カ月保有するようにした。そして、*商品別・属性別・チャネル別の顧客取引情報分析による商品の企画立案

*金額階層、メイン化、取引振りなどセグメンテーションによる営業推進策の策定

*市場データを加味した各種目標値の設定や営業キャンペーン策の決定

*顧客特性に合わせた店舗企画の立案とエリアマーケティングの展開

③初心者でも必要な情報をGUIベースで容易に検索・分析できる

④条件検索などの基本機能に加えクロス集計、多段階集計機能、時系列推移表作成などデータベースの検索に必要な機能をすべてカバーしている。

*全店ベースでの収益(採算)分析などを可能にしている。

本システム構築による効果について曽我部氏は次のように語っている。「お客様との取引推移の把握はもちろん、新商品を発売した時、お客様がどのような反応を示したかまで確認できるようになった。また、属性情報、取引内容、チャネル別などさまざまな切り口での検索・分析が可能になったので、どのようなターゲットにどのようなキャンペーンを実施したら良いかセグメントできる。さらに外部の地図情報システムとの連携により、町丁目単位での取引内容も把握でき、地域ごとに的を絞ったエリアマーケティングも可能となった。その結果、これからのリテール戦略に不可欠なお客様への一層の深耕が可能になった」。

今後は、このデータベース・マーケティング・システムを使って顧客1人ひとりに新商品案内やキャンペーン情報などを得意先のハンディ端末や営業店端末、ATMなどのチャネルで伝えるチャネル・ミックスによる営業推進策を図る考えである。また、分析能力の向上と共有化で戦略マーケティングを推進するマーケティング・グループの創設、個人顧客情報のみならず法人データベースの構築、さらに営業店への情報開示なども検討している。

1999年2月1日第454号

UN

伊予銀行金融ビッグバンの到来による競争激化に勝ち抜いていくために、地域金融

機関は、その利を活かして顧客1人ひとりの顔が見える営業推進活動が求め

られている。伊予銀行では、こうした時代背景を受け、C/S方式の情報系構

築基盤システム「BRaMS*」を導入して「データベース・マーケティング・システ

ム」の早期構築を実現し、顧客1人ひとりのニーズに合わせた商品開発やキャ

ンペーンへの活用を開始した。

本システムの構築には日本ユニシスが全面的に当たった。

■株式会社伊予銀行◆愛媛県を地盤とする地方銀行で、3カ年計画「チャレンジプラン to 21」に基づき「経営基盤の強化」「資産の健全化」「リスク管理の強化」「自己資本の充実」を強力に進め、お客様から信頼される地域ベストバンクを目指し着実な活動を展開している。

◆本店=松山市南堀端町1

◆代表者=麻生俊介頭取◆預金量=3兆1,529億円(98年3月)◆店舗数=160店◆従業員数=3,218人(98年3月)◆使用機種=エンタープライズ・サーバ「UNISYS2200/320」、UNIXサーバ「US1000U」、 UNISYS PC「Aquanta」など

「データベース・マーケティング・システム」で戦略的営業推進を展開

情報系構築基盤システム「BRaMS」の導入で早期開発を実現

金融情報システム

顧客1人ひとりの顔が見えるデータベース・マーケティングが必須に

TCO削減やサポート力を評価しユニシスの「BRaMS」を選定

データベース・マーケティング・システムの概要

リテール戦略に不可欠な顧客の深耕が可能に

今後はチャネル・ミックスによる営業推進策などを検討

〈ホスト〉�勘定系�

情報系�

情報系DB

勘定系DB

外部情報�

日本統計センター�

MCIF

〈本部〉�

〈ダイレクト・マーケティング・センター〉�

〈汎用検索・分析〉�☆顧客取引状況分析�☆セグメンテーション�☆各種目標・推進施策への活用�☆店質分析�☆ターゲット分析�☆エリアマーケティング�☆収益(採算)分析�

☆店舗企画�

☆キャンペーン設計�☆情報の収集・洗替�

当システムの実現範囲�

顧客情報の収集�

得意先�(ハンディ端末)

店頭�(営業店端末)

セールス・メッセージの表示�   情報入力�

セールス・メッセージの表示�情報入力�

セールス・メッセージ�の表示�

A T M

チャネル・ミックスでのセールス展開�

全 店 名 寄 �顧 客 属 性 �取 引 振 り �対 応 履 歴 �

〈営業店〉�

[注]*BRaMS:Branch Relationship ManagementSystem(本部・営業店情報系構築基盤システム)

伊予銀行本店

曽我部和正氏

主な採用ソフトウェア

データベース・マーケティング・システムの概念図

■サーバ(US1000U)SOLARIS2.5.1ORACLE7.3BRaMS■クライアント(AQUANTA)MS-WindowsNT WS 4.0MS-Office95PROMS-Visual Basic4.0SQL*Net V2.2BRaMS-PCADS

9

am/pmジャパンは、必要な場所で、必要とされる商品やサービスを提供する「LifeLine On Demand」の実現を企業経営の根幹に据えている。この使命を実践するための前提として「環境によい、からだによい、地球にやさしい」をコンセプトとするE志向(EcologyEarth Effort)を掲げ、これに基づくチェーン作りを進めている。LifeLine On Demandを具現化したサービスとして、電話1本で店舗の取り扱い商品をお届けする「デリス便」を展開、競争激化のCVS業界の中で順調に実績を上げている。同社では95年にNetwareサーバを中心としたPC-LAN、96年にWindowsNTサーバ、UNIXサーバによるデータベースを構築し、各店舗、支店・エリアFC本部などとネットワークで結びPOSデータの検索・分析を中心とした本部系システムを構築し、運用している。一方、店舗数は1,000店を超え、同

社の差別化戦略の1つであるデリス便の拡大に対応していくために、“個”の情報を収集し、その分析情報を活用した新しいマーチャンダイジングを展開できる仕組みづくりを目指し、新情報系システムの構築を急いでいる。さらに新情報系システムの実を上げるには、PCの活用による情報共有化、グループウェア、インターネットの活用などOA環境の整備を重要課題とし

こうしたシステム化戦略を具体化するために、新情報系システムの構築を日本ユニシスに、新情報系システムのバックボーンとなる情報共有基盤の構築、運用管理をユニアデックスに、さらにインターネット活用基盤構築と運用管理を日本ユニシス情報システムにそれぞれアウトソーシングした。情報システム部ゼネラルマネージャー鈴木君男氏は「情報システム部の陣容は現在9名の少数精鋭で対応している。スピーディーなシステム開発と安定したサービス提供のために、アウトソーシングの重要性が増してきた。日本ユニシスをパートナーとして選定したのは、提案内容を通じて、当社の考え

て取り組んでいる。

方、業界の動向などに熟知し、総合的なコンサルティング力を評価したからである」と語っている。

同社では約200台のPCを配備し、情報共有化を進めている。しかし、その運用管理においては、機器の保守契約、ソフトウェアごとのサポート契約、激変するシステムへの対応、また、PC1人一台環境でPCを使いこなすためのユーザ教育などに、限られた人員でユーザニーズに対応するには限界がある。少数精鋭のスタッフでシステムの拡充・強化、情報活用環境の整備を図るには、情報システム部門の作業負荷軽減が必須である。そこで同社では、ネットワークからC/Sシステムの運用までトータル・サービス専門会社であるユニアデックス(日本ユニシス・グループ)が提供するネットワーク運用管理支援サービス「NetMAN」および分散システム運用管理・利用者支援サービス「HelpMAN」に注目し、運用管理業務をアウトソーシングした。am/pmジャパン本部のサーバおよ

びルータなどのネットワーク機器はユニアデックスの東京CSC(カストマ・サービス・センター)でリモート監視し、24時間/365日の円滑運用を支援している。これにより、運用管理コストの削減、障害発生時のダウンタイムの最小化を図っている。また、約200台のPC、それに付随す

るプリンタなどの機器の障害受付、一次切り分け、ベンダへの修復手配と修復確認なども行っている。一方、エンドユーザの円滑な情報活用を図るため、PC周りの操作については東京CSCのヘルプデスクセンターで一括対応している。問い合わせ件数は月間平均100~120件、昨年7月開設以来、件数の増加だけでなく、質問内容も高度化しているという。鈴木氏は、「月報を見ると質問内容が濃くなってきておりスキルの向上がうかがえる。ヘルプデスクは情報リテラシ向上に大きく寄与している。また、従来は情報システム部門担当者が交替で対応していたが、ヘルプデスク・サービスの導入で本来業務に専念でき、難解な質問にも即回答され、ユーザからも好評である」と語っている。

さらに、インターネット活用に当たっては、日本ユニシス情報システムに基盤構築および運用管理をアウトソーシングした。これは、日本ユニシス情報システムのアウトソーシング・センター内にam/pmジャパン用のインターネット・サーバを設置し、U-netSURFによるインターネット・バックボーンへの接続と運用管理を行うサービスである。こうした基盤のもとで、am/pmジ

ャパンでは、ホームページを利用した情報受発信により、事業内容や商品/サービス内容を告知するとともに、消費者からの生の情報を受信し積極的に商品開発やサービス展開に反映させている。

総務部広報グループの川島 典子氏は「当初はキャンペーン時のPR媒体としてホームページを活用していましたが、多数のメールが寄せられ、お客様とのコミュニケーションの場として活用する方向に転換しました。お客様の生の声をイントラネット環境に取り込み、各部門の人々がPCで見られる仕組みの準備も進めています。また電話1本で店舗の扱い商品を宅配するデリス便のメニューカタログをWeb上に載せ、リアルタイムに注文を受けるサービスも検討中です」と語っている。

ユニシス・ニュース

1999年2月1日第454号

UN

am/pmジャパンでは、情報基盤の強化を目指して新情報系システムの構築

を進めており、そのバックボーンとなる運用管理およびインターネット活用

基盤などを日本ユニシス・グループにアウトソーシングし、基盤整備を図っ

た。

■株式会社am/pmジャパン

◆1990年4月に(株)ジャパンエナジーを母体として設立。業界で初めて取得した「ISO14001」を基本に環境に配慮した商品づくりや、電話1本で取り扱い商品を宅配する「デリス便」など、斬新な発想による業態開発などにより、飛躍的な実績を上げているCVS。

◆所在地=東京都千代田区一番町13-1◆代表者=秋沢志篤社長◆店舗数=チェーン全体1,045店(98年12月)◆売上高=1,390億円(98年3月期)◆従業員数=407人(98年4月1日)

情報活用基盤を整備新情報系システムの構築を推進

日本ユニシスがグループ挙げて全面的に支援

流通情報システム

am/pmジャパン

新しいマーチャンダイジングに基づく戦略を展開 少数精鋭で情報化戦略を展開

ユニシス・グループ各社のサービスを活用し情報活用環境を充実

インターネット活用基盤も整備

ユニアデックス�

センタホスト�

ネットワーク�コンピュータ�

センタホストFEPファイルサーバ�分析サーバ�

・・・�

・・・� ・・・�・・・�

東京カストマ・サービス�センター�

リモート監視センター�

ヘルプデスク�センター�

インターネット�U-net SURF

日本ユニシス情報システム�

アウトソーシング�センター�

ドメインWeb

支店・エリアFC本部�

9拠点�1,045店�

ストアコントローラ�

各店舗�

センター�am/pmジャパン本部�

INS64

新情報系サーバ�

鈴木君男氏

川島典子氏

am/pmジャパンネットワーク構成図

10

昨年12月に東京ビッグサイトで開催されたOracleOpenWorld1998で分散オブジェクト推進協議会のCORBAブースは2日間で約8,000人を集客した。出展内容はCORBAの機能を具現化したORB製品のデモンストレーションが中心であったが、立ち見が出るほどの盛況で、CORBAが企業情報システムの

基盤として大きく期待されていることを感じた。SYSTEMν[nju:](システム・ニュー)はCORBA2.0準拠のTransactional ORBとして1997年4月Ver3.0を発表して以来、現在Ver3.2に至っている。SYSTEMν[nju:]が今後どのような方向に進もうとしているか以下に記述する。

CORBAは米国で生まれ発展してきた技術である。1989年にCORBAの国際標準制定団体であるOMG(ObjectManagement Group)が発足して以来、現在800社以上の企業がこの団体に参画して仕様を決定している。発展した理由は大きく次の2点である。第1点は、M&Aで企業の買収や合併が日常茶飯事に発生する米国において、早急に新しい企業情報システムを立ち上げるために古いシステムを結合して新しいシステムを稼働させる技術としてである。第2点は、開発者、特にプログラマ

が不足する状況でソフトウェアの部品化や再利用を実現するオブジェクト指向技術をネットワークや異種プラットフォーム上の情報資源に適用してその資源を透過的に利用する技術として発達してきた。米国と比べると日本のCORBA市場は遅々として進んでいなかったが、バブル崩壊後の企業連携や合併、情報化投資に対するコストの削減要求、CORBAと親和性の高いインターネットやJavaの発達は、CORBAの実業務における適用を促進させている。

ユニシスのSYSTEMν[nju:]は、分散された情報資源を有効に結合させる非トランザクション型のORB機能を持ったミドルウェアとして開発された。その後市場のニーズや大規模基幹系への適用も視野に入れてTPモニター機能が付加、強化された。Ver3.2をもって基幹系業務に必要と思われるTPモニター機能の実装を完了した。SYSTEMν[nju:]の開発方針は、国際標準のCORBA仕様を遵守するもCORBAに定義されていない基幹系業務に必要な機能を実装することである。図にシステム・インフラの要件とCORBAの仕様領域を示す。図中のCORBA仕様以外の機能をSYSTEMν[nju:]はどのように実装されてきたか、機能性、効率性などの観点で一部紹介する。*機能性

基幹系業務の重要機能はトランザクション機能である。SYSTEMν[nju:]はこの機能をX/OpenDTPモデルで実現している。CORBAにはCORBATransaction Service(OTS)の仕様が定義されているが、使用実績、効率性から判断してX/OpenDTPモデルを採用した。トランザクション処理で既存のデータベースのようにSYSTEMν[nju:]の標準データベース以外も対象にしなければならない時、ERI(Embedded

Resource Interface)機能で実現できる。*効率性

効率面で負荷分散は重要な要素である。SYSTEMν[nju:]は独自技術でロードバランス機能を実装している。またスレッド・プーリングと呼ばれる技術でスレッドの確保と終了に要する処理時間を削減させている。なお、ロードバランスとスレッド・プーリングはOMGにて検討議題に上がった項目である。*信頼性、拡張性

ノーダウン・システムを目指して

SYSTEMν[nju:]は障害時にリソースを自動的に切り替える機能を提供している。またオペレーションのトレース機能などでユーザの障害追求を支援する。その他メッセージング機能で送られたメッセージを確実にサーバへ到達させるために障害が発生してもメッセ

ージを復旧させ相手先を監視し自動再送する。また拡張性として、クライアント数やトランザクション量の増加に対するリソースの増加(例えばTCP/IPのコネクション数)を永続オブジェクトのプロキシ化によってを抑制している。

今後のSYSTEMν[nju:]の開発方針と提供機能は、国際標準としてオープン性の向上、インターネット、Javaを利用したビジネスの拡大、NTプラットフォームの基幹系への適用、アプリケーション開発や運用の効率向上などの背景や要求に基づいて決定される。*CORBA仕様の遵守

昨年SYSTEMν[nju:]は分散オブジェクト推進協議会のIIOP相互接続実験に参加しCORBAの技術的連携を実証してきた。今後、昨年末より、すでに開始されている第2回のトランザクション(OTS)接続実験を成功裏に終了させ、さらにその相互接続性を高めていく。またCORBA2.2への標準実装も併せて実施しオープン性を高める。*NTプラットフォームへの対応

日本ユニシスはeNT(enterprise NT)サーバとソフトウェア、サービスを組み合わせて各種ソリューションを提供していく。その中でアプリケーション・サーバ機能を視野に入れた企業の基幹系業務向けソリューション・セット(TRXPlus)でSYSTEMν[nju:]が中核ソフトウェアに位置付けられる。そのために必要なDCOM、MTS、MSMQ、SQLサーバとの連携機能を提供する。またeNTの堅牢性を高めるためのクラスタリング対応機能も提供する。*開発容易性、保守容易性の追求

SYSTEMν[nju:]のIDLマッピング

はC++、COBOL、Javaをサポートしている。この中で大規模開発体制や言語の習熟性を考慮してCOBOLによるサーバ・プログラム開発を推奨している。クライアントはWEBを利用したケースの拡大が予想され、WEBクライアントの開発支援ツールを提供する。さらに重要なことはCORBAの上流から下流まで一貫した開発方法論とそれを支えるCASEツール、支援ツールの定義である。SYSTEMν[nju:]の開発環境は、オブジェクト指向とDOA型を融和した開発方法論とCASEツール、テンプレート機能を持ったプログラム作成支援ツールを一体にして提供される。またデバッグや保守で必要なトレース機能、IDL修正の局所化などが基本機能として提供される。*運用環境の充実

SYSTEMν[nju:]は単独で運用管理機能を装備しているが企業情報システム全体運用の中で調和を図るために運用管理ソフトウェア向けの標準インタフェース(SNMP/MIB対応)を提供する。上記新機能の提供は、開発環境が99年初頭から、CORBA2.2やeNT対応の新機能は、Ver3.3として99年度第2四半期から順次リリースしていく予定。

◇日本ユニシスは長年企業の基幹系業務の構築に携わりノウハウを蓄積してきた。この経験を踏まえて感じていることは、基幹系業務で使用するソフトウェアはお仕着せの機能を提供するだけでは不十分で、業務や顧客のニーズに対応したきめ細かいサポートの必要性である。またインターネットの利用や企業のグローバル化に伴い企業情報システムが365日24時間ワールドワイドに使用される機会が増えている。このような状況でソフトウェア提供側のサポートの重要度が高まり責務は大きくなってきた。日本ユニシスはOMGのContributingレベルの会員として仕様決定に参加し、SYSTEMν[nju:]を自社で開発することによって当事者能力のあるサポートを提供してきた。今後とも製品の充実とサポートの強化を図る所存である。

1999年2月1日第454号

UN

分散オブジェクト技術が拓く新しい企業情報システム日本ユニシス株式会社

ソフトウェア事業企画部分散オブジェクト推進室長 鹿毛 公

IT最前線

企業情報システム基盤として期待集まるCORBA

実用期を迎えたCORBA

SYSTEMν[nju:]が提供してきたミドルウェア・ソリューション

1999年の開発方針と提供機能

実行環境�

開発環境�運用環境�

柔軟性�

運用容易性�

信頼性�

効率性�機能性�

拡張性�

開発容易性�

変更容易性�

CORBA仕様(カッコ内はCORBA3.0仕様)

動的APの変更�AP間の整合チェック�

連続運転中の�-動的環境の変更�-DBメンテナンス運用支援�

エージェントプラグイン�

IDL�versioning

標準化支援�分析/設計支援�プログラム自動生成�デバッギング支援�本番/テスト環境の分離�移行支援�言語マッピング�

(EJB対応)

サービス増加に伴う必要リソース抑制�-TCP/IPコネクション数�-DB接続セッション数�

既存DBのアクセス�

メッセージング�

トランザクション� オブジェクトの永続化�

IIOP相互運用�COM連携�(Firewall)Naming�

(Messaging)�(Persistent Object)�Security�Event �Query �Relationship�Lifecycle�OTS

IIOP通信負荷軽減�スループットの高速化�サーバへの負荷分散�

(Load Balance) �(Thread Pooling)

障害の局所化�迅速な復旧�

(Fault Tolerant)

(SNMP)

障害監視�

エラー情報、�ログの明解性�簡易な操作性�運用の自動化�

CORBA

システム・インフラの要件

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システムの可用性を高めるテクノロジーにクラスタリングがある。これは複数のサーバを1つのグループにまとめてクラスタ化し、あたかも単一のシステムのように動作させる技術である。クラスタソフトは、クラスタ内サーバの連続的なモニタリング、障害の検出、リカバリ、切り替えなどの基本機

能を持つ。これによりクラスタ内サーバで障害が発生した時に、他のサーバが障害発生サーバの処理とデータを引き継いで(フェイルオーバ)、システム停止時間の短縮を図る。クラスタリングの構成には、サー

バ・ディスク種別、サーバ間通信、アプリケーション・データ格納方法など多様な組み合わせがある。

日本ユニシスではWindowsNTシステムの高可用性を実現するソリューションとして、業務の規模と形態に応じて最適なクラスタ構成が選択できる3種類のNTクラスタ・プロダクトセットと高可用性の導入・構築に関する各種サービスを一体化した「NTハイアベイラビリティ・ソリューション」を提供している。①ミラーディスク型フェイルオーバ・

クラスタ

第1はVinca社のCo-Standby Serverによるミラーディスク型フェイルオーバ・クラスタで、図1のように2台のサーバがそれぞれのアプリケーションを実行しながら常に互いを監視し双方のアプリケーション・データをミラーリングする。一方のサーバで障害が発生すると、他方のサーバがデータと処理を引き継ぐ。サーバは自データと相手データ(ミラーデータ)を内蔵ディスクに保存するので、規模が大きくなるとデータ保存量に制限がでるので比較的小規模

で単機能なメール/ファイル/プリント・サーバなどに適する。②共有ディスク型フェイルオーバ・ク

ラスタ

第2はマイクロソフト社のClusterServerによる共有ディスク型フェイルオーバ・クラスタである。図2のように双方のサーバで共有するSCSIディスク上にそれぞれのアプリケーション・データを格納。通常時は各々のサーバから個々のシェアードSCSIディスク・データにアクセスするが、一方のサーバまたはアプリケーションに障害が発生すると、他方のサーバにアクセスを切り替えて、処理とデータを引き継ぐ。アプリケーションごとのデータは、共用の外付けディスクに格納する。サーバ障害のみならずアプリケーション・レベルでのキメ細かいフェイルオーバが可能であり、比較的大規模なデータ量も扱えるのでデータベース・サーバ、トランザクション処理サーバ、Webコンピューティング・サーバなどに適している。

③並列型負荷分散クラスタ

第3は並列型負荷分散クラスタである。これは、オラクル社のOracleParallel Serverをベースにしたもので、図3のように複数のサーバが1つの業務をプロセス(インスタンス)レベルで分担して並列実行し、クラスタの全サーバでデータベースを共有する。クラスタ内のサーバ障害時には、他サーバへ動的な処理の移行によって可用性を高め、また接続クライアント数、業務処理量の増大に対しては、データベースを再構築することなく、単に同等クラスのサーバを追加するだけで容易に対応できるスケーラビリティを実現する。データ・ウェアハウスや大規模トランザクション処理など本格的な大容量/高速データ処理を要する大規模な業務システムに適している。④サービス

NTハイアベイラビリティ・システムの円滑な構築、導入のために以下のサービスを提供している。*クラスタ・システム設計コンサルティング・サービス業務システムをクラスタ化するために必要な設計支援を行い、確実にクラスタ・システムを実現できるように支援する。*クラスタ・システム基本導入サービスクラスタセットを構成する全ハード

ウェアのインストール*クラスタ・システム付加導入サービスクラスタ関連ソフトの導入と環境設定およびクラスタ・システムの基本動作確認。これらのクラスタ・プロダクトセットは、パートナー各社の最新クラスタ・プロダクトとユニシスの業務システムに対する技術・経験・ノウハウとの連携によって実現しているまたクラスタ・プロダクトセットは、ユニシスのNTサーバおよびディスクなどのハードウェア・プラットフォームと組み合わせたシステムとして、事前にクラスタ・ソフトウェアなどとの適合性を実証・検証した上で顧客に提供している。NTハイアベイラビリティ・ソリューションの活用により、複雑なクラスタ構成を意識することなく、安心して、短期間で、容易にクラスタ・システムの導入が可能となり、当該システムでの業務システムの安定運用に寄与できる。日本ユニシスはWindowsNTによる企業情報システムの構築進展に向けて、今後もNTシステムの高可用性の要求に柔軟に対応する各種クラスタ・プロダクトセットとサービスの充実と拡大を図っていく。

ユニシス・ニュース

1999年2月1日第454号

UN

WindowsNTのハイアベイラビリティ・ソリューション日本ユニシス株式会社

プログラムマーケティング部ビジネス企画室部長 沢田勝男

IT最前線新技術動向

最近のグローバル・ビジネス化やリアルタイム・マネジメントのための迅速な情

報要求の高まりは、業種・業態を問わず可用性(アベイラビリティ)の向上が広く求

められるようになっている。システム・ダウンは企業の機会損失を引き起こして利

益損失に直結することになるため、高可用性は業務システムでは必須となってき

た。

本稿では日本ユニシスが提供するWindowsNTシステムの高可用性ソリューショ

ンについて紹介する。

日本ユニシスが提供するNTハイアベイラビリティ・ソリューション

クラスタリングによる高可用性の実現

構成図�

サーバ�1�

App.A

サーバ�2�

App.B

DB-A DB-B

DB-B�(ミラー)

・サーバ� Aquanta DS/2B����・データディスク� 内蔵ディスク����・ノード間通信� ServerNet� (Compaq社)

DB-A�(ミラー)

相互ミラーリング・ディスク�

ソフトウェア�

・WindowsNT Server� 4.0 SP3� (Microsoft社)��

・Vinca Co-Standby� Server(Vinca社)

ハードウェア�

図1 クラスタ・プロダクトセット構成①

構成図�

サーバ�1�

App.A

サーバ�2�

App.B

・サーバ� Aquanta QS/2 �     QR/2 �     DR/2� �・共有データ・ディスク� OSR5000� OSM3000��・ノード間通信� Fast Ethernet

ソフトウェア�

・WindowsNT Server� 4.0 E.E� (Microsoft社)���

ハードウェア�

DB-A

DB-B

共有ディスク�

・Microsoft Cluster � Server1.0� (Microsoft社)��

図2 クラスタ・プロダクトセット構成②

構成図�

・サーバ� Aquanta QS/2 �     QR/2 �     �・共有データ・ディスク� OSR5000��・ノード間通信� ServerNet Card および� ServerNet Switch� (Compaq社)

ソフトウェア�

・WindowsNT Server� 4.0 (Microsoft社)��・Oracle8 .E.E &� Parallel Server Opt� (Oracle社)��・ServerNet / OSD� (Operating System� Dependent)� (Compaq / UNISYS社)

ハードウェア�

DB-A

共有ディスク�

App.A

1 2 3 4

2または4サーバ�

図3 クラスタ・プロダクトセット構成③

12 1999年2月1日第454号

今や、情報システムが有効に機能することが企業経営を左右する状況になってきている。したがって、情報システム再構築を行う前に業務の仕組みを経営戦略との対応において見直し、その企業にとっての「あるべきビジネス・システム」を作り上げる業務改革が、企業の健全な発展にとって極めて重要となる。TEAMprocessは業務改革の中核を担うビジネス・プロセス(以下、プロセス)再設計を行い、経営戦略に合致した情報システム再構築に繋げるための方法論である。TEAMprocessは、業務改革を「顧客満足獲得による競争優位の確立を目指

して、プロセスを根本から見直し、革新的なプロセス再設計を行い、ビジネス上の問題(コスト、品質、スピード等)の劇的な改善を図る活動」と定義している。ここでいう「プロセス」とは部門ごとの作業の流れではなく、顧客からのインプット(例えば注文)に始まり顧客へのアウトプット(例えば納品)に至る企業全体を通じての業務の流れを指しており、業務改革においてはプロセス再設計と併せて組織体制、管理や評価の仕組み、情報システム、企業文化などの変革も重要であり、TEAMprocessはこれらの変革全体を実現するための方法論である。その構成は図1のとおり。

(1)準備フェーズ

準備フェーズでは、以下のことを行う。①再設計の対象とすべきプロセスの範囲を決める。②再設計を行うための体制および実行計画を作り上げる。再設計の対象プロセスの範囲を決める上で重要なことは、経営戦略、企業の置かれている環境や状況、およびそれらに基づく重要成功要因(CSF)やビジネスの視点から見たプロセスの目標(あるべき姿)を反映させることである。再設計の実施体制は、実際に再設計を行う「実施チーム」、実施チームの活動を支援し進捗を承認する「ステアリング・コミッティ」、再設計とそれに伴う各種の変革を円滑に実施させる「変革マネジメント・チーム」の3つのチームで構成される。(2)現状分析フェーズ

現状分析フェーズでは、以下のことを行う。①再設計の対象プロセスの現状を正確

に把握する。②その結果を踏まえて、プロセスの問題点と根本原因を明らかにする。③プロセス再設計の目標を立てる。プロセスの現状を定量的データで客観的に捉えることが、プロセスの問題点を正しく認識するために必要であり、このフェーズでは3つの視点からプロセスの現状を把握する。*顧客がプロセスをどのように評価し、どのような期待を持っているかを、アンケート、ヒアリングなどの調査によって明らかにする。*プロセスにどれだけのコスト(人や時間)がかかっているか、無駄な作業、重複した作業、付加価値の低い作業がないかなどを調査・分析する。*ベンチマーキングを行い、プロセスの実行方法、プロセスの実行に伴うコストなどを同業他社や業界水準と比較する。次に、CSFやプロセスの目標とプロセスの現状との差異(ギャップ)をプロセスの問題点として抽出し、問題点を

グルーピングし、根本原因を絞り込む。そして、再設計

フェーズにおける目標(プロセスをどのように、どのレベルまで再設計するか)を立てる。(3)再設計フェーズ

(図2参照)

再設計フェーズでは、以下のことを行う。①プロセス再設計を行う。②再設計したプロセスを評価する。③プロセス再設計に伴う、組織体制や仕組みに対する変革、情報システムに対する要求事項を明らかにする。プロセス再設計とは、プロセスの問題点の根本原因に対する解決策を策定することである。解決策の策定においては、まず、現状に捉われず成功事例(ベスト・プラクティス)などを参考に、大胆な発想を持つことが重要である。そして、情報技術(IT)の活用を中心に考える。業務改革におけるIT活用の重要性は、BPR(Business ProcessReengineering)の提唱者であるM.ハマーやT.ダベンポートも力説しており、IT活用なしに劇的なプロセス再設計は実現できない。グループウェア、ネッ

トワーク(インターネット、EDI:Electronic Data Interchange)、ナレッジ・マネジメントなどは業務改革を推進するキーITといえる。(4)実施フェーズ

実施フェーズは、再設計したプロセスを実行に移し定着させることを目指す。実施にあたっては、まず特定部門や特定顧客セグメントなどに限定して試行適用し、その結果を踏まえて調整を行った上で、全社的に適用していくことが、リスクを回避する上でも望ましい方法である。また、適用にあたっての阻害要因を早期に発見・排除し、円滑な実施を図るために、変革マネジメント・チームの強力な支援が重要である。

TEAMprocessによる業務改革の成功のためには、以下の点がポイントとなる。(1)業務改革はミドルアップ・トップダ

ウンで

業務改革のニーズは現場管理者の日常管理活動の中から出てくるものが、最も取り組みやすい。そして、そうしたニーズを経営トップが理解し、強力な支援の下に業務改革を推進することによって、業務改革活動がスムーズに展開でき、再設計されたプロセスの適用も円滑にいく。(2)コミュニケーションと変革マネジメ

ント・チームの重要性

業務改革は、プロセス再設計や種々の変革が実際に実行され、効果を上げて始めて、成功したといえる。業務改革は、担当者にとっては仕事のやり方、評価の仕組みなどが変わることになり、実行に際しての抵抗が予想される。また、組織の役割も変わるので、組織の抵抗も考えられる。したがって、業務改革の意義・効果について、管理者や担当者に十分かつ納得性

のある説明を早い段階から行い(コミュニケーション)、実行上の阻害要因を早期に取り除く(変革マネジメント)ことが重要である。(3)適切なルートマップの設定

TEAMprocessの標準的ステップは前述したとおりであるが、その適用にあたっては、業務改革のテーマ、対象企業の状況、再設計の活動期間などによって、個々にステップを設定することになる。これがルートマップであり、準備フェーズでのルートマップの設定の良否が業務改革の成功に大きく影響する。(4)業務改革は継続的活動

業務改革は一度実施しただけでは、その効果を十分に発揮させることはできない。実施した業務改革の成果を評価し、同じプロセスに対して新たな視点から業務改革を行うのか、新たなプロセスを対象に業務改革を行うのかなどの方針を決め、新たな業務改革に繋げることが重要である。継続は力なりである。 UN

TEAMprocessを活用した業務改革の進め方日本ユニシス株式会社

アドバンストコンサルティンググループシニアコンサルタント 小野修一

サービスアドバンスト・コンサルティング・サービス(19)

業務改革の意義とTEAMprocess

TEAMprocessの構成

TEAMprocessによる業務改革のポイント

①準備� ②現状分析� ③再設計� ④実施�

・経営戦略、企業を取り巻く内外環境、重要成功要因を明確にする。�・再設計の対象とするプロセスの範囲を設定する。�・再設計の対象とするプロセスの優先度を設定し、プロセス再設計の戦略を立てる。�・プロセス再設計の実施体制を作る。�・プロセス再設計の計画を立てる。�

・現行プロセスに対する顧客の評価、ニーズを調査、分析する。�・現行プロセスの達成度(コスト、付加価値など)を調査、分析する。�・ベンチマーキングを実施する。�・現行プロセスの問題点と根本原因を整理する。�・プロセス再設計の目標を設定する。�

・プロセス再設計のコンセプトを明確にする。�・プロセスの再設計を行う。�・再設計したプロセスの評価を行い、最善の再設計策を選定する。�・プロセス再設計に伴う組織や仕組みの変革、および情報システムに対する要求を明らかにする。�

・試行リリースを行う。�・試行リリースした再設計プロセスの評価を行い、必要であれば調整を行う。�・必要な対応(組織、仕組み、情報システム)を行う、あるいは計画する。�・本格的移行を行い、制度化する。�・次のプロセス再設計、継続的プロセス再設計を計画す

図1 TEAMprocessの構成

現状分析�

顧客ニーズ�プロセス達成度�情報活用状況�

あるべきビジネス・システム�

実現�

経営戦略� 企業を取り巻く�内外環境�

重要成功要因(CSF)

業務プロセスの変革�

業務の仕組みの変革�

組織体制の変革�

情報技術の活用�

情報基盤�

AP/DB 構造�

情報活用体制�

情報リテラシ教育�

情報システム運用体制�

図2 業務改革における情報技術の活用

13

ユニシス・ニュース

1999年2月1日第454号

TeamQuest Baselineは、システム資源のキャパシティ(容量と能力)、取り扱う業務の量、その業務のサービス・レベル(レスポンス・タイムとターンアラウンド・タイム)のバランスを、現在はもとより将来にわたっても最適に維持管理するためのツールである。TeamQuest Baselineは、監視対象の業務サーバ上で稼働するTeamQuestBaselineとクライアントPC(監視端末)上で稼働するTeamQuest Viewから構成される。メインフレームやUNIX、NTサーバなど異機種を含んだ複数の監視

対象サーバからTeamQuest Baselineによって種々の稼働状況データ*を採取し、1カ所のクライアントPCでTeamQuest Viewによって一元的に、また時系列でグラフィカルに見て分析することができる。 (図1参照)

監視対象サーバとしては、HMP IXシリーズ(2200ノード、NTノード)/シリーズ2200、WindowsNT、USファミリ、HPシリーズおよびHMP NXシリーズ/HMP LXシリーズ/Aシリーズ(ただし、TeamQuest SMFⅡが別途必要)が可能である。 (図2参照)

クライアント/サーバ型のシステム形態の普及とともに、メインフレームだけで

なくUNIXサーバやNTサーバなども基幹業務の一翼を担うようになってきている。

分散・連携により複雑化し、多様化する企業情報システムを運用するシステム部門

にとって、利用部門や顧客に対するサービス・レベルを、ある許容範囲内に維持管

理し、業務の停滞を未然に防ぐのは容易ではない。業務が停滞すればコストにも

影響が及び、利用部門や顧客からの信頼も失うことになりかねない。

TeamQuest Baselineは、現行稼働しているシステム群を日々監視し、その稼働

状況を分析・評価するためのツールである。分析結果に基づいたチューニングが可

能となるばかりでなく、蓄積された稼働状況データは将来の業務量、その時のサ

ービス・レベルと必要なキャパシティの予測に利用でき、計画的な資源管理を行う

ことができる。

*システム稼働状況のリアルタイム監視

プロセッサ、メモリ、ディスクなどの稼働状況を各種グラフ形式でリアルタイムに表示できる。*履歴データによる傾向分析

データベースに蓄積された統計データを使って稼働状況の履歴を分析することにより、長期にわたるシステム稼働状況の傾向(周期的な変動、継続的な増加/減少など)を把握できる。*複数システムの同時監視

複数の監視対象サーバにTeamQuestBaselineをインストールしておけば、1カ所のTeamQuest Viewクライアントからそれらのサーバの稼働状況を同時に監視できる。*データ収集時間、収集間隔と保存期

間の任意設定

データの収集時間、収集間隔、保存期間を任意に設定できる。リアルタイムな状況監視用には1分ごとにデータを収集して最新の6時間分を保存するとか、長期保存用には1時間ごとにデータを収集して1年分保存するなどの使い方ができる。*ワークロード分析

ワークロード単位(使用者、グループ、アプリケーション、リソース使用量などシステムの業務負荷を論理的に

意味のある業務単位に分類したもの)でのシステム・リソースの消費量などをわかりやすいグラフ形式で表示できる。*しきい値とアラーム

性能データ項目単位にしきい値を設定でき、これを超えるとシステム・コンソールおよびTeamQuest Viewのアラーム・テーブルに警告が発せられる。また、アラーム・テーブルからはドリルダウン機能を使うことで容易に警告発生時のシステム性能分析を行うことができる。*相関関係分析

データ項目間の相関関係を求めて表示することができ、問題の発生について因果関係のある項目を見つける手段となる。*派生統計エントリ(データ項目の使

用者定義)

計算式を用いて新たなデータ項目を定義でき、これを使った表示と分析ができる。*使用者データ・プローブ機能

TeamQuest Baselineが標準にサポートする性能データに加えて、使用者が定義した任意の時系列データをBaselineデータベースに取り込むことができ、柔軟な性能分析が可能である。

ル情報、デッドロック発生情報、使用されたコモンバンク情報)の監視・分析およびUNIX、NT上のORACLEなどのデータベースの性能分析ができる。(ただし、HMP IXシリーズの2200ノード、シリーズ2200の場合はTeamQuestProbesが別途必要)*ネットワーク性能データの監視

NTサーバ上のネットワークI/Fカー

*データベース・

システムの性能

分析

HMP IXシリーズの2200ノード、シリーズ2200上の大容量記憶装置の空き状況やUDSデータベースの稼働状況(稼働中/待ち状態のスレッド情報、アクセスされたファイ

ドを経由するネットワーク性能データにより、ネットワークの稼働状況を監視できる。*SNMPトラップ・アラーム

UNIXおよびNTシステムでは、アラーム・アクションとしてSNMPトラップを受け付ける管理コンソールへトラップを送信することができる。

リアルタイム監視機能によって、次のような効果を実現できる。*システム負荷状況をタイムリーに把握できる。

*操作員が状況に応じて投入するランを調整できる。

*システム負荷状況と各業務の相関を把握でき、システム資源を有効に利用できる。また、履歴データを使った傾向分析、ワークロード分析、相関関係分析によって、次のような点が可能になる。*システム・リソース消費状況や負荷

状況の傾向を把握できる。*システム・パフォーマンスのボトルネックを発見できる。*機器増設の必要性を判断できる。TeamQuest Baselineは、システム開発段階、運用段階さらに将来計画において、開発コストの削減、計画的で安全なシステム運用、不必要な投資の削減をもたらす。 UN

LAN

USファミリ�HPシリーズ�

Windows NT�HMP IXシリーズ�

(NTノード)��

HMP IXシリーズ�(2200ノード)�シリーズ2200

サーバ�

Baseline DB Baseline DB Baseline DB

クライアント�

Windows PC

データ参照�

*:オプション�

効率データの収集・保守�

Baseline Baseline*� Baseline*�

効率データの収集・保守� 効率データの収集・保守�

View

マルチプラットフォームのキャパシティを管理するTeamQuest Baseline

TeamQuest Baselineの主な機能

システム効率管理ツール「TeamQuest Baseline」複雑・多様化する企業情報システムの最適運用に向けて

日本ユニシス株式会社商品企画部HMP-IX企画室担当部長 嶋田俊幸

IT最前線

主な導入効果

[注]*HMP IXシリーズの2200ノードおよびシリーズ2200で収集するデータには、SIP、I/Oトレース、システムログ、HVSTATログ、MAPPERアカウントログ、TELCONCenlogがある。

図1 画面例

図2 TeamQuest Baselineの接続形態

14 1999年2月1日第454号

今までとは異なるものの見方をするための鍵は「バリューチェーンでモノを見る」ことにある。バリューチェーンとは、事業の流れを構成する各要素とそのつながりのことであり、「価値連鎖」ともいう。分かりやすくいえば、メーカーでは商品開発をし→生産→在庫→卸・小売などの流通業者を経て→消費者の手元に渡るまでが1つのバリューチェーンとなる。このバリューチェーンの中で、「最も価値を生んでいるのは何か」「成功優位を築くための障壁は何か」、あるいは「最もムダの多い部分はどれか」など

が目のつけどころになる。以下の5つのチェックリストに従って、バリューチェーンを見直し、自分の事業の将来を「デコンストラクション」視点で是非見直していただきたい。①バリューチェーン全体の中でコストの割に価値の低いところはどこか②自社の事業は顧客のバリューチェーンの一部か全部か③自社の事業でネットワーク化によって影響を受けるのはどこか④現在の戦略的資産のうち、負債となるものはどれか⑤どのような新しい活動・能力が必要になるか

先進国間の資金流動に対する規制の壁は、どんどん消滅しつつある。この中で、資金の出し手側は、受け手企業の国籍にかかわらず、同一の基準で投資先・融資先を選別するようになってきている。スタンダードを満たしていない企業は、事業の継続・拡大に必要な資金をタイミングよく確保することができず、企業間競争の土俵にすら乗れなくなってしまう。

財務面のグローバル・スタンダードを満たしている企業は、外銀からの融資や海外市場での直接調達といった形で、十分に資金調達できているのも事実である。将来ビッグバン後に生き残った日系金融機関も、グローバルな選別基準を用いることになり、スタンダード以下の日本企業は、遅かれ早かれ土俵に乗れないプレーヤーとなってしまう。

さて、土俵に乗れたとしても、それだけで勝負に勝てるわけではない。グローバル・スタンダードのもう1つの本質は、資本主義の根本、すなわち優勝劣敗のルールが適用されるということである。では、優勝劣敗の時代を勝ち抜くためには、一体何が必要なのだろうか。60年代の創立以降、競争戦略とその実行に特化してきた立場から、ボストン・コンサルティング・グループがこの

問いに対して出せる答は、「差別化、差別化、差別化」ということにつきる。差別化といっても、ただ単にユニークな商品を作るということだけではない。競争戦略上の差別化、言い換えれば「他人と違った闘い方」を作り上げていくことが必要なのだ。資本主義のルールの下では、「他人と違った闘い方」をイノベートし続けるプレーヤーだけが、勝ち続けることができる。

規制緩和、情報システムの進化、それに伴うネットワーク化など、過去に類を見ない大きな変化がものすごいスピードで進行している。この中で、既存の事業モデルが破壊され、過去のエクセレント・カンパニーが凋落していく一方、次々と新しいタイプの事業が創造されてきている。こうした事業モデルの破壊と創造を我々ボストン・コンサルティング・グループは「デコンストラクション」と呼んでいる。デコンストラクションをビジネスの世界に当てはめれば、「従来当たり前だと思っていた事業の定義や競争ルールも、今までとは異なる視点から捉え直せば、新しい定義や新しいルールに生まれ変わらせることができる(=新しい独自の戦略立案が可能になる)」ということだ。デコンストラクションをビジネスに応用し成功した欧米の2つの事例を紹介しよう。◆“クラシファイド・アド”(3行広告)

に特化した新事業

新聞社は、取材する~記事を書く~印刷する~配送するという巨大なコストセンターを、広告と購読料の収入で支えている事業である。従来の事業モデルでは、記事の質によってブランドを築き、(日本のように拡販員を使ったりはしないが)一定

規模以上の購読者数を確保することが、典型的戦略になっている。ブランドと規模があれば、広告単価も上がるし、印刷・配送コストもスケール・メリットで低下する。その結果、収益基盤が強まれば、取材サイドに再投資も可能となり、品質を保っていけるという仕組みだ。ところが、デコンストラクションの視点で見直してみると、違った見方も可能になる。例えば、新聞を「ページごとの独立事業の集まり」として再定義してみよう。欧米の新聞の場合、いわゆる3行広告だけでできている「クラシファイド・アド」というページで利益の相当部分を稼ぎ出しており、記事中心のページは大赤字、企業広告の多いページはやや黒字という程度に過ぎない。何らかの方法で「クラシファイド・アド」だけを抜き出した事業モデルが作れれば、記事を報道するために必要なコストなしで、利益を出していける。実際に英国などでは、「クラシファイド・アド」だけの媒体を作り、既存の大新聞に対して、新しい戦略で闘う企業が現れている。日本でもリクルートが「じゃマーる」という個人情報誌を出しているが、これを「新聞のクラシファイド・アドとの競合策」として絞り込んだ形で、事業展開しているのだ。インターネットを利用して、同様の

事業展開を狙う企業もどんどん増加しており、既存の大新聞にとっては、従来まったく予想もしていなかった「記事のない事業モデル」が大きな脅威となりつつある。◆“マスチャネル・マス広告”で成果

を上げた百科事典事業

エンサイクロペディア・ブリタニカという最強の百科事典会社が、PC用CD-ROMに手ひどくやられたのも、同様の事例の1つだ。ブリタニカは、百科事典としての品質とブランドを基に、1セット2,000ドルもの高額商品を歩合制セールスマンが売り歩くという戦略をとっていた。これに対し、新たな競合としてマイクロソフト「エンカルタ」が登場した。PC用CD-ROMの形で、50ドルという低価格戦略をとり、時には、PCやCD-ROMドライブに実質上「おまけ」添付されるようなこともやり始めた。当然、この値段では歩合制セールスマンを食わせることはできるはずもなく、一般の大量消費財のように「マスチャネル・マス広告」型の闘い方をとった。ブリタニカ側から見れば品質の劣る「エンカルタ」が好調に売れ始め、自社

果は惨澹たるもので、最終的にブリタニカは会社ごと身売りする羽目に陥ってしまった。◆デコンストラクション型の新戦略で

21世紀を勝ち抜く

このように、デコンストラクション型の新しい戦略を生み出し、新規競合が既存プレイヤーをあっという間に危機に陥れてしまう例がどんどん増えている。これらは日本の経営者にとっても、無縁な話ではない。従来型の闘い方で成功してきた企業ほど、「新しい闘い方」の競合に対して無力なものだ。もし、自社がそんな伝統的企業なら、経営者としては「デコンストラクションという視点で見ると、自社にはどんな弱みがあるのだろう」「どんな新種の競合が登場する可能性があるのだろう」「それに備えてどんな手を打つべきだろう」ということを早急に問い直す必要がある。逆に、新規分野で既存企業と競争しなければならない企業ならば、デコンストラクションの視点から、どういう「新しい闘い方があるのだろう」ということを考え抜かねばならない。

の売り上げ自体も落ち込んできたため、ブリタニカは慌てて1,000ドルの価格でCD-ROM版を投入した。従来からの「歩

合制セールスマン依存」の闘い方を変えきれなかったので、これ以上低価格で出せなかったのだ。当然ながら、結

UN

財務面でのグローバル・スタンダードで“土俵に乗る”

「競争戦略上の差別化」で優勝劣敗の時代に勝ち抜く

新しい独自の戦略立案を可能にする「デコンストラクション」

バリューチェーンでモノを見る

デコンストラクションで勝負に勝つボストンコンサルティンググループ

マネージャ 御立尚資氏

ハード・OS・アプリケーション�まで一気通貫�・過去のIBM

全国カバーの免許を持ち、�大口企業荷主のオーダーを�効率的に輸送�・過去の日通�

競争の少ない地域を選んで�精度の高い地図を作り、次�第にカバー範囲と規模を拡�大する�・過去のゼンリン�

一部の機能を提供することに�特化し、デファクト・スタン�ダードとなる�・マイクロソフト(OS)、� インテル(CPU)�

個々では採算の悪い顧客に�特化し、それに適した事業�モデルを作る�・クロネコヤマト宅急便�

コンテンツの新用途を開発�し、自らの事業モデルを作�り変える�・現在のゼンリンのカーナビ� 向けデータベース事業�

従来の闘い方� デコンストラクション型の闘い方�

コンピュータ�

荷物輸送�(トラック)�

住宅地図�

デコンストラクションから生み出される闘い方

UNISYSユーザの皆様へ�2000年問題�

今すぐ点検を始めてください��

西暦2000年問題は、すべての情報�システム、プログラムのチェックが必要�

です。2000年まで11カ月を残すのみとなりま�した。日本ユニシスの情報提供をもとに、今す�ぐ点検・対応を始めてください。詳しく�は下記ホームページをご覧ください。�http://www.unisys.co.jp/year2000/

日本ユニシス�西暦2000年対応ソリューション�

15

日本ユニシスは、部門NTからエンタープライズNTまでカバーするPCサーバ「AQUANTA(アクアンタ)」シリーズのラインナップを一新した。新ラインアップは、*高性能・高可用性(ハイアベイラビリティ)を追求したハイエンド4-wayサーバ「Aquanta QR/2」(ラックマウント型)「Aquanta QS/2」(スタンド型)

*高性能・低価格を両立した4-wayサーバ「Aquanta QR/2V」(ラックマウント型)「Aquanta QS/2V」(スタンド型)

*レベルを超えた信頼性と拡張性のあるミッドレンジ2 - w a yサーバ「Aquanta DR/2」(ラックマウント型)「Aquanta DS/2B」(スタンド型)の6機種で構成される。これら全機種がペンティアムⅡ、またはペンティアムⅡ・ジーオン(Xeon)を搭載しており、シリーズ・ラインナップの一新で、より高性能な製品を幅広く提供できることになった。AQUANTAシリーズは、日経コンピ

ュータによる顧客満足度調査の製品に関する満足度で6項目にわたって第1位の評価を受け、その優秀性が実証されている。日 本 ユ ニ シ ス は 本 年 6 月 、

WindowsNTの企業レベルへの適用に向けた取り組みを「エンタープライズNT(略称:eNT)戦略」として体系化し、本格的な取り組みを開始しており、今回、インテル・アーキテクチャに基づくサーバ・ラインナップを一層強化し、エンタープライズ市場におけるWindowsNTの適用をより積極的に推進する。各機種の特徴と価格は以下のとおり。●Xeon搭載4-wayハイエンド・サーバ

「Aquanta QR/2」「Aquanta QS/2」

AQUANTAシリーズの最上位機種で、これまでPCサーバでは困難とされてきた大規模なデータベース処理、トランザクション処理に適している。本体価格は基本モデルの「Aquanta

QR/2U」が420万円から、「AquantaQR/2」510万円から、「Aquanta QS/2」が410万円から。●Xeonを最大4基搭載可能な低価格PC

サーバ

「Aquanta QR/2V」「Aquanta QS/2V」

高性能と低価格を両立させているハ

イエンド・サーバである。本体価格は基本モデルの「Aquanta

QR/2VU、同QS/2VU」が204万円から。「Aquanta QR/2V、同QS/2V」は338万円から。●高可用性を実現する高性能ミッドレ

ンジPCサーバ

「Aquanta DR/2」「Aquanta DS/2B」

AQUANTAシリーズのミッドレンジPCサーバで、クラスタリング技術に対応し高可用性を低価格で実現した。部門レベルのデータベース・サーバ、トランザクション・サーバとして、また全社レベルでの大規模メール・サーバ、Webサーバに適している。本体価格は基本モデルの「Aquanta

DR/2U」が145万円、「Aquanta DR/2」が260万円、基本モデル「Aquanta DS/2BU」が135万円、「Aquanta DS/2B」が270万円。

日本ユニシスは、Microsoft社のグループウェアExchange Serverをベースとした、操作性に優れたWeb対応グループウェア・アプリケーション「Ex-Web」(イーエックス・ウェブ)の販売を開始した。近年オフィスにおいては、OA化が進む反面、多機能によるソフトウェア操作の複雑化、また各個人が利用するソフトウェアの増加によるパソコン本体や管理者負荷の増大という状況が出てきた。そこで、操作の簡易なイントラネット型のグループウェア「Ex-Web」を利用することで、導入したその日から誰でも使いこなせるとともに、エンドユーザ教育の負荷軽減などクライアン

ト・アプリケーションの管理負荷軽減も可能となる。さらに「Ex-Web」の利用では、小・中規模企業におけるグループウェア導入推進はもとより、コストを抑えた初期構築から、設置後の機能拡張、システム規模の拡大なども容易である。「Ex-Web」は、電子メールの受信/発信、電子掲示板による情報共有、個人スケジュール/会議室予約/備品予約/行事予定、社員名簿検索などの情報ライブラリ、備品購入申請などの回覧型ワークフロー機能などの機能を実現している。販売価格は1サーバ当たり100万円。

日本ユニシスは、Microsoft社のグループウェアExchange Serverを利用したISO90 0 0対応文書管理システム「ISOLaw」(イソロウ)の販売を開始した。国際品質保証規格であるISO9000の認定を取得し維持するには、品質マニュアルや品質記録といった莫大な量の文書を管理しなければならないが、ほとんどの企業ではそれらの文書を紙ベースで管理しているのが実態である。これは管理面でも運用面でも多くのスペース、手間と時間を費やすことになり、文書管理担当者の大きな負担になっている。ISOLawは、文書を電子データとして管理し、Exchange Serverの持つ優れた機能(回覧・保管・分類・表示・記録)を最大限活用することで、柔軟で統一された操作性を保証する。また、日常業務の中で電子メールを利用しながらISO9000品質管理文書を参照・管理が行え、業務の一体化ができる。主な特徴は以下のとおり。(1)文書フォルダごとのアクセス権を設定可能、ワークフロー(回覧)機能を提供、Microsoft Back Office製品(SQL Server等)への拡張、コストの大幅な軽減(設計・開発・導入・カスタマイズ)などが可能。

(2)各文書ごとに文の起草者から発行責任者までの回覧が確実に実施可能、旧版や改訂中の版を管理可能、配布文書の自動受取り確認や配布状況確認が可能、個人ベースの進捗管理が可能。販売価格は1サーバ当たり100万円。

日本ユニシスとCAEソフトウェアの販売会社であるアルテアエンジニアリング(株)は、日本ユニシスの統合CAD/CAM/CAEシステム『CADCEUS(キャドシアス)』に、アルテアエンジニアリングが扱うCAEシステム『AltairHyperMesh(ハイパーメッシュ)』の機能を融合させたCAD/CAM/CAEシステムの開発に関する提携に合意した。今回の提携は、HyperMeshの機能のうち、立体を有限要素に自動分割するプリプロセッサ部分をCADCEUSのCAEオプションに組み込む形で共同開発し、日本ユニシスが販売するものである。本年2月からCADCEUSのオプション・ソフトウェアとして融合機能を反映したバージョンの出荷を開始する。

◇会期:3月2日(火)~5日(金)10時~17時(最終日は16:30)◇会場:東京ビッグサイト東展示ホール◇入場料:1,500円◇出展内容厳しい市場競争の中で、小売業はより消費者に支持される店舗作りのために魅力ある商品を、品切れなく、値ごろ感ある価格で提供することを、より強化する必要がある。また、メーカー、卸と協力し在庫の最少化、クイックな商品提供などを目指してサプライチェーン・マネジメントの試行が開始されているが、いずれも、「正確な需要予測」のできることが大きなポイントとなる。日本ユニシスは、「正確な需要予測」のために、①商品情報、顧客情報の実績データベース構築、②正しい発注をサポートする需要予測システム、③消費者ニーズ分析のためのソフトウェア・パッケージ「IMPACT-DM/MA」の活用などを提案する。◇実演内容①正しい発注をサポートする需要予測システムの紹介、②IMPACT -DM/MA(顧客ニーズ分析システム)による消費者ニーズの発見と個人ごとの購買行動予測を行うデータベース・マーケティング・システムを紹介する。

ユニシス・ニュース

1999年2月1日第454号

UN

P Cサーバ「AQUANTA」シリーズのラインナップ一新部門NTからエンタープライズNTまで

高性能製品を幅広く提供

操作性重視のWeb対応グループウェア「Ex-Web」を販売開始初めての人でも導入した日からすぐ使えるグループウェア

Exchange Serverを使用したISO9000対応文書管理システム「ISOLaw」を販売開始ISO認定取得前後の複雑な文書管理に救いの手

CAE分野でアルテアエンジニアリングと開発提携「CADCEUS」のCAE機能と操作性を強化

'99 SAショー

Aquanta QS/2V

16

発行日本ユニシス株式会社広報部広報室 〒135-8560 東京都江東区豊洲1-1-1 (03)5546-4111 発行人山下宗久 編集人武井 浩 制作ピー・アールセブン 発行日 1999年2月1日 ISSN 0915-051X

特にオンライン処理よりも夜間バッチのファイル・メンテナンスでタイトな作業が強いられるようになってきた」(情報システム本部システム推進部主席部員部長代理青柳 敏氏)。そこで、①大量データ処理への効率対応、②バッチ処理の高速処理、③オンライン・トランザクション処理能力

1999年2月1日 第454号

全日空では、これまでエンタープライズ・サーバ「UNISYS2200/634」2台をホストに、座席予約から発券、搭乗、実績まで一連の業務を総合的に管理する「国内旅客系システム」を稼働させ、利便性の高い旅客サービスを提供してきた。しかし、規制緩和による販売形態の変化や共同運航などへのシステム対応が相次ぎ、処理件数やデータ量が著しく増加してきた。その結果、「物理的なメモリ容量や論理的なメモリ・アドレスも限界に達し、対応能力が全体的に落ちてきた。

◆社外からの寄稿や発言内容は、必ずしも弊社の見解を表明しているわけではありません。

の向上、④最新OSによる2000年問題のクリアなどを狙いに、ホストを「ITASCA3822」に更新するなどシステムの基盤強化を図った。

今回のシステム基盤強化では、図1のように2台の拡張データ処理装置「XPC」で、3台の「ITASCA3800」およびキャッシュ・ディスク装置「USP5430」を結合した大規模並列処理構成を実現させた。これにより、システム・スループット(単位時間当たりに処理できるトランザクション数)やシングル・システム環境、ノンストップ処理環境などを強化し、処理能力を大幅に向上させた。具体的には次の処理能力の向上が図られた。①バッチ処理時間の大幅短縮

サイバーバッチ機能やキャッシュ・ディスクの強化などにより、バッチ処理の高速化を図り、バッチ処理時間が従来の2分の1に短縮できた。②オーディット処理時間の大幅短縮

オーディット・データは、トランザクションとは非同期にディスクに書き込まれるため、飛躍的に短時間でオーディット処理が可能になった。③オンライン・トランザクション処理

能力の向上

並列処理機能の強化により、オンライン・トランザクション処理が、従来の300件/秒から400件/秒へと大量処理が可能となった。④入出力処理の高速化

オンライン業務の環境下で大量の入出力処理(レコードロック)が発生する座席管理処理が約5分の1(23分→5分)で実施できたなど一律の評価は難しいものの、かなりの改善が図られた。

今回、併せて次の機能も実現させた。①CTLによるテープ・ハンドリング作

業の自動化

ロボット技術など最新のメカトロニクスと磁気テープ装置とを融合させた

データ蓄積能力の大幅拡大とバッチなど大量データ処理の高速化を目指したシステム基盤の強化

CTL(カートリッジ・テープ・ライブラリ:1万2,628巻収納)を導入して、テープのマウント/デマウントから保管管理までテープに関わるすべてのオペレーションを自動化した。従来、ピーク時には磁気テープを5分間に1回巻き取る必要があったが、その作業を不要とするなどテープ・ハンドリングの大幅な負荷軽減を実現させた。②IVの採用で複数システムの容易な監

視を実現

複数システム全体を1台のワークステーションで集中管理するIV(インテグレーテッド・ビュー)を採用した。LANに接続された3台のITASCA3800からハードウェア・リソース管理の情報を収集し、GUI環境の下で、365日24時間のシステム全体の集中監視制御を可能にした。③TCP/IPによるLANでオープン・シス

テムとの親和性を強化

TCP/IPベースのLANで各種オープン・システムと接続し、相互にファイル転送できる仕組みとした。これによりホスト・データを検索・加工して営業戦略に活用する情報系システムとの親和性を強化した。

「処理能力の向上とともにOSの2000年問題対応も完了し、消費電力も10分の1となりTCO削減の効果が大きい。規制緩和の進展により対応すべき案件が目白押しで処理件数やデータ量の一層の増加が予想されるが、能力的に3倍の拡張性を持ったシステムとなったので安心して対応できる」(情報システム本部システム推進部主席部員統括課長堀 興二氏)と語っている。 UN

全日空全日本空輸(株)は、予約・発券から搭乗手続き、実績管理まで自動化した国

内旅客系システム(呼称:able)のホスト・コンピュータをCLEARPATHサーバ

「ITASCA3822」にレベルアップし、システム基盤の強化を図った。これによ

り、業務量の増大にも充分に対処できる大幅な処理能力の向上を実現した。

■全日本空輸株式会社(通称:全日空)◆旅客・貨物とも国内線でトップの航空輸送シェアを誇る。国際線も86年の参入以来全世界に路線網を拡大。最新鋭のボーイング777型機など新機材を投入するとともにマイレージ・サービスを国内・国際共通のANAマイレージクラブへ一新するなど新たな旅客需要の喚起を図っている。

◆本社=東京都大田区羽田空港3-5-10

◆代表者=野村吉三郎社長◆売上高=9,102億円(98年3月)◆従業員数=15,523人(98年9月)◆使用機種=CLEARPATHサーバ「ITASCA3822」、エンタープライズ・サーバ「UNISYS2200/622」×2、同「2200/623」×2、同「2200/400」×6、その他IBM社、日立社製メインフレームなど。

国内旅客系システムの基盤を強化ホストをCLEARPATHサーバ「ITASCA3822」に更改し

処理能力を大幅に向上

社会公共情報システム

XPCを軸に大規模並列処理環境を実現

最新ハードウェアの採用でTCO削減にも貢献

最新鋭旅客機ボーイング777―300

テープ操作の自動化やオープンシステムとの連携も強化

青柳 敏氏(左)と堀 興二氏

XPCモデル23�メモリ容量:768MB

XPCモデル23�メモリ容量:768MB

ITASCA 3800�IP:2セット�メモリ:256MW�チャネル数:120

ITASCA 3800�IP:2セット�メモリ:256MW�チャネル数:120

ITASCA 3800�IP:2セット�メモリ:128MW�チャネル数:120

XPC

ITASCA3800��

本番A(DPA) 本番B(DPB) 待機/開発(UTE)

16PK-143Gb 16PK-143Gb 16PK-143Gb 16PK-143Gb 16PK-143Gb 16PK-143Gb 16PK-143Gb 16PK-143Gb

1.25GBキャッシュ� 1.25GBキャッシュ�1.75GBキャッシュ�1.75GBキャッシュ�1.75GBキャッシュ�1.75GBキャッシュ�1.75GBキャッシュ�1.75GBキャッシュ�

8PK-72Gb8PK-72Gb 8PK-72Gb 24PK-215Gb

オーディット-LEG1系� LEG1系列� LEG2系列� オーディット-LEG2系�

512MBキャッシュ�512MBキャッシュ� 1.25GBキャッシュ�512MBキャッシュ�

DPA/DPBローカル系列�(H/Wミラー)

CLU5075テープ倉庫×1セット�4CU×20ドライブ×12,628巻�UTE DB系列�

(H/Wミラー)UTEローカル系列�(H/Wミラー)

USP5430型キャッシュ・ディスク�

図1 新国内旅客系のハードウェア構成

[UNISYS系] [日立系]��

[IBM系]

国際�貨物系�

2200/405×2 2200/402×2

国内�貨物系�

2200/622×2

空港系�

ITASCA3800×3

国内�旅客系�

ネットワーク系(FEP系)

2200/623×2

(テスト系402×2)

国際旅客系�旅客管理系�

通信制御装置�

通信制御装置�

整備系�管理系�

通信制御装置(×60台)��

営業系端末 15,000台�その他端末  5,000台�

図2 大型コンピュータ・ネットワーク図

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