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18:完全型チュートリアル
1.完全型チュートリアルの概説
循環、神経、腫瘍、血液、感染免疫、膠原病、腎泌尿器、呼吸、周産期、消化器、内分泌代謝の 11 種類の
基本的疾患から1症例を4週間かけてチュートリアル方式で学習する。診療参加型臨床実習で患者さんを受
持った状況を想定して、これまでに習得した医学知識を駆使して医学・医療の実践を学ぶ。患者さんが受診
して検査の結果入院し(「検査解釈」)、診断へのアプローチ(「暫定診断と鑑別診断」、「身体診察・診断学」)
を行い、「治療」の選択と合併症・副作用を熟知した診療(服薬指導・安全管理)と「社会医学」(保険・特
定疾患)および在宅医療(緊急対応処置を含む)など、患者支援医療を包括したチュートリアル学習を行う。
1週に2〜3回のコアタイムでシナリオが配布されて症例の状況が呈示され、問題点の抽出・論点・学習計
画を討議し、自ら学習を進める。チュートリアル学習では、毎日4時間の自己学習(self-directed
learning)が必須である。また、診療参加型臨床実習では、指導医への良好なプレゼンテーションが最重要
な診療技能となるため、諸君は担当患者さんの状況を上級医に伝えるプレゼンテーションを完成させて行く
作業を教員陪席の第4教室で午前中毎日行い、常に練習を重ねる。3回目のコアタイムからは各セミナール
ームで1人がオーラルプレゼンテーションをチュータ教員の前で実施する。最終週には全員がパワーポイン
トを用いて、プレゼンテーションが可能なレベルになった事をグループ内で確認し合う。このプレゼンテー
ション準備作業が、診療参加型臨床実習の基礎となる。身体診察と診断学は、シミュレータを用い自ら研鑽
する。第4週には、医療面接・診察のロールプレー(role play)を行って患者・医師関係構築の模擬体験を実
施し、2か月後から開始となる診療参加型臨床実習の基本行動を身に付ける。
2.教育目標
(1) 一般目標
医学医療に関連する情報を重要性と必要性にしたがって客観的・批判的に統合整理する基本的能力(知識、
技能、態度、行動)を身につけ(コアカリ No.55、A4(1))、参加型臨床実習で担当患者に応用できる。
(2) 行動目標
到達できた項目には○、もう一息の項目には△、まだまだの項目には×をつけ、自己評価に利用してく
ださい。
到 達 目 標 自己評価
病歴(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、社会歴、システムレビュー)を聴き取り、
情報を取捨選択し整理できる。(コアカリ G1)
主要疾患の症例に関して、診断・治療計画を立案できる。(G1)
診察で得た所見、診断、必要な検査を(Problem として)説明、報告できる。(G1)
シミュレータを用い、症候の原因と病態を説明できる。(F1)
病歴と身体所見等の情報を統合して、鑑別診断ができる。(G1)
(暫定診断を述べ、鑑別診断を5つ列挙することができる。)
暫定診断の頻度・臨床症状・身体診察所見・合併症・基本的治療を述べることができる(主要疾患の
症例に関して、診断・治療計画を立案できる)。(G1)
症例を適切に要約する習慣を身につけ、状況に応じて提示できる。(G1)
(診療経過を SOAP で記載できる。(G1))
(概要・身体診察・暫定診断・鑑別診断・治療計画を定型順にプレゼンテーションすることがで
きる。)
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到 達 目 標 自己評価
治療法の種類と合併症・副作用、予後、食事療法(F2(5)-1))・生活指導を概説できる。
主な薬物の副作用を概説できる。(F2(1)-12))
治療薬の薬理作用、薬物動態、治療計画、服薬指導を述べることができる。
治療中の急変の事態を想定し、緊急時の対応を具体的に列挙することができる。
医療保険と公費医療や介護保険を説明できる。(B(5)-2))
地域における、救急医療、在宅医療(f (12)-3))の体制を概説できる。(B(2)-5))
退院後の予見可能な容態悪化について、病態の想定と緊急時対応について述べることが
できる。
医療行為が患者と医師の契約的な信頼関係に基づいていることを説明でき(A-3-(2)-4))、
本例で医事紛争の原因となりうる想定を指摘できる。
医療機関における医療安全体制の在り方(事故報告書、インシデントレポート、リスク
管理者、事故防止委員会、事故調査委員会)を概説できる。(A-2-(1) 6))
3.教育担当者
(※オフィスアワーは該当ページを参照)
役 割 所属部署 教員名
内科学第一講座 教務部長 野村 昌作
医学教育センター 特命教授 木下 洋
※コアタイムチュータについては、別途通知する。
4.完全型チュートリアル前の準備について
診療参加型臨床実習で担当する基本的疾患の診断学・診察法・治療・社会医学に関する知識が必要である。
患者さんの受診から入院、診断、治療、合併症への対応、患者支援など、実際の医療現場の流れに添って進
むこのコースでは、諸君がこれまでに履修した膨大な医学知識の応用が求められる。このためには「症候学」
や「臨床推論」の書籍・Web 教材で常に自己研鑽し、自らが担当する患者さんで遭遇する臨床症状・診察法・
検査・治療・多職種協働・医療制度のミニマム・エッセンシアルを身につける。
医学教育センター編「参加型臨床実習ですぐに使えるオーラル・プレゼンテーションの作り方」のフォーマ
ットは事前に電子媒体で配布され、コース開始後に担当患者の日々の状況に応じて作成する。
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5.週間時間割
完全型チュートリアル 第1週
1/9(月) 1/10(火) 1/11(水) 1/12(木) 1/13(金)
1時間目
9:00~
10:00
休講
(成人の日) 自習 共用試験 CBT
コアタイム
(症例提示)
コアタイム
(検査解釈)
10:00~
10:10 自習
プレゼン準備
病歴/身体所見
検査/鑑別診断
2時間目 10:25~
11:35
講義
プレゼンの仕方
①病歴/身体
ワクチン
抗体チェック
3時間目 12:50~
14:00
総合臨床医学
実習
(オリエンテーシ
ョン)
総合臨床医学
実習
(オリエンテーシ
ョン)
4時間目 14:15~
15:25
5時間目 15:40~
16:50
完全型チュートリアル 第2週
1/16(月) 1/17(火) 1/18(水) 1/19(木) 1/20(金)
1時間目
9:00~
10:00
コアタイム
(鑑別診断) プレゼン
作成作業
教員陪席
(全員・班別)
コアタイム
(身体診察/
診断学) プレゼン作成作業
教員陪席
(全員・班別)
10:00~
10:10
プレゼン準備
(暫定診断修正
/鑑別診断)
プレゼン準備
(身体所見修正)
コアタイム
シミュレーション
実習
(プレゼン実施)
2時間目 10:25~
11:35
講義
プレゼンの仕方
② 検査/鑑別
教員陪席
プレゼン練習
コアタイム
シミュレーション
センター
(プレゼン実施)
講義
POMR の書き方・
臨床推論
3時間目 12:50~
14:00
総合臨床医学
実習
(DVD 自習)
総合臨床医学
実習
(DVD 自習)
総合臨床医学
実習
(DVD 自習)
総合臨床医学
実習
総合臨床医学
実習 4時間目
14:15~
15:25
5時間目 15:40~
16:50
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完全型チュートリアル 第3週
1/23(月) 1/24(火) 1/25(水) 1/26(木) 1/27(金)
1時間目
9:00~
10:00
コアタイム
(治療) 自習
(治療薬の副作用
とその対策)
コアタイム
(社会医学・保
険・特定疾患)自習
(服薬指導/
安全管理/急変時
対応)
コアタイム
(リハビリ/
通院計画/
在宅医療)
10:00~
10:10 自習
自習
(保険)
自習
(リハビリの
内容)
2時間目 10:25~
11:35
プレゼン準備
(具体的治療量・
方法・期間の記入)
(教員陪席)
プレゼン準備
(副作用チェッ
ク・対策)
(教員陪席)
プレゼン準備
(この患者に適
応される制度
を調べる)
(教員陪席)
プレゼン準備
(同上、具体的
処置内容)
(教員陪席)
プレゼン準備
(地域医療との具
体的連携)
(教員陪席)
3時間目 12:50~
14:00
総合臨床医学
実習
総合臨床医学
実習
総合臨床医学
実習
総合臨床医学
実習
総合臨床医学
実習 4時間目
14:15~
15:25
5時間目 15:40~
16:50
完全型チュートリアル 第4週
1/30(月) 1/31(火) 2/1(水) 2/2(木) 2/3(金)
1時間目
9:00~
10:00 コアタイム
(急変または
医事紛争)
グループ別
(全員プレゼン
練習)
グループ別
(全員プレゼン
最終発表) コアタイム
(発表会)
ロールプレー
コアタイム
(発表会)
ロールプレー
10:00~
10:10
2時間目 10:25~
11:35
自習
急変時の対応
または医事紛争
(教員陪席)
ロールプレーの
練習
ロールプレーの
練習
3時間目 12:50~
14:00
総合臨床医学
実習
総合臨床医学
実習
総合臨床医学
実習
総合臨床医学
実習
総合臨床医学
実習 4時間目
14:15~
15:25
5時間目 15:40~
16:50
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6.評価方法
コース評価 = コアタイム評価+プレゼンテーション評価
7.参考書等
1. 内科診断学(どの著者の本でも良い。必ず該当項目を読むこと)
推薦図書:Bates’Guide to Physical Examination and History Taking. 11th.ed.
(Lynn S. Bickley、Lippincott Williams & Wilkins )
2. 基本的臨床技能の学び方・教え方. Essential Minimum と OSCE.
(日本医学教育学会編、南山堂)
3. 考える身体診察. 症状・主訴から組み立ててゆく身体診察のストラテジー.
(大滝純司監修、文光堂)
4. 診療参加型臨床実習ガイド. (日本医学教育学会卒前臨床教育委員会編、篠原出版)
5. 臨床推論(大西弘高、南山堂)
6. DVD 映像で見る診療参加型臨床実習(平成 23 年度文部科学省先導的大学改革推進委託事業、
学内 LAN の教育動画コンテンツ(医学部講義あるいは OJT)で動画を見る事ができる)
8.その他学生諸君に伝えたいこと
診療参加型臨床実習には、すでに履修した病態・診断・治療の医学的知識に加え、医学教育モデル・コア
カリキュラムに記載された「診療の基本」である ①症状・病態からのアプローチ、②診療知識、③診療技能
が必要です。このチュートリアル学習は、これらを身に付ける絶好の機会です。十分な時間をかけた自己学
習が必須であることを肝に銘じて下さい。診療参加型臨床実習に不可欠な診療技能である適確なプレゼンテ
ーション技法(定型的な順序と表現法)もこのコース期間中に勉強しましょう。担当患者の状況により、プ
レゼンテーションは少しづつ変わります。2日に一度1〜2時限に設定された各コアタイムへの「準備学習」
では、毎日自分で定型文章を作り上げ、上級医から修正してもらう事が不可欠です。第4教室での教員陪席
は学生のサポート役です。声を出して練習しましょう。
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